有価証券報告書(内国投資証券)-第33期(令和3年11月1日-令和4年4月30日)

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2022/07/28 15:11
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(1)【投資方針】
① 本投資法人の基本方針
本投資法人は、中長期にわたる安定した収益の確保を目指して、主として不動産等資産(投資信託及び投資法人に関する法律施行規則(平成12年総理府令第129号。その後の改正を含みます。(以下「投信法施行規則」といいます。)第105条第1号へに規定する不動産等資産をいいます。)に対する投資として運用することを目的とします(規約第29条)。
このため、日本国内に所在する不動産及び不動産を信託する信託の受益権等を主たる投資対象として、投資対象資産の収益性やその安定性の度合いに着目し、その時々の金融経済情勢・不動産市場動向等を踏まえながら、中長期的な観点から安定性を確保しながら成長性を重視したポートフォリオの構築及び運用資産の着実な成長を目指し、投資主価値の最大化を実現すべく運用を行います。
本投資法人は、上記投資方針を達成するため本資産運用会社に、その運用を委託します。本資産運用会社は、不動産投資運用事業のプロフェッショナルとして、投資物件の購入や売却、テナントの誘致、管理コストの削減及び物件の価値向上につながるリニューアル等に関して優れたノウハウを持つ役職員を中心に構成されます。
また、本投資法人は、投資家からの信頼が得られるよう、強固なコンプライアンスと透明性の高い情報開示を重視した事業運営を行います。
(イ)収益の安定性を確保しながら成長性を重視した中規模オフィスに特化したポートフォリオ構築
本投資法人は、東京都心を中心に、その他首都圏、政令指定都市及び県庁所在地等に立地する不動産等で、主たる用途がオフィスである不動産等及びこれに関連する不動産対応証券を主な投資対象とします。ただし、2015年9月5日時点で保有しているオフィス以外の用途に供される不動産等及びこれに関連する不動産対応証券については、引き続き投資対象とすることができます(規約第30条)。
日本の不動産投資市場は、J-REITという商品を通して金融商品化及びグローバル化が進み、これに伴い、不動産の収益性はグローバルな金融経済、景気情勢、不動産市場動向等のマクロ要因の影響を強く受けるようになっています。また、不動産には、それぞれの用途毎の個別の市場が存在し、不動産の収益性は需要と供給の市場バランスにより用途毎に異なる動きを示す傾向があり、さらに、立地、物件グレード等の個別不動産の固有の要因により特徴ある動きを示すというミクロ要因の影響も受けます。本投資法人はこれらの要因に着目し、収益の安定性を確保しながら成長性を重視したポートフォリオの構築を目指しています。
オフィスの場合、対象となるテナント層やその賃料の変動幅は各資産の規模により違いが明らかです。本投資法人が主な投資対象としている中規模オフィスはテナントの大多数が中小企業、新興企業、個人事務所等多様であり、このような厚いテナント層による底堅いテナント需要を背景として、比較的安定した稼働を見込むことができると本投資法人は考えています。また、中規模オフィスは、いわゆるバブル景気の時期及びリーマンショックの前の好景気の時期に一時的に多く供給されたものの、それ以外の時期の供給数は比較的低水準で推移してきています。このため、本投資法人は、中規模オフィスについては、適切に保守修繕を行い定期的に設備更新を実施することにより、築年数が経っても市場での競争力を十分維持できる上、テナント満足度の向上を図るリニューアル工事等の実施等のバリューアップ施策やきめ細かなリーシングにより、さらなる収益性の向上を見込むことができると考えています。また、対象となるテナント層の多くが大企業、上場企業、外資系企業である大規模オフィスは、景気変動の影響を受けて賃料の変動が大きくなりやすい傾向にありますが、中規模オフィスは、そのような大規模オフィスと比較して賃料が相対的に安定する傾向にあると考えています。さらに、オフィス以外の中規模不動産であっても、特に商業施設等は経済情勢により収益性が成長する傾向にあり、その中でも、テナントと長期賃貸借契約が締結されている物件、オペレーションリスクが小さい物件及びテナントの与信力が高い物件は、安定的なキャッシュ・フローを見込むこともできると考えています。
本投資法人は、上記のような特徴を有する中規模オフィス等に戦略的に投資を集中させることで、収益の安定性を確保しながら成長性を重視したポートフォリオの構築を図っています。
(ロ)運用資産の着実な成長
本投資法人は、前記のとおり、収益の安定性と成長性に寄与すると判断し得る中規模オフィスについては積極的に取得の検討を行うとともに、規模の経済がポートフォリオ全体の収益性を向上させる効果を考慮した上で、今後のポートフォリオの拡大を図ることが重要であると考えています。
オフィスの中でも、特に、中規模オフィスは、安定性と成長性の両面が見込めることに加え、大規模オフィスに比べて絶対的な物件数が多く、取得機会が多く存在し、市況に応じた機動的なポートフォリオの組替えも可能であるため、本投資法人は、中規模オフィスを中心に取得の検討を行います。
本投資法人は、このような理解のもと、投資対象資産の用途、地域、規模等を踏まえ、基本的なスペックである立地、築年数、面積・仕様・設備、遵法性、耐震性能、地震PML、アスベスト・PCB等の有害物質、土壌汚染等の各基準についても十分考慮のうえ、取得の判断を行う方針です。
本投資法人は、上記方針に基づき、本投資法人の外部成長の機会を増大させ、投資主価値の最大化を目指していきます。
② 本投資法人の成長戦略
(イ)外部成長戦略
本投資法人は、本資産運用会社の独自のネットワーク、及びスポンサーサポート会社のネットワークをフル活用し、良質な投資情報を継続的に取得して、着実な外部成長を図ります。
a.本資産運用会社独自のネットワークによる物件取得
本投資法人より運用の委託を受けた本資産運用会社は、不動産会社、金融機関等出身の経験豊富な人材で構成されています。本投資法人は、こうした人材の持つ、不動産の投資・運営ノウハウ、不動産ファイナンス・スキル及びネットワークを駆使し、物件取得の機会を追求します。
また、独自の物件取得ルートの充実が着実な外部成長の鍵となるとの認識のもと、有力不動産仲介会社をはじめとした仲介業者、開発業者、信託銀行などの金融機関、不動産投資ファンドの管理会社等との情報ネットワークの構築・強化に努め、より多くの良質な投資情報の取得を目指します。
b.いちごグループ(注)のネットワークによる物件取得
本投資法人は、いちご株式会社とスポンサーサポート契約を締結しています。このスポンサーサポート契約により、本投資法人は、いちご株式会社から、本投資法人が取得検討する物件及び取得先の紹介、ウェアハウジング機能並びに信用補完の提供等を受けます。後記「(ハ)いちごグループのサポート」をご参照下さい。
また、本資産運用会社は、いちご株式会社、いちご地所株式会社、いちごECOエナジー株式会社、いちごオーナーズ株式会社及びいちご土地心築株式会社との間で、取得資産情報のグループ内優先検討順位に関する覚書(「第一部 ファンド情報 第1 ファンドの状況 1 投資法人の概況 (3)投資法人の仕組み ③上記以外の本投資法人の関係法人及びその他の主な関係者」のいちご株式会社に関する記載をご参照下さい。)を締結しています。この覚書により、いちごグループが取り扱う取得資産情報について、本資産運用会社に速やかに提供される体制となっています。
本投資法人は、いちごグループとの取引について、本資産運用会社の自主ルール(後記「第二部 投資法人の詳細情報 第3 管理及び運営 2 利害関係人との取引制限 (2)利害関係者取引規程」をご参照下さい。)の適用を受けるものとし、利益相反の排除に努めています。
(注)「いちごグループ」とは、いちご株式会社及びその連結子会社(本資産運用会社を含みます。)で構成されます。以下同じです。
(ロ)内部成長戦略
投資対象物件のテナント属性は多岐(不動産会社、事業会社、個人等)にわたるため、物件管理レベルの格差は大きいと考えられます。本投資法人の取得物件については、本資産運用会社がそのノウハウを駆使して高い管理レベルを実現し、賃料水準の向上、稼働率の向上、及び運営管理コストの削減による内部成長を目指します。実行にあたっては立地、物件用途、地域性等の物件特性に適合したプロパティ・マネジメント(以下「PM」といいます。)会社を選定し、PM会社と協働して積極的かつ効率的な運営管理を行います。
・テナント満足度の向上
既存テナントのニーズ(不満・要望等)を的確に把握するために、定期的にテナントヘのヒアリングを実施します。そこで収集した情報に基づき的確かつ迅速に対応することで、テナント満足度の維持・向上を図り、既存テナントの退去防止に努めます。
・戦略的なリーシング
新規テナントのリーシングにあたっては、テナントニーズを分析し、物件の立地特性に即したきめ細かいリーシング戦略を策定・実行することで、早期のテナント確保に努めます。
・積極的な設備投資
現状の使用環境を維持する修繕工事はもとより、例えば、新規テナントのリーシングにあたり、施設面での快適性向上が最有効と判断される場合には、これを主眼とする改修工事も積極的に検討実施します。
・スケールメリットの追求
建物管理業務(設備保守、清掃、警備等)を複数物件で一括委託することで、スケールメリットによる運営管理コストの低減を図ります。
・外部委託業務への競争原理導入
運営管理業務(PM業務、建物管理業務、修繕工事等)の外部委託にあたっては、品質レベルの高い専門業者の中から複数の候補業者を選定した上で入札を実施する等、透明性の高い方法を採用することにより、高品質かつ低コストの物件管理を実現することができます。
(ハ)いちごグループのサポート
a.いちごグループ及びいちご株式会社の概要及び実績
ⅰ.いちごグループ及びいちご株式会社の概要
いちごグループは、「日本を世界一豊かに。その未来へ心を尽くす一期一会の「いちご」」を経営理念として掲げ、J-REIT及び私募不動産ファンドを運営するアセットマネジメント、いちごグループの不動産技術、ノウハウを最大限に活かすことで資産価値の向上を図る「心築」、メガソーラー(太陽光発電)を始めとしたクリーンエネルギー事業を行っています。
いちご株式会社は、これらの事業を担うグループ傘下各社の株式を保有する上場持株会社として、いちごブランド戦略の推進、グループ経営戦略の立案、経営資源の最適配分などの経営管理と、グループ各社への不動産サービスや事務サービスの提供などの受託業務を通じ、グループ価値の向上を追求しています。
ⅱ.いちごグループの実績
いちごグループにおけるこれまでの累計受託資産残高は1.9兆円以上、不動産ファンド組成本数は累積221本となっており(2022年2月末日現在)、特に「心で築く、心を築く」という信条のもと、既存不動産に新しい価値を創造する「心築」機能を軸とした事業を行っています。
b.スポンサーサポート契約の概要
本投資法人及びいちご株式会社は、2014年3月26日付で締結していたスポンサーサポート契約及び2015年4月9日付で締結していたスポンサー追加サポート基本合意書を改定、統合して、2019年12月26日付でスポンサーサポート契約を締結しています。同契約の概要は以下のとおりです。
いちご株式会社は、本投資法人の継続的かつ安定的な成長と発展を目的として、次に掲げる業務を行うものとします。
① 本投資法人に対して融資を提供する金融機関の紹介、及びその実現に向けた協力
② 本投資法人に対して出資する投資家の紹介、及びその実現に向けた協力
③ 本投資法人が取得検討する物件及び取得先の紹介、本投資法人が保有する物件の売却先の紹介、並びにそれらの実現に向けた協力
④ 本投資法人による取得機会の確保のための物件の取得及び保有
⑤ 本投資法人及び本資産運用会社の事業全般に関するコンサルタント業務、他の事業者の紹介及びその他の補助的業務
さらに、本投資法人は、次に掲げる事項に関し、いちご株式会社より本投資法人の信用補完を得る必要があると判断した場合、いちご株式会社に対し、当該信用補完を得る必要のある具体的事項及び当該信用補完の提供に係る合理的な対価を事案に応じて検討の上、通知し、いちご株式会社との協議により決定した金額でいちご株式会社による本投資法人の信用補完を要請することができることとしています。
① 本投資法人に対する金融機関による融資
② 本投資法人に対する投資家による出資
③ 不動産又は不動産を信託財産とする信託受益権の取得
④ 前①から③までに関連する事項
⑤ その他本投資法人の運営に資する事項
いちご株式会社は、当該要請があった場合において、本投資法人の要請に応じることが法令その他の規則・ガイドライン等に反することなく、かつ、同合意書の目的に合致するとその裁量によって判断した場合には、本投資法人との間で個別合意書を締結した上で、当該個別合意書において定められた事項に関し、スポンサーレターの提出、保証契約の締結、資産取得における代替買主としての役割の提供等の方法により、有償で、本投資法人の信用を補完する措置をとります。
なお、いちご株式会社は、いちご株式会社の判断により、いちご株式会社の子会社又は関連会社(本資産運用会社を除きます。)をして、これらの業務を行わせることができることとしています。
③ ポートフォリオ構築方針
(イ)投資対象地域
投資対象地域は、下記の東京都心を中心に、その他首都圏及び全国のその他主要都市(政令指定都市及び県庁所在地等)とします。
地域区分所在地投資比率(注)
都心6区千代田区、港区、中央区、新宿区、渋谷区、品川区70%以上
その他首都圏東京都(上記6区を除く)、神奈川県、千葉県、埼玉県
4大都市大阪市、名古屋市、福岡市、札幌市30%以下
その他主要都市上記以外の地域の主要都市
合計-100%

(注)投資比率とは各区分の取得価格総額を全区分の取得価格総額で除したものです。投資比率は目標であり、一時的に上記比率を満たさないことがあります。
本投資法人は、都心6区及びその他首都圏に所在する物件を中心に投資しますが、これらのエリア以外にも底堅い需要を取り込めるエリアがあると判断した場合には、ポートフォリオの地域分散及び自然災害リスクの軽減を図ることを目的として、市場規模及びリスクとリターンを勘案しながら、4大都市及びその他主要都市に所在する競争力のある物件についても投資を行います。
(ロ)用途区分
事務所を主たる用途とする不動産等及びこれに関連する不動産対応証券に主として投資します。
用途区分
事務所
その他(主たる用途が事務所以外)

(ハ)取得基準
a.基本スペック
投資対象物件の取得にあたり、原則として以下の基準(基本スペック)を考慮のうえ、投資判断を行い ます。なお、本投資法人は、以下の基準を考慮するものの、物件の競争力、収益性等を勘案した上で、総合的に判断して、以下の基準の一部を満たさない物件を取得することがあります。
事項基準
立地用途、地域、規模等の特性を、総合的に分析・検討した上で投資判断を行うこととする。
築年数原則として30年以内。ただし、大規模修繕等により建物性能が向上したものについては、この限りでない。
面積・仕様・設備用途、地域、規模等の特性を、総合的に分析・検討した上で投資判断を行うこととする。
遵法性都市計画法(昭和43年法律第100号。その後の改正を含みます。以下「都市計画法」といいます。)・建築基準法(昭和25年法律第201号。その後の改正を含みます。以下「建築基準法」といいます。)等の各種公法上の法規制を遵守していることを原則とする。ただし、既存不適格物件、又は各種法規制に適合していない物件であっても将来的にその違法性が是正されることが見込まれている物件については、投資することがある。
耐震性能新耐震基準(注1)又は同等の耐震性能を有するものとする。
地震PML(予想最大損失率)超過確率10%信頼値で投資不動産単体のPML(注2)20%以下。
ポートフォリオのPMLは10%以下を維持するものとする。
アスベスト・PCB等の有害物質についての基準アスベスト原則として、アスベストを使用している建物は、投資不動産の対象外とする。ただし、環境調査等によりアスベストの飛散防止措置がなされており飛散の可能性が極めて低いと判明した場合には、法令遵守のために建物解体時に発生する費用等を考慮して、取得することも可能とする。

事項基準
アスベスト・PCB等の有害物質についての基準アスベストアスベストに関する法的規制の動向を、注意深く見守り、将来的に規制が変更強化された場合には、本スペックも速やかに見直すこととする。
PCBPCBが、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成13年法律第65号。その後の改正を含みます。)に従って保管されていれば投資不動産の対象とする。ただし、保管費用等を考慮して取得価格を決定するものとする。
その他上記以外の有害物質についても十分に考慮する。
土壌汚染投資不動産の所在土地が、指定区域(注3)に指定されている、又は過去に指定区域に指定されていた場合は投資対象外とする。
また、投資不動産について、環境調査により土壌汚染(注4)が存することが判明した場合は、汚染の分布状況・除去等に要する費用を考慮して取得価格を決定するものとする。

(注1)新耐震基準とは、昭和55年建築基準法改正(昭和56年施行)に基づく構造基準をいいます。
(注2)PML(Probable Maximum Loss)とは、地震による予想最大損失率をいいます。PMLには個別物件に関するものと、ポートフォリオに関するものがあります。PMLについての統一的な定義はありませんが、本書においては、想定した予定使用期間(50年=一般的建物の耐用年数)中に、想定される全ての地震を考慮し、損失額あるいは損失の割合が10%を超過する割合を損害の予想復旧費用の再調達価格に対する比率(%)で示したものをいいます。
(注3)指定区域とは、土壌汚染対策法の一部を改正する法律(平成21年法律第23号)第1条の規定による改正前の土壌汚染対策法(平成14年法律第53号。その後の改正を含みます。以下「土壌汚染対策法」といいます。)第5条第4項で定義される指定区域並びに土壌汚染対策法第6条第4項で定義される要措置区域及び同法第11条第2項で定義される形質変更時要届出区域をいいます。
(注4)土壌汚染とは、土壌汚染対策法及び国・地方公共団体により施行(公布後の場合は予定も含みます。)された土壌汚染に係る法令・指針等によって定められた有害物質についての基準値を超過する状態であることを指します。
b.投資金額
投資対象物件の検討にあたり、以下に定める事項に留意し、投資判断を行います。不動産及び不動産を信託する信託の受益権を投資対象とする場合は、原則として、5億円を最低投資額とし、不動産対応証券を投資対象とする場合は、原則として、1千万円を最低投資額とします。ただし、一つの物件への投資について、当該物件取得後のポートフォリオ総額に対する当該物件の投資額の比率の上限を25%とします。
・ポートフォリオ全体に及ぼす影響
・物件の属する地域不動産市場の状況及び同市場における当該物件の位置付け
・運用管理面からみた投資採算性
・テナントの質、個別賃貸借契約の内容
c.開発物件
取得決議時において未竣工のいわゆる開発物件のうち、売買契約時までに下記の条件を満たす物件については、完工・引渡等のリスクが十分軽減できていると考えられるため、本投資法人はこれを取得することができるものとします。ただし、本投資法人が自ら土地を購入し当該土地上に新たに建物を建築する開発型投資は行いません。
・建物が所定の図面通りに竣工し、検査済証の交付及び建物診断が行われ遵法性が確認されること、瑕疵の指摘がないこと等が売買契約の停止条件となっていること。
・不動産鑑定業者から不動産鑑定評価書又はこれに準ずる不動産価格調査報告書が得られること。
・ポートフォリオ全体の稼働率への影響を検証した上で、竣工後の十分な稼働率の確保が可能と見込まれること。
d.その他
稼働率が低い物件や未稼働物件については、ポートフォリオ全体の稼働率への影響を検証した上で、購入後に十分な稼働率の確保が見込めると判断した場合に限り、本投資法人はこれを取得することができるものとします。
④ デュー・デリジェンス基準
運用資産を取得するに際しては下表に挙げる調査項目に基づいて、経済的調査、物理的調査及び法律的調査を十分実施し、キャッシュ・フローの安定性及び成長性等を阻害する要因等の存否等の把握を中心とした、当該運用資産の投資対象としての妥当性を検討します。
その際に、原則として、専門性、客観性及び透明性の確保のため、建物状況評価、耐震性調査、環境調査、不動産鑑定評価及び必要に応じて行う市場調査を、利害関係を有しない独立した外部業者へ委託し、その結果をもとに詳細に検討します。
調査項目調査内容
経済的調査(イ)投資対象物件の不動産鑑定評価(注)
(ロ)テナントの信用力、過去の賃料収入状況
(ハ)過去稼働率の推移、賃料水準の動向
(ニ)投資対象物件の立地するエリア特性(周辺不動産の利用状況、商圏分析等)
(ホ)投資対象物件の立地するエリアの空室率の推移及び予測
(ヘ)投資対象物件の用途・規模の適合性
(ト)鉄道等主要交通機関や官公署等の利便施設からの利便性
(チ)投資対象物件の収益(賃料・共益費等)の適正性
(リ)投資対象物件の敷金・保証金等の適正性
(ヌ)投資対象物件の建物管理状況の適正性
(ル)投資対象物件の費用(管理費・水光熱費・修繕費等)の適正性
物理的調査(イ)建築基準法・都市計画法等関連法令に対する遵守状況
(ロ)建物主要構造・規模・築年数・設計者・確認検査機関・施工業者等
(ハ)賃貸可能面積・貸室形状・間取り・天井高・電気容量・空調方式・床荷重・OA床・防災設備・警備方法・共用部分(エレベーター・ホール、トイレ、給湯室、共用廊下等)・駐車場・昇降機設備等の状況
(ニ)耐震性能
(ホ)地震PML(予想最大損失率)の検証
(ヘ)緊急修繕の必要性や長期修繕計画の検証
(ト)アスベスト・PCB等の有害物質の使用・保管状況
(チ)土壌汚染状況等環境調査
法律的調査(イ)不動産登記簿謄本・公図の調査
(ロ)土地境界確定の状況、境界紛争の調査
(ハ)賃貸借契約・転貸借契約・使用貸借契約等の調査
(ニ)区分所有建物の場合
a.管理規約・協定書等の調査
b.敷地権登記設定の有無・専有部分とその敷地利用権の分離処分禁止の措置
c.他の区分所有者の属性
(ホ)共有持分の場合
a.共有持分不分割特約及びその旨の登記の調査
b.共有者の属性や共有者間における特約・協定・債権債務等の有無
c.賃貸借契約の内容・賃料債権・敷金返還債務の調査
(ヘ)借地権の場合
a.借地権に対する対抗要件の具備の状況
b.借地権売却時の承諾料の有無及び金額
c.借地権設定者の属性や特約等の有無
(ト)テナントとの紛争の可能性
(チ)優先交渉権の有無
(リ)前所有者の状況(否認権及び詐害行為取消権の確認)
(ヌ)不動産を信託する信託の受益権については信託契約の内容

(注)不動産鑑定評価により求める価格は、適正な投資採算価値を表す正常価格又は特定価格とします。なお、不動産鑑定業者は、正常価格及び特定価格の鑑定実績、又は不動産投資信託に組込まれている不動産等の鑑定実績に乏しい鑑定業者は選定しないものとします。
開発物件で対象建物が未竣工のため不動産鑑定評価を得ることが困難な場合、竣工予定の建物が予定通り竣工したものと想定した価格を不動産鑑定士が鑑定評価手法を適用して求めた不動産価格調査報告書をもって不動産鑑定評価に代えることがあります。その場合は、建物竣工後速やかに不動産鑑定評価を取得するものとします。
⑤ リーシング方針
(イ)安定した収益確保を図るべく、投資不動産毎に情報を収集し、各投資不動産が所在する地域不動産市場における需給状況、賃料相場、空室率及び競合物件の動向等を分析した上で、投資不動産毎にリーシング方針を策定し、テナント募集活動を行います。
(ロ)投資不動産の効率的な運営管理を行う上で合理的と判断される場合、マスターリース会社(エンドテナントに転貸することを目的として賃貸借契約(いわゆる、マスターリース契約)を締結する賃借会社をいいます。賃料保証型と賃料保証をしないパス・スルー型があります。)を利用することも検討します。マスターリース会社の選定にあたり、投資不動産及び地域不動産市場の特性を勘案し、マスターリース候補会社の特徴・実績等を総合判断の上決定します。
(ハ)テナントの選定・対応については、以下を基本とします。
a.入居予定テナントについては、下表に掲げる各審査項目についてチェックを行います。必要に応じて外部の調査機関のデータベース等も活用します。信用調査等の結果、問題がないと判断される場合、賃料水準、賃貸借契約期間、敷金金額、テナント業種、当該物件における他テナントとのバランス、要求されるスペースの規模及び形状等を総合的に検討し、賃貸借契約締結の可否を判断します。
属性区分審査項目
法人ⅰ.業種、業歴、決算内容(財務の健全性)等
ⅱ.賃貸借の内容(使用目的、契約形態、契約期間、賃料、敷金、賃借面積、内装工事内容等)
ⅲ.保証人の有無及びその属性
ⅳ.反社会的勢力との関係の有無
個人ⅰ.勤務先とその内容、勤続年数等
ⅱ.年収(年収に占める賃料総額の割合等)
ⅲ.賃貸借の内容(使用目的、契約形態、契約期間、賃料、敷金、入居人数等)
ⅳ.保証人の有無及びその属性(本人との続柄等)
ⅴ.反社会的勢力との関係の有無

b.既存テナント及び新規に賃貸借契約を締結したテナントについて、定期的にヒアリングを実施するなど、そのニーズ(不満・要望等)を適切に汲み上げ、可能な限り長期的な関係を維持することを企図します。
(ニ)賃貸借契約における賃料、敷金及び契約期間の扱いについては、以下を基本とします。
a.賃料
対象不動産の所在する地域の不動産賃貸市場における市場実勢水準及び地域内における対象不動産の競争力に鑑み、適切な賃料設定を行うことにより、機会損失を回避しテナントを確保するように努めます。ただし、適切に設定された賃料水準において、十分な賃料負担能力と信用力を持つテナントがすぐに確保できない場合には、一定期間空室が発生することもありえます。
b.敷金
賃貸借契約期間、物件の特性、不動産賃貸市場の状況、テナントの信用力及び賃貸借の目的等に鑑み、都度適切な水準に決定します。
c.契約期間
2年間の普通借家契約を基本としますが、物件の特性や不動産賃貸市場の状況に応じてさらに長期間の契約締結が有利と判断される場合には、契約期間の長期化又は定期借家契約(借地借家法(平成3年法律第90号。その後の改正を含みます。以下「借地借家法」といいます。)第38条第1項)の導入も検討します。
⑥ 管理方針
(イ)PM会社の選定
投資不動産に係る管理業務においては、資産価値の維持向上を図りつつ、併せて不動産からの収益を拡大するよう努めるものとします。
これを実現するために、投資不動産毎にその特性を踏まえ、最適なPM会社を選定し、建物運営管理、賃貸営業管理、工事・営繕管理等の管理業務を一括委託することを基本とします。
(ロ)PM会社の選定基準
PM会社の選定にあたっては、下表に掲げる各審査項目を総合的に検討した上で、最適と判断されるPM会社を、原則として個別の投資不動産毎に決定します。
審査項目審査内容
業容PM事業概要、人員体制、事業地域等
経験・実績不動産用途別又は地域別の管理実績、専門とする不動産の用途又は地域
財務健全性過去の決算内容、信用度
PM内容・能力建物運営管理(設備保守・清掃・警備等)、工事・営繕管理(建物の修理・修繕・更新・改修工事に係る管理等)、賃貸営業管理(テナントリーシング等)、これに伴う報告業務、管理企画提案、渉外業務等の体制・質・スピード
報酬額PM内容との相応性
その他近隣競合建物の受託状況

(ハ)運営のモニタリング
PM会社と相互に綿密な連携をとることにより、円滑な管理体制を構築し、PM業務の品質の維持向上に努めます。定期的(原則として毎月)に投資不動産の運営管理状況(賃貸収支状況、稼働状況、既存テナント動向、新規テナント募集状況、修繕工事実績及び今後の予定等)を報告させるとともに、必要に応じてその対応内容等についての協議を行います。
PM会社との契約期間は原則1年間とし、当該契約期間の運用実績について、日頃のモニタリング及び運営管理状況の定期報告等の内容に基づき原則として毎年パフォーマンス評価を実施し、その結果が不良の場合にはPM会社の変更を検討します。
(ニ)修繕及び資本的支出に関する基本方針
a.修繕計画の策定
投資不動産の機能的価値の維持及び向上を図るため、建物エンジニアリング・レポートにおける中長期修繕計画を参考に、投資不動産毎に修繕計画を策定し、必要な修理、修繕、更新及び改修を行います。
修繕計画は、本投資法人の決算期までに翌営業期間及び翌々営業期間分を策定します。
b.修繕
建物・設備機能の維持保全を目的とした修繕については、過去の修繕履歴、設備水準及び建物エンジニアリング・レポートの内容等を踏まえ、その実施時期、実施内容及び実施額等を検討の上、効率的な実施に努めます。
c.資本的支出
通常必要とされる資本的支出(建物の経年劣化に伴う諸対応及び機能維持を目的とした各種設備の更新をいいます。)のほか、中長期にわたり投資不動産の市場競争力及びテナント満足度の維持向上を図るためのリニューアル(OA床の設置、個別空調設備の導入、24時間警備装置の設置、外壁・共用部等の美観及び利便性の向上等をいいます。)についても必要に応じて十分な検討を行った上で実施します。工事の実施にあたり、実施時期、実施内容及び実施額等を検討の上、効率的な実施に努めます。
d.ポートフォリオ全体での検証
修繕工事の実施にあたり、内容の共通した工事を複数物件で実施することによりポートフォリオ全体の費用低減につながると判断した場合には、当該工事を同時期に行うことも検討します。
また、ポートフォリオ全体の収支の安定性を確保するため、営業期間毎の修繕費用と留保資金(減価償却費)とのバランス及びポートフォリオ全体の修繕工事費用の平準化に留意します。
e.耐震補強
前記「③ ポートフォリオ構築方針 (ハ)取得基準 a.基本スペック」に定める耐震性能に適合せず、耐震補強が必要な物件は、テナントの営業状況に配慮しつつ、実施時期を含めた検討を行った上で、補強工事を実施します。
(ホ)付保方針
a.火災等の災害や事故等により生じる建物の損害及び対人対物事故を原因とする第三者からの損害賠償請求による損害等に対応するため、所定の付保基準に基づき火災保険及び損害賠償保険の付保を行います。また、災害、事故等による利益損失等を回避するため、利益保険を付保します。
b.地震保険の付保に関しては、ポートフォリオ全体のPMLを基準に、災害による影響と地震保険料とを比較検討した上で付保の判断を行います。なお、PMLが20%を超える物件については、個別に超過部分に対する地震保険の付保を検討します。
c.引受保険会社の選定にあたり、適当と認められる保険代理店を通じて複数の保険会社の引受条件や信用状況を比較検討の上、公正な選定を行います。
⑦ 売却方針
(イ)ポートフォリオの見直し
本投資法人は、以下に定めるところに従い、ポートフォリオの構成を見直し、個別投資不動産を売却することがあります。なお、ポートフォリオの構成の見直し及び個別投資不動産の売却に際しては、本投資法人は、国内外の経済動向及び不動産市場の動向を分析し、売却後のポートフォリオの資産構成が、中長期的な観点から見て安定した収益を確保することができるかどうかの検討を行い、更に個別投資不動産等の現状の収益状況や将来収益の予測等を考慮した上で、売却するか否かを検討するものとします。
(ロ)本資産運用会社は、個別の投資不動産等について以下のいずれかの事項に該当すると判断した場合、その売却を検討します。
a.各個別投資不動産等の収益分析、ポートフォリオのアロケーション分析及び物件取得状況分析等の結果、売却することが本投資法人の中長期的な運用戦略から見て適切と判断した場合
b.売却による債務の返済等を通じて財務体質の強化や資金の再調達リスクの軽減を図ることが、本投資法人の財務戦略から見て適切と判断した場合
c.実勢価格を超える購入価格を提示する購入希望者が現れる等、売却を行うことが本投資法人の収益に寄与すると判断した場合
d.経済情勢の著しい変化又は災害等による建物の毀損・劣化等により当初想定した収益の確保が困難となり、追加的措置によっても回復の見込みがないと判断した場合
(ハ)売却にあたり、より高い価格での売却が実現できるように、競争入札方式の導入、有力不動産仲介業者の活用、専任媒介業者の活用等の方策を検討します。また、購入先の属性や購入目的等の調査を行い、不測のトラブルの回避を図るものとします。
⑧ 財務方針
(イ)本投資法人の安定収益の確保及び運用資産の着実な成長を目的として、以下の基本方針の下で計画的かつ機動的な財務戦略を立案し実行します。
a.調達面では、資産の取得、修繕設備投資、分配金の支払及び本投資法人の運営又は債務の返済(敷金及び保証金の返還・借入金の返済・投資法人債の償還を含みます。)等に必要な資金の確保を目的として、バランスのとれた調達を行います。
b.運用面では、資金の安全性、流動性及び効率性を重視した運用を行います。
(ロ)投資口の追加発行は、総資産額に対する借入金及び投資法人債の合計額の割合(以下「有利子負債比率」といいます。)や投資物件の取得計画等を勘案した上で、投資口の希薄化(追加発行する投資口1口当たり純資産及び1口当たり分配金への影響)にも配慮しつつ、実行します。
(ハ)負債による資金調達については、下記の基本方針に従って実施します。
a.有利子負債比率は、原則として60%を上限とします。ただし、新たな投資不動産等の取得に伴い、一時的に60%を超えることがありえます。
b.金融機関等からの資金の借入れについては、下記の方針によります。
ⅰ.全体の金利コストの削減に努めつつ、金利変動リスクを軽減するため、長期・短期の借入期間、固定・変動の金利形態等のバランスを図り、また、資金の再調達リスクを軽減するため、返済期限や借入先の分散を図ります。
ⅱ.借入先の選定にあたり、金融市場の状況を勘案しつつ、借入期間、金利、担保提供の要否及び手数料等の諸条件につき複数の借入候補先と交渉し、その内容を総合的に比較して合理的に決定します。なお、借入先は、金融商品取引法第2条第3項第1号において定義される適格機関投資家(ただし、租税特別措置法第67条の15第1項で定める機関投資家に限ります。)に限るものとします。
ⅲ.必要資金の機動的な調達を目的として極度ローン契約等の締結を必要に応じ検討します。
c.長期かつ安定的な資金調達と調達先の分散を目的として投資法人債の発行も検討します。
d.資金調達のための必要に応じ投資法人の資産を担保として提供することがあります。
e.デリバティブ取引に係る権利(投資信託及び投資法人に関する法律施行令(平成12年政令第480号。その後の改正を含みます。以下「投信法施行令」といいます。)第3条第2号)への投資を、本投資法人に係る負債から生じる為替リスク、金利変動リスクその他のリスクをヘッジすることを目的としたものに限って行うことがあります。ただし、リスクヘッジの対象となった負債が返済等により消滅する場合にも、対応するヘッジ取引についてはその解約コストを勘案し、解約しないこともありえます。
(ニ)資金運用については、下記の基本方針に従って実施します。
a.本投資法人の運営等に必要な支出に備え、資金効率にも配慮しつつ、適正な水準の現預金を余剰資金として保有します。本投資法人に帰属する余剰資金(本投資法人の固有勘定内及び不動産信託の信託勘定内)は、無利息型の口座(預金保険制度により全額保護の対象となる決済用預金)又は短期債務格付が最上級格若しくはその次格である銀行の預金口座に預け入れます。
規約上は安全性及び換金性を重視した上で有価証券及び金銭債権への投資ができることとされていますが、当面は運用を目的とした有価証券又は金銭債権への投資は行わないこととします。
b.投資物件の賃貸に際し収受した敷金又は保証金等の預り金の運用についても、原則として上記a.に準じて取扱います。
(ホ)自己投資口の取得及び消却については、下記の基本方針に従って実施します。
a.資本効率の向上及び投資主還元強化の観点から、財務、資本政策の一環として自己投資口の取得及び消却を行うことも検討します。
b.自己投資口の取得及び消却の検討にあたっては、中長期的な投資主価値の向上の観点から、財務状況、金融市場の状況等を慎重に見極めた上で、可否を判定するものとします。
⑨ 情報開示方針
本投資法人は、投信法、金融商品取引法、東京証券取引所及び一般社団法人投資信託協会等がそれぞれ要請する内容及び様式に従って、迅速・正確かつ公平な情報開示を行います。また、投資家にとって分かりやすい情報の提供に努めます。

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