有価証券報告書-第41期(2025/06/01-2026/05/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「私たちは国際化社会の中で、社員ひとり一人の個性を尊重し、誠実を旨とし、情報技術の先進的活用により顧客企業と社会の発展に貢献する。」ということを企業理念として掲げており、経営方針は以下のとおりです。
・顧客に信頼される会社となる。
・創造性あふれる専門家集団であり続ける。
・社会への貢献、個人への還元バランスをはかる。
(2)経営戦略等
富士キメラ総研の「2025 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編」によると、企業や社会を取り巻く環境の急速な変化に対応するためのデジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性は増しており、2024年度のDX関連市場規模は、5兆2,759億円の見込みとなっています。大手企業を中心に具体的な実行フェーズへの移行が進み、今後は中堅、中小企業での増加により、2030年度には9兆2,666億円まで拡大すると予測しています。
富士キメラ総研の「2026 生成AI/AIエージェントで飛躍するAI市場総調査 市場編」によると、日本国内のAI市場は、2025年度に1兆8,301億円、2029年度には3兆1,779億円に達する見通しです。この成長を牽引しているのが「生成AI」であり、2022年11月に登場した対話型AI「ChatGPT」を契機に、世界的に大規模言語モデル(LLM)の開発や応用が加速しています。国内でも、国産LLMの開発や導入支援ソリューションの整備が進み、政府もスタートアップ支援やガイドライン策定を通じて生成AIの普及を後押ししています。こうした動向を背景に、2025年度のAI関連市場における生成AI比率は36.4%に拡大する見込みであり、今後は、生成AIと従来型AIの連携が進むことで、業務変革や新たな価値創出が期待されます。2028年度には、AI市場全体の約6割を占めると予測しています。
ITRが発行する「ITR Market View : ERP市場2026」によると、2024年度の国内ERP市場の売上高は2,558億円に達し、前年同期比で18.0%の増加を記録しました。また、2025年度においては、更なる成長が見込まれ、前年同期比16.7%の増加が予測されています。このような好調な成長の背景には、システムの老朽化と保守契約の終了を契機としたシステムのリプレース需要増があります。近年、ERPは、AI機能の搭載によりシステムの高度化を促進しており、単なる基幹業務システムにとどまらず、経営意思決定支援の基盤へと進化しています。企業はデジタル化戦略の強化に取り組みながら、基幹システムの刷新に対する投資を継続しており、同市場は中期的にも二桁成長を維持することが期待されています。特にSaaSの成長は著しく、2024年度には前年比28.2%の増加を記録しました。さらに、2024~2029年度には年間平均成長率(CAGR)20.0%が見込まれるなど、今後も力強い成長が続くと予測されています。
以上の市場成長により、テクノロジーソリューション事業、ビジネスソリューション事業は、主要顧客との長期にわたる信頼関係も相まって、需要は引き続き高い水準で成長すると予想しております。
なお、当社グループは、上記の基本方針及び市場の動向に基づき、安定的かつ継続的な企業価値の向上を目指し、次の姿勢を貫いてまいります。
・お客様の業務を深く理解し、ニーズを汲み取った良質なエンジニアリングサービス、更に上流からのサービス(コンサルティングや各種提案)提供を行っていく
・デジタル革新技術を活用し、お客様の経営戦略実現のための業務統制の適正化と業務活動の効率化、そして経営リソースの有効活用を実現するエンドユーザー志向の新しいビジネスモデル(新事業)を構築し提供する
・社員がシイエヌエスで働くことを誇りに思える魅力を提供し、その魅力のもと高いサービス精神、チームワークを発揮し続け、顧客企業及び社会の発展に貢献する。
これらの展望を踏まえ、当社グループは次なるステージへ上がるべく2025年5月期から2027年5月期までの3か年の中期経営計画に取り組んでおります。2030年をターゲットとする当社の目指す『「人を想う」事業やサービスを通じて社会的課題を解決し、人や社会、未来に貢献する企業グループ』の実現に向けて、組織改革の推進と提案力強化、及び社会課題解決に向けたビジネスの創出に取り組んでまいります。
2027年5月期においては、2026年5月期までに構築した事業基盤をもとに、既存事業の拡大と新たな成長領域の創出を両輪として、収益力の強化と強化ビジネス領域へのリソースシフトを加速してまいります。
■2027年5月期の施策
<戦略① 事業基盤の強化>・M&Aおよびアライアンスの推進
・高度プロフェッショナル人材の確保
・生成AIの全社活用による生産性向上
<戦略② 新たな顧客獲得による事業規模拡大>・オラクル社とのアライアンス活用によるERP事業の拡大
<戦略③ ソリューションの拡充による市場拡大>・低収益案件からの撤退と強化ビジネス領域への人材シフト
・ERP事業の強化に向けた組織変更
<戦略④ 新たな需要創出に向けた提案力の強化>・プライム案件拡大に向けた全社バリューチェーンの強化
<戦略⑤ 社会課題を起点としたビジネスの創出>・SIで得た知見のサービス化による生産性向上およびプライム案件の拡大
・協業によるモダナイゼーションサービスの実現
これらの取り組みにより、2027年5月期の連結業績は、売上高9,278百万円(前期比19.3%増)、営業利益966百万円(同40.9%増)、経常利益986百万円(同35.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益679百万円(同14.9%増)を予想しております。強化ビジネス領域の成長による増収に加え、案件構成の見直しや生成AI活用等による生産性向上を通じて収益性の改善を図り、営業利益は売上成長率を上回る増益率を見込んでおります。
なお、中期経営計画における売上高100億円の目標については、オーガニックな事業成長を軸としつつ、成長投資の活用も視野に入れて実現を図ってまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画(2025年5月期~2027年5月期)の最終年度における目標数値及び達成状況を判断するための客観的な指標として以下のとおり設定いたしました。

(4)経営環境
当社グループは、システムエンジニアリングサービス事業の単一セグメントでありますが、サービス事業としてテクノロジーソリューション事業、ビジネスソリューション事業、コンサルティング事業を展開しております。
当社グループが属する情報サービス産業においては、DXを推進する動きが活発化しております。これまで情報システムはお客様ビジネスの構成要素の一部として扱われておりましたが、昨今の急激な環境変化に対応し、ビジネスの成長を拡大する上でデジタル技術を駆使した情報システムを経営の基本骨幹とされるように変化しております。
DXの市場動向については(2)経営戦略等に記載しているとおりであり、各事業における需要は変わらず堅調でありますが、IT人材不足を背景に、IT・デジタル人材の採用環境は厳しい状況となっております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①オリジナルサービスの拡大
当社グループは受託型のエンジニアリングサービスやシステム開発に特化し、お客様との取引を拡大してまいりました。一方、少子高齢化による労働人口の減少が進み、人材獲得競争は激化し、労働市場の流動性も高まっております。このため当社は、受託型以外のビジネスモデルの構築に取り組み、2022年10月に当社初のブランド「U-Way」を立ち上げ、オリジナルサービスの提供を開始いたしました。中期経営計画において、U-Wayシリーズの事業展開による売上高20億円を目指しておりますが、この目標の達成に向けて、各事業においてSIで得た知見をアセット化し生産性向上を図るとともに請負案件の拡大・品質向上に取り組んでまいります。
②新規顧客の獲得
これまでの受託型ビジネスにおいては、主に既存顧客との安定的な取引により業績拡大してまいりました。今後、持続的な成長を実現していくためには、受託ビジネスの姿勢から脱却し、攻めの姿勢に転じることが重要であると考えております。マーケットニーズの把握、顧客ニーズの深掘りの取り組みを強化し、主体的な提案活動による顧客接点の拡大や、ITベンダーやお客様とのパートナーシップの増強により、特に新たなエンドユーザーの獲得に向け取り組んでまいります。あわせて、上流コンサルティングを主とした会社などとの協業、M&Aを検討、推進してまいります。また、注力事業であるERPについては、Oracle NetSuiteへの取り組みを追加し幅広く顧客の獲得を行ってまいります。
③業容の拡大
当社グループは、2030年度における目指す姿『「人を想う」事業やサービスを通じて社会課題を解決し、人や社会、未来に貢献する企業グループ』の実現に向けて、社会課題を起点としたビジネスの創出を強化成長戦略の一つに掲げております。2022年5月期より、成長戦略のうちの1つとして「ソリューションの拡充による市場拡大」に取り組んでおりますが、技術領域を拡大することで提供サービスの拡充を図るものであり着実にサービス数は増加しております。今後は、事業会社だけではなく中央省庁や地方自治体に向けた提案も行っていくことで、様々な案件を通して社会課題ソリューションの開発ノウハウの蓄積に努め、業容の拡大につなげてまいります。
④人材の確保と育成・働き方改革の推進
企業成長には優秀な人材の確保・育成は不可欠であり、情報サービス産業は人材こそが全てである業界と言えます。しかしながら、少子高齢化が進む中、業種・業態を超えた人材獲得競争は激化、高度IT人材の不足も深刻化しております。そのため、従業員の働きやすい環境づくりを推進し人材確保に努めるとともに、能力を向上させるための研修、資格取得の推奨を実施しております。中期経営計画(2025年5月期~2027年5月期)における重点施策のうちの一つに、人材戦略の強化として、人事制度改革の完成を掲げており、社員の能力を最大限に発揮させる評価制度の構築、高度人材の認定制度の確立に取り組んでまいります。社員の働き方については、ワークライフバランスに配慮しつつ、生産性及び品質の向上を実現することが重要な課題であると認識しております。また、離職率の低下、及び働き方の多様化促進を目的にフルテレワーク制度を導入しております。社員の健康や意欲を損なわない環境を保ち続け、事業の健全な継続を実現するとともに、社員の仕事へのやりがい、誇りを高めてまいります。
⑤内部管理体制の強化
業務運営の効率化やリスク管理、また安定的に事業を拡大するためには内部管理体制のさらなる強化が必要不可欠であると考えております。今後も引き続き、内部管理体制の整備を推進するとともに、労務管理上の問題や情報漏洩、ハラスメントなどが発生しないようコンプライアンスの強化にも努めてまいります。