有価証券報告書-第12期(2025/04/01-2026/03/31)
②持続可能でイノベーティブな医療サービスの創出誰もが安心して質の高い医療・ケアを受けられるよう、増え続ける医療・介護ニーズや、医療人材をはじめとするリソースの制約といった社会課題に対し、DXの推進や適切なリソース配分を実行しています。実証実験として生成AIを活用し、介護現場の記録業務を約20%削減することを確認できましたので、今後これによりグループ全体で年間約3万時間の工数を創出し、ご入居者様への直接的なケアの充実に繋げていくことを検討しています。また、AIの入力支援により外国人スタッフの言語の壁を解消し、心理的負担の軽減と人材定着を推進しています。追加のシステム投資を行わずに現場の生産性向上と深刻な人材不足の解消を図り、次世代の医療・介護モデル構築を通じた持続可能な社会の実現に貢献してまいります。また、クラウド型電子カルテの導入により、可視化による人員配置の適正化や医療情報連携の効率化を図り、多職種による地域医療提供体制の持続可能性を強化しています。電子カルテの音声入力のほか、オンライン診療による生産性向上、AI活用による運転や事務業務の省人化も推進しています。また、国内の医療・介護人材不足の解消に向け、早期よりグローバル人材の受け入れ支援を行ってきました。東南アジア諸国から看護師・介護福祉士の候補者を受け入れる制度であるEPA、留学、技能実習から特定技能に至るさまざまな在留資格のグローバル人材の登用を含め、2025年10月までに提携医療機関において86名の受け入れ支援実績がありました。単なる人材紹介に留まらず、受け入れ後には語学や異文化理解の研修などによる育成、定期面談とコンディションチェックなど、業務面、生活面において継続的にサポートを行い、グローバル人材の定着に伴走してきました。その結果、離職率2.3%という高い定着率を実現するまでになりました。この実績を生かし、2025年12月には、グループ会社の株式会社シーユーシー・ホスピス及び株式会社ノアコンツェルにおいて、合計47名のグローバル人材の受け入れを開始しました。今後、ホスピス事業やメディカルケアレジデンス事業においてもグローバル人材の登用を推進し、日本の医療・介護業界における先行事例になることを目指しています。
また、国際的な事業展開の強化として、米国市場への進出を本格化しています。2025年11月に、長引く痛みの原因となる「モヤモヤ血管」を標的とする低侵襲カテーテル治療を開発した奥野祐次医師と戦略的業務提携(MOU)を締結し、2028年までの3年間で約20拠点のOBL(Office-Based Laboratory)開設を目指します。これにより慢性疼痛患者の「アンメット・メディカル・ニーズ(いまだ有効な治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズ)」の解決に貢献し、グローバルな医療サービスの創出を推進します。
③ 安心安全な医療の提供
グループ横断で安全な医療・介護サービスの提供の推進を図ることを目的とした医療安全委員会を設置し、多角的な視点で、迅速かつ効率的に安全を確保する取り組みを実施しています。患者様・医療従事者双方の安全を実現するため、支援先医療機関とも連携しながら、さまざまなリスクの最小化に取り組んでいます。医療機関事業においては医療法人のインシデント・アクシデントレポートを医療的知見に基づいたさまざまな角度から分析、課題を抽出し、対策方針を立てるコンサルティングを行っています。また、2025年度はグループ各社において安心安全教育研修やカスタマーハラスメント研修の実施や、電子インシデント報告フォームの導入を進め、標準化を推進しました。