訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2024/06/12 15:00
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【項目】
157項目

事業内容

当社グループは、当社、連結子会社3社(株式会社ペットメディカルセンター・エイル、株式会社モデナ動物病院及び株式会社ペット・ベット)及び持分法適用関連会社1社(飛鳥メディカル株式会社)で構成されており、動物病院及びペットサロンの運営、動物病院向けソフトウエアの提供、獣医療教育セミナーの配信及び医療用機械器具の製造・販売を主な事業として取り組んでおります。
当社グループが属する動物医療業界においては、人口減少や動物愛護法の規制強化などを背景に、犬・猫の飼育頭数が減少傾向にある一方で、ペット寿命の長期化や「ペット=家族」という価値観の醸成により、ペットに対する医療費支出は増加傾向にあります(出典:ペットビジネスマーケティング総覧2022年版(矢野経済研究所))。“動物たちにもより良い治療を受けさせたい”という社会的ニーズの高まりを受け、当社グループでは、身近なケアからCTやMRIを用いた高度医療まで、幅広いニーズに応えることができる動物医療を提供してまいりました。いつでも安心して通える動物病院グループを目指し、動物医療の発展に寄与することで、これからも広く社会に貢献してまいります。
なお、当社グループは、動物病院事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しておりますが、事業・サービス内容を機能別に記載しております。
事業・サービスの名称事業・サービスの主な内容主な会社名
① 動物病院運営動物病院における獣医療の提供当社
株式会社ペットメディカルセンター・エイル
株式会社モデナ動物病院
② ペットサロン運営トリミングサービスの提供、ペットホテルの運営当社
③ 動物病院向けソフトウエアの提供動物病院向け顧客管理システム「わん太郎」の開発・販売当社
④ 獣医療教育セミナーの配信獣医師向け情報サイト「VMN」の運営、セミナーコンテンツの制作株式会社ペット・ベット
⑤ 医療用機械器具の製造・販売医療用機械器具、医療用具の研究、開発、製造、販売、リース及び輸出入飛鳥メディカル株式会社

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各事業・サービスの連結売上高に占める割合は以下のとおりであります。
事業・サービス第4期連結会計年度
(自 2021年7月1日
至 2022年6月30日)
第5期連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
売上高(千円)構成比(%)売上高(千円)構成比(%)
動物病院運営3,579,39483.33,991,25985.8
ペットサロン運営447,18110.4441,7139.5
動物病院向けソフトウエアの提供16,8010.417,1540.4
獣医療教育セミナーの配信108,0012.589,6541.9
その他143,6533.3111,2862.4
合計4,295,031100.04,651,067100.0

当社グループの各事業・サービスの具体的な内容は次のとおりです。
① 動物病院運営
当社が運営する動物病院において、診察、検査、手術等の診療サービスを提供し、その対価として診療費を受領しております。当該事業は、当社グループ売上の80%以上を占めております。
現在、関西エリア、関東エリア、九州・沖縄エリアの3エリアにおいて、CTやMRIなどの高度医療機器を備え、専門分野を持った獣医師が診療を行う『センター病院』と、かかりつけ病院として、診療や簡易的な手術等を行う『サテライト病院』をドミナントで複数配置しており、2024年3月31日現在における年間診療件数は345,012件(2023年7月から2024年3月までの実績に基づく年換算値)と豊富な診療実績を誇っております。
各エリアにおける2024年3月末時点における病院数及び獣医師数は以下のとおりです。
関西エリア関東エリア九州・沖縄エリア全社合計
センター病院(拠点)52411
サテライト病院(拠点)89522
合計(拠点)1311933
獣医師数(人)41262188

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一般的な動物病院では、かかりつけ診療と高度診療は別病院での対応となっており、高度診療は紹介によりペットの受け入れを行っているのが通例ですが、当社グループの各動物病院は、センター病院を中心に相互ネットワークを形成しており、爪切り等の身近なケアから脳神経外科等の高度医療まで、シームレスに提供することを可能としている点に大きな特徴があります。
豊富な診療実績からノウハウを蓄積し、経験豊富な獣医師を育成するとともに、全拠点と共有することで、質の高い動物医療サービスを提供できる体制を構築しております。
<当社グループの動物医療体制>0201010_005.png
当社グループの動物病院数、診療件数及びそれぞれの関連指標の推移は以下のとおりであります。
0201010_006.png(注)2019年12月期は当社が設立された期であり、比較に適さないため、グラフに含めておりません。2020年6月期の診療件数及び診療単価については、当該事業年度が2020年1月から6月の6ヶ月決算であり、動物病院における繁忙期である4月から6月を含む期間の年換算となっているため、各数値が相対的に高めに出ております。
また、当社グループは豊富な診療機会や教育研修機会の提供を通じて、獣医師にとって好ましい環境づくりに努めた結果、グループ再編後の統合プロセスにおいて診療拠点の絞り込み(3施設の閉鎖)に伴う獣医師の減少はあったものの継続的に獣医師の確保に努めており、獣医師の人手不足が慢性化する中でも大学病院への営業強化などにより新卒採用を推進した結果、十分な獣医師を確保できているものと考えております。
獣医師に対して十分な経験を積める機会を提供することは、獣医師の確保において有利に機能するだけでなく、診療の質の向上を通じて当社グループ動物病院の評判向上につながり、外来・紹介による来院者の増加が獣医師に更なる多様な診療機会を提供するという好循環を形成します。獣医師1人当たり診療件数、1病院当たり診療件数は次のとおり推移しており、十分な診療機会を確保できているものと考えております。当社グループは、当該好循環を継続・改善することが、当社グループの競争力向上に資するものと考えております。
0201010_007.png獣医師は経験・能力によって売上高に差が生じますが、増員を進めながらも、豊富な診療機会の提供、教育研修の推進などにより全体的な能力の底上げに努めており、その結果、獣医師1人当たり売上高の水準を一定程度に維持できているものと考えております。
獣医師数及び獣医師1人当たり売上高の推移は次のとおりであります。
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こうした、かかりつけから高度医療までをシームレスに提供する診療体制の構築及び獣医師の確保・育成の取り組みにより、当社グループは十分な診療件数を確保しております。これにより、多数の動物病院を抱え、高価な医療機器を有しながらも保有資産が効率よく機能し、経営の高効率化を実現していることが当社グループの強みであります。
② ペットサロン運営
当社グループが運営するペットサロンにおいて、トリミングやペットホテルなどのサービスを提供し、その対価としてサービス料を受領しております。
動物病院に併設する形で運営することを基本としており、ペットの医療ニーズが顕在化していない潜在顧客との関係性構築に貢献しております。定期的なトリミングによってペットの体を清潔に保ち、ノミ・ダニの発生を抑制することや、皮膚などの健康チェックを行い、異常があれば併設する動物病院での診療を勧めることなど、ペットの健康管理にも重要な役割を果たしております。
③ 動物病院向けソフトウエアの提供
2020年6月期に動物病院向け顧客管理システム「わん太郎」の開発及び販売会社であるわん太郎株式会社を買収し、利用ユーザーから初期費用や月額利用料を受領するサブスクリプション型の事業を行っております。
「わん太郎」は、電子カルテや各種証明書の発行、顧客管理、会計管理など、動物病院を運営するうえで必要な機能を網羅的に有しており、2024年3月末時点で157の動物病院(当社グループ病院含む)で導入されております。オンプレミス型(サーバーやソフトウエアなどの情報システムを使用者が管理する設備内に設置し、運用する形態)のソフトウエアとして展開しておりますが、当社システム管理室を中心としたプロジェクトチームによりクラウド開発を進めており、かかりつけの小規模病院から高度医療に対応した大規模病院まで幅広く使いやすい形に改良を進めております。
④ 獣医療教育セミナーの配信
小動物臨床獣医師向けに、さまざまな情報を提供するサイト「VMN(Veterinary Medical Network)」を運営しており、有料会員から会員種別に応じた月額利用料を受領するサブスクリプション型の事業であります。
「世界標準を一次病院の獣医師へ」を理念として掲げ、若手獣医師の卒後教育を目的とした、実践的な情報を提供しており、2024年3月末時点で1,200名を超える有料会員に利用いただいております。
オンデマンドによる動画配信、最新の獣医療情報(獣医療雑誌や文献)、各種コンサルティング、セミナーの開催、臨床現場の疑問をコンサルタントに質問できる「Vet to Vet Board」など、多様なコンテンツを有しております。
⑤ 医療用機械器具の製造・販売
2023年6月期に医療用機械器具の製造・販売を手掛ける飛鳥メディカル株式会社に出資を行い、関連会社化致しました。同社は、主にレーザー医療に特化した動物用の製品の製造、販売を手掛けております。なお、同社の業績は、持分法投資損益(営業外損益)として当社連結業績に反映されこととなりますが、同社は利益計上をしているものの、現在では債務超過の状態にあることから、のれん相当額の償却部分を持分法投資損失として計上しております。
《事業系統図》
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