有価証券報告書-第10期(2025/02/01-2026/01/31)
有報資料
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、ドローン、空飛ぶクルマといった新しい産業領域で空の産業革命を起こし、世界をリード出来る存在になり、世界で勝負すること、高いハードルを乗り越えリスクに挑戦することが当たり前であった、明治から昭和時代の精神を宿した日本社会を取り戻したいと考えております。
「Unlock “X” Dimensions」(異なる次元を融合し、豊かな未来を創造する)をミッションとして、特に、若者をインスパイアし、世界でドローン社会を実現するためのプラットフォームの構築を目指しております。

また、社員の行動指針として、以下4つの「Terra Way」を掲げ、新産業で、世界で勝てる人財の育成支援を進めております。
1 Center Pin & Speed (センターピンとスピード)
2 Ownership & Grit (経営者意識とやりきる力)
3 Inspire & Inspired (インスパイア)
4 Challenge as Global NO.1 (志高く世界へ挑め)

(2) 経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、産業課題の解決に向けた機体活用の広がりと、それらを安全に運用するためのインフラ整備の両面において、構造的な拡大局面にあると認識しております。
① ドローンソリューション業界の市場環境
当社グループの属するドローン業界は、ホビー・レジャー用途主導の草創期を経て、現在は広範な産業分野における社会実装の深化のフェーズへ突入しております。
・需要の拡大と多様化:建設業界における測量・自動マッピングや、農業分野における土壌解析・土地開拓など、実需に基づいた利用が急速に拡大しております。
・地政学リスクとサプライチェーンの再編:世界的な情勢不安を受け、防衛ドローンの重要性が再認識されるとともに、西側諸国を中心に脱中国製品への需要シフトが鮮明となっています。米国では国防権限法(NDAA)に基づく排除が厳格化され、日本国内においてもドローンが「特定重要物資」に指定されるなど、安全保障に立脚した国産機体への転換と公的支援が強力に推進されています。
ドローンソリューションの市場規模(注1)

(注1)1.SMBC日興証券株式会社の依頼により有償で実施された、UTM関連の規制当局・団体、各種ドローン業界レポート、各ドローン関連企業の公開情報、業界有識者インタビュー等を基にアーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社作成「UTM(ドローン運航管理システム)グローバル市場調査プロジェクト成果物資料(最終報告書)」を基に当社作成。いずれの年の数値も予測値であり、記載通りに推移することを保証するものではない。
2.ドローンソリューション市場は、ドローンを活用した各種サービスプロバイダーの事業収入(売上)を指し、当社グループのドローンソリューションセグメントも当該事業に所属するものと認識しております。
② UTM業界の市場環境
上述の市場見解により、各国政府はUTM導入の必要性を認識しており、欧州のU-space(注2)規制を筆頭にUTMの実装が各地域で進められております。
・欧州における先行的な法制化:欧州委員会は2023年に“U-Spaceに係る規制2021/664”を施行し、加盟している全27ヵ国にてUTMの実装が必須となりました。これは、ドローン運航を支えるサービスプロバイダーの役割を法的に定義した世界初の包括的枠組みであり、国際的な制度設計のリファレンスとなっています。
・グローバルな標準化の進展:欧州航空安全機関(EASA)等が提唱するUTMの運用ルールは、現在、アジア/中東を含む諸外国においても、ドローン活用の社会実装に向けた標準モデルとして採用・検討が進められています。
UTM市場規模の予測(注3)

(注2)欧州におけるドローンや空飛ぶクルマの運航管理システム
(注3)1.SMBC日興証券株式会社の依頼により有償で実施された、UTM関連の規制当局・団体、各種ドローン業界レポート、各ドローン関連企業の公開情報、業界有識者インタビュー等を基にアーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社作成「UTM(ドローン運航管理システム)グローバル市場調査プロジェクト成果物資料(最終報告書)」を基に当社作成。グラフは予測値であり、記載通りに推移することを保証するものではない。
2.UTM市場はUTMに関わるソフトウェア・サービス提供企業の事業収入(売上)を指し、当社グループの運航管理セグメントも当該事業に所属するものと認識しております。
③ 市場の更なる広がり
今後は、ドローンソリューションビジネスの本格普及に加え、ドローン配送等を中心に、ドローン機体の多頻度・高密度運航の世界的な拡大が期待されています。ドローン以外にも、空飛ぶクルマのOEMは多くの国で型式証明を取得に向けた動きが進んでおり、近い将来商用利用が見込まれています。空飛ぶクルマの世界市場は、2040年までに約1.5兆USDに成長すると予測(注4)されており、ドローンや空飛ぶクルマが飛び交う社会「低空域経済圏」は今後大きく成長していくものと当社グループでは考えています。
(注4)出典:Morgan Stanley, “Are Flying Car Preparing for Takeoff?
http://www.morganstanley.com/ideas/autonomous-aircraft
④ 空飛ぶクルマの現状
海外ではeVTOL(Electric Vertical Take-Off and Landing)と呼ばれ、電動で飛行するヘリコプターのようなエアモビリティを指します。実現に向けて飛行規制や安全性含め様々な課題が存在しておりますが、米国や欧州を中心に運航開始・拡大に向け進んでいます。具体的には、米国では、ロサンゼルス五輪が開催される2028年に向けてFAA(連邦航空局)が空飛ぶクルマの運航拡大計画を発表しております。(注5) また、英国、アラブ首長国連邦、サウジアラビアなどを始め、多くの国が運航の実現に向けた計画を打ち出しています。
⑤ 空飛ぶクルマの運航管理システム開発に着手
ドローン向けのUTMと密接に関わりがあり当社が注力している領域が、欧州や米国、中東、アジアなどの国外をターゲットとした空飛ぶクルマ向けのUTM開発となります。既存のドローン向けのUTMは、機能的に空飛ぶクルマの飛行を完全にサポートできる仕様にはなっておらず、空飛ぶクルマ向けの運航管理システムは、より多様で複雑なものに成長すると考えています。
当社グループは、空飛ぶクルマ向けの運航管理技術を備えたプラットフォームの開発を通じて、空飛ぶクルマの産業拡大や社会実装に貢献していくとともに、グローバルにおいて持続可能で安全なエコシステムとなる空のインフラの構築を目指していきます。
(注5)参考:https://www.faa.gov/sites/faa.gov/files/AAM-I28-Implementation-Plan.pdf
(3) 経営戦略
上述した市場環境を踏まえ、当社グループではドローンソリューションセグメントと運航管理セグメントの2つのセグメントを通じて、ドローンソリューションによる産業課題の解決と、UTMの社会実装によるドローンや空飛ぶクルマが飛び交う低空域経済圏の構築を中長期的な事業構想としております。
低空域経済圏を構築し、エアモビリティ領域でのプラットフォーマーとしての立ち位置を確立するため、各セグメントにおいて以下の通り事業に取り組みます。
① ドローンソリューションセグメントについて
測量事業においては、サービス、ソフトウェアによる継続的な取引と顧客数の増加を背景に安定的なキャッシュ・フローを獲得しており、既に収益化している領域と認識しています。サウジアラビア等の新興国での事業立ち上げを通じ、中長期的な成長を維持いたします。
点検事業においては、石油タンク等における業界大手企業との継続的な取引をベースとしながら、FPSO案件の獲得、点検業務に特化したハードウェアの販売等を通じて新規顧客を獲得することを目指します。特に2024年に発売を発表した自社開発ハードウェア「Terra Xross 1」は市場からの引き合いが極めて強く、今後数年間の主要な成長ドライバーとなることを見込んでおります。
農業事業:2023年の事業譲受により参入いたしました。足元ではインドネシア子会社における火災事故の影響を慎重に見極めつつ、事業継続を図る方針です。
② 運航管理セグメントについて
運航管理セグメントでは、障壁の高い黎明期から事業に参入することで現時点でも大きなプレゼンスを得ており、上述したU-Space規制に準拠したUTMの提供地域の拡大を見込んでいます。欧州で採用された基準がカナダとサウジアラビアのANSPで採用されている背景も鑑み、特に欧州や中東への拡大を見込んでおります。
また、ドローン市場の拡大によってドローンの飛行回数増加が期待されており、飛行回数に応じた従量課金収益も増加していることが考えられます。市場の拡大と提供地域の拡大を背景に、中長期的には加速度的な売上伸長を想定しております。
③ 空飛ぶクルマ事業への拡大について
当社グループは、欧州や米州、中東、アジアなどの国外をターゲットとした空飛ぶクルマ向け運航管理システムの開発に着手することを2024年4月に発表いたしました。
UTMの実装・運用実績が豊富な企業として、その実績を基に複数社が手を組んで空飛ぶクルマ向け運航管理システムの開発を手掛けるのは当社が認識する限り世界初であり、グローバルにおいて持続可能で安全なエコシステムとなる空のインフラの構築を目指し、2030年以降には空飛ぶクルマの航空管制システムの収益をアップサイドとして見込んでいます。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、上記「(3) 経営戦略」に記載の経営戦略のもと、成長性及びキャッシュ・フロー創出を把握するために、売上高、営業利益及び調整後営業利益(注)を重要な経営指標と位置付け、各経営課題に取り組んでおります。また、営業利益及び当期純利益については、外部環境変化に対して経営をコントロールするための指標と位置付けるとともに、中長期的な拡大を目指しております。
(注)調整後営業利益
財務会計上の営業利益(GAAP、日本基準)に国内UTM事業に係る補助金収入(営業外収入)を加算したものであり、当グループの経営成績を理解する上で有用な情報と判断しております。国内UTM事業は、今後の本格的な事業立ち上げに向けて開発費が発生している状況にあり、当面は補助金を含めた収益管理の実施が適切であると考えております。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
中長期的な経営戦略として、売上・利益の拡大を実現するために、重要課題である以下の項目に取組んでまいります。
① M&Aを活用した積極的な事業推進
当社グループの持続的な業容拡大のために、自立成長だけではなくM&Aによる成長は重要な課題であると考えて
おります。当社は、サービス開始以降、世界各国のドローンに関わるサービス、技術を有する企業を買収し、ノ
ウハウや情報、人脈などを獲得しながら事業拡大してまいりました。現在は測量、点検、農業、運航管理領域を
軸に日本から世界に向けて事業展開しておりますが、ドローンに関わる領域だけでなく、中長期的に産業革命に
繋がり企業価値の向上を目指せる他企業との協業、M&A等多様な戦略を用いて積極的に推進してまいります。ま
た、M&Aに関しては、競合企業を中心にソーシングし案件が具体化した際、デュー・デリジェンス、PMI(M&A後の
統合行為)を重点的に対応しながら着実に成果に結びつくよう取り組んでまいります。段階出資によってリスク
をミニマイズするとともに、ソリューション×地域の総合的な視点で有望なM&Aターゲットを選定し、企業間の技
術シナジー、他地域へのソリューション展開の円滑化など「テラ群戦略」を展開してまいります。
② 優秀な人財の確保・育成
当社グループは、今後も事業領域を広げつつ、各事業の成長を目指していく上で、多様なバックグラウンドを
持つ優秀な人財を採用し続けることが不可欠であると考えております。採用においては優れた専門性のみなら
ず、当社グループの行動指針である「Terra Way」を体現できる人財が組織に大切であると考えており、役職員全
員が感謝の気持ちを忘れず、謙虚で常に学び続ける素養があるかなど、人間性を重視した人財採用を行っており
ます。それらを持ち合わせた優秀な人財を確保するために、人事考課制度の整備・運用及び採用活動の多様化に
努め、当社グループの成長速度に見合った、継続的な採用活動と研修活動を行ってまいります。
③ 内部管理体制の強化
当社グループは国内連結子会社2社及び海外連結子会社8社、海外持分法適用会社1社により構成されたグル
ープ企業体制であります。持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため、経営の公正性・透明性を確保すると
ともに取締役会及び監査役会による内部統制の強化並びにコーポレートガバナンス・コードの基本原則に沿った
各種施策の実施、取締役会の実効性評価・分析・改善に継続的に取り組んでおります。様々なリスクをコントロ
ールするための内部管理体制の強化を行うとともに、今後も事業運営上のリスク管理や定期的な内部監査の実施
によるコンプライアンス体制の強化、監査役会による監査等を基軸とするコーポレート・ガバナンス機能の充実
等を図ってまいります。
④ 収益性の向上
当連結会計年度の当社グループの売上高は50%成長(前年比)しておりますが、2か年共に当期純損失を計上しております。主な要因は、先行的な体制拡大による販管費増、赤字事業の農業・UTMの通年化が影響し赤字となっており、各事業の成長により今後の黒字化を目指してまいります。
⑤ グローバルプラットフォーマーとしてのリスク
当社グループは、ドローンを通じた低空域経済圏のグローバルプラットフォーマーの実現を目指しており、現在においても海外連結子会社及び海外持分法適用会社を有しております。国内のみでなく国外においてビジネ
スを展開することで、地政学リスクや為替リスク等、様々な潜在的リスクを抱えております。リスクのヘッジ
手段として、1エリアに子会社を集中させないことによる利益の分散や、段階的なM&Aの実施を行うことなどが
挙げられます。
(1) 経営方針
当社グループは、ドローン、空飛ぶクルマといった新しい産業領域で空の産業革命を起こし、世界をリード出来る存在になり、世界で勝負すること、高いハードルを乗り越えリスクに挑戦することが当たり前であった、明治から昭和時代の精神を宿した日本社会を取り戻したいと考えております。
「Unlock “X” Dimensions」(異なる次元を融合し、豊かな未来を創造する)をミッションとして、特に、若者をインスパイアし、世界でドローン社会を実現するためのプラットフォームの構築を目指しております。

また、社員の行動指針として、以下4つの「Terra Way」を掲げ、新産業で、世界で勝てる人財の育成支援を進めております。
1 Center Pin & Speed (センターピンとスピード)
2 Ownership & Grit (経営者意識とやりきる力)
3 Inspire & Inspired (インスパイア)
4 Challenge as Global NO.1 (志高く世界へ挑め)

(2) 経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、産業課題の解決に向けた機体活用の広がりと、それらを安全に運用するためのインフラ整備の両面において、構造的な拡大局面にあると認識しております。
① ドローンソリューション業界の市場環境
当社グループの属するドローン業界は、ホビー・レジャー用途主導の草創期を経て、現在は広範な産業分野における社会実装の深化のフェーズへ突入しております。
・需要の拡大と多様化:建設業界における測量・自動マッピングや、農業分野における土壌解析・土地開拓など、実需に基づいた利用が急速に拡大しております。
・地政学リスクとサプライチェーンの再編:世界的な情勢不安を受け、防衛ドローンの重要性が再認識されるとともに、西側諸国を中心に脱中国製品への需要シフトが鮮明となっています。米国では国防権限法(NDAA)に基づく排除が厳格化され、日本国内においてもドローンが「特定重要物資」に指定されるなど、安全保障に立脚した国産機体への転換と公的支援が強力に推進されています。
ドローンソリューションの市場規模(注1)

(注1)1.SMBC日興証券株式会社の依頼により有償で実施された、UTM関連の規制当局・団体、各種ドローン業界レポート、各ドローン関連企業の公開情報、業界有識者インタビュー等を基にアーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社作成「UTM(ドローン運航管理システム)グローバル市場調査プロジェクト成果物資料(最終報告書)」を基に当社作成。いずれの年の数値も予測値であり、記載通りに推移することを保証するものではない。
2.ドローンソリューション市場は、ドローンを活用した各種サービスプロバイダーの事業収入(売上)を指し、当社グループのドローンソリューションセグメントも当該事業に所属するものと認識しております。
② UTM業界の市場環境
上述の市場見解により、各国政府はUTM導入の必要性を認識しており、欧州のU-space(注2)規制を筆頭にUTMの実装が各地域で進められております。
・欧州における先行的な法制化:欧州委員会は2023年に“U-Spaceに係る規制2021/664”を施行し、加盟している全27ヵ国にてUTMの実装が必須となりました。これは、ドローン運航を支えるサービスプロバイダーの役割を法的に定義した世界初の包括的枠組みであり、国際的な制度設計のリファレンスとなっています。
・グローバルな標準化の進展:欧州航空安全機関(EASA)等が提唱するUTMの運用ルールは、現在、アジア/中東を含む諸外国においても、ドローン活用の社会実装に向けた標準モデルとして採用・検討が進められています。
UTM市場規模の予測(注3)

(注2)欧州におけるドローンや空飛ぶクルマの運航管理システム
(注3)1.SMBC日興証券株式会社の依頼により有償で実施された、UTM関連の規制当局・団体、各種ドローン業界レポート、各ドローン関連企業の公開情報、業界有識者インタビュー等を基にアーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社作成「UTM(ドローン運航管理システム)グローバル市場調査プロジェクト成果物資料(最終報告書)」を基に当社作成。グラフは予測値であり、記載通りに推移することを保証するものではない。
2.UTM市場はUTMに関わるソフトウェア・サービス提供企業の事業収入(売上)を指し、当社グループの運航管理セグメントも当該事業に所属するものと認識しております。
③ 市場の更なる広がり
今後は、ドローンソリューションビジネスの本格普及に加え、ドローン配送等を中心に、ドローン機体の多頻度・高密度運航の世界的な拡大が期待されています。ドローン以外にも、空飛ぶクルマのOEMは多くの国で型式証明を取得に向けた動きが進んでおり、近い将来商用利用が見込まれています。空飛ぶクルマの世界市場は、2040年までに約1.5兆USDに成長すると予測(注4)されており、ドローンや空飛ぶクルマが飛び交う社会「低空域経済圏」は今後大きく成長していくものと当社グループでは考えています。
(注4)出典:Morgan Stanley, “Are Flying Car Preparing for Takeoff?
http://www.morganstanley.com/ideas/autonomous-aircraft
④ 空飛ぶクルマの現状
海外ではeVTOL(Electric Vertical Take-Off and Landing)と呼ばれ、電動で飛行するヘリコプターのようなエアモビリティを指します。実現に向けて飛行規制や安全性含め様々な課題が存在しておりますが、米国や欧州を中心に運航開始・拡大に向け進んでいます。具体的には、米国では、ロサンゼルス五輪が開催される2028年に向けてFAA(連邦航空局)が空飛ぶクルマの運航拡大計画を発表しております。(注5) また、英国、アラブ首長国連邦、サウジアラビアなどを始め、多くの国が運航の実現に向けた計画を打ち出しています。
⑤ 空飛ぶクルマの運航管理システム開発に着手
ドローン向けのUTMと密接に関わりがあり当社が注力している領域が、欧州や米国、中東、アジアなどの国外をターゲットとした空飛ぶクルマ向けのUTM開発となります。既存のドローン向けのUTMは、機能的に空飛ぶクルマの飛行を完全にサポートできる仕様にはなっておらず、空飛ぶクルマ向けの運航管理システムは、より多様で複雑なものに成長すると考えています。
当社グループは、空飛ぶクルマ向けの運航管理技術を備えたプラットフォームの開発を通じて、空飛ぶクルマの産業拡大や社会実装に貢献していくとともに、グローバルにおいて持続可能で安全なエコシステムとなる空のインフラの構築を目指していきます。
(注5)参考:https://www.faa.gov/sites/faa.gov/files/AAM-I28-Implementation-Plan.pdf
(3) 経営戦略
上述した市場環境を踏まえ、当社グループではドローンソリューションセグメントと運航管理セグメントの2つのセグメントを通じて、ドローンソリューションによる産業課題の解決と、UTMの社会実装によるドローンや空飛ぶクルマが飛び交う低空域経済圏の構築を中長期的な事業構想としております。
低空域経済圏を構築し、エアモビリティ領域でのプラットフォーマーとしての立ち位置を確立するため、各セグメントにおいて以下の通り事業に取り組みます。
① ドローンソリューションセグメントについて
測量事業においては、サービス、ソフトウェアによる継続的な取引と顧客数の増加を背景に安定的なキャッシュ・フローを獲得しており、既に収益化している領域と認識しています。サウジアラビア等の新興国での事業立ち上げを通じ、中長期的な成長を維持いたします。
点検事業においては、石油タンク等における業界大手企業との継続的な取引をベースとしながら、FPSO案件の獲得、点検業務に特化したハードウェアの販売等を通じて新規顧客を獲得することを目指します。特に2024年に発売を発表した自社開発ハードウェア「Terra Xross 1」は市場からの引き合いが極めて強く、今後数年間の主要な成長ドライバーとなることを見込んでおります。
農業事業:2023年の事業譲受により参入いたしました。足元ではインドネシア子会社における火災事故の影響を慎重に見極めつつ、事業継続を図る方針です。
② 運航管理セグメントについて
運航管理セグメントでは、障壁の高い黎明期から事業に参入することで現時点でも大きなプレゼンスを得ており、上述したU-Space規制に準拠したUTMの提供地域の拡大を見込んでいます。欧州で採用された基準がカナダとサウジアラビアのANSPで採用されている背景も鑑み、特に欧州や中東への拡大を見込んでおります。
また、ドローン市場の拡大によってドローンの飛行回数増加が期待されており、飛行回数に応じた従量課金収益も増加していることが考えられます。市場の拡大と提供地域の拡大を背景に、中長期的には加速度的な売上伸長を想定しております。
③ 空飛ぶクルマ事業への拡大について
当社グループは、欧州や米州、中東、アジアなどの国外をターゲットとした空飛ぶクルマ向け運航管理システムの開発に着手することを2024年4月に発表いたしました。
UTMの実装・運用実績が豊富な企業として、その実績を基に複数社が手を組んで空飛ぶクルマ向け運航管理システムの開発を手掛けるのは当社が認識する限り世界初であり、グローバルにおいて持続可能で安全なエコシステムとなる空のインフラの構築を目指し、2030年以降には空飛ぶクルマの航空管制システムの収益をアップサイドとして見込んでいます。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、上記「(3) 経営戦略」に記載の経営戦略のもと、成長性及びキャッシュ・フロー創出を把握するために、売上高、営業利益及び調整後営業利益(注)を重要な経営指標と位置付け、各経営課題に取り組んでおります。また、営業利益及び当期純利益については、外部環境変化に対して経営をコントロールするための指標と位置付けるとともに、中長期的な拡大を目指しております。
(注)調整後営業利益
財務会計上の営業利益(GAAP、日本基準)に国内UTM事業に係る補助金収入(営業外収入)を加算したものであり、当グループの経営成績を理解する上で有用な情報と判断しております。国内UTM事業は、今後の本格的な事業立ち上げに向けて開発費が発生している状況にあり、当面は補助金を含めた収益管理の実施が適切であると考えております。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
中長期的な経営戦略として、売上・利益の拡大を実現するために、重要課題である以下の項目に取組んでまいります。
① M&Aを活用した積極的な事業推進
当社グループの持続的な業容拡大のために、自立成長だけではなくM&Aによる成長は重要な課題であると考えて
おります。当社は、サービス開始以降、世界各国のドローンに関わるサービス、技術を有する企業を買収し、ノ
ウハウや情報、人脈などを獲得しながら事業拡大してまいりました。現在は測量、点検、農業、運航管理領域を
軸に日本から世界に向けて事業展開しておりますが、ドローンに関わる領域だけでなく、中長期的に産業革命に
繋がり企業価値の向上を目指せる他企業との協業、M&A等多様な戦略を用いて積極的に推進してまいります。ま
た、M&Aに関しては、競合企業を中心にソーシングし案件が具体化した際、デュー・デリジェンス、PMI(M&A後の
統合行為)を重点的に対応しながら着実に成果に結びつくよう取り組んでまいります。段階出資によってリスク
をミニマイズするとともに、ソリューション×地域の総合的な視点で有望なM&Aターゲットを選定し、企業間の技
術シナジー、他地域へのソリューション展開の円滑化など「テラ群戦略」を展開してまいります。
② 優秀な人財の確保・育成
当社グループは、今後も事業領域を広げつつ、各事業の成長を目指していく上で、多様なバックグラウンドを
持つ優秀な人財を採用し続けることが不可欠であると考えております。採用においては優れた専門性のみなら
ず、当社グループの行動指針である「Terra Way」を体現できる人財が組織に大切であると考えており、役職員全
員が感謝の気持ちを忘れず、謙虚で常に学び続ける素養があるかなど、人間性を重視した人財採用を行っており
ます。それらを持ち合わせた優秀な人財を確保するために、人事考課制度の整備・運用及び採用活動の多様化に
努め、当社グループの成長速度に見合った、継続的な採用活動と研修活動を行ってまいります。
③ 内部管理体制の強化
当社グループは国内連結子会社2社及び海外連結子会社8社、海外持分法適用会社1社により構成されたグル
ープ企業体制であります。持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため、経営の公正性・透明性を確保すると
ともに取締役会及び監査役会による内部統制の強化並びにコーポレートガバナンス・コードの基本原則に沿った
各種施策の実施、取締役会の実効性評価・分析・改善に継続的に取り組んでおります。様々なリスクをコントロ
ールするための内部管理体制の強化を行うとともに、今後も事業運営上のリスク管理や定期的な内部監査の実施
によるコンプライアンス体制の強化、監査役会による監査等を基軸とするコーポレート・ガバナンス機能の充実
等を図ってまいります。
④ 収益性の向上
当連結会計年度の当社グループの売上高は50%成長(前年比)しておりますが、2か年共に当期純損失を計上しております。主な要因は、先行的な体制拡大による販管費増、赤字事業の農業・UTMの通年化が影響し赤字となっており、各事業の成長により今後の黒字化を目指してまいります。
⑤ グローバルプラットフォーマーとしてのリスク
当社グループは、ドローンを通じた低空域経済圏のグローバルプラットフォーマーの実現を目指しており、現在においても海外連結子会社及び海外持分法適用会社を有しております。国内のみでなく国外においてビジネ
スを展開することで、地政学リスクや為替リスク等、様々な潜在的リスクを抱えております。リスクのヘッジ
手段として、1エリアに子会社を集中させないことによる利益の分散や、段階的なM&Aの実施を行うことなどが
挙げられます。