有価証券報告書-第6期(2023/09/01-2024/08/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症流行の社会的抑制が緩和されたことで個人消 費が回復し、またインバウンド需要の回復とあわせて持ち直しの動きが見られました。しかしながら、ウクライナ や中東情勢等の地政学的リスク及び各国の金融政策の変更等により、資源・エネルギー価格の高騰、円安の進行等が国内経済に及ぼす影響が懸念され、先行きの不透明な状況が続いております。
当社グループの事業ドメインであるCRE(Corporate Real Estate=企業不動産)市場は、民間企業が保有する不動産総額は約524兆円(注1)、そのうち当社の主要顧客とする上場企業が保有する不動産総額は約128兆円(注2)、一定規模以上の固定資産(20億円以上)を有する非上場企業が保有する不動産総額は約49兆円(注3)、Jリートが保有する不動産総額は約23兆円(注4)保有しているとされ、膨大なストックが存在するとともに、所有する企業においては経営状況や財務状況等の様々な要因から所有不動産に関する多様なニーズを有しております。
実際に、一般財団法人日本不動産研究所が実施したCRE戦略の必要性に対するアンケート調査(2010年及び2023年実施(注5))によると、2010年時点で調査対象となった企業のうちCRE戦略の必要性を感じていると回答した法人は約52%であったのに対し、2023年時点においては約88%もの法人がCRE戦略の必要性を感じていると回答し、企業経営におけるCRE戦略の重要性は年々増加している状況であると考えております。
また、2023年3月に株式会社東京証券取引所上場部より「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願いについて」が公表されました。これを受けて、資本効率に課題を持つ上場企業、特にPBRが1倍を割れている企業を中心にその改善策の検討や実行が必要となっている状況です。バランスシートに占める割合の大きい不動産に関してもその活用方法や保有方針の見直しが行われることが予想され、すでにCRE戦略を盛り込んだ対策案の開示や具体的な施策を実行する企業も出てきております。今後も企業におけるCRE活動は活発化していき、企業による国内回帰を含むサプライチェーンの見直しや資本効率向上を意識した保有資産の活用方針の見直しなど、市場として更に進展していく可能性があり、資本効率向上に資するCRE戦略ニーズは今後ますます高まっていくと当社では考えております。
このような事業環境のもと、当社は「全ての企業不動産へのソリューションを通じて、日本の経済・産業に貢献する。」との企業理念のもと、膨大なCREの市場に対し、AIを活用した不動産テックツールを自社にて開発・活用し、効率的かつ収益性の高いビジネスを展開してまいりました。
当連結会計年度におけるCREソリューションビジネス、不動産テックビジネスの各ビジネス区分の概要は以下のとおりです。
(CREソリューションビジネス)
CREソリューションビジネスにおいては、有価証券報告書や中期経営計画書等の開示資料を独自のAIエンジンが自動的に分析し、企業の売却動向を把握する不動産テックシステムである「CCReB AI(ククレブエーアイ)」、不動産テックシステムと連携し生成AIを活用して分析や提案ポイントを示唆するチャットボット形式によるテックシステム「CCChat(ククチャット)」、事業用不動産に強みをもつマッチングシステム「CCReB CREMa(ククレブクレマ)」を活用し、不動産戦略に留まることなく、企業の企業経営・財務領域への影響を意識した当社ならではのCRE戦略の提案、アドバイザリーを行ってまいりました。
当連結会計年度においては、バランスシートを活用した不動産投資案件による売上、不動産仲介案件の受託、遊休地の活用等を含むプロジェクトマネジメント案件、さらには東証プライム上場企業への保有資産の有効活用に関するコンサルティング案件など、CREソリューションに関する多様なサービスを各企業に提供してまいりました。こうした背景から、CREソリューションビジネス関連の売り上げは前連結会計年度比97.5%増で推移しました。
今後ともバランスシートを活用した不動産投資などによる安定した賃貸事業収入の構築を進め、成長性と安定性の両立を目指す収益構造の構築を進めてまいります。
(不動産テックビジネス)
不動産テックビジネスにおいては、2023年9月に「CCReB CREMa」に関する新たなサブスクリプションサービスをローンチし、ユーザー数並びに案件登録数が大幅に増加しました。「CCReB AI」においては、2024年2月に株式会社トーラスが展開する不動産チェッカーの機能と相互連携することで、ユーザーによる不動産登記情報の取得機能を追加しました。こうした機能向上によりユーザー数は堅調に推移したことから、不動産テックビジネス関連の売上は前連結会計年度比9.3%増で推移しました。
今後とも不動産テックシステムにおけるユーザー利便性の向上に向けた企画、開発などを継続的に取り組んでいくことで、安定した収益の獲得を目指してまいります。
経費面においては、業容の拡大に伴う人材の採用等を進めたものの、当社独自の不動産テックシステムを活用した営業活動等、効率的な業務推進を行った結果、販売管理費の対前年増加率は26.7%となり、売上高の対前年増加率80.4%を大幅に下回る結果となっております。
以上、これらの取組みの結果、当連結会計年度の当社グループの経営成績は、以下のとおり、売上高及び全ての段階利益において過去最高となりました。
また、売上高のうちサービス区分ごとの売上は以下のとおりとなります。
(注)1.国土交通省「法人土地・建物基本調査(2018年)」により当社集計
2.2023年1月から同年12月に開示された全上場企業の有価証券報告書において「主要な設備の状況」に記載された、土地・建物及び構築物の帳簿価額の合計額を当社集計
3.2022年6月時点で、20億円以上の有形固定資産を保有する企業の土地・建物及び附属設備の合計額を当社で集計(データ提供元:株式会社東京商工リサーチ)
4.一般社団法人不動産証券化協会「ARES マンスリーレポート」(2024年7月)より
5.一般財団法人日本不動産研究所が、2010年及び2023年に、金融機関や一般企業に対して行ったアンケート調査(2023年10月11日付「CRE市場に係る成長性調査」)より抜粋(アンケート対象企業数:2010年(N)=67、2023年(N)=95)
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は1,511,615千円となり、前連結会計年度末比で501,363千円の増加となりました。これは、主に販売用不動産を取得したことにより販売用不動産が715,658千円増加したこと、土地、建物及び構築物の取得を主因として有形固定資産が全体で150,485千円増加したことなどによるものであります。
負債は538,852千円となり、前連結会計年度末比で244,835千円の増加となりました。これは、短期借入金が170,000千円、買掛金が42,083千円および未払法人税等が38,627千円それぞれ増加したことなどによるものであります。
純資産は972,763千円となり、前連結会計年度末比で256,527千円の増加となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上288,477千円、配当金の支払額34,200千円などによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金および現金同等物は、前連結会計年度末に比べ355,275千円減少し、262,425千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、299,354千円の支出(前連結会計年度は278,707千円の収入)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上428,770千円があった一方で、販売用不動産の増加額715,658千円、法人税等の支払額93,190千円があることなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、193,971千円の支出(前連結会計年度は87,558千円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出が183,035千円、敷金の差入による支出が33,018千円あることなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、138,050千円の収入(前連結会計年度は19,220千円の収入)となりました。主な要因は、配当金の支払による支出34,200千円がある一方で、短期借入金の増加による収入170,000千円があることなどによるものであります。
④ 生産、受注および販売の実績
a 生産実績
当社グループは生産活動をおこなっていないため、該当事項はありません。
b 受注実績
当社グループは受注生産形態をとらないため、該当事項はありません。
c 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
また、当社グループはCREソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。この財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第 5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
当社グループの主要サービスは、不動産テックを活用することで、CRE戦略に関する効率的かつ有効な提案、案件成約に至るまでの業務工数の大幅な低減を図り、その結果、一定の高い営業利益率水準を維持することができるものであるため、売上高および営業利益率を指標として重視しております。当連結会計年度における売上高は、当社のビジネスモデルであるAIを活用した不動産テックツールと長年のノウハウを結集したCRE戦略提案の結果、土地有効活用案件、拠点再編・新設案件やオフバランス案件に対して、アドバイザリーからファンド組成まで幅広いソリューションを提供してきました。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は 1,269,627千円(前年同期は703,605千円)となりました。
なお、CREソリューション事業におけるサービスごとの売上高は以下のとおりとなります。
(売上原価及び売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は420,184千円(前年同期は132,325千円)となりました。これはバランスシートを活用した不動産投資における不動産売却に際して発生した売却原価、保有不動産に関する支払賃料、諸費用等の支払いが発生したことによります。この結果、売上総利益は849,442千円(前年同期は571,280千円)となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、428,488千円(前年同期は338,133千円)となりました。これは堅調な売上の増加に伴う業務量の増加等により、人件費や業務委託費等が増加したことによります。
この結果、営業利益は420,954千円(前年同期は233,147千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用および経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は992千円(前年同期は1,632千円)となりました。また、営業外費用は5,537千円(前年同期は140千円)となりました。この結果、経常利益は416,408千円(前年同期は234,638千円)となりました。
なお、財政状態の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載の通りであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの主な資金需要は販売用不動産の仕入、賃貸用不動産の購入及び不動産テックシステムの開発費用並びに人件費等であります。運転資金の調達は自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。本報告書提出時点において、安定的かつ機動的に運転資金を確保することを目的として、取引金融機関と当座貸越契約を締結しております。主として、販売用不動産の仕入や賃貸用不動産の購入時には多額の資金を要するため、それらの事象が生じた際には投資金額、手元資金、資本コスト等を総合的に考慮して最適な手段により調達することとしております。
なお、キャッシュ・フローの状況・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
④ 経営戦略の現状と見通し
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境および対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症流行の社会的抑制が緩和されたことで個人消 費が回復し、またインバウンド需要の回復とあわせて持ち直しの動きが見られました。しかしながら、ウクライナ や中東情勢等の地政学的リスク及び各国の金融政策の変更等により、資源・エネルギー価格の高騰、円安の進行等が国内経済に及ぼす影響が懸念され、先行きの不透明な状況が続いております。
当社グループの事業ドメインであるCRE(Corporate Real Estate=企業不動産)市場は、民間企業が保有する不動産総額は約524兆円(注1)、そのうち当社の主要顧客とする上場企業が保有する不動産総額は約128兆円(注2)、一定規模以上の固定資産(20億円以上)を有する非上場企業が保有する不動産総額は約49兆円(注3)、Jリートが保有する不動産総額は約23兆円(注4)保有しているとされ、膨大なストックが存在するとともに、所有する企業においては経営状況や財務状況等の様々な要因から所有不動産に関する多様なニーズを有しております。
実際に、一般財団法人日本不動産研究所が実施したCRE戦略の必要性に対するアンケート調査(2010年及び2023年実施(注5))によると、2010年時点で調査対象となった企業のうちCRE戦略の必要性を感じていると回答した法人は約52%であったのに対し、2023年時点においては約88%もの法人がCRE戦略の必要性を感じていると回答し、企業経営におけるCRE戦略の重要性は年々増加している状況であると考えております。
また、2023年3月に株式会社東京証券取引所上場部より「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願いについて」が公表されました。これを受けて、資本効率に課題を持つ上場企業、特にPBRが1倍を割れている企業を中心にその改善策の検討や実行が必要となっている状況です。バランスシートに占める割合の大きい不動産に関してもその活用方法や保有方針の見直しが行われることが予想され、すでにCRE戦略を盛り込んだ対策案の開示や具体的な施策を実行する企業も出てきております。今後も企業におけるCRE活動は活発化していき、企業による国内回帰を含むサプライチェーンの見直しや資本効率向上を意識した保有資産の活用方針の見直しなど、市場として更に進展していく可能性があり、資本効率向上に資するCRE戦略ニーズは今後ますます高まっていくと当社では考えております。
このような事業環境のもと、当社は「全ての企業不動産へのソリューションを通じて、日本の経済・産業に貢献する。」との企業理念のもと、膨大なCREの市場に対し、AIを活用した不動産テックツールを自社にて開発・活用し、効率的かつ収益性の高いビジネスを展開してまいりました。
当連結会計年度におけるCREソリューションビジネス、不動産テックビジネスの各ビジネス区分の概要は以下のとおりです。
(CREソリューションビジネス)
CREソリューションビジネスにおいては、有価証券報告書や中期経営計画書等の開示資料を独自のAIエンジンが自動的に分析し、企業の売却動向を把握する不動産テックシステムである「CCReB AI(ククレブエーアイ)」、不動産テックシステムと連携し生成AIを活用して分析や提案ポイントを示唆するチャットボット形式によるテックシステム「CCChat(ククチャット)」、事業用不動産に強みをもつマッチングシステム「CCReB CREMa(ククレブクレマ)」を活用し、不動産戦略に留まることなく、企業の企業経営・財務領域への影響を意識した当社ならではのCRE戦略の提案、アドバイザリーを行ってまいりました。
当連結会計年度においては、バランスシートを活用した不動産投資案件による売上、不動産仲介案件の受託、遊休地の活用等を含むプロジェクトマネジメント案件、さらには東証プライム上場企業への保有資産の有効活用に関するコンサルティング案件など、CREソリューションに関する多様なサービスを各企業に提供してまいりました。こうした背景から、CREソリューションビジネス関連の売り上げは前連結会計年度比97.5%増で推移しました。
今後ともバランスシートを活用した不動産投資などによる安定した賃貸事業収入の構築を進め、成長性と安定性の両立を目指す収益構造の構築を進めてまいります。
(不動産テックビジネス)
不動産テックビジネスにおいては、2023年9月に「CCReB CREMa」に関する新たなサブスクリプションサービスをローンチし、ユーザー数並びに案件登録数が大幅に増加しました。「CCReB AI」においては、2024年2月に株式会社トーラスが展開する不動産チェッカーの機能と相互連携することで、ユーザーによる不動産登記情報の取得機能を追加しました。こうした機能向上によりユーザー数は堅調に推移したことから、不動産テックビジネス関連の売上は前連結会計年度比9.3%増で推移しました。
今後とも不動産テックシステムにおけるユーザー利便性の向上に向けた企画、開発などを継続的に取り組んでいくことで、安定した収益の獲得を目指してまいります。
経費面においては、業容の拡大に伴う人材の採用等を進めたものの、当社独自の不動産テックシステムを活用した営業活動等、効率的な業務推進を行った結果、販売管理費の対前年増加率は26.7%となり、売上高の対前年増加率80.4%を大幅に下回る結果となっております。
以上、これらの取組みの結果、当連結会計年度の当社グループの経営成績は、以下のとおり、売上高及び全ての段階利益において過去最高となりました。
売上高 | 1,269,627 | 千円 | (前連結会計年度比80.4%増) |
営業利益 | 420,954 | 千円 | (前連結会計年度比80.6%増) |
経常利益 | 416,408 | 千円 | (前連結会計年度比77.5%増) |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 288,477 | 千円 | (前連結会計年度比76.6%増) |
また、売上高のうちサービス区分ごとの売上は以下のとおりとなります。
CREソリューション | 1,120,781 | 千円 | (前連結会計年度比97.5%増) |
不動産テック | 148,846 | 千円 | (前連結会計年度比 9.3%増) |
(注)1.国土交通省「法人土地・建物基本調査(2018年)」により当社集計
2.2023年1月から同年12月に開示された全上場企業の有価証券報告書において「主要な設備の状況」に記載された、土地・建物及び構築物の帳簿価額の合計額を当社集計
3.2022年6月時点で、20億円以上の有形固定資産を保有する企業の土地・建物及び附属設備の合計額を当社で集計(データ提供元:株式会社東京商工リサーチ)
4.一般社団法人不動産証券化協会「ARES マンスリーレポート」(2024年7月)より
5.一般財団法人日本不動産研究所が、2010年及び2023年に、金融機関や一般企業に対して行ったアンケート調査(2023年10月11日付「CRE市場に係る成長性調査」)より抜粋(アンケート対象企業数:2010年(N)=67、2023年(N)=95)
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は1,511,615千円となり、前連結会計年度末比で501,363千円の増加となりました。これは、主に販売用不動産を取得したことにより販売用不動産が715,658千円増加したこと、土地、建物及び構築物の取得を主因として有形固定資産が全体で150,485千円増加したことなどによるものであります。
負債は538,852千円となり、前連結会計年度末比で244,835千円の増加となりました。これは、短期借入金が170,000千円、買掛金が42,083千円および未払法人税等が38,627千円それぞれ増加したことなどによるものであります。
純資産は972,763千円となり、前連結会計年度末比で256,527千円の増加となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上288,477千円、配当金の支払額34,200千円などによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金および現金同等物は、前連結会計年度末に比べ355,275千円減少し、262,425千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、299,354千円の支出(前連結会計年度は278,707千円の収入)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上428,770千円があった一方で、販売用不動産の増加額715,658千円、法人税等の支払額93,190千円があることなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、193,971千円の支出(前連結会計年度は87,558千円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出が183,035千円、敷金の差入による支出が33,018千円あることなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、138,050千円の収入(前連結会計年度は19,220千円の収入)となりました。主な要因は、配当金の支払による支出34,200千円がある一方で、短期借入金の増加による収入170,000千円があることなどによるものであります。
④ 生産、受注および販売の実績
a 生産実績
当社グループは生産活動をおこなっていないため、該当事項はありません。
b 受注実績
当社グループは受注生産形態をとらないため、該当事項はありません。
c 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前期比(%) |
CREソリューション事業 | 1,269,627 | 180.4 |
合計 | 1,269,627 | 180.4 |
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
(自 2022年9月1日 | (自 2023年9月1日 | |||
至 2023年8月31日) | 至 2024年8月31日) | |||
販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
エムエル・エステート 株式会社 | 14,507 | 2.1 | 399,644 | 31.5 |
天龍ホールディングス 株式会社 | 78,185 | 11.1 | 145,881 | 11.5 |
東急リバブル株式会社 | 362,945 | 51.6 | 13,260 | 1.0 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
また、当社グループはCREソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。この財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第 5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
当社グループの主要サービスは、不動産テックを活用することで、CRE戦略に関する効率的かつ有効な提案、案件成約に至るまでの業務工数の大幅な低減を図り、その結果、一定の高い営業利益率水準を維持することができるものであるため、売上高および営業利益率を指標として重視しております。当連結会計年度における売上高は、当社のビジネスモデルであるAIを活用した不動産テックツールと長年のノウハウを結集したCRE戦略提案の結果、土地有効活用案件、拠点再編・新設案件やオフバランス案件に対して、アドバイザリーからファンド組成まで幅広いソリューションを提供してきました。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は 1,269,627千円(前年同期は703,605千円)となりました。
なお、CREソリューション事業におけるサービスごとの売上高は以下のとおりとなります。
1 | バランスシートを活用した不動産投資 | 380,205千円 |
2 | 不動産仲介 | 281,263千円 |
3 | バランスシートを活用した不動産賃貸 | 268,982千円 |
4 | 不動産テック | 148,846千円 |
5 | CREアドバイザリー | 84,724千円 |
6 | CREファンド組成 | 54,654千円 |
7 | プロジェクトマネジメント | 50,950千円 |
(売上原価及び売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は420,184千円(前年同期は132,325千円)となりました。これはバランスシートを活用した不動産投資における不動産売却に際して発生した売却原価、保有不動産に関する支払賃料、諸費用等の支払いが発生したことによります。この結果、売上総利益は849,442千円(前年同期は571,280千円)となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、428,488千円(前年同期は338,133千円)となりました。これは堅調な売上の増加に伴う業務量の増加等により、人件費や業務委託費等が増加したことによります。
この結果、営業利益は420,954千円(前年同期は233,147千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用および経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は992千円(前年同期は1,632千円)となりました。また、営業外費用は5,537千円(前年同期は140千円)となりました。この結果、経常利益は416,408千円(前年同期は234,638千円)となりました。
なお、財政状態の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載の通りであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの主な資金需要は販売用不動産の仕入、賃貸用不動産の購入及び不動産テックシステムの開発費用並びに人件費等であります。運転資金の調達は自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。本報告書提出時点において、安定的かつ機動的に運転資金を確保することを目的として、取引金融機関と当座貸越契約を締結しております。主として、販売用不動産の仕入や賃貸用不動産の購入時には多額の資金を要するため、それらの事象が生じた際には投資金額、手元資金、資本コスト等を総合的に考慮して最適な手段により調達することとしております。
なお、キャッシュ・フローの状況・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
④ 経営戦略の現状と見通し
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境および対処すべき課題等」に記載のとおりであります。