有価証券報告書-第30期(2023/01/01-2023/12/31)

【提出】
2024/03/28 15:00
【資料】
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【項目】
111項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、ビジョンとして「時代の顔を創る」を掲げ、この企業理念のもと、日々複雑に変化する市場に対し「価値のある商品の提供」を通じ当社でしか出来ない事にチャレンジし、それぞれが「その時代の記憶となる商品」の提供、並びに、そのユニークな発想とグローバルな視点から新たなライフスタイルの創造の世界への発信に取り組んでおります。ストラテジーとしては「プレミアムラグジュアリーブランドの創造」を掲げ、ハイエンドに向けてプレミアムライフスタイルを提供するブランドの創造を図ることでビジョンの実現に取り組んでおります。
また、当社は、「ゴルフに、自由を」をミッションとして、ゴルフという伝統的なスポーツに革命を起こすべく、当社の強みである高いクリエイティブと自由な発想を通じゴルフの自由化を進めます。そのマインドはファッションだけに留まらずリニューアルしたスポーツとして社会に訴求し「ゴルフに、自由を」というメッセージを、日本からアジアへ、そして世界へ発信してまいります。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
企業価値を継続的に拡大することが重要であると考え、売上高、売上総利益及び営業利益を重要な経営指標としております。下記「(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」を解決することにより、これらの指標の向上を図ってまいります。
(3) 経営環境
当社の経営に影響を与える大きな要因としては、市場動向、経済情勢等に加え、当社の取り扱う商品であるゴルフ関連の衣料品及び雑貨等に関連するものとして、ゴルフマーケットやパーソナルラグジュアリー市場(※)の動向があります。
株式会社矢野経済研究所「2023年版ゴルフ産業白書」(2023年8月25日発行)によれば、日本国内における2023年のゴルフ用品・ウェア市場規模は、約1,600億円と前年比では1.7%増の見込、Arizton Advisory & Intelligence「GOLF PRODUCTS MARKET GLOBAL OUTLOOK & FORECAST 2020-2025」(2019年12月発表)によれば、世界全体における2021年のゴルフ用品・ウェア市場規模は、約69.5億米ドルと前年比では3.2%増見込の状況にあり、新型コロナウイルス感染症の影響で、一時的に減速したものの、改めてゴルフは密を回避しながらプレーできるスポーツとして再注目されており、今後もゴルフ用品・ウェア市場は成長していくものと想定しております。
このような市場の状況の中で、新規にゴルフ用品・ウェア市場に参入する業者も増加傾向にありますが、富裕層に向けたゴルフ関連の衣料品及び雑貨等に関する専業ブランドとしてのMARK&LONAが構築してきたブランド力は一朝一夕に生み出すことができるものではなく、新規参入業者や従前からゴルフ用品・ウェアを展開している他社との間においての競争優位性を保持できているものと認識しております。
また、Euromonitor International Ltd.より取得したデータ(2022年7月発表)によれば2021年のパーソナルラグジュアリー市場規模は、日本国内では約3兆140億円と前年比では10.8%増、世界全体では約3,496億米ドルと前年比16.5%増と年々成長しており、今後もパーソナルラグジュアリー市場は成長していくものと想定しております。
当該市場の状況の中で、当社におきましては、店舗展開やEC展開を通じた顧客基盤を構築し、国内外における卸売基盤を整備することで、下記「(4) 中長期的な会社の経営戦略」の実現に向けて事業活動を進めております。
(※) パーソナルラグジュアリー市場:デザイナーアパレルとフットウェア、ラグジュアリーアイウェア、ラグジュアリージュエリー、ラグジュアリーレザーグッズ、ラグジュアリーポータブルコンシューマーエレクトロニクス、ラグジュアリー時計、ラグジュアリーステーショナリー、スーパープレミアムビューティーとパーソナルケアを対象とした市場
(4) 中長期的な会社の経営戦略
当社は、これまで日本・韓国を中心に創り上げてきたブランディングを武器に、それをより強固なものとし、D2C(※1)とDX(※2)を極めた次世代アパレルの理想形を目指してまいります。
具体的には、ブランディングの一層の追求と売上・利益拡大の両立を実現すべく、当社の強みでもあるクリエイティビティ(※3)の向上と、デジタルマーケティングによる顧客接点の強化(※4)を通じたECチャネルを主とした国内外での新規売上の増大、過去のデータ分析に基づく需給予測を通じた枯渇感の醸成による商品のプロパー消化比率(※5)の向上、を以下の戦略により実現してまいります。
(※1) D2C:Direct to Consumerの略。自ら企画、生産した商品を広告代理店や小売店を挟まず、消費者とダイレクトに取引する販売方法。
(※2) DX :Digital Transformationの略。企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること。
(※3) クリエイティビティはターゲティング、アイデア、デザイン、人材という各要素をデジタルに連携させ、クリエイティブな商品を生み出すための一連の活動をいい、当社のブランディングを支える強みであります。ターゲティングについては、富裕層や次世代向け等、デジタルを駆使した細かなターゲティングを行います。アイデアについては、クリエイティブディレクターである代表取締役社長CEO松村智明を中心にストーリー性のあるテーマを毎シーズン打ち出し、幅広いジャンルにおけるコラボレーションをしながらアイデアを創出しております。デザインについては、ゴルフというマーケットにおいて革新的なスカルアイコンをはじめとした先鋭的で独創的なデザインや、商品のリメイクや環境にも配慮した素材活用を通じたサステナブルでエシカルなデザイン等、見た目に映るデザインだけではなく、ストーリー性のあるアイデアを具現化し市場に向けて提案しております。以上の一連の活動を支える人材面については、ターゲティング結果、アイデアやデザイン等を常に共有できる仕組みをクラウド上に構築し、経験豊富なクリエイティブチームにより高いデザイン力を発揮できる体制を構築しております。
(※4) デジタルマーケティングによる顧客接点の強化については、認知訴求、顧客体験の強化、ロイヤル化を通じて実現しております。認知訴求については、当社アンバサダーの露出やWebマーケティング、各種SNSマーケティングにより、当社の認知を高めております。顧客体験の強化については、当社ECサイトへ流入してきた潜在的顧客に対してバーチャルショップ(Web上で当社の店舗を3Dで表現したショップ)での店舗への擬似訪問体験、UI(ユーザーインターフェースの略。ユーザーとの間に現れるサービスや製品の外観のこと)/UX(ユーザーエクスペリエンスの略。ユーザーが製品やサービスを通して得られる体験や経験のこと)の向上により、当社の商品への興味関心を創出しております。ロイヤル化については、当社商品を購入した顧客に対してExclusive Memberとしての当社会員制度の提供、公式アプリでの継続したコンテンツの配信、リターゲティングとして広告やメールマガジンの継続的な配信を通じて顧客化を推進しております。
(※5) プロパー消化比率:販売した商品のうち定価で販売した商品の割合。大量生産は大量の在庫、廃棄を生み、利益率は下がる傾向にあるため、当社では過去のデータ分析を通じて需給を見込み、高い在庫回転率を実現、値下げを極力せずに高収益率を実現するとともに、枯渇感を適度に醸成しながらブランド価値を高めております。
① DXによるグローバル展開
海外に向けたアプリや動画配信等デジタルを中心とした戦略的なマーケティング投資を通じ、GLOBAL EC(越境EC)での顧客獲得と販売拡大を図り、また、WEB上での展示会開催やSNS等のデジタルB2Bツールを駆使し、海外WHOLESALE(卸売)展開を通じ世界各国でのマーケティング強化を図り、グローバルチャネルの確立を図ってまいります。また、オフライン(実店舗)・オンライン(EC)の販売チャネルの融合を図り、集客・販売力の強化を図るため、GLOBAL ECの購買データを活用し、海外におけるOMO(※6)STORE候補地を選定、海外展開し顧客接点の構築を強化してまいります。
(※6) OMO:Online Merges with Offlineの略。オンラインとオフラインを融合させて、新たな顧客体験を生み出すこと。
② MARK&LONAブランドの深化
MARK&LONAブランドを世界に向けて発信するとともに、強固なブランドのポジションを築くため、ラグジュアリーブランドにふさわしい路面店や大型店舗の出店開発を行ってまいります。また、富裕層や次世代等顧客のライフスタイルや多様性に対応したGENERAL、CODE、ALARMといったMARK&LONAブランドとしてのカテゴリーを強化し、新規ジャンルの開拓を進めてまいります。
③ コラボレーションによるブランド開発
当社のクリエイティブを軸として、世界の優れた企業やブランドとコラボレーションを行い、新規カテゴリーの開発として環境に配慮したサンケア等コスメ関連商品や、アイウェアなどの展開してまいります。
④ 人材への戦略投資
クリエイティビティ、デジタルマーケティング、データアナリティクスといった、当社の強みを支え、戦略を遂行していくための人材を積極的に採用するとともに、人材育成を進めてまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 品質管理について
商品の品質管理には万全の体制を敷いていますが、予測しえない品質上のトラブルや製造物責任に起因する事故が生じた場合は、企業イメージが損なわれ、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があるため、企画・生産管理業務を中心とした商品開発プロセスの継続した改善を行ってまいります。仮に、品質管理上の問題が生じた場合には、事実の徹底究明と法令等に準じた対応を速やかに進めてまいります。
② 海外事業について
当社ブランドを世界に認知させていくことを目的として、グローバルな視点でマーケティングを展開していく必要があり、海外ECの展開、新規出店や販売パートナーの開拓等、海外における事業展開を進めてまいります。
③ 出店政策について
中期的な事業計画の骨子の一つとして、新規出店計画を策定しておりますが、商業施設や百貨店が店舗展開方針を変更するなどの事情により、計画に沿って新規出店を行うことができない場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があるため、出店候補地周辺の商圏環境や立地条件、店舗損益予測等の分析を行いつつ、期間限定のポップアップストアの展開を通じて消費者の動向を把握しながら、主要都市の商業施設・百貨店や路面店に集中的に出店し、アセットライトに利益体質化を実現してまいります。
④ 人材戦略について
適切にビジネスを展開していくために、当社ブランドを理解した人材育成と、継続的な採用を進めてまいります。
⑤ 財務基盤の強化
当社は、現時点において財務上の課題は認識しておりませんが、継続的かつ安定的な事業の拡大を図る上では、手許資金の流動性確保や金融機関との良好な取引関係が重要であると考えております。このため、一定の内部留保の確保や費用対効果の検討による各種コストの見直しを継続的に行うことで、財務基盤の強化を図ってまいります。