有価証券報告書-第35期(2025/03/01-2026/02/28)

【提出】
2026/05/27 15:30
【資料】
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【項目】
125項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「報恩」を合言葉に「喜びや成長の糧となる環境を人々から与えられている事に感謝し、不屈不撓の精神で価値ある未来の創造に挑戦し続ける」ことを経営理念として掲げ、「不動産IT革命により不動産取引に関わる全ての人の満足を創造する」ことを事業理念としております。
当社は35年以上にわたって三大都市圏における新築マンションに関するパンフレット等の資料を収集し不動産データベースとして蓄積することで、新築マンションデベロッパー、不動産仲介業者、不動産販売事業者、戸建て業者等の不動産に関わる事業者様に不動産マーケティングシステムを提供しております。一物四価と言われ価値の測定が困難な性質を持つ不動産に対して、顧客が不動産取引を行う上で、正確な不動産価値分析により選択に確信を持っていただけるよう、正確な裏付けのある不動産データベースを整備し長年にわたりご活用いただいております。
また、当社は新築マンションのデータベースを日々更新・蓄積しており、保有する不動産データベースは、データ棟数65,656棟、住戸数2,894,124戸、パンフレット数47,168部、間取り数699,574タイプ(2026年2月28日現在)となっております。当社は、この不動産データベースとAI(人工知能)や画像解析等のテクノロジーを活用し、不動産業界に変化を起こすイノベーターを目指し今後も新たな付加価値の創造に向けたチャレンジを続けてまいります。
(2)目標とする経営指標等
当社は持続的な成長と企業価値向上を目指しており、全社的な主要な指標として売上高及び営業利益を重視しております。
また、当社は主力事業と位置付けるプラットフォーム事業において目標とする経営指標を設定しております。主に新築マンション事業者向けに提供している月額課金制サービス(サマリネット及びリアナビ)においては平均顧客単価、平均顧客数、ARR及び解約率を、不動産仲介業者(中古領域)向けのデータダウンロードサービスにおいては売上高及び平均顧客数を事業運営上重視する経営指標としております。
新築マンション事業者向けの月額課金制サービスは、売上高に連動して増加する変動費が少ない収益構造であることから、ARRを伸長させることが営業利益確保のために重要であると考えております。従ってARRを目標とする経営指標に設定するとともに、ARRの構成要素として平均顧客単価、平均顧客数及び解約率を目標とする経営指標に含めております。平均顧客単価を上げるために、既存顧客に対して利便性の高いサービスを訴求するアップセルに注力してまいります。
不動産仲介業者向けのデータダウンロードサービスは従量課金制であり、当サービスの売上高と平均顧客数を目標とする経営指標に設定しております。当サービスにおいては、現在はパンフレット画像を中心に提供を行っておりますが、今後は顧客が求めるコンテンツをサービスに追加することで顧客数を増やし、利用頻度を高める事で売上高の増加を図ってまいります。
(注)サマリネット・リアナビ及びデータダウンロードサービスの経営指標の算定方法は以下のとおりです。
サービス名経営指標算定方法
サマリネット・リアナビ平均顧客単価
(サマリネット)
各月の顧客単価(売上高 ÷ 顧客数)の平均値
平均顧客数
(サマリネット)
各月の顧客数の平均値
ARR(サマリネット・リアナビ)月額課金制サービスの契約額の年間合計額
解約率(サマリネット・リアナビ)期中解約金額 ÷ 前期のARR × 100
データダウンロード
サービス
売上高データダウンロードサービスの売上高
平均顧客数各月の顧客数の平均値

(3)経営環境
当社は、不動産マーケティングソリューション事業を行っており、当社の主要な顧客は新築マンションデベロッパー、不動産仲介業者、不動産販売事業者、戸建て業者等であり、その大半が不動産業に関わっております。不動産業は、国民生活や経済活動の基礎となる住宅・オフィス・商業施設等の開発・流通・管理等を通じ我が国の豊かな国民生活・経済成長等を支える重要な基幹産業であり、その産業規模は2024年度では売上高58.8兆円であります。(出典:年次別法人企業統計調査(令和6年度)、財務省 財務総合政策研究所)
居住用不動産を取り巻く環境としては、少子高齢化に伴う人口減少の進展や空き家問題の顕在化が中長期的な課題となっております。一方、政府が2026年3月に閣議決定した「住生活基本計画」においては、こうした社会構造の変化を踏まえ、ストック住宅の有効活用や住宅の質の向上、脱炭素化の推進が重視されております。これにより、従来の新築中心の供給から、ストック住宅重視・質重視へと政策の軸足が移行しております。
足元では、雇用・所得環境の改善が見られ、各種政策の効果もあって景気の緩やかな回復が続くことが期待されている中にあって、低金利環境の継続と建築資材や人件費の高騰を受けて新築マンションの平均価格は2022年 6,413万円、2023年 8,118万円、2024年 7,956万円、2025年 9,175万円(首都圏の各年に発売された新築マンションが対象、当社調べ)と堅調な推移を見せております。新築マンションの価格高騰により、中古マンション業界も活況を呈しており、首都圏の中古マンションの価格は、2010年を100とする不動産価格指数において2022年 176.0、2023年 185.4、2024年 197.9、2025年 214.5(南関東圏におけるマンションが対象、出典:国土交通省)と値上がりが続いております。
また、金融政策においては、日本銀行が物価上昇率について中長期的に2%程度の水準を目標としていることを踏まえ、当面は大きな金融引締めが行われない限りにおいて、相対的に緩和的な金融環境が継続する可能性があると認識しております。このような環境のもと、既存住宅流通の拡大が一定程度後押しされるものと考えております。
かかる環境を踏まえ、当社ではプラットフォーム事業において新築マンション事業者(新築マンション領域)向けのサービスと不動産仲介業者(中古マンション領域)向けの両方において売上高及び営業利益の向上を目指してまいります。
(4)経営戦略等
上記の経営環境を踏まえたそれぞれの領域における具体的な経営戦略は以下のとおりであります。
新築マンション領域においては、不動産マーケティングシステムとしてサマリネット及びリアナビを提供しておりますが、これらのサービスは主に用地仕入れや企画・マーケティング部門においてご活用いただいております。用地仕入れ時の事業計画策定、市場調査レポートの作成、競合物件調査等を短時間で行うことができる利便性の高いシステムであることから、新築マンションの年間供給戸数ランキング(2025年度、株式会社不動産経済研究所調べ)における上位20社中19社に導入いただいております。
2021年2月期より、従来クライアントサーバ型システムにて提供しておりました不動産マーケティングシステムの主力サービスである「マンションサマリ」のSaaS型サービスへの切り替えを進め、顧客が場所や端末を選ぶことなく業務を行うことができる環境を整備しております。SaaS型サービスへのリプレイスにより、月額課金制サービスの年間売上高(ARR)の増加を実現しております。さらに、サービスの安定運用とユーザビリティの向上を踏まえ、2026年4月から新価格体系へ移行いたしました。今後はライセンス追加によるARRの獲得やリカーリング商材の利用促進に注力することでARPU(注1)の向上を目指してまいります。また、「マンションサマリ」以外のサービスについても順次SaaS型サービスへリプレイスを進めていく予定です。
中古マンション領域においては、当社が長年収集してきた新築マンションの販売時のコンセプトブックや価格表等のデータを仲介業者向けに提供しております。物件チラシや重要事項説明書の作成、顧客への営業資料作成、広告出稿用の間取図作成、物件査定等にご活用いただいております。類似サービスを提供している競合企業が1社ございますが、サービスのコンセプトが若干異なること及びそれぞれが従量課金制のサービスを提供していることから、共存可能な状況であると認識しております。また、過去に遡って販売当時のデータを収集する事は困難なため、競合企業の新規参入は想定しておりません。
中古マンション領域における今後の成長戦略としては、①契約社数の増加、②サービス拡張及びリカーリング収益向上の二つの軸での成長を見込んでおり、提供コンテンツのラインナップを増やすための新規サービス開発及び新規顧客の開拓、既存顧客へリカーリング推進に注力してまいります。
また上記2領域に加え、新たに賃貸管理会社及び仲介会社向けの賃貸領域への展開を図り、2026年3月に新サービス「賃料査定DX」をリリースいたしました。足元では、物価上昇等の影響を背景として、従来比較的安定的に推移してきた賃貸相場においても上昇傾向が見られており、管理会社及び仲介事業者においては、正確な市場動向の把握及び客観的根拠に基づく賃料査定の重要性が高まっております。
このような事業環境の変化を踏まえ、当社はこれまで蓄積してきた不動産ビッグデータの活用領域を賃貸マンション及びアパート分野へ拡張し、賃料査定や市場分析等の調査業務を効率的かつ一体的に実施可能なサービスを開発いたしました。今後は、GA technologiesグループのイタンジ株式会社が運営する「ITANDI BB」との連携を予定しており、サービス機能の拡充及び顧客基盤の拡大を図ってまいります。
①契約社数の増加について
現在3,662社(2026年2月28日現在)のサービス契約社数を引き上げることにより、データダウンロードサービスの売上拡大を図ってまいります。当サービスを共同運営している株式会社ワンノブアカインドと協力しながら、三大都市圏でのサービス認知度を高めて利用を促進していく方針です。三大都市圏における宅地建物取引業者数は約75,000業者(注2)ございますが、中古マンションの仲介事業を積極的に行っている約36,000業者(注3)をターゲットとして想定しております。
②サービス拡張及びリカーリング収益向上について
データダウンロードサービスの契約社数を増やす活動と並行して、ご利用いただけるコンテンツを追加し顧客単価の向上を図ってまいります。一昨年リリースした「間取図作成サービス」は、高精度の自社所有データに描画処理技術を活用することで、スピーディかつ低コストで広告用間取図を作成できる営業支援サービスです。データダウンロード サービスと本サービスの利用促進を図ることで、中古マンション領域の増収を目指すとともに、引き続き仲介業者様の業務効率向上に貢献するサービスを提供し、プラットフォームの拡充に努めて参ります。
(注)1.ARPUとは、Average Revenue Per Userの略で1ユーザーあたりの平均売上高を指します。
2.一般財団法人不動産適正取引推進機構の公表データから埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県の宅地建物取引業者数を集計しております。
3.三大都市圏において中古マンションの仲介事業者を、当社独自に抽出・集計しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① GA technologiesグループ全体との連携によるシナジー効果の最大化
当社は株式会社GA technologiesのグループ会社となって以降、GA technologiesグループ全体との連携強化を進めております。引き続きシナジー効果を最大化できるよう、最大限の取り組みを推進してまいります。
② 安定的な収益基盤の強化
当社は長年かけて収集・蓄積してきた不動産データベースを不動産業界に提供するプラットフォーム事業を主な事業としております。今後の持続的な成長実現のためには、顧客のニーズにフィットした新たなサービスの開発・提供を通じて収益基盤を一層強化していくことが必須であると考えております。
・プラットフォーム事業
プラットフォーム事業においては、SaaS事業基盤の強化を図ってまいります。具体的には、従来の従量課金コンテンツを標準パッケージ化(インクルード)することで、プロダクトの利用価値を最大化し、ユーザーがコストを気にせず「いつでも、何度でも」使える環境を提供いたします。これにより、提供価値とマッチした新価格体系へ移行し、プラットフォーム事業の増収増益を目指してまいります。また、賃貸系データベースの強化が進み、2026年3月に「賃料査定DX」をリリースいたしました。新築領域、中古領域に加え新たに賃貸領域へとサービスを拡張してまいります。今後も既存プロダクトのサービス拡充及び新規サービスの創出に向けて積極的に取り組んでまいります。
・デジタルマーケティング事業
デジタルマーケティング事業においては、専属のプランニングチームを新たに発足しました。これにより、これまでの属人的な提案から、最新の知見とデータを反映した高品質な提案を平準化してまいります。質の高い提案が案件獲得率を高めることにつながり、これによりデジタルマーケティング事業の増収増益を目指してまいります。
上記を重点施策として取り組むことで、より安定した収益基盤を構築してまいります。
③ 優秀な人材の確保によるシステム開発力の強化
当社サービスの一層の充実を図るうえでは、システム開発力の強化が欠かせません。当社ではシステム開発要員の採用を積極的に実施し、人材の確保をすることで、開発基盤の構築及び開発組織の強化を進めておりますが、現状では十分な開発リソースの確保ができておらず開発の大部分を外注により実施している状況であるため、引き続き採用を継続し、システム開発力の一層の強化と開発業務の効率化を図ってまいります。
当社は、半期毎の人事評価制度の運用改善及び社内研修制度の見直し等により、従業員が主体的かつ柔軟に勤務できる魅力ある職場づくりを推進しております。こうした制度上の改善に加えて、福利厚生制度及びインセンティブの充実により、引き続き優秀な人材の確保及び育成に取り組んでまいります。

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