有価証券報告書-第17期(2025/07/01-2026/06/30)
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における総資産は5,135百万円となり、前事業年度末と比較して717百万円増加いたしました。流動資産は4,607百万円となり、444百万円増加いたしました。これは主に契約資産が664百万円、その他に含まれる前払金が212百万円増加した一方で、現金及び預金が348百万円、売掛金が116百万円減少したことによるものであります。固定資産は527百万円となり、272百万円増加いたしました。これは主に本社移転に伴い建物附属設備が142百万円、その他に含まれる敷金及び保証金が112百万円、工具、器具及び備品が68百万円増加した一方で、ソフトウエアが40百万円減少したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債は843百万円となり、前事業年度末と比較して365百万円増加いたしました。流動負債は843百万円となり、365百万円増加いたしました。これは主に、契約負債が173百万円、未払法人税等が87百万円、買掛金が48百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は4,291百万円となり、前事業年度末と比較して351百万円増加いたしました。これは主に当期純利益の計上により利益剰余金が345百万円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善を背景とした個人消費の持ち直しや、旺盛な設備投資需要により、緩やかな回復基調で推移いたしました。地政学リスクの高まりが見られた中東情勢については、米国・イラン間の暫定合意により情勢の緩和が進みエネルギー供給の安定化が期待されるものの、依然として先行きを注視していく必要があります。
エネルギー価格の変動の影響を大きく受ける電力に関しては、EVの普及やIT機器の利活用等により今後も旺盛な需要が続くと見込まれ、一層の安定的かつ経済的な供給体制が求められております。昨今は生成AIの需要の高まりに伴い、大規模な電力消費を伴うデータセンターの設置や増強が加速しております。また、大量のデータを必要とする社会全体のデジタル化に伴い、製造に膨大な電力を必要とする半導体の需要も急速に増加しております。電力広域的運営推進機関によると、データセンターや半導体工場の新増設に伴う需要電力量は2035年度までに568億kWh増加し、電力需要全体でも増加の見通しとなっております(出典:全国及び供給区域ごとの需要想定(2026年度)、2026年1月21日公表)。
このような状況下、当社は電力会社に対して、AI技術や数理最適化技術を用いた電力需給計画の最適化を提供しており、AIエンジン開発、システム開発、運用・サポートまで一貫したサービスを展開し、電力会社のエネルギー消費量の削減を実現してまいりました。今後も電力会社におけるサービス拡大を進めつつ、大口需要家に対しても蓄電池の充放電最適化のシステムを搭載した蓄電所を開発・提供し、社会全体のエネルギー消費量の削減に貢献してまいります。
また、製造・運輸、都市・交通分野にも注力し、配船計画、生産計画、鉄道運行計画等の最適化も提供してまいりました。
これまでの計画業務は、オペレーションを熟知した熟練人材による多大な労力により成立しておりましたが、AI技術や数理最適化技術を用いた当社の計画最適化サービスは、複雑かつ不確実性の高いビジネス環境下でも短時間で最適な計画を提供し、属人性を排することを可能としております。このことから、今後の労働人口減少から想定される社会インフラの人材不足とサービスの安定供給という課題に対して、当社のサービスは有力な解決方法と考えられ、当社の事業に対する期待は一層高まっております。
また、当社は開発体制の強化に向けて優秀なエンジニアの積極採用を行うことで今後の事業拡大に向けた取組みを進めており、当事業年度末におけるエンジニアは93名(前期比27.4%増)となりました。加えて、管理体制の強化も進めており、営業・管理部門は46名(前期比27.8%増)となりました。このことから、製造費用におけるエンジニアの人件費は910百万円(前期比20.0%増)、販管費における営業・管理部門の人件費は517百万円(前期比26.9%増)となりました。
以上より、2026年6月期について、売上高は3,119百万円(前期比51.2%増)となり、営業利益459百万円(前期比7.3%増)、経常利益466百万円(前期比8.9%増)、当期純利益345百万円(前期比15.7%増)となりました。
当社は従来、「AI事業」の単一セグメントとしておりましたが、蓄電所の開発を開始したことから当事業年度より、報告セグメントを「AI事業」及び「インフラアセット事業」に変更しております。
なお、前事業年度のセグメント情報については、変更後の報告セグメント区分に基づき作成したものを記載しております。
セグメントごとの業績は以下のとおりです。
(AI事業)
AI事業においては、AIエンジンの開発(AI開発)、AIエンジンを搭載した業務システムの顧客への導入(システム開発)及び運用・サポートを提供しております。
AI事業は、引き続き、電力、製造・運輸、都市・交通の3分野に注力いたしましたが、予算規模が大きい電力会社からの継続した追加受注や本番導入開発により、電力分野の売上がAI事業全体の約6割を占めることとなりました。製造・運輸分野については、配船計画の本番導入開発が完了し保守案件へ移行したことから売上が減少し全体の約2割を占める結果となりました。都市・交通分野については、鉄道会社案件の売上が堅調に推移し全体の約2割を占める結果となりました。
当社は、AI事業においてAIエンジン及びシステム開発をフロー型売上、運用・サポートをストック型売上として定義しておりますが、2026年6月期のAI事業の合計売上高は2,362百万円(前期比17.9%増)、うちフロー型売上は1,723百万円(前期比15.4%増)でストック型売上は639百万円(前期比25.2%増)となりました。ドメイン別では、電力分野の合計売上高は1,407百万円(前期比22.0%増)、うちフロー型売上は1,166百万円(前期比18.9%増)でストック型売上は241百万円(前期比39.9%増)、製造・運輸分野の合計売上高は477百万円(前期比15.4%減)、うちフロー型売上は173百万円(前期比42.9%減)でストック型売上は304百万円(前期比16.8%増)、都市・交通分野の合計売上高は402百万円(前期比86.6%増)、うちフロー型売上は309百万円(前期比123.4%増)でストック型売上は93百万円(前期比20.9%増)、社会インフラ3分野に分類されないその他の合計売上高は75百万円(前期比6.3%増)となりました。
また、ストック型売上比率は27.1%(前期比1.6ポイント増)、全体の顧客平均売上は60.5百万円(前期比17.9%増)、取引先数は39社(前期比増減なし)、うちAI開発、システム開発、運用・サポートの3区分では、顧客平均売上は63.9百万円(前期比16.5%増)、取引先数は36社(前期比増減なし)となりました。
以上より、AI事業の2026年6月期について、売上高は2,362百万円(前期比17.9%増)、セグメント利益は848百万円(前期比12.5%増)となりました。
(インフラアセット事業)
インフラアセット事業においては、系統用蓄電所の設計、開発及び譲渡、並びに電力系統接続支援業務その他の蓄電所関連業務を提供しております。
インフラアセット事業は、第4四半期より蓄電所開発に着手し工事が順調に進捗したことに加え、電力系統接続申請支援についても売上を計上いたしました。以上より、インフラアセット事業の2026年6月期について、売上高は756百万円(前期比1,173.9%増)、セグメント利益は100百万円(前期比164.7%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は2,849百万円となり、前事業年度末と比較して348百万円減少いたしました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は28百万円(前期は405百万円の資金の獲得)となりました。主な収入要因は、税引前当期純利益466百万円、契約負債の増加173百万円、減価償却費69百万円である一方、主な支出要因は、売掛金及び契約資産の増加548百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は320百万円(前期は46百万円の資金の使用)となりました。主な支出要因は、本社移転に伴う有形固定資産の取得218百万円、敷金及び保証金の差入による支出133百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は0百万円(前期は62百万円の資金の使用)となりました。収入要因は、ストックオプションの行使による収入6百万円である一方、主な支出要因は、長期借入金の返済5百万円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。
b 受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。
c 販売実績
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当事業年度における売上高は3,119百万円(前期比51.2%増)となり、前事業年度と比較して1,055百万円の増収となりました。これは主にインフラアセット事業において、当期より蓄電所開発に着手し工事が順調に進捗したことから売上高が696百万円増加したことによるものであります。また、AI事業においても、電力分野を中心とする継続的な追加受注や都市・交通分野の堅調な推移により、売上高が358百万円増加しました。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は1,244百万円(前期比126.9%増)となりました。これは主に、蓄電所開発に着手したことによる外注費及びエンジニアの人件費の増加によるものであります。この結果、売上総利益は1,875百万円(前期比23.8%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は1,415百万円(前期比30.2%増)となりました。主な内訳は、営業・管理の人件費、研究開発費、技術販管費であります。この結果、営業利益は459百万円(前期比7.3%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当事業年度において、営業外収益は9百万円、営業外費用は2百万円発生しました。これは主に受取利息6百万円、補修費用2百万円が発生したことによるものであります。この結果、経常利益は466百万円(前期比8.9%増)となりました。
(当期純利益)
当事業年度において、税金費用(法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額)を121百万円を計上した結果、当期純利益は345百万円(前期比15.7%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員の給与手当、プロジェクトに必要なソフトウエア関連費用、蓄電所開発に必要な外注費、地代家賃等の販売費及び一般管理費の営業費用であり、営業活動によるキャッシュ・フローでまかなうことを基本としております。また、事業運営上必要な資金を安定的に確保するとともに、M&Aや新たな事業への投資を行っていく中で最適な資本構成を構築するため、その際には自己資金だけではなく金融機関からの借入も積極的に行っていくことを考えております。当社は3行の金融機関との間で合計900百万円の当座貸越契約を締結(当事業年度末現在で借入実行残高はありません)しており、手許資金の流動性が不足すると想定される場合には、当座貸越契約を活用し金融機関からの短期借入金を通じて、必要な資金残高を確保することを考えております。
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保、市場のニーズに合った製品やサービスの展開等により、当社の経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応してまいります。
④ 経営者の問題意識と今後の方針に関して
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、様々な課題に対処していく必要があると認識しております。
それらの課題に対応するために、経営者は常に外部環境の変化に関する情報を入手・分析し、現在及び将来における事業環境を認識した上で、当社の経営資源を最適に配分し、有効な解決策を実施していく方針であります。
⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析
当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、売上高成長率及び営業利益率を基本的な経営指標としております。過年度における当社の各指標等の進捗は次のとおりであります。
当事業年度は、インフラアセット事業における蓄電所開発の順調な進捗が寄与し、売上高成長率は51.2%となり計画を達成いたしました。営業利益につきましては、各事業セグメントの増益により459百万円となりました。営業利益率につきましては、新たに事業として立ち上がったインフラアセット事業は既存のAI事業と異なる収益構造であることから、14.7%と前事業年度から低下したものの、計画(14.5%)を上回り、目標を達成いたしました。
⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されておりますが、この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、当社の実態等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。また、当社が行っております会計上の見積りのうち特に重要なものは次のとおりであります。
(進捗度に基づく収益認識)
財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しており、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができる場合には、進捗度に基づき収益を認識しております。
進捗度の測定は、AIシステム開発等においては各報告期間の期末日までに発生した工数が、総工数の見積りに占める割合、蓄電所開発においては各報告期間の期末日までに発生した原価が、総原価の見積りに占める割合に基づいて行っております。
進捗度に基づく収益計上の基礎となる総工数及び原価の見積りの算定はプロジェクトごとに行っておりますが、その基礎となる作業内容に不確実性を伴っております。
総工数及び原価の見積りはプロジェクトの進行に応じて適宜見直しが行われ、見積り時点では予見できなかった仕様変更や納期変更、施工上の問題の発生等により見積りの変更が発生し、その結果進捗度が変動する可能性があり、翌事業年度の財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
(繰延税金資産の計上)
当社は繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることに加え、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提となる条件や仮説に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額が変動し、当期純利益に影響を与える可能性があり、重要と考えております。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における総資産は5,135百万円となり、前事業年度末と比較して717百万円増加いたしました。流動資産は4,607百万円となり、444百万円増加いたしました。これは主に契約資産が664百万円、その他に含まれる前払金が212百万円増加した一方で、現金及び預金が348百万円、売掛金が116百万円減少したことによるものであります。固定資産は527百万円となり、272百万円増加いたしました。これは主に本社移転に伴い建物附属設備が142百万円、その他に含まれる敷金及び保証金が112百万円、工具、器具及び備品が68百万円増加した一方で、ソフトウエアが40百万円減少したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債は843百万円となり、前事業年度末と比較して365百万円増加いたしました。流動負債は843百万円となり、365百万円増加いたしました。これは主に、契約負債が173百万円、未払法人税等が87百万円、買掛金が48百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は4,291百万円となり、前事業年度末と比較して351百万円増加いたしました。これは主に当期純利益の計上により利益剰余金が345百万円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善を背景とした個人消費の持ち直しや、旺盛な設備投資需要により、緩やかな回復基調で推移いたしました。地政学リスクの高まりが見られた中東情勢については、米国・イラン間の暫定合意により情勢の緩和が進みエネルギー供給の安定化が期待されるものの、依然として先行きを注視していく必要があります。
エネルギー価格の変動の影響を大きく受ける電力に関しては、EVの普及やIT機器の利活用等により今後も旺盛な需要が続くと見込まれ、一層の安定的かつ経済的な供給体制が求められております。昨今は生成AIの需要の高まりに伴い、大規模な電力消費を伴うデータセンターの設置や増強が加速しております。また、大量のデータを必要とする社会全体のデジタル化に伴い、製造に膨大な電力を必要とする半導体の需要も急速に増加しております。電力広域的運営推進機関によると、データセンターや半導体工場の新増設に伴う需要電力量は2035年度までに568億kWh増加し、電力需要全体でも増加の見通しとなっております(出典:全国及び供給区域ごとの需要想定(2026年度)、2026年1月21日公表)。
このような状況下、当社は電力会社に対して、AI技術や数理最適化技術を用いた電力需給計画の最適化を提供しており、AIエンジン開発、システム開発、運用・サポートまで一貫したサービスを展開し、電力会社のエネルギー消費量の削減を実現してまいりました。今後も電力会社におけるサービス拡大を進めつつ、大口需要家に対しても蓄電池の充放電最適化のシステムを搭載した蓄電所を開発・提供し、社会全体のエネルギー消費量の削減に貢献してまいります。
また、製造・運輸、都市・交通分野にも注力し、配船計画、生産計画、鉄道運行計画等の最適化も提供してまいりました。
これまでの計画業務は、オペレーションを熟知した熟練人材による多大な労力により成立しておりましたが、AI技術や数理最適化技術を用いた当社の計画最適化サービスは、複雑かつ不確実性の高いビジネス環境下でも短時間で最適な計画を提供し、属人性を排することを可能としております。このことから、今後の労働人口減少から想定される社会インフラの人材不足とサービスの安定供給という課題に対して、当社のサービスは有力な解決方法と考えられ、当社の事業に対する期待は一層高まっております。
また、当社は開発体制の強化に向けて優秀なエンジニアの積極採用を行うことで今後の事業拡大に向けた取組みを進めており、当事業年度末におけるエンジニアは93名(前期比27.4%増)となりました。加えて、管理体制の強化も進めており、営業・管理部門は46名(前期比27.8%増)となりました。このことから、製造費用におけるエンジニアの人件費は910百万円(前期比20.0%増)、販管費における営業・管理部門の人件費は517百万円(前期比26.9%増)となりました。
以上より、2026年6月期について、売上高は3,119百万円(前期比51.2%増)となり、営業利益459百万円(前期比7.3%増)、経常利益466百万円(前期比8.9%増)、当期純利益345百万円(前期比15.7%増)となりました。
当社は従来、「AI事業」の単一セグメントとしておりましたが、蓄電所の開発を開始したことから当事業年度より、報告セグメントを「AI事業」及び「インフラアセット事業」に変更しております。
なお、前事業年度のセグメント情報については、変更後の報告セグメント区分に基づき作成したものを記載しております。
セグメントごとの業績は以下のとおりです。
(AI事業)
AI事業においては、AIエンジンの開発(AI開発)、AIエンジンを搭載した業務システムの顧客への導入(システム開発)及び運用・サポートを提供しております。
AI事業は、引き続き、電力、製造・運輸、都市・交通の3分野に注力いたしましたが、予算規模が大きい電力会社からの継続した追加受注や本番導入開発により、電力分野の売上がAI事業全体の約6割を占めることとなりました。製造・運輸分野については、配船計画の本番導入開発が完了し保守案件へ移行したことから売上が減少し全体の約2割を占める結果となりました。都市・交通分野については、鉄道会社案件の売上が堅調に推移し全体の約2割を占める結果となりました。
当社は、AI事業においてAIエンジン及びシステム開発をフロー型売上、運用・サポートをストック型売上として定義しておりますが、2026年6月期のAI事業の合計売上高は2,362百万円(前期比17.9%増)、うちフロー型売上は1,723百万円(前期比15.4%増)でストック型売上は639百万円(前期比25.2%増)となりました。ドメイン別では、電力分野の合計売上高は1,407百万円(前期比22.0%増)、うちフロー型売上は1,166百万円(前期比18.9%増)でストック型売上は241百万円(前期比39.9%増)、製造・運輸分野の合計売上高は477百万円(前期比15.4%減)、うちフロー型売上は173百万円(前期比42.9%減)でストック型売上は304百万円(前期比16.8%増)、都市・交通分野の合計売上高は402百万円(前期比86.6%増)、うちフロー型売上は309百万円(前期比123.4%増)でストック型売上は93百万円(前期比20.9%増)、社会インフラ3分野に分類されないその他の合計売上高は75百万円(前期比6.3%増)となりました。
また、ストック型売上比率は27.1%(前期比1.6ポイント増)、全体の顧客平均売上は60.5百万円(前期比17.9%増)、取引先数は39社(前期比増減なし)、うちAI開発、システム開発、運用・サポートの3区分では、顧客平均売上は63.9百万円(前期比16.5%増)、取引先数は36社(前期比増減なし)となりました。
以上より、AI事業の2026年6月期について、売上高は2,362百万円(前期比17.9%増)、セグメント利益は848百万円(前期比12.5%増)となりました。
(インフラアセット事業)
インフラアセット事業においては、系統用蓄電所の設計、開発及び譲渡、並びに電力系統接続支援業務その他の蓄電所関連業務を提供しております。
インフラアセット事業は、第4四半期より蓄電所開発に着手し工事が順調に進捗したことに加え、電力系統接続申請支援についても売上を計上いたしました。以上より、インフラアセット事業の2026年6月期について、売上高は756百万円(前期比1,173.9%増)、セグメント利益は100百万円(前期比164.7%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は2,849百万円となり、前事業年度末と比較して348百万円減少いたしました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は28百万円(前期は405百万円の資金の獲得)となりました。主な収入要因は、税引前当期純利益466百万円、契約負債の増加173百万円、減価償却費69百万円である一方、主な支出要因は、売掛金及び契約資産の増加548百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は320百万円(前期は46百万円の資金の使用)となりました。主な支出要因は、本社移転に伴う有形固定資産の取得218百万円、敷金及び保証金の差入による支出133百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は0百万円(前期は62百万円の資金の使用)となりました。収入要因は、ストックオプションの行使による収入6百万円である一方、主な支出要因は、長期借入金の返済5百万円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。
b 受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。
c 販売実績
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 売上高(千円) | 前期比(%) |
| AI事業 | 2,362,823 | 17.9 |
| インフラアセット事業 | 756,255 | 1,173.9 |
| 合計 | 3,119,079 | 51.2 |
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前事業年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) | 当事業年度 (自 2025年7月1日 至 2026年6月30日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| 九州電力株式会社 | 124,925 | 6.1 | 542,147 | 17.4 |
| 株式会社 エー・ディー・ワークス | - | - | 488,355 | 15.7 |
| 北海道電力株式会社 | 550,348 | 26.7 | 180,872 | 5.8 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当事業年度における売上高は3,119百万円(前期比51.2%増)となり、前事業年度と比較して1,055百万円の増収となりました。これは主にインフラアセット事業において、当期より蓄電所開発に着手し工事が順調に進捗したことから売上高が696百万円増加したことによるものであります。また、AI事業においても、電力分野を中心とする継続的な追加受注や都市・交通分野の堅調な推移により、売上高が358百万円増加しました。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は1,244百万円(前期比126.9%増)となりました。これは主に、蓄電所開発に着手したことによる外注費及びエンジニアの人件費の増加によるものであります。この結果、売上総利益は1,875百万円(前期比23.8%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は1,415百万円(前期比30.2%増)となりました。主な内訳は、営業・管理の人件費、研究開発費、技術販管費であります。この結果、営業利益は459百万円(前期比7.3%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当事業年度において、営業外収益は9百万円、営業外費用は2百万円発生しました。これは主に受取利息6百万円、補修費用2百万円が発生したことによるものであります。この結果、経常利益は466百万円(前期比8.9%増)となりました。
(当期純利益)
当事業年度において、税金費用(法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額)を121百万円を計上した結果、当期純利益は345百万円(前期比15.7%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員の給与手当、プロジェクトに必要なソフトウエア関連費用、蓄電所開発に必要な外注費、地代家賃等の販売費及び一般管理費の営業費用であり、営業活動によるキャッシュ・フローでまかなうことを基本としております。また、事業運営上必要な資金を安定的に確保するとともに、M&Aや新たな事業への投資を行っていく中で最適な資本構成を構築するため、その際には自己資金だけではなく金融機関からの借入も積極的に行っていくことを考えております。当社は3行の金融機関との間で合計900百万円の当座貸越契約を締結(当事業年度末現在で借入実行残高はありません)しており、手許資金の流動性が不足すると想定される場合には、当座貸越契約を活用し金融機関からの短期借入金を通じて、必要な資金残高を確保することを考えております。
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保、市場のニーズに合った製品やサービスの展開等により、当社の経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応してまいります。
④ 経営者の問題意識と今後の方針に関して
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、様々な課題に対処していく必要があると認識しております。
それらの課題に対応するために、経営者は常に外部環境の変化に関する情報を入手・分析し、現在及び将来における事業環境を認識した上で、当社の経営資源を最適に配分し、有効な解決策を実施していく方針であります。
⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析
当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、売上高成長率及び営業利益率を基本的な経営指標としております。過年度における当社の各指標等の進捗は次のとおりであります。
| (単位:千円) | ||||
| 前事業年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) | 当事業年度 (自 2025年7月1日 至 2026年6月30日) | |||
| 通期実績 | 通期実績 | 前期比(%) | ||
| 売上高 | 全社 | 2,063,415 | 3,119,079 | 51.2 |
| AI事業 | 2,004,050 | 2,362,823 | 17.9 | |
| インフラアセット事業 | 59,364 | 756,255 | 1,173.9 | |
| 営業利益 | 全社 | 428,297 | 459,420 | 7.3 |
| AI事業 | 754,470 | 848,527 | 12.5 | |
| インフラアセット事業 | 37,883 | 100,266 | 164.7 | |
| 本社費 | △364,055 | △489,373 | - | |
当事業年度は、インフラアセット事業における蓄電所開発の順調な進捗が寄与し、売上高成長率は51.2%となり計画を達成いたしました。営業利益につきましては、各事業セグメントの増益により459百万円となりました。営業利益率につきましては、新たに事業として立ち上がったインフラアセット事業は既存のAI事業と異なる収益構造であることから、14.7%と前事業年度から低下したものの、計画(14.5%)を上回り、目標を達成いたしました。
⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されておりますが、この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、当社の実態等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。また、当社が行っております会計上の見積りのうち特に重要なものは次のとおりであります。
(進捗度に基づく収益認識)
財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しており、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができる場合には、進捗度に基づき収益を認識しております。
進捗度の測定は、AIシステム開発等においては各報告期間の期末日までに発生した工数が、総工数の見積りに占める割合、蓄電所開発においては各報告期間の期末日までに発生した原価が、総原価の見積りに占める割合に基づいて行っております。
進捗度に基づく収益計上の基礎となる総工数及び原価の見積りの算定はプロジェクトごとに行っておりますが、その基礎となる作業内容に不確実性を伴っております。
総工数及び原価の見積りはプロジェクトの進行に応じて適宜見直しが行われ、見積り時点では予見できなかった仕様変更や納期変更、施工上の問題の発生等により見積りの変更が発生し、その結果進捗度が変動する可能性があり、翌事業年度の財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
(繰延税金資産の計上)
当社は繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることに加え、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提となる条件や仮説に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額が変動し、当期純利益に影響を与える可能性があり、重要と考えております。