訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2023/09/25 16:20
【資料】
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【項目】
154項目
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
「独創と融合」を当社の経営理念としております。これは、個々の独自性と創造性を尊重し、それらをあらゆる次元で発展的に融合させることにより、新しい価値を継続的に生み出していく、という意味があります。当社に関わる全てのステークホルダーに価値を提供できるよう事業展開を行っております。
当社グループ理念としては、「環境に優しい空気のソリューションを届ける。」をパーパスとし、また「クライメイト・ニュートラルな未来実現のため、空気処理技術のイノベーション・リーダーであり続ける。」をビジョンに掲げ、世界各国で社会課題の解決の一助となり得る製品・サービスを提供しております。また、コアバリューを次のとおりに定め、パーパス及びビジョンの実現を目指す上でこれらの価値観を意識し、日々の業務に取り組んでおります。
① お客様の信頼を得るため、常に高品質の製品とサービスをお届けする。
② 前向きで協力的な職場環境をグローバルに創造する。
③ 創造的思考を巡らせ、責任ある行動をとる。
④ 率直にそして誠実に行動する。
当社グループのデシカント除湿機により、製薬、食品製造工程だけでなく、近年ではリチウムイオン電池等の製造に必要不可欠なドライ環境を提供することで、製造途中で発生するロスを削減し、製品自体の品質を維持することが可能であります。また、自動車製造、造船、半導体製造の工程で排出される有害なVOC(注1)のみを吸着・濃縮する当社のVOC濃縮装置(注2)により、排出ガスを効率的に浄化処理することが可能であるため、処理過程で排出されるCO2を抑えながらの大気汚染防止に貢献しております。このように、当社グループは、顧客の抱える環境に関する課題、ひいては地球環境全体の課題を解決する一助となる製品・サービスを提供し、また当該製品・サービスの更なる改良や環境保全に貢献する新製品の開発をとおして、クライメイト・ニュートラルの実現に寄与することを目指しております。
(注1)VOCとは、Volatile Organic Compounds(揮発性有機化合物)の略語で、浮遊粒子状物質(SPM)、光化学オキシダント、悪臭等を発生する大気汚染物質のひとつであります。
(注2)VOC濃縮装置は、塗装、印刷、コーティング等の過程や、VOCを含む化学物質や原材料を使用する製造工場から主に排出されるベンゼンやトルエンといった有害なVOCのみを吸着・濃縮し、効率的な処理を行い、排ガスを浄化させるための、環境保全に貢献する装置であります。
(2) 経営環境
当社グループが属する業界の市場データが存在しないため、「デシカント除湿機」及び「VOC濃縮装置」に絞って記載をしております。
(デシカント除湿機)
デシカント除湿機が使われる用途は多岐にわたり、食品、製薬、倉庫や輸送を含むロジスティック関連、発電所、及び近年特にリチウムイオン電池といった急進産業で必要とされております。
2022年の世界人口は約80億人であり、2030年には85億人、2050年には97億人にまで増加すると予測されております。また、それに占める65歳以上の高齢者の割合は2022年の10%から、2050年には16%にまで増加するとされております(注1)。これらの人口動態のトレンドにより、食品及び製薬産業の安定的な伸びが見込まれます。また、リチウムイオン電池を含む蓄電池は、2019年の世界市場規模は約5兆円であり、2030年には約40兆円、更に2050年までに約100兆円に成長(注2)することが見込まれております。また、2018年に54兆円であった半導体関連の世界市場規模は、2030年には約100兆円に成長する見込みであります(注3)。これらの各産業において今後も積極的な設備投資が期待されており、各産業の成長と共に、当社グループのデシカント除湿機の需要増加が期待されております。これらの産業の中でも特に近年はリチウムイオン電池産業におけるデシカント除湿機の採用が増えており、当社グループのデシカント除湿機販売においても最重要市場として位置付けております。同産業の最も大きい市場は中国であり、アメリカがそれに続き、各市場においてEV自動車への移行と共に更なる投資が見込まれております。今後も日本国内よりも海外市場の方が圧倒的に大きく伸びることが期待されており、当社グループにとって需要拡大の機会であると認識しております。
(注1)United Nations『World Population Prospects 2022』
(注2)経済産業省『「次世代蓄電池・次世代モータの開発」プロジェクトに関する研究開発・社会実装の方向性
2021年7月』
(注3)経済産業省『半導体戦略(概略)2021年6月』
(VOC濃縮装置)
VOC濃縮装置が使われる用途も多岐にわたっております。自動車や船の塗装、半導体の製造、及びグラビア印刷の工程等で発生する揮発性有機化合物(VOC)やVOCを含む原材料を扱う生産拠点等で必要とされております。日本国内ではVOC排出に関して厳格に規制されていないものの、近年では特に、厳格なVOC排出規制が施行された中国や韓国において、施行前の対策措置として需要が急増する傾向がありました。現在、中国が最大の市場であり、韓国、ヨーロッパ、台湾、アメリカがそれに続きます。今後もこれらの市場において、本装置に使われている主要部品であるロータの交換需要が継続して発生すると認識しております。また今後は、インドや東南アジア諸国等、大気汚染が問題視されているにもかかわらず、これらの法規制が制定されていない国での需要増加を見込んでおります。
(3) 経営戦略
次の5つの経営戦略達成のために、アクションの方向性を示し、更に具体的なアクションプランを策定し取り組んでおります。
経営基本方針経営戦略アクションの方向性
コア事業で収益性の高い成長を遂げる。デシカント除湿機販売注力による主力市場(欧州、米国、中国)でのシェア拡大リチウムイオン電池等の「成長産業」、製薬や食品等の「緊要産業」、交通機関、インフラ等の「有望産業」を重点ターゲットと定め、販売を強化する。
北東アジアでのソリューション事業拡大・納入品や成果物の品質と性能の改良・改善を行う。
・日本国外の現地営業体制を強化する。
・新規ビジネス機会の探索と次世代技術の開発を含む主力技術の開発
VOC濃縮装置のグローバル市場リーダー・新興国及び新規用途へ参入する。
・ロータ交換需要に対応するための現地体制を構築し、既存市場で更なる成長を図る。
・調達から交換に至るまでのバリューチェーン全体でコスト削減をし、収益力を強化する。
コア技術とイノベーションにより差別化を図る。外気処理のイノベーションによる全熱事業の活性化・アメリカ市場での全熱製品のイノベーションによる事業活性化
・日本国内市場における外気処理事業の拡大
新たな技術の商業化の可能性の模索CO2濃縮技術の農業用途向けの商業化

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
(営業利益率)
当社グループは、継続的な事業の拡大を通じて企業価値の向上を目指しております。特に収益性を重視する指標として営業利益率を重要な指標としております。
(EBITDAマージン)
当社グループでは、厳しい経営環境に直面しようとも必要な設備投資を継続し、収益力の向上を図っていくことを目指しており、事業活動から生じるキャッシュ(EBITDA)を把握し、売上高に対する比率(EBITDAマージン)を経営指標として採用しております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
ウクライナ情勢等の影響による原油価格をはじめとするエネルギー価格の動向、新型コロナウイルス感染症の収束時期や感染拡大による影響が見通せず、先行きは極めて不透明な状況であります。当社グループを取り巻く状況も予断を許しませんが、引き続き、原材料価格や物流コスト上昇に対処すべく、生産効率化、業務効率化に注力し、一定部分を販売価格に転嫁しつつ、製品・サービスを安定供給することで収益確保に繋げてまいります。また、新型コロナウイルス感染症対策と経済活動の両立を進める中、ワクチンや治療薬の普及効果があらわれ、人の往来が回復するにつれて当社グループの収益環境も徐々に回復してくるものと考えておりますが、引き続き企業間競争が激しくなることが予想されます。このような状況の中、当社グループは、全社員一丸となって次のとおり取り組んでまいります。
① 人材の育成
当社グループにとって、顧客の声に耳を傾け、顧客起点の製品開発を推進するための人材育成は最重要課題の一つと位置づけており、従業員のモチベーションの向上やスキルアップに取り組んでおります。更に、世界各国で事業展開をしているため、グローバルに活躍できる人材の育成にも取り組んでおります。
また、全社的な労務管理を行うとともに、働き方の多様性を推進し、より良い労働環境の整備、運用に努めてまいります。
② 高品質、安全・安心な製品の安定供給
当社グループは、社会や業界を取り巻く法律や規制への対応に積極的に取り組むとともに、大規模な事故・災害等の発生に備えて、事業継続計画(以下、「BCP」という。)を策定し、社員教育や災害訓練等によりBCPの周知徹底及び実効性の向上を図っております。
一方、経営環境に大きな影響を及ぼす、物流コストや原材料の価格と安定的な調達も大きな課題ととらえております。
③ 顧客ニーズに沿った製品開発と新しいマーケットの開拓
当社グループは、デシカント除湿機及びVOC濃縮装置を主力としております。VOC濃縮装置については、当社がパイオニアということもあり世界市場でも認知度が高く、世界30か国以上の顧客に選ばれております。しかし、中国においては現地メーカーによる安価な製品が多く上市されており、競争が増しております。このような状況の中、当社グループは品質と性能で高く評価されており、現地の廉価な製品よりも高付加価値製品として市場でポジショニングが形成されており、売上を伸ばしております。また、新たな使用用途の開拓のため、引き続き製品開発にも取り組んでおります。
一方、デシカント除湿機については、近年のEV自動車普及に伴うリチウムイオン電池工場の急増により、当社グループのデシカント除湿機の売上は好調であります。しかし、当社の競合他社においては、様々な製品やサービスを精力的に展開しており、世界市場での地位を維持しております。当社グループにおいては、海外主要拠点での24時間のサービス体制を構築し、当社グループのプレゼンスを強化する取り組みを進めております。
これら主力製品以外にも、全熱交換器の販売に注力しているアメリカ市場においては、顧客ニーズに合った製品を開発しており、また日本国内市場においては、新たに外調機事業に参入し、今後更なる拡大を目指して準備を進めております。
また、中長期的な視点から、リチウムイオン電池産業の伸びが緩やかになる将来、又はVOCを含まない代替塗料等が普及する将来に備え、今から次世代製品の開発を進めておく必要があります。そのため、CO2濃縮技術を農業用途に実用化させ、2024年に製品化するための開発プロジェクトを現在進めております。
④ 生産性の向上
世界中で高まる需要に応えるために、経営資源を最適活用し、組織・業務・生産活動の効率化に努めてまいります。国内においては、海外子会社に供給する除湿ロータの生産能力を向上させるため、老朽化した生産設備を更新し、またアメリカ及びヨーロッパからの今後の需要増加を見込みポーランドの工場を拡張することにより生産力・収益力の向上に繋げてまいります。
⑤ グループ経営における社会的責任
当社グループの経営につきましては、社会的責任を果たすために、環境保全に積極的に取り組んでおります。当社グループの製品を使って頂くことで大気汚染防止に繋がり、顧客の製造過程で排出されるロスを削減し、また顧客におけるCO2排出量の削減にも繋がることから、事業そのものが、2015年9月に国連持続可能な開発サミットで採択された「持続可能な開発目標:SDGs(Sustainable Development Goals)」の「12 つくる責任 つかう責任」及び「13 気候変動に具体的な対策を」等を達成することに繋がると考えております。
また、当社では2018年より企業主導型保育施設として「はにかむほいくえん」を運営しております。従業員の福利厚生としての側面だけでなく、地域の皆様の仕事と育児の両立をサポートできるよう、また、子どもたちの未来を地域で育むことを目標にしております。
さらに、「公益財団法人隈科学技術・文化振興会」への寄付を通して、科学技術に関する分野を専攻する大学院生に対する奨学金の給付及び日本文芸の伝統等の活動を行う団体等に対する支援を行っております。意欲ある若手研究者の独創的、先駆的な研究開発、実用化に対する助成及び起業家の育成、また日本文化の発展と伝承に寄与することは、持続可能な社会の発展につながると考えております。
今後も事業活動を通じ、SDGsを始めとする社会課題の解決に貢献できるよう努めてまいります。また、適切な企業情報の開示やコンプライアンスを一層推進するため、コーポレート・ガバナンス体制の強化及び内部統制の充実に全力を投入致します。
⑥ 収益力の向上
収益力のさらなる向上のため、グループ各社をあげて、高付加価値製品の受注拡大を図り、製造時間の短縮や製造経費のさらなる削減を継続して進め、利益確保に努めてまいります。また、Seibu Giken DST East Africaの早期黒字化及び債務超過の解消に向けて取り組んでまいります。
⑦ グローバルなグループ経営
「グローバルな成長」を基本戦略として、国内外拠点の自立と連携を図り、各製造拠点の生産技術力の向上に努め、顧客に満足いただける業界でのトップクラスの品質、価格、納期及び製品開発をも含めた生産競争力の強化・充実に努めてまいります。また、グローバルでのグループガバナンスの向上、内部統制に係る体制の強化に向けた社内体制の強化に努めてまいります。海外のグループ子会社については、現地トップと当社経営陣が普段から電話やweb会議等で頻繁に情報交換することで、課題やトラブル等あれば協議しながら解決に当たっております。2021年3月には「Seibu Giken Group Policies and Procedures Guideline」(以下「グループガイドライン」という)を制定し、こちらに定められた規程を遵守することで統制強化を図りました。さらにSeibu Giken DST AB(スウェーデン)、西部技研環保節能設備(常熟)有限公司(中国)及び迪思特空气処理設備(常熟)有限公司(中国)の主要子会社3社については、現地弁護士による法務デューデリジェンスを実施し、法令遵守についても確認致しました。
今後は、グループ会社の経営陣によるGlobal Management Councilを年2回開催し、さらなるグローバルでのグループガバナンスの強化、内部統制に係る体制の強化、またグループとしての方針や戦略の策定と進捗管理、予算管理、共有課題の抽出と解決を図ってまいります。

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