訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2024/11/19 15:30
【資料】
PDFをみる
【項目】
151項目
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
第5期連結会計年度(自 2022年9月1日 至 2023年8月31日)
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症が2023年5月8日付で季節性インフルエンザなどと同じ「5類感染症」に移行し、経済社会活動の正常化が進行しました。景気の先行きとしては、雇用・所得環境が改善する中で、各種政策の効果もあり、緩やかな回復が期待されます。他方、世界的な金融引き締めや中国経済の先行き懸念など海外経済の下振れが景気を下押しするリスクもあり、物価上昇や金融資本市場の変動などと併せて注視していく必要があります。
当社グループの事業ドメインであるCRE(Corporate Real Estate=企業不動産)市場は、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」に記載のとおり、民間企業が保有する不動産総額は約524兆円あり、そのうち当社グループの主要顧客とする上場企業が保有する不動産総額は128兆円、一定規模以上の固定資産を有する非上場企業が保有する不動産総額は約49兆円、並びに、J-REITが保有する不動産総額は約23兆円と膨大なストックを有しております。本市場は、急激な円安や物価高などの外部環境の変化などに起因する企業業績の影響なども受ける市場であり、また、第5期連結会計年度において、東京証券取引所により株価純資産倍率(PBR)が低迷している企業に対して改善に向けた取組みや進捗状況の開示を求めるなどの動きから、今後も企業のCRE活動は活発化していき、企業による国内回帰を含むサプライチェーンの見直しや資本効率向上を意識した保有資産の活用方針の見直しなど、市場として更に進展していくものと考えております。
このような事業環境のもと、当社グループは「全ての企業不動産へのソリューションを通じて、日本の経済・産業に貢献する。」の企業理念のもと、膨大なCREの市場に対し、AIを活用した不動産テックツールを自社にて開発・活用し、効率的かつ収益性の高いビジネスを展開してまいりました。
当連結会計年度における各サービス区分の概要は以下のとおりです。
CREソリューションにおいては、当社グループのビジネスモデルであるAIを活用した不動産テックツールと長年のノウハウを結集したCRE戦略提案の結果、土地有効活用案件、拠点再編・新設案件やオフバランス案件に対して、アドバイザリーからファンド組成まで幅広いソリューションを提供してまいりました。
2023年3月には、当社が企業のサプライチェーン見直しニーズを捉え、当社100%出資で設立した各務原プロパティ株式会社において事業会社が保有する工場建屋を取得し、今後安定した売上計上が可能となる賃貸事業の運用を開始しました。また、新たに事業会社や資産運用会社との間でCRE戦略のアドバイザリー業務、物流施設の開発マネジメントに関する業務を受注する他、一般事業法人に対するCRE提案を通じた事業用不動産の売買取引など、幅広く事業活動を進めてきました。
不動産テックにおいては、「CCReB AI」における非上場企業の分析機能などの付加価値のある機能の追加、「CCReB CREMa」に関する新たなサブスクリプションサービスのローンチと販売開始に向けた取組みなど、第5期連結会計年度においても売上が堅調に推移し、今後の事業拡大に向けて販売拡大の取組みを進めていきます。
これらの結果、第5期連結会計年度の当社グループの経営成績は、以下のとおりとなりました。
売上高703,605千円(前連結会計年度比36.4%増)
営業利益233,147千円(前連結会計年度比59.6%増)
経常利益234,638千円(前連結会計年度比59.5%増)
親会社株主に帰属する当期純利益163,356千円(前連結会計年度比65.1%増)

また、売上高のうちサービス区分ごとの売上は以下のとおりとなります。
CREソリューション567,402千円(前連結会計年度比44.3%増)
不動産テック136,203千円(前連結会計年度比11.0%増)


第6期第3四半期連結累計期間(自 2023年9月1日 至 2024年5月31日)
第6期第3四半期連結累計期間(2023年9月1日から2024年5月31日まで)におけるわが国経済は、一部に足踏みが見られつつも、企業収益や雇用情勢を中心として緩やかな回復を継続しました。また、地政学的リスクによる原材料価格の高騰や円安による輸入物価の値上がりなどに伴う消費者物価の上昇、世界的な金融引き締めの動きなど、先行きの景気動向には不透明感が存在しております。
当社グループとしては、この膨大な市場に対し、長年のCREに関する経験、ノウハウ及び蓄積したデータを基に、AIを活用したテックツールを自社にて開発・活用し、あらゆる業務フローやソリューション手法のDX化を推進することで、効率的かつ収益性の高いビジネスを展開しております。
このような事業環境下において、第6期第3四半期連結累計期間における売上高は1,050,290千円、営業利益は430,677千円、経常利益は429,332千円、親会社株主に帰属する四半期純利益は283,542千円となりました。
② 財政状態の状況
第5期連結会計年度(自 2022年9月1日 至 2023年8月31日)
当連結会計年度末における総資産は1,010,252千円となり、前連結会計年度末比で351,940千円の増加となりました。これは、堅調な業績により現金及び預金が210,368千円、CREファンドを新規に組成したことにより営業投資有価証券が50,000千円、新たに設立された連結子会社である各務原プロパティ株式会社(以下「各務原プロパティ」という。)において賃貸不動産を取得したことを主因として有形固定資産が全体で43,979千円、それぞれ増加したことなどによるものであります。
負債は294,016千円となり、前連結会計年度末比で209,364千円の増加となりました。これは、当社において取引量の増加により運転資金ニーズが高まったことにより短期借入金が40,000千円、当社における経費の増加や各務原プロパティにおける賃貸不動産に係る関連費用等の計上により未払金が54,161千円、各務原プロパティが賃貸事業を開始したことを主因として契約負債が70,493千円、堅調な業績に伴い支払うべき税額が増加したことにより未払法人税等が57,302千円、それぞれ増加したことなどによるものであります。
純資産は716,235千円となり、前連結会計年度末比で142,576千円の増加となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上163,356千円、配当金の支払額27,280千円などによるものであります。
第6期第3四半期連結累計期間(自 2023年9月1日 至 2024年5月31日)
当第3四半期連結会計期間末における総資産は1,485,128千円となり、前連結会計年度末比で474,876千円の増加となりました。これは、顧客のCREニーズを捉え販売目的での不動産を取得したことで、販売用不動産が715,644千円増加したことや、安定的な収益獲得を目的として当社において賃貸用不動産を取得したことを主因として有形固定資産が全体で153,609千円増加した一方で、上述の販売用不動産や賃貸用不動産の取得などを主因として資金支出が増加したことで、現金及び預金が382,594千円減少したことや、前期に組成したCREファンドへの出資金回収により営業投資有価証券が49,000千円減少したことなどによるものであります。
負債は517,300千円となり、前連結会計年度末比で223,283千円の増加となりました。これは、販売用不動産取得のために借入れによる資金調達を行い短期借入金が170,000千円増加したこと、堅調な業績に伴い支払うべき法人税等の見込額の増加により未払法人税等が45,317千円増加したことなどによるものであります。
純資産は967,828千円となり、前連結会計年度末比で251,592千円の増加となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上283,542千円、配当金の支払額34,200千円などによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
第5期連結会計年度(自 2022年9月1日 至 2023年8月31日)
2023年8月期におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ210,368千円増加し、617,700千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは278,707千円の収入(前連結会計年度は22,622千円の支出)となりました。
これは主な増加要因として、税金等調整前当期純利益の計上234,638千円(前年同期比87,574千円増加)、契約負債の増加額70,493千円(前年同期は契約負債の減少額1,631千円)及び未払金の増加額55,309千円(前年同期は未払金の減少額20,172千円)がある一方で、減少要因として営業投資有価証券の増加額50,000千円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは87,558千円の支出(前連結会計年度は71,117千円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による50,469千円の支出(前年同期は60,234千円の支出)、無形固定資産の取得による14,686千円の支出(前年同期は5,926千円の支出)及び敷金の差入による21,477千円の支出があることなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは19,220千円の収入(前連結会計年度は163,631千円の収入)となりました。主な増加要因は、短期借入金の増加による40,000千円の収入(前年同期は10,000千円の収入)がある一方で、減少要因として配当金の支払による27,280千円の支出(前年同期は18,600千円の支出)があることなどによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社は生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b 受注実績
当社は受注生産形態をとらないため、該当事項はありません。
c 販売実績
当連結会計年度及び第6期第3四半期連結累計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第5期連結会計年度第6期第3四半期
連結累計期間
(自 2022年9月1日(自 2023年9月1日
至 2023年8月31日)至 2024年5月31日)
販売高(千円)前期比(%)販売高(千円)
CREソリューション事業703,605136.41,050,290
合計703,605136.41,050,290

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先第4期連結会計年度第5期連結会計年度第6期第3四半期
連結累計期間
(自 2021年9月1日(自 2022年9月1日(自 2023年9月1日
至 2022年8月31日)至 2023年8月31日)至 2024年5月31日)
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
合同会社CTF1号175,54334.0----
地主株式会社55,59310.86,0600.95,8050.6
東急リバブル株式会社11,8982.3362,94551.69,8400.9
天龍ホールディングス
株式会社
--78,18511.1131,37612.5
エムエル・エステート
株式会社
6,0001.214,5072.1388,25437.0


(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
また、当社グループはCREソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第 5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの主要サービスは、不動産テックを活用することで、CRE戦略に関する効率的かつ有効な提案、案件成約に至るまでの業務工数の大幅な低減を図り、その結果、一定の高い営業利益率水準を維持することができるものであるため、売上高及び営業利益率を指標として重視しております。当連結会計年度における売上高は、当社のビジネスモデルであるAIを活用した不動産テックツールと長年のノウハウを結集したCRE戦略提案の結果、土地有効活用案件、拠点再編・新設案件やオフバランス案件に対して、アドバイザリーからファンド組成まで幅広いソリューションを提供してきました。
第5期連結会計年度(自 2022年9月1日 至 2023年8月31日)
(売上高)
第5期連結会計年度における売上高は 703,605千円(前年同期は515,793千円)となりました。
なお、CREソリューション事業におけるサービスごとの売上高は以下のとおりとなります。
CREアドバイザリー54,963千円
CREファンド組成29,958千円
プロジェクトマネジメント23,309千円
バランスシートを活用した不動産投資350,000千円
バランスシートを活用した不動産賃貸85,912千円
不動産仲介23,257千円
不動産テック136,203千円

(売上原価及び売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は132,325千円(前年同期は76,533千円)となりました。これは不動産テックサービスの機能追加などの開発、各務原工場取得後に発生した修繕、諸費用等の支払いが発生したことによります。この結果、売上総利益は571,280千円(前年同期は439,259千円)となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は338,133千円(前年同期は293,171千円)となりました。これは売上高及び従業員数の増加に応じて採用費用、業務委託費等が増加したことによります。
この結果、営業利益は233,147千円(前年同期は146,088千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は1,632千円(前年同期は1,346千円)となりました。また、営業外費用は140千円(前年同期は370千円)となりました。この結果、経常利益は234,638千円(前年同期は147,064千円)となりました。
第6期第3四半期連結累計期間(自 2023年9月1日 至 2024年5月31日)
(売上高)
当第3四半期連結累計期間における売上高は1,050,290千円となりました。
なお、CREソリューション事業におけるサービスごとの売上高は以下のとおりとなります。
CREアドバイザリー75,347千円
CREファンド組成45,594千円
プロジェクトマネジメント50,950千円
バランスシートを活用した不動産投資380,205千円
バランスシートを活用した不動産賃貸180,539千円
不動産仲介202,640千円
不動産テック115,012千円

(売上原価及び売上総利益)
当第3四半期連結累計期間における売上原価は326,457千円となりました。これはバランスシートを活用した不動産投資における不動産売却に際して発生した売却原価、保有不動産に関する支払賃料、諸費用等の支払いが発生したことによります。この結果、売上総利益は723,833千円となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
当第3四半期連結累計期間における販売費及び一般管理費は293,155千円となりました。これは堅調な売上の増加に伴う業務量の増加等により、人件費や業務委託費等が増加したことによります。
この結果、営業利益は430,677千円となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
当第3四半期連結累計期間における営業外収益は1,161千円となりました。また、営業外費用は2,507千円となりました。この結果、経常利益は429,332千円となりました。
なお、財政状態の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの主な資金需要は販売用不動産の仕入、賃貸用不動産の購入及び不動産テックシステムの開発費用並びに人件費等であります。運転資金の調達は自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。本届出書提出時点において、安定的かつ機動的に運転資金を確保することを目的として、取引金融機関と当座貸越契約を締結しております。主として、販売用不動産の仕入や賃貸用不動産の購入時には多額の資金を要するため、それらの事象が生じた際には投資金額、手元資金、資本コスト等を総合的に考慮して最適な手段により調達することとしております。
なお、キャッシュ・フローの状況・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、「売上高」、「営業利益率」、マッチングシステムの「ユーザー数」及び「情報登録数」をKPIとして設定しております。
主な経営指標は以下のとおりであります。
2023年9月からは月額料金型のサブスクリプションサービスである「CCReB MB(ククレブマッチングボックス)」の提供を開始し、各種機能を追加したプランを展開したことにより、ユーザー数及び情報登録数が増加(注)1.しております。今後も、案件組成のドライバーであるマッチングシステムのユーザー数、情報登録数の拡大を目指し、当社事業の拡大につなげていくことで事業を推進してまいります。
2022年8月期
(前連結会計年度実績)
2023年8月期
(当連結会計年度実績)
前年同期比
売上高515,793千円703,605千円136.4%
営業利益率28.3%33.1%+4.8pt
ユーザー数64151235.9%
情報登録数2,7752,644(注)2.95.3%

(注)1.2024年5月末日時点におけるユーザー数は311人、情報登録数は5,276件となります。
2.情報登録から2年経過した物件及びニーズはカウントから対象外としているため、2022年8月期から2023年8月期にかけて減少しておりますが、情報登録数は拡大傾向にあります。