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有価証券報告書-第8期(2025/07/01-2026/06/30)

【提出】
2026/09/29 13:43
【資料】
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【項目】
163項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、動物の健康、人の健康及び環境の健全性を一体的に捉える「One Health」の理念に基づき、動物病院ネットワークを中核とする「One Healthプラットフォーム戦略」を推進しております。「人・動物・環境の健全性は相互に関連し、一体として向上を目指す」というOne Healthの理念を、上記の企業理念及び使命を中長期的な企業価値創造として実現するための経営戦略として位置付けており、動物医療の高度化にとどまらず、人の健康や社会課題の解決に貢献するイノベーションの創出を目指しております。
(2)経営環境
当社グループのコアビジネスである動物病院ネットワークが属する日本の動物医療(小動物)は、国民の生活レベルの向上に伴うペットの普及を背景に発展してまいりました。獣医療に対する要求度は、ペットからコンパニオンアニマル(伴侶動物)へといった、飼い主の意識変化につれて高まりを見せ、個人獣医師が全科の診療を行う施設が多数であった時代から、専門医への分化、高度医療の導入、総合病院化と動物病院も多様化が進んできたところです。
現在、動物医療は、その診療内容について、かかりつけ病院による診療や処置(一次診療)と専門的で高度な設備を用いた検査や手術(二次診療)の大きく2つに分類されておりますが、依然として動物病院の8割以上が獣医師数2名以下の一次診療が主体の小規模病院となっている現状があります。なお、当該傾向は、当社主力拠点のある大阪、東京、沖縄でも同様であります。
動物病院開設獣医師数は緩やかな減少傾向にあり、且つ高齢化が進んでおります。被雇用者獣医師数は増加傾向にあることから、大学獣医学科の定員がボトルネックとなり獣医師の供給が限られる中、小規模の施設では後継者となるべき獣医師が確保しづらく、世代交代が進みづらい状況となっていることがうかがえます。
高齢化の進展も手伝い、体力を必要とする職業である獣医師は慢性的に不足傾向にあります。個人診療施設においては、獣医師の高齢化と後継者の不在により廃業を余儀なくされることもあり、場合によっては地域での獣医療提供が不十分となる事態も想定されます。
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飼育診療施設数の推移としましては、犬猫等小動物の飼育診療施設数は直近10年で約13.6%増加しておりますが、当該増加をけん引しているのは法人診療施設であり、個人診療施設は緩やかな減少傾向にあります。2025年では、犬猫等の飼育診療施設は法人施設が個人施設と同数程度となっております。
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当該傾向は、高度化する飼い主のニーズに応えるためには、高額な設備の導入や、優秀な獣医師の確保、技術・サービスレベルの向上が欠かせないことから、競争力のある組織的な病院経営を志向する施設が増加しつつあるためであると考えております。
ペット医療市場全体の傾向といたしましては、ペット数は漸減しているものの、ペット医療市場規模は拡大傾向にあります(株式会社矢野経済研究所「ペットビジネスマーケティング総覧2026年版」より)。
これは、ペットのコンパニオンアニマル化に伴い飼い主がペット(犬・猫)にかける1匹当たり年間支出額が増加傾向にあることを示しており、高度医療を含む獣医療サービスに対するニーズも高まっているものと考えております。
以上より、ペットの家族化に伴い、獣医療に対する要求度が向上し、高度医療を含む獣医療へのニーズが全体として高まる一方で、安定的な病院運営を行いながら設備投資が必要な高度医療を提供できる施設へのアクセスは、地域によっては未だ十分とは言えない状況にあるものと当社は考えております。
動物医療を更に発展させるためには、高度医療への対応が可能な獣医師の育成及び施設の充実が不可欠です。しかし、現在の業界構造下では高度医療にかかる獣医師の臨床教育や医療技術の向上の機会も限られており、高度医療サービスを提供可能な施設を展開し得る十分な規模を有する動物病院が不足していることが動物医療業界における重要な課題となっているものと考えております。
また、動物医療を取り巻く環境として、動物の健康、人の健康及び環境の健全性を一体的に捉える「One Health」の考え方が、世界的なヘルスケアの潮流となっております。One Healthは、WHO(世界保健機関)、WOAH(世界動物保健機関)、FAO(国際連合食糧農業機関)及びUNEP(国連環境計画)が共同で推進する国際的な枠組みとして、感染症対策のみならず、医療データの利活用、創薬、バイオテクノロジー、食品安全、環境保全など幅広い分野へと発展しております。新興感染症の約75%は動物由来(人獣共通感染症)とされており、動物医療の臨床知見及び技術が、人の健康及び環境の健全性の維持にも重要な役割を果たすとの認識が広がりつつあります。
このような潮流の中、動物病院で蓄積される臨床知見、診療データ及び技術は、医療機器、バイオマテリアル、研究開発支援及びデータ活用等の分野へと展開することにより、動物医療の枠を超えた新たな付加価値を生み出す可能性を有しております。当社グループは、動物病院ネットワークを中核としながら、これらの周辺領域における事業基盤を整備することが、動物医療の更なる発展及び当社グループの企業価値向上に不可欠であると認識しております。
当社グループは、当該課題を解決していくためには、動物病院の組織的運営を拡大していくとともに、動物病院ネットワークを中核とする周辺領域(医療機器、バイオマテリアル、研究開発支援及びデータ活用等)への事業基盤を拡大していくことが重要であると考えております。
(3)経営戦略
当社グループではこれらの課題を解決し、飼い主のニーズに応えることで当社グループの収益を拡大し、企業価値を増大させるとともに、動物医療の発展に貢献することを目標に、以下の基本的な戦略に基づいて経営を行っております。
① 持続的運営が可能な組織的動物病院経営モデルの確立
② 積極的な事業承継による動物医療の継続的発展への貢献
③ One Healthプラットフォームの構築によるインフラ・教育面からの動物医療発展への貢献
① 持続的運営が可能な組織的動物病院経営モデルの確立
動物医療業界では一次診療又は二次診療に特化した病院モデルが大半ですが、当社グループでは一次診療と二次診療のいずれかに特化するのではなく、爪切りなどの身近なケアからCTやMRI、放射線治療装置を備えた高度医療までシームレスかつ総合的に提供する経営モデルを構築しております。このような体制により、普段から飼い主と密接なコミュニケーションを築くことができ、飼い主の不安の緩和を実現しております。
具体的には、各エリアにおいてセンター病院となる二次診療施設を置き、そのサテライト病院として一次診療施設を配置することで、グループ内で一次診療と二次診療の緊密な連携が図りやすく、また、長年の診療記録に関するデータが蓄積・共有されることにより適切な治療方針の策定、医療サービスの提供が行えるよう努めております。
また、人材育成の観点からも、一次診療の基礎から二次診療に必要な高度医療までの臨床経験をグループ内で積むことが可能であるため、高度医療に必要となる知識や技術を身につけた獣医師の社内育成を促進する環境を構築しております。当社グループでは、病院1拠点あたり約3人の獣医師を配置し、複数の獣医師チームにより若手獣医師が相談できる体制を構築しております。また、社内獣医師のキャリア志向により複数の選択肢を提供しております。
当社グループでは、このようなグループ内での医療知識の蓄積及び人材育成を組織的に行う経営モデルにより、動物病院を持続的に運営すること、及び動物医療における課題である高度医療提供施設及び人材の不足という課題解決が可能と考えており、この経営モデルを既存及び新エリアへと展開していくことを基本戦略としております。
② 積極的な事業承継による動物医療の継続的発展への貢献
動物医療の現場において獣医師の高齢化が深刻な問題となっており、60歳以上の獣医師数は年々増加し、獣医師全体に占める割合も大きくなっております。また、犬・猫の飼育頭数が減少傾向にある一方で、全国の動物病院数は増加傾向にあり、今後一層市場競争が激しくなると予想されます(出典:ペットビジネスマーケティング総覧2026年版(矢野経済研究所))。
当社グループは、後継者不足や経営難による動物病院の廃業・閉鎖を、その地域の飼い主や動物にとっての損失と捉えており、M&Aを主体とした事業承継を積極的に実施して既存病院を継続・発展させていくことにより、動物医療の継続的発展に貢献すべく事業を推進してまいります。
③ One Healthプラットフォームの構築によるインフラ・教育面からの動物医療発展への貢献
当社グループのコアビジネスは動物病院ネットワーク事業でありますが、動物の健康、人の健康及び環境の健全性を一体的に捉える「One Health」の理念のもと、動物病院事業を中核としながら、電子カルテ・医療データプラットフォーム、CRO(開発業務受託機関)・SMO(治験施設支援機関)事業、研究開発機能、医療機器事業、バイオマテリアル事業などを有機的に連携させる「One Healthプラットフォーム」の構築を推進しております。当社グループの競争優位性は、個々の事業の集合体ではなく、それぞれの事業が相互に連携することで生み出される「プラットフォームバリュー」にあります。動物病院で蓄積される臨床知見や医療データが研究開発や創薬支援へと展開され、その成果が医療機器、バイオマテリアル、新たな診断・治療技術へと還元される循環型のエコシステムを構築することで、各事業単独では実現できない付加価値の創出を目指しております。
[メディカルデータソリューション機能の強化]
より効率的かつ効果的に病院運営を行うことができる顧客管理システム「わん太郎」の開発・提供及びクラウド化を進めるとともに、連結子会社である株式会社ペット・ベットが運営する獣医療情報プラットフォーム「VMN(Veterinary Medical Network)」を通じて、獣医師への教育コンテンツの配信並びに臨床知及び専門知識の集積・共有を進めております。また、バイオインフォマティクス専門企業である株式会社ダイナコムと共同研究契約を締結し、次世代型電子カルテシステムの開発を進めるとともに、動物病院ネットワークを通じて蓄積される診療データ、検査データ及び画像データを研究開発及び医療品質の向上に活用するための基盤整備を進めております。
[医療衛生機器機能の獲得・強化]
治療用レーザー医療機器の開発、製造、販売及び保守を行う飛鳥メディカル株式会社を完全子会社化し、当社グループの動物病院ネットワーク及び臨床研究支援機能と連携させることで、臨床現場のニーズを起点とした新たな医療機器の開発、臨床評価及び改良を経た製品化・普及につなげる体制を構築しております。また、光触媒技術を活用したヘルスケア・環境関連製品の研究開発、製造及び販売事業を完全子会社のカルテック株式会社で譲り受け、動物病院における院内環境の改善、感染症対策、脱臭及び衛生管理等に活用するとともに、当該知見を医療機関、介護施設、住環境等の幅広い領域へ展開するための事業基盤の整備を進めております。
[バイオマテリアル機能の獲得]
キチンナノファイバー事業を承継し、鳥取オフィス及び鳥取ファクトリーを開設いたしました。キチンナノファイバーが有する生体適合性、保湿性及び創傷治癒等への応用可能性を活かし、動物用オーラルケア製品をはじめとする獣医療分野での製品開発を推進するとともに、将来的な人医療、化粧品及びヘルスケア分野への展開に向けた研究開発及び製造基盤の整備を、鳥取県及び鳥取大学等と産官学一体で進めております。
[研究開発受託機能の強化]
WOLVES HAND獣医先端医療研究所を中心として、大学、研究機関、医療機関及び外部企業との連携を進め、先端医療、再生医療、創薬、医療工学及びAI医療機器等に関する研究開発体制の強化に取り組んでおります。動物病院の臨床現場において把握される未解決の医療課題を研究テーマへと転換し、研究成果を新たな治療方法、医療機器、医薬品、医療材料及びヘルスケア製品等の創出につなげることにより、動物医療の発展と新たな収益機会の創出を目指しております。なお、2026年7月22日付で株式取得を完了したメディトリックス株式会社が有するCRO・SMO機能、臨床研究支援、治験運営及びデータマネジメント等のノウハウをOne Healthプラットフォームに組み込むことにより、研究開発成果の製品化及び社会実装への接続機能を強化してまいります。
当社グループは、このOne Healthプラットフォームを通じて、動物医療の高度化にとどまらず、人の健康や社会課題の解決に貢献するイノベーションを創出するとともに、事業間シナジーの最大化による持続的な成長と企業価値の向上に取り組んでまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、コアビジネスである動物病院ネットワーク事業について「獣医師数」及び「診療件数」を最も重要な経営指標と考えております。獣医師数は当社グループが提供可能な医療サービスのキャパシティを把握することができる指標であり、獣医師数の増加により事業規模が左右されるものと認識しているためであります。また、「診療件数」は当社グループが提供した医療サービスを量的に把握することができる指標であり、これまでに行った診療サービスに対する飼い主の満足度が反映されるものと認識しているためであります。
また、効果的かつ効率的な運営が行えているかを計る指標として「獣医師1人当たり売上高」も重視しております。
2026年6月期における各経営指標の実績は、獣医師数は115名(平均在籍人数)、診療件数は415,891件、獣医師1人当たり売上高(動物病院運営にかかる年間売上高を稼働ベースの平均人員数で除して算出)は45,115千円(年間)、動物病院運営にかかる売上高は5,189,249千円となっております。2026年6月期の連結売上高6,155,976千円との差額は、ペットサロン運営、動物病院向けソフトウエアの提供、獣医療教育セミナーの配信、医療衛生機器販売その他に係る売上高となっております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 人材の確保と育成
グループ病院を継続して拡大するためには、獣医師や看護師など現場スタッフの確保と育成が必要となります。日本最大級の動物病院グループという優位性を活かした積極的な採用活動を行い、研修制度の整備、労働環境の向上、福利厚生の充実など、働きやすい環境づくりを通じて定着を図ってまいります。
② 医療サービスの品質向上
動物医療サービスを提供する会社として、日々高度な知識や技術の習得に努め、医療環境の充実や医療レベルの向上を図ってまいります。また、医療サービス従事者として、インフォームドコンセントの徹底、現場スタッフのホスピタリティ向上など、トータルでの顧客満足度向上に努めてまいります。
③ コーポレート・ガバナンスの強化
内部統制システムの整備を推し進め、サステナブルな企業価値の向上を目指しております。透明性のある経営体制、健全性及び遵法性の確保、コンプライアンス体制の整備などを通じて、役員及び従業員の法令遵守意識を強化し、コーポレート・ガバナンス体制をより一層整備してまいります。
④ 財務上の課題
当社は、LBOやM&Aにかかる金融機関からの借入金を有しており、今後の借入返済に備えて、更なる内部留保の確保と営業キャッシュ・フローの改善等により財務体質の強化を図ってまいります。

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