訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2022/12/13 15:00
【資料】
PDFをみる
【項目】
131項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は以下を経営方針として掲げております。
「世の中を変革する台風の目になる」というビジョンのもと、時代の流れを見極め、成長市場に合わせたプラットフォーム型のサービスを複数展開していくことで、「世の中を変革」していくことが当社の使命であると考えております。
(2) 経営環境
当社の企業構造、主要サービス、顧客基盤は、「3[事業の内容]」に記載しております。当社の重要な経営環境として「①業界の変革×②オンラインでのリード獲得」があげられます。
①業界の変革
当社が属する広告業界は、インターネットやスマートフォンの普及後、従来のマス広告からインターネット広告へと広告業界は変革期に入り、株式会社電通が発表した「2021年 日本の広告費」によると、インターネット広告費27,052億円(前年比121.4%)で総広告費に対する割合は39.8%と変化しており、この傾向は継続されると予測されております。この変革期の中心にインターネット広告が存在し、当社メディアレーダーおよびトラミーが属しており、今後も成長が見込めると考えております。また、インターネット広告に属するインフルエンサーマーケティング市場につきましては、当社「トラミー」が属しております。少数の発信力の高いインフルエンサーを活用するサービスや広告主とインフルエンサーを直接つなぐサービスが存在する中で、当社「トラミー」は、多くの一般会員を当社がディレクションしサービス提供することで類似サービスと差別化を図っており売上規模も拡大しております。株式会社サイバー・バズが2020年10月に発表した「国内ソーシャルメディアマーケティングの市場動向調査」によると、インフルエンサーマーケティング市場は2025年には723億円の市場に達すると予測されており、今後もトラミーの成長が見込めると考えております。また、当社ではメディアレーダーを運営している為、トラミーをはじめとしたその他マーケティング支援サービスにおいても、メディアレーダーを活用することで、金銭的なコストをかけずリード獲得が可能なため、競争の激しいインターネット広告市場においても競争優位性がありシェア拡大を図ります。
②オンラインでのリード獲得
BtoBの分野でもサービスの販売に向けて、リード獲得するサービスがさまざまな誕生しており、当社の提供するメディアレーダーは広告業界に特化したリード獲得サービスとなっております。当社メディアレーダーが属する国内デジタルマーケティング関連サービス市場の予測としましては、IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社が2021年12月に掲載した「国内デジタルマーケティング関連サービス市場予測を発表」によると、2020年の国内デジタルマーケティング関連サービス市場は、前年比2.6%増の4,305億円となりました。2020年~2025年の年間平均成長率(CAGR:Compound Average Growth Rate)は7.2%、2025年の市場規模は6,102億円になる見込みと市場予測されており、「サービス事業者は、顧客接点を起点とした変革を進める手段としてデジタルマーケティングを用い、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を横断的に支援すべきである」と述べており、競争が激化し変革期である広告業界向けのオンラインリード獲得サービスは、サービス事業者において顧客接点の起点となる必要不可欠なサービスであり、当社「メディアレーダー」が先行して広告・マーケティング業界のリードジェン(注1)市場を開拓し売上規模を拡大しており、今後も成長が見込めると考えております。
(注1)リードジェンとは、見込み顧客を獲得するための活動をいいます。
(3) 経営戦略等
当社が今後更なる成長を遂げるためには、「(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の事項へ対応していくことが経営戦略上、重要であると認識しております。そのため当社は、自社サービスの強化・向上や優秀な人材の採用、教育を通じた組織体制の整備を行い、広告・マーケティング業界のリードジェン市場の開拓とクライアントニーズに対応できる新たなマーケティング手法の開発、さらに既存事業で培ったノウハウを他業界へ横展開させることで、事業拡大を図る方針です。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社の重視する経営指標は売上高成長率と売上総利益率を指標としております。2018年12月期から2021年12月期までの当該指標の推移は以下の表のとおりとなります。
2018年12月期2019年12月期2020年12月期2021年12月期
売上高成長率16.1%10.7%26.5%32.8%
売上総利益率79.7%84.7%88.5%88.9%

高収益で成長しているメディアレーダーおよびトラミーの販売を引き続き拡大していくための指標として、メディアレーダー「平均リード単価(注1)」「課金ダウンロード数(注2)」、トラミー「案件数」「案件単価」が当面、最も重要な経営管理指標と考えており、2019年12月期から2021年12月期までの当該指標の推移は以下の表のとおりとなります。また、主要サービス以外の新たなマーケティング手法やサービスの成長も経営の安定化及び企業価値の増大に不可欠であり、事業の柱となる複数のマッチングプラットフォームサービスの運営を重要な目標として事業活動を推進しております。
2019年12月期2020年12月期2021年12月期
平均リード単価2,000円2,000円2,151円
課金ダウンロード数66,077件93,250件109,215件
案件数426件515件628件
案件単価378千円398千円432千円

(注1)平均リード単価は、資料ダウンロードによるリード提供の平均単価としております。
(注2)課金ダウンロード数は、資料ダウンロードによるリード提供で発生したリード数としております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
自社サービスの販売は、他社サービスの代理販売と比較し、利益率の高い商品であるため、事業上及び財務上の改善に繋がるため、メディアレーダーおよびトラミーにおいて、自社サービスとしてのオリジナルの展開を強化することで、当社でしか提供できない価値をクライアント企業へ提供し、当社の競争力を高めていくことが重要であると考えております。
①メディアレーダーの強化
メディアレーダーのさらなる事業成長、「広告業界のインフラへ」というビジョンの実現にむけて、前事業年度にリリースした「リード入札機能(注3)」および「セミナーイベント」、本事業年度にリリースした「一括ダウンロード機能(注4)」「動画掲載機能(注5)」をそれぞれ普及・拡大させ、会員となる広告主や広告代理店に対してサービス認知度をさらに高めることで、サービスの利用を促進する必要があると考えております。
(注3)掲載社自ら資料ダウンロードや動画視聴された際のリード単価をそれぞれ設定(資料リードの単価は@2,000円~@10,000円、動画リードは@3,000円~@10,000円)することで露出を高めるなどが可能な機能です。
(注4)掲載社が一括ダウンロードでの資料露出を希望した場合に、一括ダウンロード可能な資料としてサイト上で露出される機能です。会員はカテゴリ別やキーワードごとに一括ダウンロード可能な資料についてはまとめてダウンロードすることが可能となりました。
(注5)掲載社が動画を掲載できる機能で、会員が動画視聴した際にリード獲得できる機能となります。
②トラミーの強化
トラミーのさらなる事業成長にむけて、既存クライアントに対するリピート案件の獲得および新規クライアントに対する案件の獲得を目的としたリード獲得、1案件あたりの取引単価の向上を目的とした営業教育を継続的に実施していく必要があると考えております。今後も引き続き、主要代理店取引を伸ばしつつ、クライアントへ直接販売する販売ルートも強化するとともに、現状のクライアントの多くが属するコスメ業界に加え、様々な業界に属するクライアントと幅広く取引できるよう案件の拡大および取引単価の向上を図ってまいります。
③ 特許出願
当社は、「模造サイトへの防衛」および「更なる成長を図る」ために自社サービスで独自開発予定の技術を、専門家に相談の上で特許出願可能なものは特許出願を進める意向でおります。
④ 組織体制、販売管理体制の整備
当社は、成長フェーズにあった組織体制の確立と優秀な人材の確保、また確保した人員の早期育成の仕組みが不可欠だと考えております。採用活動の強化を図るとともに、社内研修制度、販売管理体制の仕組みの確立を行ってまいります。
⑤ 情報管理体制の強化
当社は、会員の個人情報を多く取得しており、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。具体的には個人情報管理規程を制定し、その取得・提供・管理についての方針を定めております。また、個人情報取扱のアクセス権限者を限定したうえで、アクセスログについても取得し、不正なアクセスがないか随時モニタリングを実施しております。また、個人情報以外のパーソナルデータとして、cookie情報や行動履歴情報等の取扱いについても、日本インタラクティブ広告協会(JIAA)の「行動ターゲティング広告ガイドライン」を遵守した取扱いを実施しております。
これらの施策により個人情報の取扱い等の管理を徹底しておりますが、今後も社内教育・研修の実施やシステム整備などを継続的に行ってまいります。
⑥ 内部管理体制の強化
当社は成長段階にあり、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。このため、当社といたしましては、内部監査室、監査役会、リスク・コンプライアンス委員会を設置し、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んでまいります。
⑦ 広告審査体制の整備
当社の各事業における広告審査体制としては、マニュアルを制定し、その審査・提供・管理についての方針を定めております。さらに、広告・投稿審査ツールを利用することにより、網羅的に法令違反の可能性がある投稿を広くピックアップし、ツールからアラートが上がった投稿に対して、社内チェックに加え、必要に応じて弁護士への確認を行っており、当社の広告・投稿審査体制は十分な実行性を確保すべく取り組んでおります。
⑧ 法規制等の変動に対応する社内体制
当社の事業は、広告関連法令、インターネット広告業界の自主規制、各種SNSプラットフォーム規約等の制約を受けますが、それら規制の改正、変更等の事業環境の変化に迅速に対応するため、各事業部と管理部門が連携して情報の収集、分析、管理を行っております。また、規制等の変更に伴い対応が必要である際は、社内への周知、教育等によりその徹底を図っており、これら対応を継続的に行ってまいります。
⑨ 財務基盤の確立と安定的な配当
当社は、未だ成長フェーズの過程にあることから、事業規模の拡大、競争力の確保及び財務体質の強化に向けた内部留保の充実が将来に向けた株主価値の最大化に資すると考え、これまで配当を実施しておらず、今後においても将来への事業規模の拡大に向けた人材や設備に資金を投じながら、財務体質の強化も視野に入れつつ、必要な内部留保を確保することを基本方針としておりますが、株主への利益還元も重要な課題として、配当実施時期の検討についても継続的に取り組んでまいります。