訂正有価証券届出書(新規公開時)
有報資料
当社の事業等に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。なお、当社は、これらのリスクについて、顕在化の可能性及び顕在化した場合の影響とその時期について分析し、各リスクの重要性を把握・評価した上で、発生の回避及び万が一発生した場合でも、業績及び財務状況に与える影響を最小にすべく、具体的対応を検討・実施しています。
本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は本書提出日現在において判断したものです。
(1)外部環境に関するリスク
当社の事業(工事事業、再生可能エネルギー事業(以下、再エネ事業という)、その他事業)は、原子力政策をはじめとするエネルギー政策の変化等により影響を受けるため、「外部環境に関するリスク」として、エネルギー政策の変更等に関するリスクに加え、事業(工事事業、再エネ事業、その他事業)毎に、事業を取り巻く外部環境について記載します。
①エネルギー政策の変更に関するリスク
(発生頻度:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、電気事業者の発電設備工事を主体としており、電気事業者は、政府が5年毎に見直しを行う「エネルギー基本計画」のエネルギー政策等に基づいて、電源設備の拡大と系統設備の整備を進めるため、当社の業績及び財政状態は「エネルギー基本計画」のエネルギー政策等の影響を受けることになります。
2025年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」においては、「政府の最重要課題である、福島の復興・再生に向けて、政府の責務として福島第一原子力発電所事故処理に最後まで取り組むこと」、また2040年に向けた政策の方向性として、「DXやGXの進展による電力需要増加が見込まれる中で、エネルギー安定供給と脱炭素を両立する観点から再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入する」方針が示されました。また、原子力発電については、これまでの「原子力依存度の低減」という文言が削除され、「再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用することが不可欠である」ことが記載され、カーボンニュートラル実現に不可欠であることに加え、低廉で安定的な電力の供給、レジリエンス強化の観点からも重要な電源として位置付けられました。
このようなエネルギー政策等を踏まえ、当社は事業基盤である「工事事業」について、原子力発電設備の再稼働・廃炉工事を中心として取り組んできています。また、収益構造の多様化を目的として「再エネ事業」の拡大にも努めてきています。
しかしながら、エネルギー政策は、気候変動の進行状況や多国間の合意・国際的な議論、政権交代を含む国内の政治動向、資源価格等の経済環境、発電設備の安全性、国際紛争、諸外国の金融政策等、様々な事象の影響を受けます。エネルギー政策に変更等が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②-1 工事事業における原子力・廃炉政策等に関するリスク
(発生頻度:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
エネルギー政策のうち、地元企業として当社が深くかかわっている福島第一原子力発電所の事故処理・廃炉に関して、東京電力ホールディングス株式会社は、被災者への賠償を滞らせないよう、また廃炉や除染などの事故対応の費用を計画的に確保することを目的として、「総合特別事業計画」を原則3年毎に策定し、国の認可を得て事故処理・廃炉等を進めています。
また、東京電力ホールディングス株式会社は、適正かつ着実に廃炉作業を進めることを目的として定められた原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(平成23年法律第94号)に基づき、廃炉等積立金を廃炉等に要する費用に充てる「廃炉等積立金取戻し計画」を毎年作成し経済産業大臣の承認を得ながら廃炉工事を進めています。さらに、東京電力ホールディングス株式会社は、廃炉工事の具体的内容と今後の見通しを「廃炉中長期実行プラン」として毎年公表し、計画的に廃炉作業を進めています。
廃炉工事は、燃料デブリ取出し等これまで経験のない工事工法の開発を伴い、また身体汚染や汚染水の漏洩等のトラブル発生による作業停止など、種々の要因により計画通りに廃炉措置の工事等が進捗しない可能性があり、それに伴う工事計画の変更・発注時期の変更等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
しかしながら、エネルギー政策の変更及び原子力・廃炉政策等に関するリスクについては、計画性・予見性が高く、年度毎に事業計画の見直しを行うことにより、リスク項目の変化への追随が可能であり、影響を極めて低く抑えることができるものと認識しています。
また、当社は、福島第一原子力発電所の廃炉作業において、燃料デブリ取り出しに伴う干渉物撤去等の工事に加え、使用済燃料取出しに伴う使用済燃料プール内の瓦礫処理、取出後の燃料を貯蔵するキャスクの運搬等の工事や、汚染水対策工事、廃棄物処理関連工事等、幅広く多種多様な工事に取り組むことにより、特定の工事変更に伴う影響低減を図っております。
さらに、廃炉以外にも新規制基準対応の安全対策工事や再稼働準備工事、東京電力ホールディングス株式会社以外の電気事業者の工事、原子力以外の一般産業工事や再生可能エネルギーの開発に事業展開し、収益源の多様化を図ることによりリスクを低減しております。
一般産業工事において、現況は設備の改修・更新工事需要は堅調であるものの、外部環境として社会経済状況の変化から工事需要の減少した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
②-2 再エネ事業における業界動向等に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
再エネ事業の開発において、環境保護の規制強化等による風力設備の開発コスト上昇やバイオマス燃料コストの上昇、他社のバイオマス発電所における爆発火災事故発生を踏まえた保険料率の上昇、安全規制の強化による開発費の高騰、燃料供給会社の倒産リスク、景観等に関する県条例制定の動きなど、太陽光発電設備・風力発電設備やバイオマス発電設備の開発・工事が計画通りに進捗できず、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社は代替事業地点が確保できるよう多様な地点での開発調査や燃料供給会社の多様化を進めること等により、リスクヘッジを図っています。
再エネ事業の発電事業に関して、当社が運営する太陽光発電所は、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(FIT制度 再生可能エネルギー固定価格買取制度)の認定を受けた設備による発電事業を行っており、現行制度では一度適用された買取価格は当該法で定める期間内において変更されることはありません。しかし、経済産業省・資源エネルギー庁による再生可能エネルギー固定価格買取制度の見直しの検討など、エネルギー政策及びその他当社事業に関連する各種法令等が変更された場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、太陽光発電は、発電出力が天候の影響を受ける自然変動電源であり、電力需給バランスを保ち電力供給の安定化を図ることを目的として、運転開始後における無制限・無補償の出力制御を受け入れることが系統への接続要件となる出力抑制ルール拡充の制度改定(2015年1月)により、想定を上回る出力制御が実施された場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、再エネ事業における電力小売事業に関しては、その販売電力量は経済・景気動向等の外部環境の影響を受けるほか、電力小売全面自由化(2016年4月開始)に伴う新規競合他社の参入等による競争環境の変化、電力取引市場における卸電力取引の動向、相対取引の価格動向等により影響を受ける可能性があります。新規参入者の急増は、電力販売価格の下落を招く可能性があり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②-3 その他事業における業界動向等に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
介護事業は、2000年4月の介護保険制度の施行以来、在宅サービスを中心に老後生活を支える仕組みとして定着してきています。今後も団塊世代の高齢化に伴い、利用者は増加基調にあり、介護市場は規模拡大が予想されています。これにより毎年多くの新規事業者が介護事業に参入しており、競争の激化により利用者確保が困難となる場合には、業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
このため、当社は綿密な市場調査に基づいて健康事業を展開するとともに、利用者の満足度向上に資する施策を講じることで、利用者確保に努めています。
(2)事業運営に関するリスク
① 特定の取引先等への依存に関するリスク
(発生頻度:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、東京電力ホールディングス株式会社の取引依存度が高い(東京電力ホールディングス株式会社との直接取引額では、同社からの工事の総額が当社売上の50%程度、同社のグループ企業も含めた総額は当社売上の70%程度)ことから、福島第一原子力発電所の廃炉の計画変更等によって、当社の事業、業績及び財政状態は影響を受ける可能性があります。
このため、当社は福島第一原子力発電所の廃炉作業においても、特定の工事計画に変更等があっても、その影響が限定された範囲にとどまるよう、特定の工事にだけ取り組むのではなく、燃料デブリ取出し関連工事、使用済燃料取出し関連工事、汚染水対策工事、廃棄物処理関連工事など、多種多様な廃炉作業に幅広く取り組むとともに、東京電力ホールディングス株式会社柏崎刈羽原子力発電所の新規制基準対応の安全対策工事・再稼働準備工事等、廃炉措置工事以外の工事にも取り組んでいます。
また、東京電力ホールディングス株式会社以外に、東北電力株式会社女川原子力発電所、北陸電力株式会社志賀原子力発電所、中国電力株式会社島根原子力発電所、日本原子力発電株式会社東海発電所、日本原燃株式会社等にも進出し、工事を進めることで収益源の多様化を図っています。
さらに、 特定の取引先や特定の業種への依存を避けるため、廃炉・原子力以外として、千葉県木更津市を事業拠点とする一般産業工事や、再エネ事業の開発にも事業展開して、特定取引先等への依存リスクの低減を図っています。
② 投融資事業の不採算リスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、風力発電やバイオマス発電等の再エネ事業の開発において、原則として開発事業のプロジェクト関連契約や融資関連契約の締結確度が高まり事業性が見込めるような段階になった時点で特別目的会社(SPC)を設立し、そこに出資を行い、事業化を加速します。SPCに出資後に急な環境の変化で事業化を断念した場合等においては、当該出資のリスクが顕在化し、損失を計上することになります。このような場合には当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
リスクとしては、再エネ事業の開発中止のほか、再エネ事業の開発投資決定後の為替の急激な変動、資機材・人件費の高騰や、投資事業における稼働率の低下等が考えられます。また、波力発電設備の研究開発や一般産業部門の工場建設等における出資のリスクが顕在化し、損失を計上するような場合も考えられます。
当社は、事前の市場・技術調査や段階的な研究開発計画において慎重な検討や検証を重ねることにより、リスクヘッジを図るとともに、リスクの確認と運用状況のモニタリングを実施しています。
③ 契約に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
事前の契約審査が不十分で、設備設置工事において、設備故障等の不可抗力の事象が請負責任になる可能性があります。当社は、新規契約案件等について事前に契約書類の法務審査を実施することや受注検討会の実施等により、不可抗力の事象が請負責任化するリスクを低減するため契約内容の精査等に努めています。
④ 長期契約等に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、再エネ事業の運転保守(オペレーション&メンテナンス)基本契約等において、長期請負契約を締結する場合があります。
長期請負契約等に基づく収益認識においては、見積原価総額、見積収益総額、契約に係るリスクやその他の要因について重要な仮定を用いて見積る必要があり、この見積りは変動する可能性があります。価格が確定している契約の予測損失は、その損失が見積られた時点で費用計上していますが、見積りは変動する可能性があること、また、当該契約に関する当初の見積りを見直す必要が生じる場合は、当社の事業、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社は長期契約締結においては、エスカレーションなどを加味した長期契約とすることで、契約締結内容においてリスク回避をしていく計画でおります。
⑤ 代表者への依存リスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
当社の代表取締役社長である佐藤順英は、当社の創業者であり、創業以来、経営者として経営方針や経営戦略を決定するとともに、組織運営上の中核的役割を担っております。また、同氏は当社の支配株主であり、当社の経営に関する重要な意思決定に対して一定の影響力を有しております。
今後何らかの理由により佐藤順英の業務執行が困難になった場合には、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。当社では、他の経営陣や幹部への権限委譲を行うことで依存度合いを薄めてまいります。
⑥ 有利子負債依存度に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、運転資金、研究開発資金、風力発電事業の実現可能性の調査・検証等に対応するため、有利子負債による資金調達を行っております。
今後、金利の急激な変動や金融情勢の変化、財務制限条項(コベナンツ)の影響等により、計画どおり資金調達ができない場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社では、特定の金融機関に依存することなく、案件ごとに複数の金融機関へ融資を打診し、融資シェアバランスを考慮した調達先選定と、金融機関との良好な関係構築に努めることで、現時点では資金調達余力を確保しております。
⑦ 借入金の財務制限条項に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の借入契約の一部には財務制限条項が付されており、万が一これらの条項に抵触した場合には、期限の利益を喪失し、一括返済を求められる可能性があるため、事業運営に影響を及ぼすリスクがあります。当社の経常利益は黒字を継続しており、財務制限条項に抵触する水準に対して十分な余裕のある状態にありますが、当社ではこの状態を維持しつつ有利子負債の計画的な返済を進めるとともに、金融機関との安定的な関係維持に努めることにより、当該リスクの低減を図っております。
⑧ 重大な不適合発生のリスク
(発生頻度:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の施工不良等による設備損傷、又は据付設備が性能基準を満たさない等、重大な品質不適合が発生し、工期遅延やコスト増加の発生リスクがあります。
このため、当社では、「不適合ゼロ」に向けた取り組みとして、詳細な施工要領書を作成し、関係者全員で作業前に行う事前検討会において読み合せを行う等、工事品質の維持向上を図っております。
また、過去の不適合事例を関係者へ教育・啓発活動を行うとともに、品質保証体制を強化し、不適合発生の未然防止に取り組んでいます。
⑨ 重大な労働災害発生のリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
重大な労働災害(死亡災害、重篤な災害、許容被ばく線量の超過等)については、これまで当社で発生したことはありませんが、今後工事の施工中に、当社の責任により重大な労働災害が発生する可能性は否定できません。
当社は、重大災害の未然防止を図るために、中期経営計画の重点ポイントとして「絶対安全戦略」を掲げ、軽微な事象であっても原因究明と再発防止策を実施し、災害ゼロに向けて水平展開を図ることや、「放射線管理基本計画書」に基づき厳格な被ばく線量管理を実施すること等により、重大事故発生の未然防止を図っています。
また、関係者への安全教育や啓発活動を行うとともに、三現主義(現場・現物・現実を重視する是正・再発防止の基本原則)を確実に実施するため、安全管理・放射線管理の体制強化を図っています。
なお、ヒヤリハットのような軽微な事象であっても、当日作業後に一斉メールで情報共有することを実施しています。日々の作業状況の報告により、報告漏れや隠ぺいが起きない風通しの良い企業風土の醸成に努めています。
⑩ バイオマス発電所の重大災害発生リスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
当社が事業運営に関係するバイオマス発電所の運営会社(エイブルエナジー合同会社(以下「エイブルエナジー社」という。))のバイオマス発電所は、爆発火災事故が発生している他社のサイロ式バイオマス発電所(サイロから木質燃料を自動搬送し、ボイラで連続的に燃焼させる方式)とは異なり、燃料は木質ペレットを燃料として用い、燃料倉庫から一定量のペレットをトラックで輸送し、ボイラの燃料供給装置に一定量のペレットを順次供給するバッチ処理方式の設備です。
また、燃料倉庫は細かく区切り火災が延焼しない構造であり、各ブロックには消火設備・温度センサーを設置し、中央制御操作室で常に監視している等、類似災害の発生に対しては十分な対策を講じております。
しかしながら、大量の木質ペレットを扱うバイオマス発電所であり、万が一火災事故等が発生した場合には、施設の損傷に止まらず、万一周辺地域まで被害が及んだ場合には、エイブルエナジー社とともに当社に対する信頼性の低下や多額の損害賠償請求などが発生する可能性があり、エイブルエナジー社だけでなく、当社の事業、業績及び財政状態に重大な影響が及ぶ可能性があります。
このため、エイブルエナジー社の火災保険の付保は勿論のこと、当社は、関係者への防火教育、設備巡視、計画的な点検清掃等を徹底して実施するよう指導し、爆発火災事故等の重大災害の発生防止を図っています。
⑪ 情報管理・セキュリティに関するリスク
(発生頻度:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、サイバー攻撃・システム障害・作業ミスや社内ルール違反等により、当社の事業運営に支障が生じた場合や、当社が保有する機密情報/個人情報が流出した場合には、社会的信頼が失墜し、事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
当社は高度化・巧妙化するサイバー事案に関して、セキュリティ教育・啓発活動の実施、2重のファイヤウォールシステムによる防御対策、事業継続計画(BCP)として基幹システムの定期的なバックアップ実施など、情報管理とセキュリティ対策を徹底し、リスク低減に努めています。
⑫ 調達活動に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の調達活動では、工事事業における工事施工中の資機材価格・労務費の高騰等により、工事原価が増加するリスクがあります。
また、資材価格の高騰によって労務費が圧迫され、適正な労務単価の確保が困難になる場合や、取引先の財政悪化や経営破綻など、取引先(サプライヤー)信用リスクが顕在化した場合には、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
このため、当社は新規契約案件等について契約内容の事前審査を実施するとともに、受注検討会において工事原価の慎重な検討を実施しています。
また、工法改善による資材・労務力の低減や、協力工事業者・資機材供給業者と情報共有し連携強化を図ること、定期的な信用調査や信用リスクに応じた取引限度額の設定など、信用リスク管理の施策により、リスクの回避・最小化に努めております。
電力小売事業における調達活動として、現在は一般社団法人日本卸電力取引所より電力を調達しています。将来はエイブルエナジー社の発電電力を特定卸供給によって東北電力ネットワーク株式会社より調達する予定です。一般社団法人日本卸電力取引所における取引価格は、国際情勢を反映した原油、天然ガス等の資源価格の動向、季節や時間帯の電気の需要動向、太陽光発電の稼働状況、原子力発電所の稼働状況等、様々な要因によって変動します。
当社は、市場価格高騰リスク対策として市場価格連動メニューにて販売しています。また価格ヘッジ取引によるリスク軽減も今後行っていきます。現状は、同取引所の取引価格が大きく変動した場合でも、当社の業績・財政状態に影響を及ぼす可能性は小さいと考えています。但し、今後、低圧需要家や高圧需要家向けに従量制料金メニューを導入しこれを採用する需要家が増えていった場合は市場の取引価格の高騰が当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、電力小売事業における電力調達量に関しては、当社は一般送配電事業者の送電ネットワークを介して電力を供給するため、一般送配電事業者の定める託送供給約款等に基づき、需要想定と実際の需要量を、それぞれ30分毎に一致させる義務(計画値同時同量制度)を負っています。事前に計画した需給量と実際の需給量の差分は、インバランス(料金)として一般送配電事業者との間で精算されることになります。当社は、需給管理システムを用い、時間毎の需給バランスの最適化を図っておりますが、同時同量を達成できない場合において精算するインバランス料金が多額に生じる場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 外注業者及び外注管理に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、工事事業の外注業務において法令違反等を含む契約不適合等が判明した場合、その管理責任を問われる又は信頼性の著しい毀損が生じることにより、当社の事業運営、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社は外注先の協力企業社員を含めて当社で教育を実施するとともに、受注検討会において外注管理を徹底しております。
また、外注先による工事施工にあたっては、外注工事毎に当社社員を配置する体制により、適切な外注工事管理を行うことで、リスク低減を図っております。
⑭ 債権回収リスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
原子力分野の工事事業においては、顧客は大企業であることから債権回収リスクは小さいと考えています。但し、再生可能エネルギー分野の工事、メンテナンス事業や電力小売事業においては、顧客が中小企業となる場合も多く、顧客の財務状況によっては債権回収不能となるリスクが存在します。契約前、及び契約後も定期的に顧客の与信管理をしっかり行うことで債権回収リスクの低減に努めて参ります。電力小売事業において債権回収不能が起こった場合は、回収に努めるだけでなく電力供給を停止することを契約に盛り込むことでリスク低減を図るようにしています。
⑮ 販売活動におけるレピュテーションリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
原子力分野の工事事業において、安全文化・核セキュリティ文化の取り組みが不十分な場合や、介護事業における重大不祥事が発生した場合等には、企業ブランド価値毀損や、信用失墜のリスクがあります。
このため、当社では、「人として正しいことを正しいままに貫く」という考えを経営の基本とし、関係者への教育・啓発活動を継続的に実施するとともに、「コンプライアンス行動規範」を制定し周知・啓発活動を実施してリスク低減に努めております。また、原子力分野の工事事業では顧客満足度調査によるお客様評価の把握や、健康事業において利用者様のご意見を伺う活動の実施等により、レピュテーションリスク低減を図っております。
⑯ 人材不足に関するリスク
(発生頻度:中、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
当社は、新しい事業分野に進出し、事業規模を拡大していくため、また、既存事業の継続・拡大を図るために高度な専門性を有する多様な人材を採用することが重要と考えています。しかし、少子化等の要因により、新卒及び中途での人材の採用が困難になった場合や、著しい人材流出の発生により、人材不足に陥る可能性があります。このような場合には、当社の将来的な事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社では多様な人材を採用するために人事処遇制度の見直しを図るとともに、多様なチャンネルによる採用活動の展開、広報活動の充実等により企業知名度の向上に努めております。
また、教育・研修制度の充実や働きやすい環境づくり等の離職防止策の実施や協力企業の発掘等により、外注先の協力企業の労働力確保も含め、当社の動員力の強化に努めております。
今後も採用活動の強化に努め、働き方改革や育児支援を実施することで、リスクの回避・影響の最小化を図ります。
⑰ 人材育成に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、成長の機会が与えられないことによる社員のモチベーション低下や、業務遂行に必要な能力・スキルが獲得出来ないことによる工事の遂行力・効率・品質の低下、生産性の低下による納期遅延等により、事業運営に支障をきたす可能性があります。
このため、当社では技術継承を図る取り組みとして、社員が自分の技量・力量を「スキルアップシート」を用いて評価・分析し、技術・知識の向上を図る取り組みを実施するとともに、研修や資格取得の機会を提供し、社員のモチベーションと生産性の向上に繋げ、リスクの回避・影響の最小化を図っております。
(3)法的規制・訴訟に関するリスクについて
① 法令違反・訴訟に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
当社が事業活動を行うには、「建設業法」、「労働者派遣法」、「労働安全衛生法(電離放射線障害防止規則)」、「労働基準法」、「職業安定法」、「電気事業法」、「介護保険法」及び関連する各種法令による規制を受けております。
また、当社は、建設業許可等のほか、介護保険法に定める必要な届出をしております。
当社が事業活動を継続する上で特に重要な許認可は、工事事業における「一般建設業許可」であります。当社売上高に占める工事事業の割合は高く、一般建設業許可が取り消された場合には、主要な事業活動の継続が困難となるため、当社の事業運営、業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
現時点の許認可等の取得状況は,下表のとおりです。
| 許認可等の名称 | 特定 建設業許可 | 一般 建設業許可 | 産業廃棄物収集運搬業 |
| 所管官庁等 | 東北地方整備局 | 東北地方整備局 | 福島県相双地方振興局 |
| 許認可等の内容 | 土木工事業、とび・土工工事業、管工事業、舗装工事業、解体工事業、建築工事業、鋼構造物工事業、板金工事業、熱絶縁工事業 国土交通大臣許可(特-3)号 | 機械器具設置工事業、電気工事業、塗装工事業、消防施設工事業、水道施設工事業 国土交通大臣許可(般-3) 号 | 産業廃棄物収集運搬 許可番号 第00705208917号 |
| 有効期限 | 2027年2月27日 | 2027年2月27日 | 2029年5月8日 |
| 法令違反の要件及び主な許認可取消事由 | 不正入札等不誠実な行為があった場合は業務停止等の処分(建設業法第28条) 不正な手段による許可の取得や役員等の欠格条項違反等に該当した場合は許可の取消(同法第29条) | 不正入札等不誠実な行為があった場合は業務停止等の処分(建設業法第28条) 不正な手段による許可の取得や役員等の欠格条項違反等に該当した場合は許可の取消(同法第29条) | 産業廃棄物収集運搬業の申請者が暴力団員等に該当する、もしくは暴力団員等がその事業活動を支配する者に該当するときは許可の取消(廃棄物の処理及び清掃に関する法律第14条の3の2第1項) 産業廃棄物収集運搬業の施設又は事業者の能力が環境省令で定める基準に適合しなくなったとき、又は生活環境の保全上必要な条件に違反したときは許可の取消(同法第14条の3の2第2項) |
| 許認可等の名称 | 登録小売電気事業者 | 労働者派遣事業 | 食品衛生法営業許可 |
| 所管官庁等 | 資源エネルギー庁 | 厚生労働省 | 秋田県大館保健所 |
| 許認可等の内容 | 登録小売電気事業者の登録 登録番号:A0828 | 労働者派遣事業の許可 許可番号 派07-100002 | 飲食店営業、菓子製造、そうざい製造 指令館福環-112-11、112-12、111-19、111-28、112-75 |
| 有効期限 | ― | 2029年1月31日 | 2028年5月31日、2028年11月30日 |
| 法令違反の要件及び主な許認可取消事由 | 電気事業法又は電気事業法に基づく命令の規定違反(契約条件の不当表示、誤認を招く営業等)、供給能力が確保できない、供給計画や事故などの報告義務違反や虚偽報告を起こした場合など登録取消要件に該当するに至ったとき。 | 法令で定める欠格事由に該当したとき。 法令に基づく命令若しくは処分に違反したとき。 許可の条件に違反したとき。 (労働者派遣法第14条) | 違反事実から判断して、営業を継続させることが不適当である場合。 危害発生の状態は継続しているような場合。 営業停止期間が長期に及ぶような場合。 過去に同種の違反事実があり、再度、違反の可能性が高い場合。 (食品衛生法第60条) |
| 許認可等の名称 | 指定地域密着型サービス事業所 | 指定居宅介護支援事業等に係る事業所の指定 | 指定居宅サービス事業に係る事業所の指定 |
| 所管官庁等 | 厚生労働省/いわき市 | 厚生労働省/いわき市 | 厚生労働省/いわき市 |
| 許認可等の内容 | 地域密着型通所介護 介護予防通所介護相当サービス 5介第298号 | 指定居宅介護支援 5介第576号 | 訪問看護 介護予防訪問看護 7高第90号 |
| 有効期限 | 2029年8月31日 | 2030年1月31日 | 2031年5月31日 |
| 法令違反の要件及び主な許認可取消事由 | 法令で定める取消要件に該当するとき。(介護保険法 第115条の45の9) | 同左 | 同左 |
現時点において、当該許認可等が取消しとなる事由は発生しておりません。しかしながら、将来、法令違反その他の事由により一般建設業許可をはじめとする重要な許認可等が取り消された場合、又は更新が認められなかった場合には、主要な事業活動の継続に重大な支障が生じる可能性があります。また、行政処分による営業停止や社会的信用の低下等により、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、現時点において、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりません。当社は、法令及び契約等の遵守に努めておりますが、法令等に対する違反の有無にかかわらず、事業活動において訴訟の提起を受ける可能性があります。重大な訴訟が提起された場合、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
さらに、電力小売事業に関連する電気事業法については、電力システムに関する詳細制度設計、制度見直しの議論が継続的に行われており、その内容によっては、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
このため、当社では、電力システム改革の検証に伴う制度設計の検討状況を注視するとともに、「コンプライアンス行動規範」を制定して関係者への教育・周知・啓発活動を継続的に実施し、リスク低減に努めております。
② 環境保護等の規制リスク
(発生頻度:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、再エネ事業として風力発電施設等の開発事業を行っています。当社は、開発地点の事業化にあたって、当該地域における過去の環境アセスメント実施履歴の調査や自主調査等により環境アセスメントにおける必要対処項目の事前確認を行っています。しかしながら、事前調査では想定されていない必要対処項目が発生した場合や、環境アセスメントにかかる法令又は条例の改訂が行われた場合には、事業化時期、開発規模又は開発可否等に影響を及ぼし、又は環境アセスメントに要する費用の増加する可能性があります。このような場合には、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他のリスクについて
① 自然災害・気候変動・感染症に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、国内に事業所・工場・営業所・研究開発拠点等の施設を有しています。日本は地震・津波・台風など多くの自然災害に見舞われており、今後も大規模な自然災害により、取引先(サプライチェーン)や顧客も含めて、事業活動に影響を受ける可能性があります。
さらに、気候変動に起因して、渇水・長期的な気温上昇や洪水などの自然災害が一層深刻化する可能性があります。
このような自然災害により、当社施設が直接損傷を受けた場合、事業活動が中断するだけでなく、多額の修理費の発生など多くの損失が発生する可能性があります。また、感染症の流行などにより社員が就労不能となった場合、工事施工力の低下等の混乱が生じる可能性があります。
すべての潜在的な損失に対して保険が付保されている訳ではなく、自然災害その他の事象により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクへの対応として、当社は事業継続計画(BCP)の策定による事業中断リスクへの対応力強化等を図っております。また新たな事業所等設置にあたっては、ハザードマップなど地域特性を設計・計画に反映するとともに、気象情報から事前の災害対策を実施した上で、必要に応じて損害保険を付保することにしています。
② 関連会社の業績の悪化に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、関連会社に対して出資を行っております。これら関連会社の業績が事業環境の変化等により悪化した場合、当社が保有する投資の回収可能価額が帳簿価額を下回ると判断されるときは、減損損失を計上する必要が生じる可能性があります。
現時点では、関連会社は長期の売電契約や複数の燃料調達ルート等により安定した事業運営を行っており、減損が発生する蓋然性は高くないと認識しておりますが、外部環境の変動等により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当該関連会社はいずれもプロジェクトファイナンスにより資金調達を行っており、当社は追加出資や債務保証などのスポンサーサポート義務を負うものではありません。そのため、当社の損失リスクは出資金額の範囲内に限定されています。
また、当該関連会社であるエイブルエナジー社においては、燃料の安定供給保証・その為替レート・売電価格等について変動リスクがあるため、長期契約の締結等により、リスクヘッジを図っています。
当社の関連会社への出資額は、エイブルエナジー合同会社2,595百万円、合同会社佐野バイオマス発電457百万円 (本書提出日2026年6月25日現在)であり、再生可能エネルギー分野における発電事業等を行っています。
③ 株式の流動性に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:直近1~2年、影響度:小)
当社は、2026年7月に東京証券取引所スタンダード市場への上場を計画しており、自己株式の処分及び売出しによって当社株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、当社の新規上場時における流通株式比率は、33.5%となっております。
このため、株式市況等の要因により流通株式比率が向上しない、あるいは低下する可能性があり、これらの場合には当社株式の市場売買が停滞すること等により当社株式の需給関係に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらのリスク低減を図るため、状況に応じて既存大株主への一部売出しの要請、当社の事業計画に沿った成長資金の増資による調達を勘案し、流動性の向上を図ってまいります。
④ 人権問題の発生に関わるリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
当社は、人権問題(パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、外国人労働者への差別等)が発生した場合には、人材の能力が十分発揮できないばかりでなく、当社の社会的信用が低下し、顧客からの発注停止などにより、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社は関係取引先からの情報収集や調査、関係者とのコミュニケ―ションの過程で、「コンプライアンス行動規範」等からの逸脱行為があると判断した場合には、是正に必要な措置などを講じます。
また、社内外に内部通報制度を整備して迅速な情報収集と健全な企業風土の醸成に努めております。
⑤ 内部統制に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
当社は、今後さらなる事業拡大を図るため、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するとともに、内部統制の体制整備が必要不可欠と認識しています。業務の適正性及び財務報告の信頼性確保のための内部統制システムの適切な整備・運用、さらに法令・定款・社内規程等の遵守を徹底しておりますが、事業の急速な拡大により、内部統制の体制整備が追いつかない状況が生じる場合には適切な業務運営が困難となり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社は今後の事業規模拡大に応じた内部統制の体制を構築できるよう、管理部門や内部監査室の人材を強化するとともに、コーポレート・ガバナンスの重要性について教育研修を実施することにより社内の共通認識とし、内部統制の管理体制の一層の充実を図っております。