有価証券報告書-第65期(2023/01/01-2023/12/31)

【提出】
2024/03/29 14:50
【資料】
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【項目】
154項目

研究開発活動

当社グループは、培った技術力に更に磨きをかけ、より一層高度な信頼性、安全性、機能性を追求することにより、競争力に優れる新製品の開発を推進しております。
当社グループの研究開発は全て当社が行っており、当連結会計年度末時点の人員は57名であります。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は737百万円であります。
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(1) リード端子事業
小型アルミ電解コンデンサに対する小型化、耐振性、低漏れ電流等の要求水準が高くなっていることを受け、その主要部品であるリード端子の技術開発品等の機能強化と溶接・プレス形状の品質向上を推進してまいりました。
特に、自動車の電装化が進み、小型アルミ電解コンデンサに対する耐振性、低漏れ電流等の要求水準が高くなっていることを受け、低ESR・低漏れ電流・高リプル電流許容に優れているハイブリッドタイプ(電解質が液体と固体の複層)のコンデンサが車載市場を中心に特性を高く評価され、年々増産されております。
その主要部品であるリード端子について、ハイブリッドタイプ向けを中心に、バリレス品、丸目品、漏れ電流低減に寄与する技術開発品等の機能強化と溶接・プレス形状の品質向上を推進してまいります。更なる技術の向上と品質向上を図るべく、継続した製品開発の推進を進めております。アルミ電解コンデンサメーカー各社と技術会議を開催し、市場要求に対応した製品の開発と量産化を推進し、付加価値向上を進めてまいります。
また、電気二重層キャパシタ(EDLC)用リード端子の技術開発・品質高度化への対応を強化してまいります。
なお、リード端子事業において、研究開発費として計上した金額は108百万円であります。
具体的なテーマは次のとおりであります。
・異種金属の新しい溶接技術の開発(レーザ溶接)
・プレス厚みバラツキ低減金型技術の開発(コンデンサ性能の向上)
(2) 光部品・デバイス事業
顧客のプラットフォーム作りや新しい技術提唱の機会に関わって、光ファイバ通信の光ファイバ多芯化やマルチコアファイバ化に対応した光部品、及び光デバイスの研究開発に取り組んでおります。また、当社が長年培ったコア技術を発展させたユニークな新製品を提唱することに努めております。さらに、大学等の研究機関との共同研究により、新たな製品の開発や技術の創造に取り組んでまいります。光部品・デバイス事業における研究開発費の総額は、628百万円であります。
具体的なテーマは次のとおりであります。
・光部品:高速光モジュールをターゲットとした多芯光ファイバアレイ(*1)
・光デバイス:海底ケーブルの高速大容量化をターゲットとした高信頼性光デバイス
マルチコアファイバと関連した光デバイス
シリコンフォトニクスと関連した次世代光デバイス
・石英ガラス製品:製造技術SSG®(*2)を用いた高純度石英ガラス部品
・技術開発:デジタルホログラフィ干渉法(*3)の応用


光部品・デバイス事業の当連結会計年度における研究開発成果は次のとおりであります。
a. 光デバイス
海底ケーブルのマルチコアファイバ光海底中継器用として求められる性能に応じた「4コアファイバ用光アイソレータ」の開発成果を国際会議で発表しました。
また、産業技術総合研究所と共同開発の次世代のマルチコアファイバを用いた情報通信向けの「シリコンフォトニクス光スイッチを用いた4芯マルチコアファイバ(MCF)用のコア間スイッチングモジュール」の開発成果を国際会議で発表しました。
b. 石英ガラス製品
高純度石英ガラス製品の製造技術 SSG®を用いた従来にない高密度に配置された多孔形状、及び切削加工では実現が難しい断面形状等の特殊プリフォームの製造装置の特許を国際出願しました。
また、厚み0.5mm極薄フライアイ・レンズや微細孔(Φ50μm)加工技術等、自由度の高い形状である高純度石英ガラスの部品であることを各種の展示会で発表しました。
c. 技術開発
レーザー光を用いた3次元計測手法の1つである「デジタルホログラフィによる計測技術」を国際会議で共著発表しました。
(用語解説)
項番用語意味・内容
1多芯光ファイバアレイ2本以上の光ファイバの端末を整列加工した製品。
2製造技術 SSG®湖北工業が確立した高純度石英ガラス製品の製造技術。
形状の自由度が極めて高いといった利点を持ち、従来の切削加工
等では困難な複雑形状の高純度石英ガラス成型部品を実現。
3デジタルホログラフィ干渉法レーザー光とデジタル画像とを組み合わせた3次元計測手法のひとつで、3次元のイメージング技術。