有価証券報告書-第34期(2025/07/01-2026/06/30)
有報資料
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「分析・信頼性評価・微細加工の技術を磨き、表面処理・実装の研究開発を推進し、パワー半導体・先端半導体・電子の分野でブランドを築き、未来品質を創造する。」を経営方針に掲げ、“Pride in Work”をスローガンとして『良い仕事』にこだわってまいります。
(2)経営環境
(信頼性評価事業)
自動車業界における「CASE(注)」を背景に、「クルマ」の概念が大きく変わろうとしています。近年では環境問題への対応として掲げられたカーボンニュートラルの目標達成に向け、自動車の電動化(EV、PHV、HV等)に向けた開発が進められており、次世代車の普及は世界的に年々増加するものと見ております。
これらを背景に自動車の信頼性評価試験の市場では、特に電動化・自動運転に向けた車載機器の信頼性評価の需要が大きく伸びております。製品固有の試験需要や電動化、自動運転技術に伴う高度な試験への対応、また試験設備への投資ハードルやソフト開発へのリソースシフトを目的に、外注市場規模も大きくなっております。また、電動自動車に多く実装されるパワー半導体需要は今後も増加すると考えられ、加えてより高性能な半導体の開発も盛んに進められております。
(微細加工事業)
当事業では、車載部品、ヘルスケア、通信その他の分野で拡大を続けてまいりました。今後注力するヘルスケア分野では、バイオセンサ市場の成長が見込まれます。市場成長に加えて開発サイクルが長く、参入障壁も高いことから、長期に亘る安定受注が期待できる市場であると考えております。
また、レーザ加工において当社が加工するビルドアップ基板やフレキシブルプリント基板、表面処理技術による電子部品は車載部品、ヘルスケア、通信その他の幅広い分野に使用されていることから、どの分野においても微細加工の需要が増加すると見ております。技術的な進歩は目まぐるしく、短小軽薄・高多層・高精細化が進み、当社が得意とする難加工材への加工ニーズがより一層高まると考えております。
(その他事業)
その他事業に属するゼロ・イノベーションでは、安定した顧客基盤をもとに試作基板の品質・信頼性評価から、量産品の受入・出荷検査まで生産現場の改善に貢献してまいります。
(注)CASE
自動車業界において次世代技術やサービスを意味する「Connected(つながる)」、「Autonomous(自動運転)」、「Shared(共有)」、「Electric(電動化)」の4つの英語の頭文字をつなげた造語。
(3)経営戦略等
当社では、今後も発展を続ける自動車業界において、そのパラダイムシフトの方向性を的確に把握、認識し、その変化に素早く対応できるように、日ごろから体制構築を図っております。
信頼性評価事業において、多種・多様な試験・分析が存在しますが、当社は技術力が高く、多くの試験・分析に対応可能です。当社の顧客であるメーカーサイドは、複数の試験をアウトソースするため、同一の会社で多くの試験を完結させられることに優位性があるものと考えております。
昨今の検査データ改ざんにみられる企業の不正を無くすことが当社の存在意義であり、メーカーが自らの検査データを改ざんする可能性があるような状況においては、当社のような中立な第三者が担う信頼性評価試験の重要性が高まると考えております。当社は、これまで培った技術力を発揮することにより業界内での存在感を増していきたいと考えております。
当社は、品質検査や分析、測定などを行う試験所等に対する要求事項を定めた試験所認定と呼ばれるISO/IEC17025の認定を取得しており、当社の技術力は国際的に認められており、今後も同認定を維持してまいります。高度な分析には高性能の装置や設備が不可欠になることから、以前より設備投資を行ってまいりました。顧客の要望に応えるために必要な設備を揃えることで、技術やノウハウを蓄積しております。
「(2)経営環境」でも述べたとおり、CASEを背景にEV(電気自動車)市場が拡大すると言われており、当社は日本でCASEを推進している企業と取引しております。
市場が拡大する前段階にある試作品段階では、量産時の製品の安全性を確保するため、何度も信頼性評価試験が繰り返されます。当社はこれらの需要を着実に獲得し、その後の量産品段階での需要獲得に繋げることを目指してまいります。
自家用車の電動化が進むその先には、モビリティの小型化や建設機械及び航空・宇宙分野の電動化も進むものと予測されます。そのような環境においても、これまでどおり当社の高度な技術力に基づいた信頼性評価試験を行うことで、顧客とともに成長できるパートナーとしての確固たる地位の獲得を目指してまいります。
更に、裾野の広い自動車業界に属する主要顧客との関係性を強化、確立することで、幅広く関連企業のニーズ開拓に繋げていきたいと考えております。
微細加工事業において、自動運転に関連した製品や医療機器、通信関連などは各市場の拡大が続くと考えております。それらの市場をターゲットに高付加価値、特殊用途、小ロット多品種でも製品ライフサイクルの長い製品に関する試作の受注拡大を進めており、これらの量産受注の獲得を目指してまいります。
当社は同事業において20年以上の歴史を持っており、大ロットの量産から、小ロット多品種の試作、材料評価まで幅広い対応力を持つ強みと24時間受付、稼働することで幅広いニーズをキャッチする体制を整えております。また、フェムト秒グリーンレーザ加工(注)など特殊な材料の加工や特殊な工法が可能なことも強みのひとつであり、これら当社の強みを活かして医療分野などで大ロット製品の量産受注を目指すなど、ターゲット市場の開拓を進める考えです。
その他事業において、バイオを解散し、信頼性評価事業と微細加工事業に経営資源を集中いたします。今後は、新規事業・技術・事業提携・M&A等で拡大してまいります。
販売戦略としては既存顧客のニーズを的確に把握するための信頼関係強化に加え、当社の技術を必要とする新しい市場の開拓、拡大が必要であると認識しております。そのため、顧客の高度なニーズへの迅速な対応を可能にするための体制強化策として、管理職を含む各拠点の人員増強、熊本営業所を開設した九州地区の半導体や電子部品メーカーへの販路拡大や同業他社空白地帯(北海道、東北、中四国)への積極的な営業を展開し、潜在顧客の開拓に取組みます。
技術戦略としては、顧客の多種多様なニーズに対応できる技術陣が当社の強みであり、特異技術を駆使した特殊解析のニーズへの対応力を保つことで、競争優位性を確保し、更に高度なニーズにも応えられるよう、人材育成と技術の伝承に注力し、期待以上の提案ができる集団を目指してまいります。
当社が重要と考える自動車市場は、時代とともに変化しながらも益々成長する可能性を秘めていると考えており、同市場において当社は、顧客のニーズのひとつひとつに実直に応えることで着実な成長を目指します。
当社はこれからも、環境性能と安全性能の評価技術を確立し、安心・快適な未来社会の実現に貢献することを経営基本方針とし、「未来品質の創造」をスローガンに全てのステークホルダーのため、社業に邁進してまいります。
(注)フェムト秒グリーンレーザ加工
パルス幅(時間幅)が数ピコ秒(1兆分の1秒)よりも短いレーザ加工で、熱拡散する時間を与えずに分子結合を切断、除去することで、熱影響の少ない高品位な加工を可能にする工法。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、継続的な事業拡大及び成長の観点から、売上高及び売上高営業利益率を重要な経営指標としており、業界動向及び当社業績の推移等を勘案し、適切な目標設定を行い、企業価値向上に努めてまいります。
売上高を指標とすることは、当社の主要市場の成長や同業他社の売上高との比較、分析に有用であると考え重要な指標と位置付けております。当社が市場での競争優位性を確保しつつ売上高を向上させるために、主要市場の動向を注視し、ニーズに応える技術力の向上に取組んでまいります。併せて、事業の収益性、販売活動の効率性を図る観点から、売上高営業利益率を重要な指標と位置付けております。当社が市場での競争優位性を確保するために、高い付加価値の提供と効率的かつ効果的な販売活動に取組んでまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
分析・信頼性評価・微細加工の技術を磨き、表面処理・実装の研究開発を推進し、パワー半導体・先端半導体・電子の分野でブランドを築き、未来品質を創造するという経営基本方針を掲げる当社が、持続的な企業価値の向上を図るうえで、対処すべき課題として認識している事項は以下のとおりであります。
① 自動車業界以外の柱となる業界の開拓
当社の主要事業である信頼性評価事業においては、特に自動車業界に属する特定顧客への売上割合が高い状況です。2026年6月期は、半導体メーカーの需要において一部で停滞の動きがみられるなかで、微細加工事業において、プリント基板の加工で試作から量産へシフトする案件が増加する等、一定のリスク低減が認められました。また、データセンター関連とみられる案件の引合いも受けております。これらの案件の獲得を確実なものとするとともに、引き続き顧客基盤の拡充を課題として、特定業界の売上割合の低減を進めてまいります。
② 設備の増強
顧客が取組む新規開発には、様々な試験、分析が繰り返し行われます。近年はより高度な試験、検査のニーズが高まっております。また、半導体需要の増加に伴う試験、検査需要の増加に対応すべく、サービスの高度化やスピードの重要性が更に高まると考えております。これに対応するため、当社は2026年6月期に「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載の設備投資を実施しました。投資した設備を十分に活かすことを課題としつつ、今後も顧客ニーズを捉えた設備の機動的な増強を図り、顧客対応力と生産性向上を追求してまいります。
③ 技術力の向上
顧客の新規開発フェーズでは、様々な困難に直面する場面が多くあり、その困難を共に解決するための技術力を高める必要があると考えております。顧客の求める新規技術やサービス提供力を高めるために、2026年6月期には再現実験チーム(2026年7月に再現実験室に昇格)を設置し、専従者を割り当てる等、技術力向上に向けた動きを実施しました。今後、これらの試みを効果的に業務に活かすことを課題として、これまでの経験により蓄積された見識による技術力に加えて、新たな試験や実験への取組でより知見を深め、更なる技術力の向上を続けてまいります。
④ 新規事業の醸成
当社は2025年7月から次世代成長事業として、ユニバーサルめっき法(当社独自開発)によるコーティング技術の開発「MAP(Mist-Assisted universal Plating)プロジェクト」を始動いたしました。近年、次世代成長産業は、原材料や装置等のコスト急騰によりそのコア事業の継続が難しく、また環境規制への対応も今まで以上に企業に求められています。本プロジェクトでは、次世代成長産業を支えるための低コストかつ安定供給可能な環境配慮型技術の確立を目指します。
2026年6月期には、MAPプロジェクトにおいて研究開発拠点の整備、産学連携体制の構築、ガラスコア基板向け技術の実証、及び学会発表による技術成果の対外発信を実施した年度となりました。ユニバーサルめっき法により、高品質で緻密な機能性膜の形成が可能となり、「通信」「半導体」「医療」「航空宇宙」「再エネ」等の次世代成長産業の発展へ大きく寄与できる可能性に挑戦してまいります。
⑤ 優秀な技術者の採用・育成と労働環境づくり
当社では、今後も益々高度化する顧客ニーズに応えるために、優秀な技術者の採用と育成が必要不可欠であると認識しております。採用市場における競争激化により人材確保が難しい状況下で、当社は積極的な採用活動を進め、従業員数は「第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移」に記載のとおり増加いたしました。採用した技術者の育成に努めると共に、採用後も高いモチベーションを維持しながら安心して働くことができる労働環境づくりを課題として取組んでまいります。
⑥ 営業体制の強化
当社の持続的な成長の実現に向けて、既存顧客との信頼関係を一層強化するとともに、車載・半導体・産業機器をはじめとする成長分野における新規顧客の開拓を推進することが重要であると認識しております。2026年6月期は、営業組織の各エリアの人員体制の強化に加え、重点エリアでの営業活動強化、展示会・技術セミナー等を活用した新規顧客開拓に取組ました。また、営業人材の育成を目的とした教育体制の充実や技術部門との連携強化を推進し、顧客への提案力向上に努めました。今後は体制強化後の営業人材の早期戦力化と提案型営業の更なる強化を課題とし、市場ニーズを的確に捉えたソリューション提案を推進し、既存顧客の深耕と新規市場・新規顧客の開拓を加速してまいります。加えて展示会やWebコンテンツ、各種メディアを活用した情報発信を継続し、当社の技術力・ブランド認知の向上を通じて持続的な成長に取組んでまいります。
⑦ 情報セキュリティの強化
当社では、技術や営業に関する情報、顧客や取引先の重要情報等多くの情報を取扱っており、情報セキュリティの強化が重要であると認識しております。2026年6月期には、技術的対策としてアクセス権限管理の強化、マルウェア対策及びEDRによる端末監視を実施するとともに、物理的対策として入退室管理や監視カメラによる重要エリアの管理を継続しました。また、人的対策として全従業員を対象としたセキュリティ教育や標的型メール訓練を実施し、情報セキュリティ意識の向上に取組ました。今後は、ゼロトラストの考え方に基づく認証強化やアクセス制御の高度化を推進するとともに、AIの適切な活用とガバナンス強化を図り、IT環境全体のセキュリティレベル向上に取組んでまいります。これらの取組により、情報資産の保護及び事業継続性の確保を図るとともに、顧客や取引先からの信頼維持・向上を進めてまいります。
⑧ 内部管理体制の強化
当社は、上場企業としての責務を果たすため、内部管理体制の強化が重要であると認識しております。2026年6月期は社内教育としてのコンプライアンス研修を、年1回から2回に増加し、対象者全員の受講を完了させる等、社内のリスクに対する感度を高めました。ただし、年々厳格化される法整備やルール強化等へ確実に対応するための体制強化を課題として、引き続きコンプライアンスを重視した経営管理体制を敷くことで、経営の公平性や透明性の確保を進めてまいります。
⑨ ESG・社会貢献活動の強化
(環境負荷への低減策)
当社は、様々な試験装置を稼働させる業種であることを踏まえつつ、日常業務における環境配慮を意識しています。限りある資源を有効活用するため、顧客にサンプルをご返却する際に使用している梱包用の段ボール箱やノベルティとして配布したカレンダー、本招集通知の封筒においても、再生紙を利用したものに変更しました。今後も実行可能な施策を見極めながら、環境負荷低減に取組んでまいります。
(地域社会への貢献)
地域との共生を重視し、地元人材の採用や地域企業との協力関係構築を通じて、地域に根差した企業活動を行っています。堺市教育委員会による「企業による学びの応援プログラム」を通じて、技術・研究機関としての特徴を活かした小学校への出前授業を継続しております。また、当社は自動車メーカーと共に、車の品質安全を保証し、交通事故ゼロを目指す立場です。当社も事業においてかかわりのある自動車における事故で亡くなられたり、重度の後遺障害になられた方の残されたお子様に支援を行う機関を選定し、寄付を実施しました。次世代への科学教育支援や教育の機会均等を図ることで、地域に根差した企業市民としての責任を果たしてまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「分析・信頼性評価・微細加工の技術を磨き、表面処理・実装の研究開発を推進し、パワー半導体・先端半導体・電子の分野でブランドを築き、未来品質を創造する。」を経営方針に掲げ、“Pride in Work”をスローガンとして『良い仕事』にこだわってまいります。
(2)経営環境
(信頼性評価事業)
自動車業界における「CASE(注)」を背景に、「クルマ」の概念が大きく変わろうとしています。近年では環境問題への対応として掲げられたカーボンニュートラルの目標達成に向け、自動車の電動化(EV、PHV、HV等)に向けた開発が進められており、次世代車の普及は世界的に年々増加するものと見ております。
これらを背景に自動車の信頼性評価試験の市場では、特に電動化・自動運転に向けた車載機器の信頼性評価の需要が大きく伸びております。製品固有の試験需要や電動化、自動運転技術に伴う高度な試験への対応、また試験設備への投資ハードルやソフト開発へのリソースシフトを目的に、外注市場規模も大きくなっております。また、電動自動車に多く実装されるパワー半導体需要は今後も増加すると考えられ、加えてより高性能な半導体の開発も盛んに進められております。
(微細加工事業)
当事業では、車載部品、ヘルスケア、通信その他の分野で拡大を続けてまいりました。今後注力するヘルスケア分野では、バイオセンサ市場の成長が見込まれます。市場成長に加えて開発サイクルが長く、参入障壁も高いことから、長期に亘る安定受注が期待できる市場であると考えております。
また、レーザ加工において当社が加工するビルドアップ基板やフレキシブルプリント基板、表面処理技術による電子部品は車載部品、ヘルスケア、通信その他の幅広い分野に使用されていることから、どの分野においても微細加工の需要が増加すると見ております。技術的な進歩は目まぐるしく、短小軽薄・高多層・高精細化が進み、当社が得意とする難加工材への加工ニーズがより一層高まると考えております。
(その他事業)
その他事業に属するゼロ・イノベーションでは、安定した顧客基盤をもとに試作基板の品質・信頼性評価から、量産品の受入・出荷検査まで生産現場の改善に貢献してまいります。
(注)CASE
自動車業界において次世代技術やサービスを意味する「Connected(つながる)」、「Autonomous(自動運転)」、「Shared(共有)」、「Electric(電動化)」の4つの英語の頭文字をつなげた造語。
(3)経営戦略等
当社では、今後も発展を続ける自動車業界において、そのパラダイムシフトの方向性を的確に把握、認識し、その変化に素早く対応できるように、日ごろから体制構築を図っております。
信頼性評価事業において、多種・多様な試験・分析が存在しますが、当社は技術力が高く、多くの試験・分析に対応可能です。当社の顧客であるメーカーサイドは、複数の試験をアウトソースするため、同一の会社で多くの試験を完結させられることに優位性があるものと考えております。
昨今の検査データ改ざんにみられる企業の不正を無くすことが当社の存在意義であり、メーカーが自らの検査データを改ざんする可能性があるような状況においては、当社のような中立な第三者が担う信頼性評価試験の重要性が高まると考えております。当社は、これまで培った技術力を発揮することにより業界内での存在感を増していきたいと考えております。
当社は、品質検査や分析、測定などを行う試験所等に対する要求事項を定めた試験所認定と呼ばれるISO/IEC17025の認定を取得しており、当社の技術力は国際的に認められており、今後も同認定を維持してまいります。高度な分析には高性能の装置や設備が不可欠になることから、以前より設備投資を行ってまいりました。顧客の要望に応えるために必要な設備を揃えることで、技術やノウハウを蓄積しております。
「(2)経営環境」でも述べたとおり、CASEを背景にEV(電気自動車)市場が拡大すると言われており、当社は日本でCASEを推進している企業と取引しております。
市場が拡大する前段階にある試作品段階では、量産時の製品の安全性を確保するため、何度も信頼性評価試験が繰り返されます。当社はこれらの需要を着実に獲得し、その後の量産品段階での需要獲得に繋げることを目指してまいります。
自家用車の電動化が進むその先には、モビリティの小型化や建設機械及び航空・宇宙分野の電動化も進むものと予測されます。そのような環境においても、これまでどおり当社の高度な技術力に基づいた信頼性評価試験を行うことで、顧客とともに成長できるパートナーとしての確固たる地位の獲得を目指してまいります。
更に、裾野の広い自動車業界に属する主要顧客との関係性を強化、確立することで、幅広く関連企業のニーズ開拓に繋げていきたいと考えております。
微細加工事業において、自動運転に関連した製品や医療機器、通信関連などは各市場の拡大が続くと考えております。それらの市場をターゲットに高付加価値、特殊用途、小ロット多品種でも製品ライフサイクルの長い製品に関する試作の受注拡大を進めており、これらの量産受注の獲得を目指してまいります。
当社は同事業において20年以上の歴史を持っており、大ロットの量産から、小ロット多品種の試作、材料評価まで幅広い対応力を持つ強みと24時間受付、稼働することで幅広いニーズをキャッチする体制を整えております。また、フェムト秒グリーンレーザ加工(注)など特殊な材料の加工や特殊な工法が可能なことも強みのひとつであり、これら当社の強みを活かして医療分野などで大ロット製品の量産受注を目指すなど、ターゲット市場の開拓を進める考えです。
その他事業において、バイオを解散し、信頼性評価事業と微細加工事業に経営資源を集中いたします。今後は、新規事業・技術・事業提携・M&A等で拡大してまいります。
販売戦略としては既存顧客のニーズを的確に把握するための信頼関係強化に加え、当社の技術を必要とする新しい市場の開拓、拡大が必要であると認識しております。そのため、顧客の高度なニーズへの迅速な対応を可能にするための体制強化策として、管理職を含む各拠点の人員増強、熊本営業所を開設した九州地区の半導体や電子部品メーカーへの販路拡大や同業他社空白地帯(北海道、東北、中四国)への積極的な営業を展開し、潜在顧客の開拓に取組みます。
技術戦略としては、顧客の多種多様なニーズに対応できる技術陣が当社の強みであり、特異技術を駆使した特殊解析のニーズへの対応力を保つことで、競争優位性を確保し、更に高度なニーズにも応えられるよう、人材育成と技術の伝承に注力し、期待以上の提案ができる集団を目指してまいります。
当社が重要と考える自動車市場は、時代とともに変化しながらも益々成長する可能性を秘めていると考えており、同市場において当社は、顧客のニーズのひとつひとつに実直に応えることで着実な成長を目指します。
当社はこれからも、環境性能と安全性能の評価技術を確立し、安心・快適な未来社会の実現に貢献することを経営基本方針とし、「未来品質の創造」をスローガンに全てのステークホルダーのため、社業に邁進してまいります。
(注)フェムト秒グリーンレーザ加工
パルス幅(時間幅)が数ピコ秒(1兆分の1秒)よりも短いレーザ加工で、熱拡散する時間を与えずに分子結合を切断、除去することで、熱影響の少ない高品位な加工を可能にする工法。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、継続的な事業拡大及び成長の観点から、売上高及び売上高営業利益率を重要な経営指標としており、業界動向及び当社業績の推移等を勘案し、適切な目標設定を行い、企業価値向上に努めてまいります。
売上高を指標とすることは、当社の主要市場の成長や同業他社の売上高との比較、分析に有用であると考え重要な指標と位置付けております。当社が市場での競争優位性を確保しつつ売上高を向上させるために、主要市場の動向を注視し、ニーズに応える技術力の向上に取組んでまいります。併せて、事業の収益性、販売活動の効率性を図る観点から、売上高営業利益率を重要な指標と位置付けております。当社が市場での競争優位性を確保するために、高い付加価値の提供と効率的かつ効果的な販売活動に取組んでまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
分析・信頼性評価・微細加工の技術を磨き、表面処理・実装の研究開発を推進し、パワー半導体・先端半導体・電子の分野でブランドを築き、未来品質を創造するという経営基本方針を掲げる当社が、持続的な企業価値の向上を図るうえで、対処すべき課題として認識している事項は以下のとおりであります。
① 自動車業界以外の柱となる業界の開拓
当社の主要事業である信頼性評価事業においては、特に自動車業界に属する特定顧客への売上割合が高い状況です。2026年6月期は、半導体メーカーの需要において一部で停滞の動きがみられるなかで、微細加工事業において、プリント基板の加工で試作から量産へシフトする案件が増加する等、一定のリスク低減が認められました。また、データセンター関連とみられる案件の引合いも受けております。これらの案件の獲得を確実なものとするとともに、引き続き顧客基盤の拡充を課題として、特定業界の売上割合の低減を進めてまいります。
② 設備の増強
顧客が取組む新規開発には、様々な試験、分析が繰り返し行われます。近年はより高度な試験、検査のニーズが高まっております。また、半導体需要の増加に伴う試験、検査需要の増加に対応すべく、サービスの高度化やスピードの重要性が更に高まると考えております。これに対応するため、当社は2026年6月期に「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載の設備投資を実施しました。投資した設備を十分に活かすことを課題としつつ、今後も顧客ニーズを捉えた設備の機動的な増強を図り、顧客対応力と生産性向上を追求してまいります。
③ 技術力の向上
顧客の新規開発フェーズでは、様々な困難に直面する場面が多くあり、その困難を共に解決するための技術力を高める必要があると考えております。顧客の求める新規技術やサービス提供力を高めるために、2026年6月期には再現実験チーム(2026年7月に再現実験室に昇格)を設置し、専従者を割り当てる等、技術力向上に向けた動きを実施しました。今後、これらの試みを効果的に業務に活かすことを課題として、これまでの経験により蓄積された見識による技術力に加えて、新たな試験や実験への取組でより知見を深め、更なる技術力の向上を続けてまいります。
④ 新規事業の醸成
当社は2025年7月から次世代成長事業として、ユニバーサルめっき法(当社独自開発)によるコーティング技術の開発「MAP(Mist-Assisted universal Plating)プロジェクト」を始動いたしました。近年、次世代成長産業は、原材料や装置等のコスト急騰によりそのコア事業の継続が難しく、また環境規制への対応も今まで以上に企業に求められています。本プロジェクトでは、次世代成長産業を支えるための低コストかつ安定供給可能な環境配慮型技術の確立を目指します。
2026年6月期には、MAPプロジェクトにおいて研究開発拠点の整備、産学連携体制の構築、ガラスコア基板向け技術の実証、及び学会発表による技術成果の対外発信を実施した年度となりました。ユニバーサルめっき法により、高品質で緻密な機能性膜の形成が可能となり、「通信」「半導体」「医療」「航空宇宙」「再エネ」等の次世代成長産業の発展へ大きく寄与できる可能性に挑戦してまいります。
⑤ 優秀な技術者の採用・育成と労働環境づくり
当社では、今後も益々高度化する顧客ニーズに応えるために、優秀な技術者の採用と育成が必要不可欠であると認識しております。採用市場における競争激化により人材確保が難しい状況下で、当社は積極的な採用活動を進め、従業員数は「第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移」に記載のとおり増加いたしました。採用した技術者の育成に努めると共に、採用後も高いモチベーションを維持しながら安心して働くことができる労働環境づくりを課題として取組んでまいります。
⑥ 営業体制の強化
当社の持続的な成長の実現に向けて、既存顧客との信頼関係を一層強化するとともに、車載・半導体・産業機器をはじめとする成長分野における新規顧客の開拓を推進することが重要であると認識しております。2026年6月期は、営業組織の各エリアの人員体制の強化に加え、重点エリアでの営業活動強化、展示会・技術セミナー等を活用した新規顧客開拓に取組ました。また、営業人材の育成を目的とした教育体制の充実や技術部門との連携強化を推進し、顧客への提案力向上に努めました。今後は体制強化後の営業人材の早期戦力化と提案型営業の更なる強化を課題とし、市場ニーズを的確に捉えたソリューション提案を推進し、既存顧客の深耕と新規市場・新規顧客の開拓を加速してまいります。加えて展示会やWebコンテンツ、各種メディアを活用した情報発信を継続し、当社の技術力・ブランド認知の向上を通じて持続的な成長に取組んでまいります。
⑦ 情報セキュリティの強化
当社では、技術や営業に関する情報、顧客や取引先の重要情報等多くの情報を取扱っており、情報セキュリティの強化が重要であると認識しております。2026年6月期には、技術的対策としてアクセス権限管理の強化、マルウェア対策及びEDRによる端末監視を実施するとともに、物理的対策として入退室管理や監視カメラによる重要エリアの管理を継続しました。また、人的対策として全従業員を対象としたセキュリティ教育や標的型メール訓練を実施し、情報セキュリティ意識の向上に取組ました。今後は、ゼロトラストの考え方に基づく認証強化やアクセス制御の高度化を推進するとともに、AIの適切な活用とガバナンス強化を図り、IT環境全体のセキュリティレベル向上に取組んでまいります。これらの取組により、情報資産の保護及び事業継続性の確保を図るとともに、顧客や取引先からの信頼維持・向上を進めてまいります。
⑧ 内部管理体制の強化
当社は、上場企業としての責務を果たすため、内部管理体制の強化が重要であると認識しております。2026年6月期は社内教育としてのコンプライアンス研修を、年1回から2回に増加し、対象者全員の受講を完了させる等、社内のリスクに対する感度を高めました。ただし、年々厳格化される法整備やルール強化等へ確実に対応するための体制強化を課題として、引き続きコンプライアンスを重視した経営管理体制を敷くことで、経営の公平性や透明性の確保を進めてまいります。
⑨ ESG・社会貢献活動の強化
(環境負荷への低減策)
当社は、様々な試験装置を稼働させる業種であることを踏まえつつ、日常業務における環境配慮を意識しています。限りある資源を有効活用するため、顧客にサンプルをご返却する際に使用している梱包用の段ボール箱やノベルティとして配布したカレンダー、本招集通知の封筒においても、再生紙を利用したものに変更しました。今後も実行可能な施策を見極めながら、環境負荷低減に取組んでまいります。
(地域社会への貢献)
地域との共生を重視し、地元人材の採用や地域企業との協力関係構築を通じて、地域に根差した企業活動を行っています。堺市教育委員会による「企業による学びの応援プログラム」を通じて、技術・研究機関としての特徴を活かした小学校への出前授業を継続しております。また、当社は自動車メーカーと共に、車の品質安全を保証し、交通事故ゼロを目指す立場です。当社も事業においてかかわりのある自動車における事故で亡くなられたり、重度の後遺障害になられた方の残されたお子様に支援を行う機関を選定し、寄付を実施しました。次世代への科学教育支援や教育の機会均等を図ることで、地域に根差した企業市民としての責任を果たしてまいります。