有価証券報告書-第5期(2023/11/01-2024/10/31)

【提出】
2025/01/28 15:52
【資料】
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【項目】
104項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という))の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における我が国の経済は、株価が一時34年振りに最高値を更新するなど、企業業績が総じて好調に推移し、設備投資も堅調でした。春闘で高い賃上げ率が実現したこともあり、個人消費の緩やかな改善が見られました。ただし、人手不足による人件費や物流コストの増加、また根強い円安傾向などによって物価上昇圧力が強い状況が続けば、消費が抑制される恐れがあります。さらに米国の新政権による通商政策の行方、米中の貿易摩擦再燃の懸念、地政学リスクの高まり、振れやすい為替相場など、先行きの不透明感が払しょくされる兆しが窺えない困難な状況が続いています。
中堅・中小企業M&A市場は、経営者の高齢化による後継者不足問題が深刻化するなか、事業承継の有力な手段として注目を集め、拡大傾向にあります。特に、後継者不在で黒字倒産する企業も多く、貴重な経営資源の有効活用と経済活性化のため、M&Aによる事業承継が重要視されています。近年では、事業承継だけでなく、新規事業創出や企業変革を目的としたM&Aも増加しており、その多様化が進んでいます。
M&Aアドバイザリー業務の市場は、堅調に拡大していますが、同時に市場の健全化に向けた取り組みも求められています。政府や業界団体によるガイドライン策定や自主規制ルールの導入など、官民一体となった取り組みが進み、M&A市場はより健全な発展が期待されています。
このような事業環境下で、当社は1社でも多くの企業の事業承継を支援するため、引き続き金融機関や会計事務所等の提携先の新規開拓を進めました。また、M&Aのニーズの発掘のため、提携先への研修会や勉強会の実施についても強化を図ってまいりました。
この結果、当事業年度において需要の伸長に対応すべくM&Aアドバイザーが34名(前期26名)と増員し、新規受託件数は順調に増加しております。しかし一方で、当社の重要指標である当事業年度の成約組数は57組(前期75組)と前事業年度と比較して減少いたしました。
当事業年度における売上高は602,292千円(前期比20.0%減)、営業損失は14,894千円(前期は176,194千円の営業利益)、経常損失は14,575千円(前期は168,333千円の経常利益)、当期純損失は11,524千円(前期は125,023千円の当期純利益)となっております。
なお、当社は、M&Aアドバイザリー事業の単一セグメントであるため、セグメントに関する記載は省略しております。
(資産の部)
当事業年度末における流動資産の残高は、前事業年度末と比較し15,638千円増加し688,237千円となりました。これは、主として、未収還付法人税等が25,647千円増加、売掛金が8,756千円減少したことによるものであります。
当事業年度末における固定資産の残高は、前事業年度末と比較し2,720千円増加し82,512千円となりました。これは、主として、繰延税金資産が3,341千円増加、敷金が577千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は770,749千円となりました。
(負債の部)
当事業年度末における流動負債の残高は、前事業年度末と比較し86,450千円減少し67,988千円となりました。これは、主として、未払法人税等が47,881千円、未払費用が12,667千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は67,988千円となりました。
(純資産の部)
当事業年度末における純資産の残高は前事業年度末と比較して104,810千円増加し、702,761千円となりました。これは、主として資本金が56,669千円、資本準備金が56,669千円増加し、繰越利益剰余金が11,524千円減少したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前事業年度末に比べ△6,443千円減少いたしました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、使用した資金が118,130千円(前事業年度は200,810千円の獲得)となりました。これは主に、未収還付法人税等の増加額25,647千円、その他の流動負債の減少額24,533千円、法人税等の支払額43,222千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは1,510千円の資金の減少(前事業年度は11,779千円の資金の増加)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出1,510千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは113,197千円の資金の増加(前事業年度は221,904千円の資金の増加)となりました。これは主に、株式の発行による収入70,639千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入42,700千円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称第5期事業年度
(自 2023年11月1日
至 2024年10月31日)
販売高(千円)前期比(%)
M&Aアドバイザリー事業602,292△20.0
合計602,292△20.0

(注) 1.当社は、M&A仲介事業の単一セグメントであるため、セグメントに関わる記載は省略しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりましては、資産・負債及び収益・費用に影響を与える見積り及び判断を必要としております。
当社は、財務諸表の基礎となる見積りを過去の実績を参考に合理的と考えられる判断を行ったうえで計上しておりますが、これらの見積りは不確実性を伴うため、実際の結果とは異なる場合があります。
なお、繰延税金資産や貸倒引当金について、会計上の見積りを行っておりますが、重要な会計上の見積りはありません。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
当社の経営成績等については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績に重要な影響を与える要因
当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、資金需要のうち主なものは、効果的に事業拡大していくための採用費や人件費、新規拠点の設置費用等であります。また、資金の源泉は主として営業活動によるキャッシュ・フローによって確保しますが、採用費や人件費、新規拠点の設置費用等の目的で資金を確保する必要性が生じた場合には、金融機関からの借入や増資による調達を実施することを基本方針としております。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析
当社が今後事業を拡大し、継続的な成長を遂げるために、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 対処すべき課題」に記載しております課題に対処していく必要があると認識しております。それらの課題に対応するために、営業基盤を拡充するために必要な人材の採用と育成、内部管理体制の強化を進めることにより、企業価値の持続的な向上に取組んでまいります。
第5期事業年度においては、新規提携先の増加及び提携先との取引深耕を行った結果、新規アドバイザリー契約件数は増加したものの成約組数は減少し、第5期事業年度における売上高は602,292千円(前期比20.0%減)、営業損失は14,894千円(前期は176,194千円の営業利益)となりました。新規アドバイザリー契約件数は360件(前期は285件)に増加しましたが、成約組数は57組(前期は75組)に留まっております。また、新規アドバイザリー契約獲得や成約に至るまでのM&Aアドバイザリーサービスを提供するM&Aアドバイザーを採用した結果、M&Aアドバイザー数は34名(前期は26名)となりました。