有価証券届出書(新規公開時)
有報資料
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「人の可能性を引き出し 才能を最適に配置することで 新産業を創出し続ける。」というミッションを掲げ、人の創造性と生産性を最大化させる配置(労働市場におけるマッチングだけでなく、組織内における人員配置も含む概念)による新産業創出をとおして、停滞・衰退に抗い常に革新し続ける社会づくりを目指し、新産業領域における人材創出事業として「新産業領域における才能の最適配置を目指すプラットフォーム」を提供しております。「人の可能性を引き出す」とは、キャリア支援・メディア開発・採用支援のみならず、組織におけるダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(注)1の推進やリカレント教育(注)2・人材育成等も含む概念であります。また、「才能の最適配置」とは、新卒学生や若手社会人の就業機会にとどまらず、デジタル人材の不足や女性経営人材の不足、社外取締役の不足、若手の早期離職、中小企業における経営承継等の労働市場の歪みを対象とした概念であります。そして、「新産業創出」とは、人材・デジタル・グリーン(注)3・サステナビリティ(注)4等の様々なトランスフォーメーション(変革)によって持続可能な社会を実現するために行われる企業活動を対象とした概念であります。
当社グループは、年功序列や終身雇用を中心とした伝統的な雇用慣行や求職者のブランド選好の強さにより人手不足が続く新産業領域の企業に対して、新産業領域への挑戦意欲の高い新卒学生を発掘・育成し、最適なマッチングを提供する厳選就活プラットフォーム「Goodfind」の運営を2006年に開始してから本書提出日現在に至るまで、新卒学生の行動変容を生み出し新産業領域でのキャリア機会を創出するとともに、新産業領域の企業に対する新卒学生の人材供給に注力してまいりました。
また、新しいものを形づくる人たち(Shapers:シェイパーズ)のコミュニティを軸として新しい産業を生み出す新産業ビルダーとなることで、「新産業領域における人材創出のリーディングカンパニーとなる。」ことをビジョンとして掲げており、新産業領域に挑戦する人と組織を支援する立場であると同時に、当社グループとしても、新産業領域における人材創出企業として日本を代表する存在となることを目指します。
(注)1.「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」とは、企業、学校、自治体等の組織における社会の多様性(ダイバーシティ:Diversity)、公平性(エクイティ:Equity)、包摂性(インクルージョン:Inclusion)を高めるための取り組みのことを言い、DE&Iと略します。
2.「リカレント教育」とは、社会人が教育機関に入り直して改めて教育を受けるということ及びそのような活動を支援する制度や取り組み、考え方のことを言います。
3.「グリーン」とは、経済産業省が策定し、2020年12月に公表した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において選定された14の重要分野を言い、洋上風力産業、燃料アンモニア産業、水素産業、原子力産業、自動車・蓄電池産業、半導体・情報通信産業、船舶産業、物流・人流・土木インフラ産業、食料・農林水産業、航空機産業、カーボンリサイクル産業、住宅・建築物産業/次世代型太陽光産業、資源循環関連産業、ライフスタイル関連産業であります。
4.「サステナビリティ」とは、持続可能性を意味し、自然環境や人間社会等が長期にわたって機能やシステムを失わずに、良好な状態を維持させようとする考え方であります。
(2)経営戦略等
① 基本戦略
当社グループは、上記の経営方針の下、人にまつわる市場における歪みを解消し続けることを基本戦略としております。人にまつわる市場の歪みとは、就職・転職におけるブランド選好が強すぎることで起こる新産業領域における人材不足や、年功序列・終身雇用を中心とした日本の伝統的な雇用慣行から生まれる人材の流動性の低さによるキャリア機会の喪失などが挙げられます。日本の労働市場においては歪みが大きく存在しており、歪みを解消し続けることが当社グループの事業機会となり、長期的な事業成長を生み出すと考えています。そうした歪みを解消するためのアプローチとして、新産業領域における企業への支援により獲得される組織の在り方に関する知見とフィットする人材の理解力と活用力を生かし、「人」を軸とした事業展開を行っております。キャリアサービス分野においては、新卒、中途及び長期インターンの各領域において、人手不足が続く新産業領域の企業に対して、新産業領域への挑戦意欲の高い人材を発掘・育成し、最適なマッチングを提供しております。メディア・SaaS分野においては、新産業領域の企業の情報を整理・発信することで新産業領域に興味・関心を持つ人を増やすためのビジネスメディア「FastGrow」や、育成や組織活性をとおして人と組織の成長支援を目指すSaaS型HRサービス「TeamUp」を提供しております。
② 中期成長戦略
当社グループは、上記基本戦略の下、次のとおり中期成長戦略として、顧客数及び顧客単価の継続的な拡大を基本としながら、プラットフォーム型・プロダクト型の強化、人の可能性を引き出す組織づくりの実践と商材化の3つを重点成長戦略としております。
ⅰ.顧客数及び顧客単価の拡大
デジタルやグリーン、サステナビリティ等の変革を志向する大企業を含め、新産業領域の企業のカバー範囲を広げることで顧客数の拡大を図ります。また、人にまつわる市場の歪みを起点とした新規事業分野及び新規プロダクト・サービスの展開により顧客企業1社に対して提供できる価値の総量を増やすことで、顧客単価の拡大を図ります。なお、当社グループの顧客数及び顧客単価の推移は次のとおりであります。
ⅱ.プラットフォーム型・プロダクト型の強化
「FastGrow」をプラットフォーム型プロダクトとして強化し、月額利用課金やコンテンツ課金等の新たな収益機会の獲得を図ります。また、コンテンツの動画ライブラリ化・アセット化により、労働集約性を低減し、企業向け研修や人事支援のプロダクトの開発を検討いたします。
ⅲ.人の可能性を引き出す組織づくりの実践と商材化
一人ひとりの成長・学習支援及びキャリア支援を強化する仕組みの自社実践を継続的に行い、顧客企業への展開を検討いたします。また、組織カルチャーの浸透や1on1による対話、フルリモートワーク等柔軟な働き方の実現等による、多様な人材が活躍できる組織づくりを強化いたします。
(3)経営環境
① 企業構造
本書提出日現在、当社グループは当社及び連結子会社1社(チームアップ株式会社)によって構成されております。また、「Goodfind」、「FactLogic」、「Intern Street」、「Goodfind Career」及び「FastGrow」は当社が、「TeamUp」はチームアップ株式会社が運営しております。なお、報告セグメントは新産業領域における人材創出事業の単一の報告セグメントであります。
② 対象市場の状況
当社グループは、新産業領域に関連する市場及び人材トランスフォーメーション(注)5に関連する市場において事業を行っております。当社グループは、日本の労働市場において、伝統的な雇用慣行や就職観念、人事・組織制度等により、 40代以降に差が生まれるキャリアトラックとなる傾向に着目し、 経営人材としての可能性を早期に発掘及び開発し、20代・30代で経営人材になれるキャリア機会を創出することで、人材トランスフォーメーションを推進しております。人材トランスフォーメーションに関連する市場としては、人材関連ビジネス市場、教育産業全体市場及びHRTech市場が含まれますが、主にキャリアサービス分野における各事業が属する人材関連ビジネス市場が対象市場であり、さらに当社グループの主要サービスである「Goodfind」は新卒採用関連市場を対象市場としております。「人材ビジネスの現状と展望 2020年版 PART1 総合編」(株式会社矢野経済研究所、2020年)によると、人材関連ビジネスは5市場(人材派遣業、人材紹介業、再就職支援業、ネット転職情報サービス、アルバイト・パート・派遣求人情報サービス)に分類されておりますが、当社グループは主に、人材紹介業及びネット転職情報サービスを対象市場とした事業を行っております。また、新産業領域に関連する市場としては、当社グループがターゲットとしている新産業領域の企業について、主要顧客はスタートアップ・ベンチャー企業となっており、スタートアップ・ベンチャー企業を取り巻く環境についても、当社グループが影響を受ける市場であります。
(注)5.「人材トランスフォーメーション」とは、組織における人材の持つ価値を最大限引き出すために行う採用、配置、育成、文化浸透等の組織施策における変革と当社で定義しております。
ⅰ.人材関連ビジネス市場及び新卒採用関連市場の状況
「人材ビジネスの現状と展望 2020年版 PART1 総合編」(株式会社矢野経済研究所、2020年)及び「新卒採用支援市場の現状と展望 2021年版」(株式会社矢野経済研究所、2021年)によると、2021年度の新卒採用関連市場の市場規模は1,234億円となる予測であります。人材関連ビジネス(人材派遣業、人材紹介業、再就職支援業、ネット転職情報サービス、アルバイト・パート・派遣求人情報サービス)の市場規模については、2019年度までは継続的な成長を続けてきておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年度は再就職支援業を除いてマイナス成長となり、さらに2021年度までは停滞が継続し、2022年度以降に回復基調に転じるものと予測されております。
人材関連ビジネス市場全体としては減退傾向となる一方で、オンライン化の進展により働く場所を問わない就業スタイルの浸透が進み、これまで地理的制約から就業機会がなかった求職者にとっては新たな就業機会を獲得する契機となり、新しい就業スタイルへの変化の適応力が高いベンチャー・スタートアップ企業を中心とした新産業領域の企業にとっては、人材獲得機会を増加させる環境変化となっていると考えております。また、人材関連サービスを提供する事業者においては各種サービスやコンテンツのオンライン化、求人企業においては採用活動における企業説明会や面接等のオンライン化が進んだことで、求職者にとってもオンラインでの採用活動がメインとなりました。これは、特に地方に居住する新卒学生にとっては就職活動における機会の格差を解消することとなり、従来に比べて就業機会を多く得られる環境となりました。また、求人企業にとっても、地方に居住する人材へのアプローチが可能となり、より多くの候補者と接点を持つことが可能となりました。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により急速に進んだデジタル化は、デジタル領域でサービスを提供するDX・SaaS関連企業(注)6にとって大きな事業機会となり、事業成長を後押しする環境となりました。その結果、DX・SaaS関連企業における求人ニーズは、人材関連ビジネス市場全体の減退傾向に反して高まっているものと考えております。
(注)6.「DX・SaaS関連企業」とは、テクノロジーや情報システム、AIやロボティクスの活用、メディア運営等のITを活用した課題解決を事業とする会社及びこれらの会社に対するサービス提供を行う会社と当社で定義しております。
[市場規模の推移]
(出所:株式会社矢野経済研究所「人材ビジネスの現状と展望 2020年版 PART1 総合編」)
(出所:株式会社矢野経済研究所「新卒採用支援市場の現状と展望 2021年版」)
ⅱ.スタートアップ・ベンチャー企業を取り巻く状況
新産業領域の企業の中でも、スタートアップ・ベンチャー企業を取り巻く環境としては、2016年4月に日本経済再生本部が決定した「ベンチャー・チャレンジ2020」や、2019年6月に閣議決定された「成長戦略実行計画」の中でもSociety5.0(サイバー空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会)という形で表現されているように、官民で産業の新陳代謝を促進する取組がなされております。2018年6月には経済産業省・日本貿易振興機構(JETRO)・新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が事務局となり官民によるスタートアップ支援プログラム「J-Startup」もスタートしました。新規IPO件数(東京証券取引所マザーズ及びJASDAQの合計件数)は、株式会社日本取引所グループがHPで公表する「新規上場基本情報」によると、2016年68社、2017年67社、2018年77社、2019年69社、2020年77社と推移しております。また、一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンターが公表した「2020年のVC動向 日本・米国・中国との比較」によると、ベンチャーキャピタルの国内投資金額は、2020年1月~12月で1,512億円と、米国166,775億円、中国30,232億円に比べると低い状況が続いており、また、2020年の日本のベンチャーキャピタルファンド組成額は4,581億円と、2019年の3,573億円と比較して1,008億円(28.2%)増加していることから、2021年以降におけるベンチャーキャピタル投資の拡大を示唆するものとして、今後一層のスタートアップの活動の広がりが期待できるとされております。このように、日本市場の潜在的成長性は十二分にあり、今後もスタートアップ・ベンチャー企業が誕生しやすくかつ成長を促進できる環境を整備することができれば、日本のスタートアップ・ベンチャー企業が増加する可能性を秘めております。
以上のように、新産業領域の企業に関連する市場が年々拡大する一方で、人口減少・少子高齢化による労働力不足の流れ、デジタル化及びテクノロジー(AI・Robotics等)による産業革新の流れ、機械による失業への対応(再教育・再配置、独立支援)が求められております。また、2020年9月に経済産業省より発表された「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書~人材版伊藤レポート~」にもあるように、持続的な企業価値向上に向けて人的資本及び人材戦略の重要性は高まる一方であり、多くの日本企業にとって人的資本の最適化及び新しい事業・産業の創造は重要性の高いテーマとなります。
③ 競合他社に対する競争優位性
新卒学生向け厳選就活プラットフォーム「Goodfind」が当社グループの主要サービスであり、「Goodfind」のビジネスモデルが競争優位性の源泉となります。「Goodfind」ではこれまで、挑戦意欲・成長志向の高い新卒学生とベンチャー企業のマッチングを行ってきましたが、これを行うためには学生に対してベンチャー企業への興味喚起を行うこと及び成長可能性の高いベンチャー企業を厳選することが必要となります。しかしながら、社会人経験がなく就職活動により得られる様々な情報により志向性が日々変化する学生に行動変容を生み出し、ベンチャー企業へ興味喚起することは困難であり、かつ数ある企業の中から成長可能性の高いベンチャー企業を厳選してマッチングすることはさらに困難となります。「Goodfind」では、3つのケイパビリティ(顧客の目利き力/行動変容を生み出す力/マッチング力)へ注力することにより、競合他社に対する競争優位性を高めております。
ⅰ.顧客の目利き力
ベンチャー企業を中心とした過去の取引実績から、新産業領域において構築された情報取得のネットワークにより、成長性の高い新産業領域の企業を厳選して開拓しております。
ⅱ.行動変容を生み出す力
社会人経験がなく就職活動により得られる様々な情報により志向性が日々変化する学生に対して、ブランドイメージ等により企業を選好する等のバイアスを取り除くコンテクスト及びコンテンツを、メディアによる情報提供に加えて、インキュベーションパートナーによる個別面談やセミナー・イベント等を通じて伝えることで、行動変容を生み出しております。なお、2021年卒学生向けに開催したセミナー及びイベントは累計4,264回、個別面談は5,028名に対して実施いたしました。
ⅲ.マッチング力
顧客の目利き力によって厳選された新産業領域の企業と、行動変容を生み出す力により形成された挑戦意欲・成長志向の高い学生とを、「プロダクト(Goodfind)」と「人材」による複合的な価値提供を行うことで適切なマッチングを生み出すことが可能となります。
④ 顧客基盤
当社グループの顧客基盤は、主にベンチャー企業で構成されております。さらに、今後の市場規模の拡大が見込まれ、成長性の高いDX・SaaS関連市場において事業を展開するDX・SaaS関連企業が主要顧客となります。2021年2月期の「Goodfind」の取引社数245社のうち、188社(76.7%)がDX・SaaS関連企業であります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、新産業領域における人材創出のリーディングカンパニーを目指し、付加価値の指標として営業利益及び売上高営業利益率の継続的成長を重視しております。当社グループのミッションを実現するためには、M&Aを含めた新規サービスの開発・育成への積極的な投資を継続することが必要だと考えております。そのために、キャリアサービス分野やメディア・SasS分野、企業向け新サービス分野等を継続的に成長させ、投資に必要な資金を確保することが重要であると認識しております。以上の理由から、当社グループはこれらを総合的に反映する営業利益及び売上高営業利益率を重要な経営指標とし、その継続的な成長を重視しております。
(5)優先的に対処すべき事業上の課題及び財務上の課題
当社グループでは、今後の事業拡大及び継続的成長のために、優先的に対処すべき事業上の課題を以下のとおり認識しております。これら課題に対処するために、継続的な顧客企業開拓やサービスの開発・改良による顧客企業満足度向上、人材の育成・採用、内部管理体制の強化等を進めることで、ステークホルダーとの信頼関係を継続的に高め、企業価値向上に努めてまいります。なお、優先的に対処すべき財務上の課題は、本書提出日現在において識別されておりません。
① キャリアサービス分野の強化
キャリアサービス分野における各サービスの継続的成長が、当社グループの持続可能な成長の土台になると考えております。
これまで、新産業領域の企業への支援により獲得される組織の在り方に関する知見とフィットする人材の理解力と活用力を価値源泉として競争力を高め、規模を拡大してまいりました。今後も、新産業領域に関連する市場が年々拡大する一方で、人口減少・少子高齢化による労働力不足の流れ、デジタル化及びテクノロジー(AI・Robotics等)による産業革新の流れ、機械による失業への対応(再教育・再配置、独立支援)の必要性が高まることで生まれる事業機会は豊富にあり、継続的な成長が可能であると考えております。
今後、キャリアサービス分野における人材を継続的に採用していくとともに、展開サービスの拡充や新産業領域の企業の顧客層を拡張することで、さらにキャリアサービス分野を成長させてまいります。
② 新規サービスの開発・育成
当社グループは、顧客企業である新産業領域の企業の課題解決を行うため、常に新たなサービスを開発・育成しております。現時点では、1on1及び360度フィードバックシステムをSaaS型で提供するHRサービス「TeamUp」や若手イノベーション人材向けビジネスメディア「FastGrow」を中心に、新規サービスの開発を推進しております。
今後も新産業領域に関連する市場の拡大が見込まれるなか、確実に事業機会を捉え、次々と市場に求められるサービスを生み出してまいります。
(1)経営方針
当社グループは、「人の可能性を引き出し 才能を最適に配置することで 新産業を創出し続ける。」というミッションを掲げ、人の創造性と生産性を最大化させる配置(労働市場におけるマッチングだけでなく、組織内における人員配置も含む概念)による新産業創出をとおして、停滞・衰退に抗い常に革新し続ける社会づくりを目指し、新産業領域における人材創出事業として「新産業領域における才能の最適配置を目指すプラットフォーム」を提供しております。「人の可能性を引き出す」とは、キャリア支援・メディア開発・採用支援のみならず、組織におけるダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(注)1の推進やリカレント教育(注)2・人材育成等も含む概念であります。また、「才能の最適配置」とは、新卒学生や若手社会人の就業機会にとどまらず、デジタル人材の不足や女性経営人材の不足、社外取締役の不足、若手の早期離職、中小企業における経営承継等の労働市場の歪みを対象とした概念であります。そして、「新産業創出」とは、人材・デジタル・グリーン(注)3・サステナビリティ(注)4等の様々なトランスフォーメーション(変革)によって持続可能な社会を実現するために行われる企業活動を対象とした概念であります。
当社グループは、年功序列や終身雇用を中心とした伝統的な雇用慣行や求職者のブランド選好の強さにより人手不足が続く新産業領域の企業に対して、新産業領域への挑戦意欲の高い新卒学生を発掘・育成し、最適なマッチングを提供する厳選就活プラットフォーム「Goodfind」の運営を2006年に開始してから本書提出日現在に至るまで、新卒学生の行動変容を生み出し新産業領域でのキャリア機会を創出するとともに、新産業領域の企業に対する新卒学生の人材供給に注力してまいりました。
また、新しいものを形づくる人たち(Shapers:シェイパーズ)のコミュニティを軸として新しい産業を生み出す新産業ビルダーとなることで、「新産業領域における人材創出のリーディングカンパニーとなる。」ことをビジョンとして掲げており、新産業領域に挑戦する人と組織を支援する立場であると同時に、当社グループとしても、新産業領域における人材創出企業として日本を代表する存在となることを目指します。
(注)1.「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」とは、企業、学校、自治体等の組織における社会の多様性(ダイバーシティ:Diversity)、公平性(エクイティ:Equity)、包摂性(インクルージョン:Inclusion)を高めるための取り組みのことを言い、DE&Iと略します。
2.「リカレント教育」とは、社会人が教育機関に入り直して改めて教育を受けるということ及びそのような活動を支援する制度や取り組み、考え方のことを言います。
3.「グリーン」とは、経済産業省が策定し、2020年12月に公表した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において選定された14の重要分野を言い、洋上風力産業、燃料アンモニア産業、水素産業、原子力産業、自動車・蓄電池産業、半導体・情報通信産業、船舶産業、物流・人流・土木インフラ産業、食料・農林水産業、航空機産業、カーボンリサイクル産業、住宅・建築物産業/次世代型太陽光産業、資源循環関連産業、ライフスタイル関連産業であります。
4.「サステナビリティ」とは、持続可能性を意味し、自然環境や人間社会等が長期にわたって機能やシステムを失わずに、良好な状態を維持させようとする考え方であります。
(2)経営戦略等
① 基本戦略
当社グループは、上記の経営方針の下、人にまつわる市場における歪みを解消し続けることを基本戦略としております。人にまつわる市場の歪みとは、就職・転職におけるブランド選好が強すぎることで起こる新産業領域における人材不足や、年功序列・終身雇用を中心とした日本の伝統的な雇用慣行から生まれる人材の流動性の低さによるキャリア機会の喪失などが挙げられます。日本の労働市場においては歪みが大きく存在しており、歪みを解消し続けることが当社グループの事業機会となり、長期的な事業成長を生み出すと考えています。そうした歪みを解消するためのアプローチとして、新産業領域における企業への支援により獲得される組織の在り方に関する知見とフィットする人材の理解力と活用力を生かし、「人」を軸とした事業展開を行っております。キャリアサービス分野においては、新卒、中途及び長期インターンの各領域において、人手不足が続く新産業領域の企業に対して、新産業領域への挑戦意欲の高い人材を発掘・育成し、最適なマッチングを提供しております。メディア・SaaS分野においては、新産業領域の企業の情報を整理・発信することで新産業領域に興味・関心を持つ人を増やすためのビジネスメディア「FastGrow」や、育成や組織活性をとおして人と組織の成長支援を目指すSaaS型HRサービス「TeamUp」を提供しております。
② 中期成長戦略
当社グループは、上記基本戦略の下、次のとおり中期成長戦略として、顧客数及び顧客単価の継続的な拡大を基本としながら、プラットフォーム型・プロダクト型の強化、人の可能性を引き出す組織づくりの実践と商材化の3つを重点成長戦略としております。
ⅰ.顧客数及び顧客単価の拡大
デジタルやグリーン、サステナビリティ等の変革を志向する大企業を含め、新産業領域の企業のカバー範囲を広げることで顧客数の拡大を図ります。また、人にまつわる市場の歪みを起点とした新規事業分野及び新規プロダクト・サービスの展開により顧客企業1社に対して提供できる価値の総量を増やすことで、顧客単価の拡大を図ります。なお、当社グループの顧客数及び顧客単価の推移は次のとおりであります。
| 2019年2月期 | 2020年2月期 | 2021年2月期 | |
| 顧客数(社) | 442 | 491 | 431 |
| 顧客単価(千円) | 2,489 | 2,970 | 3,041 |
ⅱ.プラットフォーム型・プロダクト型の強化
「FastGrow」をプラットフォーム型プロダクトとして強化し、月額利用課金やコンテンツ課金等の新たな収益機会の獲得を図ります。また、コンテンツの動画ライブラリ化・アセット化により、労働集約性を低減し、企業向け研修や人事支援のプロダクトの開発を検討いたします。
ⅲ.人の可能性を引き出す組織づくりの実践と商材化
一人ひとりの成長・学習支援及びキャリア支援を強化する仕組みの自社実践を継続的に行い、顧客企業への展開を検討いたします。また、組織カルチャーの浸透や1on1による対話、フルリモートワーク等柔軟な働き方の実現等による、多様な人材が活躍できる組織づくりを強化いたします。
(3)経営環境
① 企業構造
本書提出日現在、当社グループは当社及び連結子会社1社(チームアップ株式会社)によって構成されております。また、「Goodfind」、「FactLogic」、「Intern Street」、「Goodfind Career」及び「FastGrow」は当社が、「TeamUp」はチームアップ株式会社が運営しております。なお、報告セグメントは新産業領域における人材創出事業の単一の報告セグメントであります。
② 対象市場の状況
当社グループは、新産業領域に関連する市場及び人材トランスフォーメーション(注)5に関連する市場において事業を行っております。当社グループは、日本の労働市場において、伝統的な雇用慣行や就職観念、人事・組織制度等により、 40代以降に差が生まれるキャリアトラックとなる傾向に着目し、 経営人材としての可能性を早期に発掘及び開発し、20代・30代で経営人材になれるキャリア機会を創出することで、人材トランスフォーメーションを推進しております。人材トランスフォーメーションに関連する市場としては、人材関連ビジネス市場、教育産業全体市場及びHRTech市場が含まれますが、主にキャリアサービス分野における各事業が属する人材関連ビジネス市場が対象市場であり、さらに当社グループの主要サービスである「Goodfind」は新卒採用関連市場を対象市場としております。「人材ビジネスの現状と展望 2020年版 PART1 総合編」(株式会社矢野経済研究所、2020年)によると、人材関連ビジネスは5市場(人材派遣業、人材紹介業、再就職支援業、ネット転職情報サービス、アルバイト・パート・派遣求人情報サービス)に分類されておりますが、当社グループは主に、人材紹介業及びネット転職情報サービスを対象市場とした事業を行っております。また、新産業領域に関連する市場としては、当社グループがターゲットとしている新産業領域の企業について、主要顧客はスタートアップ・ベンチャー企業となっており、スタートアップ・ベンチャー企業を取り巻く環境についても、当社グループが影響を受ける市場であります。
(注)5.「人材トランスフォーメーション」とは、組織における人材の持つ価値を最大限引き出すために行う採用、配置、育成、文化浸透等の組織施策における変革と当社で定義しております。
ⅰ.人材関連ビジネス市場及び新卒採用関連市場の状況
「人材ビジネスの現状と展望 2020年版 PART1 総合編」(株式会社矢野経済研究所、2020年)及び「新卒採用支援市場の現状と展望 2021年版」(株式会社矢野経済研究所、2021年)によると、2021年度の新卒採用関連市場の市場規模は1,234億円となる予測であります。人材関連ビジネス(人材派遣業、人材紹介業、再就職支援業、ネット転職情報サービス、アルバイト・パート・派遣求人情報サービス)の市場規模については、2019年度までは継続的な成長を続けてきておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年度は再就職支援業を除いてマイナス成長となり、さらに2021年度までは停滞が継続し、2022年度以降に回復基調に転じるものと予測されております。
人材関連ビジネス市場全体としては減退傾向となる一方で、オンライン化の進展により働く場所を問わない就業スタイルの浸透が進み、これまで地理的制約から就業機会がなかった求職者にとっては新たな就業機会を獲得する契機となり、新しい就業スタイルへの変化の適応力が高いベンチャー・スタートアップ企業を中心とした新産業領域の企業にとっては、人材獲得機会を増加させる環境変化となっていると考えております。また、人材関連サービスを提供する事業者においては各種サービスやコンテンツのオンライン化、求人企業においては採用活動における企業説明会や面接等のオンライン化が進んだことで、求職者にとってもオンラインでの採用活動がメインとなりました。これは、特に地方に居住する新卒学生にとっては就職活動における機会の格差を解消することとなり、従来に比べて就業機会を多く得られる環境となりました。また、求人企業にとっても、地方に居住する人材へのアプローチが可能となり、より多くの候補者と接点を持つことが可能となりました。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により急速に進んだデジタル化は、デジタル領域でサービスを提供するDX・SaaS関連企業(注)6にとって大きな事業機会となり、事業成長を後押しする環境となりました。その結果、DX・SaaS関連企業における求人ニーズは、人材関連ビジネス市場全体の減退傾向に反して高まっているものと考えております。
(注)6.「DX・SaaS関連企業」とは、テクノロジーや情報システム、AIやロボティクスの活用、メディア運営等のITを活用した課題解決を事業とする会社及びこれらの会社に対するサービス提供を行う会社と当社で定義しております。
[市場規模の推移]
(出所:株式会社矢野経済研究所「人材ビジネスの現状と展望 2020年版 PART1 総合編」)
(出所:株式会社矢野経済研究所「新卒採用支援市場の現状と展望 2021年版」)ⅱ.スタートアップ・ベンチャー企業を取り巻く状況
新産業領域の企業の中でも、スタートアップ・ベンチャー企業を取り巻く環境としては、2016年4月に日本経済再生本部が決定した「ベンチャー・チャレンジ2020」や、2019年6月に閣議決定された「成長戦略実行計画」の中でもSociety5.0(サイバー空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会)という形で表現されているように、官民で産業の新陳代謝を促進する取組がなされております。2018年6月には経済産業省・日本貿易振興機構(JETRO)・新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が事務局となり官民によるスタートアップ支援プログラム「J-Startup」もスタートしました。新規IPO件数(東京証券取引所マザーズ及びJASDAQの合計件数)は、株式会社日本取引所グループがHPで公表する「新規上場基本情報」によると、2016年68社、2017年67社、2018年77社、2019年69社、2020年77社と推移しております。また、一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンターが公表した「2020年のVC動向 日本・米国・中国との比較」によると、ベンチャーキャピタルの国内投資金額は、2020年1月~12月で1,512億円と、米国166,775億円、中国30,232億円に比べると低い状況が続いており、また、2020年の日本のベンチャーキャピタルファンド組成額は4,581億円と、2019年の3,573億円と比較して1,008億円(28.2%)増加していることから、2021年以降におけるベンチャーキャピタル投資の拡大を示唆するものとして、今後一層のスタートアップの活動の広がりが期待できるとされております。このように、日本市場の潜在的成長性は十二分にあり、今後もスタートアップ・ベンチャー企業が誕生しやすくかつ成長を促進できる環境を整備することができれば、日本のスタートアップ・ベンチャー企業が増加する可能性を秘めております。
以上のように、新産業領域の企業に関連する市場が年々拡大する一方で、人口減少・少子高齢化による労働力不足の流れ、デジタル化及びテクノロジー(AI・Robotics等)による産業革新の流れ、機械による失業への対応(再教育・再配置、独立支援)が求められております。また、2020年9月に経済産業省より発表された「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書~人材版伊藤レポート~」にもあるように、持続的な企業価値向上に向けて人的資本及び人材戦略の重要性は高まる一方であり、多くの日本企業にとって人的資本の最適化及び新しい事業・産業の創造は重要性の高いテーマとなります。
③ 競合他社に対する競争優位性
新卒学生向け厳選就活プラットフォーム「Goodfind」が当社グループの主要サービスであり、「Goodfind」のビジネスモデルが競争優位性の源泉となります。「Goodfind」ではこれまで、挑戦意欲・成長志向の高い新卒学生とベンチャー企業のマッチングを行ってきましたが、これを行うためには学生に対してベンチャー企業への興味喚起を行うこと及び成長可能性の高いベンチャー企業を厳選することが必要となります。しかしながら、社会人経験がなく就職活動により得られる様々な情報により志向性が日々変化する学生に行動変容を生み出し、ベンチャー企業へ興味喚起することは困難であり、かつ数ある企業の中から成長可能性の高いベンチャー企業を厳選してマッチングすることはさらに困難となります。「Goodfind」では、3つのケイパビリティ(顧客の目利き力/行動変容を生み出す力/マッチング力)へ注力することにより、競合他社に対する競争優位性を高めております。
ⅰ.顧客の目利き力
ベンチャー企業を中心とした過去の取引実績から、新産業領域において構築された情報取得のネットワークにより、成長性の高い新産業領域の企業を厳選して開拓しております。
ⅱ.行動変容を生み出す力
社会人経験がなく就職活動により得られる様々な情報により志向性が日々変化する学生に対して、ブランドイメージ等により企業を選好する等のバイアスを取り除くコンテクスト及びコンテンツを、メディアによる情報提供に加えて、インキュベーションパートナーによる個別面談やセミナー・イベント等を通じて伝えることで、行動変容を生み出しております。なお、2021年卒学生向けに開催したセミナー及びイベントは累計4,264回、個別面談は5,028名に対して実施いたしました。
ⅲ.マッチング力
顧客の目利き力によって厳選された新産業領域の企業と、行動変容を生み出す力により形成された挑戦意欲・成長志向の高い学生とを、「プロダクト(Goodfind)」と「人材」による複合的な価値提供を行うことで適切なマッチングを生み出すことが可能となります。
④ 顧客基盤
当社グループの顧客基盤は、主にベンチャー企業で構成されております。さらに、今後の市場規模の拡大が見込まれ、成長性の高いDX・SaaS関連市場において事業を展開するDX・SaaS関連企業が主要顧客となります。2021年2月期の「Goodfind」の取引社数245社のうち、188社(76.7%)がDX・SaaS関連企業であります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、新産業領域における人材創出のリーディングカンパニーを目指し、付加価値の指標として営業利益及び売上高営業利益率の継続的成長を重視しております。当社グループのミッションを実現するためには、M&Aを含めた新規サービスの開発・育成への積極的な投資を継続することが必要だと考えております。そのために、キャリアサービス分野やメディア・SasS分野、企業向け新サービス分野等を継続的に成長させ、投資に必要な資金を確保することが重要であると認識しております。以上の理由から、当社グループはこれらを総合的に反映する営業利益及び売上高営業利益率を重要な経営指標とし、その継続的な成長を重視しております。
(5)優先的に対処すべき事業上の課題及び財務上の課題
当社グループでは、今後の事業拡大及び継続的成長のために、優先的に対処すべき事業上の課題を以下のとおり認識しております。これら課題に対処するために、継続的な顧客企業開拓やサービスの開発・改良による顧客企業満足度向上、人材の育成・採用、内部管理体制の強化等を進めることで、ステークホルダーとの信頼関係を継続的に高め、企業価値向上に努めてまいります。なお、優先的に対処すべき財務上の課題は、本書提出日現在において識別されておりません。
① キャリアサービス分野の強化
キャリアサービス分野における各サービスの継続的成長が、当社グループの持続可能な成長の土台になると考えております。
これまで、新産業領域の企業への支援により獲得される組織の在り方に関する知見とフィットする人材の理解力と活用力を価値源泉として競争力を高め、規模を拡大してまいりました。今後も、新産業領域に関連する市場が年々拡大する一方で、人口減少・少子高齢化による労働力不足の流れ、デジタル化及びテクノロジー(AI・Robotics等)による産業革新の流れ、機械による失業への対応(再教育・再配置、独立支援)の必要性が高まることで生まれる事業機会は豊富にあり、継続的な成長が可能であると考えております。
今後、キャリアサービス分野における人材を継続的に採用していくとともに、展開サービスの拡充や新産業領域の企業の顧客層を拡張することで、さらにキャリアサービス分野を成長させてまいります。
② 新規サービスの開発・育成
当社グループは、顧客企業である新産業領域の企業の課題解決を行うため、常に新たなサービスを開発・育成しております。現時点では、1on1及び360度フィードバックシステムをSaaS型で提供するHRサービス「TeamUp」や若手イノベーション人材向けビジネスメディア「FastGrow」を中心に、新規サービスの開発を推進しております。
今後も新産業領域に関連する市場の拡大が見込まれるなか、確実に事業機会を捉え、次々と市場に求められるサービスを生み出してまいります。