訂正有価証券届出書(新規公開時)
有報資料
文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、社是として「利他」を掲げています。これは、株主をはじめとするすべてのステークホルダーから信頼と安心が得られるように最善を尽くす、ということです。また、事業運営を通じて、すべての人々に対して思いやりを持って接する姿勢を重視するものです。
現在、当社は、人類がこれまで経験したことのない原子力災害への対応として、福島第一原子力発電所の廃炉事業に取り組んでいます。また、地球環境を守り持続可能な社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの開発及び運営を行っています。さらに、地域社会の活性化に貢献する取り組みとして介護や食の事業にも取り組んでいます。
これらの事業活動を通じて、社員一人ひとりが社会的意義や仕事へのやりがいを感じ、物心両面において幸せを感じることが、当社の重要な経営目的の一つであります。
当社は、この考えを基盤として、経営理念として「全従業員の物心両面の幸せを追求すると共に人類・社会の進歩発展に貢献する」を掲げています。事業を通して、共に働く仲間の物心両面の幸せを追求すると共に社会、業界及び地域の発展に貢献することを目指しています。このような取り組みを継続することが、結果として企業価値の向上につながり、株主をはじめとしるステークホルダーからの信頼に応えるものになると考えています。



この「社是」及び「経営理念」に基づき、以下のとおり、経営環境の変化を踏まえて、経営の基本方針として中期経営計画(2025~2027年度)を定めています。
(2)当社事業を取り巻く経営環境
① 工事事業
ア 廃炉・原子力分野
福島第一原子力発電所の廃炉作業については、東京電力ホールディングス株式会社が策定した「第5次総合特別事業計画」が、2025年12月26日に原子力損害賠償・廃炉等支援機構の了承を経て、2026年1月9日に政府(経済産業省)へ申請され、同年1月26日に許可されています。当該計画においては「廃炉事業の長期化を前提に、人員・体制を強化すること」が明確化されており、国の指導の下、今後も福島第一原子力発電所の廃炉作業は継続的に推進されると見込まれます。
福島第一原子力発電所の廃炉については、政府が決定した「東京電力HD(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」に基づいて進められており、このロードマップでは、「廃止措置(廃炉)完了目標時期:2041年~2051年」「事故(2011年)から 約30~40年 を要する長期事業」と明記されています。
また、廃炉費用について、経済産業省(資源エネルギー庁)では「福島第一原子力発電所の廃炉費用の負担の在り方について(2016)」において、賠償・除染とは別に、廃炉に要する費用として、「廃炉費用:約8兆円程度、対象期間:約30~40年」と推計しています。東京電力ホールティング株式会社では、原子力損害賠償・廃炉等支援機構に積み立てた廃炉等積立金を、経済産業大臣の承認に基づき、毎年取り戻すことにより廃炉工事を進めており、2026年4月6日に2026~2028年度の取戻計画として年2,600~3,000億円規模が承認されています。
当社は福島県浜通り地域に拠点を置く地元企業として、福島第一原子力発電所の廃炉作業への貢献が期待されており、こうした事業環境のもと、廃炉関連工事における受注機会は拡大しております。

出典:東京電力ホールディングス株式会社/原子力損害賠償・廃炉等支援機構「廃炉等積立金の取戻しに関する計画の概要」を基に当社作成

出典:「東京電力ホールディングス株式会社廃炉に向けたロードマップ」を基に当社作成
また、福島第一原子力発電所以外にも、全国において原子力発電所の廃炉が計画されており、その予定基数は、2026年1月時点で計18基であり、廃炉費用の総額は約1兆円規模が見込まれています。福島第二原子力発電所や浜岡原子力発電所において廃炉に向けた準備が進んでおり、今後、受注機会が拡大していく状況にあります。

出典:資源エネルギー庁「原子力政策に関する最近の動向について」(2026年3月31日)を基に当社作成
原子力分野においては、今後の再稼働に向けた準備工事を進めているほか、再稼働した原子力発電所における定期検査工事の受注・施工も行っています。AIの普及等による将来的な電力需要の増加やCO2削減に向けた社会的要請を背景として、原子力発電所の役割は今後一層重要性を増すと考えられ、当社にとっても受注機会の拡大が見込まれる事業環境にあります。
また、核燃料廃棄物の処理及びリサイクルを目的としたプラントの建設が竣工間近となっており、今後は当該プラントのメンテナンス事業の機会が増大する見通しです。
海外に目を向けると、安全性の向上及び避難範囲の限定を特徴とする小型モジュール原子炉(SMR)の建設が始まり、今後増加する傾向にあります。当社は、国内メーカーと連携し、小型モジュール原子炉向け検査装置の開発に取り組むとともに、ロボット技術を活用した製造・メンテナンス分野への参画を進めています。現時点での開発サポートサービスの売上規模は限定的であるものの、将来的な国内外におけるSMR関連事業への参入を見据え、技術基盤の構築を進めております。
イ 一般産業分野
千葉県木更津市にて鉄骨加工を行っておりますが、京葉臨海工業地域及び京浜工業地帯の地の利を生かせる好立地にあります。設備投資需要の動向を踏まえ、新しい工場の建設やリニューアル工事が増える環境にあります。
そのようなことを踏まえ、次々年度には千葉県富津市に工場を新設移転し生産能力を増やす予定です。
なお、富津工場への機能移転後の木更津工場跡地については、系統用蓄電池事業やデータセンター事業等への活用を検討しております。現時点で具体的な事業計画は確定しておりませんが、既存資産の有効活用を図る方針であります。
② 再生可能エネルギー事業
第7次エネルギー基本計画(2025年2月)に基づく2040年の発電電力量は1.1~1.2兆kWhと想定され、その4~5割を再生可能エネルギーが担うと想定されています。将来の再エネ電気の価格を一般的と言われている想定値の12~18円/kWhとすると、市場規模は5~11兆円と試算されます。

出典:資源エネルギー庁「エネルギー基本計画の概要(令和7年2月)」を基に当社作成
ア 太陽光発電
太陽光発電事業は、発電設備の設置場所及び電力系統への接続が確保できれば比較的事業化しやすい特性を有しています。一方で、エネルギー密度が低く、一定規模の発電量を確保するためには広大な用地を必要とすることから、景観への影響や地域住民の理解といった点が課題となっております。
また、近年はこうした課題を背景に、立地条件や地域特性を十分に考慮した事業判断が求められています。
イ 木質バイオマス発電
木質バイオマス発電事業は、再生可能エネルギーの中でも出力が安定しており、天候等の影響を受けにくいベースロード電源としての特性を有しています。当社は、関連会社が運営する木質バイオマス発電所に対し、オペレーション&メンテナンス(運転・保守)業務を受託しております。
木質バイオマス発電事業の継続にあたっては、燃料となる木質資源の長期にわたる安定調達体制の構築と発電所設備の安定運転の双方が重要となります。当該事業においては、燃料調達については関西電力株式会社が中心となって対応し、当社は主として発電設備のオペレーション及びメンテナンスを担うなど、各社が役割分担しながら事業を推進しております。
オペレーションやメンテナンスにおいては、高度な技術力や有資格者の確保が重要な課題となりますが、これまで培ったプラント技術を活かし、安定運営に貢献しております。
ウ 陸上風力発電
陸上風力発電事業は、十分な風況が確保され事業が成立する地域が限定されるため、広範囲に及ぶ候補地域の中から開発対象地域を選定する必要があることから、事業化までに長期間を要する特徴があります。また、事業の推進にあたっては、森林伐採や猛禽類などにかかわる調査、ならびに大型機材搬入のための道路拡幅工事などが必要となるほか、地域住民の理解及び合意形成が不可欠となります。
このため、事業性を判断するまでの調査・開発段階において相応のコスト及び時間を要し、開発リスクは比較的大きいものの、開発が完了し運転開始に至った場合には、長期かつ安定的な収益が見込まれる事業であり、当社にとって成長を支える重要な事業の一つと認識しております。
また、福島県においては、2023年以降、594基(1.95GW)の陸上風力発電所の建設が計画されており、近隣3県(宮城県、山形県、新潟県)を含めると、1,046基(3.64GW)の陸上風力発電所の建設が計画されております。このような事業環境を踏まえ、当社は、陸上風力発電分野を中長期的な成長が見込まれる事業領域として認識しております。(出典:経済産業省「風力発電所一覧(発電所環境アセスメント情報)」を基に当社集計)
エ 小水力発電
小水力発電事業は、適地となる地点が限られていることに加え、水利権の取得や関係者との調整が必要となるため、開発にあたっては一定の時間と労力を要する特徴があります。一方で、発電規模は比較的小さいものの、渇水等の影響を受けない限り、安定した電力供給が可能であり、長期にわたって安定的な運転が見込まれる電源です。
このため、大規模な電源としての位置付けではないものの、地域特性を活かした分散型電源として、安定的収益を確保できる事業であると認識しています。
オ 系統用蓄電池
再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、電力需給の調整手段として系統用蓄電池(電力会社の送配電網(電力系統)に直接接続され、電力の需給バランスを調整するために運用される大規模な蓄電設備)が注目されています。系統用蓄電池事業は、適切な設置用地及び系統接続が確保できれば比較的短期間に事業化が可能である一方、収益性は電力市場の動向やアグリゲーターの運用方針に左右される特性があります。
このため、市場環境や事業スキームを見極めたうえでの事業化判断が重要となる事業であると認識しています。
③ その他事業
ア 介護事業
介護事業は、高齢化の進展を背景として、今後も安定的な需要が見込まれる分野であります。一方で、介護人材の不足は全国的な課題となっており、サービスの質を維持・向上させるためには、専門人材の確保及び定着が経営課題となっています。
イ 料飲事業
料飲事業を取り巻く経営環境としては、健康志向の高まりや地元産食材への関心の増加といった追い風がある一方で、地域における人口減少や過疎化の進行、ならびに人材不足、とりわけ調理人材の確保が課題となっております。また、地域内における同業他店との差別化や、安定的な固定客の確保も重要な経営課題であり、効率的かつ持続可能な店舗運営が求められております。
(3)将来のありたい姿と経営戦略
当社は、これまで述べてきた経営環境の変化を踏まえ、5年後(第40期)に目指す姿を見据えた中期経営計画(2025年度~2027年度)を策定しています。本計画に基づき、当社は、これまで培ってきた工事技術を基盤として、創意工夫による開発力を発揮し、「事業基盤の強靭化」と「再生可能エネルギー事業の拡大」を重点施策に位置付け収益性の向上を図ってまいります。
あわせて、「その他事業を通した社会貢献」として介護及び料飲事業についても、地域ニーズに即した形で着実な成長を目指してまいります。
また、持続的な成長を支える強固な経営基盤の整備を目的として、ビジョンステートメントとして「人を信じ、人を愛し、未来を創る」を掲げています。社員一人ひとりが自らの無限の可能性を信じ、仲間との信頼関係を基盤に、全社一体となって価値創出に取り組むことを目指し、新たな重点施策として「事業活動を根底で支える人財投資を中心とした強固な経営基盤の整備」を推進してまいります。
また、エネルギー事業を通して、世の為、人の為に尽くすことを目指し、社会課題の解決と地域社会への貢献を果たしてまいります。
当社は、創業以来、社名に込めた「be able」の精神を大切にし、困難な課題に対しても主体的に挑戦する企業文化を育んでまいりました。その結果、原子力発電所内における工事においても、元請事業者として発注者から指名を受ける機会が増加しています。今後も、これまでに培った設備工事技術及び現場対応力を基盤として、事業基盤の強靭化を進めるとともに、雇用機会の創出や地場産業の育成など、地域社会との共創を推進してまいります。
さらに、再生可能エネルギー事業の拡大を通じて脱炭素社会の実現に貢献するとともに、介護・料飲事業等のその他事業を通した社会的価値の創出に取り組み、社会的価値と経済的価値の両立による企業価値向上と持続的成長を目指してまいります。
これらの取り組みにより、人類社会の進歩発展に貢献し、「世の為人の為に役立つ企業」であり続けることを当社の将来像としています。

(4)具体的経営戦略
当社は、営業利益率及び経常利益率について、それぞれ10%以上を経営目標としています。当該目標の達成に向けては、各部門において戦略及びアクションプランを策定し、具体的なKPIに落とし込んで運用しております。例えば、差別化提案の推進を目的として、顧客から競争入札によらず個別に指名を受けて受注する案件(以下、「特命受注」という。)の拡大を重視しており、以下の指標をKPIとして設定し、受注構造の高度化を図っております。
① 工事事業
ア 廃炉作業
廃炉作業においては、付加価値の高い特命案件の受注拡大を重要な営業戦略としております。特に、創意工夫による工法提案やロボティックス技術を活用した高難易度案件への対応により、競争優位性のある分野での受注拡大を図っております。
営業部門においては、提案型営業を推進し、顧客の予算計画段階から参画することを目的として、四半期に1件以上の提案案件創出をKPIとして設定しております。また、顧客との継続的な関係構築を目的として、営業担当者による日次訪問活動を実施しております。
施工面においては、軽微なトラブルの抑制による品質向上及び原価低減を重視しており、迅速な対応による顧客信頼の維持向上に努めております。加えて、放射線管理課による現場パトロールを日次で実施し、放射線被ばくリスクの低減及び施工効率の向上を図っております。
これらのKPI及びアクションプランについては、経営計画と連動して運用し、継続的な収益性向上に取り組んでおります。
福島第一原子力発電所の廃炉作業において、安全性の確保、作業効率の向上及び作業員の被ばく低減を最重要課題と位置づけております。当社は、ロボティックス技術の活用や工法の改善等、創意工夫による技術的差別化を図ることにより、付加価値の高い工事を提供し、元請工事の受注拡大を目指してまいります。
また、AI等の先端技術の活用も視野に入れ、より高度な工事提案を行うことで受注機会の拡大を図ります。さらに、長期にわたる廃炉作業の特性を踏まえ、毎年安定的に受注が見込まれる工事を積み上げることで、売上の拡大及び安定化を図ってまいります。
加えて、福島第一原子力発電所で培った技術及び施工経験を活かし、他の廃炉プラントにおいても提案型営業を軸とした各種KPIに基づき積極的に受注活動を展開し、事業領域の拡大を図ってまいります。
また、廃炉作業はこれまで誰も経験したことのない分野でありながら、現場を熟知したうえで、従来技術と先端技術を融合させた対応が求められます。このため廃炉作業の現場では、管理型人材ではなく、プロジェクト完遂型人材が不可欠です。創業時からチャレンジ精神を持って取り組んできた当社の社風は、この点で大きな強みとなっています。
イ 稼働予定・稼働プラント
当社は、BWR型原子力発電所における炉内作業や制御棒の点検等、原子力発電所の重要設備に関する専門性の高い特殊な作業に強みを有しています。
今後は、この強みを活かし、BWR型原子力発電所の稼働予定プラントにおける再稼働関連工事に積極的に取り組むとともに、稼働後の定期検査においては、定期的に実施される定例工事として安定的な受注を目指してまいります。そのためには、労働災害や品質トラブルは未然に防止し、安全性及び品質を確保することが重要であると認識しております。このため、安全・品質管理に関するKPIとして、安全・品質パトロールの毎日実施、事前検討会及び事後検討会の実施、ならびに危険予知会議を作業開始前、中間時及び工事終了時に実施することとしております。
ウ 再処理工場(青森県)
青森県六ケ所村の使用済核燃料の再処理工場については、建設工事が終盤を迎えていることから、当該工事に対する積極的な営業活動を行ってまいります。
また、竣工後を見据え、同施設におけるメンテナンス作業についても、元請工事としての受注を目標に取り組んでまいります。
エ 一般産業工事
一般産業工事においては、木更津市に所在する鉄骨加工工場を富津市へ移転し、生産設備の拡充及び生産効率の向上を図ることで、付加価値の高い製品の製造体制を構築してまいります。
これにより、生産能力の増強を図るとともに、京葉・京浜地区の顧客ニーズに柔軟かつ迅速に対応できる体制を整備してまいります。
オ 小型モジュール原子炉
当社は、国内メーカーより小型モジュール原子炉向け検査装置の開発業務を受注しており、今後成長が見込まれる小型モジュール原子炉分野への取り組みを進めております
今後も、これまでに培った原子力分野における技術力及びロボット技術を活かし、小型モジュール原子炉関連事業への継続的な参画を目指してまいります。
② 再生可能エネルギー事業
ア 陸上風力発電所メンテナンス工事
国内においては、陸上風力発電所の増加に対して、メンテナンスを担う技術者が不足する状況にあります。
当社は、今後増加が見込まれる陸上風力発電所のメンテナンス工事を受注できる体制との構築を進めるとともに、専門技術力の強化を図ることで、参入障壁の高いメンテナンス事業の拡大を目指してまいります。
イ 木質バイオマス発電所オペレ-ション&メンテナンス事業
当社が出資するエイブルエナジー合同会社の木質バイオマス発電所の運営実績を基盤として、技術者層の拡充及び有資格者の育成を進め、運転・保守に関する技術力の向上を図ってまいります。
これにより、他の木質バイオマス発電所へオペレーション&メンテナンス事業の水平展開を可能とする体制を構築してまいります。
ウ 再生可能エネルギー電源開発
現在、木質バイオマス発電所について複数の開発計画があり、そのうち佐野発電所については2028年9月の運転開始を予定しております。なお、当該発電所のオペレーション&メンテナンスの契約を当社が受託しており、これらの実績も活用して更なる開発を進めてまいります。
また、風力発電所についても複数地点で開発を進めており、地産地消を基本とし、地域と共に成長する事業展開を重視しています。
さらに、小水力電源や廃食油を活用した発電等についても進めており、電源開発後はオペレーション&メンテナンスを担う方針です。
加えて、再生可能エネルギー事業においても、当社は、開発初期段階における調査・事業性評価から、事業スキームの構築、事業組成、運転開始後のオペレーション&メンテナンスに至るまでをアレンジできる一貫体制の構築を進めております。特に、風力発電及び木質バイオマス発電に係るメンテナンス業務については、必要な技術力、資格、人材及び取引先からの承認等が求められることから参入障壁が相応に高く、これらの分野における知見の蓄積とあわせて、当該一貫体制を通じて他社との差別化を図ってまいります。
再生可能エネルギー事業においても、当社は開発から事業スキームの構築、事業組成、さらにオペレーション&メンテナンスまでをアレンジできる一貫体制を整えています。これにより、他社との差別化を図るブルーオーシャン戦略を推進しています。
③ その他事業
その他事業(介護事業及び料飲事業)については、当社の主力事業である工事事業及び再生可能エネルギー事業を支える地域基盤の強化を目的とし、地域社会との関係強化及び人材の定着・活性化を目的として展開しております。これらの事業は、当社の経営理念である「全従業員の物心両面の幸せを追求すると共に、人類・社会の進歩発展に貢献する」に基づき、地域課題の解決に資する事業として実施しているものであります。
ア 介護事業
介護事業については、高齢化が進行する福島県において、理学療法士等の専門人材による運動機能の維持・回復を目的としたデイケアサービスを提供しております。本事業は、地域における社会的ニーズに応えることで、潜在的な需要を喚起し、当社の事業地域への展開・定着を図ってまいります。
イ 料飲事業
料飲事業については、地元産食材の活用や地域事業者との連携を図ることにより、鹿角市で進めております再生可能エネルギー事業等においても、地域経済に貢献できる事業を目指してまいります。
(5)対処すべき課題と成長戦略
当社が、経営戦略を進めていく上で、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題ならびに成長戦略は、以下のとおりです。
① 原子力にかかわる工事
・福島第一原子力発電所の廃炉作業においては、安全確保が最優先事項であり、労働災害及び放射線災害を未然に防止することが重要課題となります。このため、当社は、安全教育の徹底及び安全意識の継続的な向上を図るとともに、現場確認を徹底し「絶対安全」を基本方針として全社員及び協力会社に周知しています。
・放射線災害(過剰被ばく、身体汚染及び内部被ばく等)を防止するため、放射線管理部と工事部が綿密に連携し、作業手順及び工法の事前確認を行うなど、放射線管理体制の強化を図っています。
・廃炉作業を安定的に遂行するためには、各作業に必要な知識及び技能を有する人材の育成と、技量の高い協力会社の確保が不可欠です。当社は、教育体制の充実及び協力会社との関係強化を通じて、安定的な施工体制の構築を進めてまいります。
・BWR型原子力発電所において震災後初となる定期検査が実施されるプラントや、再稼働準備中の原子力発電所に対しては、積極的に工事受注を図る方針であり、これに対応するため、必要に応じて地元拠点の設置等、施工体制の整備を進めてまいります。
・小型モジュール原子炉分野については、既に開発分野での受注実績があることから、今後は部品製造等にも対応可能な技術力の習得を進め、事業領域の拡大を目指してまいります。
・AIを活用したメンテナンス工事の効率化を推進し、他社との差別化を図ってまいります。
② 一般産業工事事業
・一般産業分野においては、人手不足を背景として、技能職人の育成及び協力会社の確保が喫緊の課題とされています。当社は、魅力ある職場環境の整備を通じて、新規人材の採用及び育成を進め、受注拡大に対応できる体制を構築してまいります。
・労働災害防止の観点から、危険予知活動の徹底を図るとともに、品質管理体制の一層の強化により、高品質な製品及び工事を安定的に提供できる体制を整備してまいります。
③ 再生可能エネルギー事業
・再生可能エネルギー事業においては、木質バイオマス発電所の運営に必要となる各種国家資格を有する人材の確保及び育成が重要な課題であり、社員の資格取得を計画的に進めてまいります。
・陸上風力発電所のメンテナンス分野では、技術者不足が恒常的な課題となっていることから、人員の増強及び教育を通じて技術力の向上を図ってまいります。
・再生可能エネルギーの電源開発にあたっては、事業化の成否を見極めることが重要であり、開発リスクを適切に管理するため、成功可能性の高い案件を慎重に選別してまいります。
・また、電源開発には、地域住民の理解及び協力が不可欠であることから、地域との共生を重視した事業推進を行ってまいります。
・再生可能エネルギー設備のメンテナンス分野においては、AIの活用等を通じた効率化及び高度化による創意工夫に加え、当社は開発から事業スキームの構築、事業組成、さらにオペレーション&メンテナンスまでをアレンジできる一貫体制を活かし、他社との差別化を図るブルーオーシャン戦略を推進してまいります。
④ その他事業
・介護事業においては、利用者に寄り添い信頼関係を構築すること重要であり、社員のホスピタリティー、思いやりの心を重視した人材育成を行ってまいります。その一環として、社内勉強会やコミュニケーションの活性化を通じて、社員の人格面の成長を促進してまいります。
・看護師、理学療法士、介護士、ケアマネージャー等の有資格者については、現時点では一定数を確保しておりますが、今後の事業拡張に対応するため、計画的な増員を進めてまいります。
・料飲事業については、地域の信頼及び評判が事業の成否に大きな影響を与えることから、地元自治体や商工会等との連携を重視し、地元食材の活用等を通じて、産官学や市民の交流の場となるよう、地域と共生する事業運営を行ってまいります。
・その他事業においては、地域で開発した再生可能エネルギーの活用による地域活性化についても検討を進めてまいります。
⑤ 財務
・成長資金の確保
再生可能エネルギー事業の開発には、長期間にわたる投資が必要であり、投資回収までにも相応の期間を有することから、安定的なキャッシュ・フローの確保が重要な財務課題となります。
当社は、純資産及び負債のバランスに配慮した財務運営を行い、不測の事態にも対応可能な健全な財務体質の維持を図ってまいります。
⑥ 環境及び地域社会への対応
・環境への配慮
再生可能エネルギーの開発にあたっては、法令上の環境アセスメントの対象外となる場合であっても、自主的な調査を実施し、自然環境への十分な配慮を行ってまいります。
・地域との共生の推進
地域社会と継続的にコミュニケーションを通じて、事業の意義や目的を共有し、地域と連携した事業推進を進めてまいります。
(1)経営方針
当社は、社是として「利他」を掲げています。これは、株主をはじめとするすべてのステークホルダーから信頼と安心が得られるように最善を尽くす、ということです。また、事業運営を通じて、すべての人々に対して思いやりを持って接する姿勢を重視するものです。
現在、当社は、人類がこれまで経験したことのない原子力災害への対応として、福島第一原子力発電所の廃炉事業に取り組んでいます。また、地球環境を守り持続可能な社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの開発及び運営を行っています。さらに、地域社会の活性化に貢献する取り組みとして介護や食の事業にも取り組んでいます。
これらの事業活動を通じて、社員一人ひとりが社会的意義や仕事へのやりがいを感じ、物心両面において幸せを感じることが、当社の重要な経営目的の一つであります。
当社は、この考えを基盤として、経営理念として「全従業員の物心両面の幸せを追求すると共に人類・社会の進歩発展に貢献する」を掲げています。事業を通して、共に働く仲間の物心両面の幸せを追求すると共に社会、業界及び地域の発展に貢献することを目指しています。このような取り組みを継続することが、結果として企業価値の向上につながり、株主をはじめとしるステークホルダーからの信頼に応えるものになると考えています。



この「社是」及び「経営理念」に基づき、以下のとおり、経営環境の変化を踏まえて、経営の基本方針として中期経営計画(2025~2027年度)を定めています。
(2)当社事業を取り巻く経営環境
① 工事事業
ア 廃炉・原子力分野
福島第一原子力発電所の廃炉作業については、東京電力ホールディングス株式会社が策定した「第5次総合特別事業計画」が、2025年12月26日に原子力損害賠償・廃炉等支援機構の了承を経て、2026年1月9日に政府(経済産業省)へ申請され、同年1月26日に許可されています。当該計画においては「廃炉事業の長期化を前提に、人員・体制を強化すること」が明確化されており、国の指導の下、今後も福島第一原子力発電所の廃炉作業は継続的に推進されると見込まれます。
福島第一原子力発電所の廃炉については、政府が決定した「東京電力HD(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」に基づいて進められており、このロードマップでは、「廃止措置(廃炉)完了目標時期:2041年~2051年」「事故(2011年)から 約30~40年 を要する長期事業」と明記されています。
また、廃炉費用について、経済産業省(資源エネルギー庁)では「福島第一原子力発電所の廃炉費用の負担の在り方について(2016)」において、賠償・除染とは別に、廃炉に要する費用として、「廃炉費用:約8兆円程度、対象期間:約30~40年」と推計しています。東京電力ホールティング株式会社では、原子力損害賠償・廃炉等支援機構に積み立てた廃炉等積立金を、経済産業大臣の承認に基づき、毎年取り戻すことにより廃炉工事を進めており、2026年4月6日に2026~2028年度の取戻計画として年2,600~3,000億円規模が承認されています。
当社は福島県浜通り地域に拠点を置く地元企業として、福島第一原子力発電所の廃炉作業への貢献が期待されており、こうした事業環境のもと、廃炉関連工事における受注機会は拡大しております。

出典:東京電力ホールディングス株式会社/原子力損害賠償・廃炉等支援機構「廃炉等積立金の取戻しに関する計画の概要」を基に当社作成

出典:「東京電力ホールディングス株式会社廃炉に向けたロードマップ」を基に当社作成
また、福島第一原子力発電所以外にも、全国において原子力発電所の廃炉が計画されており、その予定基数は、2026年1月時点で計18基であり、廃炉費用の総額は約1兆円規模が見込まれています。福島第二原子力発電所や浜岡原子力発電所において廃炉に向けた準備が進んでおり、今後、受注機会が拡大していく状況にあります。

出典:資源エネルギー庁「原子力政策に関する最近の動向について」(2026年3月31日)を基に当社作成
原子力分野においては、今後の再稼働に向けた準備工事を進めているほか、再稼働した原子力発電所における定期検査工事の受注・施工も行っています。AIの普及等による将来的な電力需要の増加やCO2削減に向けた社会的要請を背景として、原子力発電所の役割は今後一層重要性を増すと考えられ、当社にとっても受注機会の拡大が見込まれる事業環境にあります。
また、核燃料廃棄物の処理及びリサイクルを目的としたプラントの建設が竣工間近となっており、今後は当該プラントのメンテナンス事業の機会が増大する見通しです。
海外に目を向けると、安全性の向上及び避難範囲の限定を特徴とする小型モジュール原子炉(SMR)の建設が始まり、今後増加する傾向にあります。当社は、国内メーカーと連携し、小型モジュール原子炉向け検査装置の開発に取り組むとともに、ロボット技術を活用した製造・メンテナンス分野への参画を進めています。現時点での開発サポートサービスの売上規模は限定的であるものの、将来的な国内外におけるSMR関連事業への参入を見据え、技術基盤の構築を進めております。
イ 一般産業分野
千葉県木更津市にて鉄骨加工を行っておりますが、京葉臨海工業地域及び京浜工業地帯の地の利を生かせる好立地にあります。設備投資需要の動向を踏まえ、新しい工場の建設やリニューアル工事が増える環境にあります。
そのようなことを踏まえ、次々年度には千葉県富津市に工場を新設移転し生産能力を増やす予定です。
なお、富津工場への機能移転後の木更津工場跡地については、系統用蓄電池事業やデータセンター事業等への活用を検討しております。現時点で具体的な事業計画は確定しておりませんが、既存資産の有効活用を図る方針であります。
② 再生可能エネルギー事業
第7次エネルギー基本計画(2025年2月)に基づく2040年の発電電力量は1.1~1.2兆kWhと想定され、その4~5割を再生可能エネルギーが担うと想定されています。将来の再エネ電気の価格を一般的と言われている想定値の12~18円/kWhとすると、市場規模は5~11兆円と試算されます。

出典:資源エネルギー庁「エネルギー基本計画の概要(令和7年2月)」を基に当社作成
ア 太陽光発電
太陽光発電事業は、発電設備の設置場所及び電力系統への接続が確保できれば比較的事業化しやすい特性を有しています。一方で、エネルギー密度が低く、一定規模の発電量を確保するためには広大な用地を必要とすることから、景観への影響や地域住民の理解といった点が課題となっております。
また、近年はこうした課題を背景に、立地条件や地域特性を十分に考慮した事業判断が求められています。
イ 木質バイオマス発電
木質バイオマス発電事業は、再生可能エネルギーの中でも出力が安定しており、天候等の影響を受けにくいベースロード電源としての特性を有しています。当社は、関連会社が運営する木質バイオマス発電所に対し、オペレーション&メンテナンス(運転・保守)業務を受託しております。
木質バイオマス発電事業の継続にあたっては、燃料となる木質資源の長期にわたる安定調達体制の構築と発電所設備の安定運転の双方が重要となります。当該事業においては、燃料調達については関西電力株式会社が中心となって対応し、当社は主として発電設備のオペレーション及びメンテナンスを担うなど、各社が役割分担しながら事業を推進しております。
オペレーションやメンテナンスにおいては、高度な技術力や有資格者の確保が重要な課題となりますが、これまで培ったプラント技術を活かし、安定運営に貢献しております。
ウ 陸上風力発電
陸上風力発電事業は、十分な風況が確保され事業が成立する地域が限定されるため、広範囲に及ぶ候補地域の中から開発対象地域を選定する必要があることから、事業化までに長期間を要する特徴があります。また、事業の推進にあたっては、森林伐採や猛禽類などにかかわる調査、ならびに大型機材搬入のための道路拡幅工事などが必要となるほか、地域住民の理解及び合意形成が不可欠となります。
このため、事業性を判断するまでの調査・開発段階において相応のコスト及び時間を要し、開発リスクは比較的大きいものの、開発が完了し運転開始に至った場合には、長期かつ安定的な収益が見込まれる事業であり、当社にとって成長を支える重要な事業の一つと認識しております。
また、福島県においては、2023年以降、594基(1.95GW)の陸上風力発電所の建設が計画されており、近隣3県(宮城県、山形県、新潟県)を含めると、1,046基(3.64GW)の陸上風力発電所の建設が計画されております。このような事業環境を踏まえ、当社は、陸上風力発電分野を中長期的な成長が見込まれる事業領域として認識しております。(出典:経済産業省「風力発電所一覧(発電所環境アセスメント情報)」を基に当社集計)
エ 小水力発電
小水力発電事業は、適地となる地点が限られていることに加え、水利権の取得や関係者との調整が必要となるため、開発にあたっては一定の時間と労力を要する特徴があります。一方で、発電規模は比較的小さいものの、渇水等の影響を受けない限り、安定した電力供給が可能であり、長期にわたって安定的な運転が見込まれる電源です。
このため、大規模な電源としての位置付けではないものの、地域特性を活かした分散型電源として、安定的収益を確保できる事業であると認識しています。
オ 系統用蓄電池
再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、電力需給の調整手段として系統用蓄電池(電力会社の送配電網(電力系統)に直接接続され、電力の需給バランスを調整するために運用される大規模な蓄電設備)が注目されています。系統用蓄電池事業は、適切な設置用地及び系統接続が確保できれば比較的短期間に事業化が可能である一方、収益性は電力市場の動向やアグリゲーターの運用方針に左右される特性があります。
このため、市場環境や事業スキームを見極めたうえでの事業化判断が重要となる事業であると認識しています。
③ その他事業
ア 介護事業
介護事業は、高齢化の進展を背景として、今後も安定的な需要が見込まれる分野であります。一方で、介護人材の不足は全国的な課題となっており、サービスの質を維持・向上させるためには、専門人材の確保及び定着が経営課題となっています。
イ 料飲事業
料飲事業を取り巻く経営環境としては、健康志向の高まりや地元産食材への関心の増加といった追い風がある一方で、地域における人口減少や過疎化の進行、ならびに人材不足、とりわけ調理人材の確保が課題となっております。また、地域内における同業他店との差別化や、安定的な固定客の確保も重要な経営課題であり、効率的かつ持続可能な店舗運営が求められております。
(3)将来のありたい姿と経営戦略
当社は、これまで述べてきた経営環境の変化を踏まえ、5年後(第40期)に目指す姿を見据えた中期経営計画(2025年度~2027年度)を策定しています。本計画に基づき、当社は、これまで培ってきた工事技術を基盤として、創意工夫による開発力を発揮し、「事業基盤の強靭化」と「再生可能エネルギー事業の拡大」を重点施策に位置付け収益性の向上を図ってまいります。
あわせて、「その他事業を通した社会貢献」として介護及び料飲事業についても、地域ニーズに即した形で着実な成長を目指してまいります。
また、持続的な成長を支える強固な経営基盤の整備を目的として、ビジョンステートメントとして「人を信じ、人を愛し、未来を創る」を掲げています。社員一人ひとりが自らの無限の可能性を信じ、仲間との信頼関係を基盤に、全社一体となって価値創出に取り組むことを目指し、新たな重点施策として「事業活動を根底で支える人財投資を中心とした強固な経営基盤の整備」を推進してまいります。
また、エネルギー事業を通して、世の為、人の為に尽くすことを目指し、社会課題の解決と地域社会への貢献を果たしてまいります。
当社は、創業以来、社名に込めた「be able」の精神を大切にし、困難な課題に対しても主体的に挑戦する企業文化を育んでまいりました。その結果、原子力発電所内における工事においても、元請事業者として発注者から指名を受ける機会が増加しています。今後も、これまでに培った設備工事技術及び現場対応力を基盤として、事業基盤の強靭化を進めるとともに、雇用機会の創出や地場産業の育成など、地域社会との共創を推進してまいります。
さらに、再生可能エネルギー事業の拡大を通じて脱炭素社会の実現に貢献するとともに、介護・料飲事業等のその他事業を通した社会的価値の創出に取り組み、社会的価値と経済的価値の両立による企業価値向上と持続的成長を目指してまいります。
これらの取り組みにより、人類社会の進歩発展に貢献し、「世の為人の為に役立つ企業」であり続けることを当社の将来像としています。

(4)具体的経営戦略
当社は、営業利益率及び経常利益率について、それぞれ10%以上を経営目標としています。当該目標の達成に向けては、各部門において戦略及びアクションプランを策定し、具体的なKPIに落とし込んで運用しております。例えば、差別化提案の推進を目的として、顧客から競争入札によらず個別に指名を受けて受注する案件(以下、「特命受注」という。)の拡大を重視しており、以下の指標をKPIとして設定し、受注構造の高度化を図っております。
| 第34期 | 第35期 | |
| 高難易度案件又は新規工法を伴う提案による特命受注件数:年間5件以上(受注金額5,000万円以上) | 4件 | 4件 |
| 大型案件(受注金額1億円以上)の受注金額比率:50%以上 | 62% | 53% |
| 元請による受注金額比率:55%以上 | 52% | 61% |
① 工事事業
ア 廃炉作業
廃炉作業においては、付加価値の高い特命案件の受注拡大を重要な営業戦略としております。特に、創意工夫による工法提案やロボティックス技術を活用した高難易度案件への対応により、競争優位性のある分野での受注拡大を図っております。
営業部門においては、提案型営業を推進し、顧客の予算計画段階から参画することを目的として、四半期に1件以上の提案案件創出をKPIとして設定しております。また、顧客との継続的な関係構築を目的として、営業担当者による日次訪問活動を実施しております。
施工面においては、軽微なトラブルの抑制による品質向上及び原価低減を重視しており、迅速な対応による顧客信頼の維持向上に努めております。加えて、放射線管理課による現場パトロールを日次で実施し、放射線被ばくリスクの低減及び施工効率の向上を図っております。
これらのKPI及びアクションプランについては、経営計画と連動して運用し、継続的な収益性向上に取り組んでおります。
福島第一原子力発電所の廃炉作業において、安全性の確保、作業効率の向上及び作業員の被ばく低減を最重要課題と位置づけております。当社は、ロボティックス技術の活用や工法の改善等、創意工夫による技術的差別化を図ることにより、付加価値の高い工事を提供し、元請工事の受注拡大を目指してまいります。
また、AI等の先端技術の活用も視野に入れ、より高度な工事提案を行うことで受注機会の拡大を図ります。さらに、長期にわたる廃炉作業の特性を踏まえ、毎年安定的に受注が見込まれる工事を積み上げることで、売上の拡大及び安定化を図ってまいります。
加えて、福島第一原子力発電所で培った技術及び施工経験を活かし、他の廃炉プラントにおいても提案型営業を軸とした各種KPIに基づき積極的に受注活動を展開し、事業領域の拡大を図ってまいります。
また、廃炉作業はこれまで誰も経験したことのない分野でありながら、現場を熟知したうえで、従来技術と先端技術を融合させた対応が求められます。このため廃炉作業の現場では、管理型人材ではなく、プロジェクト完遂型人材が不可欠です。創業時からチャレンジ精神を持って取り組んできた当社の社風は、この点で大きな強みとなっています。
イ 稼働予定・稼働プラント
当社は、BWR型原子力発電所における炉内作業や制御棒の点検等、原子力発電所の重要設備に関する専門性の高い特殊な作業に強みを有しています。
今後は、この強みを活かし、BWR型原子力発電所の稼働予定プラントにおける再稼働関連工事に積極的に取り組むとともに、稼働後の定期検査においては、定期的に実施される定例工事として安定的な受注を目指してまいります。そのためには、労働災害や品質トラブルは未然に防止し、安全性及び品質を確保することが重要であると認識しております。このため、安全・品質管理に関するKPIとして、安全・品質パトロールの毎日実施、事前検討会及び事後検討会の実施、ならびに危険予知会議を作業開始前、中間時及び工事終了時に実施することとしております。
ウ 再処理工場(青森県)
青森県六ケ所村の使用済核燃料の再処理工場については、建設工事が終盤を迎えていることから、当該工事に対する積極的な営業活動を行ってまいります。
また、竣工後を見据え、同施設におけるメンテナンス作業についても、元請工事としての受注を目標に取り組んでまいります。
エ 一般産業工事
一般産業工事においては、木更津市に所在する鉄骨加工工場を富津市へ移転し、生産設備の拡充及び生産効率の向上を図ることで、付加価値の高い製品の製造体制を構築してまいります。
これにより、生産能力の増強を図るとともに、京葉・京浜地区の顧客ニーズに柔軟かつ迅速に対応できる体制を整備してまいります。
オ 小型モジュール原子炉
当社は、国内メーカーより小型モジュール原子炉向け検査装置の開発業務を受注しており、今後成長が見込まれる小型モジュール原子炉分野への取り組みを進めております
今後も、これまでに培った原子力分野における技術力及びロボット技術を活かし、小型モジュール原子炉関連事業への継続的な参画を目指してまいります。
② 再生可能エネルギー事業
ア 陸上風力発電所メンテナンス工事
国内においては、陸上風力発電所の増加に対して、メンテナンスを担う技術者が不足する状況にあります。
当社は、今後増加が見込まれる陸上風力発電所のメンテナンス工事を受注できる体制との構築を進めるとともに、専門技術力の強化を図ることで、参入障壁の高いメンテナンス事業の拡大を目指してまいります。
イ 木質バイオマス発電所オペレ-ション&メンテナンス事業
当社が出資するエイブルエナジー合同会社の木質バイオマス発電所の運営実績を基盤として、技術者層の拡充及び有資格者の育成を進め、運転・保守に関する技術力の向上を図ってまいります。
これにより、他の木質バイオマス発電所へオペレーション&メンテナンス事業の水平展開を可能とする体制を構築してまいります。
ウ 再生可能エネルギー電源開発
現在、木質バイオマス発電所について複数の開発計画があり、そのうち佐野発電所については2028年9月の運転開始を予定しております。なお、当該発電所のオペレーション&メンテナンスの契約を当社が受託しており、これらの実績も活用して更なる開発を進めてまいります。
また、風力発電所についても複数地点で開発を進めており、地産地消を基本とし、地域と共に成長する事業展開を重視しています。
さらに、小水力電源や廃食油を活用した発電等についても進めており、電源開発後はオペレーション&メンテナンスを担う方針です。
加えて、再生可能エネルギー事業においても、当社は、開発初期段階における調査・事業性評価から、事業スキームの構築、事業組成、運転開始後のオペレーション&メンテナンスに至るまでをアレンジできる一貫体制の構築を進めております。特に、風力発電及び木質バイオマス発電に係るメンテナンス業務については、必要な技術力、資格、人材及び取引先からの承認等が求められることから参入障壁が相応に高く、これらの分野における知見の蓄積とあわせて、当該一貫体制を通じて他社との差別化を図ってまいります。
再生可能エネルギー事業においても、当社は開発から事業スキームの構築、事業組成、さらにオペレーション&メンテナンスまでをアレンジできる一貫体制を整えています。これにより、他社との差別化を図るブルーオーシャン戦略を推進しています。
③ その他事業
その他事業(介護事業及び料飲事業)については、当社の主力事業である工事事業及び再生可能エネルギー事業を支える地域基盤の強化を目的とし、地域社会との関係強化及び人材の定着・活性化を目的として展開しております。これらの事業は、当社の経営理念である「全従業員の物心両面の幸せを追求すると共に、人類・社会の進歩発展に貢献する」に基づき、地域課題の解決に資する事業として実施しているものであります。
ア 介護事業
介護事業については、高齢化が進行する福島県において、理学療法士等の専門人材による運動機能の維持・回復を目的としたデイケアサービスを提供しております。本事業は、地域における社会的ニーズに応えることで、潜在的な需要を喚起し、当社の事業地域への展開・定着を図ってまいります。
イ 料飲事業
料飲事業については、地元産食材の活用や地域事業者との連携を図ることにより、鹿角市で進めております再生可能エネルギー事業等においても、地域経済に貢献できる事業を目指してまいります。
(5)対処すべき課題と成長戦略
当社が、経営戦略を進めていく上で、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題ならびに成長戦略は、以下のとおりです。
① 原子力にかかわる工事
・福島第一原子力発電所の廃炉作業においては、安全確保が最優先事項であり、労働災害及び放射線災害を未然に防止することが重要課題となります。このため、当社は、安全教育の徹底及び安全意識の継続的な向上を図るとともに、現場確認を徹底し「絶対安全」を基本方針として全社員及び協力会社に周知しています。
・放射線災害(過剰被ばく、身体汚染及び内部被ばく等)を防止するため、放射線管理部と工事部が綿密に連携し、作業手順及び工法の事前確認を行うなど、放射線管理体制の強化を図っています。
・廃炉作業を安定的に遂行するためには、各作業に必要な知識及び技能を有する人材の育成と、技量の高い協力会社の確保が不可欠です。当社は、教育体制の充実及び協力会社との関係強化を通じて、安定的な施工体制の構築を進めてまいります。
・BWR型原子力発電所において震災後初となる定期検査が実施されるプラントや、再稼働準備中の原子力発電所に対しては、積極的に工事受注を図る方針であり、これに対応するため、必要に応じて地元拠点の設置等、施工体制の整備を進めてまいります。
・小型モジュール原子炉分野については、既に開発分野での受注実績があることから、今後は部品製造等にも対応可能な技術力の習得を進め、事業領域の拡大を目指してまいります。
・AIを活用したメンテナンス工事の効率化を推進し、他社との差別化を図ってまいります。
② 一般産業工事事業
・一般産業分野においては、人手不足を背景として、技能職人の育成及び協力会社の確保が喫緊の課題とされています。当社は、魅力ある職場環境の整備を通じて、新規人材の採用及び育成を進め、受注拡大に対応できる体制を構築してまいります。
・労働災害防止の観点から、危険予知活動の徹底を図るとともに、品質管理体制の一層の強化により、高品質な製品及び工事を安定的に提供できる体制を整備してまいります。
③ 再生可能エネルギー事業
・再生可能エネルギー事業においては、木質バイオマス発電所の運営に必要となる各種国家資格を有する人材の確保及び育成が重要な課題であり、社員の資格取得を計画的に進めてまいります。
・陸上風力発電所のメンテナンス分野では、技術者不足が恒常的な課題となっていることから、人員の増強及び教育を通じて技術力の向上を図ってまいります。
・再生可能エネルギーの電源開発にあたっては、事業化の成否を見極めることが重要であり、開発リスクを適切に管理するため、成功可能性の高い案件を慎重に選別してまいります。
・また、電源開発には、地域住民の理解及び協力が不可欠であることから、地域との共生を重視した事業推進を行ってまいります。
・再生可能エネルギー設備のメンテナンス分野においては、AIの活用等を通じた効率化及び高度化による創意工夫に加え、当社は開発から事業スキームの構築、事業組成、さらにオペレーション&メンテナンスまでをアレンジできる一貫体制を活かし、他社との差別化を図るブルーオーシャン戦略を推進してまいります。
④ その他事業
・介護事業においては、利用者に寄り添い信頼関係を構築すること重要であり、社員のホスピタリティー、思いやりの心を重視した人材育成を行ってまいります。その一環として、社内勉強会やコミュニケーションの活性化を通じて、社員の人格面の成長を促進してまいります。
・看護師、理学療法士、介護士、ケアマネージャー等の有資格者については、現時点では一定数を確保しておりますが、今後の事業拡張に対応するため、計画的な増員を進めてまいります。
・料飲事業については、地域の信頼及び評判が事業の成否に大きな影響を与えることから、地元自治体や商工会等との連携を重視し、地元食材の活用等を通じて、産官学や市民の交流の場となるよう、地域と共生する事業運営を行ってまいります。
・その他事業においては、地域で開発した再生可能エネルギーの活用による地域活性化についても検討を進めてまいります。
⑤ 財務
・成長資金の確保
再生可能エネルギー事業の開発には、長期間にわたる投資が必要であり、投資回収までにも相応の期間を有することから、安定的なキャッシュ・フローの確保が重要な財務課題となります。
当社は、純資産及び負債のバランスに配慮した財務運営を行い、不測の事態にも対応可能な健全な財務体質の維持を図ってまいります。
⑥ 環境及び地域社会への対応
・環境への配慮
再生可能エネルギーの開発にあたっては、法令上の環境アセスメントの対象外となる場合であっても、自主的な調査を実施し、自然環境への十分な配慮を行ってまいります。
・地域との共生の推進
地域社会と継続的にコミュニケーションを通じて、事業の意義や目的を共有し、地域と連携した事業推進を進めてまいります。