有価証券報告書-第5期(2025/04/01-2026/03/31)
② 戦略
(気候変動に伴う機会とリスク)
当社グループでは「短期」「中期」「長期」の時間軸を設定し、気候変動に伴うリスクと機会を分析しています。シナリオ分析結果等を活用し、脱炭素社会に向かうお客さまをサポートする能動的な対話(エンゲージメント)の実施や、グリーンファイナンス、サステナブルファイナンス、トランジションファイナンス等の金融支援により、事業機会の創出やリスク低減につなげていきます。
※ 「短期」:5年程度、「中期」:10年程度、「長期」:30年程度
(気候変動に伴うビジネス機会への対応)
脱炭素社会への移行に伴い、お客さまの資金需要の拡大や事業再編、新たな金融商品・サービスの需要増加が見込まれ、当社グループにとってはビジネス機会が増えています。当社グループは、金融・非金融機能を活用した様々なファイナンスやソリューションの提供に積極的に取り組み、お客さまの課題解決に努めます。
◇環境課題解決へのファイナンス
お客さまの脱炭素経営や環境配慮への取組みに向けた資金調達に対応するため、ファイナンス商品のラインナップを充実させて、提供しています。
◇地域企業の脱炭素化支援
お客さまの脱炭素経営を支援するため、各種コンサルティングサービスを順次開発し、ラインナップを充実させています。
GHG排出量の可視化、削減目標の設定を実施する脱炭素コンサルティングは、2021年8月の取扱開始以降、431社に提供しています。また、そのうち7割以上の企業が当社グループのサポートにより、中小企業版SBTの認定を取得しています。
(気候変動に伴うリスクの事例)
当社グループは、気候変動リスクを4つのカテゴリーに整理しています。気候変動から生じる物理的リスク及び移行リスクについては、以下のような事例が想定されます。
(シナリオ分析)
気候変動に関するリスクが当社グループに及ぼす影響を把握するため、「物理的リスク」「移行リスク」についてシナリオ分析を実施しています。
◇物理的リスク
近年、気温上昇に起因する大雨や台風などの気象災害の激甚化や頻発化が観測されています。
このため2025年度は、物理的リスクを急性リスクと慢性リスクに分け、それぞれリスク事象を追加し、急性リスクについては、水害と暴風、慢性リスクについては気温上昇について分析しました。
物理的リスクでは、リスク事象発生時の業績悪化及び不動産担保の毀損に伴う与信関係費用を分析し、累計約129億円の増加が見込まれるという結果となりました。
(物理的リスク)
IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change) : 気候変動に関する政府間パネル
SSP (Shared Socioeconomic Pathways) : 共有社会経済経路シナリオ
◇移行リスク
与信エクスポージャーが大きいセクターを対象に定性的な分析を行った結果、当社グループにおいて移行リスクの影響が大きいセクターとして、これまでの「電力セクター」「自動車セクター」に加えて、「石油・ガスセクター」「運輸セクター」を分析対象に選定しました。また、移行リスクでは、炭素税の導入など脱炭素社会への移行に伴う費用増加や売上高減少、市場の将来動向などを勘案のうえ、分析結果から与信関係費用への影響額を算出し、累計約47億円の増加が見込まれるという結果となりました。
(移行リスク)
NGFS (Network for Greening the Financial System): 気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク
物理的リスク及び移行リスクの分析結果は、一定の前提条件のもとに試算しています。今回の分析範囲においては、リスク事象の発生可能性を加味すると当社グループの財務への影響は限定的なものとなり、当社事業の持続可能性に重大な懸念を与えるものではないと判断しています。引き続き、シナリオ分析の高度化に努めていきます。
(炭素関連資産)
2026年3月末の株式会社十六銀行の貸出残高に占める炭素関連資産の割合は以下のとおりです。
※ 貸出残高=貸出金、外国為替、支払承諾等の合計
※ エネルギーセクターは、水道事業、再生可能エネルギー発電事業を除く
(自然資本・生物多様性への取組み)
当社グループは、豊かな自然に恵まれた岐阜県、愛知県を主要な営業基盤としています。「十六フィナンシャルグループSDGs宣言」では重点課題の1つに「環境保全と気候変動対策」を掲げており、2024年4月にはTNFDフォーラムに参画しました。
今後も自然関連情報の分析を進め、TNFD提言に沿った情報開示のさらなる充実をはかるとともに、地域における自然資本や生物多様性の保全に積極的に取り組むことで、持続可能な社会の実現を目指します。
なお、分析結果等については、当社統合報告書へ掲載しています。
(気候変動に伴う機会とリスク)
当社グループでは「短期」「中期」「長期」の時間軸を設定し、気候変動に伴うリスクと機会を分析しています。シナリオ分析結果等を活用し、脱炭素社会に向かうお客さまをサポートする能動的な対話(エンゲージメント)の実施や、グリーンファイナンス、サステナブルファイナンス、トランジションファイナンス等の金融支援により、事業機会の創出やリスク低減につなげていきます。
| 評価項目 | 主な機会やリスク | 時間軸 | ||
| 機 会 | 製品・サービス | ・お客さまの脱炭素社会への移行を支援する投融資やコンサルティング提供等、ビジネス機会の増加 | 短期~長期 | |
| 市場 | ・災害対策のための公共事業やお客さまの設備投資に伴う資金需要の増加 | 中期~長期 | ||
| 資源効率 | ・省資源、省エネルギー化、新技術の活用による事業コストの低下 ・リサイクル等を通じた資源効率の向上による調達コストの低下 | 短期~長期 短期~長期 | ||
| 評判 | ・地域のレジリエンス強化に向けた、防災・減災に関する地方公共団体等との協力体制構築の増加 ・気候変動に関する適切な取組みと開示による企業価値の向上 | 短期~長期 短期~長期 | ||
| リ ス ク | 物理的 リスク | 急性 | ・異常気象の増加・深刻化に伴うお客さまの業績悪化、担保価値の毀損による貸出資産価値の低下 ・当社グループ拠点や役職員の被災に伴う業務の中断 | 短期~長期 短期~長期 |
| 慢性 | ・降水や気象パターンの変化、平均気温の上昇、海面上昇等に伴うお客さまの業績悪化、担保価値の毀損による貸出資産価値の低下 | 中期~長期 | ||
| 移行 リスク | 政策・法律 | ・気候変動に関する政策、規制強化などに伴うお客さまの業績悪化による貸出資産価値の低下 | 中期~長期 | |
| 市場 | ・消費者行動の変化、原材料コストの上昇などに伴うお客さまの業績悪化による貸出資産価値の低下 ・脱炭素社会への移行に伴う既存事業モデルの陳腐化による企業価値の低下 | 中期~長期 中期~長期 | ||
| 技術 | ・低炭素技術への投資の失敗、移行コストなどに伴うお客さまの業績悪化による貸出資産価値の低下 | 中期~長期 | ||
| 評判 | ・気候変動への適切な取組みや開示が他社比劣後することによる企業価値の低下 | 短期~長期 | ||
※ 「短期」:5年程度、「中期」:10年程度、「長期」:30年程度
(気候変動に伴うビジネス機会への対応)
脱炭素社会への移行に伴い、お客さまの資金需要の拡大や事業再編、新たな金融商品・サービスの需要増加が見込まれ、当社グループにとってはビジネス機会が増えています。当社グループは、金融・非金融機能を活用した様々なファイナンスやソリューションの提供に積極的に取り組み、お客さまの課題解決に努めます。
◇環境課題解決へのファイナンス
お客さまの脱炭素経営や環境配慮への取組みに向けた資金調達に対応するため、ファイナンス商品のラインナップを充実させて、提供しています。
| <グリーンローン・グリーン私募債>再生可能エネルギー発電設備の導入や省エネ性能の高い機器への切替えなど、資金使途を環境課題の解決に資する資金に限定した融資商品です。外部機関からセカンドオピニオンを取得するスキームにより、社会や利害関係者に向けて、自社の環境への取組姿勢を発信することができます。 |
| <サステナビリティ・リンク・ローン>SDGs・ESGに関する事業挑戦目標であるサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)を設定し、その達成度合いに応じて金利などの貸出条件を優遇する融資商品です。パリ協定が求める水準と整合する温室効果ガス排出量削減目標の設定などにより、お客さまの脱炭素経営への取組みを支援します。 |
| <ポジティブインパクトファイナンス>企業活動が、環境・社会・経済のいずれかの側面に与える影響を包括的に分析・評価し、ポジティブなインパクトの創出とネガティブなインパクトの低減に資するKPIを設定する融資商品です。KPI達成状況のモニタリングを通じて、お客さまの取組みを継続的に支援します。 |
◇地域企業の脱炭素化支援
お客さまの脱炭素経営を支援するため、各種コンサルティングサービスを順次開発し、ラインナップを充実させています。
GHG排出量の可視化、削減目標の設定を実施する脱炭素コンサルティングは、2021年8月の取扱開始以降、431社に提供しています。また、そのうち7割以上の企業が当社グループのサポートにより、中小企業版SBTの認定を取得しています。
| 取扱開始 | サービス内容 | 取扱件数(件) | |||||
| 2021 年度 | 2022 年度 | 2023 年度 | 2024 年度 | 2025 年度 | 合計 | ||
| 2021年8月 | 脱炭素コンサルティング | 47 | 91 | 79 | 135 | 79 | 431 |
| 2021年8月 | 中小企業版SBT認定取得支援 | 2 | 43 | 109 | 76 | 84 | 314 |
| 2023年2月 | 脱炭素経営移行計画レビュー | - | - | 4 | 3 | 4 | 11 |
| 2023年8月 | 温室効果ガス排出量マネジメントシステム | - | - | 161 | 125 | 64 | 350 |
| 2024年3月 | カーボン・オフセット認証取得支援 | - | - | - | 6 | 4 | 10 |
(気候変動に伴うリスクの事例)
当社グループは、気候変動リスクを4つのカテゴリーに整理しています。気候変動から生じる物理的リスク及び移行リスクについては、以下のような事例が想定されます。
| リスクカテゴリー | 定義 | 物理的リスクの 事例 | 移行リスクの 事例 | ||
| 時間軸 | 時間軸 | ||||
| 信用リスク | お客さまの財務状況の悪化等により、オフ・バランス資産を含めた資産の価値が減少ないし消失し損失を被るリスク | 大規模な自然災害(洪水、干ばつ、森林火災など)の発生に伴うお客さまの業績悪化、担保価値の毀損による貸出資産価値の低下 | 短期~長期 | 気候変動に関する規制強化、低炭素技術への投資失敗、消費者行動の変化などに伴うお客さまの業績悪化による貸出資産価値の低下 | 中期~長期 |
| 市場リスク | 金利、為替及び株式等の様々な市場のリスク・ファクターの変動により、資産及び負債(オフ・バランスを含む)の価値が変動し損失を被るリスク並びに資産及び負債から生み出される収益が変動し損失を被るリスク | 大規模な自然災害(洪水、干ばつ、森林火災など)の発生に伴う投資先の業績悪化による保有有価証券価格の下落 | 短期~長期 | 気候変動に関する規制強化、低炭素技術への投資失敗、消費者行動の変化などに伴う投資先の業績悪化による保有有価証券価格の下落 | 短期~長期 |
| 流動性リスク | 運用と調達の期間のミスマッチや予期せぬ資金の流出により、必要な資金確保が困難になる、または通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク、市場の混乱等により市場において取引ができなかったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスク | 大規模な自然災害(洪水、干ばつ、森林火災など)の発生で被災したお客さまの資金需要発生による預金流出 | 短期~長期 | 気候変動リスクへの対応の遅れに伴う当社グループの信用悪化による資金調達環境悪化及び預金流出 | 短期~長期 |
| オペレーショナル ・リスク | 業務の過程、役職員等の活動もしくはシステムが不適切であること、または外生的な事象により損失を被るリスク | 当社グループ拠点や役職員の被災に伴う業務の中断 | 短期~長期 | 気候変動への不適切な対応等に伴う罰金、訴訟による損失 | 短期~長期 |
(シナリオ分析)
気候変動に関するリスクが当社グループに及ぼす影響を把握するため、「物理的リスク」「移行リスク」についてシナリオ分析を実施しています。
◇物理的リスク
近年、気温上昇に起因する大雨や台風などの気象災害の激甚化や頻発化が観測されています。
このため2025年度は、物理的リスクを急性リスクと慢性リスクに分け、それぞれリスク事象を追加し、急性リスクについては、水害と暴風、慢性リスクについては気温上昇について分析しました。
物理的リスクでは、リスク事象発生時の業績悪化及び不動産担保の毀損に伴う与信関係費用を分析し、累計約129億円の増加が見込まれるという結果となりました。
(物理的リスク)
| 急性リスク | 慢性リスク | ||
| リスク事象 | 水害 | 暴風 | 気温上昇 |
| シナリオ | IPCC/SSP5-8.5(4℃シナリオ) IPCC/SSP1-1.9(1.5℃シナリオ) | ||
| 分析対象 | 岐阜県・愛知県内の事業性貸出先 岐阜県・愛知県内の不動産(建物)担保 (保証付き住宅ローンは除く) | 岐阜県・愛知県内の事業性貸出先 | |
| 分析内容 | 100年に1度の水害時のお客さまの事業停止・停滞に伴う業績悪化及び不動産(建物)担保の毀損に伴う与信関係費用の増加額 | 100年に1度の暴風発生時のお客さまの事業停止・停滞に伴う業績悪化及び不動産(建物)担保の毀損に伴う与信関係費用の増加額 | 平均気温上昇による労働生産性の低下に起因した、お客さまの業績悪化に伴う与信関係費用の増加額 |
| 分析期間 | 2050年まで | 2050年まで | 2050年まで |
| 分析結果 | 与信関係費用増加額 最大約54億円 | 与信関係費用増加額 最大約31億円 | 与信関係費用増加額 累計約44億円 |
IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change) : 気候変動に関する政府間パネル
SSP (Shared Socioeconomic Pathways) : 共有社会経済経路シナリオ
◇移行リスク
与信エクスポージャーが大きいセクターを対象に定性的な分析を行った結果、当社グループにおいて移行リスクの影響が大きいセクターとして、これまでの「電力セクター」「自動車セクター」に加えて、「石油・ガスセクター」「運輸セクター」を分析対象に選定しました。また、移行リスクでは、炭素税の導入など脱炭素社会への移行に伴う費用増加や売上高減少、市場の将来動向などを勘案のうえ、分析結果から与信関係費用への影響額を算出し、累計約47億円の増加が見込まれるという結果となりました。
(移行リスク)
| リスク事象 | 脱炭素社会への移行 | |
| シナリオ | NGFS/NetZero2050(1.5℃シナリオ)、Current Policies(3℃シナリオ) | |
| 分析対象 | 電力セクター、自動車セクター、石油・ガスセクター、運輸セクター | |
| 分析内容 | 脱炭素社会への移行に伴う炭素税導入やエネルギーコスト増加に伴う費用増加、市場需要の変動や追加の設備投資の発生に伴うお客さまの業績悪化に伴う与信関係費用の増加額 | |
| 分析期間 | 2050年まで | |
| 分析結果 | 与信関係費用増加額 累計約47億円 | |
NGFS (Network for Greening the Financial System): 気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク
物理的リスク及び移行リスクの分析結果は、一定の前提条件のもとに試算しています。今回の分析範囲においては、リスク事象の発生可能性を加味すると当社グループの財務への影響は限定的なものとなり、当社事業の持続可能性に重大な懸念を与えるものではないと判断しています。引き続き、シナリオ分析の高度化に努めていきます。
(炭素関連資産)
2026年3月末の株式会社十六銀行の貸出残高に占める炭素関連資産の割合は以下のとおりです。
| セクター | 貸出残高 (百万円) | 割合 |
| エネルギー | 83,560 | 1.6% |
| 運輸 | 172,536 | 3.3% |
| 素材・建築物 | 1,005,124 | 19.4% |
| 農業・食料・林産物 | 94,953 | 1.8% |
| 合計 | 1,356,173 | 26.2% |
※ 貸出残高=貸出金、外国為替、支払承諾等の合計
※ エネルギーセクターは、水道事業、再生可能エネルギー発電事業を除く
(自然資本・生物多様性への取組み)
当社グループは、豊かな自然に恵まれた岐阜県、愛知県を主要な営業基盤としています。「十六フィナンシャルグループSDGs宣言」では重点課題の1つに「環境保全と気候変動対策」を掲げており、2024年4月にはTNFDフォーラムに参画しました。
今後も自然関連情報の分析を進め、TNFD提言に沿った情報開示のさらなる充実をはかるとともに、地域における自然資本や生物多様性の保全に積極的に取り組むことで、持続可能な社会の実現を目指します。
なお、分析結果等については、当社統合報告書へ掲載しています。