有価証券報告書-第3期(2023/04/01-2024/03/31)
② 戦略
(気候変動に伴う機会とリスク)
当社グループでは「短期」「中期」「長期」の時間軸を設定し、気候変動に伴うリスクと機会を分析しています。シナリオ分析結果等を活用し、脱炭素社会に向かうお客さまをサポートする能動的な対話(エンゲージメント)の実施や、サステナブルファイナンス、トランジションファイナンス等の金融支援の強化により、事業機会の創出やリスク低減につなげていきます。
※ 「短期」:5年程度、「中期」:10年程度、「長期」:30年程度
(気候変動に伴うビジネス機会への対応)
脱炭素社会への移行に伴い、お客さまの資金需要の拡大や事業再編、新たな金融商品・サービスの需要増加が見込まれ、当社グループにとってはビジネス機会が増えています。当社グループは、金融・非金融機能を活用した様々なファイナンスやソリューションの提供に積極的に取り組み、お客さまの課題解決に努めます。
◇環境課題解決へのファイナンス
お客さまの脱炭素経営や環境配慮への取組みに向けた資金調達に対応するため、ファイナンス商品のラインナップを充実させて、提供しています。
◇地域企業の脱炭素化支援
お客さまの温室効果ガス排出量の可視化・削減目標の設定についてコンサルティングを実施し、カーボンマネジメントを支援しています。
2021年8月のサービス開始以降、217社に脱炭素コンサルティングを提供しています。また、お客さまのSBT認定(中小企業版)支援にも取り組んでおり、当社グループのサポートにより、これまでに154社が認定を受けています。

さらに、脱炭素経営移行計画の作成支援や排出量算定のためのシステム環境の提供など、お客さまの脱炭素経営実現に向けた継続的なサポート体制を構築しています。
(気候変動に伴うリスクの事例)
当社グループは、気候変動リスクを4つのカテゴリーに整理しています。気候変動から生じる物理的リスク及び移行リスクについては、以下のような事例が想定されます。
(シナリオ分析)
気候変動に関するリスクが当社グループに及ぼす影響を把握するため、「物理的リスク」「移行リスク」についてシナリオ分析を実施しています。
◇物理的リスク
雨が多い日本では、毎年大雨による河川の氾濫などにより、水害が発生しています。また、近年は、局地的に短時間で激しい雨が降るゲリラ豪雨が増加傾向にあり、当社グループの営業エリアにおいても大きな被害が発生しています。
物理的リスクでは、気候変動による大規模洪水の発生頻度の上昇を想定し、「RCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)」を前提に、岐阜県・愛知県内において、気候変動に起因する大規模水害が発生した場合の与信関係費用への影響を試算したところ、約65億円の増加が見込まれるという結果となりました。
◇移行リスク
与信エクスポージャーが大きいセクターやTCFD提言が定義する炭素関連セクター等を対象に定性的な分析を行った結果、当社グループにおいて移行リスクの影響が大きいセクターとして「電力セクター」「自動車セクター」を選定しました。
移行リスクでは、「RCP2.6シナリオ(2℃シナリオ)」、「NZEシナリオ(1.5℃シナリオ)」を前提に、炭素税の導入など脱炭素社会への移行に伴う費用増加や売上高減少、市場の将来動向などを勘案のうえ、与信関係費用への影響を試算したところ、約30億円の増加が見込まれるという結果となりました。
※ IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change) : 気候変動に関する政府間パネル
※ IEA (International Energy Agency) : 国際エネルギー機関
分析結果は、一定の前提条件のもとに試算しています。今回の分析範囲においては、当社グループの財務への影響は限定的なものとなりましたが、引き続きシナリオ分析の高度化に努めていきます。
(炭素関連資産)
2024年3月末の十六銀行の貸出残高に占める炭素関連資産の割合は23.0%です。
※貸出残高=貸出金、外国為替、支払承諾等の合計
(気候変動に伴う機会とリスク)
当社グループでは「短期」「中期」「長期」の時間軸を設定し、気候変動に伴うリスクと機会を分析しています。シナリオ分析結果等を活用し、脱炭素社会に向かうお客さまをサポートする能動的な対話(エンゲージメント)の実施や、サステナブルファイナンス、トランジションファイナンス等の金融支援の強化により、事業機会の創出やリスク低減につなげていきます。
| 評価項目 | 主な機会やリスク | 時間軸 | ||
| 機 会 | 製品・サービス | ・お客さまの脱炭素社会への移行を支援する投融資やコンサルティング提供等、ビジネス機会の増加 ・災害対策のための公共事業やお客さまの設備資金需要の増加 | 短期~長期 中期~長期 | |
| 資源の効率性 | ・省資源、省エネルギー化、新技術の活用による事業コストの低下 | 短期~長期 | ||
| エネルギー源 | ||||
| レジリエンス | ・地域のレジリエンス強化に向けた、防災・減災に関する地公体等との協力体制構築の増加 ・気候変動に対する適切な取組みと開示による企業価値の向上 | 短期~長期 短期~長期 | ||
| リ ス ク | 物理的 リスク | 急性 リスク | ・異常気象の増加・深刻化に伴うお客さまの業績悪化、担保価値の毀損による貸出資産価値の低下 ・当社グループ拠点や役職員の被災に伴う業務の中断 | 短期~長期 短期~長期 |
| 慢性 リスク | ・降水や気象パターンの変化、平均気温の上昇、海面上昇等に伴うお客さまの業績悪化、担保価値の毀損による貸出資産価値の低下 | 中期~長期 | ||
| 移行 リスク | 政策・法律 | ・気候変動に関する政策、規制強化などに伴うお客さまの業績悪化による貸出資産価値の低下 | 中期~長期 | |
| 技術 | ・低炭素技術への投資の失敗、移行コストなどに伴うお客さまの業績悪化による貸出資産価値の低下 | 中期~長期 | ||
| 市場 | ・消費者行動の変化、原材料コストの上昇などに伴うお客さまの業績悪化による貸出資産価値の低下 | 中期~長期 | ||
| 評判 | ・気候変動に対する適切な取組みや開示が他社比劣後することによる企業価値の低下 | 短期~長期 | ||
※ 「短期」:5年程度、「中期」:10年程度、「長期」:30年程度
(気候変動に伴うビジネス機会への対応)
脱炭素社会への移行に伴い、お客さまの資金需要の拡大や事業再編、新たな金融商品・サービスの需要増加が見込まれ、当社グループにとってはビジネス機会が増えています。当社グループは、金融・非金融機能を活用した様々なファイナンスやソリューションの提供に積極的に取り組み、お客さまの課題解決に努めます。
◇環境課題解決へのファイナンス
お客さまの脱炭素経営や環境配慮への取組みに向けた資金調達に対応するため、ファイナンス商品のラインナップを充実させて、提供しています。
| <グリーンローン・グリーン私募債>再生可能エネルギー発電設備の導入や省エネ性能の高い機器への切替えなど、資金使途を環境課題の解決に資する資金に限定した融資商品です。外部機関からセカンドオピニオンを取得するスキームにより、社会や利害関係者に向けて、自社の環境への取組姿勢を発信することができます。 |
| <サステナビリティ・リンク・ローン>SDGs・ESGに関する事業挑戦目標であるサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)を設定し、その達成度合いに応じて金利などの貸出条件を優遇する融資商品です。パリ協定が求める水準と整合する温室効果ガス排出量削減目標の設定などにより、お客さまの脱炭素経営への取組みを支援します。 |
| <ポジティブインパクトファイナンス>企業活動が、環境・社会・経済のいずれかの側面に与える影響を包括的に分析・評価し、ポジティブなインパクトの創出とネガティブなインパクトの低減に資するKPIを設定する融資商品です。KPI達成状況のモニタリングを通じて、お客さまの取組みを継続的に支援します。 |
◇地域企業の脱炭素化支援
お客さまの温室効果ガス排出量の可視化・削減目標の設定についてコンサルティングを実施し、カーボンマネジメントを支援しています。
2021年8月のサービス開始以降、217社に脱炭素コンサルティングを提供しています。また、お客さまのSBT認定(中小企業版)支援にも取り組んでおり、当社グループのサポートにより、これまでに154社が認定を受けています。
| 取扱実績 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 合計 |
| 脱炭素コンサルティング | 47件 | 91件 | 79件 | 217件 |
| SBT認定支援 | 2件 | 43件 | 109件 | 154件 |

さらに、脱炭素経営移行計画の作成支援や排出量算定のためのシステム環境の提供など、お客さまの脱炭素経営実現に向けた継続的なサポート体制を構築しています。
(気候変動に伴うリスクの事例)
当社グループは、気候変動リスクを4つのカテゴリーに整理しています。気候変動から生じる物理的リスク及び移行リスクについては、以下のような事例が想定されます。
| リスクカテゴリー | 定義 | 物理的リスクの 事例 | 移行リスクの 事例 | ||
| 時間軸 | 時間軸 | ||||
| 信用リスク | お客さまの財務状況の悪化等により、オフ・バランス資産を含めた資産の価値が減少ないし消失し損失を被るリスク | 異常気象の増加・深刻化に伴うお客さまの業績悪化、担保価値の毀損による貸出資産価値の低下 | 短期~長期 | 気候変動に関する規制強化、低炭素技術への投資失敗、消費者行動の変化などに伴うお客さまの業績悪化による貸出資産価値の低下 | 中期~長期 |
| 市場リスク | 金利、為替及び株式等の様々な市場のリスク・ファクターの変動により、資産及び負債(オフ・バランスを含む)の価値が変動し損失を被るリスク並びに資産及び負債から生み出される収益が変動し損失を被るリスク | 異常気象の増加・深刻化に伴う投資先の業績悪化による保有有価証券価格の下落 | 短期~長期 | 気候変動に関する規制強化、低炭素技術への投資失敗、消費者行動の変化などに伴う投資先の業績悪化による保有有価証券価格の下落 | 短期~長期 |
| 流動性リスク | 運用と調達の期間のミスマッチや予期せぬ資金の流出により、必要な資金確保が困難になる、または通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク、市場の混乱等により市場において取引ができなかったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスク | 異常気象で被災したお客さまの資金需要発生による預金流出 | 短期~長期 | 気候変動リスクへの対応の遅れに伴う当社グループの信用悪化による資金調達環境悪化及び預金流出 | 短期~長期 |
| オペレーショナル ・リスク | 業務の過程、役職員等の活動もしくはシステムが不適切であること、または外生的な事象により損失を被るリスク | 当社グループ拠点や役職員の被災に伴う業務の中断 | 短期~長期 | 気候変動への不適切な対応等に伴う罰金、訴訟による損失 | 短期~長期 |
(シナリオ分析)
気候変動に関するリスクが当社グループに及ぼす影響を把握するため、「物理的リスク」「移行リスク」についてシナリオ分析を実施しています。
◇物理的リスク
雨が多い日本では、毎年大雨による河川の氾濫などにより、水害が発生しています。また、近年は、局地的に短時間で激しい雨が降るゲリラ豪雨が増加傾向にあり、当社グループの営業エリアにおいても大きな被害が発生しています。
物理的リスクでは、気候変動による大規模洪水の発生頻度の上昇を想定し、「RCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)」を前提に、岐阜県・愛知県内において、気候変動に起因する大規模水害が発生した場合の与信関係費用への影響を試算したところ、約65億円の増加が見込まれるという結果となりました。
◇移行リスク
与信エクスポージャーが大きいセクターやTCFD提言が定義する炭素関連セクター等を対象に定性的な分析を行った結果、当社グループにおいて移行リスクの影響が大きいセクターとして「電力セクター」「自動車セクター」を選定しました。
移行リスクでは、「RCP2.6シナリオ(2℃シナリオ)」、「NZEシナリオ(1.5℃シナリオ)」を前提に、炭素税の導入など脱炭素社会への移行に伴う費用増加や売上高減少、市場の将来動向などを勘案のうえ、与信関係費用への影響を試算したところ、約30億円の増加が見込まれるという結果となりました。
| 物理的リスク | 移行リスク | |
| シナリオ | IPCC/RCP8.5シナリオ(4℃シナリオ) | IPCC/RCP2.6シナリオ(2℃シナリオ) IEA/NZEシナリオ(1.5℃シナリオ) |
| リスク事象 | 大規模水害 | 脱炭素社会への移行 |
| 分析対象 | 岐阜県・愛知県内の貸出先 岐阜県・愛知県内の不動産(建物)担保 (保証付住宅ローンは除く) | 電力セクター 自動車セクター |
| 分析内容 | お客さまの事業停止・停滞に伴う業績悪化 当社グループの不動産(建物)担保の毀損 | お客さまの費用増加や売上高減少に伴う業績悪化 |
| 分析期間 | 2050年まで | 2050年まで |
| 分析結果 | 与信関係費用増加額 最大約65億円 | 与信関係費用増加額 累計約30億円 |
※ IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change) : 気候変動に関する政府間パネル
※ IEA (International Energy Agency) : 国際エネルギー機関
分析結果は、一定の前提条件のもとに試算しています。今回の分析範囲においては、当社グループの財務への影響は限定的なものとなりましたが、引き続きシナリオ分析の高度化に努めていきます。
(炭素関連資産)
2024年3月末の十六銀行の貸出残高に占める炭素関連資産の割合は23.0%です。
※貸出残高=貸出金、外国為替、支払承諾等の合計