有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2025/01/23 15:30
【資料】
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【項目】
128項目

研究開発活動

近年、超高齢化社会への突入、医療費や介護費の増大に対応するため、政府による一次予防の推進や技術発展によるウェアラブルデバイス等のヘルスケア・ガジェットの普及、新型コロナウイルス感染症をきっかけとした国民の健康意識の向上に伴い、予防・未病領域を含むウェルネス関連市場に対する関心が高まっていると認識しております。同時に、ウェルネス市場へ参入する企業の増加により競争が激化する中で、健康の増進・維持を目的とした商品の品質、特に機能性を強調した商品における科学的根拠については、これまで以上に重要性が増していると考えております。
当社の研究開発活動の特徴は以下のとおりです。
(1)機能性商品の科学的根拠の取得
新商品開発の際には、顧客のニーズを満たす機能・効能とは何かを追求し、機能性を示した形での販売を行うため、様々な実験やテストを商品の特徴毎に立案し、必要に応じて外部専門家の協力を得ながらデータを取得しております。
(2)大学等のアカデミアや病院との共同研究
当社は大学や研究施設等のアカデミア、病院等の専門機関及び専門家と積極的に共同研究を行い、信頼性の高い科学的データを取得する取組みを行っております。
(3)継続的な技術開発及び素材の開拓・開発
顧客に対して健康維持・増進をもたらす新たな機能・効能及び既存商品を上回る機能・効果を持つ新規技術や新規素材の情報収集・開発を行っております。
(4)コンディショニングについての調査研究
アスリートや経営者等の様々な分野におけるプロフェッショナル、一般生活者のコンディショニングについての調査研究を行い、調査レポートとして自社コーポレートサイトやプレスリリース等、メディアを通じて外部へと発信することにより、「コンディショニング」に対する啓蒙活動を行っております。
(5)医療機器製造販売業者としての基盤を構築
当社は、東京都健康安全研究センターの審査を経て第二種医療機器製造販売業許可(許可番号:13B2X10608)を取得し、自社で医療機器登録を進められる体制を構築しております。第二種医療機器製造販売業許可を取得したことにより、一般医療機器(クラスⅠ)の届出に加え、管理医療機器(クラスⅡ)(※)の医療機器認証登録についても自社で行うことが可能となりました。
※ 管理医療機器…薬機法第2条第6項の管理医療機器(クラスⅡ)を指し、不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが比較的低いと考えられる医療機器のことをいう。なお、それらの機器のうち、認証基準があるものの製造販売にあたっては、第三者認証機関による認証が必要となる
当社における研究開発活動は、ウェルネスイノベーション本部を中心に推進しております。なお、当社はコンディショニングブランド事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
第6期事業年度、第7期中間会計期間及び第7期第3四半期累計期間における研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。
第6期事業年度(自 2023年2月1日 至 2024年1月31日)
当社は、2021年2月に正式販売を開始した「BAKUNE RECOVERY WEAR」シリーズを中心に商品展開しております。遠赤外線機能による血行促進効果を有するウェアの市場が盛況を呈していることから、2022年10月に、厚生労働省の告示に基づき家庭用医療機器(クラスⅠ)の類別の一つである、一般的名称「家庭用遠赤外線血行促進用衣」が新設されました。こうした新規医療機器区分に対応する形で、2023年10月には、BAKUNEシリーズの全タイプの商品において「家庭用遠赤外線血行促進用衣」としての届出を完了しました。
また、当事業年度においては、リカバリーウェアの新商品として、同シリーズ内で最も軽量化・伸縮性を実現した「BAKUNE MESH」、化学繊維が苦手な方でも着用可能な、肌への優しさにこだわったガーゼ素材のリカバリーウェア「BAKUNE Pajamas Gauze」等の新商品の販売を開始しました。どちらの商品においても「家庭用遠赤外線血行促進用衣」としての届出を行っております。
また、第5期事業年度から取り組みを開始していた早稲田大学睡眠研究所との共同研究においても、「BAKUNE RECOVERY WEAR」が睡眠時の深部体温の低下を促すことで、快適な睡眠をサポートすることを示唆する科学的エビデンスを取得いたしました。さらに、当商品を活用し、健康経営に力をいれる法人企業の従業員の睡眠課題を解決する実証実験を複数実施しました。当事業年度においては、東日本電信電話株式会社(NTT東日本)、パラマウントベッド株式会社の各々と実証実験を行い、従業員の睡眠改善に係る結果を得られております。
上記の結果、当事業年度における研究開発費は、24,590千円となりました。
第7期中間会計期間(自 2024年2月1日 至 2024年7月31日)
当中間会計期間における研究開発活動の金額は、26,671千円であります。
なお、当中間会計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
第7期第3四半期累計期間(自 2024年2月1日 至 2024年10月31日)
当第3四半期累計期間においては、当社の主力商品である「BAKUNE RECOVERY WEAR」シリーズの品番拡大を行いました。Spring/Summerシーズンにおいては、肌さわりの優しいパイル素材を採用した「BAKUNE Pile」、Fall/Winterシーズンにおいては「BAKUNE Velour」、「BAKUNE Satin」、「BAKUNE Soft Knit」の3素材を新たに開発し、販売を開始いたしました。なお、3素材すべてについて一般医療機器としての届出を完了しております。
また、第5期事業年度に新発売した「BAKUNE COMFORTER」シリーズの品番拡大を行うために、「BAKUNE COMFORTER all season」、「BAKUNE COMFORTER cool」、「BAKUNE COMFORTER extra warm」を新たに開発しました。
「BAKUNE COMFORTER」シリーズの品番拡大に連動し、「BAKUNE COMFORTER」が睡眠をサポートする科学的エビデンスを取得するための研究を行いました。アカデミアの世界でも通用する信頼性の高いエビデンスを取得するため、早稲田大学睡眠研究所の西多昌規氏の学術指導のもと、臨床試験開発機関(CRO)を活用した睡眠測定において、精度が高い測定方法として広く容認されている手法である、脳波を測定する大型のエビデンス試験を行っております。
さらに、法人企業の従業員の健康課題を改善する実証実験の取り組みも推進しております。例えば、大橋運輸株式会社、株式会社ビックカメラの各々と実証実験を行いました。結果として、当社商品を着用・使用した従業員に睡眠改善効果が見られ、プレゼンティーズムによる経済損失の改善につながるという結果も得られております。また、GenkiGroupの医療法人社団鴻愛会との取り組みにおいては、80歳以上の施設入居者を対象として、当社の機能性インソールの使用が高齢者の転倒リスクに与える影響についての実証実験を行った結果、転倒リスクの軽減や歩行機能の改善に貢献するという結果が得られております。高齢者は、転倒をきっかけとした骨折等により、寝たきりの状態になる等介護が必要になってしまうケースもあり、転倒は超高齢化社会における社会課題として認識されております。
その他にも、当社は2024年8月に東京都健康安全研究センターの審査を経て第二種医療機器製造販売業許可(許可番号:13B2X10608)を取得し、自社で医療機器登録が進められる体制を構築しております。第二種医療機器製造販売業許可を取得したことにより、一般医療機器(クラスⅠ)の届出に加え、管理医療機器(クラスⅡ)の医療機器認証登録についても自社で行うことが可能となりました。今後は現在外部委託を行っている「BAKUNE」等に係る一般医療機器の届出を、当社によるものとするため必要な申請・届出を行う予定です。
上記の結果、当第3四半期累計期間における研究開発費は、28,928千円となりました。