有価証券報告書-第11期(2025/01/01-2025/12/31)

【提出】
2026/03/27 9:30
【資料】
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【項目】
120項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1) 会社の経営方針
当社は、「都市と地方をかきまぜる」をミッションに掲げています。
このミッションの下、ヒト・モノ・カネのあらゆる側面で都市と地方をつなぐサービスを提供することで、株主価値、企業価値及び社会的インパクトの最大化を図ってまいります。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、都市と地方をかきまぜる複数のサービスを展開しており、「ポケットマルシェ」を筆頭にした各種サービスを統合し、「売上高」に加えて、インパクト指標として「『顔の見える取引』にかかる流通総額」「生産者と消費者のコミュニケーション数」「都市と地方を往来して過ごした日数」の成長を通じて、企業価値の向上を図ってまいります。
・「売上高」
当社が提供するサービスの売上高成長は、当社の企業価値の向上を直接的に示す指標であると考えています。
・「『顔の見える取引』にかかる流通総額」
「都市と地方の分断」の解消にむけて、当社のサービスは、生産者と消費者や宿泊施設と宿泊客といった間で「顔の見える取引(誰から購入しているかが見える化されている取引を指し「顔の見える取引」にかかる流通総額は、当社「ポケットマルシェ」「食べる通信」「ポケマルふるさと納税(寄付額)」「ポケマルおやこ地方留学」「STAY JAPAN」のサービス利用金額の合算で算出)」ができるように設計されています。「顔の見える取引」が伸びることは、当社サービスの認知や当社サービスに対する継続的な満足度を示していると考えています。

・「生産者と消費者のコミュニケーション数」
生産者と消費者のコミュニケーション数は、「ポケットマルシェ上での投稿およびメッセージの数」によって計測されます。前述のとおり、当社は「都市と地方をかきまぜる」というミッションのもと各種サービスを提供している中で、「生産者と消費者との分断の解消」は重要なテーマと捉えており、この指標は生産者と消費者との分断の解消度合いを象徴的に示していると考えています。

・「都市と地方を往来して過ごした日数」
当社のサービスを通じて、都市と地方を往来して過ごした日数を計測しております。具体的には、2022年から開始した子ども向け企画旅行「ポケマルおやこ地方留学」や2025年に事業譲受けした宿泊予約サイト「STAY JAPAN」等により、都会と地方の往来による人流創出を加速しています。

(3) 経営環境
当社は、複数サービスを展開しているため、各サービスの関わる市場が異なります。
主に、①食品EC市場(食品事業)、②自治体支援サービス市場(自治体事業)、③旅行市場(旅行事業)の3つを特に重要な市場として想定しております。これらの市場において、生産者と消費者のユーザー基盤、継続的な購買を促進する仕組み等の強みを競争優位性の源泉とし、事業展開を継続していきたいと考えています。
① 食品EC市場(食品事業)
食品EC市場は、2024年で3兆1,163億円となっており、前年度からは106.4%に成長しています。また、食品市場のEC化率は、過去からは伸長して2024年に4.5%となったものの、物販系分野全体の9.8%と比較した際にまだ伸びしろのある状況です(経済産業省「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」(2025年8月26日))。
さらに、従来の卸売市場を経由せず、直接、産地から小売事業者や消費者等に流通させる産直サービスは、消費者意識の高まり等を背景として、2027年には2022年比で111.2%に成長すると予測されております(矢野経済研究所「産直ビジネスの市場実態と将来展望」(2023年6月6日))。
② 自治体支援サービス市場(自治体事業)
行政予算を対象とした事業であり、国及び地方自治体の予算には限りがあるため、市場全体が大きく成長することはない領域と考えております。
一方で、2025年12月末時点で、2025年度の委託事業における取引自治体数は67であり、全国の1,765自治体のうち一部に過ぎません。今後も自社サービスを活かした食領域、関係人口領域、旅行領域に関連する事業において価値を提供できると見込んでおります。特に、内閣官房「新しい地方経済・生活環境創生会議」の有識者構成員として就任した当社代表の高橋が提唱した、都市と地方を恒常的につなぐ制度インフラである「ふるさと住民登録制度」が、2025年6月に閣議決定された「地方創生2.0基本構想」の中で正式に創設されることとなり、国や自治体における「ふるさと住民登録制度」に関連する予算の増加が見込まれております。
また、当社に登録する生産者は、2025年12月末時点で全国1,605の自治体に分布しており、これは日本の全1,765自治体(「e-Stat 政府統計の総合窓口」2024年12月末時点)の90.9%に該当します。この全国に広がる生産者のネットワークを活用することで全体の市場に対して当社の参入余地はまだ大きく、成長を見込んでおります。


③ 旅行市場(旅行事業)
新型コロナウイルスによる行動抑制の緩和により、インバウンドを中心に人流は大きく回復しております。また、テレワーク、ワーケーションといった新たな働き方は一定定着し、今後もそのような勤務形態は継続することになると考えられます。
そうした状況下で、当社が開催する子ども向け企画旅行「ポケマルおやこ地方留学」の提供する長期ワーケーションや子供の体験アクティビティのニーズは高まり、さらに、2025年4月に事業譲受けしました宿泊予約サイト「STAY JAPAN」を通じてインバウンド需要を取り込むことにより、今後も更なる成長を見込んでおります。
(4) 経営戦略
(3)で記述した通り、食品EC市場の拡大が続いてきました。その中でも産直EC市場は、2016年、産直アプリ「ポケットマルシェ」を当社がリリースしたことに端を発する比較的新しい市場です。
当社の「ポケットマルシェ」はプラットフォームとしての一面を持つため、流通規模が拡大するにつれて、取引に携わる生産者数や出品数、自治体数等が増加し、それに伴い、プラットフォームとしての価値も高まっていく構造にあります。また、売上高の成長に対して、運営に伴うコストの売上高比率は下がる傾向にあり、売上高広告宣伝費比率は低くなっています(2020年:92%、2021年:43%、2022年:29%、2023年:6%、2024年:6%、2025年:6%)。
また、生産者や消費者が増えることによって、それらを基盤とした自治体支援サービスや、「ポケマルおやこ地方留学」等のサービス展開も促進され、更なる企業価値の向上につながる好循環があります。さらには、プラットフォーム型のビジネスであるため、売上高成長に伴い、売上高に対する費用の割合は減少していく傾向にあるため、営業利益率が高まる傾向にあります。
こうした基本的な考え方に基づく、当社の具体的な経営戦略は以下の通りです。
① 食品事業の収益性向上
(a) 「ポケットマルシェ」の継続利用
産直アプリ「ポケットマルシェ」の重要な特徴は、ユーザーが長く利用し続けることにあります。そのため、継続購入ユーザー数(2回目以上の購入者数)が積み上がっていく傾向にあり、購入者全体に占めるリピート率(購入者数全体に占める継続購入ユーザー数の割合)は約8割、1ヶ月の平均購入回数は約2.5回(2022年の継続購入ユーザーの平均値)であり、ロイヤリティの高い顧客が安定した売上を支える要因となっております。
消費者が買い続ける行動は、(1)同じ生産者から何度も買う行動、(2)初めて購入する生産者から買う行動、の2つに分解することができます。それらは、双方がやり取りできる機能があることによって(1)が発生するとともに、全国各地に生産者がいて旬の食材が移り変わることで(2)が生まれます。いずれも、当社プラットフォームの特徴によるものであり、競合優位性のポイントであると考えております。
(b) 新規ユーザーの獲得
「ポケットマルシェ」の新規ユーザーは、広告経由と広告以外経由に大きく分類でき、後者は認知拡大によるサービスでの指名検索やSEO対策(検索エンジン最適化)による検索流入で広告費をかけずに獲得できている状況です。
食品EC市場は2024年において3兆1,163億円と大きいため、市場からは今後も継続的な獲得が可能と捉えており、SEO対策を更に強化することで、1人あたり獲得コストを抑えたうえで新規ユーザーの獲得拡大を図ってまいります。
(c) クロスセル(顧客が利用しているサービスに加え、追加で別のサービスも利用してもらうこと)によるLTV(顧客生涯価値)向上
「ポケットマルシェ」のユーザーに対して、ポケマルふるさと納税、フルーツ、野菜、チーズ等の定期便のサブスクリプションサービスなどの複数サービスの利用を促進し、クロスセルによるLTVの向上を図ってまいります。
② 関連サービスの成長
(a) 自治体事業
2020年度に、新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要を背景として、「ポケットマルシェ」は生産者数・消費者数・流通額が大きく伸長しました。それと時を同じくして、EC化を進展したい自治体からの引き合いも大きく伸びることとなり、取引自治体数は継続的に積み上がってまいりました。また、近年は食領域以外の関係人口領域や旅行領域に関連する事業の取引自治体数が増加しております。特に、内閣官房「新しい地方経済・生活環境創生会議」の有識者構成員として就任した当社代表の高橋が提唱した、都市と地方を恒常的につなぐ制度インフラである「ふるさと住民登録制度」が、2025年6月に閣議決定された「地方創生2.0基本構想」の中で正式に創設されることとなり、国や中長期で関係人口のモデルとなる自治体とのモデル事業の組成や事務局としての連携により、横展開が可能な事業を構築することで更なる取引数の増加を見込んでおります。また、当社は、2026年2月に関係人口創出拠点「HANAMAKI BASE」を岩手県花巻市の中心地にて開業し、同施設内へ本店移転しております。2013年のNPO創業以来、「関係人口」という概念を提唱し、都市と地方の分断を解消すべく全国の自治体と連携して数多くの関係人口創出事業に関わってきた知見から、地域に深く根を下ろすためには「6泊7日以上の滞在」「落ち着いて仕事ができる環境」「地元の方々との交流」という3つの要素が不可欠であることを導き出しました。「HANAMAKI BASE」は、これら3つの要素(宿泊・仕事・交流)を複合的に組み合わせた本社オフィス、コワーキングスペース、宿泊施設、交流ラウンジを備えた施設であり、創業の地である花巻市における関係人口創出のモデルケースを自ら体現・構築することで、関係人口領域のソリューション開発に活かしてまいります。
(b) 旅行事業
「ポケマルおやこ地方留学」の2025年度夏季プログラムは、全国7箇所で催行され、186家族が参加しました。また、事業開始後4年目を終え、ツアーグランプリ2024 国土交通大臣賞を受賞するなど、関係人口創出型の旅行プログラムとして社会的にも高く評価されており、リピート率は28.4%と高い水準になっております。当社が「ポケットマルシェ」を通じて獲得した約9,000人(2025年12月末時点)の生産者が提供する農漁業体験や2025年4月に株式会社百戦錬磨から譲り受けた宿泊予約サイト「STAY JAPAN」が有する約1,000件の宿泊施設での宿泊体験の提供により、今後も更なるサービス成長を見込んでおります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① ポケットマルシェの拡大
産直アプリ「ポケットマルシェ」が売上の面において中心となるサービスであるとともに、登録している生産者と消費者が他のサービスの基盤となっていることから、当サービスが当社において重要な位置付けとなります。そのため、当サービスの認知度向上による新規消費者の獲得や既存消費者のリテンション率を向上することが必要であり、SEO、広告やクーポンといったマーケティング施策により継続して拡大を進めてまいります。また、生産者や消費者の利用するプロダクトのユーザビリティ向上にも引き続き努めてまいります。
② サービス展開の加速
当社は、産直アプリ「ポケットマルシェ」を軸として事業展開を行ってまいりましたが、依然として全体の売上高に占める食品事業の割合が高い状態が継続しております(食品事業の売上高比率は2023年12月期66.7%、2024年12月期69.5%、2025年12月期64.0%)。中長期に亘って成長するために、「ポケットマルシェ」に続く柱を確立していくことが重要であると考えております。
③ 優秀な人材の採用と育成
今後の事業拡大及び収益基盤の拡充にあたり、優秀な人材の確保及びその定着を図ることは引き続き重要であると考えております。
当社のミッションや事業内容に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくために、積極的な採用活動を進めるとともに、社内の環境整備や仕組みの構築を進めてまいります。
④ 経営管理と内部管理体制の強化
当社のさらなる成長のためには、事業拡大に応じた内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。今後も金融商品取引法における内部統制報告制度の適用等も踏まえ、より一層のコーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでまいります。
⑤ 財務上の課題
当社は過年度において継続的な事業成長を図るため、サービスに関する開発や体制強化に伴う人員増強への投資を行った結果として、当事業年度まで営業赤字が継続しております。産直アプリ「ポケットマルシェ」は、プラットフォーム型のビジネスであることから、売上高に占める費用の割合の逓減とともに収益性は高まっており、当事業年度において上場来初の経常黒字化を達成しましたが、事業全体の成長を通じて営業利益や当期純利益の黒字化を図っていくことが重要な課題と認識しております。

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