有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2023/07/05 15:00
【資料】
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【項目】
161項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
1.経営の基本方針
当社グループの企業理念は、1961年の創業当時から大切に受け継ぎ、経営の拠りどころとしてきた「社会発展の基盤づくりの精神(企業DNA)」を踏襲しつつ、「ミッション」としての『ソリューションの創造』と、「ビジョン」としての『世の中の不をなくす』という高い志を明示し、「ソリューション企業」として、グループ一丸となって事業を推進していくことを社会に宣言したものです。加えて、企業の社会的責任の観点から、多様なステークホルダーと対話し、信頼関係を構築する決意を明確にしています。
[当社企業理念の概念図]

また、当該ミッション、ビジョンに基づき、当社グループでは、以下の企業スローガンを設けております。
「発見を、発展へ(Discovery to Development)」
これは、すべては現場を基本としたリアルから見出し、まだお客様にない視点での課題の「発見」から、不をなくすソリューションを通じて「発展」(JRC・お客様・社会)へと繋げていく意思を『発見を、発展へ』という企業スローガンとして表明したものです。
当該理念、スローガンに基づき、当社創業以来の事業であるコンベヤ事業については、既設コンベヤの部品交換等に伴うリカーリング収益を確実に獲得していくと共に、コンベヤのプロフェッショナルとして、顧客の課題を発見・解決するソリューション提案を軸とした営業活動により更なる成長及びコンベヤ市場の拡大を目指してまいります。
また、新たな事業であるロボットSI事業においては、製造業者の人手不足を解消するため、「使いやすく、導入しやすい」ロボットソリューションを開発・提供し、ロボットの活用が遅れているとされる事業者等を中心に、今後拡大していくロボット需要を着実に取り込むべく活動してまいります。
2.経営環境
当社グループの各事業を取り巻く経営環境については、以下のとおりです。
(コンベヤ事業)
当社グループのコンベヤ事業は、砕石、発電所、土木、官公庁、製鉄コークス等を中心に様々な業界へ製品を提供しております。
マーケット全体としては、日本の製鉄業界の縮小傾向や石炭火力発電所の新設が見込めないなど、社会全体の成熟に伴い、かつてのような大規模開発の数は減少しております。当面は、気候変動による自然災害への対応に向けた、河川の堤防工事、防災工事等の強靭化に向けた需要は継続すると見込まれますが、かつてコンベヤ業界の成長を支えた、空港や港湾整備等の大規模なインフラ整備に伴う需要機会は、将来的には限られるものと考えられます。
当社グループが得意とする屋外ベルトコンベヤは、重量物の長距離連続輸送といった場面において歴史と豊富な実績を有する安定性・効率性に優れた搬送システムであるため、直ちに国内からコンベヤが撤去され、当社グループの安定的な収益基盤であるコンベヤ部品の交換需要が失われることは想定されませんが、新設の機会が限られる以上、単純なコンベヤ部品の需要については国内市場規模は徐々に縮小に向かいつつあるものと見ております。
製造現場に目を移すと、労働力不足や昨今の「働き方改革」に象徴される労働者の意識の変化を受け、より生産性が求められる時代となりました。コンベヤも例外ではなく、かかる時代の変化に応じた更なる生産性向上が求められています。その一方で、コンベヤのユーザーでは、運用スタッフの世代交代等により、コンベヤに関する知識・経験が失われつつあり、コンベヤの生産性を向上させる方法がわからないばかりか、潜在的な生産性向上の余地そのものが見落とされているといった状況が散見されます。
そのような状況の中、当社グループは創業以来培ってきた専門性を活かし、コンベヤ部品の更なる高品質・高機能化、蛇行防止機能やメンテナンス性を高める商材の投入を含め、顧客に対してコンベヤの生産性をトータルに改善するソリューション提案を行うなど、営業・サービス面の拡充に取り組んでまいりました。当該ソリューション活動は着実に効果を上げており、コンベヤマーケットには単なる部品需要にとどまらない新たなニーズの創出機会が十分にあるものと考えております。また、ソリューションを通じた高付加価値製品の市場への投入により当該高付加価値製品のリプレイス需要が生まれることから、リプレイスのマーケットにも成長の余地があるものと考えております。
今後、当社グループが主体となり、マーケットのプレイヤーである代理店等を巻き込みつつ、さらなるソリューション活動の拡大とスピードアップに重点的に取り組み、付加価値の高いサービスの提供や高機能な新商品へのリプレイスを推進する事で、コンベヤマーケットそのものを成長させることを目指しております。
製造面におきましては、材料費が値上がりする中、さらなる生産効率の向上が求められる環境となっております。コンベヤ部品には特注品も多いため、原材料費や加工費に対して一定の利益を乗せることについて比較的理解を得やすく、また当社グループは、売上規模、品質、提案力等によりコスト上昇の販売価格への転嫁についても一定の交渉力を持って臨んでまいりましたが、今後も利益を確保し続けるためには、製造DX化、将来的な無人化も見据えた更なる製造自動化等による生産効率の向上や、サプライチェーンの強化に向けた取り組み等が必須な状況にあるものと考えております。
(ロボットSI事業)
ロボット市場は年々拡大を続けております。労働人口減少、労働時間の短縮等の社会構造の変化に対応するために、製造工程やサービスへロボット等を導入することによる自動化は、もはや規模や業種を問わずあらゆる事業者にとって必須の課題である、と言うべき状況になりつつあります。
そのような中、ロボット及び周辺機器のテクノロジーの革新が進んでおります。例えば、近年の技術革新によりロボット製造コストは低下し、ロボット技術の汎用化が進展しています。当該技術革新と市場競争が相まって、ロボット単価は低下傾向にあり、導入コストの低下が進んでいます。また、安全柵が不要な協働ロボットの普及により、狭いスペースや人が介在する生産ラインでのロボット導入が可能になりつつあり、省スペース化による設置可能箇所の増加が進んでいます。さらに、AIやロボットビジョン(産業用のロボットに取り付ける位置検出や画層測定のためのカメラ等のシステム)の進化によりティーチングレス化(作業者が作業内容をロボットに教える「ティーチング」作業の簡素化)が進展したことによりプログラム変更が容易となり、可能な作業が多様化し多品種対応のための運用負担が軽減されつつあります。
こうした技術革新により、これまで自動化が進展していなかった領域でのロボット活用が拡大しつつあります。これまでの自動化は、大手製造業が行うようなロボットを大量使用する少品種大量のライン生産や塗装・溶接・ウエハ搬送等の特定の工程を中心に進展してきましたが、今後は多品種少量生産の生産現場で従来人が作業してきた組立・搬送等の生産現場の自動化が進展するものと考えられます。
当社グループのロボットSI事業は、こうした顕在化しつつある新市場とでもいうべき領域に向けて「使いやすく、導入しやすい」ロボットシステムを提供し、当該市場のニーズを他社に先駆けて確保することを目指しております。
3.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、顧客課題を解決することにより持続的な成長のための基礎を確立し、コンベヤ事業においてはマーケットの更なる需要創造により付加価値とシェアを拡大し、ロボットSI事業においては、新たなマーケットを開拓することを基本方針としております。
当該方針に基づき、当社グループでは売上高、営業利益、営業利益率を重要な経営指標としております。また、セグメント単位では、コンベヤ事業及びロボットSI事業のそれぞれについて、ソリューション比率及び受注高を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として用いております。
以下の「4.中期経営戦略」に記載した事業ごとの戦略を実行することにより、これらの指標の向上を図ってまいります。
4.中期経営戦略
当社グループは、これまで培った事業基盤や製造業者としてのノウハウを軸に、企業価値の最大化を目指してまいります。
事業ごとの戦略は以下のとおりです。
(コンベヤ事業)
(1) ソリューション展開の拡大とスピードアップ
ソリューションを軸に、代理店への営業ノウハウの共有やナレッジ展開、プラントメーカーへの設計技術やノウハウの提供など、エンドユーザーの課題を見据えつつ販売代理店等の便益向上に資する営業活動により代理店との連携を強化し、代理店を巻きこんでソリューション展開の更なる拡大とスピードアップを目指します。
また、メンテナンス要員のエリア配備や、工事協力会社の整備、関連会社とのシナジーを組み込んだソリューションパッケージの作成等、メンテナンスサービスの強化に取り組みます。さらに、製・販・技の三位一体を実現する開発チームの立ち上げによる製品開発力の強化と、落下回収コンベヤや発電ローラ等の次世代製品の早期投入により、ソリューションを支えるプロダクトの競争力強化に取り組みます。
(2) DX推進による営業の効率化
営業部門では、営業技術アプリの開発、パートナー企業への有償提供等、デジタルを活用した販売強化を行います。また、営業支援システムの強化、名刺共有システムの導入、自動設計システムの導入、遠隔監視システムの開発等、拡販に寄与するシステムの開発推進を行います。さらには、WEBオーダーシステムの改修による利便性の向上やユーザーの発注システムとつなぐことでの業務の簡素化と顧客の囲い込みを図り、顧客連携の強化を図ります。
(3) マーケットの拡大と需要創造
ソリューションの展開により付加価値とシェアの拡大を図りつつ、代理店との連携強化を推進し、国内のコンベヤ、コンベヤ部品、コンベヤ周辺機器マーケットの更なる拡大と需要創造を図っています。
また、北米・南米向け長寿命ローラを中心とした海外進出に向けての市場調査を行うとともに、海外企業とのクロスライセンス契約締結による取扱製品の拡大、シュートシミュレーション技術(粉体の落下等の挙動をシミュレートする技術)の習得と国内展開、スマートローラの販売など、海外企業との連携強化を図っていきます。
さらに、ホームページの充実によるインサイドセールスの強化や、外部向けソリューションWEBセミナーの実施、ソリューションパッケージの充実による見積獲得やパートナー企業の育成等の販売チャネルの多様化を推進し、更なるマーケットの拡大に取り組んでいます。
(4) 製造DXの推進
製造部門では将来的な生産ラインの無人稼働化に向けて、製造DXを推進しております。まずは、データ取得フェーズとして、製造設備のIoT対応を順次進め、設備稼働データを取得し、生産数分析、設備稼働分析の基礎となるデータの取得を行います。データ取得の推進に応じて、製造データの原価計算システムとの連携、在庫管理システムとの連携等を行い、基幹システムとの製造データの連携について検証し、将来システムの構想へとつなげます。
製造管理のシステム化のほかに、取得した稼働データ等は、更なる製造効率化に向けた停止ロスの把握等の課題の洗い出しに利用し、更なる製造工程の改善につなげる計画です。
(5) 生産コストの更なる改善
材料費の高騰等の市場環境への対応力を高めるため、主要材料、部品について、複数サプライヤーから調達する体制を構築・強化するため、海外調達も視野に入れたサプライヤーの見直し、新規開拓等を行います。
また、鋼材等については、基準寸法の見直しや製造設備の更新により廃棄ロスの削減を目指します。
さらに、主要鋼材、部品の自動発注、マニュアル化された事務作業のRPA化の推進、見積り待ち時間の短縮のための自動見積りシステムの開発等のシステムの自動化に向けた取り組みを実施致します。
(6) 海外展開
近年、海外大手採炭業者の大規模プロジェクトに当社製品が採用された事例もあり、当社グループが長年の実績を通じて培ってきた確かな品質と課題解決能力は海外への展開が可能であるものと考えております。本格的な海外展開には標準規格の違いやリードタイム、輸送コスト等のハードルをクリアする必要がありますが、現地への生産パッケージの輸出等により現地供給体制を構築することが一つの方策となるものと考えており、現時点では、将来的な海外展開に向けて、現地販売網を有する海外企業との連携を強化するなどの取り組みを実施しております。
(ロボットSI事業)
ロボットSI事業は、労働力不足の問題が今後ますます深刻化すると予想され、マーケットの成長が見込まれる一方で、多くの事業者がしのぎを削っており競争が激化することも想定されます。
当社グループとしては、こうした競争環境の中、製造業者として培ったユーザー目線も併せ持つ自動化ノウハウとコンベヤ事業で培った安定した事業基盤を武器に、これまで自動化が進展してこなかった新市場での需要獲得を目指して事業を推進してまいります。
市場の開拓に当たっては、品質と価格競争力を両立するソリューションを実現するため、基本設計、操作パネル等のGUI、ソフトウエア等を標準化し開発コストを抑えたうえで、積極的なマーケティングによる拡販により横展開を進めてまいります。
高品質と低コストを両立したロボットソリューションを提供することができれば、顧客はSIerを他社に変更することにメリットを感じにくくなります。こうした先行者としての優位性をもって、継続的にシェアを拡大し、認知度を向上していくことにより、新市場で確固たるポジションを築くことを当面の目標としております。
5.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
経営方針及び中期経営戦略を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。
(1) 更なる経営・製造の合理化
当社は、コンベヤ部品メーカーとして時代に先駆けて工場の自動化を推進し、効率的かつ迅速に高品質な製品を納入できる体制を構築することにより、成長を遂げて参りました。しかし、少子高齢化はとどまるところを知らず、製造業者にとって、更なる自動化・ロボット化を含むデジタル技術を用いた経営の合理化は不可欠であり、当社グループも例外ではありません。
当社グループでは、当該環境に対応するため、製造DX化を含む、生産性向上のための施策に取り組んでおります。具体的には、製造設備の稼働状況のデータ化等から着手し、最終的には、見積もりから出荷までの一連の製造工程を全自動で行うシステムを構築することで生産性の向上を実現しつつ、各製品の利益率の適時把握によって早期の収益改善策の策定・実行を可能とするものです。
また、営業、購買、管理系の情報システムにつきましても、既存システムの運用長期化に伴う、システムの複雑化や属人化等の問題があり、将来的に各種サービスとの連携、同期が図りにくくなるなどのリスクが想定されております。基幹業務系のシステムにつきましても、蓄積されたデータの利活用、タイムリーな情報伝達、さらには組織全体としてのスループットを向上させるための改修が必要であるものと考えております。
(2) 人材の確保・育成
旧来のコンベヤ部品メーカーとしての事業領域のみにとらわれず、顧客の課題解決・利益向上に貢献する「ソリューション・プロバイダー」となるためには、従業員の意欲、能力の向上が欠かせません。また、製造業の慢性的な人手不足とは異なりますが、ロボットSI事業におきましても、案件全体が増加する中で業界的なエンジニア不足が多くのSI企業でボトルネックとなっており、いずれの事業においても人材の確保と教育は当社グループにとって重要な課題であるものと認識しております。
当社グループでは、長年培ったコンベヤの知識、効率的な生産自動化ノウハウといったものを、次世代に継承し、学びを日々の業務に活かすとともに、新たな事業の創造につなげていくべく、「JRCアカデミー」の取組みを行っております。また、従業員の安全衛生の観点からも教育は重要であり、製造現場では技術の伝承や多能工化もさることながら、労災防止のための危険予知などの知識も継承する必要があると考えております。ソリューション営業においても、顧客プラントへ足を運ぶ機会が増加し、時には危険な現場も存在します。このような点から、安全衛生の教育についても力を入れております。
当社グループでは、「健康経営」を宣言し、社員が皆、社会の一員として活き活きと健康で幸福な生活を送るために必要な会社」の実現を目指し、会社、健康保険組合、社員とその家族が一体となって、働きやすく働きがいのある職場づくりと社会生活の充実を推進しております。このような取り組みを引き続き行いつつ、各事業の魅力を伝えていく事で、引き続き優秀で意欲ある人材の確保に努めたいものと考えております。
(3) 経営管理体制、コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループが持続的な成長を維持していくためには、内部管理体制の強化を通じた業務の標準化・効率化が重要であると考えております。また、企業価値を継続的に高めていくためには、経営の透明性を維持し、健全な倫理観の下、法令遵守を徹底するための有効なコーポレート・ガバナンスが機能する仕組みを強化・維持することが不可欠であるものと考えております。
当社グループでは、様々な規程の見直しや内部監査の強化等のコンプライアンス、ガバナンスの強化に取り組んでおりますが、当社グループの成長に合わせて、継続的に見直しを行うとともに、これらの仕組の運用を担うすべての人材に対して、適切な教育研修等を行っていく必要があるものと考えております。
(4) 持続可能な開発目標(SDGs)への取り組み
持続可能な未来のために生産性の向上や製造環境の改善への取り組みが必要と考えており、SDGsの実践につなげていきます。当社グループでは現在サステナビリティ委員会の立ち上げ等、SDGsへの取り組みを強化する体制整備を積極的に推進しております。

(5) 財務基盤の強化
当社グループは、現時点において喫緊の財務上の課題は認識しておりませんが、継続的かつ安定的な事業の拡大を図る上では、手元資金の流動性確保や更なる調達の見直し、更には有望な投資機会を逃さないための機動的な資金確保のための方策検討等の取り組みは重要であると考えております。
このため、金融機関との良好な取引関係維持や資金のロットに応じたエクイティでの調達等を見据えた企業価値向上等の財務基盤の強化に継続的に取り組んでまいります。

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