半期報告書-第11期(2026/02/01-2027/01/31)
有報資料
当社グループは、当社及び連結子会社等12社で構成されており、産業用ドローンをはじめとしたハード・ソフト・サービスを組み合わせたソリューション提供や、防衛用ドローンを取り扱う「ドローンソリューションセグメント」と、UTMの開発・構築及びそれらを通してドローンの運航管理を行う「運航管理セグメント」の2つのセグメントを通じて、低空域経済圏(注1)のグローバルプラットフォーマーの実現を目指しております。また、2024年はドローンサービス企業として世界1位を獲得(注2)し、グローバルな事業展開を行っております。
当社グループの認識に基づくドローン業界構造と当社グループの立ち位置に係わるイメージ図(注3)

(注1) ドローンや空飛ぶクルマなどのエアモビリティが飛行する高度を想定して当社が定義した用語
(注2) 出所:Remote Sensing Drone Service Providers(2024)Drone services: The top companies in
2024,https://droneii.com/product/global-drone-review-report
(注3) 本書提出日現在において、空飛ぶクルマや物流ソリューションの提供を行っておりませんが、当社が将来的に提
供を行う可能性がございます。
当社グループの事業内容と当社、連結子会社及び関連会社の事業における位置づけ、並びにセグメントとの関連は
次のとおりであります。
1 ドローンソリューションセグメント
| Terra Drone 株式会社 | PT. Terra Drone Indonesia | Terra Inspectioneering B.V. | Terra Drone Agri SDN. BHD. | Terra Drone Arabia for Drones | Terra DX Solutions 株式会社 | |
| 事業領域 | 測量/点検/防衛 UTM | 測量/点検 農業 | 点検 | 農業 | 測量/点検 | 建設 |
| 国 | 日本 | インドネシア | オランダ | マレーシア | サウジ アラビア | 日本 |
| 取扱領域 | ハード/ソフトサービス | ハード/ソフトサービス | サービス | サービス | サービス | サービス |
| 主要顧客 | 建設/電力各社 政府 | 政府/建設 農業各社 | 石油/ガス 化学品各社 | 農業各社 | 石油/ガス 電力各社 | 保険会社 |
| 議決権の 所有割合 | - | 99.99% | 100.00% | 100.00% | 100.00% | 100.00% |
| Terra Defense Europe OU | |
| 事業領域 | 防衛 |
| 国 | エストニア |
| 取扱領域 | ハード |
| 主要顧客 | 防衛装備品各社 |
| 議決権の 所有割合 | 100.00% |
2 運航管理セグメント
| Terra Drone 株式会社 | Unifly NV | |
| 事業領域 | 測量/点検 UTM | UTM |
| 国 | 日本 | ベルギー |
| 取扱領域 | ハード/ソフトサービス | ソフト |
| 主要顧客 | 政府 | 政府 航空管制 |
| 議決権の 所有割合 | - | 51.00% |
上記以外の当社連結子会社等は、重要性を勘案のうえ、上記一覧への記載を省略しております。
・ハード・ソフト・サービスの定義
| ハード | 産業用ドローンを仕入れ、自社開発のレーザ測量機器を搭載した高付加価値のドローンの販売 非破壊の超音波で板厚点検が可能なドローンや、スプレー半径10cm以内での農薬散布が可能なドローンの開発。迎撃ドローン等の防衛向けドローンの開発・製造 |
| ソフト | ドローンで撮影した写真データの3次元化から詳細解析まで一貫して行うことができる測量向けソフトウェアや、将来的にドローンが飛び交う低空域での航空管制技術を基としたドローン飛行申請・管制技術開発 |
| サービス | 当社グループで提供するドローンを活用した測量・点検・農業サービス |
[ドローンソリューションセグメント]
測量・点検・農業の効率性と安全性を高めるため、顧客のニーズを現場で深く理解することによって、産業課題やニーズを反映したハードやソフトを開発し、国内外で産業用ドローンによるサービスを提供するとともに、業務の効率化、安全性の向上、コスト削減等を実現しております。また、世界各地で培ってきたドローン運用の知見を活かし、防衛ニーズに即したソリューションの早期実装を進める防衛装備品市場にも参入しております。
1 測量事業
国内測量サービスでは、建設コンサルタントや測量会社等に対して、自社開発製品であるTerra Lidarシリーズの販売、ドローンを使用した高精度(計測精度±5~10cm)の3次元計測(注4)から図面作成、BIM/CIMによる3次元モデル作成(注5)、画像処理まで一気通貫で提供しており、i-Construction(注6)にも対応したサービスを提供しております。
連結子会社であるPT. Terra Drone Indonesiaでは、インドネシアにおいて写真測量や森林測量サービス、外部に向けたドローンパイロット育成トレーニング等を行っております。東南アジアの広大な土地で安全且つ効率よくLiDAR(注7)を活用した測量サービス等を行い、収集した画像データから、地盤の状態確認と地形の把握、災害対策等も行っております。
連結子会社であるTerra Drone Arabia for Dronesでは、石油依存経済の脱却を図るサウジアラビアにおいて下水道、空港、道路の設計などインフラ整備の為のドローンによる地形調査等を行っております。
収益は主に、ハードウェアの販売、SaaS形式でのクラウド解析サービス、ソフトウェアのライセンス販売、測量サービスの提供となります。
提供ソリューション

(注4)物体の三次元的な形状をデータとして取得すること
(注5)構造物等を立体形状で表した3次元モデルに属性情報と参照資料を組み合わせた情報モデル全体を指す
(注6)測量から設計、施工、検査、維持管理に至る全ての事業プロセスでICT(情報通信技術)を利用し、建設現場の生産性を飛躍的に向上させることを目指した、国土交通省の取り組みを指す
(注7)レーザ光を使用してターゲットの表面までの距離を測定するマッピング技術
① UAVレーザ測量による作業短縮
UAVレーザ測量とは、ドローンに取り付けられたレーザスキャナから、地形の3次元点群データを取得し計測する手法です。地上型レーザ測量や写真測量が適さない山林などの障害物がある現場でも測量することが可能です。従来においては、トータルステーション(注8)や地上型レーザ測量機器を用いて、計測するポイントごとに機器を人が移動させながら、土地の形状を測量する手法が主流でした。ドローンにレーザ測量機器を搭載し、上空から地上のデータを取得することで、短時間かつ広範囲で測量をすることが可能となります。
測量現場作業の効率化(注9)
※作業量:0.31k㎡あたりの外業作業時間を比較

(注8)水平角と鉛直角を計測する経緯儀という器械に、測距儀の機能が内蔵された測量器械
(注9)国土交通省「ICT土工事例集(測量業務編)」において、作業面積が明確であり、トータルステーションからドローンレーザ測量への効率化を行った「業務9」の作業時間(外業)を引用
② 写真測量
ドローンによる連続空中写真から3次元の点群化を実施、空中写真を正射変換し、オルソ画像を作成することによって、平面図に近いデータとして位置情報データも保有しながら使用することが可能になります。
③ 森林測量
PT. Terra Drone Indonesiaではドローンによる写真測量・UAVレーザ測量サービスに加えて、レーザを搭載したドローンによる森林測量を行っております。従来、インドネシアの広大な森林調査は有人航空機を利用して観測していましたが、レーザを搭載したドローンに置き換えることによって、計測が困難であった山間部や森林部なども測定が可能となり、より精緻なデータ提供を行っております。
2 点検事業
近年、世界各地において、石油化学プラントをはじめとする各種施設の点検現場では、作業員不足に加え、高所作業に伴う事故リスクや稼働停止の影響が課題となっており、ドローンを活用した点検ニーズが高まりを見せています。
ドローンの活用により、従来、高所作業に必要とされていた仮設足場の組み立て・撤去や、作業員が立ち入って実施していた点検作業を代替・削減できます。これにより、点検コストの削減、稼働停止による機会損失の低減に加え、作業員の安全確保を図りながら、迅速な点検を可能にしています。
当社は、海外事業者向けの法定定期点検および国内事業者向けの自主点検を対象としたドローン点検サービスの提供、ならびに機体販売・クラウド提供を通じて収益を得ております。超音波により板厚検査が可能な「Terra UTドローン」を用いた超音波(UT)点検サービスを提供するとともに、屋内点検用ドローン「Terra Xross 1」の開発・販売も進めております。
① ドローンを活用した点検サービス
サービス概要
日本国内の工場では定期点検を行うことが建築基準法第12条で義務付けられていますが、天井の点検は非常に高所であることから実施が難しく、これまで安全面での問題や点検にかかる人的コストの問題が発生していました。当社は、自社開発した特許取得済みのTerra UTドローン(特許番号:PCT/NL2018/050575, PCT/NL2019/050197)を用いて、天井クレーンの超音波探傷点検を行うことによって、人力により高所作業を行う必要がなくなり、安全でかつ迅速な点検を可能にしております。当社Terra UTドローンの展開が加速し、連結子会社であるTerra Inspectioneering B.V.では、石油メジャーであるシェルの欧州最大規模の製油所での点検や、世界最大手総合化学メーカーBASFでの点検などを提供しております。
Terra UTドローン
ドローンとして初めて、タンクなどの表面を壊さずに板厚点検が可能な超音波探傷機能(注10)を搭載した当社製ドローンです。Terra UTドローンには、接触媒(カプラント)ディスペンサーが搭載されており、飛行中でも探触子(注11)にカプラントを供給できるため、タンク表面を傷つけることなく、錆や油等を削る作業を伴う点検にも対応し、効率的に検査を進めることができます。また、3つの高精度カメラを搭載しており、飛行中のドローン映像に加えて、計測中のUTグラフを地上からリアルタイムで確認することも可能です。さらに、「Terra Inspection」というソフトを用いることで、測定データをクラウドに出力し、3次元点群データと写真を連携させることが可能です。
(注10)超音波を用いて内部の傷を測定することができる機能
(注11)超音波を発生または受信するためのセンサーで、主に非破壊検査に使用される

② FPSOでの点検サービス
当社は、三井海洋開発株式会社と共同で、同社がブラジルでオペレーションを行うFPSO(注12)であるFPSO Cidade de Mangaratiba MV24において、ドローンによる原油貯蔵タンク内の船体板厚計測を完了し、FPSOでのドローンによる板厚計測方法について、世界的な船級協会の1つであるABS(注13)の承認を取得しております。
更に、2024年7月には、同社と海洋プラットフォーム向け検査ドローンの共同研究開発契約を締結(注14)し、本契約を通じて開発するドローン検査技術を当社FPSOのみならず広く業界に浸透させ、海洋プラットフォーム操業における業界の共通課題である労働安全環境向上と省人化に貢献することをビジョンに掲げています。

③ 屋内点検ハードウェアの外販
当社は、2024年に新たに自社開発・国産の屋内点検ハードウェアの販売を開始いたしました。ビジュアルセンサーとLiDARを搭載することで屋内環境でも安定した飛行を実現し、タンク、煙突、ボイラー、配管等の屋内インフラ設備における目視点検(ひび割れ、塗装剥がれ等の異常検出)に対応しています。さらに、同等性能の他社製品と比べて約3分の1の低価格を特長としています。
加えて、ドローンで取得した点群データや撮影データをクラウド上で一貫して管理・共有できるクラウドも提供しており、点検結果の可視化や関係者間での情報連携を支援しています。日本のみならず、北米、中南米、欧州、アジア、オーストラリアなど、グループ会社や代理店とともに全世界への販売を進めております。
(注12)Floating Production, Storage and Offloading system:浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備
(注13)American Bureau of Shipping:米国船級協会
(注14)https://www.modec.com/jp/news/2024/20240701_pr_TerraDrone.html
3 農業事業
現在、農業の分野において、精密な作物管理や高効率な生産手法を実現するため、ドローン活用の可能性が急速に拡大しております。2030年には農業用ドローンの世界市場は最大142億9,020万ドル(約2兆680億円)(注15)に成長する見込みです。
そのような環境下において、当社はインドネシア及びマレーシアにおける農業用ドローン市場に本格参入するため、2023年7月に連結子会社PT. Terra Drone Indonesiaを通じAvirtech Solutions Pte.Ltd.の農業関連事業を買収し、また、マレーシアでも事業展開を行うため子会社としてTerra Drone Agri SDN. BHD.を新規設立致しました。
パーム油(注16)の元となるアブラヤシは十分な日照と高温湿潤な気候が必要であり、インドネシアとマレーシアはパーム油の主要な生産地として世界における生産の約8割(注17)を占めています。しかし、労働環境が厳しい上、労働力が不足しているなど、インドネシアとマレーシアのパーム油産業は深刻な問題を抱えています。
当社が事業を買収したAvirtech Solutions Pte.Ltd.は、インドネシアとマレーシアで2017年よりドローンを用いたパーム油農園の農薬散布事業を展開しております。他社に先駆けてスプレー半径10cm以内での高精度な農薬散布を可能にする技術を有しており、ドローン農薬散布事業のリーディングカンパニーの1社となっております。
パーム油産業の労働力不足の解消や作業員の安全確保、生産性の向上に寄与し、産業課題の解消やサステナビリティに配慮したパーム油の生産支援に寄与しております。収益は主に、農地面積ベースの農薬散布サービスの提供となります。
また、2024年3月21日より、新規事業として肥料散布事業に参入することを発表しており、パーム油生産大手SinarMasのグループ会社であるSMART Tbkと肥料散布事業の新プロジェクトに関する契約に合意しています。パーム油農園の管理における肥料プロセスのデジタル化と最適化を目指すことで、業務効率を大幅に向上させつつ、環境への影響を軽減します。加えて、2025年8月には、ヤンマーホールディングス株式会社のグループ会社PT. Yanmar Diesel Indonesiaと、自社開発の農業用ドローンに関する販売パートナー契約を締結しており、インドネシア政府およびコメ農家をはじめとする農業従事者に向けて、自社開発の農業用ドローンの販売も開始しております。
提供ソリューション

(注15)株式会社グローバルインフォメーション「農業用ドローンの世界市場- 2023-2030」
(注16)アブラヤシの果実から抽出される食用油。食品用や化粧品等様々な商品に幅広く使われている一般的な植物油
(注17)米国農務省(USDA) Palm Oil 2023 World Production
① ESG経営の推進
当社グループはインドネシアとマレーシアで農業事業に参入し、持続的な成長とグローバルでの新しい価値提供を目指し、環境への影響を最小限に抑え、農業労働者の作業負荷を軽減していくことによってESG経営を推進しております。また、RSPO(Roundtable Sustainable Palm Oil)(注18)の認証を受けている先のみを顧客対象としていることもESG経営の考え方を反映しております。
② パーム油市場の成長性
パーム油の生産量は2021年には81百万トンに達し、その生産の約84%を担うのが、インドネシアとマレーシアです。今後も、世界の人口増加に伴い、人々の生活を支えるパーム油の需要は増加していくと考えられています。

(注18)持続可能なアブラヤシ製品の成長と使用を促進することを目的として、2004年に設立された非営利組織
③ アブラヤシ栽培において、ドローンによる農薬散布が適している理由
パーム油の原料となるアブラヤシ栽培において、農薬の効果を十分に得るためには、ヤシの実等へ直接散布することが必要となります。手動散布の場合、スプレー散布によりヤシの実等へ直接散布することは可能ですが、少人数で広範囲を周る必要があるためムラが生じやすいという欠点があります。また、セスナなどの小型飛行機の場合、上空からの一斉散布となるため十分な散布効果が得られないとされています。一方、ドローンでの散布の場合、噴射スプレーのアタッチメントがついたドローンで散布を行うことでヤシの実等への直接散布が可能になることに加え、手動散布と比較してムラなく効率的な散布が可能となります。
散布方法の違いによる特徴の比較

4 防衛事業
防衛市場は重層的な成長が見込まれる分野であり、中長期的な成長ポテンシャルを有する領域と認識し、防衛ニー
ズに即したソリューションの早期実装を進めるべく2026年3月に防衛装備品市場に本格参入しました。
・参入の背景
2026年3月以降、緊迫の度を増す中東情勢やインド太平洋地域など、世界の国際情勢は急速な変化の中にありま
す。安全保障環境は大きな転換期を迎え、防衛の概念そのものが再定義されつつあります。主要国による防衛力強化
を背景に、2024年度の世界の防衛関連支出は過去最高の432兆円(注22)を超えるなど、地政学的リスクへの対応は
国際社会共通の最重要課題となっています。
近年のロシア・ウクライナ戦争においても、人命へのリスクを低減し得る無人アセットとして、低単価なドローンが
前例のない規模で投入され、キーアプリケーションの一つとなりました。このような状況を受け、現在、世界各国で
は予算投資の拡大の元、各無人アセットの活用を前提とした新たな防衛システムの構築を加速させています。
具体的に、世界の防衛用ドローン(UAV)市場規模は、2025年時点で約2兆5,169億円と推定され、2030年には約3兆
6,335億円に達すると予測されています。この期間の年平均成長率(CAGR)は7.6%となる見込みです(注23)。日本を
取り巻く安全保障環境においても、周辺地域での軍事活動の活発化や、ミサイル・無人機といった新たな脅威の顕在
化により、従来型の防衛体制のみでは十分な抑止力を維持することが困難になりつつあります。令和8年度予算案で
は、無人アセットを含む防衛能力の強化に約2,773億円(注24)という過去最大規模の予算が計上されており、無人シ
ステム(注25)を防衛の中核に位置づける国家方針が明確になっています。また、2027年度の体制構築を目指す多層
的沿岸防衛体制「SHIELD(シールド)」構想では、無人アセットや各種センサーを組み合わせ、沿岸部を広域かつ段
階的に防護する防衛体制の構築が検討されており(注26)、ドローンはその中核を担う無人アセットの一つとして位
置づけられています。
・グローバルでの事業展開
世界的な防衛支出の拡大や無人システムへの需要増加を背景に、当社グループは、日本に加え、ウクライナ、欧州、アジア等の海外拠点やパートナーとの連携を通じ、防衛用無人アセットのグローバル展開を進めてまいります。
・多様なプロダクト展開
防衛分野では、用途や脅威に応じて多様な無人アセットが求められています。当社グループは、迎撃ドローンを中心
に、FPVドローン、偵察用ドローン(ISR)、無人ボート(USV)等、陸・空・海を横断する無人アセットの開発・製品
ラインアップの拡充を進めてまいります。
(注22)ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)軍事支出データベース
(https://www.sipri.org/databases/milex)および主要国公表予算に基づく合算推計。2026年3月19日現在
の市場レート 1ドル = 159.296円 を適用。
(注23) MarketsandMarkets社 調査レポート “Military UAV Market – Global Forecast to 2030″(軍用
無人航空機市場:2030年までの世界予測)のデータに基づく。2025年時点の158億ドルおよび2030年予測の228
億ドルについて、2026年3月19日現在の市場レート 1ドル = 159.296円 を適用して算出。
(注24) 防衛省「我が国の防衛と予算(令和8年度概算要求の概要)」
(https://www.mod.go.jp/j/budget/yosan_gaiyo/index.html)
(注25)無人システム:無人アセット(注27参照)を活用した全体的な仕組み、運用体制、およびネットワークを指
す。 出典:防衛省 陸上自衛隊 教育訓練研究本部 公開資料
(https://www.mod.go.jp/gsdf/tercom/img/file2705.pdf)
(注26)防衛省「多層的沿岸防衛体制(SHIELD)の構築について」公表資料。
(https://www.google.com/search?q=https://www.mod.go.jp/j/approach/defense/shisaku/index.html)
① 迎撃ドローンの展開
低コストな攻撃型無人航空機が大量に投入される現代の戦闘環境では、高額な迎撃ミサイルのみで継続的に対処することは、迎撃弾の供給及び費用対効果の観点から課題となっています。このため、低コストかつ量産可能な迎撃ドローンを活用して無人航空機へ対処する新たな防空手段の導入が進んでいます。
当社は、ウクライナにおける実戦環境で培われた技術・知見を取り込み、迎撃ドローンの開発及び事業展開を進めています。
2026年3月には、子会社Terra Inspectioneeringを通じて、ウクライナにおいて迎撃ドローンの開発・製造を行うAmazing Drones LLC(以下「アメイジング・ドローンズ社」)に戦略的出資を実施するとともに、同社とロケット型迎撃ドローン「Terra A1」を発表しました。さらに2026年4月には、ウクライナで固定翼型迎撃ドローンを開発するWinnyLab LLC(以下「ウィニーラボ社」)へ戦略的出資と、広域・長距離の防空を想定した固定翼型迎撃ドローン「Terra A2」の展開を発表いたしました。
また、「Terra A1」をベースとして開発した自律型AI迎撃ドローン「Terra A1 Autonomous」について、AIを用いた標的捕捉、自律航行及び自律追尾に関する開発及びテストを完了し、市場展開を開始しました。「Terra A1 Autonomous」は、AIによりカメラ映像をリアルタイムで解析して対象ドローンを認識・追尾するとともに、目標の位置や速度を継続的に推定し、飛行経路を自律的に補正する機能を備えています。また、中間誘導ではターゲットへの自動接近、終末誘導では対象ドローンの自律検知・追尾を行うことで、操縦者の負荷を軽減しながら高速で飛行する対象ドローンへの接近・迎撃を支援します。
加えて、日本国内では、防衛装備庁が実施する「迎撃ドローン早期取得プログラム」において、当社が提案した国産迎撃ドローン「Terra B1」が、38社から寄せられた提案の中から実証試験に使用する供試器材として選定されました。本プログラムでは、その後、当社を含む4社の機体を対象に実証試験が実施され、「Terra B1」が唯一、単独で実証試験を通過し、次の量産段階へ進みました。
当社は、ウクライナの実戦環境で得られる技術・運用知見と、日本国内における開発・量産基盤を組み合わせ、近距離から広域まで対応可能な迎撃ドローンの製品ラインアップを拡充するとともに、国内外における迎撃ドローン事業の拡大を進めてまいります。
② 防衛装備庁向け国産ドローン「モジュール型UAV(汎用型)教育用」の供給
近年、世界の安全保障環境は大きな転換点を迎えており、各国で防衛費の拡大と装備調達の見直しが進んでいます。
従来の大型・高価格装備に加え、低コストかつ迅速に配備可能な装備への需要が高まっています。その象徴の一つがド
ローンです。ウクライナをはじめとする近年の戦況では、無人アセットが情報収集、監視、後方支援、防空、攻撃抑止
など幅広い領域で活用されており、防衛体制における重要な要素となっています。特に、各国において低コスト無人機
の台頭により、高価な重装備のみで脅威に対処し続けることには限界が生じつつあります。このため各国では、機動
性・量産性・コスト効率に優れた無人アセットの導入が加速しています。日本においても、令和8年度予算案では、無人
アセットを含む防衛能力の強化に約2,773億円という過去最大規模の予算が計上されており、無人システムを防衛の中核
に位置づける国家方針が明確になっています。防衛力の抜本的強化と装備基盤の強靭化が進む中、国産装備の確保、サ
プライチェーンの安定化、無人アセット運用人材の育成が重要課題となっています。
当社は、防衛装備庁が実施した一般競争入札において、国産ドローン「モジュール型UAV(汎用型)教育用」300式を
落札し、防衛装備庁向けに300式を供給する予定です。当社の防衛事業における重要な受注実績となりますが、防衛分
野への本格参入表明から、防衛分野特有の厳格な要求水準を短期間で初受注を実現したことは、当社の技術力、開発ス
ピード、供給体制の競争力の高さと市場ニーズに適合していることを示すものと認識しております。
③ ドローン向け国産バッテリー事業への参入
防衛用途を含むドローンを継続的かつ安定的に供給するためには、機体のみならず、バッテリー等の主要部品につい
ても安定した供給体制を確保することが重要となります。当社は、ドローン向け高出力バッテリーパックの国内生産体
制を構築し、バッテリー事業に本格参入しました。円筒形セルを用いたバッテリーパックについて、当社がドローンメ
ーカーとして機体側から求められる仕様を定め、国内において組立、検査及び品質管理を行う体制の構築を進めていま
す。当該バッテリーについては、当社グループが展開する産業用及び防衛用ドローンへの搭載に加え、他のドローンメ
ーカー等への供給も想定しています。
当社は、ドローン機体の開発・製造だけでなく、その基幹部品となるバッテリーについても国内生産基盤を構築する
ことにより、ドローンの安定供給に必要となるサプライチェーンの強化を進めてまいります。
[運航管理セグメント]
ドローンの普及や空飛ぶクルマ(UAM:Urban Air Mobility)の実用化が進むことによって、多数の飛行体が低空域で往来する社会実装に備え、安全で効率的な運航を実現する「空のインフラ」構築を進めております。
1 UTM事業
当社の欠かせない事業の一つであるUTM事業において、国内では2022年12月に航空法が改正され、有人地帯におけるドローンの目視外飛行(目視の範囲を超えての飛行)を行える「レベル4」が認められるようになりました。近年、ドローンや空飛ぶクルマの利活用は、物流、警備、災害対応など、多岐にわたる分野で注目され、運航管理と安全対策の重要性が高まっています。
今後、さらに多くのドローンが飛行し混雑が予想される低空域において、目視外飛行における安全確保のためには、安全な自動車運行のための道路交通環境の整備や、航空機の安全運行のための管制業務のような運航管理システムが必要になってきます。
レベル4飛行でできること(注19)

(注19)https://www.mlit.go.jp/koku/level4/(国土交通省:無人航空機レベル4飛行ポータルサイト)
① UTMの役割
UTMは「無人航空機運航管理システム」と日本語訳され、ドローンの運航を管理するプラットフォームのことを指しております。交通インフラの役割は、安全維持と交通の効率性の最適化ですが、自動車の場合、信号や高速道路など車の動きを管理し、車同士の衝突を避けるために欠かせないインフラがあります。飛行機の場合、管制官や管制塔が機体を操縦するパイロットを支えています。ドローンも同様、安全な運航を実現するために、高速道路、信号機、交通規則と同様のインフラストラクチャが必要になると考えられます。
現在、多くの国や地域において、ドローンが飛行する低空域では十分な空域管理がなされておらず、安全の十分性が確保できておりません。今後ドローンが幅広く普及していく世界になることが予想され、目視外飛行(目視の範囲を超えての飛行)を実現した場合、ドローン同士や、ドローンと有人機との衝突を回避する仕組みを作ることで、空の安全を守りながら、ドローンの利活用を効率化していく事業こそ不可欠になると考えております。
従来の航空機には有人のパイロットがいるのに対して、ドローンはデジタル技術と高度なコネクティビティを持ち、遠隔操作または自動制御による運航も想定されます。そのためUTMは運航管理の自動化とデジタル化を前提に設計されており、スケーラブル(技術的な柔軟性を持った)なソリューションを提供することが可能となります。これらの拡張性によって、UTMはフライト数の増加や複雑な空域管理要件に対応できるようになり、中長期では既存の航空交通管理(ATM:Air Traffic Management)がUTMと融合していくと見られております。(注20)

(注20)参考:https://acubed.airbus.com/a-new-digital-era/
② Unifly NVのUTM導入実績
当社は、世界におけるUTMのリーディングカンパニーであるUnifly NV(本社:ベルギー)が展開するUTMが、業界全体の発展を支えるインフラとして重要であると考え、当社設立の2016年からわずか9ヶ月以内の2016年11月、同社(2015年8月創業)への出資を行いました。その後、2023年7月、国土交通省傘下の官民ファンドである株式会社海外交通・都市開発事業支援機構(略称JOIN)との特別目的会社を通じた共同出資によって当社の連結子会社になっております。(なお、JOINとの合弁事業はその目的を完遂しており、2025年8月に同社との合弁契約は解消しております。)
Unifly NVの大株主は、当社の他、ドイツの航空管制局(Air Navigation Service Provider、以下、ANSP)であるDFS(Deutsche Flugsicherung GmbH、100%ドイツ政府資本)や、ベルギー政府傘下のファンドSFPI-FPIMであり、Unifly NVは、UTM技術開発のリーディングカンパニーとして、実証やPoCだけではなく国全体への実装レベルの提供を行っております。自動承認を含むUTMのオペレーションを提供する企業として、技術力と信頼性が評価され、欧州を中心とした各国のANSPへのUTM提供実績を誇り、当社グループはグローバルにおけるUTM業界の発展に貢献しています。
民間UTM事業者の導入実績(注21)

※ UTM実装済/稼働実績あり:実証実験段階の国も含む
※ 1国に複数の事業者が存在する場合は最大シェアの事業者を記載
(注21)2024年7月時点。SMBC日興証券株式会社の依頼により有償で実施された、UTM関連の規制当局・団体、各種ドローン業界レポート、各ドローン関連企業の公開情報、業界有識者インタビュー等を基にアーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社作成「UTM(ドローン運航管理システム)グローバル市場調査プロジェクト成果物資料(最終報告書)」を基に当社作成
③ UTM事業の収益構造
UTM事業の収益は、初期導入料のスポット収益に加え、年間ライセンスや飛行回数に応じた従量課金等のリカーリング収益が主となっております。その他、顧客別要求となる追加開発費用、他システムとの連携等、要求により追加で機能実装を行うケースがあります。

※現在は「3. 本格運用」までサービス提供しており、「4. 空飛ぶクルマ支援」について提供を保証するものではありません。
④ 新たな取り組み(防衛・重要インフラ向け)
その他、足元では、保安用途や防衛用途におけるUTMの新たな需要も立ち上がりつつあると認識しております。重要インフラ施設(空港、発電所等)向けでは、空域内の不審ドローンを検知・判定・対処する「カウンタードローンプラットフォーム」とUTMを連接することで、正規に運航されているドローンと不審ドローンを識別し、適切な対処につなげる仕組みへの需要が高まっています。また、防衛分野においても、各国軍によるドローン利用の増加を背景として、軍管轄空域におけるドローンの運航を安全かつ効率的に管理するためのUTM需要が顕在化しつつあります。
こうした中、当社子会社のUniflyは、ベルギー国防省から、同省が管轄する陸・海・空軍の全空域におけるUTM案件を受注しました。契約金額は115万ユーロであり、軍用空域におけるドローンの飛行申請、承認及び運航状況等を一元的に管理する基盤を提供します。
また、Uniflyは、欧州の防衛企業MBDA Systemsと、不審ドローンへの対処を目的とするCounter-UASプラットフォームの実装に向けたパートナーシップ契約を締結しております。本取り組みでは、UTMが保有する正規ドローンの運航情報と、Counter-UASシステムが検知する飛行体の情報を連携することで、対象空域を飛行する機体について正規のドローンと不審ドローンを識別し、必要な対処につなげる仕組みの構築を進めています。
当社グループは、これまで民間空域で培ってきたUTMの技術及び導入実績を活用し、ドローンや空飛ぶクルマの普及に対応した低空域の運航管理基盤の構築を進めるとともに、重要インフラ施設や防衛空域等、新たな用途へのUTMの展開を推進してまいります。