有価証券報告書-第10期(2024/10/01-2025/09/30)
有報資料
当社グループにおける経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、顧客の課題を解決する適切なDXの推進によって、様々な業界から社会を変革しようとする顧客の挑戦を支え、顧客の競争優位性を高めるパートナーとなり、顧客や、当社事業を共創する全てのステークホルダーと共に「新しい景色の創造」を達成します。
日本ならびに世界が大きな転換期にある中、当社グループの起源であるベトナムと日本の両国がWin-Winとなる形で、顧客と共に成長し、顧客と共に新しい景色を創造し続けることで、今後とも企業グループとしての持続的な成長を目指してまいります。
(2)経営環境
当連結会計年度における日本経済は、緩やかな回復が継続する状況となりました。一方、地政学的リスクの高まりに起因した物価上昇や米国の金利政策や関税政策、中国の継続的な景気減速等、経済的リスクも高まり続けており、依然として経済の見通しは不透明な状況にあります。
こうした経済環境の中、当社グループが属する情報サービス産業の市場におきましては、新型コロナウイルス感染症によるリモートワーク、非対面ビジネスへの移行が収束した後も、企業の競争優位性に直結するデジタル化、DX化への関心の高まりを背景に、様々な産業におけるIT投資意欲の拡大、それによる情報サービス産業市場の継続的な拡大が期待されております。一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が発表している「企業IT動向調査報告書2025」によると、調査対象となった企業の90%が前年と同等かそれ以上のIT予算の増額を予測しており、その要因として人件費やベンダー価格の高騰に次いで業務のデジタル化対応、基幹システムの刷新が挙げられています。総じて、市場全体のコスト増が見込まれる環境にあってなお、業務効率化に向けた投資意欲が旺盛であることを示唆しています。
また、当社グループが高い採用優位性を持ち、開発拠点を擁するベトナムは、このような日本の堅実なDX支援、IT人材需要の拡大を充足するパートナーとして、高い優位性を保持しています。ベトナムは厚い労働人口を基盤に高いGDP成長率を誇っております。加えて、ベトナム政府は2050年までにIT人材150万人の輩出を目標に掲げ、高度な理数教育、IT人材の育成及び輩出を促進しております。また、日本との時差が小さいことや、日越の良好な国家関係なども、ビジネスパートナーとしての高い適性に寄与しております。
加えて、近年はベトナム政府が2030年までのDX推進計画を含む「国家DXプログラム」を掲げる等、ベトナム国内においてもDX推進需要が高まっております。アメリカ合衆国国際貿易局の試算では、ベトナムのデジタル経済規模は2025年時点の6.5兆円から堅実な成長を続け、2030年には13兆円に達するとされており、エンジニアやITリソースの源泉に留まらず、ベトナム国内の需要も、今後大きな成長が見込める市場と考えられます。
[図5:日越の市場規模]

[図6:ベトナムの優位性]
出典:※1…富士キメラ総研「2024 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編/企業編」
※2…Vietnam Country Commercial Guide (2024), International Trade Administration.
※3…経済産業省委託みずほ総研の2019年3月調査報告書
※4…TopDev_VietnamITMarketReport2024-2025
※5…LP(2020). Chien luoc quoc gia ve phát trien doanh nghiep công nghe so Viet Nam. Hanoi: Socialist Republic of Viet Nam government News.
※6…United Nations, Department of Economic and Social Affairs, Population Division (2024).World Population Prospects 2024, Online Edition.
※7…株式会社Resorz発行「オフショア開発白書2024年版」
※8…OECD (2016), PISA 2015 Results (Volume I): Excellence and Equity in Education,PISA, OECD Publishing, Paris.
※9…2023年度ASEANにおける海外対日世論調査(調査対象となったベトナム人300名において、「とても友好関係にある」または「どちらかというと友好関係にある」と回答した割合)
※10…厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)」
※11…ベトナム統計総局(GSO)発表した、2024年(通期)国内総生産の成長率の予測
(3)経営戦略
当社グループは、上述の経営環境に対し、既存事業の開発対応領域の拡大、提供可能なソリューションの拡大、サービスを提供するマーケットの拡大の3つの軸での事業成長を図ってまいります。これらの成長戦略に資する人材採用、M&A等を戦略的に実施することで、多角的な事業成長を推進してまいります。
① 既存事業の開発対応領域の拡大
当社は従来、顧客の開発需要に対し、要件定義等の上流工程から、実装、保守までを一気通貫で受託する体制を整備しており、M&Aを中心とした戦略で、その対応領域を拡大してまいりました。今後もこれらの戦略を継続し、より上流のDX戦略領域のコンサルテーションや、サービスローンチ後のマーケティング等の戦略領域等、顧客の事業戦略をより幅広く、力強く支援できる体制を築くことで、既存事業の拡大、特にストックサービスの規模拡大を図ってまいります。
当期においては、顧客の経営戦略や、基幹システムの導入コンサルティングに強みを持つ株式会社ハイブリッドビジネスコンサルティングを子会社化したことにより、当社が定義するDX支援における事業戦略支援からサービス実装後のグロース支援に至る一連の工程を網羅するグループ体制を構築いたしました。
② ソリューションの拡大
現時点における当社グループが顧客に提供できるソリューションは、Web・アプリ開発が主流となっており、M&Aや採用を通じて、このソリューション領域を拡げることが、2つ目の経営戦略であります。具体的には、現在ベトナム合弁会社、外部パートナーとの業務提携を通じて提供しているSalesforce、AWS、クラウド等のインフラ構築ソリューションの深耕、及び、ベトナム国内でSAPを主軸としたERPや金融システム等の導入支援に豊富な実績を有するNGS Consulting Joint Stock Company(以下「NGSC社」)を子会社化することによる、提供ソリューションの拡大を図ってまいります。当社の開発部門、開発技術を管掌する取締役の衣笠嘉展は、自身の経歴の中で様々な技術領域において豊富な知見を有しており、同人がこの成長軸をけん引することで、着実な事業成長を推進してまいります。
③ マーケットの拡大
経営戦略の3つ目は、当社の従来の日本国内顧客を対象としたマーケットに加えて、海外の市場を開拓していくものであります。具体的には、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」に記載の通り、昨今DX化や、その関連サービスの需要が高まっているベトナム国内において、当社の日本とベトナムのリソースを活用したハイブリッドな事業体制や、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営戦略 ②ソリューションの拡大」に記載のNGSC社を連結子会社化することにより、当社グループのベトナムマーケットへの拡大は大幅な進展を見込んでおります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループの売上収益は、約84%がストックサービスで構成されていることから、同サービスを維持、拡大させることによって、経営を安定させると共に、経営戦略を速やかに達成できる経営基盤を築くことが、経営上の重要目標であると考えております。新規プロジェクトの獲得によるストックサービス件数の増加、及び既存顧客からの増員、新たなプロジェクトによるチームラインの増加、上流工程からの介在強化を通したストックサービス単価の向上により、市場を拡大し、ノウハウを蓄積するとともに、人材・新規技術獲得等への投資を継続することで、企業グループとしての持続的な成長を図ってまいります。この達成状況を図る指標として、当社はストックサービス件数とストックサービス単価を重要指標としております。
なお、2026年9月期には、売上収益に占めるフローサービスの比率が高まることが想定されることから、管理指標を改定(追加)する方針であります。
① 2025年9月期までの管理指標
2025年9月期までにおいては、比較的小規模且つ長期に亘る契約に基づく保守契約や、当社の既存案件と比較して金額規模の小さい新規子会社の案件等、総合的な当社事業への影響度の低い案件を考慮対象から除外し、正確に当社事業の進捗を表すことを目的として、「各事業年度末時点(あるいは四半期末時点)における月額取引金額が50万円以上のストックサービス案件の数(ストックサービス件数)」、「各事業年度末時点(あるいは四半期末時点)における月額取引金額が50万円以上のストックサービス単月売上 ÷ 期末時点のストックサービス件数で算出した平均単価(ストックサービス単価)」の2つの指標を設定しており、その推移は下図の通りであります。
[事業年度ごとのストックサービス件数とストックサービス単価]
(注)ストックサービス件数の指標は、ストックサービスにて受注したプロジェクトのうち、前述の定義に当てはまるプロジェクトの数であり、同一の顧客から複数のプロジェクトを受注することがあるため、顧客数とは異なります。
② 管理指標の改定(追加)について
2026年9月期より、次の通り指標の定義を改定する方針であります。
2025年10月1日付で当社の連結子会社となるNGSC社は、当社の既存事業においてフローサービスに定義される契約形態の売上収益比率が高く、同社を連結することにより、当社グループ全体の事業におけるフローサービスの重要性が高まることを見込んでおります。
この影響を考慮し、同社を連結対象とする2026年9月期より、より正確に当社事業の進捗を表すことを目的として、下記の通りフローサービスに関する管理指標を定義いたします。
・フローサービス件数:報告四半期に売上計上される受注金額1,000万円以上のフローサービス数の合計
・フローサービス単価:報告四半期に売上計上される受注金額1,000万円以上のフローサービスの売上の合計÷該当四半期に売上計上される受注金額1,000万円以上のフローサービス数の合計
この改定により、ストックサービスと同様に、フローサービスにおいても、より正確に当社事業の進捗を表すことができると期待しております。なお、新たに定義した指標における過年度の推移は、下図のとおりであります。また、既存のストックサービス件数、及びストックサービス単価の指標に改定はございません。
[事業年度ごとのフローサービス件数及びフローサービス単価]

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、今後の持続的な成長を実現する上で、以下の事項を課題として重視しています。
① 開発体制の継続的な強化
今後、より一層顧客の要件を満たす事業を実現するためには、開発品質レベルの向上は不可欠であります。当社グループは、日本とベトナム両国でのハイブリッドな開発体制に特徴がありますが、グループ間コミュニケーションのさらなる強化を図る一方で、それぞれの特性を活かした開発手法の標準化、開発ノウハウの蓄積・共有を今後も進めてまいります。特に、受注前の見積り精度や受注後のプロジェクト進捗確認等のモニタリングを通じて、開発品質の確保と納期の遵守については最重要課題として取り組んでまいります。なお、2024年9月期は当社ベトナム子会社の保有するダナン拠点において開発品質の低下、人員管理の課題が顕在化したことから、更なる悪影響の発生を回避すべく、同拠点を閉鎖し、既存の2拠点(ホーチミン・ハノイ)に経営リソースを集中し、経営の効率化を図る体制変更を断行いたしました。この2拠点は、従来より強固なマネジメント体制・人材を有しており、体制強化は順調に進んでおり、今後は、この2拠点体制で、更なる体制強化を進めてまいります。
また、日本国内におきましても、2024年4月にWur株式会社、2024年7月にドコドア株式会社を連結子会社化し、バックグラウンドの異なる多数の技術者間の交流を通じて当社グループの技術力の進化を進めてまいりました。2025年8月には、ITコンサルテーション分野に強みを持つ株式会社ハイブリッドビジネスコンサルティングを連結子会社化することにより、開発フェーズに先立つ中長期のシステム導入計画策定支援等、要件定義以前のフェーズをカバーするITコンサルティング機能も提供できるようになりました。
② 技術力のさらなる強化
DX市場の変化、それを支える技術革新は目覚ましいものがあり、それらの最先端技術を迅速、的確に自社のサービスに反映し、市場のニーズに応えられるかは、企業成長において重要な課題であります。当社及び当社グループは、社内外で開発実績を持つAIモデルの構築をはじめ、今後もDX基盤の構築、サイバーセキュリティ等の幅広い最先端技術の習得に努めてまいります。また、開発作業においても積極的に生成AIを取り入れ、開発効率・開発品質の向上を推し進めます。こうした技術力強化の取り組みを通じて、様々な業界・業態の顧客への提案力の向上、さらなる価値創造に努めてまいります。
③ 新規顧客の獲得
当社及び当社グループが持続的な成長を続けるためには、売上拡大につながる新規顧客の獲得が必要であると考えております。上場会社としての認知度、知名度も活かして、マスマーケティング、プライベートセミナーの開催、リスティング、動画コンテンツの配信などを展開し、継続的に新規受注を獲得できる体制の確立を目指してまいります。また、更なる顧客層や市場の開拓にはM&Aも重要な戦略であると捉えております。当社はこれまでに、以下のM&Aを実行してまいりました。
2023年9月期:
・キャスレーコンサルティング株式会社(現株式会社ハイブリッドテックエージェント)
・株式会社イクシアス(現在当社に吸収合併済)
2024年9月期:
・Wur株式会社
・ドコドア株式会社
2025年9月期:
・株式会社ハイブリッドビジネスコンサルティング
これら企業を当社グループに加えることにより、当社グループがお客様に提供できるサービスを非連続的に拡大してまいりました。
更に、2025年10月1日付けで、ベトナムで総合的なIT支援事業を提供するNGSC社を連結子会社化することとなり、ベトナム市場開拓に大きな一歩を踏み出します。
今後も積極的なM&Aを通じて、当社グループの顧客拡大、市場拡大に努めてまいります。
④ 人材採用・育成の強化
当社及び当社グループが持続的な成長を図っていくには、専門性を有する優秀な人材を安定的、かつ機動的に確保することが必要不可欠と考えております。ベトナムでの産学連携、日本でのベトナム人脈のさらなる活用等も含めて、ターゲット別に最適な人材採用戦略を講じてまいります。日本国内で開発人材不足がますます顕著になっている今、ベトナムにおける豊富な人材を採用し、育成して日本のお客さまのご要望にお応えすることが当社グループの重要な使命であることを心に留め、今後とも優秀な人材の確保に努めてまいります。さらに、日本国内におきましても、都市部だけではなく、地方でも、優秀な人材を獲得すべく、M&A戦略も含め、種々の施策を実行してまいります。
⑤ 情報管理体制の更なる強化
当社及び当社グループは、顧客の開発要件によっては、個人情報を含む顧客の機密情報を取り扱う場合があります。これらに適切に対応するために、開発業務の主力であるベトナムで特に重点的に情報管理体制の強化を進めており、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格であるISO27001:2013を取得し、情報管理やセキュリティ管理の徹底を図っております。また、2022年9月にはベトナムの国家サイバーセキュリティセンターとの間で、サイバーセキュリティに関する相互支援を目的とした協力覚書を締結し、サイバーセキュリティに関する社内体制の整備を継続しております。日本国内においては、従来から体制を整え、徹底した情報管理を行ってまいりましたが、顧客からの信頼性向上の施策として、プライバシーマークも取得し、更なる体制強化を進めております。
⑥ 経営管理・内部管理体制の強化
当社及び当社グループは、グループを取りまく事業環境の変化に柔軟に対応し、継続的に企業価値の向上を図っていくためには、内部統制環境の整備・強化が重要な経営課題であると認識しております。全社的なリスク管理体制の整備、コンプライアンス体制の強化、さらには適切なリスクテイク体制の構築を目指して取り組んでまいります。
なお、2025年10月より、当社は株式会社エアトリの連結子会社となりますが、当社の意思決定・業務遂行等のオペレーションの変更を伴うものではありません。今後、株式会社エアトリとは、経営ノウハウの共有・顧客の相互紹介など双方の事業発展に資する協力関係を強化してまいります。
⑦ 持続的な企業の成長
当社及び当社グループは、グループのビジョン、ミッション実現のためには、持続的な事業成長が必須であると考えております。そのために、常にお客様のニーズの変化を把握し、当該ニーズに応えるべく当社の技術レベル・サービス品質の向上を追求してまいります。また、企業買収を通じて、当社グループとして、常にお客様のニーズに応えるための技術・人材の獲得に努めてまいります。
更に、2025年10月よりベトナムで総合的なIT支援事業を展開するNGSC社を連結子会社化することにより、ベトナム市場における当社グループの事業の本格展開を開始しますが、今後も機会をとらえ、グローバルな事業展開により、当社グループ事業の持続的な拡大を図ってまいります。当社取締役会長のチャン バン ミンは、2025年12月22日をもって、当社取締役を辞任いたしますが、今後はHybrid Technologies Vietnam Co., Ltd.のチェアマンとしてNGSC社の事業発展をリードしていくとともに、更なるベトナム事業の拡大に集中して取り組んでまいります。
⑧ 手元流動性の確保
当社及び当社グループは、継続的な取引である「ストックサービス」が売上収益の過半を占めているため、キャッシュ・フローは、安定していると認識しております。今後も、事業環境の変化に応じた資本政策にも対応できるように、柔軟な財政政策を実施してまいります。また、投資効率を考慮しつつ積極的にM&A戦略を展開できるよう、十分なキャッシュの獲得に努めてまいります。
(1)経営方針
当社グループは、顧客の課題を解決する適切なDXの推進によって、様々な業界から社会を変革しようとする顧客の挑戦を支え、顧客の競争優位性を高めるパートナーとなり、顧客や、当社事業を共創する全てのステークホルダーと共に「新しい景色の創造」を達成します。
日本ならびに世界が大きな転換期にある中、当社グループの起源であるベトナムと日本の両国がWin-Winとなる形で、顧客と共に成長し、顧客と共に新しい景色を創造し続けることで、今後とも企業グループとしての持続的な成長を目指してまいります。
(2)経営環境
当連結会計年度における日本経済は、緩やかな回復が継続する状況となりました。一方、地政学的リスクの高まりに起因した物価上昇や米国の金利政策や関税政策、中国の継続的な景気減速等、経済的リスクも高まり続けており、依然として経済の見通しは不透明な状況にあります。
こうした経済環境の中、当社グループが属する情報サービス産業の市場におきましては、新型コロナウイルス感染症によるリモートワーク、非対面ビジネスへの移行が収束した後も、企業の競争優位性に直結するデジタル化、DX化への関心の高まりを背景に、様々な産業におけるIT投資意欲の拡大、それによる情報サービス産業市場の継続的な拡大が期待されております。一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が発表している「企業IT動向調査報告書2025」によると、調査対象となった企業の90%が前年と同等かそれ以上のIT予算の増額を予測しており、その要因として人件費やベンダー価格の高騰に次いで業務のデジタル化対応、基幹システムの刷新が挙げられています。総じて、市場全体のコスト増が見込まれる環境にあってなお、業務効率化に向けた投資意欲が旺盛であることを示唆しています。
また、当社グループが高い採用優位性を持ち、開発拠点を擁するベトナムは、このような日本の堅実なDX支援、IT人材需要の拡大を充足するパートナーとして、高い優位性を保持しています。ベトナムは厚い労働人口を基盤に高いGDP成長率を誇っております。加えて、ベトナム政府は2050年までにIT人材150万人の輩出を目標に掲げ、高度な理数教育、IT人材の育成及び輩出を促進しております。また、日本との時差が小さいことや、日越の良好な国家関係なども、ビジネスパートナーとしての高い適性に寄与しております。
加えて、近年はベトナム政府が2030年までのDX推進計画を含む「国家DXプログラム」を掲げる等、ベトナム国内においてもDX推進需要が高まっております。アメリカ合衆国国際貿易局の試算では、ベトナムのデジタル経済規模は2025年時点の6.5兆円から堅実な成長を続け、2030年には13兆円に達するとされており、エンジニアやITリソースの源泉に留まらず、ベトナム国内の需要も、今後大きな成長が見込める市場と考えられます。
[図5:日越の市場規模]

[図6:ベトナムの優位性]
出典:※1…富士キメラ総研「2024 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編/企業編」※2…Vietnam Country Commercial Guide (2024), International Trade Administration.
※3…経済産業省委託みずほ総研の2019年3月調査報告書
※4…TopDev_VietnamITMarketReport2024-2025
※5…LP(2020). Chien luoc quoc gia ve phát trien doanh nghiep công nghe so Viet Nam. Hanoi: Socialist Republic of Viet Nam government News.
※6…United Nations, Department of Economic and Social Affairs, Population Division (2024).World Population Prospects 2024, Online Edition.
※7…株式会社Resorz発行「オフショア開発白書2024年版」
※8…OECD (2016), PISA 2015 Results (Volume I): Excellence and Equity in Education,PISA, OECD Publishing, Paris.
※9…2023年度ASEANにおける海外対日世論調査(調査対象となったベトナム人300名において、「とても友好関係にある」または「どちらかというと友好関係にある」と回答した割合)
※10…厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)」
※11…ベトナム統計総局(GSO)発表した、2024年(通期)国内総生産の成長率の予測
(3)経営戦略
当社グループは、上述の経営環境に対し、既存事業の開発対応領域の拡大、提供可能なソリューションの拡大、サービスを提供するマーケットの拡大の3つの軸での事業成長を図ってまいります。これらの成長戦略に資する人材採用、M&A等を戦略的に実施することで、多角的な事業成長を推進してまいります。
① 既存事業の開発対応領域の拡大
当社は従来、顧客の開発需要に対し、要件定義等の上流工程から、実装、保守までを一気通貫で受託する体制を整備しており、M&Aを中心とした戦略で、その対応領域を拡大してまいりました。今後もこれらの戦略を継続し、より上流のDX戦略領域のコンサルテーションや、サービスローンチ後のマーケティング等の戦略領域等、顧客の事業戦略をより幅広く、力強く支援できる体制を築くことで、既存事業の拡大、特にストックサービスの規模拡大を図ってまいります。
当期においては、顧客の経営戦略や、基幹システムの導入コンサルティングに強みを持つ株式会社ハイブリッドビジネスコンサルティングを子会社化したことにより、当社が定義するDX支援における事業戦略支援からサービス実装後のグロース支援に至る一連の工程を網羅するグループ体制を構築いたしました。
② ソリューションの拡大
現時点における当社グループが顧客に提供できるソリューションは、Web・アプリ開発が主流となっており、M&Aや採用を通じて、このソリューション領域を拡げることが、2つ目の経営戦略であります。具体的には、現在ベトナム合弁会社、外部パートナーとの業務提携を通じて提供しているSalesforce、AWS、クラウド等のインフラ構築ソリューションの深耕、及び、ベトナム国内でSAPを主軸としたERPや金融システム等の導入支援に豊富な実績を有するNGS Consulting Joint Stock Company(以下「NGSC社」)を子会社化することによる、提供ソリューションの拡大を図ってまいります。当社の開発部門、開発技術を管掌する取締役の衣笠嘉展は、自身の経歴の中で様々な技術領域において豊富な知見を有しており、同人がこの成長軸をけん引することで、着実な事業成長を推進してまいります。
③ マーケットの拡大
経営戦略の3つ目は、当社の従来の日本国内顧客を対象としたマーケットに加えて、海外の市場を開拓していくものであります。具体的には、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」に記載の通り、昨今DX化や、その関連サービスの需要が高まっているベトナム国内において、当社の日本とベトナムのリソースを活用したハイブリッドな事業体制や、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営戦略 ②ソリューションの拡大」に記載のNGSC社を連結子会社化することにより、当社グループのベトナムマーケットへの拡大は大幅な進展を見込んでおります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループの売上収益は、約84%がストックサービスで構成されていることから、同サービスを維持、拡大させることによって、経営を安定させると共に、経営戦略を速やかに達成できる経営基盤を築くことが、経営上の重要目標であると考えております。新規プロジェクトの獲得によるストックサービス件数の増加、及び既存顧客からの増員、新たなプロジェクトによるチームラインの増加、上流工程からの介在強化を通したストックサービス単価の向上により、市場を拡大し、ノウハウを蓄積するとともに、人材・新規技術獲得等への投資を継続することで、企業グループとしての持続的な成長を図ってまいります。この達成状況を図る指標として、当社はストックサービス件数とストックサービス単価を重要指標としております。
なお、2026年9月期には、売上収益に占めるフローサービスの比率が高まることが想定されることから、管理指標を改定(追加)する方針であります。
① 2025年9月期までの管理指標
2025年9月期までにおいては、比較的小規模且つ長期に亘る契約に基づく保守契約や、当社の既存案件と比較して金額規模の小さい新規子会社の案件等、総合的な当社事業への影響度の低い案件を考慮対象から除外し、正確に当社事業の進捗を表すことを目的として、「各事業年度末時点(あるいは四半期末時点)における月額取引金額が50万円以上のストックサービス案件の数(ストックサービス件数)」、「各事業年度末時点(あるいは四半期末時点)における月額取引金額が50万円以上のストックサービス単月売上 ÷ 期末時点のストックサービス件数で算出した平均単価(ストックサービス単価)」の2つの指標を設定しており、その推移は下図の通りであります。
[事業年度ごとのストックサービス件数とストックサービス単価]
(注)ストックサービス件数の指標は、ストックサービスにて受注したプロジェクトのうち、前述の定義に当てはまるプロジェクトの数であり、同一の顧客から複数のプロジェクトを受注することがあるため、顧客数とは異なります。② 管理指標の改定(追加)について
2026年9月期より、次の通り指標の定義を改定する方針であります。
2025年10月1日付で当社の連結子会社となるNGSC社は、当社の既存事業においてフローサービスに定義される契約形態の売上収益比率が高く、同社を連結することにより、当社グループ全体の事業におけるフローサービスの重要性が高まることを見込んでおります。
この影響を考慮し、同社を連結対象とする2026年9月期より、より正確に当社事業の進捗を表すことを目的として、下記の通りフローサービスに関する管理指標を定義いたします。
・フローサービス件数:報告四半期に売上計上される受注金額1,000万円以上のフローサービス数の合計
・フローサービス単価:報告四半期に売上計上される受注金額1,000万円以上のフローサービスの売上の合計÷該当四半期に売上計上される受注金額1,000万円以上のフローサービス数の合計
この改定により、ストックサービスと同様に、フローサービスにおいても、より正確に当社事業の進捗を表すことができると期待しております。なお、新たに定義した指標における過年度の推移は、下図のとおりであります。また、既存のストックサービス件数、及びストックサービス単価の指標に改定はございません。
[事業年度ごとのフローサービス件数及びフローサービス単価]

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、今後の持続的な成長を実現する上で、以下の事項を課題として重視しています。
① 開発体制の継続的な強化
今後、より一層顧客の要件を満たす事業を実現するためには、開発品質レベルの向上は不可欠であります。当社グループは、日本とベトナム両国でのハイブリッドな開発体制に特徴がありますが、グループ間コミュニケーションのさらなる強化を図る一方で、それぞれの特性を活かした開発手法の標準化、開発ノウハウの蓄積・共有を今後も進めてまいります。特に、受注前の見積り精度や受注後のプロジェクト進捗確認等のモニタリングを通じて、開発品質の確保と納期の遵守については最重要課題として取り組んでまいります。なお、2024年9月期は当社ベトナム子会社の保有するダナン拠点において開発品質の低下、人員管理の課題が顕在化したことから、更なる悪影響の発生を回避すべく、同拠点を閉鎖し、既存の2拠点(ホーチミン・ハノイ)に経営リソースを集中し、経営の効率化を図る体制変更を断行いたしました。この2拠点は、従来より強固なマネジメント体制・人材を有しており、体制強化は順調に進んでおり、今後は、この2拠点体制で、更なる体制強化を進めてまいります。
また、日本国内におきましても、2024年4月にWur株式会社、2024年7月にドコドア株式会社を連結子会社化し、バックグラウンドの異なる多数の技術者間の交流を通じて当社グループの技術力の進化を進めてまいりました。2025年8月には、ITコンサルテーション分野に強みを持つ株式会社ハイブリッドビジネスコンサルティングを連結子会社化することにより、開発フェーズに先立つ中長期のシステム導入計画策定支援等、要件定義以前のフェーズをカバーするITコンサルティング機能も提供できるようになりました。
② 技術力のさらなる強化
DX市場の変化、それを支える技術革新は目覚ましいものがあり、それらの最先端技術を迅速、的確に自社のサービスに反映し、市場のニーズに応えられるかは、企業成長において重要な課題であります。当社及び当社グループは、社内外で開発実績を持つAIモデルの構築をはじめ、今後もDX基盤の構築、サイバーセキュリティ等の幅広い最先端技術の習得に努めてまいります。また、開発作業においても積極的に生成AIを取り入れ、開発効率・開発品質の向上を推し進めます。こうした技術力強化の取り組みを通じて、様々な業界・業態の顧客への提案力の向上、さらなる価値創造に努めてまいります。
③ 新規顧客の獲得
当社及び当社グループが持続的な成長を続けるためには、売上拡大につながる新規顧客の獲得が必要であると考えております。上場会社としての認知度、知名度も活かして、マスマーケティング、プライベートセミナーの開催、リスティング、動画コンテンツの配信などを展開し、継続的に新規受注を獲得できる体制の確立を目指してまいります。また、更なる顧客層や市場の開拓にはM&Aも重要な戦略であると捉えております。当社はこれまでに、以下のM&Aを実行してまいりました。
2023年9月期:
・キャスレーコンサルティング株式会社(現株式会社ハイブリッドテックエージェント)
・株式会社イクシアス(現在当社に吸収合併済)
2024年9月期:
・Wur株式会社
・ドコドア株式会社
2025年9月期:
・株式会社ハイブリッドビジネスコンサルティング
これら企業を当社グループに加えることにより、当社グループがお客様に提供できるサービスを非連続的に拡大してまいりました。
更に、2025年10月1日付けで、ベトナムで総合的なIT支援事業を提供するNGSC社を連結子会社化することとなり、ベトナム市場開拓に大きな一歩を踏み出します。
今後も積極的なM&Aを通じて、当社グループの顧客拡大、市場拡大に努めてまいります。
④ 人材採用・育成の強化
当社及び当社グループが持続的な成長を図っていくには、専門性を有する優秀な人材を安定的、かつ機動的に確保することが必要不可欠と考えております。ベトナムでの産学連携、日本でのベトナム人脈のさらなる活用等も含めて、ターゲット別に最適な人材採用戦略を講じてまいります。日本国内で開発人材不足がますます顕著になっている今、ベトナムにおける豊富な人材を採用し、育成して日本のお客さまのご要望にお応えすることが当社グループの重要な使命であることを心に留め、今後とも優秀な人材の確保に努めてまいります。さらに、日本国内におきましても、都市部だけではなく、地方でも、優秀な人材を獲得すべく、M&A戦略も含め、種々の施策を実行してまいります。
⑤ 情報管理体制の更なる強化
当社及び当社グループは、顧客の開発要件によっては、個人情報を含む顧客の機密情報を取り扱う場合があります。これらに適切に対応するために、開発業務の主力であるベトナムで特に重点的に情報管理体制の強化を進めており、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格であるISO27001:2013を取得し、情報管理やセキュリティ管理の徹底を図っております。また、2022年9月にはベトナムの国家サイバーセキュリティセンターとの間で、サイバーセキュリティに関する相互支援を目的とした協力覚書を締結し、サイバーセキュリティに関する社内体制の整備を継続しております。日本国内においては、従来から体制を整え、徹底した情報管理を行ってまいりましたが、顧客からの信頼性向上の施策として、プライバシーマークも取得し、更なる体制強化を進めております。
⑥ 経営管理・内部管理体制の強化
当社及び当社グループは、グループを取りまく事業環境の変化に柔軟に対応し、継続的に企業価値の向上を図っていくためには、内部統制環境の整備・強化が重要な経営課題であると認識しております。全社的なリスク管理体制の整備、コンプライアンス体制の強化、さらには適切なリスクテイク体制の構築を目指して取り組んでまいります。
なお、2025年10月より、当社は株式会社エアトリの連結子会社となりますが、当社の意思決定・業務遂行等のオペレーションの変更を伴うものではありません。今後、株式会社エアトリとは、経営ノウハウの共有・顧客の相互紹介など双方の事業発展に資する協力関係を強化してまいります。
⑦ 持続的な企業の成長
当社及び当社グループは、グループのビジョン、ミッション実現のためには、持続的な事業成長が必須であると考えております。そのために、常にお客様のニーズの変化を把握し、当該ニーズに応えるべく当社の技術レベル・サービス品質の向上を追求してまいります。また、企業買収を通じて、当社グループとして、常にお客様のニーズに応えるための技術・人材の獲得に努めてまいります。
更に、2025年10月よりベトナムで総合的なIT支援事業を展開するNGSC社を連結子会社化することにより、ベトナム市場における当社グループの事業の本格展開を開始しますが、今後も機会をとらえ、グローバルな事業展開により、当社グループ事業の持続的な拡大を図ってまいります。当社取締役会長のチャン バン ミンは、2025年12月22日をもって、当社取締役を辞任いたしますが、今後はHybrid Technologies Vietnam Co., Ltd.のチェアマンとしてNGSC社の事業発展をリードしていくとともに、更なるベトナム事業の拡大に集中して取り組んでまいります。
⑧ 手元流動性の確保
当社及び当社グループは、継続的な取引である「ストックサービス」が売上収益の過半を占めているため、キャッシュ・フローは、安定していると認識しております。今後も、事業環境の変化に応じた資本政策にも対応できるように、柔軟な財政政策を実施してまいります。また、投資効率を考慮しつつ積極的にM&A戦略を展開できるよう、十分なキャッシュの獲得に努めてまいります。