訂正有価証券届出書(新規公開時)
有報資料
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「エネルギーデータの力で、暮らしの未来を変えていく。」ことをミッションとして、[エネルギー×AI]をコア技術に、エネルギー最適化ソリューションを提供することで、日本で、世界で、カーボンニュートラルの社会実装に挑み続けております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループのエナジー・インフォマティクス事業は、エネルギーデータから多様な価値を創出し、各種サービスをSaaS型で提供するものであります。
従来の売り切り型の収益モデルにおいては、売上高がそのまま成長指標として扱われるのが一般的でありますが、SaaS型収益モデルにおいては、期間ごとの売上・収益を累計していくことにより、事業を成長させるため、売上高だけでは、正しく成長率を捉えることができません。
そこで、当社グループでは、事業の成長率を正しく評価するための基準として、ARR(注1)を経営指標として位置付けております。

注1 ARR(Annual Recurring Revenue):日本語で「年次経常収益」と呼ばれ、毎年繰り返し得られる収益・売上のことをいい、各期末の直前の6か月間のMRR(注2)の平均値を12倍して算出しております。
注2 MRR(Monthly Recurring Revenue):日本語で「月次経常収益」と呼ばれ、毎月繰り返し得られる収益・売上のことをいい、当社グループでは、「プラットフォーム・アプリ提供」に区分される収益・売上に加え、「その他」に区分される収益・売上のうち、繰り返し得られる収益・売上も含んでおります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
経営方針に沿った経営を行うためには、急速な変化を遂げるエネルギー関連業界の中で、(ⅰ)AI(機械学習)を活用したNILM技術や電力利用を管理・最適化する技術、(ⅱ)電力データを利活用するための技術について、進化・革新の積み重ね、及び(ⅲ)社会の課題を解決する新しいサービスを提供することが必要となります。
そこで、当社グループは、以下の3つの経営戦略を推進し、エナジー・インフォマティクス事業のトップブランドとして認知される企業を目指します。
① 次世代スマートメーターによるパラダイムシフトへの取組み
2014年から本格導入が開始された現行スマートメーターについて、2026年から順次新たなメーターへの交換が始まることが決まっております。
2026年からの導入に向けて仕様の策定が進められていた国内の次世代スマートメーターにおいては、その計量部の仕様として、当社の電力データ分析方式と互換性のある計測方式が採用されたことは先述のとおりであります。
これにより、次世代スマートメーターにおける電力データから取得し得る情報量は、現行スマートメーターにおける情報量から飛躍的に向上し、その分析から得られる情報価値も非連続に大きく、また幅広くなり、電力利用効率の最適化のみならず、電力消費者向けに、より安価にIoTのある暮らしを実現するといったような、新たな価値を創造することも可能になります。
これに向けて、当社グループでは、設立以来10年以上に渡り独自に蓄積してきた当該技術方式によるデータの分析ノウハウをさらに高めるとともに、次世代スマートメーターから得られる電力データを活用した電力消費者向けのサービスを拡充することで、電力消費者との接点を拡大し、そこで得られた新たなデータ・ノウハウを活用して、さらに電力消費者向けのサービスを拡充し続けるという好循環を創り出すとともに、このサービスで拡大した電力消費者との接点を活用して、電力事業者向けのサービスを拡充するための技術・サービスの開発に着手しております。
具体的には、高齢化社会に向けた見守り、ヘルスケアサービスの拡充によって、電力領域以外での価値から電力消費者との接点を拡大させ、それと現在の電力消費者向けサービスを融合させた、行動変容型の電力利用効率の最適率化へ向けた技術・サービスの開発にも着手しております。加えて堅牢な電力系統設備を支えるための焼損予兆検知技術・サービスや、広域における需要内訳分析の精度を追求する技術・サービス、また、電力事業者向けデマンドレスポンス(DR)支援サービスから発展したリソースアグリゲーション(RA)向けの技術・サービスの開発にも着手をしております。
さらに、次世代スマートメーターの仕様策定に際して、当社グループ独自の電力波形センサリング技術が日本国のみならず海外でも採用されるための一助として、当社グループでは、経済産業省基準認証局国際電気標準課の委託を受け、国際電機標準会議(IEC)TC85におけるNILMセンサーデバイスの計測グレードに関する国際標準化を推進し、2021年3月には、これがIEC TC85によって採択され、国際標準仕様書IEC TS63297を発行するに至っております。
② アライアンス体制・強化
電力データは、電力データ以外の技術との組み合わせによる新たなサービスの創出が期待されております。
当社グループにおいても、新規事業の創出を目指しておりますが、そのためには、国内外のエネルギー関連企業や、各業界を代表する企業から秘匿性の高いデータを取得することが必要になります。
当社グループでは、東京電力グループや関西電力グループなどを中心としたエネルギー関連企業、株式会社日立製作所、ダイキン工業株式会社、株式会社博報堂DYホールディングスや伊藤忠エネクス株式会社などとアライアンス体制を構築し、秘匿性の高いデータを継続的に取得できる体制を整えておりますが、引き続き、電力データを活用した付加価値創造を成長に結びつけられていない業界・業種を中心に、アライアンス体制の構築・強化に努めてまいります。
③ 海外展開
特に欧州圏においてエネルギー問題への意識が高まっていることから、当社グループは、欧州圏の事業及び技術開発拠点として英国に子会社を設立し、現地企業や日本企業の現地法人との実証実験を行う等、活動領域を拡大させております。
当社グループでは、英国における活動領域をさらに拡大させ、英国だけでなく、欧州圏全体での実績を積み上げることで、海外での本格的な事業展開を推進してまいります。
(4) 経営環境
当社グループが関連するエネルギー業界では、2015年の国連サミットでの持続可能な開発目標(SDGs)の採択や2015年の第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)でのパリ協定の採択以降、世界的な脱炭素化の流れの中で、米国のバイデン大統領は就任した2021年1月20日にトランプ前政権が離脱したパリ協定への復帰を指示し、二酸化炭素などの温室効果ガス排出量を実質的にゼロにする「ゼロエミッション」の目標を改めて掲げました。また、2021年10月31日から2週間に渡って開催された第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)で、2030年までに気温上昇を1.5度に抑制する対策を進めるために必要不可欠な国際ルールが決定し、さらに地球温暖化の最大要因として石炭火力削減方針が初めてCOP決定に明記されるなど、脱炭素化の流れが強まったことを受けて、温室効果ガスの排出を削減するため、太陽光、風力や地熱などの再エネの活用拡大が期待されております。
我が国においても、2020年10月26日に、当時の菅内閣総理大臣が2050年カーボンニュートラルの実現という国際公約を掲げ、気候変動問題に対して国家を挙げて対応する強い決意を表明いたしました。さらに、2021年4月には、当時の菅内閣総理大臣は、地球温暖化対策推進本部及び米国主催の気候サミットにおいて、「2050年目標と整合的で、野心的な目標として、2030年度に、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す。さらに、50%の高みに向けて、挑戦を続けていく」ことを表明いたしました。
それ以降、我が国では、その実現に向けて、グリーン成長戦略、第6次エネルギー基本計画等の各種戦略を策定、また、それらの実行に向けた施策を検討するため、GX実行会議等が開催されましたが、2022年12月22日の第5回GX実行会議において「GX実現に向けた基本方針 ~今後10年を見据えたロードマップ~」が公表され、今後10年を見据えた取組の方針をまとめられた後に、2023年2月10日に閣議決定がなされ、GX基本方針として発表がなされました。
このGX基本方針は、2050年カーボンニュートラルや、2030年度の温室効果ガス排出削減目標の達成に向けた取組を、経済成長の機会として捉え、温室効果ガス排出削減と経済成長・産業競争力向上の同時実現に向けて、経済社会システム全体を変革させるGXの実現に向けた基本方針となっており、脱炭素社会に向けた技術革新や再エネの活用拡大が急務であります。
電力利用効率の最適化という観点から、当社グループが一次ターゲットとしているエネルギーデジタルビジネス/DX関連市場は、2025年度には5,003億円に、2035年には9,092億円に及ぶと見込まれております(出所:株式会社富士経済、エネルギーデジタルビジネス/DX市場の現状と将来展望 2022)。
海外において、特に当社グループが注力している欧州圏では、エネルギー自給率が低いことから、再エネの導入に積極的であり、年間を通して偏西風が吹くという地理的なメリットを活かした風力発電が盛んであります。また、太陽光発電(PV)も世界の他の地域同様に普及しており、再エネ普及率が世界の中でも非常に高くなっております。
一方で、再エネは天候等により出力が大きく変わる可能性があるなど予測が困難なことから、需給バランスの乱れによる停電が発生する可能性があるという懸念や、電力自由化による電気料金の価格変動の可能性などを背景に、電力供給の最適化へ効果を発揮するスマートグリッドの整備は必要不可欠であります。
このスマートグリッドの要素となる技術は、送電網・配電網などの供給側の技術にとどまらず、住宅やオフィスなどの需要側の技術も含まれますが、重要となるのは、需要側の電力データを計測するスマートメーターあるいはこれに代わる電力センサリングシステムであります。
当社グループは、脱炭素化の流れを追い風に、国内外において、エネルギーデジタルビジネス/DX関連市場で成長を続けた後、電力データに新たな価値を創り出すことによってヘルスケア業領域、社会インフラ業領域、公共/教育業領域、インターネット広告市場をはじめとする様々な分野・新市場へ進出してまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 優秀な人材の確保・育成
当社グループの事業は、「エネルギー」と「テクノロジー」を掛け合わせ、最先端のAI技術などでエネルギーデータの価値を導き、脱炭素などに貢献するものであります。そのためには、特に、エネルギー領域とAI技術などのテクノロジー領域の両面に精通した人材を確保し続けていくことが重要であると考えております。
これらの課題に対処するために、当社グループは、積極的な採用活動を行うとともに、従業員に対して当社グループの経験とノウハウに基づく多様かつ有益な研修を計画的に実施していく等、人材の育成に取り組んでまいります。
② 分析技術の強化と特許対策
NILM等、AI関連技術を中核とした分析技術が当社グループの競争力の源泉であることから、継続的な分析技術の強化とともに、他サービスとの差別化を図るべく、分析技術に関する特許権等の知的財産権を積極的に取得し、当社グループの権利の保護を図っていくことが重要であると考えております。
これらの課題に対処するために、当社グループでは、当社グループが保有する知的財産の保護について、知的財産権に精通した人材を確保するとともに、顧問弁理士等との連携を行い、権利化可能な技術について可及的速やかな権利化に取り組んでまいります。
③ アライアンスパートナー戦略
脱炭素化実現のためには、一次的には、エネルギーデータを利活用することで、生活の質を向上させながら、エネルギーの効率的利用を目指している企業、特にエネルギー関連企業とのアライアンスの構築が重要であると考えております。
一方で、脱炭素化実現には、エネルギーの効率的利用にのみ貢献するサービスの提供のみならず、電力+αの付加価値も同時に実現するサービスも提供することで、当社のサービスの普及を促し、当社のサービスを社会基盤(インフラ)化することも重要であると考えております。
これらの課題に対処するために、当社グループでは、エネルギーデータを利活用した付加価値の創造につながるエネルギー関連企業以外とのアライアンスにも積極的に取り組んでまいります。
一例としては、個人情報の取り扱いに対する規制が世界中で厳格化したことに伴い、インターネット上での広告配信において一般的に用いられているCookie(クッキー)(注)の規制が強化され、将来的に使えなくなる可能性が高まっていることを踏まえ、2020年2月より株式会社博報堂DYホールディングスと資本事業提携を行い、NILMデータと世帯嗜好性の相関性分析を共同研究として進めるなど、電力データを利活用したインターネット上での広告配信に向けた準備を進めております。
(注)Cookie(クッキー):WebサイトがスマートフォンやPCの中に保存する情報のこと。
また、2024年5月には、伊藤忠エネクス株式会社のグループ会社である株式会社エネクスライフサービスとともに、簡易電力使用状況見える化サービスである「テラりんアイ(AI)」の提供を開始し、サービスの裾野を広げております。
④ コーポレート・ガバナンス体制及び内部管理体制の強化
当社グループが持続的な成長を続けるためには、コーポレート・ガバナンスのさらなる強化と内部管理体制の強化が重要であると認識しております。コーポレート・ガバナンスに関しては経営の効率化、健全性を確保すべく、監査役会の設置や会計監査及び内部統制システムの整備によりその強化を図っております。また、内部管理体制については、管理部門の増員等、一層の体制強化が必要であると認識しております。
⑤ 財務体質の強化
当社グループは、第10期及び第11期において、営業損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、また、営業キャッシュ・フローもマイナスとなりました。このため、全社での早期黒字化と、営業キャッシュ・フローの改善が課題であると認識しております。このため、当社グループでは、営業活動の推進により、利益を計上できる体制への改善に取り組んでまいります。
加えて、当社グループでは、脱炭素化の流れを最大限に活用し、脱炭素に貢献する技術開発や事業開発などへの積極的な投資を進めるためには、財務体質の強化が重要であると認識しております。これまでも、2013年6月、2017年10月、2019年12月、2020年2月、2020年6月、2021年12月及び2023年6月の第三者割当増資により自己資本の充実を図り、自己資本比率の改善に取り組んでまいりました。今後も、既存事業の営業キャッシュ・フローの改善に注力し、財務体質の強化に努めてまいります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「エネルギーデータの力で、暮らしの未来を変えていく。」ことをミッションとして、[エネルギー×AI]をコア技術に、エネルギー最適化ソリューションを提供することで、日本で、世界で、カーボンニュートラルの社会実装に挑み続けております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループのエナジー・インフォマティクス事業は、エネルギーデータから多様な価値を創出し、各種サービスをSaaS型で提供するものであります。
従来の売り切り型の収益モデルにおいては、売上高がそのまま成長指標として扱われるのが一般的でありますが、SaaS型収益モデルにおいては、期間ごとの売上・収益を累計していくことにより、事業を成長させるため、売上高だけでは、正しく成長率を捉えることができません。
そこで、当社グループでは、事業の成長率を正しく評価するための基準として、ARR(注1)を経営指標として位置付けております。

注1 ARR(Annual Recurring Revenue):日本語で「年次経常収益」と呼ばれ、毎年繰り返し得られる収益・売上のことをいい、各期末の直前の6か月間のMRR(注2)の平均値を12倍して算出しております。
注2 MRR(Monthly Recurring Revenue):日本語で「月次経常収益」と呼ばれ、毎月繰り返し得られる収益・売上のことをいい、当社グループでは、「プラットフォーム・アプリ提供」に区分される収益・売上に加え、「その他」に区分される収益・売上のうち、繰り返し得られる収益・売上も含んでおります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
経営方針に沿った経営を行うためには、急速な変化を遂げるエネルギー関連業界の中で、(ⅰ)AI(機械学習)を活用したNILM技術や電力利用を管理・最適化する技術、(ⅱ)電力データを利活用するための技術について、進化・革新の積み重ね、及び(ⅲ)社会の課題を解決する新しいサービスを提供することが必要となります。
そこで、当社グループは、以下の3つの経営戦略を推進し、エナジー・インフォマティクス事業のトップブランドとして認知される企業を目指します。
① 次世代スマートメーターによるパラダイムシフトへの取組み
2014年から本格導入が開始された現行スマートメーターについて、2026年から順次新たなメーターへの交換が始まることが決まっております。
2026年からの導入に向けて仕様の策定が進められていた国内の次世代スマートメーターにおいては、その計量部の仕様として、当社の電力データ分析方式と互換性のある計測方式が採用されたことは先述のとおりであります。
これにより、次世代スマートメーターにおける電力データから取得し得る情報量は、現行スマートメーターにおける情報量から飛躍的に向上し、その分析から得られる情報価値も非連続に大きく、また幅広くなり、電力利用効率の最適化のみならず、電力消費者向けに、より安価にIoTのある暮らしを実現するといったような、新たな価値を創造することも可能になります。
これに向けて、当社グループでは、設立以来10年以上に渡り独自に蓄積してきた当該技術方式によるデータの分析ノウハウをさらに高めるとともに、次世代スマートメーターから得られる電力データを活用した電力消費者向けのサービスを拡充することで、電力消費者との接点を拡大し、そこで得られた新たなデータ・ノウハウを活用して、さらに電力消費者向けのサービスを拡充し続けるという好循環を創り出すとともに、このサービスで拡大した電力消費者との接点を活用して、電力事業者向けのサービスを拡充するための技術・サービスの開発に着手しております。
具体的には、高齢化社会に向けた見守り、ヘルスケアサービスの拡充によって、電力領域以外での価値から電力消費者との接点を拡大させ、それと現在の電力消費者向けサービスを融合させた、行動変容型の電力利用効率の最適率化へ向けた技術・サービスの開発にも着手しております。加えて堅牢な電力系統設備を支えるための焼損予兆検知技術・サービスや、広域における需要内訳分析の精度を追求する技術・サービス、また、電力事業者向けデマンドレスポンス(DR)支援サービスから発展したリソースアグリゲーション(RA)向けの技術・サービスの開発にも着手をしております。
さらに、次世代スマートメーターの仕様策定に際して、当社グループ独自の電力波形センサリング技術が日本国のみならず海外でも採用されるための一助として、当社グループでは、経済産業省基準認証局国際電気標準課の委託を受け、国際電機標準会議(IEC)TC85におけるNILMセンサーデバイスの計測グレードに関する国際標準化を推進し、2021年3月には、これがIEC TC85によって採択され、国際標準仕様書IEC TS63297を発行するに至っております。
② アライアンス体制・強化
電力データは、電力データ以外の技術との組み合わせによる新たなサービスの創出が期待されております。
当社グループにおいても、新規事業の創出を目指しておりますが、そのためには、国内外のエネルギー関連企業や、各業界を代表する企業から秘匿性の高いデータを取得することが必要になります。
当社グループでは、東京電力グループや関西電力グループなどを中心としたエネルギー関連企業、株式会社日立製作所、ダイキン工業株式会社、株式会社博報堂DYホールディングスや伊藤忠エネクス株式会社などとアライアンス体制を構築し、秘匿性の高いデータを継続的に取得できる体制を整えておりますが、引き続き、電力データを活用した付加価値創造を成長に結びつけられていない業界・業種を中心に、アライアンス体制の構築・強化に努めてまいります。
③ 海外展開
特に欧州圏においてエネルギー問題への意識が高まっていることから、当社グループは、欧州圏の事業及び技術開発拠点として英国に子会社を設立し、現地企業や日本企業の現地法人との実証実験を行う等、活動領域を拡大させております。
当社グループでは、英国における活動領域をさらに拡大させ、英国だけでなく、欧州圏全体での実績を積み上げることで、海外での本格的な事業展開を推進してまいります。
(4) 経営環境
当社グループが関連するエネルギー業界では、2015年の国連サミットでの持続可能な開発目標(SDGs)の採択や2015年の第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)でのパリ協定の採択以降、世界的な脱炭素化の流れの中で、米国のバイデン大統領は就任した2021年1月20日にトランプ前政権が離脱したパリ協定への復帰を指示し、二酸化炭素などの温室効果ガス排出量を実質的にゼロにする「ゼロエミッション」の目標を改めて掲げました。また、2021年10月31日から2週間に渡って開催された第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)で、2030年までに気温上昇を1.5度に抑制する対策を進めるために必要不可欠な国際ルールが決定し、さらに地球温暖化の最大要因として石炭火力削減方針が初めてCOP決定に明記されるなど、脱炭素化の流れが強まったことを受けて、温室効果ガスの排出を削減するため、太陽光、風力や地熱などの再エネの活用拡大が期待されております。
我が国においても、2020年10月26日に、当時の菅内閣総理大臣が2050年カーボンニュートラルの実現という国際公約を掲げ、気候変動問題に対して国家を挙げて対応する強い決意を表明いたしました。さらに、2021年4月には、当時の菅内閣総理大臣は、地球温暖化対策推進本部及び米国主催の気候サミットにおいて、「2050年目標と整合的で、野心的な目標として、2030年度に、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す。さらに、50%の高みに向けて、挑戦を続けていく」ことを表明いたしました。
それ以降、我が国では、その実現に向けて、グリーン成長戦略、第6次エネルギー基本計画等の各種戦略を策定、また、それらの実行に向けた施策を検討するため、GX実行会議等が開催されましたが、2022年12月22日の第5回GX実行会議において「GX実現に向けた基本方針 ~今後10年を見据えたロードマップ~」が公表され、今後10年を見据えた取組の方針をまとめられた後に、2023年2月10日に閣議決定がなされ、GX基本方針として発表がなされました。
このGX基本方針は、2050年カーボンニュートラルや、2030年度の温室効果ガス排出削減目標の達成に向けた取組を、経済成長の機会として捉え、温室効果ガス排出削減と経済成長・産業競争力向上の同時実現に向けて、経済社会システム全体を変革させるGXの実現に向けた基本方針となっており、脱炭素社会に向けた技術革新や再エネの活用拡大が急務であります。
電力利用効率の最適化という観点から、当社グループが一次ターゲットとしているエネルギーデジタルビジネス/DX関連市場は、2025年度には5,003億円に、2035年には9,092億円に及ぶと見込まれております(出所:株式会社富士経済、エネルギーデジタルビジネス/DX市場の現状と将来展望 2022)。
海外において、特に当社グループが注力している欧州圏では、エネルギー自給率が低いことから、再エネの導入に積極的であり、年間を通して偏西風が吹くという地理的なメリットを活かした風力発電が盛んであります。また、太陽光発電(PV)も世界の他の地域同様に普及しており、再エネ普及率が世界の中でも非常に高くなっております。
一方で、再エネは天候等により出力が大きく変わる可能性があるなど予測が困難なことから、需給バランスの乱れによる停電が発生する可能性があるという懸念や、電力自由化による電気料金の価格変動の可能性などを背景に、電力供給の最適化へ効果を発揮するスマートグリッドの整備は必要不可欠であります。
このスマートグリッドの要素となる技術は、送電網・配電網などの供給側の技術にとどまらず、住宅やオフィスなどの需要側の技術も含まれますが、重要となるのは、需要側の電力データを計測するスマートメーターあるいはこれに代わる電力センサリングシステムであります。
当社グループは、脱炭素化の流れを追い風に、国内外において、エネルギーデジタルビジネス/DX関連市場で成長を続けた後、電力データに新たな価値を創り出すことによってヘルスケア業領域、社会インフラ業領域、公共/教育業領域、インターネット広告市場をはじめとする様々な分野・新市場へ進出してまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 優秀な人材の確保・育成
当社グループの事業は、「エネルギー」と「テクノロジー」を掛け合わせ、最先端のAI技術などでエネルギーデータの価値を導き、脱炭素などに貢献するものであります。そのためには、特に、エネルギー領域とAI技術などのテクノロジー領域の両面に精通した人材を確保し続けていくことが重要であると考えております。
これらの課題に対処するために、当社グループは、積極的な採用活動を行うとともに、従業員に対して当社グループの経験とノウハウに基づく多様かつ有益な研修を計画的に実施していく等、人材の育成に取り組んでまいります。
② 分析技術の強化と特許対策
NILM等、AI関連技術を中核とした分析技術が当社グループの競争力の源泉であることから、継続的な分析技術の強化とともに、他サービスとの差別化を図るべく、分析技術に関する特許権等の知的財産権を積極的に取得し、当社グループの権利の保護を図っていくことが重要であると考えております。
これらの課題に対処するために、当社グループでは、当社グループが保有する知的財産の保護について、知的財産権に精通した人材を確保するとともに、顧問弁理士等との連携を行い、権利化可能な技術について可及的速やかな権利化に取り組んでまいります。
③ アライアンスパートナー戦略
脱炭素化実現のためには、一次的には、エネルギーデータを利活用することで、生活の質を向上させながら、エネルギーの効率的利用を目指している企業、特にエネルギー関連企業とのアライアンスの構築が重要であると考えております。
一方で、脱炭素化実現には、エネルギーの効率的利用にのみ貢献するサービスの提供のみならず、電力+αの付加価値も同時に実現するサービスも提供することで、当社のサービスの普及を促し、当社のサービスを社会基盤(インフラ)化することも重要であると考えております。
これらの課題に対処するために、当社グループでは、エネルギーデータを利活用した付加価値の創造につながるエネルギー関連企業以外とのアライアンスにも積極的に取り組んでまいります。
一例としては、個人情報の取り扱いに対する規制が世界中で厳格化したことに伴い、インターネット上での広告配信において一般的に用いられているCookie(クッキー)(注)の規制が強化され、将来的に使えなくなる可能性が高まっていることを踏まえ、2020年2月より株式会社博報堂DYホールディングスと資本事業提携を行い、NILMデータと世帯嗜好性の相関性分析を共同研究として進めるなど、電力データを利活用したインターネット上での広告配信に向けた準備を進めております。
(注)Cookie(クッキー):WebサイトがスマートフォンやPCの中に保存する情報のこと。
また、2024年5月には、伊藤忠エネクス株式会社のグループ会社である株式会社エネクスライフサービスとともに、簡易電力使用状況見える化サービスである「テラりんアイ(AI)」の提供を開始し、サービスの裾野を広げております。
④ コーポレート・ガバナンス体制及び内部管理体制の強化
当社グループが持続的な成長を続けるためには、コーポレート・ガバナンスのさらなる強化と内部管理体制の強化が重要であると認識しております。コーポレート・ガバナンスに関しては経営の効率化、健全性を確保すべく、監査役会の設置や会計監査及び内部統制システムの整備によりその強化を図っております。また、内部管理体制については、管理部門の増員等、一層の体制強化が必要であると認識しております。
⑤ 財務体質の強化
当社グループは、第10期及び第11期において、営業損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、また、営業キャッシュ・フローもマイナスとなりました。このため、全社での早期黒字化と、営業キャッシュ・フローの改善が課題であると認識しております。このため、当社グループでは、営業活動の推進により、利益を計上できる体制への改善に取り組んでまいります。
加えて、当社グループでは、脱炭素化の流れを最大限に活用し、脱炭素に貢献する技術開発や事業開発などへの積極的な投資を進めるためには、財務体質の強化が重要であると認識しております。これまでも、2013年6月、2017年10月、2019年12月、2020年2月、2020年6月、2021年12月及び2023年6月の第三者割当増資により自己資本の充実を図り、自己資本比率の改善に取り組んでまいりました。今後も、既存事業の営業キャッシュ・フローの改善に注力し、財務体質の強化に努めてまいります。