有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/11/19 15:00
【資料】
PDFをみる
【項目】
124項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「かかわるCに次のステージを提供し、笑顔になっていただく」をミッションに、「マーケティング、テクノロジー、コンサルティングスキルを武器とし、ローカルビジネスの活性化を通じて、消費者に日々の楽しみを提供し、店舗、街・地域、国が活性化されている状態」「公益資本主義の浸透により、ビジネスと社会貢献が両立する世界が確立している状態」の2つのビジョンを掲げ、世界をよりステキに、より笑顔にすることに貢献し、たくさんの「ありがとう」を生み出し続ける会社になることを目指しています。
(2)経営戦略等
当社は、ローカルビジネス特化型のSaaS型統合マーケティングツール「C-mo」とデジタルマーケティングを運用代行するハンズオン型コンサルティングの「C+」の2つのソリューションを提供する事業の拡大を図って参りました。特に、約3年の開発、トライアルを経て、2018年10月より本格リリースを行った「C-mo」については、現在も様々な機能を開発し続け、今後のローカルビジネスに対するDX化に寄与できるサービスとして成長し続けております。
更なる収益拡大のために、顧客満足度をより向上すべく、多様な顧客ニーズに対応することができる新機能の追加、サポート体制のより一層の教育・向上を行うと共に、営業力強化を目的とした、直販体制及び販売協力先(アライアンス)との協力体制強化に取り組んでまいります。
また、当社が主に支援してきたグルメ業界、ビューティー業界に加え、ローカルビジネス内における別業界への横展開を進めることで、顧客構造をより強靭なものへと構築して参ります。
加えてこれまで展開してきた「C-mo」及び「C+」を通じて常にアップデートされる様々なマーケティングデータを効果的に活用することで、より良いサービスの提供及び新たな機能の開発をすることにより、収益化を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、持続的な成長を通じた企業価値の向上を目指しており、事業拡大の観点から売上高を重要な経営指標と位置づけ、収益力の強化に邁進してまいります。また、強固な経営基盤及び高利益体質を構築すべく、営業利益及び営業利益率を重要な経営指標と位置づけ、経営の効率化を図ってまいります。
さらに、これらの指標を支えるKPIとして店舗数、「C-mo」の解約率についても主要な経営指標と位置づけております。
(4)経営環境
当社が属するデジタルマーケティング業界、特にローカルビジネスに対するローカルビジネスDX事業の市場環境としましては、市場規模が約134万店舗という規模ながら、他業界にくらべ、DX化への対応が遅れている状況であります。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経営環境の変化により、DX化への重要性が高まってきていると感じております。
この動きにより、当社が提供しているローカルビジネスDX事業のニーズが加速度的に高まってくるものと当社は考えており、ハンズオン型コンサルティング支援サービスの「C+」を通じてローカルビジネスの最新の情報・課題を洗い出すと共に、そこから得た情報をもとにSaaS型統合マーケティングツール「C-mo」の継続的な開発を行い、当社のマーケティングデータを用いて、ローカルビジネスにおけるDX化、D2C化(*1)、OMO化(*2)を牽引していく立場にあるものと考えております。
当社が提供するローカルビジネス向けDX化のサービスでは、「C+」のみでは複数の競合は存在するものの、店舗マーケティングのDX化を実現する「C-mo」については、デジタルマーケティングツールとしては複数の企業が類似するサービスを提供しておりますが、集客ツールやCRMツールなど部分的な領域を担う機能に留まっており、当社と同様に複数の機能を有する統合型マーケティングツールを提供する企業は業界にも当社のみであると考えております。従って、店舗マーケティングのDX化を実現する『SaaS型統合マーケティング』サービスを提供するSaaS企業の競合は存在しないものと考えております。
(*1)D2C(Direct to Consumer)
自ら企画、生産した商品を広告代理店や小売店を挟まず、自社ECサイトなどを通じて消費者とダイレクトに取引する販売方法
(*2)OMO(Online Merges with Offline)
オンラインとオフラインの融合。オンライン上とオフラインの店舗などの垣根を超えて購買意欲を作り出そうとするマーケティングの概念。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①新規事業及び新規サービスによる収益基盤の拡大
当社は、急激な経営環境の変化に対応し、競合他社に比して更なる収益拡大を図るために、事業規模の拡大と新たな収益源の確保が必須であると考えております。このために、クライアント企業及び消費者の潜在需要をいち早く読み取り、新規事業及び新規サービスの開発に積極的に取り組むことで、更なる収益基盤の拡大を行ってまいります。
また、これまでローカルビジネスDX事業を通して蓄積してきた様々な顧客データについて、クライアント事業に寄与するDX化、D2C化、OMO化に向けた新サービスの開発、新たな市場の開拓が急務と考えており、当社の特性を最大限に活かした事業展開を行ってまいります。
②人材の確保
当社が今後更に事業を拡大していくためには、優秀な人材の確保と育成が必要不可欠であると考えております。当社としましては採用における競争力の強化を図るために、魅力のある職場環境を構築いたします。従業員の能力やモチベーション向上に資するため、教育研修制度の強化、福利厚生の充実、人事制度の整備・運用を進めてまいります。
③システムのセキュリティ管理体制と安定化
当社の展開する事業は、デジタルマーケティングに係るシステムのセキュリティ管理体制の構築が重要であり、市場環境の変化に対応したセキュリティ管理体制の維持、構築、整備を継続的に進めてまいります。
また、更なるクライアントの増加や新規事業等に伴うアクセス数の増加に備え、サーバー設備の増強や負荷分散を推進する等の対策が必要となります。当社は、これら対策の重要性を認識したうえで、今後も継続的な維持管理を行い、システムの安定化に取り組んでまいります。
④内部管理体制の強化
当社が更なる事業拡大、継続的な成長を遂げるためには、コンプライアンス体制の強化と、確固たる内部管理体制の構築を通じて業務の標準化と効率化の徹底を図ることが重要であると考えております。
当社としましては、健全な企業経営に不可欠なコンプライアンス意識を醸成すべく、制度が従業員に十分浸透し定着するよう、継続的な取り組みを推進してまいります。また、内部統制の環境を適正に整備し、コーポレート・ガバナンスを有効に機能させることによって、内部管理体制の強化を図り、企業価値の最大化に努めてまいります。
⑤知名度の向上
当社は、収益基盤強化のため、SaaS型統合マーケティングツール「C-mo」の知名度の向上を図ることが必要であり、知名度の向上は新規の顧客開拓や優秀な人材の確保に寄与するものと考えております。当社は今後、販促費を投下して、当社が運営しているSNSアカウントやトレンド情報サイトへの流入強化、オンラインセミナーの開催やイベントへの出展、様々なマスメディアを使った情報発信を強化することにより、当社のサービスの存在を今まで知り得なかった顧客にまで届けることで、より多くの企業に次のステージを提供し、笑顔になっていただくというミッションを果たし、当社の確固たる地位確立ができるよう、知名度向上を目指してまいります。
⑥財務上の課題
財務基盤の安定性を維持しながら、様々な事業上の課題を解決するための事業資金を確保し、また、新たな事業価値創出のために機動的な資金調達を実行できるよう、内部留保の確保と株主還元の適切なバランスを模索していくことが、財務上の課題として認識しております。