有価証券報告書-第4期(2023/04/01-2024/03/31)
対処すべき課題
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
① 企業理念
当社グループは、工学的手法をビジネスや社会の現場に適用することにより、顧客組織の情報戦略策定と効率的情報化投資を支援し、産業界を含む社会全体の高度情報化に基づく価値の創出に寄与することを目指しております。
② 経営方針
当社グループは、より高い成長を実現すべく、既存事業の成長と新規事業の探索を推進する両利き経営を心掛けます。具体的には、卓越した誰よりも高い先端技術力を持って、顧客企業の成熟度に応じたデジタルシフトを支えていきます。そして、働き方改革が遅れている若しくはロボット活用難易度が高い等、DX化が遅れている特定業界向けに工学的手法(AIソフトウェア工学、ロボット工学等)を駆使したプラットフォームを提供することで、ニーズを捉えた問題解決を図り、企業価値・社会価値の永続的向上への貢献を果たしていきます。
ミッション:
CREATE THE FUTURE TOGETHER ~AIソフトウェア工学のチカラで、共にデジタル世界を創造する~
ビジョン:
デジタルシフト・サービスカンパニー
ステートメント:
あらゆる企業が「デジタル競争力」を手に入れることのできる世界を、私たちはAIソフトウェア工学のチカラで実現します。
コアバリュー:「豆蔵 Way」
当社グループではビジネスがエンジニアに属人化される労働集約型ではなく、知見が企業に根差す知識集約型モデルを目指しております。当社グループでは以下の6つの核心的なコンセプトに基づいた独自のビジネスモデル「豆蔵 Way」を確立しております。
① 直接取引の重視: 顧客との直接的な関係を通じて、その成果に深くコミットすることで、社員エンジニアの成長を加速
② 技術ノウハウの伝授:プロジェクトの成功に加え、技術的な知識と数理的理論の伝授により顧客の内製化を支援
③ 超上流からの参画:プロジェクトの成功を確実なものにするため、初期段階から深く関与し、目的と基本要件を的確に把握
④ 社員成長の最優先:社員の成長を企業の最大の目的とし、技術的に挑戦的なプロジェクトに参画
⑤ 採用促進と離職率低下: 強力なブランディングと効果的な採用・人材育成メソッドにより、社員の採用促進と離職率低下を実現
⑥ 知見の形式知化:プロジェクトで得られた知見を体系化し、一握りの優秀な社員に依存せず、全社員がプロジェクトを推進
上記の通り当社独自の「豆蔵Way」は、デジタルビジネスに不可欠なAIソフトウェアエンジニアリングとAIロボティクス技術を活用した経験の蓄積による技術ナレッジが中核となっております。加えて、経営層とのリレーション構築や案件実績に裏打ちされた営業メソッド、自動車業界、金融業界など多種多様な業界でのトラックレコードを基に獲得した高い知名度や技術ブランドを有することで顧客からの信頼を勝ち取っているものと認識しております。また、優秀な人材を獲得できる採用ノウハウや案件を通じて得た知見を体系化することで、ソフトウェア人材のみならず多種多様な高度人材を引き寄せることができると考えております。これらを総合的に活用することで、当社グループは顧客の経営層と上流から議論するポジションに位置し、専門性の高いエンジニア集団として、顧客のデジタルビジネスを推進する中長期的なパートナーとして顧客との関係を構築しております。
(2)経営環境及び中長期的な経営戦略
(経営環境)
近年、デジタル技術の進展・普及に伴い、国内企業においてAIやビッグデータ、IoT等の最先端技術に関連する先進ITへの支出が大きく伸びており、今後も持続的に高い成長が見込まれております(出所 経済産業省 IT人材需給に関する調査(概要))。当社グループは、IT市場の中で急速に変化が起きている要因として、従来のIT投資がオンプレのシステム導入やレガシーシステムの保守・運用などに挙げられるトラディショナルITに対して行われ、コスト削減・業務効率化の目的に留まっていたのに対し、近年ではデジタルサービスの提供やデジタルを活用した新規事業の創出を目的としたデジタルビジネス領域の投資にシフトしてきていることが主因であると考えております。そのような新たなIT投資によるデジタルビジネスの実現にはデータ蓄積・活用が前提となり、その推進には企業のオペレーション自体がデジタル化されていることが必要であると考えております。一方、日本ではデジタルビジネス実現の前段階である、既存システムのクラウド化や技術リソースの内製化などのデジタル化の準備(顧客社内におけるDX推進)が欧米より遅れているため、当面はデジタル化の準備を進めていく企業が増加していくものと考えております。当社グループはデジタル化の準備及びその後のデジタルビジネスの実現の領域に特化したサービスを提供しており、デジタル化の準備を進める段階からクライアントとパートナー関係になることで、その先のデジタルビジネス獲得へと繋げてまいります。
(中長期的な経営戦略)
当社グループは、上記経営環境の変化を捉え、コアバリューとして位置付けている「豆蔵Way」を活用し、且つ進化させていくことによって顧客企業と共創し、最先端の領域であるデジタル化の準備及びその後のデジタルビジネスの実現に向けたデジタルシフトを強力に推進していくことを目指しております。そのための当社グループの基本方針として以下4点を定めております。
① 顧客企業のシステム内製化パートナーシップ
上記経営環境に記載の通り、日本企業のDXの需要は今後拡大するものと当社は考えており、今後当社の顧客企業は生命線であるデータやデジタル技術を従来実施してきたようにSIerなどの外部業者に委託するのではなく、信頼できるデジタル企業と共に内製化する需要が高まるものと考えられます。当社グループは創業以来、当社が有する豊富なデジタル技術力の提供に加えて、内製化を推進するために必要な要素である顧客社内でのIT・エンジニア人材の育成を支援する内製化推進コンサルティングを通じて、顧客企業のデジタルビジネス実現のサポートに取り組んでまいりました。今後も日本企業のDX内製化に不可欠なクラウド、AI、ロボティクス、教育、モビリティ・オートメーションに関する技術を更に磨き、顧客企業の価値創造に貢献するシステム内製化を共創していくパートナーとして努めてまいります。
② 対象ビジネスの上流化
企画、設計、システム構築、保守・運用等、様々な場面でIT投資が行われており、システム開発サービスにおいては、より上流工程での問題解決に参画することで、高付加価値なサービスを提供できるものと考えております。そのため、当社グループでは、より上流工程において更に技術力を活用し、顧客企業のビジネスを進化させる高付加価値なソリューションを提供することで顧客企業への貢献に努めてまいります。
③ 技術的特徴を持つビジネスの育成
AIやDXの深化により、ハードウェアの業界においても、ソフトウェアの重要性は高まっております。当社グループは、最先端のIT技術に加えて、自動車や産業ロボット、レーザー溶接、工場自動化、食品など、多岐にわたる業界の知識、経験、技術を保有しています。これらの特徴を活かし、モノづくりとITの融合を積極的に推進し、当社グループ内での技術的なシナジー効果を最大限に引き出し、新たな価値創造を実現する新しいビジネスの育成に努めております。また、AIやRPA、自動生成などの新しい技術にも積極的に取り組み、日々研鑚を積んで新しい事業の構築を目指しております。
④ 規模の拡大と高利益体質への転換
当社グループは、勇気と創意工夫をもって新しい技術を実践し、顧客企業の成功をサポートするために挑戦し続ける企業集団です。今後も顧客企業と共に成功を収めるために、有益な技術を積極的に蓄積し、応用できるように研鑚を積んでまいります。技術の蓄積・応用により、高品質化、短納期化を図り、更なる高利益体質を目指してまいります。また、M&Aなどにより、企業規模を拡大してまいりたいと考えております。
上記を踏まえ、当社グループは、「豆蔵Way」を活用・進化させていくことで前記「第1 企業の概況 3 事業の内容」にて記載の通り「クラウドコンサルティング」、「AIコンサルティング」、「AIロボティクス・エンジニアリング」、「モビリティ・オートメーション」といった多様なソリューションを提供しております。また自社内IT人材の採用ならびに育成を通じ、専門家集団の形成を進めることで着実にエンジニア数を増やし、これらのソリューション提供を可能としております。
また、当社グループは、今後予想される市場環境や顧客ニーズの変化に適切に対応し、更なる成長を実現するための施策の一環として、中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)を策定しております。中期経営計画では、主に社員数の増加を伴った利益成長である量的利益成長、サービスミックス変革・プライム受注案件比率・既存プロジェクトの単価アップを伴った利益成長である質的利益成長のテーマを設定し、持続的な成長と高い収益性の実現を目指してまいります。
量的利益成長では、「豆蔵Way」の採用ノウハウ・メソッドをより進化・洗練させることで、採用の質・量を強化し、各分野で即戦力となる高度な能力を持つ人材の獲得を更に推進してまいります。また「豆蔵Way」の人材育成ノウハウ・メソッドを活用し、今後も新卒・若手人材の早期戦力化を継続してまいります。
質的利益成長では、「豆蔵Way」の技術メソッドを活用して高付加価値サービスを提供し、案件を通じて獲得したノウハウ・知見を更に反映・蓄積することで当社グループのサービスミックス変革及び既存プロジェクトの単価向上の促進を目指してまいります。加えて、顧客企業との直接取引(プライム受注)比率を全社的に高めることで、更なる収益性の向上を図ってまいります。
(競争優位性)
DX化の需要拡大により、企業活動の情報をデータ化する段階を超えると、顧客企業においては生命線であるデータの利活用が次の重要なテーマとなると当社では分析しております。そして、データ利活用の場面においては、短時間かつフレキシブルにデータを利活用する必要があるため、顧客企業においては、時間がかかる外注ではなく、自社内でデータを利活用する内製化を選択する動きが加速していると当社は考えております。このような状況の中で、当社グループでは、顧客企業のDXの内製化のサポートに従前より取り組んでおり、多くのノウハウを有していること、および当社グループはAIソフトウェア工学に基づいた技術力をもって顧客企業の内製化を推進していることを、当社グループの競争の優位性と認識しております。
なお、株式会社豆蔵は内製化支援推進AWSパートナー(※)の認定を受けており、顧客企業のDXの内製化の実績およびAIソフトウェア工学に基づく高い技術力が評価されています。
また、当社グループでは、ロボット開発も手掛けております。当社グループは、ロボット工学の技術を有しているだけでなく、AIソフトウェア工学の技術も有していることから、ロボットとAIソフトウェアの両方の技術で顧客の要望に応えられる点も、当社グループの競争の優位性と認識しております。
※内製化支援推進AWSパートナー:AWSに対する深い知見と多くの経験を持ち、ユーザー企業の内製化を支援するためのソリューションを持ったAWSパートナー
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 既存ビジネスの取捨選択と拡大・強化
当社グループの属する情報サービス業界は、日進月歩であることから、新規参入すべきサービスの開拓を常に模索するとともに、片や撤退をすべきサービスが出てくることも想定されます。拡大・強化すべき事業と、撤退すべき事業とを適時適切に判断する必要があると認識しております。
② 新規事業の開発・育成
情報サービス関連事業は、技術の移り変わりが激しく、新しい技術を吸収し既存事業に反映し、あるいは、新しいビジネスを構築していくことが重要であり、当社グループの経営層が、新しい技術を的確に理解したうえで、適切な投資を行う必要があると考えます。現状の強みを活かしたうえで、新たな技術を貪欲に取り入れ、新たなビジネスへの挑戦を志し、さらに競争力を高めてまいります。
③ 人材の確保・育成
高度な技術力に基づいたITソリューションとサービスの提供を行っていくためには、優秀な技術者の確保、育成並びに定着を図ることが重要であると認識しており、当社グループでは、優秀な技術者の積極的な採用を行っております。また、新卒採用にも力を入れ、ゼロからの技術者育成にも注力しております。新卒採用であっても、時を経て、初級、中級、上級とステップアップできる無理のない教育制度のノウハウをグループ内において横展開し、さらなる改善を図ってまいります。中途採用の技術者のレベルアップについても、社内研修制度の強化や熟練技術者のノウハウの共有化を図ることで、上級ITコンサルタントへとステップアップできるよう技術レベルの向上に努めてまいります。
④ 景気動向に影響されない高付加価値分野へのシフト
当社グループが属する情報サービス業は、技術レベルが日進月歩で発展しており、付加価値の高い新たなサービスに応用できる技術が次々と生まれています。当社グループは、今後ともそのような技術を吸収し、新たな高付加価値サービスの提供に結び付けられるよう、研鑽に努めてまいります。付加価値の高い分野へのシフトにより、景気動向に左右されにくい体質へとさらなる改善を目指します。それには、高付加価値サービスの開発とともに、前述の人材育成も重要であり、総合的なレベルアップを図ってまいります。
⑤ グループ会社間の連携
当社グループ各社は、各々の得意とする事業領域が異なることから、グループ会社間の連携が重要であると考えます。そのため、グループ各社間の協力体制の仕組みを構築し、グループ内での情報を活発にやり取りして、相互の強みを補完しあっております。今後もグループ各社間の協力をより密にし、案件の拡充、営業上の連携の継続に努めてまいるとともに、技術交流も深め、より高度なシナジーの発揮を目指します。
⑥ 戦略的投資
戦略的投資については、グループとしての資本力を活かすため各社の特長を生かしつつ、グループとして集中的に行います。特に技術力による差別化を重視し、特長を活かす技術蓄積を推進します。また、グループに加えるべき新たな事業や技術については、M&Aによる取得について、積極的に検討してまいります。検討に際しては、いち早く十分なリサーチを的確に行い、投資すべき技術かどうかを見極めることが重要な課題であると認識しております。
⑦ グループとしての効率化、全体最適化
IT関連企業群であることから、バックオフィス機能は各会社において類似の業務も多く、各所で共通化が可能な部分があります。すでに、共通化を推し進めており、作業を効率化し、一定の経費削減を図っております。更なる改善に取り組むとともに、共通化・標準化を推進してまいります。
⑧ 内部統制、業務管理体制の強化
当社グループでは、適時適切に内部統制の見直しを行ってまいります。また、業務管理の強化を図り、品質管理・業務運営管理をより一層緻密化する努力を行ってまいります。さらに、社会の信頼にお応えする透明性の高い経営、顧客企業に信頼される業務運営を履行してまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、既存事業の成長×新規事業の探索による両利きの経営による企業価値の向上、持続的な成長のため、営業利益成長率、営業利益率を重要な指標と位置づけ、各経営課題に取り組んでまいります。また、売上成長率について当社グループの成長を測る指標として重視しており、当該指標の向上を目指してまいります。
(1)経営方針
① 企業理念
当社グループは、工学的手法をビジネスや社会の現場に適用することにより、顧客組織の情報戦略策定と効率的情報化投資を支援し、産業界を含む社会全体の高度情報化に基づく価値の創出に寄与することを目指しております。
② 経営方針
当社グループは、より高い成長を実現すべく、既存事業の成長と新規事業の探索を推進する両利き経営を心掛けます。具体的には、卓越した誰よりも高い先端技術力を持って、顧客企業の成熟度に応じたデジタルシフトを支えていきます。そして、働き方改革が遅れている若しくはロボット活用難易度が高い等、DX化が遅れている特定業界向けに工学的手法(AIソフトウェア工学、ロボット工学等)を駆使したプラットフォームを提供することで、ニーズを捉えた問題解決を図り、企業価値・社会価値の永続的向上への貢献を果たしていきます。
ミッション:
CREATE THE FUTURE TOGETHER ~AIソフトウェア工学のチカラで、共にデジタル世界を創造する~
ビジョン:
デジタルシフト・サービスカンパニー
ステートメント:
あらゆる企業が「デジタル競争力」を手に入れることのできる世界を、私たちはAIソフトウェア工学のチカラで実現します。
コアバリュー:「豆蔵 Way」
当社グループではビジネスがエンジニアに属人化される労働集約型ではなく、知見が企業に根差す知識集約型モデルを目指しております。当社グループでは以下の6つの核心的なコンセプトに基づいた独自のビジネスモデル「豆蔵 Way」を確立しております。
① 直接取引の重視: 顧客との直接的な関係を通じて、その成果に深くコミットすることで、社員エンジニアの成長を加速
② 技術ノウハウの伝授:プロジェクトの成功に加え、技術的な知識と数理的理論の伝授により顧客の内製化を支援
③ 超上流からの参画:プロジェクトの成功を確実なものにするため、初期段階から深く関与し、目的と基本要件を的確に把握
④ 社員成長の最優先:社員の成長を企業の最大の目的とし、技術的に挑戦的なプロジェクトに参画
⑤ 採用促進と離職率低下: 強力なブランディングと効果的な採用・人材育成メソッドにより、社員の採用促進と離職率低下を実現
⑥ 知見の形式知化:プロジェクトで得られた知見を体系化し、一握りの優秀な社員に依存せず、全社員がプロジェクトを推進
上記の通り当社独自の「豆蔵Way」は、デジタルビジネスに不可欠なAIソフトウェアエンジニアリングとAIロボティクス技術を活用した経験の蓄積による技術ナレッジが中核となっております。加えて、経営層とのリレーション構築や案件実績に裏打ちされた営業メソッド、自動車業界、金融業界など多種多様な業界でのトラックレコードを基に獲得した高い知名度や技術ブランドを有することで顧客からの信頼を勝ち取っているものと認識しております。また、優秀な人材を獲得できる採用ノウハウや案件を通じて得た知見を体系化することで、ソフトウェア人材のみならず多種多様な高度人材を引き寄せることができると考えております。これらを総合的に活用することで、当社グループは顧客の経営層と上流から議論するポジションに位置し、専門性の高いエンジニア集団として、顧客のデジタルビジネスを推進する中長期的なパートナーとして顧客との関係を構築しております。
(2)経営環境及び中長期的な経営戦略
(経営環境)
近年、デジタル技術の進展・普及に伴い、国内企業においてAIやビッグデータ、IoT等の最先端技術に関連する先進ITへの支出が大きく伸びており、今後も持続的に高い成長が見込まれております(出所 経済産業省 IT人材需給に関する調査(概要))。当社グループは、IT市場の中で急速に変化が起きている要因として、従来のIT投資がオンプレのシステム導入やレガシーシステムの保守・運用などに挙げられるトラディショナルITに対して行われ、コスト削減・業務効率化の目的に留まっていたのに対し、近年ではデジタルサービスの提供やデジタルを活用した新規事業の創出を目的としたデジタルビジネス領域の投資にシフトしてきていることが主因であると考えております。そのような新たなIT投資によるデジタルビジネスの実現にはデータ蓄積・活用が前提となり、その推進には企業のオペレーション自体がデジタル化されていることが必要であると考えております。一方、日本ではデジタルビジネス実現の前段階である、既存システムのクラウド化や技術リソースの内製化などのデジタル化の準備(顧客社内におけるDX推進)が欧米より遅れているため、当面はデジタル化の準備を進めていく企業が増加していくものと考えております。当社グループはデジタル化の準備及びその後のデジタルビジネスの実現の領域に特化したサービスを提供しており、デジタル化の準備を進める段階からクライアントとパートナー関係になることで、その先のデジタルビジネス獲得へと繋げてまいります。
(中長期的な経営戦略)
当社グループは、上記経営環境の変化を捉え、コアバリューとして位置付けている「豆蔵Way」を活用し、且つ進化させていくことによって顧客企業と共創し、最先端の領域であるデジタル化の準備及びその後のデジタルビジネスの実現に向けたデジタルシフトを強力に推進していくことを目指しております。そのための当社グループの基本方針として以下4点を定めております。
① 顧客企業のシステム内製化パートナーシップ
上記経営環境に記載の通り、日本企業のDXの需要は今後拡大するものと当社は考えており、今後当社の顧客企業は生命線であるデータやデジタル技術を従来実施してきたようにSIerなどの外部業者に委託するのではなく、信頼できるデジタル企業と共に内製化する需要が高まるものと考えられます。当社グループは創業以来、当社が有する豊富なデジタル技術力の提供に加えて、内製化を推進するために必要な要素である顧客社内でのIT・エンジニア人材の育成を支援する内製化推進コンサルティングを通じて、顧客企業のデジタルビジネス実現のサポートに取り組んでまいりました。今後も日本企業のDX内製化に不可欠なクラウド、AI、ロボティクス、教育、モビリティ・オートメーションに関する技術を更に磨き、顧客企業の価値創造に貢献するシステム内製化を共創していくパートナーとして努めてまいります。
② 対象ビジネスの上流化
企画、設計、システム構築、保守・運用等、様々な場面でIT投資が行われており、システム開発サービスにおいては、より上流工程での問題解決に参画することで、高付加価値なサービスを提供できるものと考えております。そのため、当社グループでは、より上流工程において更に技術力を活用し、顧客企業のビジネスを進化させる高付加価値なソリューションを提供することで顧客企業への貢献に努めてまいります。
③ 技術的特徴を持つビジネスの育成
AIやDXの深化により、ハードウェアの業界においても、ソフトウェアの重要性は高まっております。当社グループは、最先端のIT技術に加えて、自動車や産業ロボット、レーザー溶接、工場自動化、食品など、多岐にわたる業界の知識、経験、技術を保有しています。これらの特徴を活かし、モノづくりとITの融合を積極的に推進し、当社グループ内での技術的なシナジー効果を最大限に引き出し、新たな価値創造を実現する新しいビジネスの育成に努めております。また、AIやRPA、自動生成などの新しい技術にも積極的に取り組み、日々研鑚を積んで新しい事業の構築を目指しております。
④ 規模の拡大と高利益体質への転換
当社グループは、勇気と創意工夫をもって新しい技術を実践し、顧客企業の成功をサポートするために挑戦し続ける企業集団です。今後も顧客企業と共に成功を収めるために、有益な技術を積極的に蓄積し、応用できるように研鑚を積んでまいります。技術の蓄積・応用により、高品質化、短納期化を図り、更なる高利益体質を目指してまいります。また、M&Aなどにより、企業規模を拡大してまいりたいと考えております。
上記を踏まえ、当社グループは、「豆蔵Way」を活用・進化させていくことで前記「第1 企業の概況 3 事業の内容」にて記載の通り「クラウドコンサルティング」、「AIコンサルティング」、「AIロボティクス・エンジニアリング」、「モビリティ・オートメーション」といった多様なソリューションを提供しております。また自社内IT人材の採用ならびに育成を通じ、専門家集団の形成を進めることで着実にエンジニア数を増やし、これらのソリューション提供を可能としております。
2021年3月 | 2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
エンジニア数(人) | 708 | 717 | 731 | 737 |
離職率(%) | 9.8 | 7.9 | 7.3 | 7.3 |
また、当社グループは、今後予想される市場環境や顧客ニーズの変化に適切に対応し、更なる成長を実現するための施策の一環として、中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)を策定しております。中期経営計画では、主に社員数の増加を伴った利益成長である量的利益成長、サービスミックス変革・プライム受注案件比率・既存プロジェクトの単価アップを伴った利益成長である質的利益成長のテーマを設定し、持続的な成長と高い収益性の実現を目指してまいります。
量的利益成長では、「豆蔵Way」の採用ノウハウ・メソッドをより進化・洗練させることで、採用の質・量を強化し、各分野で即戦力となる高度な能力を持つ人材の獲得を更に推進してまいります。また「豆蔵Way」の人材育成ノウハウ・メソッドを活用し、今後も新卒・若手人材の早期戦力化を継続してまいります。
質的利益成長では、「豆蔵Way」の技術メソッドを活用して高付加価値サービスを提供し、案件を通じて獲得したノウハウ・知見を更に反映・蓄積することで当社グループのサービスミックス変革及び既存プロジェクトの単価向上の促進を目指してまいります。加えて、顧客企業との直接取引(プライム受注)比率を全社的に高めることで、更なる収益性の向上を図ってまいります。
(競争優位性)
DX化の需要拡大により、企業活動の情報をデータ化する段階を超えると、顧客企業においては生命線であるデータの利活用が次の重要なテーマとなると当社では分析しております。そして、データ利活用の場面においては、短時間かつフレキシブルにデータを利活用する必要があるため、顧客企業においては、時間がかかる外注ではなく、自社内でデータを利活用する内製化を選択する動きが加速していると当社は考えております。このような状況の中で、当社グループでは、顧客企業のDXの内製化のサポートに従前より取り組んでおり、多くのノウハウを有していること、および当社グループはAIソフトウェア工学に基づいた技術力をもって顧客企業の内製化を推進していることを、当社グループの競争の優位性と認識しております。
なお、株式会社豆蔵は内製化支援推進AWSパートナー(※)の認定を受けており、顧客企業のDXの内製化の実績およびAIソフトウェア工学に基づく高い技術力が評価されています。
また、当社グループでは、ロボット開発も手掛けております。当社グループは、ロボット工学の技術を有しているだけでなく、AIソフトウェア工学の技術も有していることから、ロボットとAIソフトウェアの両方の技術で顧客の要望に応えられる点も、当社グループの競争の優位性と認識しております。
※内製化支援推進AWSパートナー:AWSに対する深い知見と多くの経験を持ち、ユーザー企業の内製化を支援するためのソリューションを持ったAWSパートナー
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 既存ビジネスの取捨選択と拡大・強化
当社グループの属する情報サービス業界は、日進月歩であることから、新規参入すべきサービスの開拓を常に模索するとともに、片や撤退をすべきサービスが出てくることも想定されます。拡大・強化すべき事業と、撤退すべき事業とを適時適切に判断する必要があると認識しております。
② 新規事業の開発・育成
情報サービス関連事業は、技術の移り変わりが激しく、新しい技術を吸収し既存事業に反映し、あるいは、新しいビジネスを構築していくことが重要であり、当社グループの経営層が、新しい技術を的確に理解したうえで、適切な投資を行う必要があると考えます。現状の強みを活かしたうえで、新たな技術を貪欲に取り入れ、新たなビジネスへの挑戦を志し、さらに競争力を高めてまいります。
③ 人材の確保・育成
高度な技術力に基づいたITソリューションとサービスの提供を行っていくためには、優秀な技術者の確保、育成並びに定着を図ることが重要であると認識しており、当社グループでは、優秀な技術者の積極的な採用を行っております。また、新卒採用にも力を入れ、ゼロからの技術者育成にも注力しております。新卒採用であっても、時を経て、初級、中級、上級とステップアップできる無理のない教育制度のノウハウをグループ内において横展開し、さらなる改善を図ってまいります。中途採用の技術者のレベルアップについても、社内研修制度の強化や熟練技術者のノウハウの共有化を図ることで、上級ITコンサルタントへとステップアップできるよう技術レベルの向上に努めてまいります。
④ 景気動向に影響されない高付加価値分野へのシフト
当社グループが属する情報サービス業は、技術レベルが日進月歩で発展しており、付加価値の高い新たなサービスに応用できる技術が次々と生まれています。当社グループは、今後ともそのような技術を吸収し、新たな高付加価値サービスの提供に結び付けられるよう、研鑽に努めてまいります。付加価値の高い分野へのシフトにより、景気動向に左右されにくい体質へとさらなる改善を目指します。それには、高付加価値サービスの開発とともに、前述の人材育成も重要であり、総合的なレベルアップを図ってまいります。
⑤ グループ会社間の連携
当社グループ各社は、各々の得意とする事業領域が異なることから、グループ会社間の連携が重要であると考えます。そのため、グループ各社間の協力体制の仕組みを構築し、グループ内での情報を活発にやり取りして、相互の強みを補完しあっております。今後もグループ各社間の協力をより密にし、案件の拡充、営業上の連携の継続に努めてまいるとともに、技術交流も深め、より高度なシナジーの発揮を目指します。
⑥ 戦略的投資
戦略的投資については、グループとしての資本力を活かすため各社の特長を生かしつつ、グループとして集中的に行います。特に技術力による差別化を重視し、特長を活かす技術蓄積を推進します。また、グループに加えるべき新たな事業や技術については、M&Aによる取得について、積極的に検討してまいります。検討に際しては、いち早く十分なリサーチを的確に行い、投資すべき技術かどうかを見極めることが重要な課題であると認識しております。
⑦ グループとしての効率化、全体最適化
IT関連企業群であることから、バックオフィス機能は各会社において類似の業務も多く、各所で共通化が可能な部分があります。すでに、共通化を推し進めており、作業を効率化し、一定の経費削減を図っております。更なる改善に取り組むとともに、共通化・標準化を推進してまいります。
⑧ 内部統制、業務管理体制の強化
当社グループでは、適時適切に内部統制の見直しを行ってまいります。また、業務管理の強化を図り、品質管理・業務運営管理をより一層緻密化する努力を行ってまいります。さらに、社会の信頼にお応えする透明性の高い経営、顧客企業に信頼される業務運営を履行してまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、既存事業の成長×新規事業の探索による両利きの経営による企業価値の向上、持続的な成長のため、営業利益成長率、営業利益率を重要な指標と位置づけ、各経営課題に取り組んでまいります。また、売上成長率について当社グループの成長を測る指標として重視しており、当該指標の向上を目指してまいります。