有価証券届出書(新規公開時)
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、フェアネスを追求する企業として、インターネット上に存在する有益な情報を円滑に流通させることを使命としています。これにより、商品やビジネスの本質的な価値を正確に伝え、ユーザーが自信を持って意思決定できる「フェアな世界」の実現を目指しています。この理念のもと、当社はデジタルビジネスプラットフォーム事業を展開し、膨大・複雑なデータから必要な情報を的確に抽出する検索テクノロジーを基盤としたシステム開発やサービス提供、コンサルティングを通じて、より多くの顧客の課題解決に貢献することを経営方針としております。
当社の強みは、「検索技術」と「旅行業界」に特化した独自のポジショニングにあり、これを基盤に柔軟かつ迅速なサービス提供を可能にするハイブリッド型のビジネスモデルを確立しています。優秀な技術者の確保と育成を重視し、スピードと品質を両立する開発スタイルを追求することで、変化の激しい市場環境にも適応できる体制を構築しています。
また当社は、開発のたびに蓄積した技術資産を再活用し、各プロジェクトで得た知見や新機能をサービスに順次反映するリカーリング・ビジネスモデルを採用し、継続的な成長基盤を強化しています。この戦略により、当社は顧客に対して持続的な付加価値を提供しながら、さらにデータ活用が進む分野をターゲットとした新規市場の開拓と事業者間の取引効率の改善およびサービス拡充を通じて、持続的な競争優位の確立と企業価値の向上を実現しています。
当社のビジョンは、あらゆる情報をなめらかにつなぎ、顧客や世界中のユーザーとの間に「フェア」で持続可能な関係を築くことです。DX化が進むこれからの時代、データはますます膨大かつ複雑になり、企業や社会が直面する課題は不確実性が増し、ビジネスは高度化していきます。私たちはこれをチャンスと捉え、当社の強みであるデータ処理技術とノウハウを活かし、データ流通の摩擦を解消し、企業の成長を支援するとともに、ユーザーに付加価値の高いサービスを展開してまいります。これにより、当社は市場における競争力を維持し、持続的な成長を目指します。
(2) 経営環境
当社は、独自のデータ処理技術を基盤に、特にBtoC-EC(消費者向け電子商取引)およびBtoB-EC(企業間電子商取引)市場におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)推進をサポートしています。「検索技術」と「旅行業界」に注力し、専門性と競争優位性を高めながら、業界全体でのデジタル化支援に取り組んでいます。
当社の技術基盤「Spook」は、膨大かつ複雑なデータを高速・効率的に処理する能力に優れ、旅行業界において高い支持と信頼を得ています。一般的な検索エンジンでは対応が難しい、多様な条件やリアルタイムの在庫変動を瞬時に処理し、スムーズな検索体験を実現するSpookは、スムーズな検索体験を提供し、予約サイトのユーザー満足度を大幅に向上させています。これにより、Spookは旅行業界において不可欠な検索ソリューションとして広く活用され、業界に深く浸透しています。
近年、国内旅行市場はコロナ禍による低迷期から脱却し、2023年以降、急速な回復を遂げています。観光庁が発表した旅行・観光消費動向調査によれば、2023年の国内旅行者数は前年比で約19%増加し、延べ4億9,000万人を超えました。これは、日本の国内旅行市場がコロナ禍から順調に回復し、さらなる成長余地が大きいことを示しており、今後も政府の観光振興策やデジタル化の進展を背景に、観光需要が引き続き拡大することが予測されています。
このような市場環境のもと、当社のSaaS型サービス「webコネクト」は、旅行業界向けに複数チャネルでのデータ連携やダイナミックプライシング、会員制サービス対応といった機能を提供し、顧客企業の業務効率化とサービス拡充を支援しています。また、MaaS(Mobility as a Service)市場も拡大しており、異なる交通手段をシームレスに連携させるMaaSは、当社のwebコネクトが実現しようとする世界観にも重なります。これにより、旅行業界全体での利便性向上に寄与する中核的な役割を果たしています。
●出典:観光庁 旅行・観光消費動向調査「旅行・観光消費動向調査2023年年間値(確報)」(2024年4月30日発表)https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001740851.pdf
当社の競争優位性は、迅速なサービス提供と柔軟なカスタマイズ対応が両立するハイブリッドモデルにあります。一般的なSaaSモデルでは対応が難しい業界特有の要望にも応え、さらに独自の技術基盤「Spook」を活用することで、膨大かつ複雑なデータ検索を高速かつ効率的に行うことが可能です。この技術は旅行・観光業界をはじめ、専門商社やEC業界における高度なデータ処理が求められる環境でも高い評価を受けています。また、当社は急速に変化する市場での技術革新と成長を支えるため、優秀な技術者の確保と育成に注力しています。高度な技術力をもつ人材を活かし、スピードと品質を両立する開発スタイルを追求することで、複雑な顧客ニーズに即応する体制を構築しています。こうした技術者の確保と育成は、当社が提供する検索技術やサービスの高度化を支え、さらなる成長を促す重要な要素となっています。
(3) 経営戦略
当社の経営戦略は、「柔軟かつ高度なカスタマイズと迅速なサービス提供を両立させるハイブリッド性」を核に、従来のシステム開発とSaaSの中間領域に位置する独自のポジションを確立することにあります。とりわけ、当社の検索技術は旅行・観光業界でその強みを発揮しており、創業当初から「検索」を軸に、業界固有の課題や個別顧客のニーズに対応してまいりました。事業拡大の過程では、固定価格から変動価格への業界構造の転換や、基幹システム刷新ニーズに対応したサービス基盤整備を経て、現在はサービス拡大フェーズに差し掛かっています。
当社の中長期成長シナリオは、「既存顧客へのサービス拡充→新規参入企業へのサービス提供→業界のステークホルダーをつなぐマーケットプレイスの構築」 という一貫したストーリーに基づいており、次の3つのポイントを軸に構成されています。まず、大手旅行会社の基幹システム刷新ニーズに対応し、既存顧客へのサービス拡充を進めます。そこで得たノウハウを活用し、次に国内外の旅行関連事業者をターゲットとしてサービス提供を拡大し、新たな顧客層を獲得します。そして最終的には、旅行・観光素材提供者など業界のステークホルダーをつなぐマーケットプレイスを構築し、新たなビジネスモデルを確立することを目指します(尚、以下の図は事業の拡大イメージを示したものです)。

中長期の成長シナリオ イメージ
① 既存顧客へのサービス拡充「主要旅行業者の連携強化と新たな分野への拡大」
当社は現在、大手旅行会社10社中8社に対して、Spookの検索技術を活用したソリューション型サービスやSaaS型サービス「webコネクト」を提供しています。その実績に基づき、検索機能にとどまらず、基幹システム全体の刷新ニーズに応える形でサービス拡充を進めてまいります。当社のwebコネクトは、旅行業界の多様な販売チャネルに対応した総合的なEコマース機能を備え、効率化と柔軟な対応を可能にするプラットフォームです。今後は、検索機能に加え、複数チャネル間での在庫管理や予約管理といった基幹システム全体の機能強化に対応することで、さらなる成長機会を取り込んでいきます。これにより、収益基盤の安定化と新たな技術・知見の獲得を目指し、既存顧客との関係強化を図ってまいります。
なお、大手旅行会社とは、令和6年5月31日に観光庁が発表した「2023年度(令和5年度)主要旅行業者の旅行取扱状況年度総計」における旅行取扱額(売上高)の上位10社を指しており、当社はそのうち8社と現時点で取引実績を有しています。


② 新規参入企業へのサービス提供「観光DXを活用した新規参入企業支援と事業機会の拡大」
このようにして強化された既存顧客基盤から得たノウハウを活かし、次の段階として新規参入企業へのサポートを拡充し、さらなる市場成長を目指します。観光DXの推進や観光MaaS市場の拡大に伴い、国内旅行・観光市場への新規参入企業が増加すると予想されます。ここでの新規参入企業とは、既存の旅行業界外から新たに市場に参入し、デジタル技術やサービスを活用して旅行商品を提供しようとする企業、または新たなビジネスモデルを採用する企業を指します。当社は、webコネクトを通じて旅行商品をオンラインで販売するために必要な複雑なオペレーションを一貫してサポートするシステムを提供しています。このシステムを新規参入企業向けに加速度的に展開することで、新規参入企業が迅速に国内旅行市場や観光市場に進出できるよう支援します。
当社がターゲットとする新規参入企業は、強い顧客基盤と高い集客力を持つ国内外の旅行関連事業者です。具体的には、公共交通(鉄道・バス)や地方自治体、DMO(Destination Management Organizationの略、観光・自然・食といった地域資源を活用して観光戦略を推進する団体)といったMaaS事業者が含まれます。これらの企業は、地域の交通網や観光資源を効率的に活用し、観光市場における競争力を高めることを目指しています。また、福利厚生サービスを提供する企業や共済組合、クレジットカード会社などの会員制サービス事業者も対象としており、これらの企業は既存の顧客基盤を活用して、旅行や観光サービスを提供するビジネスモデルを展開する可能性を持っています。さらに、訪日客を対象とする欧米やアジア(特に台湾)の海外旅行会社への展開も視野に入れております。これらの企業はインバウンド需要の増加に対応し、日本国内の旅行・観光市場との接点を持つためのデジタルソリューションを必要としています。
これらの企業を支援することで、彼らがデジタル技術を活用し、新たな市場で成功を収めるためのサポートを行う計画です。また、国内旅行市場の景気回復やインバウンド需要の増加にも対応し、さらにはグローバルな市場機会を的確に捉えることで、当社の成長を一層加速させていきます。


③ データ流通のビジネスハブ「旅行・観光業界を支えるマーケットプレイスの構築」
膨大かつ複雑なデータから必要な情報を的確に抽出する検索テクノロジーを基盤に、当社はDX化が進む旅行・観光業界におけるデータ管理と流通の受け皿となるべく事業を展開しています。本書提出日現在、当社のwebコネクトは中堅旅行会社を中心に20社超に導入されており、これらの旅行会社を通じて接続されている旅行・観光施設の数は延べ1万2,000施設を超えています。まさに、旅行・観光業界を「コネクト」している状態と言えます。ここでの中堅旅行会社とは、旅行取扱額(売上高)が主要旅行会社(上位10社)に次ぐ規模の企業で、国内市場や特定の旅行分野において強みを持つ企業を指します。
これまで当社は、webコネクト導入企業(旅行会社=セラー)からの依頼に応じ、その企業が必要とする素材提供会社(サプライヤー)とのシステム接続を実現し、導入企業のオンラインサイトで取り扱う素材数の拡大に貢献してきました。この「1対n」の接続モデルにより、導入企業ごとに個別にサプライヤーとの連携を構築してきましたが、次のステップとして、当社は有力なセラー(旅行会社、OTA(Online Travel Agentの頭文字の略:インターネット上だけで取引を行う旅行会社)等)・サプライヤー(宿泊事業者、交通事業者、観光事業者等)・商社等と協業しながら、旅行・観光業界のステークホルダーを結びつけ、「n対n」のマーケットプレイス構築を目指していきます。これにより、セラーとサプライヤーの双方が、特定の取引関係に縛られず自由に連携できるプラットフォームを実現し、取引の多様化と拡大を促進します。さらに、当社を通じた旅行・観光素材やデータの事業者間連携・共有を推進し、業界にとって不可欠な「データ流通のビジネスハブ」としてのポジション確立を目指します。


中長期的な成長ステップを着実に進めることで、顧客の成長を支援し、当社自身も安定した収益基盤の確立と技術革新を重ねてまいります。また、商品やサービスの供給側と販売側の双方から収益を得るモデルを構築し、収益構造の強化を図っていきます。
当社のビジョンは、観光DXを通じて正確で有益な情報を提供し、企業とユーザーの間に公平で信頼できる関係を築くことです。「つなげれば、見える。」を旗印に、次の3つの目標に挑戦していきます。
● 業界をつなぐ
宿泊施設・交通機関・現地アクティビティといった「旅行・観光」を構成する要素をシームレスにつなぎ、ユーザーにとって利便性の高いシステムを提供します。
● 業界を支える
新規参入企業が直面するオペレーション面の課題をシステムでサポートし、旅行・観光業界の活性化を支援します。
● 業界をひろげる
複数顧客の共通課題に対応する汎用サービスや接続による利便性向上は、旅行・観光業界にとどまらず、他業界のDX推進にも展開していきます。
これらの目標を通じ、デジタル化が進む旅行・観光業界で中核的な存在としての地位を確立し、顧客および業界全体に持続的な価値を提供していきます。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は売上高、売上高営業利益率であり、これらの目標達成実現のための重要なKPIとして当社の成長ドライバーであるwebコネクトの顧客数を設定しております。
webコネクトの顧客数は各期に売上が計上された顧客を累計したものとなります。webコネクトの顧客数をKPIとして設定した背景としましては、当社における売上高をプロダクト別に比較した際、webコネクトが最も業績に与えるインパクトが大きいためとなります。
また、webコネクトは一般的な受託開発とは異なり、既存顧客の取引拡大(既存機能の継続的な改修・改善、新規機能の追加及び新規ビジネスへの展開等)による売上の増加が見込まれるため、新規取引社数ではなく「累計」を重要視しています。また、SaaS型サービスであるため顧客数の拡大が月額費の積み上げにつながることから、「金額」ではなく「顧客数」に重点を置いております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
前述の通り、当社は有力なセラー・サプライヤー・商社等と協業しながら、業界全体の取引効率化を実現し、業界にとって不可欠な「データ流通のビジネスハブ」となることを経営戦略としております。当社ではかかる戦略の完遂に向け、以下の課題に取り組んでまいります。
① サプライヤー及びセラーの取り込み拡大
データ流通のビジネスハブとして事業拡大を図るためには、サプライヤーとセラーの双方をバランスよく取り込むことが重要な課題であると認識しております。
当社では、各事業者の特性に応じた柔軟な価格設定を行い、開発規模やビジネスモデルに合わせた料金体系を設定しています。将来的には、従量課金型モデルを導入し、取引規模や利用頻度に応じた公平で持続可能な取引環境を提供する予定です。事業者ごとに負担しやすい料金を設定することで、さらなる取引拡大が期待されます。加えて、新規事業者の参入を促進する営業施策を強化し、サプライヤー及びセラーの取り込みを一層拡大していく方針です。

a 現状
当社は現在、大手旅行会社の基幹システム刷新に対応しつつ、観光DXの推進、観光MaaSの振興、訪日観光市場の拡大を視野に入れた提案を行っています。サービスの提供形態としては、初期開発費+月額費という料金体系を採用し、顧客の導入コストを抑えつつ、持続的な収益基盤を確立しています。また、新規事業者の取り込み拡大に向け、サプライヤーとセラーの両者を対象とした積極的な営業展開を行い、参入障壁を下げて市場全体の拡大を目指しています。
b 3カ年(25/2期~27/2期)のスコープ
今後3年間で、有力なセラー・サプライヤー・商社等と協業し、観光素材の供給側と販売側の双方から収益を得るビジネスモデルを確立します。商品販売額に応じた従量課金型のビジネスモデルを導入し、マーケットプレイスの流通量増加が収益に直結するビジネス基盤を構築します。
c 28/2期以降のスコープ
中長期的には、このビジネス基盤を旅行業界にとどまらず、EC(電子商取引)、製造業、流通業など他領域にも展開し、各業界間でのデータ連携を効率的に管理・処理する環境を提供します。これにより、リアルタイムの在庫管理や価格設定を可能にし、業界間の取引をより円滑に進めると同時に、業界をまたいだ新たなビジネス機会を創出します。さらなる事業者の取り込みを目指し、データ流通のビジネスハブとしての存在感を高めていきます。
② 「検索」を越えた事業領域の拡大
当社はこれまでの検索における成功体験を活かしながらも、新たな事業領域への展開に対応した当社ならではのプロダクト、サービスの実現が重要な課題であると認識しております。
具体的には、旅行・観光業界に向けたサブシステム(外部接続ゲートウェイ、素材登録(造成)、予約・販売管理、電子クーポン発行等)の拡充やプロダクトメニューの最適化による統合プラットフォームへの進化を志向しております。新たなプロダクト・サービス展開に対応した営業・開発・プロジェクトマネジメント手法の確立を図るとともに、幅広い顧客ニーズを充足する自社サービスやビジネスインフラの提供のため、他社との効果的な協業も視野に入れた事業開発能力の強化、システム開発や運用における自動化の推進等を実施して行く方針です。
③ 人材の確保と育成、競争原理が働く組織の組成
当社は今後の事業拡大を見据え、優秀な人材の確保、採用、育成が重要な課題であると認識しております。
当社では、開発スピードと品質の両立を目指し、優秀なエンジニアの確保と育成を重視しています。フロントエンド(UI/UX部分)からバックエンド(サーバーやデータベース)までシステム全体を一貫して担当できるフルスタックエンジニアが、顧客の多様なニーズに総合的な視点で対応できる体制を整えています。これにより、エンジニアは裁量を持ちながら、顧客との密接な連携を通じて成長し、会社全体の競争力を強化しています。
また、プロトタイプを軸にした開発手法を導入し、短期間で動作するソフトウェアを提供することで、顧客からのフィードバックを迅速に反映しています。これにより、開発の早期段階での修正や改良が可能となり、開発スピードと品質の向上に大きく貢献しています。このアプローチは、複雑な課題に対しても、迅速かつ的確なソリューションを提供するための重要な基盤となっています。
今後に向けては、引き続きスピードと品質を両立する開発スタイルを追求しつつ、急速に変化する市場での技術革新と成長を支えるため、専門性の高いエンジニア、当社が戦略的に拡大させることを目指すプロダクト群やビジネスインフラについての高度な知見を持った事業開発・営業系人材、及び外部パートナー企業と連携し規模の大きい開発案件をも推進しうるプロジェクト管理人材の採用を積極的に進める方針です。当社では専門性の高いエンジニア採用のため、社員の発案によるプログラミングイベントの開催や書籍の執筆等を行っています。
また、従前より新卒社員の採用を継続的かつ積極的に実施しており、社員による大学のイベントへの参加やインターンの受入れ等、優秀な学生の確保に向け全社一丸となって取り組んでおります。なお、新卒社員入社後は研修のみならず、OJTや本人の希望・適性に沿った配属やローテーションを行うことを通じ、ポテンシャルを効果的に発現させることを目指しております。
新たに採用したキャリア人材に対しては、充実した研修を実施するなど人材の育成に取り組んでおり、採用と並行して新入社員への研修・教育制度を整備することで優秀な人材の確保・育成に取り組んでいく方針です。更に競争原理が働く組織体制とすることで、社員同士の切磋琢磨を通じて社員の能力を高め、ひいては会社の収益力・成長力を高めることを目指しております。
④ 外部リソース・パートナーとの協業体制構築
創業当初は、当社の技術基盤「Spook」の強みを発揮できる検索領域をサービス提供における中核分野とし、それ以外の領域においては他社が開発したシステムとの連携を行うということが通例でした。例えば旅行分野において利用者が希望するスケジュールに基づき宿泊する施設や交通手段の選択、旅行代金の確定を行った(いわゆる「検索領域」)後の予約の処理や代金の決済に係るシステムの構築は顧客から他社に別の案件として発注され、当社の開発する検索領域のシステムとの連携が行われてきました。
しかしながら近年においては、特に旅行・観光業界において統合型サービスに対するニーズが高まってきており、自社サービス強化の観点からも、外部接続ゲートウェイ、素材登録(造成)、予約・決済管理等の工程に係るシステム開発も一括して当社が受注すること、並びにその受注を可能とする体制を強化することが重要な課題であると認識しております。そのためには外部パートナー企業との協業が必須であり、協業に際してはプロジェクト管理を通じ一体的に開発を行う体制の構築及び高度化に取り組んでいく方針です。当社はプロジェクト管理人材の採用強化を行うことと並行して、プロジェクト管理ノウハウの社内での蓄積、プロジェクト管理手法の継続的改善を行っていく方針です。
⑤ 内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化
当社事業が大きく変化していく現在及び今後において、ビジネスリスク最小化のための体制構築が不可欠と考えております。特に業務内容の見直しや基幹システムの改修を視野に入れた決算データ収集の体制強化、決算書類作成の効率化、専門知識を持つ人材の採用・活用、会計監査人・監査役・内部監査人と経営層間のコミュニケーション強化、ルール・仕組みの意図の啓蒙等を行っていきます。
⑥ さらなる成長を実現するための財務体質の強化
当社は、金融機関からの借入はなく、現時点での企業及び事業規模に対応するための充分な手許流動性を確保しており、本書提出日現在において対処すべき財務上の課題はありません。ただし、今後さらなる事業の成長を目指し、売上や業容を拡大させるにあたっては、人材の確保やインフラの拡充等にかかる投資を継続的に行う必要があり、証券市場へのアクセスによる資金調達によって資本の充実を図り、また事業の推進においては適時・適切に収支を管理することによってさらなる内部留保の確保と営業キャッシュ・フローの改善等を図ることにより、引き続き財務体質の強化を図ってまいります。
(1) 経営方針
当社は、フェアネスを追求する企業として、インターネット上に存在する有益な情報を円滑に流通させることを使命としています。これにより、商品やビジネスの本質的な価値を正確に伝え、ユーザーが自信を持って意思決定できる「フェアな世界」の実現を目指しています。この理念のもと、当社はデジタルビジネスプラットフォーム事業を展開し、膨大・複雑なデータから必要な情報を的確に抽出する検索テクノロジーを基盤としたシステム開発やサービス提供、コンサルティングを通じて、より多くの顧客の課題解決に貢献することを経営方針としております。
当社の強みは、「検索技術」と「旅行業界」に特化した独自のポジショニングにあり、これを基盤に柔軟かつ迅速なサービス提供を可能にするハイブリッド型のビジネスモデルを確立しています。優秀な技術者の確保と育成を重視し、スピードと品質を両立する開発スタイルを追求することで、変化の激しい市場環境にも適応できる体制を構築しています。
また当社は、開発のたびに蓄積した技術資産を再活用し、各プロジェクトで得た知見や新機能をサービスに順次反映するリカーリング・ビジネスモデルを採用し、継続的な成長基盤を強化しています。この戦略により、当社は顧客に対して持続的な付加価値を提供しながら、さらにデータ活用が進む分野をターゲットとした新規市場の開拓と事業者間の取引効率の改善およびサービス拡充を通じて、持続的な競争優位の確立と企業価値の向上を実現しています。
当社のビジョンは、あらゆる情報をなめらかにつなぎ、顧客や世界中のユーザーとの間に「フェア」で持続可能な関係を築くことです。DX化が進むこれからの時代、データはますます膨大かつ複雑になり、企業や社会が直面する課題は不確実性が増し、ビジネスは高度化していきます。私たちはこれをチャンスと捉え、当社の強みであるデータ処理技術とノウハウを活かし、データ流通の摩擦を解消し、企業の成長を支援するとともに、ユーザーに付加価値の高いサービスを展開してまいります。これにより、当社は市場における競争力を維持し、持続的な成長を目指します。
(2) 経営環境
当社は、独自のデータ処理技術を基盤に、特にBtoC-EC(消費者向け電子商取引)およびBtoB-EC(企業間電子商取引)市場におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)推進をサポートしています。「検索技術」と「旅行業界」に注力し、専門性と競争優位性を高めながら、業界全体でのデジタル化支援に取り組んでいます。
当社の技術基盤「Spook」は、膨大かつ複雑なデータを高速・効率的に処理する能力に優れ、旅行業界において高い支持と信頼を得ています。一般的な検索エンジンでは対応が難しい、多様な条件やリアルタイムの在庫変動を瞬時に処理し、スムーズな検索体験を実現するSpookは、スムーズな検索体験を提供し、予約サイトのユーザー満足度を大幅に向上させています。これにより、Spookは旅行業界において不可欠な検索ソリューションとして広く活用され、業界に深く浸透しています。
近年、国内旅行市場はコロナ禍による低迷期から脱却し、2023年以降、急速な回復を遂げています。観光庁が発表した旅行・観光消費動向調査によれば、2023年の国内旅行者数は前年比で約19%増加し、延べ4億9,000万人を超えました。これは、日本の国内旅行市場がコロナ禍から順調に回復し、さらなる成長余地が大きいことを示しており、今後も政府の観光振興策やデジタル化の進展を背景に、観光需要が引き続き拡大することが予測されています。
このような市場環境のもと、当社のSaaS型サービス「webコネクト」は、旅行業界向けに複数チャネルでのデータ連携やダイナミックプライシング、会員制サービス対応といった機能を提供し、顧客企業の業務効率化とサービス拡充を支援しています。また、MaaS(Mobility as a Service)市場も拡大しており、異なる交通手段をシームレスに連携させるMaaSは、当社のwebコネクトが実現しようとする世界観にも重なります。これにより、旅行業界全体での利便性向上に寄与する中核的な役割を果たしています。
●出典:観光庁 旅行・観光消費動向調査「旅行・観光消費動向調査2023年年間値(確報)」(2024年4月30日発表)https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001740851.pdf
当社の競争優位性は、迅速なサービス提供と柔軟なカスタマイズ対応が両立するハイブリッドモデルにあります。一般的なSaaSモデルでは対応が難しい業界特有の要望にも応え、さらに独自の技術基盤「Spook」を活用することで、膨大かつ複雑なデータ検索を高速かつ効率的に行うことが可能です。この技術は旅行・観光業界をはじめ、専門商社やEC業界における高度なデータ処理が求められる環境でも高い評価を受けています。また、当社は急速に変化する市場での技術革新と成長を支えるため、優秀な技術者の確保と育成に注力しています。高度な技術力をもつ人材を活かし、スピードと品質を両立する開発スタイルを追求することで、複雑な顧客ニーズに即応する体制を構築しています。こうした技術者の確保と育成は、当社が提供する検索技術やサービスの高度化を支え、さらなる成長を促す重要な要素となっています。
(3) 経営戦略
当社の経営戦略は、「柔軟かつ高度なカスタマイズと迅速なサービス提供を両立させるハイブリッド性」を核に、従来のシステム開発とSaaSの中間領域に位置する独自のポジションを確立することにあります。とりわけ、当社の検索技術は旅行・観光業界でその強みを発揮しており、創業当初から「検索」を軸に、業界固有の課題や個別顧客のニーズに対応してまいりました。事業拡大の過程では、固定価格から変動価格への業界構造の転換や、基幹システム刷新ニーズに対応したサービス基盤整備を経て、現在はサービス拡大フェーズに差し掛かっています。
当社の中長期成長シナリオは、「既存顧客へのサービス拡充→新規参入企業へのサービス提供→業界のステークホルダーをつなぐマーケットプレイスの構築」 という一貫したストーリーに基づいており、次の3つのポイントを軸に構成されています。まず、大手旅行会社の基幹システム刷新ニーズに対応し、既存顧客へのサービス拡充を進めます。そこで得たノウハウを活用し、次に国内外の旅行関連事業者をターゲットとしてサービス提供を拡大し、新たな顧客層を獲得します。そして最終的には、旅行・観光素材提供者など業界のステークホルダーをつなぐマーケットプレイスを構築し、新たなビジネスモデルを確立することを目指します(尚、以下の図は事業の拡大イメージを示したものです)。

中長期の成長シナリオ イメージ
① 既存顧客へのサービス拡充「主要旅行業者の連携強化と新たな分野への拡大」
当社は現在、大手旅行会社10社中8社に対して、Spookの検索技術を活用したソリューション型サービスやSaaS型サービス「webコネクト」を提供しています。その実績に基づき、検索機能にとどまらず、基幹システム全体の刷新ニーズに応える形でサービス拡充を進めてまいります。当社のwebコネクトは、旅行業界の多様な販売チャネルに対応した総合的なEコマース機能を備え、効率化と柔軟な対応を可能にするプラットフォームです。今後は、検索機能に加え、複数チャネル間での在庫管理や予約管理といった基幹システム全体の機能強化に対応することで、さらなる成長機会を取り込んでいきます。これにより、収益基盤の安定化と新たな技術・知見の獲得を目指し、既存顧客との関係強化を図ってまいります。
なお、大手旅行会社とは、令和6年5月31日に観光庁が発表した「2023年度(令和5年度)主要旅行業者の旅行取扱状況年度総計」における旅行取扱額(売上高)の上位10社を指しており、当社はそのうち8社と現時点で取引実績を有しています。


② 新規参入企業へのサービス提供「観光DXを活用した新規参入企業支援と事業機会の拡大」
このようにして強化された既存顧客基盤から得たノウハウを活かし、次の段階として新規参入企業へのサポートを拡充し、さらなる市場成長を目指します。観光DXの推進や観光MaaS市場の拡大に伴い、国内旅行・観光市場への新規参入企業が増加すると予想されます。ここでの新規参入企業とは、既存の旅行業界外から新たに市場に参入し、デジタル技術やサービスを活用して旅行商品を提供しようとする企業、または新たなビジネスモデルを採用する企業を指します。当社は、webコネクトを通じて旅行商品をオンラインで販売するために必要な複雑なオペレーションを一貫してサポートするシステムを提供しています。このシステムを新規参入企業向けに加速度的に展開することで、新規参入企業が迅速に国内旅行市場や観光市場に進出できるよう支援します。
当社がターゲットとする新規参入企業は、強い顧客基盤と高い集客力を持つ国内外の旅行関連事業者です。具体的には、公共交通(鉄道・バス)や地方自治体、DMO(Destination Management Organizationの略、観光・自然・食といった地域資源を活用して観光戦略を推進する団体)といったMaaS事業者が含まれます。これらの企業は、地域の交通網や観光資源を効率的に活用し、観光市場における競争力を高めることを目指しています。また、福利厚生サービスを提供する企業や共済組合、クレジットカード会社などの会員制サービス事業者も対象としており、これらの企業は既存の顧客基盤を活用して、旅行や観光サービスを提供するビジネスモデルを展開する可能性を持っています。さらに、訪日客を対象とする欧米やアジア(特に台湾)の海外旅行会社への展開も視野に入れております。これらの企業はインバウンド需要の増加に対応し、日本国内の旅行・観光市場との接点を持つためのデジタルソリューションを必要としています。
これらの企業を支援することで、彼らがデジタル技術を活用し、新たな市場で成功を収めるためのサポートを行う計画です。また、国内旅行市場の景気回復やインバウンド需要の増加にも対応し、さらにはグローバルな市場機会を的確に捉えることで、当社の成長を一層加速させていきます。


③ データ流通のビジネスハブ「旅行・観光業界を支えるマーケットプレイスの構築」
膨大かつ複雑なデータから必要な情報を的確に抽出する検索テクノロジーを基盤に、当社はDX化が進む旅行・観光業界におけるデータ管理と流通の受け皿となるべく事業を展開しています。本書提出日現在、当社のwebコネクトは中堅旅行会社を中心に20社超に導入されており、これらの旅行会社を通じて接続されている旅行・観光施設の数は延べ1万2,000施設を超えています。まさに、旅行・観光業界を「コネクト」している状態と言えます。ここでの中堅旅行会社とは、旅行取扱額(売上高)が主要旅行会社(上位10社)に次ぐ規模の企業で、国内市場や特定の旅行分野において強みを持つ企業を指します。
これまで当社は、webコネクト導入企業(旅行会社=セラー)からの依頼に応じ、その企業が必要とする素材提供会社(サプライヤー)とのシステム接続を実現し、導入企業のオンラインサイトで取り扱う素材数の拡大に貢献してきました。この「1対n」の接続モデルにより、導入企業ごとに個別にサプライヤーとの連携を構築してきましたが、次のステップとして、当社は有力なセラー(旅行会社、OTA(Online Travel Agentの頭文字の略:インターネット上だけで取引を行う旅行会社)等)・サプライヤー(宿泊事業者、交通事業者、観光事業者等)・商社等と協業しながら、旅行・観光業界のステークホルダーを結びつけ、「n対n」のマーケットプレイス構築を目指していきます。これにより、セラーとサプライヤーの双方が、特定の取引関係に縛られず自由に連携できるプラットフォームを実現し、取引の多様化と拡大を促進します。さらに、当社を通じた旅行・観光素材やデータの事業者間連携・共有を推進し、業界にとって不可欠な「データ流通のビジネスハブ」としてのポジション確立を目指します。


中長期的な成長ステップを着実に進めることで、顧客の成長を支援し、当社自身も安定した収益基盤の確立と技術革新を重ねてまいります。また、商品やサービスの供給側と販売側の双方から収益を得るモデルを構築し、収益構造の強化を図っていきます。
当社のビジョンは、観光DXを通じて正確で有益な情報を提供し、企業とユーザーの間に公平で信頼できる関係を築くことです。「つなげれば、見える。」を旗印に、次の3つの目標に挑戦していきます。
● 業界をつなぐ
宿泊施設・交通機関・現地アクティビティといった「旅行・観光」を構成する要素をシームレスにつなぎ、ユーザーにとって利便性の高いシステムを提供します。
● 業界を支える
新規参入企業が直面するオペレーション面の課題をシステムでサポートし、旅行・観光業界の活性化を支援します。
● 業界をひろげる
複数顧客の共通課題に対応する汎用サービスや接続による利便性向上は、旅行・観光業界にとどまらず、他業界のDX推進にも展開していきます。
これらの目標を通じ、デジタル化が進む旅行・観光業界で中核的な存在としての地位を確立し、顧客および業界全体に持続的な価値を提供していきます。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は売上高、売上高営業利益率であり、これらの目標達成実現のための重要なKPIとして当社の成長ドライバーであるwebコネクトの顧客数を設定しております。
webコネクトの顧客数は各期に売上が計上された顧客を累計したものとなります。webコネクトの顧客数をKPIとして設定した背景としましては、当社における売上高をプロダクト別に比較した際、webコネクトが最も業績に与えるインパクトが大きいためとなります。
また、webコネクトは一般的な受託開発とは異なり、既存顧客の取引拡大(既存機能の継続的な改修・改善、新規機能の追加及び新規ビジネスへの展開等)による売上の増加が見込まれるため、新規取引社数ではなく「累計」を重要視しています。また、SaaS型サービスであるため顧客数の拡大が月額費の積み上げにつながることから、「金額」ではなく「顧客数」に重点を置いております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
前述の通り、当社は有力なセラー・サプライヤー・商社等と協業しながら、業界全体の取引効率化を実現し、業界にとって不可欠な「データ流通のビジネスハブ」となることを経営戦略としております。当社ではかかる戦略の完遂に向け、以下の課題に取り組んでまいります。
① サプライヤー及びセラーの取り込み拡大
データ流通のビジネスハブとして事業拡大を図るためには、サプライヤーとセラーの双方をバランスよく取り込むことが重要な課題であると認識しております。
当社では、各事業者の特性に応じた柔軟な価格設定を行い、開発規模やビジネスモデルに合わせた料金体系を設定しています。将来的には、従量課金型モデルを導入し、取引規模や利用頻度に応じた公平で持続可能な取引環境を提供する予定です。事業者ごとに負担しやすい料金を設定することで、さらなる取引拡大が期待されます。加えて、新規事業者の参入を促進する営業施策を強化し、サプライヤー及びセラーの取り込みを一層拡大していく方針です。

a 現状
当社は現在、大手旅行会社の基幹システム刷新に対応しつつ、観光DXの推進、観光MaaSの振興、訪日観光市場の拡大を視野に入れた提案を行っています。サービスの提供形態としては、初期開発費+月額費という料金体系を採用し、顧客の導入コストを抑えつつ、持続的な収益基盤を確立しています。また、新規事業者の取り込み拡大に向け、サプライヤーとセラーの両者を対象とした積極的な営業展開を行い、参入障壁を下げて市場全体の拡大を目指しています。
b 3カ年(25/2期~27/2期)のスコープ
今後3年間で、有力なセラー・サプライヤー・商社等と協業し、観光素材の供給側と販売側の双方から収益を得るビジネスモデルを確立します。商品販売額に応じた従量課金型のビジネスモデルを導入し、マーケットプレイスの流通量増加が収益に直結するビジネス基盤を構築します。
c 28/2期以降のスコープ
中長期的には、このビジネス基盤を旅行業界にとどまらず、EC(電子商取引)、製造業、流通業など他領域にも展開し、各業界間でのデータ連携を効率的に管理・処理する環境を提供します。これにより、リアルタイムの在庫管理や価格設定を可能にし、業界間の取引をより円滑に進めると同時に、業界をまたいだ新たなビジネス機会を創出します。さらなる事業者の取り込みを目指し、データ流通のビジネスハブとしての存在感を高めていきます。
② 「検索」を越えた事業領域の拡大
当社はこれまでの検索における成功体験を活かしながらも、新たな事業領域への展開に対応した当社ならではのプロダクト、サービスの実現が重要な課題であると認識しております。
具体的には、旅行・観光業界に向けたサブシステム(外部接続ゲートウェイ、素材登録(造成)、予約・販売管理、電子クーポン発行等)の拡充やプロダクトメニューの最適化による統合プラットフォームへの進化を志向しております。新たなプロダクト・サービス展開に対応した営業・開発・プロジェクトマネジメント手法の確立を図るとともに、幅広い顧客ニーズを充足する自社サービスやビジネスインフラの提供のため、他社との効果的な協業も視野に入れた事業開発能力の強化、システム開発や運用における自動化の推進等を実施して行く方針です。
③ 人材の確保と育成、競争原理が働く組織の組成
当社は今後の事業拡大を見据え、優秀な人材の確保、採用、育成が重要な課題であると認識しております。
当社では、開発スピードと品質の両立を目指し、優秀なエンジニアの確保と育成を重視しています。フロントエンド(UI/UX部分)からバックエンド(サーバーやデータベース)までシステム全体を一貫して担当できるフルスタックエンジニアが、顧客の多様なニーズに総合的な視点で対応できる体制を整えています。これにより、エンジニアは裁量を持ちながら、顧客との密接な連携を通じて成長し、会社全体の競争力を強化しています。
また、プロトタイプを軸にした開発手法を導入し、短期間で動作するソフトウェアを提供することで、顧客からのフィードバックを迅速に反映しています。これにより、開発の早期段階での修正や改良が可能となり、開発スピードと品質の向上に大きく貢献しています。このアプローチは、複雑な課題に対しても、迅速かつ的確なソリューションを提供するための重要な基盤となっています。
今後に向けては、引き続きスピードと品質を両立する開発スタイルを追求しつつ、急速に変化する市場での技術革新と成長を支えるため、専門性の高いエンジニア、当社が戦略的に拡大させることを目指すプロダクト群やビジネスインフラについての高度な知見を持った事業開発・営業系人材、及び外部パートナー企業と連携し規模の大きい開発案件をも推進しうるプロジェクト管理人材の採用を積極的に進める方針です。当社では専門性の高いエンジニア採用のため、社員の発案によるプログラミングイベントの開催や書籍の執筆等を行っています。
また、従前より新卒社員の採用を継続的かつ積極的に実施しており、社員による大学のイベントへの参加やインターンの受入れ等、優秀な学生の確保に向け全社一丸となって取り組んでおります。なお、新卒社員入社後は研修のみならず、OJTや本人の希望・適性に沿った配属やローテーションを行うことを通じ、ポテンシャルを効果的に発現させることを目指しております。
新たに採用したキャリア人材に対しては、充実した研修を実施するなど人材の育成に取り組んでおり、採用と並行して新入社員への研修・教育制度を整備することで優秀な人材の確保・育成に取り組んでいく方針です。更に競争原理が働く組織体制とすることで、社員同士の切磋琢磨を通じて社員の能力を高め、ひいては会社の収益力・成長力を高めることを目指しております。
④ 外部リソース・パートナーとの協業体制構築
創業当初は、当社の技術基盤「Spook」の強みを発揮できる検索領域をサービス提供における中核分野とし、それ以外の領域においては他社が開発したシステムとの連携を行うということが通例でした。例えば旅行分野において利用者が希望するスケジュールに基づき宿泊する施設や交通手段の選択、旅行代金の確定を行った(いわゆる「検索領域」)後の予約の処理や代金の決済に係るシステムの構築は顧客から他社に別の案件として発注され、当社の開発する検索領域のシステムとの連携が行われてきました。
しかしながら近年においては、特に旅行・観光業界において統合型サービスに対するニーズが高まってきており、自社サービス強化の観点からも、外部接続ゲートウェイ、素材登録(造成)、予約・決済管理等の工程に係るシステム開発も一括して当社が受注すること、並びにその受注を可能とする体制を強化することが重要な課題であると認識しております。そのためには外部パートナー企業との協業が必須であり、協業に際してはプロジェクト管理を通じ一体的に開発を行う体制の構築及び高度化に取り組んでいく方針です。当社はプロジェクト管理人材の採用強化を行うことと並行して、プロジェクト管理ノウハウの社内での蓄積、プロジェクト管理手法の継続的改善を行っていく方針です。
⑤ 内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化
当社事業が大きく変化していく現在及び今後において、ビジネスリスク最小化のための体制構築が不可欠と考えております。特に業務内容の見直しや基幹システムの改修を視野に入れた決算データ収集の体制強化、決算書類作成の効率化、専門知識を持つ人材の採用・活用、会計監査人・監査役・内部監査人と経営層間のコミュニケーション強化、ルール・仕組みの意図の啓蒙等を行っていきます。
⑥ さらなる成長を実現するための財務体質の強化
当社は、金融機関からの借入はなく、現時点での企業及び事業規模に対応するための充分な手許流動性を確保しており、本書提出日現在において対処すべき財務上の課題はありません。ただし、今後さらなる事業の成長を目指し、売上や業容を拡大させるにあたっては、人材の確保やインフラの拡充等にかかる投資を継続的に行う必要があり、証券市場へのアクセスによる資金調達によって資本の充実を図り、また事業の推進においては適時・適切に収支を管理することによってさらなる内部留保の確保と営業キャッシュ・フローの改善等を図ることにより、引き続き財務体質の強化を図ってまいります。