有価証券報告書(内国投資証券)-第16期(平成25年9月1日-平成26年2月28日)

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2014/05/23 15:34
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(1)リスク要因
以下には、本書の日付現在の法制度等を踏まえ、本投資証券又は本投資法人債券への投資に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。ただし、以下は本投資証券又は本投資法人債券への投資に関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。また、本投資法人が保有している個別の不動産信託受益権に係る不動産又は不動産に係る不動産に固有のリスクについては、後記「5 運用状況 (2)投資資産 ③ その他投資資産の主要なもの (ロ)個別資産の概要」を併せてご参照下さい。
本投資法人は、可能な限りこれらのリスクの発生の回避及び発生した場合の対応に努めますが、回避及び対応が結果的に十分である保証はありません。以下に記載するリスクが現実化した場合、本投資証券又は本投資法人債券の市場価格は下落し、発行価格を下回ることも予想され、その結果、投資主又は投資法人債権者が損失を被る可能性があります。また、本投資法人の純資産額の低下その他財務状況の悪化により、分配率の低下が生じる可能性があります。
各投資家は、自らの責任において、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で本投資証券又は本投資法人債券に関する投資判断を行う必要があります。
なお、本書に記載の事項には、将来に関する事項が含まれますが、別段の記載のない限り、これらの事項は本書の日付現在における本投資法人及び本資産運用会社の判断又は仮定に基づく予測等によるものであり、実際の結果と異なる可能性があります。
本項に記載されているリスク項目は、以下のとおりです。
① 投資証券又は投資法人債券の商品性に関するリスク
(イ)投資証券又は投資法人債券の市場価格の変動及び流動性に関するリスク
(ロ)金銭の分配に関するリスク
(ハ)収入及び支出の変動に関するリスク
(ニ)投資口の追加発行時の1口当たりの価値の希薄化に関するリスク
(ホ)本投資証券の市場での取引に関するリスク
(ヘ)投資法人債券の償還・利払に関するリスク
② 本投資法人の運用方針等に関するリスク
(イ)投資対象を主として居住施設としていることによるリスク
(ロ)不動産の地域的な偏在に関するリスク
(ハ)PM会社に関するリスク
(ニ)不動産を取得又は譲渡できないリスク
(ホ)投資口の追加発行、借入れ及び投資法人債による資金調達に関するリスク
(ヘ)投資主優待制度に関するリスク
③ 本投資法人の関係者、仕組みに関するリスク
(イ)スポンサー及びサポート会社への依存、利益相反に関するリスク
(ロ)本投資法人の関係者への依存、利益相反に関するリスク
(ハ)本投資法人の執行役員及び本資産運用会社の人材に依存しているリスク
(ニ)本投資法人の投資方針の変更に関するリスク
(ホ)本投資法人の倒産のリスク
(ヘ)敷金及び保証金に関するリスク
④ 不動産及び信託の受益権に関する法的リスク
(イ)不動産の欠陥・瑕疵に関するリスク
(ロ)賃貸借契約に関するリスク
(ハ)災害等による不動産の毀損、滅失及び劣化のリスク
(ニ)不動産に係る所有者責任、修繕・維持費用等に関するリスク
(ホ)不動産に係る行政法規・条例等に関するリスク
(ヘ)法令等の制定・変更に関するリスク
(ト)売主の倒産等の影響を受けるリスク
(チ)マスターリースに関するリスク
(リ)転貸に関するリスク
(ヌ)テナント等の属性や不動産の利用状況に関するリスク
(ル)共有物件に関するリスク
(ヲ)区分所有建物に関するリスク
(ワ)借地物件に関するリスク
(カ)借家物件に関するリスク
(ヨ)開発物件に関するリスク
(タ)有害物質に関するリスク
(レ)不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク
(ソ)フォワード・コミットメント等に関するリスク
(ツ)高齢者向け住宅に関するリスク
⑤ 税制に関するリスク
(イ)導管性要件に関するリスク
(ロ)税務調査等による更正処分のため、導管性要件が事後的に満たされなくなるリスク
(ハ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
(ニ)一般的な税制の変更に関するリスク
⑥ その他のリスク
(イ)予定した取引を実行することができないリスク
(ロ)不動産の譲渡に伴う責任に関するリスク
(ハ)専門家報告書等に関するリスク
(ニ)過去の収支状況が将来の本投資法人の収支状況と一致しないリスク
(ホ)本投資法人等の評判に関するリスク
(ヘ)減損会計の適用に関するリスク
① 投資証券又は投資法人債券の商品性に関するリスク
(イ)投資証券又は投資法人債券の市場価格の変動及び流動性に関するリスク
本投資法人は、投資主からの請求による払戻しを行わないクローズド・エンド型であるため、投資主が本投資証券を換価する手段は、第三者に対する売却に限定されます。
本投資証券又は本投資法人債券の市場価格及び流動性は、本投資証券については金融商品取引所における投資家の需給により影響を受け、一定の期間内に大量の売買が行われた場合には、価格が大きく変動する可能性があります。また、市場価格は、金利情勢、経済情勢、不動産市況その他市場を取り巻く様々な要因の影響を受けて変動します。
また、本投資法人若しくは本資産運用会社、又は他の投資法人若しくは他の資産運用会社に対して監督官庁による行政処分の勧告や行政処分が行われた場合にも、本投資証券又は本投資法人債券の市場価格が下落することがあります。
そのため、投資主又は本投資法人債権者は、本投資証券又は本投資法人債券を希望する価格水準や数量で売買できない可能性があり、その結果、投資主又は本投資法人債権者は期待した利益を確保できず、損失を被る可能性があります。
また、以下に記載の各リスクが顕在化した場合等において、本投資法人及びその保有資産、並びに本資産運用会社をはじめとする関係者の評判が損なわれる可能性があり、かかる評判の悪化は、本投資法人の信用に大きな打撃を与えることもあります。その結果、本投資証券又は本投資法人債券の市場価格の下落や、本投資証券又は本投資法人債券の取引機会の縮小など様々な事態の発生により、投資主又は本投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
(ロ)金銭の分配に関するリスク
本投資法人は前記「2 投資方針 (3)分配方針」に記載の分配方針に従って、投資主に対して金銭の分配を行うこととしていますが、分配の有無及びその金額は、いかなる場合においても保証されるものではありません。本投資法人が取得する不動産及び不動産を裏付けとする資産の当該裏付け不動産(以下、本「(1)リスク要因」において総称して「不動産」といいます。)の賃貸状況、売買や管理運営に伴う収益及び費用の状況等により、期間損益が変動し、投資主への分配金が増減することがあります。
また、本投資法人は、負ののれん発生益を中心に、物件売却益及び投資法人債の買入消却益等を分配準備積立金(内部留保)として積立てており、かかる内部留保を、減価償却費相当額から資本的支出相当額を控除した金額を上限に取崩し、当期純利益に上乗せするため使用することとしています。更に、不動産等売却損等の特別な損失が発生した場合等一定の場合には、内部留保を取崩すことで分配金の安定化を目指すこととしています。加えて、運用実績が予想を下回った場合には、運用実績が予想を下回った部分につき内部留保を取崩すことで分配金の安定化を目指すこととしています。しかし、かかる内部留保の取崩しはキャッシュの裏付けのない会計上の利益の計上であるため、金銭の分配を行う場合、当該分配は分配可能なキャッシュの額による制約を受けます。本投資法人が金銭の分配を行う時点において内部留保の取崩しにより生じる剰余金に基づく金銭の分配を行うに足りるキャッシュが存在するという保証はなく、予想分配金の額の分配を受けられるという保証もありません。
(ハ)収入及び支出の変動に関するリスク
本投資法人の収入は、主として不動産の賃料収入に依存しています。不動産に係る賃料収入は、不動産の稼働率の低下等により、大きく減少する可能性がある他、賃借人との協議や賃借人からの請求等により賃料が減額されたり、契約どおりの増額改定を行えなかったりする可能性もあります(なお、これら不動産に係る賃料収入に関するリスクについては、後記「④ 不動産及び信託の受益権に関する法的リスク (ロ)賃貸借契約に関するリスク」をご参照下さい。)。本書において開示されている保有資産の過去の収支の状況や賃料総額も、当該資産の今後の収支の状況や賃料総額を必ずしも予測させ又は保証するものではありません(なお、後記「⑥ その他のリスク (ニ)過去の収支状況が将来の本投資法人の収支状況と一致しないリスク」も併せてご参照下さい。)。また、当該不動産に関して締結される賃貸借契約に基づく賃料が、一般的な賃料水準に比して適正な水準にあるとは限りません。
一方、収入の減少だけでなく、退去するテナントへの預り敷金及び保証金の返還、大規模修繕等に要する費用支出、多額の資本的支出、不動産の取得や管理等に要する費用、その他不動産に関する支出が状況により増大し、キャッシュ・フローを減ずる要因となる可能性があります。
このように、不動産からの収入が減少する可能性があるとともに、不動産に関する支出は増大する可能性があり、これら双方又はいずれか一方の事由が生じた場合、投資主への分配金額が減少したり、本投資証券又は本投資法人債券の市場価格が下落したりすることがあります。
(ニ)投資口の追加発行時の1口当たりの価値の希薄化に関するリスク
本投資法人は、資産の取得等のために新投資口を随時追加発行することがありますが、かかる追加発行により既存の投資主の保有する投資口の持分割合が減少します。また、本投資法人の営業期間中に追加発行された投資口に対して、当該営業期間の期首から存在する投資口と同額の金銭の分配が行われると、既存の投資主は、追加発行がなかった場合に比して、悪影響を受ける可能性があります。
更に、追加発行の結果、本投資法人の投資口1口当たりの価値や、市場における需給バランスが影響を受ける可能性があります。
(ホ)本投資証券の市場での取引に関するリスク
本投資証券は、東京証券取引所に上場していますが、本投資法人の資産総額の減少、投資口の売買高の減少その他の東京証券取引所の有価証券上場規程に定める上場廃止基準に抵触する場合には、本投資証券の上場が廃止されます。本投資証券の上場が廃止される場合、投資主は、保有する本投資証券を相対で譲渡する他に換金の手段がないため、本投資法人の純資産額に比して相当に廉価で譲渡せざるを得ない場合や本投資証券の譲渡自体が事実上不可能となる場合があり、損失を被る可能性があります。
(ヘ)投資法人債券の償還・利払に関するリスク
本投資法人の信用状況の悪化その他の事由により、本投資法人債について元本や利子の支払が滞ったり、支払不能が生じるリスクがあります。
② 本投資法人の運用方針等に関するリスク
(イ)投資対象を主として居住施設としていることによるリスク
本投資法人は、原則として不動産のうち居住施設に投資する方針としているため、用途分散によるリスク分散効果が十分に機能しない可能性があります。
この場合、景気や人口・世帯数の動向等、居住施設市場に影響を及ぼすと考えられるマクロ要因の変動や、物件取得又は入居者獲得の競争の激化等により、入居者や賃料が計画どおりに確保できなくなる可能性があります。
また、本投資法人の投資対象物件の入居者の多数を占めると想定される若年層都会生活者の生活パターン・特性等に鑑みれば、比較的短期間のうちに入居者が転居し、稼働率の低下をもたらすおそれがあります。
更に、本投資法人の投資対象物件の中には、主として富裕層ファミリーを対象にその生活スタイルを想定して企画された住宅が含まれていますが、このような高級賃貸用住宅は、相対的に需要(入居者)が限定されていて市場が小さく、このような住居がほかから新規供給された場合、市場への影響が少なくないことがあります。加えて、既存テナントが退去した場合、代替テナントが入居するまでの空室期間が長期化し、不動産の稼働率が大きく低下する場合もあり、時として代替テナント確保のために賃料水準を下げることもあります。また、そのような賃貸用住居が主な入居者として想定しているものの中には、欧米系企業・多国籍企業において海外から派遣される赴任者等が含まれているため、経済状況、国際状況の変化等により需要が大きく減少し、そのために不動産の稼働率が大きく低下したり、代替テナント確保のために賃料水準引下げを余儀なくされる可能性があり、そのような場合、賃料収入が大きな影響を受ける可能性もあります。
(ロ)不動産の地域的な偏在に関するリスク
本投資法人は、前記「2 投資方針 (1)投資方針 ③ ポートフォリオ構築方針」に記載するとおり、東京都主要5区(千代田区、中央区、港区、渋谷区及び新宿区)(エリア1)及びエリア1を除く東京都区内(エリア2)に所在する物件に60%以上を投資する方針です。したがって、これらの地域における人口、人口動態、単身者、世帯数、平均所得等の変化、地震その他の災害、地域経済の悪化、稼働率の低下、賃料水準の下落等により、本投資法人の収益が著しい悪影響を受ける可能性があります。
また、テナント獲得に際し、東京都主要5区(千代田区、中央区、港区、渋谷区及び新宿区)(エリア1)及びエリア1を除く東京都区内(エリア2)等、特定の地域の不動産賃貸市場における競争が激化し、結果として、空室率の上昇や賃料水準の低下により賃料収入が減少し、本投資法人の収益が悪影響を受ける可能性があります。
(ハ)PM会社に関するリスク
一般に、賃借人の管理、建物の保守管理等不動産の管理業務全般の成否は、PM会社の能力、経験、ノウハウによるところが大きく、本投資法人が保有する不動産の管理についても、管理を委託するPM会社の業務遂行能力に相当程度依拠することになります。管理委託先を選定するに当たっては、PM会社の能力・経験・ノウハウを十分考慮することが前提となりますが、当該PM会社における人的・財産的基盤が維持される保証はありません。また、複数の不動産に関して、他の顧客(他の不動産投資法人を含みます。)から不動産の管理及び運営業務を受託し、本投資法人の投資対象不動産に係るPM業務と類似又は同種の業務を行う可能性があります。これらの場合、当該PM会社は、本投資法人以外の者の利益を優先することにより、本投資法人の利益を害する可能性があります。
本投資法人は、PM会社につき、業務懈怠又は倒産事由が認められた場合、管理委託契約を解除することはできますが、後継のPM会社が任命されるまではPM会社不在又は機能不全のリスクが生じるため、一時的に当該投資対象不動産の管理状況が悪化する可能性があります。
(ニ)不動産を取得又は譲渡できないリスク
不動産は、一般的にそれぞれの物件の個別性が強く代替性及び流動性が低いため、希望する時期に希望する物件を取得又は譲渡できない可能性があります。また、不動産投資信託、その他のファンド及び投資家等による不動産に対する投資が活発化した場合、必ずしも、本投資法人が取得を希望した不動産等及び不動産対応証券等を取得することができるとは限りません。取得が可能であったとしても、物件の精査(デュー・ディリジェンス)に相当程度の時間と費用を要し、また、投資採算の観点から希望した価格、時期その他の条件で取引を行えない可能性等もあります。更に、本投資法人が不動産等及び不動産対応証券等を取得した後にこれらを譲渡する場合にも、投資採算の観点から希望した価格、時期その他の条件で取引を行えない可能性等もあります。
以上の結果、本投資法人が利回りの向上や収益の安定化等のために最適と考える資産のポートフォリオを構築できない可能性があり、またポートフォリオの組替えが適時に行えない可能性があります。
(ホ)投資口の追加発行、借入れ及び投資法人債による資金調達に関するリスク
投資口の追加発行、金銭の借入れ及び投資法人債の発行の可能性及び条件は、本投資法人の経済的信用力、金利情勢その他の要因による影響を受けるため、今後本投資法人の希望する時期及び条件で投資口の追加発行、金銭の借入れ及び投資法人債の発行を行うことができる保証はなく、その結果、予定した資産を取得できなかったり、予定しない資産の売却を余儀なくされたり、資金繰りに支障をきたす可能性があります。
また、本投資法人が金銭の借入れ又は投資法人債の発行を行う場合において、当該金銭の借入れ又は投資法人債の発行の条件として、資産・負債等に基づく一定の財務指標上の数値を維持する、本投資法人の信用状態に関する評価を一定の水準に維持する、投資主への金銭の分配を制約する等の財務制限条項が設けられたり、運用資産に担保を設定することとなったり、規約の変更が制限される等の可能性があります。このような制約が本投資法人の運営に支障をもたらし、又は投資主に対する金銭の分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、これらの制限に違反した場合には、追加の担保設定や費用負担等を求められ、又は当該借入契約に係る借入金若しくは投資法人債の元利金について期限の利益を喪失し、本投資法人の運営に重大な悪影響が生じる可能性があります。なお、本投資法人は、本投資法人の借入れに係る全貸付人との間で「基本合意書」を締結しており、当該合意書には、資産・負債等に基づく一定の財務指標上の数値を維持する財務制限条項が設けられています。
更に、借入れ及び投資法人債の金利は、借入時及び投資法人債発行時の市場動向に左右され、変動金利の場合には、その後の市場動向にも左右されます。借入れ及び投資法人債の金利が上昇し、又は、本投資法人の借入額及び投資法人債発行額が増加した場合には、本投資法人の利払額は増加します。このような利払額の増加により、投資主に対する金銭の分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ヘ)投資主優待制度に関するリスク
本投資法人は、現在の法令、税務の取扱い、優待の内容及び利用状況の推定等に基づく大和リゾート株式会社(本投資法人のスポンサーである大和ハウス工業の100%子会社)との合意を前提に、投資主優待制度を導入しています。したがって、これらの前提条件に変更がある場合、投資主優待制度の内容等が変更し、又は実施が停止される場合があります。
③ 本投資法人の関係者、仕組みに関するリスク
(イ)スポンサー及びサポート会社への依存、利益相反に関するリスク
本投資法人及び本資産運用会社は、大和ハウス工業をスポンサーとし、モリモト及びコスモスイニシアをサポート会社としています。このうち大和ハウス工業は、本書の日付現在、本資産運用会社の株式の100%を保有する株主であるとともに、本資産運用会社の常勤取締役や従業員の出向元でもあります。
更に、本投資法人及び本資産運用会社は、平成23年9月5日付でスポンサーである大和ハウス工業との間で「新パイプライン・サポート等に関する基本協定書」を、平成23年6月29日付でサポート会社であるモリモトとの間で「パイプライン・サポート等に関する基本協定書」を、平成25年6月28日付でコスモスイニシアとの間で「パイプライン・サポート等に関する基本協定書」をそれぞれ締結しており、各協定書に基づく情報提供や業務支援等を受けています。また、本投資法人が大和ハウス工業、モリモト又はコスモスイニシアの子会社又は関連会社を取得資産のPM会社として選定することもあります。各協定書の概要については、前記「2 投資方針 (1)投資方針 ② 成長戦略 (ハ)スポンサー及びサポート会社等との協働」をご参照下さい。
これらの点に鑑みると、本投資法人及び本資産運用会社は、大和ハウス工業、モリモト及びコスモスイニシアと密接な関連性を有しており、本投資法人による安定した収益の確保と成長性に対する大和ハウス工業、モリモト及びコスモスイニシアの影響は相当程度高いということができます。
したがって、本投資法人が大和ハウス工業、モリモト及びコスモスイニシアとの間で、本書の日付現在と同様の関係を維持できなくなった場合には、本投資法人に重大な悪影響が及ぶ可能性があります。一方、本投資法人は、資産運用活動の様々な局面において、大和ハウス工業、モリモト及びコスモスイニシア並びにこれらの子会社等との間で取引を行うことが想定されますが、大和ハウス工業、モリモト及びコスモスイニシアが自己又はその顧客等の利益を図るため、本投資法人の投資主又は投資法人債権者の利益に反する行為を行う可能性もあります。
(ロ)本投資法人の関係者への依存、利益相反に関するリスク
本投資法人は、投信法及び規約に基づき、執行役員及び監督役員(以下「役員」といいます。)から構成される役員会において重要な意思決定を行い、資産の運用を本資産運用会社に、資産の保管を資産保管会社に、一般事務を一般事務受託者に、それぞれ委託しています。本投資法人の円滑な業務遂行の実現のためにはこれらの者の能力、経験及びノウハウに依存するところが大きいと考えられますが、これらの者が業務遂行に必要な人的・財政的基盤等を必ずしも維持できる保証はありません。投信法及び金商法は、本投資法人の役員及び本投資法人の関係者に関する義務及び責任を定めていますが、これらの本投資法人の関係者が投信法及び金商法その他の法令に反し、又は、法定の措置をとらないときは、投資主又は投資法人債権者に損害が発生する可能性があります。
また、本資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者が、法令上又は契約上負っている善良な管理者としての注意義務、投資法人のために忠実に職務を遂行する義務、利益相反状況にある場合に投資法人の利益を害してはならない義務、その他の義務に違反した場合には、本投資法人の存続及び収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。
この他に、本投資法人又は本資産運用会社若しくは運用資産である不動産信託受益権に関する信託受託者から委託を受ける業者として、PM会社、建物の管理会社等があります。本投資法人の収益性の向上のためにはこれらの者の能力、経験及びノウハウに依存するところも大きいと考えられますが、これらの者が業務遂行に必要な人的・財政的基盤等を必ずしも維持できる保証はありません。これらの者について業務の懈怠その他の義務違反、投資法人と利益相反状況にある場合において投資法人の利益を害する行為があった場合や業務遂行能力の低下又は喪失があった場合には本投資法人の存続及び収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ハ)本投資法人の執行役員及び本資産運用会社の人材に依存しているリスク
本投資法人の運営は、本投資法人の執行役員及び本資産運用会社の人材に大きく依存しており、これらの人材が失われた場合、本投資法人の運営に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ニ)本投資法人の投資方針の変更に関するリスク
本投資法人の規約に記載されている資産運用の対象及び方針等の基本的な事項の変更には、投資主総会の承認が必要ですが、本投資法人の役員会の承認を得て本資産運用会社の取締役会が定めたより詳細な投資方針、ポートフォリオ構築方針、運用ガイドライン等については、投資主総会の承認を経ることなく、変更することが可能です。そのため、本投資法人の投資主の意思が反映されないまま、これらが変更される可能性があります。
(ホ)本投資法人の倒産のリスク
本投資法人は、破産法(平成16年法律第75号。その後の改正を含みます。以下「破産法」といいます。)上の破産手続、民事再生法(平成11年法律第225号。その後の改正を含みます。以下「民事再生法」といいます。)上の再生手続及び投信法上の特別清算手続(投信法第164条)に服する可能性があります。
上記のように本投資法人が清算される場合、投資主は、すべての債権者への弁済(投資法人債の償還を含みます。)後の残余財産による分配からしか投資金額を回収することができません。本投資法人の保有資産の価値が下落し又は出資金に欠損が生じている場合には、借入れ及び投資法人債を弁済した後の残余財産が全く残らないか、又は出資総額を下回ることとなり、投資主は、投資金額の全部又は一部について回収を得ることができない可能性があります。
(ヘ)敷金及び保証金に関するリスク
本投資法人は、投資対象不動産の賃借人が賃貸人に対し無利息又は低利で預託した敷金又は保証金を投資資金として利用する場合があります。しかし、そのような場合で賃貸借契約の中途解約により想定外の時期に敷金又は保証金の返還義務が生じた場合には、本投資法人は、敷金又は保証金の返還資金を調達コストの高い借入れ等により調達せざるを得なくなる可能性があります。その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 不動産及び信託の受益権に関する法的リスク
本投資法人の主たる運用資産は、前記「2 投資方針 (2)投資対象 ① 投資対象とする資産の種類」に記載のとおり、不動産等及び不動産対応証券です。不動産を信託財産とする信託の受益権その他不動産を裏付けとする資産の所有者は、その信託財産である不動産又は裏付けとなる不動産を直接所有する場合と、経済的には、ほぼ同様の利益状況に置かれます。したがって、以下に記載する不動産に関する法的リスクは、不動産を信託財産とする信託の受益権その他不動産を裏付けとする資産についても、ほぼ同様にあてはまります。
なお、信託の受益権固有のリスクについては、後記「(レ)不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク」をご参照下さい。
(イ)不動産の欠陥・瑕疵に関するリスク
不動産には権利、地盤、地質、構造等に関して欠陥、瑕疵等が存在している可能性があります。本資産運用会社が不動産の選定・取得の判断を行うに当たっては、当該不動産について定評のある専門業者からエンジニアリング・レポートを取得する等の物件精査を行いますが、エンジニアリング・レポートで指摘されなかった事項等について、取得後に欠陥、瑕疵等が判明する可能性もあります。また、合併による資産の承継の場合においても同様に、承継後に本投資法人が把握していない欠陥、瑕疵等が判明する可能性もあります。更に、建築基準法(昭和25年法律第201号。その後の改正を含みます。以下「建築基準法」といいます。)等の行政法規が求める所定の手続を経由した不動産についても、建築基準関係規定の求める安全性や構造耐力等を有するとの保証はなく、例えばエレベーターや給湯器などの付属設備の不具合も含め、想定し得ない隠れた欠陥・瑕疵等が取得後に判明するおそれもあります。本投資法人は、状況に応じては、前所有者又は前信託受益者に対し一定の事項につき表明及び保証をさせ、又は瑕疵担保責任を負担させる場合もありますが、必ずしも常にそうであるとは限りません。また、表明及び保証をさせ、又は瑕疵担保責任を負担させることにより、かかる表明及び保証が真実でなかったことを理由とする損害賠償責任や瑕疵担保責任を追及できたとしても、これらの責任の期間及び責任額は一定範囲に限定されるのが通例であり、また、前所有者又は前信託受益者が解散したり無資力になっているために実効性に欠ける場合もあります。
これらの場合には、当該欠陥、瑕疵等の程度によっては当該不動産の資産価値が低下することを防ぐために買主である本投資法人が当該欠陥、瑕疵等の補修その他に係る予定外の費用を負担せざるを得なくなることがあり、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
また、本投資法人が不動産を譲渡する場合、本投資法人は宅建業法上、宅地建物取引業者とみなされるため、同法に基づき、譲渡の相手方が宅地建物取引業者である場合を除いて、不動産の売買契約において、瑕疵担保責任に関し、買主に不利となる特約をすることが制限されています。したがって、本投資法人が不動産を譲渡する場合は、譲渡した不動産の欠陥、瑕疵等の修補その他に係る予定外の費用を負担せざるを得なくなることがあり、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
加えて、不動産をめぐる権利義務関係の複雑さゆえに、不動産に関する権利が第三者の権利や行政法規等により制限を受け、又は第三者の権利を侵害していることが後になって判明する可能性があります。その結果、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
また、不動産登記簿の記載を信じて取引した場合にも、買主は不動産に係る権利を取得できないことがあります。更に、権利に関する事項のみならず、不動産登記簿中の不動産の表示に関する事項が現況と一致していない場合もあり、あるいは、現況について隣地所有者等と有効な確認が行われていないことが事後的に判明することもあります。このような場合、上記と同じく、本投資法人は売主等に対して法律上又は契約上許容される限度で責任を追及することとなりますが、その実効性があるとの保証はありません。
(ロ)賃貸借契約に関するリスク
a. 賃貸借契約の解約及び更新に関するリスク
賃貸借契約において賃借人が期間中の解約権を留保している場合等には、契約期間中であっても賃貸借契約を終了する場合があり、また、賃貸借契約の期間満了時に契約が更新されない場合もあるため、稼働率が低下し、不動産に係る賃料収入が減少する可能性があります。また、賃貸借契約の中に解約禁止条項、解約違約金条項等を置いて期間中の解約権を制限している場合や更新料を定めている場合でも、裁判所によって所定の金額から減額されたり、かかる条項の効力が否定されたりする可能性があります。
以上のような事由により、賃料収入等が減少した場合、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
b. 賃料不払に関するリスク
賃借人の財務状況が悪化した場合又は賃借人が破産法上の破産手続、民事再生法上の再生手続若しくは会社更生法(平成14年法律第154号。その後の改正を含みます。)上の更生手続その他の倒産手続(以下総称して「倒産等手続」といいます。)の対象となった場合、賃貸借契約に基づく賃料支払が滞る可能性があり、この延滞賃料等の債務の合計額が敷金及び保証金で担保される範囲を超える状況になった場合には、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
c. 賃料改定に係るリスク
賃貸借契約の更新の際又は賃料等の見直しの際には、その時々における賃料相場も参考にして、賃料が賃借人との協議に基づき改定されることがあり、本投資法人が保有する不動産等について、本書の日付現在の賃料が今後も維持される保証はありません。賃料改定により賃料が減額された場合、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
また、定期的に賃料等を増額する旨の規定が賃貸借契約にある場合でも、賃借人との交渉如何によっては、必ずしも、規定どおりに賃料を増額することができるとは限りません。
d. 賃借人による賃料減額請求権行使のリスク
建物の賃借人は、定期建物賃貸借契約において借地借家法(平成3年法律第90号。その後の改正を含みます。)第32条に基づく賃料減額請求権を排除する特約を設けた場合を除いて、同条に基づく賃料減額請求をすることができます。請求が認められた場合、当該不動産から得られる賃料収入が減少し、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。また、借地借家法第32条に基づく賃料減額請求権を排除する特約は、定期建物賃貸借契約においてのみ設けられることとされていますが、定期建物賃貸借契約の効力が認められるには、借地借家法第38条所定の要件を充足する必要があるため、かかる要件が充足されなかった場合(かかる要件の充足を証明できない場合を含みます。)には、定期建物賃貸借契約としての効力が認められず、その結果、賃料減額請求権を排除する特約の効力が認められず、投資主に損害を与える可能性があります。
(ハ)災害等による不動産の毀損、滅失及び劣化のリスク
火災、地震、暴風雨、洪水、落雷、竜巻、戦争、暴動、騒乱、テロ等(以下「災害等」といいます。)による不動産の滅失、劣化又は毀損や、これらに伴う直接的又は間接的な賃借人側の被害により、不動産の価値が影響を受ける可能性があります。このような場合には、滅失、劣化又は毀損した箇所を修復するため一定期間不動産の不稼働を余儀なくされることにより、賃料収入が減少し、又は当該不動産の価値が下落する結果、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。不動産の個別事情により保険契約(地震保険に関する契約を含みます。)が締結されない場合、保険契約で支払われる上限額を上回る損害が発生した場合、保険契約で填補されない災害等が発生した場合又は保険契約に基づく保険会社による支払が他の何らかの理由により行われず、減額され若しくは遅れる場合には、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
また、今後、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震と同規模又はそれ以上の地震その他の天災、事故等が発生する可能性を否定できません。その場合には、本投資法人が保有又は取得する物件が滅失、劣化又は毀損するおそれがあるほか、賃料水準の低下、稼働率の低下又はテナントの支払能力の低下が生じる可能性があり、また、周辺地域及び日本の経済全体が悪影響を受ける可能性があり、それらの結果、本投資法人の収益や本投資法人の保有に係る資産価値等に悪影響を及ぼすおそれがあります。なお、本投資法人は、本書の日付現在保有する物件について地震保険を付保していません。個別の地震予想損失率が15%を超える物件をポートフォリオに組み入れる場合には、ポートフォリオ全体の地震予想損失率を改めて確認するものとし、ポートフォリオ全体の地震予想損失率が10%を超える場合には、当該物件の地震予想損失率のうち、地震予想損失率15%を越える部分に相当する金額を保険金額とする地震保険を付保することを検討します。ただし、かかる地震保険を付保した場合でも、上記の悪影響を回避できる保証はありません。
(ニ)不動産に係る所有者責任、修繕・維持費用等に関するリスク
運用資産である不動産を原因として、第三者の生命、身体又は財産等を侵害した場合に、損害賠償義務が発生し、結果的に本投資法人が予期せぬ損害を被る可能性があります。特に、土地の工作物の所有者は、民法(明治29年法律第89号。その後の改正を含みます。以下「民法」といいます。)上無過失責任を負うことがあります。不動産の個別事情により保険契約が締結されない場合、保険契約で支払われる上限額を上回る損害が発生した場合、保険契約で填補されない事故が発生した場合又は保険契約に基づく保険会社による支払が他の何らかの理由により行われず、減額され若しくは遅れる場合には、本投資法人の収益等に悪影響を受ける可能性があります。
また、不動産につき滅失、毀損又は劣化等が生じたり、競争力の維持・向上、修繕が必要となったりする場合には、かかる修繕に関連して多額の費用が必要となる可能性があります。また、かかる修繕が困難若しくは不可能な場合、又は一定期間テナントの退去が必要となる場合には、不動産から得られる賃料収入が減少し、不動産の価値が低下する可能性があります。
(ホ)不動産に係る行政法規・条例等に関するリスク
建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例、都市計画法(昭和43年法律第100号。その後の改正を含みます。以下「都市計画法」といいます。)の改正、新たな立法、収用、再開発、区画整理等の行政行為の規定の施行又は適用の際、原則としてこれらの規定に適合しない現に存する建物(現に建築中のものを含みます。)又はその敷地については、当該規定が適用されない扱い(いわゆる既存不適格)とされています。しかし、かかる既存不適格の建物の建替え等を行う場合には、適用される現行の規定に合致するよう手直しをする必要があり、追加的な費用負担が必要となる可能性があり、また、現状と同規模の建築物を建築できない可能性があります。
また、不動産に係る様々な行政法規や各地の条例による規制が運用資産である不動産に適用される可能性があります。例えば、都市計画法、地方公共団体の条例による風致地区内における建築等の規制、河川法(昭和39年法律第167号。その後の改正を含みます。)による河川保全区域における工作物の新築等の制限、文化財保護法(昭和25年法律第214号。その後の改正を含みます。)に基づく試掘調査義務、一定割合において住宅を付置する義務や、駐車場設置義務、福祉配慮設備設置義務、緑化推進義務及び雨水流出抑制施設設置義務等が挙げられます。このような義務が課せられている場合、当該不動産の処分及び建替え等に際して、事実上の困難が生じたり、これらの義務を遵守するための追加的な費用負担が生じたりする可能性があります。更に、運用資産である不動産を含む地域が道路設置等の都市計画の対象となる場合には、当該都市計画対象部分に建築制限が付されたり、建物の敷地とされる面積が減少し収益が減少したりする可能性があります。また、当該不動産に関して建替え等を行う際に、現状と同規模の建築物を建築できない可能性があります。
(ヘ)法令等の制定・変更に関するリスク
土壌汚染対策法(平成14年法律第53号。その後の改正を含みます。以下「土壌汚染対策法」といいます。)の他、将来的に環境保護を目的とする法令等が制定・施行され、過失の有無を問わず不動産につき大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務等が課される可能性があります。
また、消防法(昭和23年法律第186号。その後の改正を含みます。)その他不動産の管理に影響する関係法令の改正により、不動産の管理費用等が増加する可能性があります。更に、建築基準法、都市計画法の改正、新たな立法、収用、再開発、区画整理等の行政行為等により不動産に関する権利が制限される可能性があります。このような法令の制定若しくは改正又は行政行為等が本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ト)売主の倒産等の影響を受けるリスク
本投資法人は、債務超過の状況にある等財務状態が実質的危機時期にあると認められる又はその疑義がある者を売主として不動産を取得する場合には、当該不動産の売買が売主の債権者により取り消される(詐害行為取消)可能性があります。また、投資法人が不動産を取得した後、売主について倒産等手続が開始した場合には、不動産の売買が破産管財人、監督委員又は管財人により否認される可能性が生じます。
また、本投資法人が、ある売主から不動産を取得した別の者(以下、本「(ト)売主の倒産等の影響を受けるリスク」において「買主」といいます。)から、更に不動産を取得した場合において、本投資法人が、当該不動産の取得時において、売主と買主間の当該不動産の売買が詐害行為として取消され又は否認される根拠となりうる事実関係を知っている場合には、本投資法人に対しても、売主・買主間の売買が否認され、その効果を主張される可能性があります。
本投資法人は、管財人等により不動産の売買が否認されるリスク等について諸般の事情を慎重に検討し、実務的に可能な限り管財人等により否認されるリスクを回避するよう努めますが、このリスクを完全に排除することは困難です。
更に、取引の態様如何によっては売主と本投資法人との間の不動産の売買が、担保取引であると判断され、当該不動産は破産者である売主の破産財団の一部を構成し、又は更生会社若しくは再生債務者である売主の財産に属するとみなされる可能性(いわゆる真正譲渡でないとみなされるリスク)もあります。
(チ)マスターリースに関するリスク
特定の不動産において、サブ・リース会社が当該不動産の所有者である信託受託者との間で転貸を目的として当該不動産を一括して賃借するマスターリース契約を締結し、その上でエンド・テナントに対して転貸する、いわゆるマスターリースの形態をとっており、また、今後も同様の形態をとる場合があります。この場合、サブ・リース会社の財務状態が悪化したときは、サブ・リース会社の債権者がサブ・リース会社のエンド・テナントに対する賃料債権を差し押さえる等により、サブ・リース会社から賃貸人である信託受託者への賃料の支払いが滞る可能性があります。
(リ)転貸に関するリスク
賃借人(サブ・リース会社を含みます。)に、不動産の一部又は全部を転貸させる権限を与えた場合、本投資法人は、不動産に入居するテナントを必ずしも自己の意思に即して選択できなくなったり、退去させられなくなったりする可能性があるほか、賃借人の賃料が、転借人から賃借人に対する賃料に連動する場合、転借人の財務状態の悪化が、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、賃貸借契約が合意解約された場合、又は債務不履行を理由に解除された場合であっても、賃貸借契約終了の場合に転貸人の転借人に対する敷金等の返還義務が賃貸人に承継される可能性があります。このような場合、敷金等の返還原資は賃貸人の負担となり、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ヌ)テナント等の属性や不動産の利用状況に関するリスク
テナント(転借人を含みます。)の属性等について、入居審査時等には判明しなかった問題が、入居後に発生する可能性があります。
また、テナントによる不動産の利用状況等によっては、他のテナントとの間でトラブル等が発生し、当該物件の評判や稼働率を低下させ、資産価値や本投資法人の収益等に悪影響が及ぶ可能性があります。
(ル)共有物件に関するリスク
運用資産である不動産が第三者との間で共有されている場合には、その保存・利用・処分等について単独で所有する場合には存在しない種々のリスクがあります。
まず、共有物の管理は、共有者間で別段の定めをした場合を除き、共有者の持分の過半数で行うものとされているため、持分の過半数を有していない場合には、当該不動産の管理及び運営について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。また、共有者はその持分の割合に応じて共有物の全体を利用することができるため、他の共有者によるこれらの権利行使によって、本投資法人の当該不動産の保有又は利用が妨げられるおそれがあります。
更に、共有の場合、他の共有者からの共有物全体に対する分割請求権行使を受ける可能性、及び裁判所により共有物全体の競売を命じられる可能性があり、ある共有者の意図に反して他の共有者からの分割請求権行使によって共有物全体が処分されるリスクがあります。
この分割請求権を行使しないという共有者間の特約は有効ですが、この特約は5年を超えては効力を有しません。また、登記済みの不分割特約がある場合でも、特約をした者について倒産等手続の対象となった場合には、管財人等はその換価処分権を確保するために分割請求ができるとされています。ただし、共有者は、倒産等手続の対象となった他の共有者の有する共有持分を相当の対価で取得することができます。
他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、共有物が分割されると、共有されていた物件全体について当該共有者(抵当権設定者)の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶことになると考えられています。したがって、運用資産である共有持分には抵当権が設定されていなくても、他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、共有物が分割されると、分割後の運用資産についても、他の共有者の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶこととなるリスクがあります。
共有持分の処分は単独所有と同様に自由に行えると解されていますが、共有不動産については、共有者間で共有持分の優先的購入権の合意をすることにより、共有者がその共有持分を第三者に売却する場合に他の共有者が優先的に購入できる機会を与えるようにする義務を負う場合があります。
不動産の共有者が賃貸人となる場合には、賃料債権は不可分債権となり敷金返還債務は不可分債務になると一般に解されており、共有者は他の賃貸人である共有者の信用リスクの影響を受ける可能性があります。
共有不動産については、単独所有の場合と比べて上記のような制限やリスクがあるため、既に述べた流動性のリスクや、それらのリスクを反映した価格の減価要因が増す可能性があります。
(ヲ)区分所有建物に関するリスク
区分所有建物とは建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。その後の改正を含みます。以下「区分所有法」といいます。)の適用を受ける建物は、単独所有の対象となる専有部分(居室等)と共有となる共用部分(エントランス部分等)及び建物の敷地部分から構成されます。区分所有建物の場合には、区分所有法上、法定の管理方法及び管理規約(管理規約の定めがある場合)によって管理方法が定められます。建替えをする場合には集会において区分所有者及び議決権(管理規約に別段の定めのない限り、その有する専有部分の床面積の割合)の各5分の4以上の多数での建替え決議が必要とされる等、区分所有法の適用を受けない単独所有物件と異なり管理方法に制限があります。
区分所有建物の専有部分の処分は自由に行うことができますが、他の区分所有者が優先的に購入できる機会を与えるようにする義務を負う場合があります。
区分所有建物と敷地の関係については以下のようなリスクがあります。
区分所有建物の専有部分を所有するために区分所有者が敷地に関して有する権利を敷地利用権といいますが、区分所有建物では、専有部分と敷地利用権の一体性を保持するために、法律で、専有部分とそれに係る敷地利用権を分離して処分することが原則として禁止されています。ただし、敷地権の登記がなされていない場合には、分離処分の無効を善意の第三者に対抗することができません。また、区分所有建物の敷地が数筆に分かれ、区分所有者が、それぞれ、その敷地のうちの一筆又は数筆の土地について、単独で、所有権、賃借権等を敷地利用権(いわゆる分有形式の敷地利用権)として有している場合には、分離して処分することが可能とされています。このように専有部分とそれに係る敷地利用権が分離して処分された場合、敷地利用権を有しない区分所有者が出現する可能性があります。
また、敷地利用権が使用貸借権及びそれに類似した権利である場合には、当該敷地が売却、競売等により第三者に移転された場合に、区分所有者が当該第三者に対して従前の敷地利用権を対抗できなくなる可能性があります。
このような区分所有建物と敷地の関係を反映して、区分所有建物の場合には、既に述べた不動産を処分できないリスクや、それらのリスクを反映した価格の減価要因が増す可能性があります。
(ワ)借地物件に関するリスク
借地権(転借地権を含みます。以下本「(ワ) 借地物件に関するリスク」において同じです。)とその借地上に存在する建物については、自己が所有権を有する土地上に存在する建物と比べて特有のリスクがあります。借地権は、所有権と異なり永久に存続するものではなく、期限の到来により当然に消滅し(定期借地権の場合)又は期限到来時に借地権設定者が更新を拒絶しかつ更新を拒絶する正当事由がある場合に消滅します(普通借地権の場合)。また、借地権が地代の不払その他により解除その他の理由により消滅してしまう可能性もあります。借地権が消滅すれば、時価での建物買取りを請求できる場合を除き、借地上に存在する建物を取り壊した上で、土地を返還しなければなりません。普通借地権の場合、借地権の期限到来時の更新拒絶につき上記正当事由が認められるか否かを本投資法人の物件取得時に正確に予測することは不可能であり、仮に建物の買取請求権を有する場合でも、買取価格が本投資法人が希望する価格以上である保証はありません。加えて、本投資法人又は信託受託者が有する権利が転借地権である場合、借地権(転借地権を除きます。)が解除その他の理由により消滅してしまうと、原則として、本投資法人又は信託受託者が有する転借地権も消滅します。
また、本投資法人又は信託受託者が借地権を有している土地の所有権が、他に転売されたり、借地権設定時に既に存在する土地上の抵当権等の実行により第三者に移転する可能性があります。この場合、借地権について適用のある法令に従い第三者対抗要件が具備されていないときは、本投資法人又は信託受託者は、借地権を当該土地の新所有者に対して対抗できず、当該土地の明渡義務を負う可能性があります。
更に、借地権が賃借権である場合、借地権を譲渡するには、原則として、借地権設定者の承諾が必要となります。借地上の建物の所有権を譲渡する場合には、当該借地に係る借地権も一緒に譲渡することになるので、原則として、借地権設定者の承諾が必要となります。かかる借地権設定者の承諾に関しては、借地権設定者への承諾料の支払が予め約束されていたり、約束されていなくても慣行を理由として借地権設定者が承諾の条件として承諾料を請求されたりする場合があります(なお、法律上借地権設定者に当然に承諾料請求権が認められているものではありません。)。
加えて、借地権設定者の財政状態の悪化や倒産等により、借地権設定者に差し入れた敷金及び保証金等の全額又は一部が返還されない可能性があります。借地権設定者に対する敷金及び保証金等の返還請求権について担保設定や保証はなされないのが通例です。
借地権と借地上に建てられている建物については、敷地と建物を一括して所有している場合と比べて、上記のような制限やリスクがあるため、既に述べた不動産の流動性、取引コスト等に関するリスクや、それらのリスクを反映した価格の減価要因が増す可能性があります。
(カ)借家物件に関するリスク
本投資法人は、建物を第三者から賃借の上又は信託受託者に賃借させた上、当該賃借部分を直接若しくは信託受託者を通じて保有する建物と一体的に又は当該賃借部分を単独で、テナントへ転貸することがあります。
この場合、建物の賃貸人の資力の悪化や倒産等により、建物の賃貸人に差し入れた敷金及び保証金等の全額又は一部が返還されない可能性があることは、前記の借地物件の場合と同じです。
加えて、民法上、本投資法人が第三者との間で直接又は信託受託者を通じて締結した賃貸借契約が何らかの理由により終了した場合、原則として、本投資法人又は当該受託者とテナントの間の転貸借契約も終了するとされていますので、テナントから、転貸借契約の終了に基づく損害賠償請求等がなされるおそれがあります。
(ヨ)開発物件に関するリスク
本投資法人は、竣工前の未稼働不動産の取得は原則として行わない方針です。しかし、規約に定める投資方針に従って、竣工後の物件を取得するために予め開発段階で売買契約又はこれに準ずる覚書等(以下、本「(ヨ)開発物件に関するリスク」において「売買契約等」といいます。)を締結することがあります。かかる場合、既に完成した物件につき売買契約等を締結して取得する場合とは異なり、様々な事由により、開発が遅延し、変更され、又は中止されることにより、売買契約等どおりの引渡しを受けられない可能性があります。この結果、開発物件からの収益等が本投資法人の予想を大きく下回る可能性がある他、予定された時期に収益等が得られなかったり、収益等が全く得られなかったり、又は予定されていない費用、損害若しくは損失を本投資法人が負担し若しくは被る可能性があり、その結果本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
(タ)有害物質に関するリスク
本投資法人が土地又は土地の賃借権若しくは地上権又はこれらを信託する信託の受益権を取得する場合において、当該土地について産業廃棄物等の有害物質が埋蔵されている可能性があり、かかる有害物質が埋蔵されている場合には当該土地の価格の下落により、本投資法人が損害を受ける可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために土壌の入替えや洗浄が必要となる場合にはこれに係る予想外の費用や時間が必要となり、本投資法人が損害を受ける可能性があります。また、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務を負う可能性があり、かかる義務を負う場合には本投資法人が損害を受ける可能性があります。なお、土壌汚染対策法によれば、土地の所有者、管理者又は占有者は、鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の特定有害物質による土地の土壌の汚染の状況について、都道府県知事により調査・報告を命ぜられることがあり、また、土壌の特定有害物質による汚染により、人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあるときは、都道府県知事によりその被害を防止するため必要な汚染の除去等の措置を命ぜられることがあります。
この場合、本投資法人に多額の負担が生じる可能性があり、また、本投資法人は、支出を余儀なくされた費用について、その原因となった者やその他の者から常に償還を受けられるとは限りません。
また、本投資法人が建物又は建物を信託する信託の受益権を取得する場合において、当該建物の建材等にアスベストその他の有害物質を含む建材が使用されているか若しくは使用されている可能性がある場合やポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物が保管されている場合等には、当該建物の価格の下落により、本投資法人が損害を受ける可能性があります。かかる有害物質を除去するために建材の全面的又は部分的交換が必要となる場合にはこれに係る予想外の費用や時間が必要となり、本投資法人が損害を受ける可能性があります。また、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務が発生する可能性があり、かかる義務が生じた場合には本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。
更に、将来的に環境保護を目的とする法令等が制定・施行され、過失の有無にかかわらず不動産につき大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務等が課される可能性もあります。
(レ)不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク
本投資法人は、不動産を信託の受益権の形態で取得することが多く、本書の日付現在の保有物件も大部分が信託不動産です。
信託受託者が信託財産としての不動産、不動産の賃借権又は地上権を所有し管理するのは受益者のためであり、その経済的利益と損失は、最終的にはすべて受益者に帰属することになります。したがって、本投資法人は、信託の受益権の保有に伴い、信託受託者を介して、運用資産が不動産である場合と実質的にほぼ同じリスクを負担することになります。
信託契約上信託の受益権を譲渡しようとする場合には、信託受託者の承諾を要求されるのが通常です。更に、不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する信託の受益権については受益証券発行信託の受益証券でない限り私法上有価証券としての性格を有していませんので、債権譲渡と同様の譲渡方法によって譲渡することになり、有価証券のような流動性がありません。
信託法(大正11年法律第62号。その後の改正を含みますが、信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第109号)による改正前のもの。)及び信託法(平成18年法律第108号。その後の改正を含みます。)上、信託受託者が倒産等手続の対象となった場合に、信託の受益権の目的となっている不動産が信託財産であることを破産管財人等の第三者に対抗するためには、信託された不動産に信託設定登記をする必要があり、仮にかかる登記が具備されていない場合には、本投資法人は、当該不動産が信託の受益権の目的となっていることを第三者に対抗できない可能性があります。
また、信託財産の受託者が、信託目的に反して信託財産である不動産を処分した場合、又は信託財産である不動産を引当てとして、何らかの債務を負うことにより、不動産を信託する信託の受益権を保有する本投資法人が不測の損害を被る可能性があります。
更に、信託契約上、信託開始時において既に存在していた信託不動産の欠陥、瑕疵等につき、当初委託者が信託財産の受託者に対し一定の瑕疵担保責任を負担する場合に、信託財産の受託者が、かかる瑕疵担保責任を適切に追及しない、又はできない結果、本投資法人が不測の損害を被り、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
(ソ)フォワード・コミットメント等に関するリスク
本投資法人は、不動産等を取得するにあたり、いわゆるフォワード・コミットメント(先日付の売買契約であって、契約締結から一定期間経過した後に決済・物件引渡しを行うことを約する契約)等を行うことがあります。不動産売買契約が買主の事情により解約された場合には、買主は債務不履行による損害賠償義務を負担することとなります。また、損害額等の立証にかかわらず、不動産等の売買価格に対して一定の割合の違約金が発生する旨の合意がなされることも少なくありません。フォワード・コミットメント等の場合には、契約締結後、決済・物件引渡しまでに一定の期間があるため、その期間における市場環境の変化等により本投資法人が不動産取得資金を調達できない場合等、売買契約を解約せざるを得なくなった場合には、違約金等の支払いにより、本投資法人の収益等に悪影響が及ぶ可能性があります。
(ツ)高齢者向け住宅に関するリスク
本投資法人は、ポートフォリオの限定的な範囲に限って高齢者向けの住宅に投資できるものとされていますが、高齢者向けの住宅の運用においては、必要となるサービスの提供等には固有の運営等に関するノウハウが必要となることから、その運営は、PM会社のみならず、オペレーターの業務遂行能力にも強く依拠することになります。したがって、オペレーターに関して、前記「② 本投資法人の運用方針等に関するリスク (ニ)PM会社に関するリスク」に記載のリスクと同様のリスクが存在することになります。また、かかる固有のノウハウが必要であることから、オペレーターやPM会社の代替性が限定されているため、そのリスクの程度は、他の類型の物件よりも大きくなる可能性があります。
更に、高齢者向けの住宅においては、高齢の入居者が多いことから、入居契約締結時における入居者の意思能力等に関するリスクは、他の類型の物件よりも大きくなる可能性があります。
加えて、高齢者向けの住宅においては、敷金及び保証金に相当する入居一時金の額が他の住居タイプの物件よりも大きくなる傾向があります。したがって、このような物件の組入比率の上昇に伴い、敷金及び保証金(又は入居一時金)に関するリスクがより大きくなる可能性があります。なお、その前提として、入居契約及び入居一時金の法的性質が必ずしも明らかではないことから、本投資法人が高齢者向け住宅を取得する際に、入居契約及び(これに随伴して)入居一時金の返還債務を本投資法人が承継したものとみなされるリスクもあります。
そのほか、高齢者向け住宅には間取りや付帯設備、その立地、建築基準法による用途制限等の点で他の一般的な賃貸住宅とは異なる特性を有する場合があります。そのため、将来テナントが退去した際に一般的な賃貸住宅への転用ができなかったり、売却をしようとした際に用途が限定されていることにより購入先が限られ処分ができないか又は想定した価格で処分することができなかったりする等の可能性があります。
⑤ 税制に関するリスク
(イ)導管性要件に関するリスク
税法上、投資法人に係る課税の特例規定により、一定の要件(導管性要件)を満たした投資法人に対しては、投資法人と投資主との間の二重課税を排除するため、利益の配当等を投資法人の損金に算入することが認められています。
投資法人の主な導管性要件
支払配当要件配当等の額が配当可能利益の額の90%超であること(利益を超えた金銭の分配を行った場合には、金銭の分配の額が配当可能額の90%超であること)
国内50%超募集要件投資法人規約において、投資口の発行価額の総額のうちに国内において募集される投資口の発行価額の占める割合が50%を超える旨の記載又は記録があること
借入先要件機関投資家(租税特別措置法第67条の15第1項第1号ロ(2)に規定するものをいう。次の所有先要件において同じ。)以外の者から借入れを行っていないこと
所有先要件事業年度の終了の時において、発行済投資口が50人以上の者によって所有されていること又は機関投資家のみによって所有されていること
非同族会社要件事業年度の終了の時において、投資主の1人及びその特殊関係者により発行済投資口総数あるいは議決権総数の50%超を保有されている同族会社に該当していないこと
会社支配禁止要件他の法人の株式又は出資の50%以上を有していないこと(一定の海外子会社を除く。)

本投資法人は、導管性要件を満たすよう努めていますが、今後、本投資法人の投資主の異動、分配金支払原資の制限・不足、資金の調達先、借入金等の定義の不明確性、会計処理と税務処理との不一致に起因する法人税等の発生、税務当局と本投資法人との見解の相違、法律の改正、その他の要因により導管性要件を満たすことができない可能性があります。これらの要因の中には、本投資法人又は本資産運用会社において回避・統制することが不可能なものもあります。本投資法人が導管性要件を満たすことができない場合、利益の配当等を損金算入することができなくなり、本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配金等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ロ)税務調査等による更正処分のため、導管性要件が事後的に満たされなくなるリスク
本投資法人に対して税務調査が行われ、導管性要件に関する取扱いに関して、税務当局との見解の相違により更正処分を受け、過年度における導管性要件が事後的に満たされなくなる可能性があります。このような場合には、本投資法人が過年度において行った利益の配当等の損金算入が否認される結果、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ハ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
本投資法人は、規約における投資方針において、その有する特定資産の価額の合計額に占める特定不動産(不動産、不動産の賃借権若しくは地上権又は不動産の所有権、土地の賃借権若しくは地上権を信託する信託の受益権をいいます。)の価額の合計額の割合を75%以上とすることとしています。本投資法人は、上記内容の投資方針を規約に定めること、及びその他の税法上の要件を充足することを前提として、直接に不動産を取得する場合の不動産流通税(登録免許税及び不動産取得税)の軽減措置の適用を受けることができると考えています。しかし、本投資法人がかかる軽減措置の要件を満たすことができない場合、又は軽減措置の要件が変更された場合には、軽減措置の適用を受けることができない可能性があります。
(ニ)一般的な税制の変更に関するリスク
不動産、不動産信託受益権その他本投資法人の資産に関する税制若しくは本投資法人に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、公租公課の負担が増大し、その結果本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、投資口に係る利益の配当、資本の払戻し、譲渡等に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、本投資口の保有又は売却による投資主の手取金の額が減少し、又は税務申告等の税務上の手続面での負担が投資主に生じる可能性があります。
⑥ その他のリスク
(イ)予定した取引を実行することができないリスク
本投資法人は、資産の取得・譲渡や、新投資口の追加発行や借入れによる資金調達といった重要な取引を行うことを決定した場合、適時開示を実施するとともに、万全を期して準備をしますが、予期せぬ事態の発生によって、当該取引を実行できなくなる可能性があります。この場合、収益機会を失うばかりでなく、状況によっては取引の関係者等に対する損害賠償等を余儀なくされること等により、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
(ロ)不動産の譲渡に伴う責任に関するリスク
本投資法人が不動産を譲渡した場合に、当該不動産に物的又は法的な瑕疵があるために、法令又は売買契約に従い、瑕疵担保責任や表明保証責任を負担する可能性があります。特に、本投資法人は、宅建業法上のみなし宅地建物取引業者に該当しますので、買主が宅地建物取引業者でない場合には、本投資法人の瑕疵担保責任に関するリスクを排除することができない場合があります。
(ハ)専門家報告書等に関するリスク
不動産の鑑定評価額及び不動産価格調査の調査価格は、個々の不動産鑑定士等の分析に基づく、分析の時点における評価に関する意見を示したものにとどまり、客観的に適正な不動産価格と一致するとは限りません。同じ物件について鑑定、調査等を行った場合でも、不動産鑑定士等、評価方法又は調査の方法若しくは時期によって鑑定評価額、調査価格の内容が異なる可能性があります。また、かかる鑑定等の結果は、現在及び将来において当該鑑定評価額や調査価格による売買の可能性を保証又は約束するものではありません。
エンジニアリング・レポートについても、建物の評価に関する専門家が調査した結果を記載したものにすぎず、不動産に欠陥や瑕疵が存在しないことを保証又は約束するものではありません。
また、不動産に関して算出される地震予想損失率も個々の専門家の分析に基づく予想値にすぎません。地震予想損失率は、損害の予想復旧費用の再調達価格に対する比率で示されますが、将来、地震が発生した場合、予想以上の多額の復旧費用が必要となる可能性があります。
(ニ)過去の収支状況が将来の本投資法人の収支状況と一致しないリスク
本投資法人が取得する個別投資資産の過去の収支状況を開示する場合、不動産信託受益権に係る不動産の現信託受託者若しくは前信託受託者、不動産の前所有者若しくは前々所有者、又は前信託受益者等から提供を受けた賃貸事業収支をあくまで参考として記載したものです。これらは不動産信託受益権に係る信託不動産及び不動産の前所有者及び前々所有者から提供を受けた未監査の情報を基礎としているため、すべてが正確であり、かつ完全な情報であるとの保証はありません。また、これらの情報は本投資法人に適用される会計原則と同じ基準に基づいて作成されたとの保証もありません。したがって、今後の本投資法人の収支はこれと大幅に異なるおそれがあります。
(ホ)本投資法人等の評判に関するリスク
以上のようなリスクが発生した場合等において、本投資法人及びその保有資産、並びに本資産運用会社をはじめとする関係者の評判が損なわれる可能性があります。かかる評判の悪化は、その原因や外部環境等によっては深刻なものになることがあり、また、事実に反するものであっても、報道やインターネット等を通じた流布により増幅され、本投資法人の信用に大きな打撃を与えることもあります。
その結果、本投資証券又は本投資法人債券の市場価格の下落や、本投資法人の取引機会の縮小など様々な事態の発生により、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
(ヘ)減損会計の適用に関するリスク
固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」)(企業会計基準適用指針第6号 平成15年10月31日)が、平成17年4月1日以後開始する事業年度より強制適用されたことに伴い、本投資法人においても減損会計が適用されています。減損会計とは、主として土地・建物等の事業用不動産について、収益性の低下により投資額を回収する見込みが立たなくなった場合に、一定の条件のもとで回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理のことをいいます。減損会計の適用に伴い、地価の動向及び運用資産の収益状況等によっては、会計上減損損失が発生し、本投資法人の損益に悪影響を及ぼす可能性があり、また、税務上当該資産の売却まで損金を認識することができない(税務上の評価損の損金算入要件を満たした場合や減損損失の額のうち税務上の減価償却費相当額を除きます。)ため、税務と会計の齟齬が発生することとなり、税務上のコストが増加する可能性があります。
(2)投資リスクに対する管理態勢
本投資法人及び本資産運用会社は、以上のようなリスクが存在することを認識しており、その上でこのようなリ
スクに最大限対応できるよう本書の日付現在、以下のリスク管理態勢を整備しています。
しかしながら、当該リスク管理態勢については、十分に効果があることが保証されているものではなく、リスク管理態勢が適切に機能しない場合、投資主又は投資法人債権者に損害が及ぶおそれがあります。
① リスク管理態勢
本資産運用会社は、「リスク管理規程」を定め、リスクの網羅的かつ正確な把握、認識したリスクについて質的かつ量的な側面からの業務に及ぼす影響の測定、適切な評価、未然防止のための対策立案及び管理状況の継続的なモニタリングを行うことを基本方針とし、リスク管理を行うことに努めています。
本資産運用会社のリスク管理に関する責任者はコンプライアンス・オフィサーであり、コンプライアンス・オフィサーは、リスクの種類に応じた測定、モニタリング及び管理等の手法(以下、本①において「リスク管理手法」といいます。)を構築し、その実効性を確保するための社内規定の整備を行うものとされています。
また、コンプライアンス・オフィサーは、リスク管理の実施状況やリスク情報につき、定期的に、又は都度必要に応じて、代表取締役社長及び取締役会に報告するものとされています。なお、代表取締役社長及び取締役会は、必要に応じて、リスク管理手法等の改善についてコンプライアンス・オフィサーに指示を行うことができるものとされています。
かかるリスク管理態勢全般の適切性及び有効性並びにリスク対策の実施状況等については、内部監査による検証を行うものとされています。
② 適時適切な情報開示
本投資法人が投資家の自己責任原則に則った投資判断に必要な、適時適切な情報開示を行えるよう、本資産運用会社は、資産運用委託契約及び本資産運用会社の組織規程等の社内規定に基づき、本資産運用会社の財務企画部を担当部署として、投信法や東京証券取引所の規則の定めるところに従って投資家に対して適時適切な情報開示を行うことを可能とするための態勢の整備に努めています。
③ コンプライアンスの徹底
上記の適時適切な情報開示は、本投資法人及び本資産運用会社の業務がコンプライアンスに則った(すなわち、法令、諸規則、社内規定及び市場ルールを厳格に遵守することはもとより、社会的規範を十分にわきまえた誠実かつ公正な企業活動を全うした)結果でなくてはなりません。本投資法人及び本資産運用会社は、投信法及び金商法に則して適法に業務を営む法人として、コンプライアンス面で概略次のような態勢を整備しています。
本投資法人の役員会は、1名の執行役員及び2名の監督役員(本資産運用会社と利害関係がないことを含め、投信法に定められた適格性を備えた人材を選任しています。)により構成され、執行役員の業務執行及び本資産運用会社の委託業務遂行状況を監督しています。具体的には、役員会に対し3か月に1回以上(当期においては毎月)、本投資法人及び本資産運用会社の業務執行状況や資産の運用リスクの状況等が報告されます。更に、本投資法人は、資産運用委託契約に基づき、本資産運用会社の帳簿等閲覧調査、監査、及びその結果に基づき必要に応じ本資産運用会社に対する是正指示等を行う権限を有しています。
本資産運用会社においては、コンプライアンスに則った業務運営を徹底するために、取締役会が定めた「コンプライアンス規程」等において、取締役会、代表取締役社長、コンプライアンス委員会、コンプライアンス・オフィサー、コンプライアンス部の役割等を規定し、実践しています。この他、各種の規定においてコンプライアンスを徹底するための役職員の行為準則等について体系的に定めています。特に、利益相反が発生しやすいとされている本資産運用会社の利害関係者との不動産等の取得・譲渡の取引については、取締役会及び本投資法人の役員会が承認したものでなければ取引できないようにする等、厳格な手順を定めています。また、法人関係情報(未公表の重要な情報及び重要な事実)を利用したインサイダー取引行為等については、本投資法人及び本資産運用会社のそれぞれにおいて、これを規制する社内規定を制定しています。
本資産運用会社におけるこれら社内規定の実効性を確保するため、取締役会は「内部監査規程」を定め、他の内部機関から独立した立場にあるコンプライアンス・オフィサーの統括の下にコンプライアンス部門が行う内部監査において、法令・規定等の遵守状況の検証、問題点の把握とその是正を図るプロセスを整備しています。また、コンプライアンス違反行為が発生し又はその発生のおそれがある場合等には、役職員は他の内部機関から独立した位置付けにあるコンプライアンス・オフィサー等に報告しなければならない旨を、コンプライアンス規程等に定めています。