有価証券報告書(内国投資証券)-第30期(令和2年5月1日-令和2年10月31日)
(1)リスク要因
以下には、本投資証券又は本投資法人債券への投資に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。ただし、以下は本投資証券又は本投資法人債券への投資に関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。また、本投資法人が保有している個別の不動産信託及び不動産に特有のリスクについては、後記「5 運用状況 (2)投資資産 ③ その他投資資産の主要なもの (ヘ)個別不動産及び個別信託不動産等の概要」を併せてご参照下さい。なお、以下に記載の事項には、将来に関する事項が含まれますが、別段の記載のない限り、当該事項は本書の日付現在において本投資法人が判断したものです。
本投資法人は、対応可能な限りにおいてこれらのリスクの発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、回避及び対応が結果的に十分である保証はありません。以下に記載するリスクが顕在化した場合、本投資証券又は本投資法人債券の市場価格は下落し、発行価格に比べ低くなること又は本投資法人債券の利払若しくは償還に悪影響を与えることもあると予想され、その結果、投資主又は投資法人債権者が損失を被る可能性があります。また、本投資法人の純資産額の低下その他財務状況の悪化により、分配率の低下が生じる可能性があります。
各投資家は、自らの責任において、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で本投資証券又は本投資法人債券に関する投資判断を行う必要があります。
本項に記載されているリスク項目は、以下のとおりです。
① 本投資証券又は本投資法人債券の商品性に関するリスク
(イ)本投資証券又は本投資法人債券の市場価格の変動に関するリスク
(ロ)本投資証券の市場での取引に関するリスク
(ハ)金銭の分配に関するリスク
(ニ)収入及び支出の変動に関するリスク
(ホ)投資口の追加発行時の価値の希薄化に関するリスク
(ヘ)投資法人債券の利払・償還に関するリスク
(ト)投資主の権利が必ずしも株主の権利と同一ではないリスク
② 本投資法人の運用方針に関するリスク
(イ)不動産等を取得又は処分できないリスク
(ロ)新投資口の発行、借入れ及び投資法人債の発行による資金調達に関するリスク
(ハ)プロパティ・マネジメント会社に関するリスク
(ニ)投資対象をオフィスに特化していることによるリスク
(ホ)不動産の地域的な偏在に関するリスク
③ 本投資法人の関係者、仕組みに関するリスク
(イ)いちごグループ等への依存、利益相反に関するリスク
(ロ)本資産運用会社が他の投資法人の資産運用を受託していることに関するリスク
(ハ)本投資法人の関係者への依存、利益相反に関するリスク
(ニ)本投資法人の執行役員及び本資産運用会社の人材(個人の能力、経歴、ノウハウ)に依存しているリスク
(ホ)インサイダー取引規制に関するリスク
(ヘ)フェア・ディスクロージャー・ルールに関するリスク
(ト)本投資法人の投資方針の変更に関するリスク
(チ)本投資法人の倒産又は登録抹消のリスク
(リ)敷金及び保証金に関するリスク
④ 不動産及び信託の受益権に関する法的リスク
(イ)不動産の欠陥・瑕疵・契約不適合や境界に関するリスク
(ロ)不動産の売却に伴う責任に関するリスク
(ハ)賃貸借契約に関するリスク
(ニ)災害等による建物の毀損、滅失及び劣化のリスク
(ホ)不動産に係る所有者責任、修繕・維持費用等に関するリスク
(ヘ)不動産に係る行政法規・条例等に関するリスク
(ト)法令の制定・変更に関するリスク
(チ)売主の倒産等の影響を受けるリスク
(リ)転貸に関するリスク
(ヌ)テナント集中に関するリスク
(ル)テナント等による不動産の利用状況に関するリスク
(ヲ)マスターリースに関するリスク
(ワ)共有物件に関するリスク
(カ)区分所有建物に関するリスク
(ヨ)借地物件に関するリスク
(タ)借家物件に関するリスク
(レ)底地物件に関するリスク
(ソ)開発物件に関するリスク
(ツ)築古物件に関するリスク
(ネ)有害物質に関するリスク
(ナ)不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク
(ラ)フォワード・コミットメント等に関するリスク
⑤ 税制に関するリスク
(イ)導管性の維持に関する一般的なリスク
(ロ)税負担の発生により支払配当要件が満たされないリスク
(ハ)借入れに係る導管性要件に関するリスク
(ニ)同族会社要件について本投資法人のコントロールが及ばないリスク
(ホ)投資口を保有する投資主数について本投資法人のコントロールが及ばないリスク
(ヘ)税務調査等による更正処分のため、導管性要件が事後的に満たされなくなるリスク
(ト)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
(チ)一般的な税制の変更に関するリスク
⑥ その他
(イ)専門家の意見への依拠に関するリスク
(ロ)減損会計の適用に関するリスク
(ハ)匿名組合出資持分への投資に関するリスク
(ニ)投資主優待制度に関するリスク
(ホ)感染症の拡大等に関するリスク
① 本投資証券又は本投資法人債券の商品性に関するリスク
(イ)本投資証券又は本投資法人債券の市場価格の変動に関するリスク
本投資法人は、投資主からの請求による払戻しを行わないクローズド・エンド型であるため、投資主が本投資証券を換価する手段は、原則として第三者に対する売却に限定されます(ただし、本投資法人は、投資主との合意により本投資法人の投資口を有償で取得することができます(規約第8条第2項)。)。
本投資証券又は本投資法人債券の市場価格は、金融商品取引所における投資家の需給により影響を受け、一定の期間内に大量の売却が出た場合には、大きく価格が下落する可能性があります。また、市場価格は金利情勢、経済情勢、不動産市況その他市場を取り巻く様々な要因の影響を受けて変動します。本投資法人若しくは本資産運用会社、又は他の投資法人若しくは他の資産運用会社に対して監督官庁による行政処分の勧告や行政処分が行われた場合にも、本投資証券又は本投資法人債券の市場価格が下落することがあります。
そのため、投資主又は投資法人債権者は、本投資証券又は本投資法人債券を投資主又は投資法人債権者が希望する時期及び条件で取引できるとの保証はなく、また本投資証券又は本投資法人債券を取得した価格で売却できない可能性や本投資証券又は本投資法人債券の譲渡自体が事実上不可能となる場合があり、その結果、投資主又は投資法人債権者が損失を被る可能性があります。
(ロ)本投資証券の市場での取引に関するリスク
本投資証券の上場は、本投資法人の資産総額の減少、投資口の売買高の減少その他の東京証券取引所の有価証券上場規程に定める上場廃止基準に抵触する場合には廃止されます。
本投資証券の上場が廃止される場合、投資主は、保有する本投資証券を相対で譲渡する他に換金の手段がないため、本投資法人の純資産額に比して相当に廉価で譲渡せざるを得ない場合や本投資証券の譲渡自体が事実上不可能となる場合があり、その結果、投資主が損害を被る可能性があります。
(ハ)金銭の分配に関するリスク
本投資法人は前記「2 投資方針 (3)分配方針」に記載の分配方針に従って、投資主に対して金銭の分配を行う予定ですが、分配の有無及びその金額は、いかなる場合においても保証されるものではありません。本投資法人が取得する不動産等の賃貸状況、売却に伴う損益や建替えに伴う除却損、ファイナンス環境の悪化に伴う金利コストの上昇等により、期間損益が変動し、投資主への分配金が増減し、又は一切分配されないことがあります。
また、本投資証券に対して投下された投資主からの投資金額については、いかなる保証も付されておらず、金融機関の預金と異なり預金保険等の対象でもありません。本投資法人について破産その他の倒産手続が開始された場合や本投資法人が解散した場合には、投資主は配当・残余財産の分配等において最劣後の地位に置かれ、投資金額の全部又は一部の回収が不可能となる可能性があります。
(ニ)収入及び支出の変動に関するリスク
本投資法人の収入は、本投資法人が取得する不動産等の賃料収入に主として依存しています。不動産等に係る賃料収入は、不動産の稼働率の低下、売上歩合賃料が採用されている場合のテナントの売上減等により、大きく減少する可能性があるほか、賃借人との協議や賃借人からの請求等により賃料が減額され、又は契約通りの増額改定を行えない可能性もあります。(なお、不動産等に係る賃料収入に関するリスクについては、後記「④不動産及び信託の受益権に関する法的リスク (ハ) 賃貸借契約に関するリスク」をご参照下さい。)また、保有資産の過去の収支の状況や賃料総額も、当該資産の今後の収支の状況や賃料総額と必ずしも一致するものではありません。また、当該不動産に関して締結される賃貸借契約に基づく賃料が、一般的な賃料水準に比して適正な水準にあるとは限りません。
一方、収入の減少だけでなく、退去するテナントへの預り敷金及び保証金の返還、多額の修繕費又は資本的支出、不動産の取得等に要する費用、その他不動産等に関する支出が状況により増大し、キャッシュ・フローを減ずる要因となる可能性があります。
このように、不動産からの収入が減少する可能性があるとともに、不動産に関する支出は増大する可能性があり、これらの双方又はいずれか一方の事由が生じた場合、投資主への分配金額が減少し、又は本投資証券若しくは本投資法人債券の市場価格が下落することがあります。
(ホ)投資口の追加発行時の価値の希薄化に関するリスク
本投資法人は、新規投資口を随時追加発行する予定ですが、かかる追加発行により既存の投資主の保有する投資口の持分割合が減少します。また、本投資法人の営業期間中に追加発行された投資口に対して、当該営業期間の期初から存在する投資口と同額の金銭の分配が行われる場合には、既存の投資主は、追加発行がなかった場合に比して、悪影響を受ける可能性があります。さらに、追加発行の結果、本投資法人の投資口1口当たりの価値や市場における需給バランスが影響を受ける可能性があります。
(ヘ)本投資法人債券の利払・償還に関するリスク
本投資法人の信用状況の悪化その他の事由により、本投資法人債券について、利子や元本の支払いが滞ったり、支払不能が生じるリスクがあります。
(ト)投資主の権利が必ずしも株主の権利と同一ではないリスク
本投資法人の投資主は、投資主総会を通じて、一定の重要事項につき本投資法人の意思決定に参画できるほか、本投資法人に対して一定の権利を行使することができますが、かかる権利は株式会社における株主の権利とは必ずしも同一ではありません。たとえば、貸借対照表、損益計算書等の計算書類については役員会の承認のみで確定し(投信法第131条第2項)、投資主総会の承認を得る必要はないことから、投資主総会は、必ずしも、決算期毎に招集されるわけではありません。また、投資主が投資主総会に出席せず、かつ、議決権を行使しないときは、当該投資主はその投資主総会に提出された議案(複数の議案が提出された場合において、これらのうちに相反する趣旨の議案があるときは、当該議案のいずれをも除きます。)について賛成するものとみなされます(投信法第93条第1項、規約第15条第1項)。ただし、本投資法人の規約上、役員の選任又は解任、資産運用会社との間の資産運用委託契約の締結又は解約、解散その他規約に定める一定の重要議案については、一定の要件を満たす少数投資主が所定の期限までに当該議案に反対である旨を本投資法人に通知した場合、又は、本投資法人が当該議案に反対である旨を表明した場合には、上記のみなし賛成制度の適用はないものとされています。詳細については、後記「第二部 投資法人の詳細情報 第3 管理及び運営 3 投資主・投資法人債権者の権利 (1) 投資主の権利 ① 投資主総会における議決権 (ロ)」をご参照下さい。さらに、本投資法人は、資産の運用に係る業務その他の業務を本資産運用会社その他の第三者に委託しています。これらの要因により、投資主による資産の運用に係る業務その他の業務に対する統制が効果的に行えない可能性もあります。
② 本投資法人の運用方針に関するリスク
(イ)不動産等を取得又は処分できないリスク
不動産は、一般的にそれぞれの物件の個別性が強いために代替性がなく、流動性が低いため、希望する時期に希望する物件を取得又は売却できない可能性があります。不動産投資信託その他のファンド及び投資家等による不動産等に対する投資が活発化することがあり、その様な状況下では、必ずしも、本投資法人が取得を希望した不動産等を取得することができるとは限りません。また、取得が可能であったとしても、投資採算の観点から希望した価格、時期その他の条件で取引を行うことができない可能性等もあります。さらに、本投資法人が不動産等を取得した後にこれらを処分する場合にも、投資採算の視点から希望した価格、時期その他の条件で取引を行うことができない可能性等もあります。その結果、本投資法人が利回りの向上や収益の安定化等のために最適と考える資産のポートフォリオを構築できない可能性があります。
(ロ)新投資口の発行、借入れ及び投資法人債による資金調達に関するリスク
a.資金調達全般に関するリスク
新投資口の発行、借入れ及び投資法人債の発行の可能性及び条件は、本投資法人の経済的信用力、金利情勢その他の要因による影響を受けるため、今後本投資法人の希望する時期及び条件で新投資口の発行、借入れ及び投資法人債の発行を行うことができる保証はなく、その結果、予定した資産を取得できなくなる等の悪影響が生じる可能性があります。さらに、弁済期の到来した借入れ又は投資法人債の借換えを行うことができない場合には、予定しない資産の売却を余儀なくされたり、資金繰りがつかなくなる等の可能性があります。
b.調達条件に関するリスク
新投資口の発行価額は、その時点の本投資口の市場価格等に左右されますが、特に、発行価額が当該時点における純資産額や鑑定評価額を考慮した純資産額に比べ割安となる場合、既存投資主の保有する投資口の価値は希薄化により下落する可能性があります。
また、借入れ及び投資法人債の金利は、借入時及び投資法人債発行時の市場動向に左右され、変動金利の場合には、その後の市場動向にも左右されます。借入れ及び投資法人債の金利が上昇し、又は本投資法人の借入金額及び投資法人債発行額が増加した場合には、本投資法人の利払額は増加します。このような利払額の増加により、投資主に対する金銭の分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。本投資法人は、金利変動の影響を軽減するため、変動金利と固定金利のスワップ取引及び長期借入れや返済期限の分散化等の取組みを行う予定です。しかし、これらの取組みが金利変動の影響を軽減できない場合、本投資法人の財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
c.財務制限条項に関するリスク
本投資法人が借入れ又は投資法人債の発行を行う場合において、当該借入れ又は投資法人債の発行の条件として、資産・負債等に基づく一定の財務指標上の数値を維持する、本投資法人の信用状態に関する評価を一定の水準に維持する、若しくは投資主への金銭の分配(利益を超えた金銭の分配を含みます。)を制約する等の財務制限条項が設けられる、運用資産に担保を設定する、又は規約の変更が制限される等の可能性があります。このような制約が本投資法人の運営に支障をきたし、又は投資主に対する金銭の分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、これらの制限に違反した場合には、担保設定や費用負担等を求められ、又は当該借入れに係る借入金若しくは投資法人債の元利金について期限の利益を喪失する等の可能性があり、その結果、本投資法人の運営に重大な悪影響が生じる可能性があります。
本投資法人が運用資産の売却を希望したとしても、担保の解除手続その他の事情により、希望どおりの時期に売却できない可能性又は希望する価格で売却できない可能性があります。また、収益性の悪化等により運用資産の評価額が引き下げられた場合又は他の借入れを行う場合等、一定の条件のもとに投資対象不動産に対して担保を設定することを要求される可能性もあります。この場合、他の借入れ等のために担保が既に設定されている等の理由で担保に供する適切な資産がない可能性もあります。また、担保不動産からのキャッシュ・フローが減少したり、その評価額が引き下げられたりした場合には、本投資法人の希望しない条件で借換資金を調達せざるを得なくなったり、本投資法人の希望しない時期及び条件で運用資産を処分せざるを得なくなる状況も想定され、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、担保に供する適切な資産がないために、本投資法人の希望どおりの借入れ等を行えない可能性もあります。
(ハ)プロパティ・マネジメント会社に関するリスク
一般に、賃借人の管理、建物の保守管理等不動産の管理業務全般の成否は、プロパティ・マネジメント会社の能力・経験・ノウハウによるところが大きく、本投資法人が保有する不動産の管理についても、管理を委託するプロパティ・マネジメント会社の業務遂行能力に強く依拠することになります。管理委託先を選定するに当たっては、当該プロパティ・マネジメント会社の能力・経験・ノウハウを十分考慮することが前提となりますが、そのプロパティ・マネジメント会社における人的・財産的基礎が維持される保証はありません。また、複数の不動産に関して、他の顧客(他の不動産投資法人を含みます。)から不動産の管理及び運営業務を受託し、本投資法人の投資対象不動産に係るプロパティ・マネジメント業務と類似又は同種の業務を行う可能性があります。これらの場合、当該プロパティ・マネジメント会社は、本投資法人以外の者の利益を優先することにより、本投資法人の利益を害する可能性があります。
本投資法人は、プロパティ・マネジメント会社につき、業務懈怠又は倒産事由が認められた場合、管理委託契約を解除することができますが、後任のプロパティ・マネジメント会社が任命されるまではプロパティ・マネジメント会社不在又は機能不全のリスクが生じるため、一時的に当該投資対象不動産の管理状況が悪化する可能性があります。
(ニ)投資対象をオフィスに特化していることによるリスク
本投資法人は、不動産の中でも、主たる用途がオフィスである不動産等及びこれに関連する不動産対応証券を主な投資対象としています。したがって、本投資法人の運用成績は、景気の動向に左右されるオフィスビル需要に影響を受けると言え、かかる要因により、本投資法人の収益は悪影響を受ける可能性があります。
(ホ)不動産の地域的な偏在に関するリスク
本投資法人は、取得価格ベースで70%以上を首都圏に所在する不動産等に投資する予定です。このように、投資対象となる不動産が地域的に偏在していることから、首都圏における地域経済や不動産マーケットの変動、地震・台風等の災害、人口変動等の特有な事象の発生によって、本投資法人の収益が著しい悪影響を受ける可能性があります。
また、テナント獲得に際し不動産賃貸市場における競争が激化し、結果として、空室率の上昇や賃料水準の低下により賃料収入が減少し、本投資法人の収益が悪影響を受ける可能性があります。
③ 本投資法人の関係者、仕組みに関するリスク
(イ)いちごグループ等への依存、利益相反に関するリスク
いちご株式会社は、本書の日付現在、本資産運用会社の株式の100%を保有する株主であり、また、本投資法人は、いちご株式会社との間でスポンサーサポート契約を締結しています。しかし、いちご株式会社は、本投資法人の希望する価格で物件を売却する義務を負っているわけではありません。すなわち、当該契約に則って、本投資法人の投資基準に適合する物件を希望する価格で取得できることまでは保証されていません。したがって、本投資法人は、いちご株式会社から本投資法人の投資基準に適合する物件を必ずしも希望どおり取得できるとは限りません。また、本資産運用会社は、いちご株式会社及びいちご株式会社の子会社であるいちご地所株式会社、いちごECOエナジー株式会社、いちごオーナーズ株式会社及びいちご土地心築株式会社との間で取得資産情報のグループ内優先検討順位に関する覚書を締結しています。さらに、本投資法人は、いちごグループの運営力、レピュテーション、ブランド力等に大きく依存しています。
これらの点に鑑みると、本投資法人及び本資産運用会社は、いちごグループと密接な関連性を有しており、本投資法人による安定した収益の確保と成長性に対するいちごグループの影響は相当程度高いということができます。したがって、本投資法人がいちごグループとの間で本書の日付現在と同一の関係を維持できなくなった場合には、本投資法人に重大な悪影響が及ぶ可能性があります。更に、本投資法人は、資産運用活動を通じて、いちごグループ又はその利害関係者との間で取引を行う可能性があり、この場合、いちごグループの利益を図るためいちごグループが本投資法人の投資主又は投資法人債権者の利益に反する行為を行う可能性もあります。なお、かかる利益相反に関するリスクへの対策については後記「(2)投資リスクに対する管理体制」をご参照下さい。これらの対策にもかかわらず、いちごグループが本投資法人の利益に反する取引を行った場合には、投資主又は投資法人債権者に損害が発生する可能性があります。
また、本投資法人は、スポンサーサポート契約に基づき、いちごトラストから本投資法人及び本資産運用会社のビジネスの全般に関するコンサルタント業務等の提供を受けますが、かかるコンサルタント業務等の提供により本投資法人の資産運用につき一定の成果が上がるとの保証はありません。
(ロ)本資産運用会社が他の投資法人資産運用を受託していることに関するリスク
金融商品取引法上、資産運用会社は、複数の投資法人等の資産運用を受託することを禁じられておらず、本資産運用会社は、本投資法人のほか、いちごホテルリート投資法人及びいちごグリーンインフラ投資法人並びに複数の私募ファンドからも資産の運用を受託しています。
本投資法人は、主たる用途がオフィスである不動産等及びこれに関連する不動産対応証券を主な投資対象としていますが、それ以外の不動産への投資を排除していないため、いちごホテルリート投資法人、いちごグリーンインフラ投資法人及び上記私募ファンドと投資対象が重なり得ます。
そのため、本資産運用会社は、競合する取得不動産情報の恣意的な配分を防止することを目的として、前記「1投資法人の概況 (4)投資法人の機構 ③ 投資運用の意思決定機構 (ハ)資産の取得及び売却に関する事項 a.投資資産情報の取扱い」記載のローテーション・ルールを採用しており、かかるルールに則った運営を行うこととしています。
本投資法人及び本資産運用会社は、いちごホテルリート投資法人、いちごグリーンインフラ投資法人及び各私募ファンドとの間では、主たる投資対象が異なっていることや、資金調達の性質や財務戦略、投資家の志向する投資リターンの違いにより、実際に取得希望の競合が生じる場合は限定的であると想定しています。しかし、かかる想定とは異なり、実際に取得希望の競合が生じる場合には、上記のルールにより、いちごホテルリート投資法人、いちごグリーンインフラ投資法人及び各私募ファンドが優先して物件の取得検討を行うことがあります(特に、用途区分がオフィスに分類され、かつ、西暦竣工年が奇数である取得検討対象不動産については、不動産私募ファンドが優先して物件の取得検討を行います。)。また、この場合に、かかるルールに反する物件の取得検討が行われる可能性も否定できません。
さらに、かかるルールは変更される可能性があり、当該変更により、本投資法人にとって望ましいと考えられるポートフォリオの構築が実現しにくくなる可能性があり、結果として、本投資法人の収益性や資産の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ハ)本投資法人の関係者への依存、利益相反に関するリスク
本投資法人は、投信法に基づき、資産の運用を本資産運用会社に、資産の保管を資産保管会社に、一般事務を一般事務受託者に、それぞれ委託しています。本投資法人の円滑な業務遂行の実現のためにはこれらの者の能力、経験及びノウハウに依存するところが大きいと考えられますが、これらの者が業務遂行に必要な人的・財政的基礎等を必ずしも維持できる保証はありません。
また、資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者が、法令上又は契約上負っている善良な管理者としての注意義務、投資法人のために忠実に職務を遂行する義務、利益相反状況にある場合に投資法人の利益を害してはならない義務その他の義務に違反した場合には、本投資法人の存続及び収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。
このほかに、本資産運用会社又は本投資法人若しくは運用資産である不動産信託受益権に関する信託受託者から委託を受ける業者として、プロパティ・マネジメント会社、建物の管理会社等があります。本投資法人の収益性の向上のためにはこれらの者の能力、経験及びノウハウに依存するところも大きいと考えられますが、これらの者が業務遂行に必要な人的・財政的基礎等を必ずしも維持できる保証はありません。これらの者について業務の懈怠その他の義務違反があった場合や業務遂行能力が失われた場合には本投資法人の存続及び収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ニ)本投資法人の執行役員及び監督役員並びに本資産運用会社の人材(個人の能力、経歴、ノウハウ)に依存しているリスク
本投資法人の運営は、本投資法人の執行役員及び監督役員並びに本資産運用会社の人材(個人の能力、経歴、ノウハウ)に大きく依存しており、これらの人材が失われた場合、本投資法人の運営に悪影響をもたらす可能性があります。
また、今後、本資産運用会社の業容が拡大し、その状況に応じた人材の確保が行われなかった場合、本投資法人の運営に悪影響をもたらす可能性があります。
(ホ)インサイダー取引規制に関するリスク
投資法人の発行する特定有価証券等(金融商品取引法第163条第1項に定める特定有価証券等をいいます。)についても、インサイダー取引規制の対象となっています。
本資産運用会社の役職員及び本投資法人の役員が本投資法人の特定有価証券等の売買等を行うこと及び未公表の重要事実(本資産運用会社又は本投資法人に関する情報であって、金融商品取引法第166条第2項において定義する「業務等に関する重要事実」をいいます。)の伝達を原則禁止とし、本資産運用会社の役職員が持投資口会又は株式累積投資制度に加入して取得した投資証券を売却する場合に限り、事前の承認を得た上で売却することができるとする社内規程を定めています。しかしながら、本資産運用会社の役職員又は本投資法人の役員が金融商品取引法で定めるインサイダー取引規制に違反する場合には、本投資法人及び本資産運用会社に係る情報の管理に対する信頼が揺らぎ、その結果、本投資法人の投資主又は投資法人債権者に悪影響が及ぶ可能性があります。
(ヘ)フェア・ディスクロージャー・ルールに関するリスク
本投資法人及び本資産運用会社も、フェア・ディスクロージャー・ルールの適用対象となっています。
本投資法人及び本資産運用会社は、フェア・ディスクロージャーの観点から、迅速、正確かつ公平な情報開示を実施し、投資家にとって分かりやすい情報の積極的な提供に努めています。しかしながら、本投資法人若しくは本資産運用会社又はこれらの役職員がフェア・ディスクロージャー・ルールに違反する場合には、本投資法人及び本資産運用会社に係る情報の管理に対する信頼が揺らぎ、その結果、本投資法人の投資主又は投資法人債権者に悪影響が及ぶ可能性があります。
(ト)本投資法人の投資方針の変更に関するリスク
本投資法人の規約に記載されている資産運用の対象及び方針等の基本的な事項の変更には、投資主総会の承認が必要ですが、本投資法人の役員会及び本資産運用会社の投資運用委員会が定めたより詳細な投資方針、運用ガイドライン等については、投資主総会の承認を経ることなく、変更することが可能です。そのため、本投資法人の投資主の意思が反映されないまま、これらが変更される可能性があります。
(チ)本投資法人の倒産又は登録抹消のリスク
本投資法人は、破産法(平成16年法律第75号。その後の改正を含みます。以下「破産法」といいます。)、民事再生法(平成11年法律第225号。その後の改正を含みます。以下「民事再生法」といいます。)及び投信法上の特別清算手続(投信法第164条)に服します。
また、本投資法人は、投信法に基づいて投資法人としての登録を受けていますが、一定の事由が発生した場合に投信法に従ってその登録が取り消される可能性があります(投信法第216条)。その場合には、本投資証券の上場が廃止され、本投資法人は解散し、清算手続に入ります。
上記のように本投資法人が清算される場合、投資主は、すべての債権者への弁済(投資法人債の償還を含みます。)後の残余財産による分配からしか投資金額を回収することができません。本投資法人の保有資産の価値が下落し又は出資金に欠損が生じている場合には、借入れ及び投資法人債を弁済した後の残余財産が全く残らないか、又は出資総額を下回ることとなり、投資主は、投資金額の全部又は一部について回収することができない可能性があります。
(リ)敷金及び保証金に関するリスク
本投資法人は、投資対象不動産の賃借人が賃貸人に対し無利息又は低利で預託した敷金又は保証金を投資資金として利用する場合があります。しかし、そのような場合で賃貸借契約の中途解約により想定外の時期に敷金又は保証金の返還義務が生じた場合には、本投資法人は、敷金又は保証金の返還資金をそれらよりも調達コストの高い借入れ等により調達せざるを得なくなります。また、敷金又は保証金の投資運用が失敗に終わり損失が生じる可能性もあります。その結果、本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。
また、敷引特約がある賃貸借契約については、敷引額の敷金額に対する割合が高い場合、敷引特約の全部又は一部の有効性が否定され、本投資法人が引き継いだ敷金額より多額の敷金返還債務を負う可能性があります。
④ 不動産及び信託の受益権に関する法的リスク
本投資法人の主たる運用資産は、前記「2 投資方針 (2)投資対象 ① 投資対象とする資産の種類」に記載のとおり、不動産等です。不動産を信託する信託の受益権その他不動産を裏付けとする資産の所有者は、その信託財産である不動産又は裏付けとなる不動産を直接所有する場合と、経済的には、ほぼ同様の利益状況に置かれます。したがって、以下に記載する不動産に関する法的リスクは、不動産を信託する信託の受益権その他不動産を裏付けとする資産についても、ほぼ同様にあてはまります。
なお、信託の受益権特有のリスクについては、後記「(ナ)不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク」をご参照下さい。
(イ)不動産の欠陥・瑕疵・契約不適合や境界に関するリスク
不動産には権利、地盤、地質、構造等に関して欠陥、瑕疵等の契約内容不適合(建物の構造、材質、地盤、特に土地に含有される有害物質、地質の構造等に関する欠陥や瑕疵のほか、法令上の規制違反や基準不適合、免振装置、制振装置を含む建築資材の強度、機能等の不足、工事における施工の不具合や施工報告書の施工データの転用、加筆等がなされているものを含みますが、これらに限りません。)が存在している可能性があります。本資産運用会社が不動産の選定・取得の判断を行うに当たっては、当該不動産について定評のある専門業者から建物状況調査報告書を取得するなどの物件精査を行うことにしていますが、建物状況調査報告書で指摘されなかった事項について、取得後に欠陥、瑕疵等の契約内容不適合が判明する可能性もあります。本投資法人は、状況に応じては、前所有者に対し一定の事項につき表明及び保証を取得し、瑕疵担保責任又は契約不適合責任(注)を負担させる場合もありますが、たとえかかる表明及び保証を取得し、瑕疵担保責任又は契約不適合責任を追及できたとしても、これらの表明及び保証の内容が真実かつ正確である保証はなく、また、瑕疵担保責任又は契約不適合責任の期間及び責任額は一定範囲に限定されるのが通例であり、また、前所有者が解散し、又は無資力になっているために実効性がない場合もあります。
これらの場合には、当該欠陥、瑕疵等の契約内容不適合の程度によっては当該不動産の資産価値が低下することを防ぐために買主である本投資法人が当該欠陥、瑕疵等の契約内容不適合の補修その他に係る予定外の費用を負担せざるをえなくなることがあり、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
加えて、不動産をめぐる権利義務関係の複雑さゆえに、不動産に関する権利が第三者の権利や行政法規等により制限を受け、又は第三者の権利を侵害していることが後になって判明する可能性があります。その結果、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
加えて、わが国の法制度上、不動産登記にはいわゆる公信力がありません。したがって、不動産登記簿の記載を信じて取引した場合にも、買主は不動産に係る権利を取得できないことがあります。更に、権利に関する事項のみならず、不動産登記簿中の不動産の表示に関する事項が現況と一致していない場合もあります。このような場合、上記と同じく、本投資法人は売主等に対して法律上又は契約上許容される限度で責任を追及することとなりますが、その実効性があるとの保証はありません。
さらに、物件を取得するまでの時間的制約等から、一般に隣接地所有者からの境界確定同意が取得できず又は境界標の確認ができないまま、物件を取得する事例が少なからずみられます。本投資法人は、原則として境界が確定している物件を取得する方針ではあるものの、運営への影響、リスクの程度を検証したうえで適切と認める場合には、境界が未確定の物件も取得する方針です。状況次第では、境界に関して紛争が生じ、境界確定の過程で所有敷地の面積が減少することにより、運用資産の運営に不可欠の土地が隣接地所有者の所有に属するものとされたり、建ぺい率、容積率等の遵法性についての問題が発生する可能性があります。また、訴訟費用及び損害賠償責任の負担を余儀なくされる等、投資対象不動産について予定外の費用又は損失を負担する可能性もあります。これらの事象が生じなかったとしても、境界未確定の事実が物件処分の際の障害となる可能性があります。同様に、越境物の存在により、投資対象不動産の利用が制限され賃料に悪影響を及ぼす可能性や、越境物の除去等のために追加費用を負担する可能性があります。
(注)民法の一部を改正する法律(2020年4月1日施行)による改正後の民法の下では、改正前の民法における瑕疵担保責任は、給付の目的物が契約の内容に適合しない場合に売主が責任を負う契約不適合責任とされています。なお、2020年3月31日以前に締結した契約や発生した債権については、原則として改正前の民法が適用されます。以下同じです。
(ロ)不動産の売却に伴う責任に関するリスク
本投資法人が不動産を売却した場合に、当該不動産に物的又は法的な瑕疵があるために、法令の規定又は売買契約上の規定に従い、瑕疵担保責任、契約不適合責任や表明保証責任を負担する可能性があります。特に、本投資法人は、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号。その後の改正を含みます。以下同じです。)上のみなし宅地建物取引業者となりますので、買主が宅地建物取引業者でない場合には、本投資法人の瑕疵担保責任又は契約不適合責任に関するリスクを排除できない場合があります。したがって、本投資法人が不動産を売却した場合は、売却した不動産の欠陥、瑕疵等の契約内容不適合の修補その他に係る予定外の費用を負担せざるを得なくなることがあり、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
加えて、不動産をめぐる権利義務関係の複雑さゆえに、不動産に関する権利が第三者の権利や行政法規等により制限を受け、又は第三者の権利を侵害していることが後になって判明する可能性があります。その結果、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
さらに、賃貸不動産の売却においては、新所有者が賃借人に対する敷金返還債務等を承継するものと解されており、実務もこれにならうのが通常ですが、旧所有者が当該債務を免れることについて賃借人の承諾を得ていない場合には、旧所有者は新所有者とともに当該債務を負い続けると解される可能性があり、予想外の債務又は義務を負う場合があり得ます。
(ハ)賃貸借契約に関するリスク
a.賃貸借契約の解約及び更新に関するリスク
賃貸借契約において期間中の解約権を留保している場合等には、契約期間中であっても賃貸借契約を終了することが可能であるため、賃借人から賃料が得られることは将来にわたって確保されているものではありません。また、賃貸借契約の期間満了時に契約の更新がなされない場合もあります。このような理由により、稼働率が低下した場合、不動産に係る賃料収入が減少することになります。また、解約禁止条項、解約ペナルティ条項などを置いて期間中の解約権を制限している場合や更新料を定めている場合でも、裁判所によって更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの諸般の事情があると判断された場合、かかる条項の効力が否定される可能性があります。
以上のような事由により、賃料収入等が減少した場合、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
他方で、賃貸人が、テナントとの賃貸借契約の更新を拒絶したり、解約を申し入れるためには、借地借家法上、正当の事由があると認められる場合であることが必要であり、賃貸人側の意向どおりに賃貸借契約を終了させることができないことにより、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、賃貸借契約を定期建物賃貸借契約とすれば、契約の更新がないこととすることが認められていますが、定期建物賃貸借契約の効力が認められるためには、借地借家法第38条所定の要件を充足する必要があるため、借地借家法第38条所定の要件が充足されなかった場合には、当該契約は、いわゆる普通建物賃貸借契約として取り扱われる可能性があります。その結果、建物賃貸借契約が所定の時期に終了しないこと等により、本投資法人の収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。
b.賃料不払に関するリスク
賃借人が特に解約の意思を示さなくても、賃借人の財務状況が悪化した場合又は破産手続、再生手続若しくは更生手続その他の倒産手続(以下、総称して「倒産等手続」といいます。)の対象となった場合、賃貸借契約に基づく賃料支払が滞る可能性があり、この延滞賃料等の債務の合計額が敷金及び保証金で担保される範囲を超える状況では本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
c.賃料改定に係るリスク
賃貸借契約の更新の際又は賃料等の見直しの際には、その時々における賃料相場も参考にして、賃料が賃借人との協議に基づき改定されることがありますので、本投資法人が保有する不動産について、本書の日付現在の賃料が今後も維持される保証はありません。賃料改定により賃料が減額された場合、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
また、定期的に賃料等を増額する旨の規定が賃貸借契約にある場合でも、賃借人との交渉いかんによっては、必ずしも、規定通りに賃料を増額できるとは限りません。
d.賃借人による賃料減額請求権行使のリスク
建物の賃借人は、定期建物賃貸借契約において借地借家法第32条に基づく賃料減額請求権を排除する特約を設けた場合を除いて、同条に基づく賃料減額請求をすることができ、これにより、当該不動産から得られる賃料収入が減少し、本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。定期建物賃貸借契約の効力が認められるためには、借地借家法第38条所定の要件を充足する必要があります。このため、ある建物賃貸借契約を定期建物賃貸借契約とした上で借地借家法第32条に基づく賃料減額請求権を排除する特約を設けた場合であっても、借地借家法第38条所定の要件が充足されなかった場合には、賃料減額請求権を排除することができず、当該請求が認められた場合、当該不動産から得られる賃料収入が減少し、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者が損害を被る可能性があります。
e.定期建物賃貸借契約における賃料減額請求権排除特約に関するリスク
定期建物賃貸借契約の場合には、その有効期間中は契約中に定められた賃料をテナントに対して請求できるのが原則です。しかし、定期建物賃貸借契約においてテナントが早期解約した場合でも、残存期間全体についてのテナントに対する賃料請求が認められない可能性があります。なお、定期建物賃貸借契約において借地借家法第32条に基づく賃料増減請求権を排除する特約を設けた場合には、同条に基づく賃料増額請求もできなくなるため、かかる賃料が契約締結時に予期し得なかった事情により一般的な相場に比べて低額となり、通常の賃貸借契約の場合よりも低い賃料収入しか得られない可能性があります。
f.更新料等に関するリスク
賃貸借契約において、賃貸借契約が更新される際の更新料や、契約期間中に賃借人が解約した場合の違約金に関して敷金・保証金の没収について規定することがありますが、これらの規定は状況によってはその全部又は一部が無効とされ、その結果、本投資法人に予定外の収入の減少や費用負担が発生する可能性があります。
(ニ)災害等による建物の毀損、滅失及び劣化のリスク
火災、地震、液状化、津波、暴風雨、洪水、落雷、竜巻、戦争、暴動、騒乱、テロ等(以下「災害等」といいます。)により不動産が滅失、劣化又は毀損し、その価値が影響を受ける可能性があります。このような場合には、滅失、劣化又は毀損した個所を修復するため一定期間建物の不稼働を余儀なくされることにより、賃料収入が減少し、又は当該不動産の価値が下落する結果、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。不動産の個別事情により保険契約が締結されない場合、保険契約で支払われる上限額を上回る損害が発生した場合、保険契約で填補されない災害等が発生した場合又は保険契約に基づく保険会社による支払が他の何らかの理由により行われず、減額され若しくは遅れる場合には、本投資法人は悪影響を受ける可能性があります。
また、大規模な地震、津波又は環境汚染を伴う災害等が発生した場合、たとえ本投資法人の保有する不動産が滅失、劣化若しくは毀損せず、又は当該不動産に瑕疵が生じなかったとしても、所在地の周辺地域経済が多大な影響を受けることにより、当該不動産の収益性が大幅に低下する可能性があります。
(ホ)不動産に係る所有者責任、修繕・維持費用等に関するリスク
運用資産である不動産を原因として、第三者の生命、身体又は財産等を侵害した場合に、損害賠償義務が発生し、結果的に本投資法人が予期せぬ損害を被る可能性があります。特に、土地の工作物の所有者は、民法上無過失責任を負うこととされています。不動産の個別事情により保険契約が締結されない場合、保険契約で支払われる上限額を上回る損害が発生した場合、保険契約でカバーされない事故が発生した場合又は保険契約に基づく保険会社による支払が他の何らかの理由により行われず、減額され若しくは遅れる場合には、本投資法人は悪影響を受ける可能性があります。
また、不動産につき滅失、毀損又は劣化等が生じ、修繕が必要となる場合には、かかる修繕に関連して多額の費用を要する可能性があります。また、かかる修繕が困難又は不可能な場合には、不動産から得られる賃料収入が減少し、不動産の価格が下落する可能性があります。
さらに、経済状況によっては、インフレーション、水道光熱費等の費用の高騰、不動産管理や建物管理に係る費用、備品調達等の管理コスト及び各種保険料等のコストの上昇、租税公課の増大その他の理由により、投資対象不動産の運用に関する費用が増加する可能性があります。
(ヘ)不動産に係る行政法規・条例等に関するリスク
建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例、都市計画法の改正、新たな立法、収用、再開発、区画整理等の行政行為の規定の施行又は適用の際、原則としてこれらの規定に適合しない現に存する建物(現に建築中のものを含みます。)又はその敷地については、当該規定が適用されない扱いとされています(いわゆる既存不適格)。しかし、かかる既存不適格の建物の建替え等を行う場合には、現行の規定が適用されるので、現行の規定に合致するよう手直しをする必要があり、追加的な費用負担が必要となる可能性があり、また、現状と同規模の建築物を建築できない可能性があります。
また、不動産に係る様々な行政法規や各地の条例による規制が運用資産である不動産に適用される可能性があります。例えば、都市計画法、地方公共団体の条例による風致地区内における建築等の規制、河川法(昭和39年法律第167号。その後の改正を含みます。)による河川保全区域における工作物の新築等の制限、海岸法(昭和31年法律第101号。その後の改正を含みます。)による海岸保全区域における土地の掘削等の制限、港湾法(昭和25年法律第218号。その後の改正を含みます。)による港湾区域内における工事等の制限、文化財保護法(昭和25年法律第214号。その後の改正を含みます。)に基づく試掘調査義務、その他一定割合において住宅を付置する義務や、駐車施設附置義務、福祉配慮設備設置義務、緑化推進義務及び雨水流出抑制施設設置義務等が挙げられます。このような義務が課せられている場合、当該不動産の処分及び建替え等に際して、事実上の困難が生じ、又はこれらの義務を遵守するための追加的な費用負担が生じる可能性があります。更に、運用資産である不動産を含む地域が道路設置等の都市計画の対象となる場合には、当該都市計画対象部分に建築制限が付され、又は建物の敷地とされる面積が減少し、当該不動産に関して建替え等を行う際に、現状と同規模の建築物を建築できない可能性があります。
(ト)法令の制定・変更に関するリスク
土壌汚染対策法のほか、将来的に環境保護を目的とする法令等が制定・施行され、過失の有無にかかわらず不動産につき大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務等が課される可能性があります。
また、消防法(昭和23年法律第186号。その後の改正を含みます。以下「消防法」といいます。)その他不動産の管理に影響する関係法令の改正により、不動産の管理費用等が増加する可能性があるほか、エネルギーや温室効果ガス削減を目的とした法令、条例等の制定、改正等によっても、追加的な費用負担が発生する可能性があります。更に、建築基準法、都市計画法の改正、新たな立法、収用、再開発、区画整理等の行政行為等により不動産に関する権利が制限される可能性があります。このような法令若しくは行政行為又はその変更等が本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
(チ)売主の倒産等の影響を受けるリスク
本投資法人は、債務超過の状況にあるなど財務状態が実質的危機時期にあると認められる又はその疑義がある者を売主として不動産を取得する場合には、管財人等により不動産の売買が否認されるリスク等について諸般の事情を慎重に検討し、実務的に可能な限り管財人等により否認されるリスクを回避するよう努めますが、このリスクを完全に排除することは困難です。
万一債務超過の状況にあるなど財務状態が実質的危機時期にある状況を認識できずに本投資法人が不動産を取得した場合には、当該不動産の売買が売主の債権者により取消(詐害行為取消)される可能性があります。また、本投資法人が不動産を取得した後、売主について倒産等手続が開始した場合には、不動産の売買が破産管財人、監督委員又は管財人により否認される可能性が生じます。
また、本投資法人が、ある売主から不動産を取得した別の者(以下、本項において「買主」といいます。)から更に不動産を取得した場合において、本投資法人が、当該不動産の取得時において、売主と買主間の当該不動産の売買が詐害行為として取り消され又は否認される根拠となりうる事実関係を知っている場合には、本投資法人に対しても、売主・買主間の売買が取消又は否認され、その効果を主張される可能性があります。
更に、取引の態様如何によっては売主と本投資法人との間の不動産の売買が、担保取引であると判断され、当該不動産は破産者である売主の破産財団の一部を構成し、又は更生会社若しくは再生債務者である売主の財産に属するとみなされる可能性(いわゆる真正譲渡でないとみなされるリスク)もあります。
(リ)転貸に関するリスク
賃借人(転借人を含みます。)に、不動産の一部又は全部を転貸させる権限を与えた場合、本投資法人は、不動産に入居するテナントを自己の意思により選択することができなくなり、又は退去させることができなくなる可能性があるほか、賃借人の賃料が、転借人から賃借人に対する賃料に連動する場合、転借人の信用状態等が、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、賃貸借契約が合意解約された場合、又は債務不履行を理由に解除された場合であっても、賃貸借契約上、賃貸借契約終了の場合に転貸人の転借人に対する敷金等の返還義務が賃貸人に承継される旨規定されている場合には、かかる敷金等の返還義務が、賃貸人に承継される可能性があります。このような場合、敷金等の返還原資は賃貸人の負担となり、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ヌ)テナント集中に関するリスク
運用資産である投資対象不動産のテナント数が少なくなればなるほど、本投資法人は特定のテナントの支払能力、退去その他の事情による影響を受けやすくなります。特に、一テナントしか存在しない投資対象不動産においては、本投資法人の当該投資対象不動産からの収益等は、当該テナントの支払能力、当該投資対象不動産からの転出・退去その他の事情により大きく左右されます。また、賃貸面積の大きなテナントが退去したときに、大きな空室が生じ、他のテナントを探しその空室を回復させるのに時間を要することがあり、その期間が長期になればなるほど、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。また、本投資法人の運用資産における特定の少数のテナントの賃借比率が増大したときは、当該テナントの財務状況や営業状況が悪化した場合、本投資法人の収益も悪影響を受ける可能性があります。
(ル)テナント等による不動産の利用状況に関するリスク
本投資法人は、テナントの属性や資力に留意しつつ賃貸借契約を締結し、その利用状況を管理していますが、個々のテナントの利用状況をつぶさに監督できるとの保証はなく、テナントの利用状況により、当該不動産の資産価値や、本投資法人の収益に悪影響が及ぶ可能性があります。
例えば、建物そのものが法令や条例等の基準を満たす場合であっても、入居者による建物への変更工事、内装の変更、その他利用状況等により、建築基準法、消防法その他の法令や条例等に違反する状態となり、本投資法人が、その改善のための費用を負担する必要が生じ、又は法令上不利益を被る可能性があります。また、賃貸借契約における規定の如何にかかわらず、入居者による転貸や賃借権の譲渡が本投資法人の承諾なしに行われる可能性があります。その他、転借人や賃借権の譲受人の属性によっては、運用資産である不動産のテナント属性が悪化し、これに起因して建物全体の賃料水準が低下する可能性があります。賃貸人は賃借人と普通建物賃貸借契約を締結した場合又は定期建物賃貸借契約を締結したものの借地借家法第38条所定の要件が充足されないことにより定期建物賃貸借契約としての効力が否定された場合、正当の事由があると認められなければ、賃貸借期間が経過した場合であっても賃借人との賃貸借契約を終了することができず、運用資産である不動産のテナント属性の悪化を阻止できない可能性があります。
(ヲ)マスターリースに関するリスク
特定の不動産において、サブリース会社が当該不動産の所有者である信託受託者との間でマスターリース契約を締結し、その上でエンドテナントに対して転貸する、いわゆるサブリースの形態をとっており、また、今後も同様の形態をとる場合があります。この場合、特に固定賃料型のサブリース会社の財務状態が悪化したときは、サブリース会社の債権者がサブリース会社のエンドテナントに対する賃料債権を差し押さえる等により、サブリース会社から賃貸人である信託受託者への賃料の支払が滞る可能性があります。
(ワ)共有物件に関するリスク
運用資産である不動産が第三者との間で共有されている場合には、その保存・利用・処分等について単独で所有する場合には存在しない種々の問題が生じる可能性があります。
まず、共有物の管理は、共有者間で別段の定めをした場合を除き、共有者の持分の過半数で行うものとされているため(民法第252条)、持分の過半数を有していない場合には、当該不動産の管理及び運営について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。また、共有者はその持分の割合に応じて共有物の全体を利用することができるため(民法第249条)、他の共有者によるこれらの権利行使によって、本投資法人の当該不動産の保有又は利用が妨げられるおそれがあります。
更に、共有の場合、他の共有者からの共有物全体に対する分割請求権行使を受ける可能性(民法第256条)、及び裁判所により共有物全体の競売を命じられる可能性(民法第258条第2項)があり、ある共有者の意図に反して他の共有者からの分割請求権行使によって共有物全体が処分されるリスクがあります。
この分割請求権を行使しないという共有者間の特約は有効ですが、この特約は5年を超えては効力を有しません。また、登記済みの不分割特約がある場合でも、特約をした者について倒産手続の対象となった場合には、管財人等はその換価処分権を確保するために分割請求ができるとされています。ただし、共有者は、倒産手続の対象となった他の共有者の有する共有持分を相当の対価で取得することができます(破産法第52条、会社更生法(平成14年法律第154号。その後の改正を含みます。)第60条、民事再生法第48条)。
他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、共有物が分割されると、共有されていた物件全体について当該共有者(抵当権設定者)の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶことになると考えられています。したがって、運用資産である共有持分には抵当権が設定されていなくても、他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、共有物が分割されると、分割後の運用資産についても、他の共有者の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶこととなるリスクがあります。
共有持分の処分は単独所有物と同様に自由に行えると解されていますが、共有不動産については、共有者間で共有持分の優先的購入権の合意をすることにより、共有者がその共有持分を第三者に売却する場合に他の共有者が優先的に購入できる機会を与えるようにする義務を負う場合があります。
不動産の共有者が賃貸人となる場合には、賃料債権は不可分債権となり敷金返還債務は不可分債務になると一般的には解されており、共有者は他の賃貸人である共有者の信用リスクの影響を受ける可能性があります。
共有不動産については、単独所有の場合と比べて上記のような制限やリスクがあるため、取得及び売却により多くの時間と費用を要し、又は価格の減価要因が増す可能性があります。
(カ)区分所有建物に関するリスク
区分所有建物とは建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。その後の改正を含みます。以下「区分所有法」といいます。)の適用を受ける建物で、単独所有の対象となる専有部分(居室等)と共有となる共用部分(エントランス部分等)及び建物の敷地部分から構成されます。区分所有建物の場合には、区分所有法上、法定の管理方法及び管理規約(管理規約の定めがある場合)によって管理方法が定められます。建替えをする場合には集会において区分所有者及び議決権(管理規約に別段の定めのない限り、その有する専有部分の床面積の割合)の各5分の4以上の多数での建替え決議が必要とされるなど(区分所有法第62条)、区分所有法の適用を受けない単独所有物件と異なり管理方法に制限があります。
区分所有建物の専有部分の処分は自由に行うことができますが、他の区分所有者が優先的に購入できる機会を与えるようにする義務を負う場合があります。
区分所有建物と敷地の関係については以下のようなリスクがあります。
区分所有建物の専有部分を所有するために区分所有者が敷地に関して有する権利を敷地利用権といいます。区分所有建物では、専有部分と敷地利用権の一体性を保持するために、法律で、専有部分とそれに係る敷地利用権を分離して処分することが原則として禁止されています(区分所有法第22条第1項)。ただし、敷地権の登記がなされていない場合には、分離処分の無効を善意の第三者に主張することができません(区分所有法第23条)。また、区分所有建物の敷地が数筆に分かれ、区分所有者が、それぞれ、その敷地のうちの一筆又は数筆の土地について、単独で、所有権、賃借権などを敷地利用権(いわゆる分有形式の敷地利用権)として有している場合には、分離して処分することが可能とされています。このように専有部分とそれに係る敷地利用権が分離して処分された場合、敷地利用権を有しない区分所有者が出現する可能性があります。
また、敷地利用権が使用借権及びそれに類似した権利である場合には、当該敷地が売却、競売等により第三者に移転された場合に、区分所有者が当該第三者に対して従前の敷地利用権を対抗できなくなる可能性があります。
このような区分所有建物と敷地の関係を反映して、区分所有建物の場合には、取得及び売却により多くの時間と費用を要したり、価格の減価要因が増す可能性があります。
(ヨ)借地物件に関するリスク
借地権とその借地上に存在する建物については、自己が所有権を有する土地上に存在する建物と比べて特有のリスクがあります。借地権は、所有権と異なり永久に存続するものではなく、期限の到来により当然に消滅し(定期借地権の場合)又は期限到来時に借地権設定者が更新を拒絶しかつ更新を拒絶する正当事由がある場合に消滅します(普通借地権の場合)。また、借地権が地代の不払による解除その他の理由により消滅してしまう可能性もあります。借地権が消滅すれば、時価での建物買取りを請求できる場合(借地借家法第13条、旧借地法(大正10年法律第49号。その後の改正を含みます。以下「借地法」といいます。)第4条)を除き、借地上に存在する建物を取り壊した上で、土地を返還しなければなりません。普通借地権の場合、借地権の期限到来時の更新拒絶につき上記正当事由が認められるか否かを本投資法人の物件取得時に正確に予測することは不可能であり、仮に建物の買取請求権を有する場合でも、買取価格が本投資法人の希望する価格以上である保証はありません。
また、本投資法人が借地権を有している土地の所有権が、他に転売され、又は借地権設定時に既に存在する土地上の抵当権等の実行により第三者に移ってしまう可能性があります。この場合、借地権について適用のある法令に従い第三者対抗要件が具備されていないときは、本投資法人は、借地権を当該土地の新所有者に対して対抗できず、当該土地の明渡義務を負う可能性があります。
更に、借地権が賃借権である場合、借地権を譲渡するには、原則として、借地権設定者の承諾が必要となります。借地上の建物の所有権を譲渡する場合には、当該借地に係る借地権も一緒に譲渡することになるので、原則として、借地権設定者の承諾が必要となります。かかる借地権設定者の承諾に関しては、借地権設定者への承諾料の支払が予め約束されていたり、約束されていなくても慣行を理由として借地権設定者が承諾料を承諾の条件として請求してくる場合があります(なお、法律上借地権設定者に当然に承諾料請求権が認められているものではありません。)。
加えて、借地権設定者の資力の悪化や倒産等により、借地権設定者に差し入れた敷金及び保証金等の全額又は一部が返還されない可能性があります。借地権設定者に対する敷金及び保証金等の返還請求権について担保設定や保証はなされないのが通例です。
借地権と借地上に建てられている建物については、敷地と建物を一括して所有している場合と比べて、上記のような制限やリスクがあるため、取得及び売却により多くの時間と費用を要したり、価格の減価要因が増す可能性があります。
なお、建物の所有を目的としない土地の賃貸借については、借地借家法又は借地法の適用はありません。このため、当該土地に関する賃貸借契約が終了する場合、又は当該土地が他に転売される等して所有者が変わる場合には、当該土地の明渡義務を負う可能性があります。
(タ)借家物件に関するリスク
本投資法人は、建物(共有持分、区分所有建物等を含みます。)を第三者から賃借の上又は信託受託者に賃借させた上、当該賃借部分を直接若しくは信託受託者を通じて保有する建物と一体的に又は当該賃借部分を単独で、テナントへ転貸することがあります。
この場合、建物の賃貸人の資力の悪化や倒産等により、建物の賃貸人に差し入れた敷金及び保証金等の全額又は一部が返還されない可能性があることは、前記の借地物件の場合と同じです。
加えて、民法上、本投資法人が第三者との間で直接又は信託受託者を通じて締結した賃貸借契約が何らかの理由により終了した場合、原則として、本投資法人又は当該受託者とテナントの間の転貸借契約も終了するとされていますので、テナントから、転貸借契約の終了に基づく損害賠償請求等がなされるおそれがあります。
(レ)底地物件に関するリスク
本投資法人は、第三者が、土地所有者から借地権の設定を受け、その上に建物を所有している土地、いわゆる底地を取得することがあります。底地物件の場合は特有のリスクがあります。借地権は、定期借地権の場合は借地契約に定める期限の到来により当然に消滅し、普通借地権の場合には期限到来時に本投資法人が更新を拒絶しかつ本投資法人に更新を拒絶する正当事由がある場合に消滅します。借地権が消滅する場合、本投資法人は借地権者より時価での建物買取を請求される場合があります(借地借家法第13条及び借地法第4条)。普通借地権の場合、借地権の期限到来時に更新拒絶につき前記正当事由が認められるか否かを本投資法人の物件取得時に正確に予測することは不可能であり、借地権者より時価での建物買取を請求される場合においても、買取価格が本投資法人が希望する価格以下である保証はありません。
また、借地権者の財務状況が悪化した場合又は倒産等手続の対象となった場合、借地契約に基づく土地の賃料の支払が滞る可能性があり、この延滞賃料の合計額が敷金及び保証金等で担保される範囲を超える場合は投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
加えて、借地契約では、多くの場合、賃料等の借地契約の内容について、定期的に見直しを行う旨を規定する条項が含まれています。当該条項に基づく賃料の改定により賃料が減額された場合、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。借地権者は借地借家法第11条に基づく土地の借賃の減額請求をすることができ、これにより、当該底地から得られる賃料収入が減少し、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
さらに、借地権が賃借権である場合、借地権者による借地権の譲渡には、原則として、本投資法人の承諾が必要となりますが、裁判所が承諾に代わる許可をした場合(借地借家法第19条)や、借地契約上事前に一定範囲での借地権の譲渡を承諾している場合には、本投資法人の承諾なく借地権が譲渡される結果、財務状態に問題がある等の本投資法人が望まない者に借地権が譲渡される可能性があり、その結果、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
(ソ)開発物件に関するリスク
本投資法人は、規約に定める投資方針に従って、竣工後の物件を取得するために予め開発段階で売買契約を締結することがあります。かかる場合、既に完成した物件につき売買契約を締結して取得する場合とは異なり、様々な事由により、開発が遅延し、変更され、又は中止されることにより、売買契約通りの引渡しを受けられない可能性があります。この結果、開発物件からの収益等が本投資法人の予想を大きく下回る可能性があるほか、予定された時期に収益等が得られなかったり、収益等が全く得られなかったり、又は予定されていない費用、損害若しくは損失を本投資法人が負担し若しくは被る可能性があり、その結果本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
(ツ)築古物件に関するリスク
本投資法人は、築古物件を取得することがあります。一般に、築古物件は老朽化に伴い物理的及び機能的な劣化が進んでいることから、その運営、修繕、改修等に多額の出費が必要となり、かつその間における一時的な稼働率の低下等を生じる場合や、使用を継続するには現行法上問題ないものの、新規に使用することのできない有害物質が使用されており、処分又は除去する場合には、多額の支出が必要となる可能性もあります。特に、取得検討時には想定していなかった瑕疵又は契約不適合等が判明し、想定以上に多額の資本的支出を余儀なくされる可能性もあります。また、一般に、築古物件は新築物件と比較して築年数に応じた老朽化等による投資リスクが高まることから、想定していた水準の賃料を得られない可能性もあり、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
これらの理由により、本投資法人が築古物件の取得に際して想定した投資利回りが得られない可能性及び本投資法人の行う物件に対する資本的支出が利回りの上昇に繋がらない可能性があります。
(ネ)有害物質に関するリスク
本投資法人が土地又は土地の賃借権若しくは地上権又はこれらを信託する信託の受益権を取得する場合において、当該土地について産業廃棄物等の有害物質が埋蔵されている可能性があり、かかる有害物質が埋蔵されている場合には当該土地の価格の下落により、本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために土壌の入替えや洗浄が必要となる場合にはこれに係る予想外の費用や時間が必要となり、本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。また、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務を負う可能性があり、かかる義務を負う場合には本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。なお、土壌汚染対策法によれば、土地の所有者、管理者又は占有者は、鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の特定有害物質による土地の土壌の汚染の状況について、都道府県知事により調査・報告を命ぜられることがあり、また、土壌の特定有害物質による汚染により、人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあるときは、都道府県知事によりその被害を防止するため必要な汚染の除去等の措置を命ぜられることがあります。本投資法人がこれらの調査・報告又は措置を命ぜられた場合には、本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。
また、本投資法人が建物又は建物を信託する信託の受益権を取得する場合において、当該建物の建材等にアスベストその他の有害物質を含む建材が使用されているか若しくは使用されている可能性がある場合やポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物が保管されている場合等には、当該建物の価格の下落により、本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために建材の全面的又は部分的交換が必要となる場合にはこれに係る予想外の費用や時間が必要となり、本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。また、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務が発生する可能性があり、かかる義務が生じた場合には本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。
さらに、将来的に環境保護を目的とする法令等が制定・施行され、過失の有無にかかわらず不動産につき大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務等が課される可能性があります。
(ナ)不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク
本投資法人は、不動産を信託の受益権の形式で取得することがあります。
信託受託者が信託財産としての不動産、不動産の賃借権又は地上権を所有し管理するのは受益者のためであり、その経済的利益と損失は、最終的にはすべて受益者に帰属することになります。したがって、本投資法人は、信託の受益権の保有に伴い、信託受託者を介して、運用資産が不動産である場合と実質的にほぼ同じリスクを負担することになります。
信託の受益権を譲渡しようとする場合には、信託法(平成18年法律第108号。その後の改正を含みます。以下「信託法」といいます。)上は受託者への通知又は受託者の承諾がなければ受託者その他の第三者に対抗できず、更に、信託契約上、信託受託者の承諾を要求されるのが通常です。更に、不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する信託の受益権は受益証券発行信託の受益証券でない限り私法上の有価証券としての性格を有していませんので、債権譲渡と同様の譲渡方法によって譲渡することになり、有価証券のような流動性がありません。
信託法上、信託受託者が倒産等手続の対象となった場合に、信託の受益権の目的となっている不動産が信託財産であることを破産管財人等の第三者に対抗するためには、信託された不動産に信託設定登記をする必要があり、仮にかかる登記が具備されていない場合には、本投資法人は、当該不動産が信託の受益権の目的となっていることを第三者に対抗できない可能性があります。
また、信託財産の受託者が、信託目的に反して信託財産である不動産を処分した場合、又は信託財産である不動産を引当てとして、何らかの債務を負うことにより、不動産を信託する信託の受益権を保有する本投資法人が不測の損害を被る可能性があります。
更に、信託契約上、信託開始時において既に存在していた信託不動産の欠陥、瑕疵等の契約内容不適合につき、当初委託者が信託財産の受託者に対し一定の瑕疵担保責任又は契約不適合責任を負担する場合に、信託財産の受託者が、かかる瑕疵担保責任又は契約不適合責任を適切に追及しない、又はできない結果、本投資法人が不測の損害を被り、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
加えて、不動産を信託財産とする信託において、信託内借入の方法で資金を調達した場合、信託内借入等の信託受託者の債務は、信託の受益権に対する配当及び元本交付に優先して元利金等の返済が行われるため、信託財産である不動産の価格及び収益が減少した場合には、当該不動産の売却代金や賃料等の収益が信託内借入の元利金の返済に充当された結果、信託の受益権に対する配当及び元本交付が信託内借入の無い場合よりも減少し、信託内借入の割合や不動産の価格及び収益の下落率等によっては、信託配当及び信託元本の交付が受けられなくなる可能性があります。なお、信託内借入についても前記「2 投資方針 (1)投資方針 ⑧ 財務方針」記載の方針が適用され、有利子負債比率は、信託内借入を含めて算定されることになります。また、信託内借入の引き当てとなる財産は、信託財産に限定されるため、信託内借入においては、一般に、信託財産たる不動産の価格及び収益を基準としたLTV(ローントゥバリュー)やDSCR(デットサービスカバレッジレシオ)などの財務制限条項が付されます。これらの財務制限条項に抵触した場合には、当該信託内借入にかかる借入金の返済をするために、信託財産たる不動産売却を余儀なくされる等によって、本投資法人の収益等に悪影響が及ぶ可能性があります。
(ラ)フォワード・コミットメント等に関するリスク
本投資法人は、不動産等を取得するにあたり、いわゆるフォワード・コミットメント(先日付の売買契約であって、契約締結から一定期間経過した後に決済・物件引渡しを行うことを約する契約。)等を行うことがあります。不動産売買契約が買主の事情により解約された場合には、買主は債務不履行による損害賠償義務を負担することとなります。また、損害額等の立証にかかわらず、不動産等の売買価格に対して一定の割合の違約金が発生する旨の合意がなされることも少なくありません。フォワード・コミットメント等の場合には、契約締結後、決済・物件引渡しまでに一定の期間があるため、その期間における市場環境の変化等により本投資法人が不動産取得資金を調達できない場合等、売買契約を解約せざるを得なくなった場合には、違約金等の支払により、本投資法人の財務状況等が悪影響を受ける可能性があります。
⑤ 税制に関するリスク
(イ)導管性の維持に関する一般的なリスク
税法上、一定の要件(以下「導管性要件」といいます。)を満たした投資法人に対しては、投資法人と投資主との間の二重課税を排除するため、利益の配当等を投資法人の損金に算入することが認められています。導管性要件のうち一定のものについては、営業期間毎に判定を行う必要があります。本投資法人は、導管性要件を継続して満たすよう努めていますが、今後、本投資法人の投資主の減少、分配金支払原資の不足、借入金等の定義に係る不明確性、会計処理と税務処理の取扱いの差異、税務当局と本投資法人との見解の相違、法律の改正その他の要因により導管性要件を満たすことができない営業期間が生じる可能性があります。現行税法上、導管性要件を満たさなかったことについてやむを得ない事情がある場合の救済措置が設けられていないため、後記(ニ)に記載する同族会社化の場合等、本投資法人の意図しないやむを得ない理由により要件を満たすことができなかった場合においても、利益の配当等を損金算入できなくなり、本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があり、本投資証券又は本投資法人債券の市場価格に影響を及ぼすこともあります。なお、課税上の取扱いについては、後記「4 手数料等及び税金 (5)課税上の取扱い」をご参照下さい。
(ロ)税負担の発生により支払配当要件が満たされないリスク
導管性要件のうち、租税特別措置法施行令(昭和32年政令第43号。その後の改正を含みます。以下「租税特別措置法施行令」といいます。)第39条の32の3に規定する配当可能利益の額又は配当可能額の90%超の分配を行うべきとする要件(以下「支払配当要件」といいます。)においては、投資法人の会計上の税引前当期純利益を基礎として判定を行うこととされています。したがって、会計処理と税務上の取扱いの差異により本投資法人の税負担が増加し、実際に配当できる利益(会計上の税引後当期純利益)が減少した場合、又は90%の算定について税務当局の解釈・運用・取扱いが本投資法人の見解と異なる場合には、この要件を満たすことが困難となる営業期間が生じる可能性があり得ます。なお、2015年4月1日以後に開始する営業期間については、会計処理と税務上の取扱いの差異である一時差異等調整引当額の増加額に相当する金銭の分配について配当等の額として損金算入が可能になるという手当てがなされています。
(ハ)借入れに係る導管性要件に関するリスク
税法上、上記の各営業期間毎に判定を行う導管性要件のひとつに、借入れを行う場合には機関投資家(租税特別措置法第67条の15に規定するものをいいます。以下本「⑤ 税制に関するリスク」において同じです。)のみから行うべきという要件があります。したがって、本投資法人が何らかの理由により機関投資家以外からの借入れを行わざるを得ない場合、又は、保証金若しくは敷金の全部若しくは一部がテナントからの借入金に該当すると解釈された場合においては、導管性要件を満たせないことになります。この結果、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
(ニ)同族会社要件について本投資法人のコントロールが及ばないリスク
各営業期間毎に判定を行う導管性要件のうち、営業期間終了時に同族会社のうち租税特別措置法施行令第39条の32の3第5項に定めるものに該当していないこと(発行済投資口の総数又は議決権総数の50%超が1人の投資主及び特殊関係者により保有されていないこと。)とする要件、即ち、同族会社要件については、本投資証券が市場で流通することにより、本投資法人のコントロールの及ばないところで、結果として満たされなくなる営業期間が生じるリスクがあります。
(ホ)投資口を保有する投資主数について本投資法人のコントロールが及ばないリスク
各営業期間毎に判定を行う導管性要件のうち、営業期間終了時に投資法人の投資口が機関投資家のみにより保有されること、又は50人以上の投資主に保有されることという要件があります。しかし、本投資法人は投資主による投資口の売買をコントロールすることができないため、本投資法人の投資口が50人未満の投資主により保有される(機関投資家にのみ保有される場合を除きます。)こととなる可能性があります。
(ヘ)税務調査等による更正処分のため、導管性要件が事後的に満たされなくなるリスク
本投資法人に対して税務調査が行われ、導管性要件に関する取扱いに関して、税務当局との見解の相違により更正処分を受け、過年度における導管性要件が事後的に満たされなくなる可能性があります。このような場合には、本投資法人が当該営業期間において損金算入した配当金が税務否認される結果、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配額等に悪影響をもたらす可能性があります。
(ト)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
本投資法人は、規約における投資方針において、その有する特定資産の価額の合計額に占める、特定不動産の価額の合計額の割合を75%以上となるように運用します(規約第30条第4項)。本投資法人は、上記内容の投資方針を規約に定めることその他の税制上の要件を充足することを前提として、直接に不動産を取得する場合の不動産流通税(登録免許税及び不動産取得税)の軽減措置の適用を受けることができると考えています。しかし、本投資法人がかかる軽減措置の要件を満たすことができない場合、又は軽減措置の要件が変更され若しくは軽減措置が廃止された場合において、軽減措置の適用を受けることができない可能性があります。
(チ)一般的な税制の変更に関するリスク
不動産、不動産信託受益権その他本投資法人の資産に関する税制若しくは本投資法人に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、公租公課の負担が増大し、その結果本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。また、投資証券に係る利益の配当、資本の払戻し、譲渡等に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、本投資証券の保有又は売却による投資主の手取金の額が減少し、又は税務申告等の税務上の手続面での負担が投資主又は投資法人債権者に生じる可能性があります。
⑥ その他
(イ)専門家の意見への依拠に関するリスク
不動産の鑑定評価額及び不動産価格調査の調査価格は、個々の不動産鑑定士等の分析に基づく、分析の時点における評価に関する意見を示したものにとどまり、客観的に適正な不動産価格と一致するとは限りません。同じ物件について鑑定、調査等を行った場合でも、不動産鑑定士等、評価方法又は調査の方法若しくは時期によって鑑定評価額、調査価格の内容が異なる可能性があります。また、かかる鑑定等の結果は、現在及び将来において当該鑑定評価額や調査価格による売買の可能性を保証又は約束するものではありません。
土壌汚染リスク評価報告書も、個々の調査会社が行った分析に基づく意見であり、評価方法、調査の方法等によってリスク評価の内容が異なる可能性があります。また、かかる報告書は、専門家が調査した結果を記載したものにすぎず、土壌汚染が存在しないことを保証又は約束するものではありません。
建物エンジニアリング・レポートについても、建物の状況に関して専門家が調査した結果を記載したものにすぎず、不動産に欠陥、瑕疵その他契約不適合が存在しないことを保証又は約束するものではありません。
また、不動産に関して算出されるPML値は、個々の専門家の分析に基づく予想値であり、損害の予想復旧費用の再調達価格に対する比率で示されますが、将来、地震が発生した場合、予想以上の多額の復旧費用が必要となる可能性があります。
(ロ)減損会計の適用に関するリスク
固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 平成15年10月31日)が、2005年4月1日以後開始する事業年度より強制適用されることになったことに伴い、本投資法人においても第1期営業期間より減損会計が適用されています。減損会計とは、主として土地・建物等の事業用不動産について、収益性の低下により投資額を回収する見込みが立たなくなった場合に、一定の条件のもとで回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理のことをいいます。
減損会計の適用に伴い、地価の動向及び運用不動産の収益状況等によっては、会計上減損損失が発生し、本投資法人の業績は悪影響を受ける可能性があり、また、税務上は当該不動産の売却まで損金を認識することができない(税務上の評価損の損金算入要件を満たした場合や減損損失の額のうち税務上の減価償却費相当額を除きます。)ため、税務と会計の齟齬が発生することとなり、税務上のコストが増加する可能性があります。なお、2015年4月1日以後開始事業年度からは、減損損失に関し、一時差異等調整引当額を引き当て、利益超過配当を行うことで、追加的な税負担を回避することが可能となっていますが、利益超過配当を常に実施できるとは限らず、追加的な税負担を回避できることが約束されているものではありません。
(ハ)匿名組合出資持分への投資に関するリスク
本投資法人はその規約に基づき、不動産に関する匿名組合出資持分への投資を行うことがあります。本投資法人が出資する匿名組合では、本投資法人の出資金を営業者が不動産等に投資しますが、当該不動産等に係る収益が悪化した場合や当該不動産等の価値が下落した場合等には、本投資法人が匿名組合員として得られる分配金や元本の償還金額等が減少し、その結果本投資法人が営業者に出資した金額を回収できない等の損害を被る可能性があります。また、匿名組合出資持分については契約上譲渡が禁止若しくは制限されていることがあり、又は確立された流通市場が存在しないため、その流動性が低く、本投資法人が譲渡を意図しても、適切な時期及び価格で譲渡することが困難となる可能性があります。また、匿名組合出資持分への投資は、営業者が投資した不動産等の取得に係る優先交渉権を得ることを目的として行われることがありますが、かかる優先交渉権により企図する不動産等を取得できる保証はありません。
(ニ)投資主優待制度に関するリスク
本投資法人は、現在の法令、税務の取扱い、優待の内容及び利用状況の推定等に基づくスポンサーとの合意に基づき、投資主優待制度を導入しています。しかし、これらの前提条件の変更、投資主優待制度の提供主体であるいちご株式会社の意向その他の理由により、投資主優待制度の内容等が将来に向けて変更され、または実施が停止される可能性があります。
(ホ)感染症の拡大等に関するリスク
感染症の発生・拡大により、投資対象不動産の収益が悪化し、本投資法人が損失を被るおそれがあります。新型コロナウイルス感染症の拡大の影響によるテナントの売上げの大幅な減少等に伴い、テナントによる賃料減額請求や賃料支払いの繰延の請求が行われたり、賃料支払いが滞ったりする可能性があるほか、テナント退去による空室リスクが顕在化する可能性があります。また、影響が長期化する場合には、テナントの売上げやオフィスビルの賃貸需要等に長期的な悪影響が生じるおそれもあります。その結果、賃料の減額を余儀なくされたり、空室率が上昇し、本投資法人の収益が悪影響を受ける可能性があります。
(2)投資リスクに対する管理体制
① 本投資法人の管理体制
本投資法人は投信法に基づいて設立され、執行役員1名、監督役員2名により構成される役員会により運営されています。役員会は、法令で定められた事項の審議・承認を行うとともに、資産の運用やそのリスクの状況について報告を受けることとしています。この報告を通じて、本資産運用会社及びその利害関係者から独立した地位にある監督役員は、各種リスク情報を的確に入手し、執行役員の業務執行状況を監視すること等により、投資リスクを含む各種リスクを管理します。
また、利害関係者との不動産等の売買取引を行う場合には、本資産運用会社のリスク・コンプライアンス委員会承認の後に投資法人役員会に付議することとし、利益相反等に係るリスクに対し一層厳格な管理体制を敷いているほか、内部者取引管理規程を定めて役員による本投資法人の発行する特定有価証券等の売買を禁止し、インサイダー取引の防止に努めています。
② 本資産運用会社の管理体制
本資産運用会社は、前記のようなリスクの存在及びそのリスク量を十分に把握するよう努めており、それらのリスクを回避する手段を以下のように構築し、厳格なルールに則り運用資産への投資及び運用を行っています。
(イ)本資産運用会社は、「リスク管理規程」を策定し、リスク管理に関する基本方針及び態勢を定めています。「リスク管理規程」では、管理すべき主要なリスクを、外的要因に関するリスク、取引先に起因するリスク、不動産に固有のリスク、業務に起因するリスク、人的・組織的な事由に起因するリスク、固有リスクに分類した上で、リスクの管理方法やリスク顕在時の対応について定めています。
(ロ)本資産運用会社は、「運用ガイドライン」、「資産運用管理規程(不動産投資法人運用業務)」、「利害関係者取引規程」、「内部情報管理規程」、「コンプライアンス規程」その他各種の事務規程を策定し、当該規程を遵守することで、リスクの適切なコントロールに努めています。
a.運用ガイドライン等
本資産運用会社は、本投資法人の規約に定める資産運用の対象及び方針を踏まえた上で、基本方針、投資対象、取得方針、リーシング方針、管理方針、修繕及び資本的支出に関する基本方針、付保方針、ポートフォリオの見直し・売却方針及び財務方針等について定めた「運用ガイドライン」、資産運用及び資金調達に関する各種計画の内容及び策定方法並びに各種計画に基づいた資産運用及び資金調達等の実施手続について定めた「資産運用管理規程(不動産投資法人運用業務)」並びに本投資法人と利益相反のおそれのある当事者間での取引等について行為基準、手続について定めた「利害関係者取引規程」を遵守することにより本投資法人の運用の対象となる不動産等の投資リスクの管理に努めています。詳細については、前記「2 投資方針」をご参照下さい。
b.内部情報管理規程
本資産運用会社は、本資産運用会社の役職員によるインサイダー取引について、役職員がその業務に関して取得した未公表の重要事実の管理及び役職員の服務等について定めた「内部情報管理規程」を遵守することにより、その未然防止に努めています。
c.コンプライアンス関連規程
本資産運用会社は、コンプライアンスを「当社に関連するあらゆる市場ルール、法令等を厳格に遵守することはもとより、社会規範を十分にわきまえ誠実かつ公正な企業活動を全うすること」とコンプライアンス規程で定義した上で、「コンプライアンス・マニュアル」及び「コンプライアンス・プログラム」を定め、コンプライアンスに関する適切な運営体制を確立し、本資産運用会社の役職員は当該各種規程を遵守することにより、投資リスクの管理に努めています。
d.その他
本資産運用会社は、内部監査の方針、内部監査の内容及び監査の方法に関し、「内部監査規程」を定め、当該業務の遂行状況を定期的に監査することで、不正、誤謬の発見及び未然防止、業務活動の改善向上等を図り、投資運用業務の円滑かつ効果的な運営が可能となるよう努めています。
以下には、本投資証券又は本投資法人債券への投資に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。ただし、以下は本投資証券又は本投資法人債券への投資に関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。また、本投資法人が保有している個別の不動産信託及び不動産に特有のリスクについては、後記「5 運用状況 (2)投資資産 ③ その他投資資産の主要なもの (ヘ)個別不動産及び個別信託不動産等の概要」を併せてご参照下さい。なお、以下に記載の事項には、将来に関する事項が含まれますが、別段の記載のない限り、当該事項は本書の日付現在において本投資法人が判断したものです。
本投資法人は、対応可能な限りにおいてこれらのリスクの発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、回避及び対応が結果的に十分である保証はありません。以下に記載するリスクが顕在化した場合、本投資証券又は本投資法人債券の市場価格は下落し、発行価格に比べ低くなること又は本投資法人債券の利払若しくは償還に悪影響を与えることもあると予想され、その結果、投資主又は投資法人債権者が損失を被る可能性があります。また、本投資法人の純資産額の低下その他財務状況の悪化により、分配率の低下が生じる可能性があります。
各投資家は、自らの責任において、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で本投資証券又は本投資法人債券に関する投資判断を行う必要があります。
本項に記載されているリスク項目は、以下のとおりです。
① 本投資証券又は本投資法人債券の商品性に関するリスク
(イ)本投資証券又は本投資法人債券の市場価格の変動に関するリスク
(ロ)本投資証券の市場での取引に関するリスク
(ハ)金銭の分配に関するリスク
(ニ)収入及び支出の変動に関するリスク
(ホ)投資口の追加発行時の価値の希薄化に関するリスク
(ヘ)投資法人債券の利払・償還に関するリスク
(ト)投資主の権利が必ずしも株主の権利と同一ではないリスク
② 本投資法人の運用方針に関するリスク
(イ)不動産等を取得又は処分できないリスク
(ロ)新投資口の発行、借入れ及び投資法人債の発行による資金調達に関するリスク
(ハ)プロパティ・マネジメント会社に関するリスク
(ニ)投資対象をオフィスに特化していることによるリスク
(ホ)不動産の地域的な偏在に関するリスク
③ 本投資法人の関係者、仕組みに関するリスク
(イ)いちごグループ等への依存、利益相反に関するリスク
(ロ)本資産運用会社が他の投資法人の資産運用を受託していることに関するリスク
(ハ)本投資法人の関係者への依存、利益相反に関するリスク
(ニ)本投資法人の執行役員及び本資産運用会社の人材(個人の能力、経歴、ノウハウ)に依存しているリスク
(ホ)インサイダー取引規制に関するリスク
(ヘ)フェア・ディスクロージャー・ルールに関するリスク
(ト)本投資法人の投資方針の変更に関するリスク
(チ)本投資法人の倒産又は登録抹消のリスク
(リ)敷金及び保証金に関するリスク
④ 不動産及び信託の受益権に関する法的リスク
(イ)不動産の欠陥・瑕疵・契約不適合や境界に関するリスク
(ロ)不動産の売却に伴う責任に関するリスク
(ハ)賃貸借契約に関するリスク
(ニ)災害等による建物の毀損、滅失及び劣化のリスク
(ホ)不動産に係る所有者責任、修繕・維持費用等に関するリスク
(ヘ)不動産に係る行政法規・条例等に関するリスク
(ト)法令の制定・変更に関するリスク
(チ)売主の倒産等の影響を受けるリスク
(リ)転貸に関するリスク
(ヌ)テナント集中に関するリスク
(ル)テナント等による不動産の利用状況に関するリスク
(ヲ)マスターリースに関するリスク
(ワ)共有物件に関するリスク
(カ)区分所有建物に関するリスク
(ヨ)借地物件に関するリスク
(タ)借家物件に関するリスク
(レ)底地物件に関するリスク
(ソ)開発物件に関するリスク
(ツ)築古物件に関するリスク
(ネ)有害物質に関するリスク
(ナ)不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク
(ラ)フォワード・コミットメント等に関するリスク
⑤ 税制に関するリスク
(イ)導管性の維持に関する一般的なリスク
(ロ)税負担の発生により支払配当要件が満たされないリスク
(ハ)借入れに係る導管性要件に関するリスク
(ニ)同族会社要件について本投資法人のコントロールが及ばないリスク
(ホ)投資口を保有する投資主数について本投資法人のコントロールが及ばないリスク
(ヘ)税務調査等による更正処分のため、導管性要件が事後的に満たされなくなるリスク
(ト)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
(チ)一般的な税制の変更に関するリスク
⑥ その他
(イ)専門家の意見への依拠に関するリスク
(ロ)減損会計の適用に関するリスク
(ハ)匿名組合出資持分への投資に関するリスク
(ニ)投資主優待制度に関するリスク
(ホ)感染症の拡大等に関するリスク
① 本投資証券又は本投資法人債券の商品性に関するリスク
(イ)本投資証券又は本投資法人債券の市場価格の変動に関するリスク
本投資法人は、投資主からの請求による払戻しを行わないクローズド・エンド型であるため、投資主が本投資証券を換価する手段は、原則として第三者に対する売却に限定されます(ただし、本投資法人は、投資主との合意により本投資法人の投資口を有償で取得することができます(規約第8条第2項)。)。
本投資証券又は本投資法人債券の市場価格は、金融商品取引所における投資家の需給により影響を受け、一定の期間内に大量の売却が出た場合には、大きく価格が下落する可能性があります。また、市場価格は金利情勢、経済情勢、不動産市況その他市場を取り巻く様々な要因の影響を受けて変動します。本投資法人若しくは本資産運用会社、又は他の投資法人若しくは他の資産運用会社に対して監督官庁による行政処分の勧告や行政処分が行われた場合にも、本投資証券又は本投資法人債券の市場価格が下落することがあります。
そのため、投資主又は投資法人債権者は、本投資証券又は本投資法人債券を投資主又は投資法人債権者が希望する時期及び条件で取引できるとの保証はなく、また本投資証券又は本投資法人債券を取得した価格で売却できない可能性や本投資証券又は本投資法人債券の譲渡自体が事実上不可能となる場合があり、その結果、投資主又は投資法人債権者が損失を被る可能性があります。
(ロ)本投資証券の市場での取引に関するリスク
本投資証券の上場は、本投資法人の資産総額の減少、投資口の売買高の減少その他の東京証券取引所の有価証券上場規程に定める上場廃止基準に抵触する場合には廃止されます。
本投資証券の上場が廃止される場合、投資主は、保有する本投資証券を相対で譲渡する他に換金の手段がないため、本投資法人の純資産額に比して相当に廉価で譲渡せざるを得ない場合や本投資証券の譲渡自体が事実上不可能となる場合があり、その結果、投資主が損害を被る可能性があります。
(ハ)金銭の分配に関するリスク
本投資法人は前記「2 投資方針 (3)分配方針」に記載の分配方針に従って、投資主に対して金銭の分配を行う予定ですが、分配の有無及びその金額は、いかなる場合においても保証されるものではありません。本投資法人が取得する不動産等の賃貸状況、売却に伴う損益や建替えに伴う除却損、ファイナンス環境の悪化に伴う金利コストの上昇等により、期間損益が変動し、投資主への分配金が増減し、又は一切分配されないことがあります。
また、本投資証券に対して投下された投資主からの投資金額については、いかなる保証も付されておらず、金融機関の預金と異なり預金保険等の対象でもありません。本投資法人について破産その他の倒産手続が開始された場合や本投資法人が解散した場合には、投資主は配当・残余財産の分配等において最劣後の地位に置かれ、投資金額の全部又は一部の回収が不可能となる可能性があります。
(ニ)収入及び支出の変動に関するリスク
本投資法人の収入は、本投資法人が取得する不動産等の賃料収入に主として依存しています。不動産等に係る賃料収入は、不動産の稼働率の低下、売上歩合賃料が採用されている場合のテナントの売上減等により、大きく減少する可能性があるほか、賃借人との協議や賃借人からの請求等により賃料が減額され、又は契約通りの増額改定を行えない可能性もあります。(なお、不動産等に係る賃料収入に関するリスクについては、後記「④不動産及び信託の受益権に関する法的リスク (ハ) 賃貸借契約に関するリスク」をご参照下さい。)また、保有資産の過去の収支の状況や賃料総額も、当該資産の今後の収支の状況や賃料総額と必ずしも一致するものではありません。また、当該不動産に関して締結される賃貸借契約に基づく賃料が、一般的な賃料水準に比して適正な水準にあるとは限りません。
一方、収入の減少だけでなく、退去するテナントへの預り敷金及び保証金の返還、多額の修繕費又は資本的支出、不動産の取得等に要する費用、その他不動産等に関する支出が状況により増大し、キャッシュ・フローを減ずる要因となる可能性があります。
このように、不動産からの収入が減少する可能性があるとともに、不動産に関する支出は増大する可能性があり、これらの双方又はいずれか一方の事由が生じた場合、投資主への分配金額が減少し、又は本投資証券若しくは本投資法人債券の市場価格が下落することがあります。
(ホ)投資口の追加発行時の価値の希薄化に関するリスク
本投資法人は、新規投資口を随時追加発行する予定ですが、かかる追加発行により既存の投資主の保有する投資口の持分割合が減少します。また、本投資法人の営業期間中に追加発行された投資口に対して、当該営業期間の期初から存在する投資口と同額の金銭の分配が行われる場合には、既存の投資主は、追加発行がなかった場合に比して、悪影響を受ける可能性があります。さらに、追加発行の結果、本投資法人の投資口1口当たりの価値や市場における需給バランスが影響を受ける可能性があります。
(ヘ)本投資法人債券の利払・償還に関するリスク
本投資法人の信用状況の悪化その他の事由により、本投資法人債券について、利子や元本の支払いが滞ったり、支払不能が生じるリスクがあります。
(ト)投資主の権利が必ずしも株主の権利と同一ではないリスク
本投資法人の投資主は、投資主総会を通じて、一定の重要事項につき本投資法人の意思決定に参画できるほか、本投資法人に対して一定の権利を行使することができますが、かかる権利は株式会社における株主の権利とは必ずしも同一ではありません。たとえば、貸借対照表、損益計算書等の計算書類については役員会の承認のみで確定し(投信法第131条第2項)、投資主総会の承認を得る必要はないことから、投資主総会は、必ずしも、決算期毎に招集されるわけではありません。また、投資主が投資主総会に出席せず、かつ、議決権を行使しないときは、当該投資主はその投資主総会に提出された議案(複数の議案が提出された場合において、これらのうちに相反する趣旨の議案があるときは、当該議案のいずれをも除きます。)について賛成するものとみなされます(投信法第93条第1項、規約第15条第1項)。ただし、本投資法人の規約上、役員の選任又は解任、資産運用会社との間の資産運用委託契約の締結又は解約、解散その他規約に定める一定の重要議案については、一定の要件を満たす少数投資主が所定の期限までに当該議案に反対である旨を本投資法人に通知した場合、又は、本投資法人が当該議案に反対である旨を表明した場合には、上記のみなし賛成制度の適用はないものとされています。詳細については、後記「第二部 投資法人の詳細情報 第3 管理及び運営 3 投資主・投資法人債権者の権利 (1) 投資主の権利 ① 投資主総会における議決権 (ロ)」をご参照下さい。さらに、本投資法人は、資産の運用に係る業務その他の業務を本資産運用会社その他の第三者に委託しています。これらの要因により、投資主による資産の運用に係る業務その他の業務に対する統制が効果的に行えない可能性もあります。
② 本投資法人の運用方針に関するリスク
(イ)不動産等を取得又は処分できないリスク
不動産は、一般的にそれぞれの物件の個別性が強いために代替性がなく、流動性が低いため、希望する時期に希望する物件を取得又は売却できない可能性があります。不動産投資信託その他のファンド及び投資家等による不動産等に対する投資が活発化することがあり、その様な状況下では、必ずしも、本投資法人が取得を希望した不動産等を取得することができるとは限りません。また、取得が可能であったとしても、投資採算の観点から希望した価格、時期その他の条件で取引を行うことができない可能性等もあります。さらに、本投資法人が不動産等を取得した後にこれらを処分する場合にも、投資採算の視点から希望した価格、時期その他の条件で取引を行うことができない可能性等もあります。その結果、本投資法人が利回りの向上や収益の安定化等のために最適と考える資産のポートフォリオを構築できない可能性があります。
(ロ)新投資口の発行、借入れ及び投資法人債による資金調達に関するリスク
a.資金調達全般に関するリスク
新投資口の発行、借入れ及び投資法人債の発行の可能性及び条件は、本投資法人の経済的信用力、金利情勢その他の要因による影響を受けるため、今後本投資法人の希望する時期及び条件で新投資口の発行、借入れ及び投資法人債の発行を行うことができる保証はなく、その結果、予定した資産を取得できなくなる等の悪影響が生じる可能性があります。さらに、弁済期の到来した借入れ又は投資法人債の借換えを行うことができない場合には、予定しない資産の売却を余儀なくされたり、資金繰りがつかなくなる等の可能性があります。
b.調達条件に関するリスク
新投資口の発行価額は、その時点の本投資口の市場価格等に左右されますが、特に、発行価額が当該時点における純資産額や鑑定評価額を考慮した純資産額に比べ割安となる場合、既存投資主の保有する投資口の価値は希薄化により下落する可能性があります。
また、借入れ及び投資法人債の金利は、借入時及び投資法人債発行時の市場動向に左右され、変動金利の場合には、その後の市場動向にも左右されます。借入れ及び投資法人債の金利が上昇し、又は本投資法人の借入金額及び投資法人債発行額が増加した場合には、本投資法人の利払額は増加します。このような利払額の増加により、投資主に対する金銭の分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。本投資法人は、金利変動の影響を軽減するため、変動金利と固定金利のスワップ取引及び長期借入れや返済期限の分散化等の取組みを行う予定です。しかし、これらの取組みが金利変動の影響を軽減できない場合、本投資法人の財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
c.財務制限条項に関するリスク
本投資法人が借入れ又は投資法人債の発行を行う場合において、当該借入れ又は投資法人債の発行の条件として、資産・負債等に基づく一定の財務指標上の数値を維持する、本投資法人の信用状態に関する評価を一定の水準に維持する、若しくは投資主への金銭の分配(利益を超えた金銭の分配を含みます。)を制約する等の財務制限条項が設けられる、運用資産に担保を設定する、又は規約の変更が制限される等の可能性があります。このような制約が本投資法人の運営に支障をきたし、又は投資主に対する金銭の分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、これらの制限に違反した場合には、担保設定や費用負担等を求められ、又は当該借入れに係る借入金若しくは投資法人債の元利金について期限の利益を喪失する等の可能性があり、その結果、本投資法人の運営に重大な悪影響が生じる可能性があります。
本投資法人が運用資産の売却を希望したとしても、担保の解除手続その他の事情により、希望どおりの時期に売却できない可能性又は希望する価格で売却できない可能性があります。また、収益性の悪化等により運用資産の評価額が引き下げられた場合又は他の借入れを行う場合等、一定の条件のもとに投資対象不動産に対して担保を設定することを要求される可能性もあります。この場合、他の借入れ等のために担保が既に設定されている等の理由で担保に供する適切な資産がない可能性もあります。また、担保不動産からのキャッシュ・フローが減少したり、その評価額が引き下げられたりした場合には、本投資法人の希望しない条件で借換資金を調達せざるを得なくなったり、本投資法人の希望しない時期及び条件で運用資産を処分せざるを得なくなる状況も想定され、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、担保に供する適切な資産がないために、本投資法人の希望どおりの借入れ等を行えない可能性もあります。
(ハ)プロパティ・マネジメント会社に関するリスク
一般に、賃借人の管理、建物の保守管理等不動産の管理業務全般の成否は、プロパティ・マネジメント会社の能力・経験・ノウハウによるところが大きく、本投資法人が保有する不動産の管理についても、管理を委託するプロパティ・マネジメント会社の業務遂行能力に強く依拠することになります。管理委託先を選定するに当たっては、当該プロパティ・マネジメント会社の能力・経験・ノウハウを十分考慮することが前提となりますが、そのプロパティ・マネジメント会社における人的・財産的基礎が維持される保証はありません。また、複数の不動産に関して、他の顧客(他の不動産投資法人を含みます。)から不動産の管理及び運営業務を受託し、本投資法人の投資対象不動産に係るプロパティ・マネジメント業務と類似又は同種の業務を行う可能性があります。これらの場合、当該プロパティ・マネジメント会社は、本投資法人以外の者の利益を優先することにより、本投資法人の利益を害する可能性があります。
本投資法人は、プロパティ・マネジメント会社につき、業務懈怠又は倒産事由が認められた場合、管理委託契約を解除することができますが、後任のプロパティ・マネジメント会社が任命されるまではプロパティ・マネジメント会社不在又は機能不全のリスクが生じるため、一時的に当該投資対象不動産の管理状況が悪化する可能性があります。
(ニ)投資対象をオフィスに特化していることによるリスク
本投資法人は、不動産の中でも、主たる用途がオフィスである不動産等及びこれに関連する不動産対応証券を主な投資対象としています。したがって、本投資法人の運用成績は、景気の動向に左右されるオフィスビル需要に影響を受けると言え、かかる要因により、本投資法人の収益は悪影響を受ける可能性があります。
(ホ)不動産の地域的な偏在に関するリスク
本投資法人は、取得価格ベースで70%以上を首都圏に所在する不動産等に投資する予定です。このように、投資対象となる不動産が地域的に偏在していることから、首都圏における地域経済や不動産マーケットの変動、地震・台風等の災害、人口変動等の特有な事象の発生によって、本投資法人の収益が著しい悪影響を受ける可能性があります。
また、テナント獲得に際し不動産賃貸市場における競争が激化し、結果として、空室率の上昇や賃料水準の低下により賃料収入が減少し、本投資法人の収益が悪影響を受ける可能性があります。
③ 本投資法人の関係者、仕組みに関するリスク
(イ)いちごグループ等への依存、利益相反に関するリスク
いちご株式会社は、本書の日付現在、本資産運用会社の株式の100%を保有する株主であり、また、本投資法人は、いちご株式会社との間でスポンサーサポート契約を締結しています。しかし、いちご株式会社は、本投資法人の希望する価格で物件を売却する義務を負っているわけではありません。すなわち、当該契約に則って、本投資法人の投資基準に適合する物件を希望する価格で取得できることまでは保証されていません。したがって、本投資法人は、いちご株式会社から本投資法人の投資基準に適合する物件を必ずしも希望どおり取得できるとは限りません。また、本資産運用会社は、いちご株式会社及びいちご株式会社の子会社であるいちご地所株式会社、いちごECOエナジー株式会社、いちごオーナーズ株式会社及びいちご土地心築株式会社との間で取得資産情報のグループ内優先検討順位に関する覚書を締結しています。さらに、本投資法人は、いちごグループの運営力、レピュテーション、ブランド力等に大きく依存しています。
これらの点に鑑みると、本投資法人及び本資産運用会社は、いちごグループと密接な関連性を有しており、本投資法人による安定した収益の確保と成長性に対するいちごグループの影響は相当程度高いということができます。したがって、本投資法人がいちごグループとの間で本書の日付現在と同一の関係を維持できなくなった場合には、本投資法人に重大な悪影響が及ぶ可能性があります。更に、本投資法人は、資産運用活動を通じて、いちごグループ又はその利害関係者との間で取引を行う可能性があり、この場合、いちごグループの利益を図るためいちごグループが本投資法人の投資主又は投資法人債権者の利益に反する行為を行う可能性もあります。なお、かかる利益相反に関するリスクへの対策については後記「(2)投資リスクに対する管理体制」をご参照下さい。これらの対策にもかかわらず、いちごグループが本投資法人の利益に反する取引を行った場合には、投資主又は投資法人債権者に損害が発生する可能性があります。
また、本投資法人は、スポンサーサポート契約に基づき、いちごトラストから本投資法人及び本資産運用会社のビジネスの全般に関するコンサルタント業務等の提供を受けますが、かかるコンサルタント業務等の提供により本投資法人の資産運用につき一定の成果が上がるとの保証はありません。
(ロ)本資産運用会社が他の投資法人資産運用を受託していることに関するリスク
金融商品取引法上、資産運用会社は、複数の投資法人等の資産運用を受託することを禁じられておらず、本資産運用会社は、本投資法人のほか、いちごホテルリート投資法人及びいちごグリーンインフラ投資法人並びに複数の私募ファンドからも資産の運用を受託しています。
本投資法人は、主たる用途がオフィスである不動産等及びこれに関連する不動産対応証券を主な投資対象としていますが、それ以外の不動産への投資を排除していないため、いちごホテルリート投資法人、いちごグリーンインフラ投資法人及び上記私募ファンドと投資対象が重なり得ます。
そのため、本資産運用会社は、競合する取得不動産情報の恣意的な配分を防止することを目的として、前記「1投資法人の概況 (4)投資法人の機構 ③ 投資運用の意思決定機構 (ハ)資産の取得及び売却に関する事項 a.投資資産情報の取扱い」記載のローテーション・ルールを採用しており、かかるルールに則った運営を行うこととしています。
本投資法人及び本資産運用会社は、いちごホテルリート投資法人、いちごグリーンインフラ投資法人及び各私募ファンドとの間では、主たる投資対象が異なっていることや、資金調達の性質や財務戦略、投資家の志向する投資リターンの違いにより、実際に取得希望の競合が生じる場合は限定的であると想定しています。しかし、かかる想定とは異なり、実際に取得希望の競合が生じる場合には、上記のルールにより、いちごホテルリート投資法人、いちごグリーンインフラ投資法人及び各私募ファンドが優先して物件の取得検討を行うことがあります(特に、用途区分がオフィスに分類され、かつ、西暦竣工年が奇数である取得検討対象不動産については、不動産私募ファンドが優先して物件の取得検討を行います。)。また、この場合に、かかるルールに反する物件の取得検討が行われる可能性も否定できません。
さらに、かかるルールは変更される可能性があり、当該変更により、本投資法人にとって望ましいと考えられるポートフォリオの構築が実現しにくくなる可能性があり、結果として、本投資法人の収益性や資産の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ハ)本投資法人の関係者への依存、利益相反に関するリスク
本投資法人は、投信法に基づき、資産の運用を本資産運用会社に、資産の保管を資産保管会社に、一般事務を一般事務受託者に、それぞれ委託しています。本投資法人の円滑な業務遂行の実現のためにはこれらの者の能力、経験及びノウハウに依存するところが大きいと考えられますが、これらの者が業務遂行に必要な人的・財政的基礎等を必ずしも維持できる保証はありません。
また、資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者が、法令上又は契約上負っている善良な管理者としての注意義務、投資法人のために忠実に職務を遂行する義務、利益相反状況にある場合に投資法人の利益を害してはならない義務その他の義務に違反した場合には、本投資法人の存続及び収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。
このほかに、本資産運用会社又は本投資法人若しくは運用資産である不動産信託受益権に関する信託受託者から委託を受ける業者として、プロパティ・マネジメント会社、建物の管理会社等があります。本投資法人の収益性の向上のためにはこれらの者の能力、経験及びノウハウに依存するところも大きいと考えられますが、これらの者が業務遂行に必要な人的・財政的基礎等を必ずしも維持できる保証はありません。これらの者について業務の懈怠その他の義務違反があった場合や業務遂行能力が失われた場合には本投資法人の存続及び収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ニ)本投資法人の執行役員及び監督役員並びに本資産運用会社の人材(個人の能力、経歴、ノウハウ)に依存しているリスク
本投資法人の運営は、本投資法人の執行役員及び監督役員並びに本資産運用会社の人材(個人の能力、経歴、ノウハウ)に大きく依存しており、これらの人材が失われた場合、本投資法人の運営に悪影響をもたらす可能性があります。
また、今後、本資産運用会社の業容が拡大し、その状況に応じた人材の確保が行われなかった場合、本投資法人の運営に悪影響をもたらす可能性があります。
(ホ)インサイダー取引規制に関するリスク
投資法人の発行する特定有価証券等(金融商品取引法第163条第1項に定める特定有価証券等をいいます。)についても、インサイダー取引規制の対象となっています。
本資産運用会社の役職員及び本投資法人の役員が本投資法人の特定有価証券等の売買等を行うこと及び未公表の重要事実(本資産運用会社又は本投資法人に関する情報であって、金融商品取引法第166条第2項において定義する「業務等に関する重要事実」をいいます。)の伝達を原則禁止とし、本資産運用会社の役職員が持投資口会又は株式累積投資制度に加入して取得した投資証券を売却する場合に限り、事前の承認を得た上で売却することができるとする社内規程を定めています。しかしながら、本資産運用会社の役職員又は本投資法人の役員が金融商品取引法で定めるインサイダー取引規制に違反する場合には、本投資法人及び本資産運用会社に係る情報の管理に対する信頼が揺らぎ、その結果、本投資法人の投資主又は投資法人債権者に悪影響が及ぶ可能性があります。
(ヘ)フェア・ディスクロージャー・ルールに関するリスク
本投資法人及び本資産運用会社も、フェア・ディスクロージャー・ルールの適用対象となっています。
本投資法人及び本資産運用会社は、フェア・ディスクロージャーの観点から、迅速、正確かつ公平な情報開示を実施し、投資家にとって分かりやすい情報の積極的な提供に努めています。しかしながら、本投資法人若しくは本資産運用会社又はこれらの役職員がフェア・ディスクロージャー・ルールに違反する場合には、本投資法人及び本資産運用会社に係る情報の管理に対する信頼が揺らぎ、その結果、本投資法人の投資主又は投資法人債権者に悪影響が及ぶ可能性があります。
(ト)本投資法人の投資方針の変更に関するリスク
本投資法人の規約に記載されている資産運用の対象及び方針等の基本的な事項の変更には、投資主総会の承認が必要ですが、本投資法人の役員会及び本資産運用会社の投資運用委員会が定めたより詳細な投資方針、運用ガイドライン等については、投資主総会の承認を経ることなく、変更することが可能です。そのため、本投資法人の投資主の意思が反映されないまま、これらが変更される可能性があります。
(チ)本投資法人の倒産又は登録抹消のリスク
本投資法人は、破産法(平成16年法律第75号。その後の改正を含みます。以下「破産法」といいます。)、民事再生法(平成11年法律第225号。その後の改正を含みます。以下「民事再生法」といいます。)及び投信法上の特別清算手続(投信法第164条)に服します。
また、本投資法人は、投信法に基づいて投資法人としての登録を受けていますが、一定の事由が発生した場合に投信法に従ってその登録が取り消される可能性があります(投信法第216条)。その場合には、本投資証券の上場が廃止され、本投資法人は解散し、清算手続に入ります。
上記のように本投資法人が清算される場合、投資主は、すべての債権者への弁済(投資法人債の償還を含みます。)後の残余財産による分配からしか投資金額を回収することができません。本投資法人の保有資産の価値が下落し又は出資金に欠損が生じている場合には、借入れ及び投資法人債を弁済した後の残余財産が全く残らないか、又は出資総額を下回ることとなり、投資主は、投資金額の全部又は一部について回収することができない可能性があります。
(リ)敷金及び保証金に関するリスク
本投資法人は、投資対象不動産の賃借人が賃貸人に対し無利息又は低利で預託した敷金又は保証金を投資資金として利用する場合があります。しかし、そのような場合で賃貸借契約の中途解約により想定外の時期に敷金又は保証金の返還義務が生じた場合には、本投資法人は、敷金又は保証金の返還資金をそれらよりも調達コストの高い借入れ等により調達せざるを得なくなります。また、敷金又は保証金の投資運用が失敗に終わり損失が生じる可能性もあります。その結果、本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。
また、敷引特約がある賃貸借契約については、敷引額の敷金額に対する割合が高い場合、敷引特約の全部又は一部の有効性が否定され、本投資法人が引き継いだ敷金額より多額の敷金返還債務を負う可能性があります。
④ 不動産及び信託の受益権に関する法的リスク
本投資法人の主たる運用資産は、前記「2 投資方針 (2)投資対象 ① 投資対象とする資産の種類」に記載のとおり、不動産等です。不動産を信託する信託の受益権その他不動産を裏付けとする資産の所有者は、その信託財産である不動産又は裏付けとなる不動産を直接所有する場合と、経済的には、ほぼ同様の利益状況に置かれます。したがって、以下に記載する不動産に関する法的リスクは、不動産を信託する信託の受益権その他不動産を裏付けとする資産についても、ほぼ同様にあてはまります。
なお、信託の受益権特有のリスクについては、後記「(ナ)不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク」をご参照下さい。
(イ)不動産の欠陥・瑕疵・契約不適合や境界に関するリスク
不動産には権利、地盤、地質、構造等に関して欠陥、瑕疵等の契約内容不適合(建物の構造、材質、地盤、特に土地に含有される有害物質、地質の構造等に関する欠陥や瑕疵のほか、法令上の規制違反や基準不適合、免振装置、制振装置を含む建築資材の強度、機能等の不足、工事における施工の不具合や施工報告書の施工データの転用、加筆等がなされているものを含みますが、これらに限りません。)が存在している可能性があります。本資産運用会社が不動産の選定・取得の判断を行うに当たっては、当該不動産について定評のある専門業者から建物状況調査報告書を取得するなどの物件精査を行うことにしていますが、建物状況調査報告書で指摘されなかった事項について、取得後に欠陥、瑕疵等の契約内容不適合が判明する可能性もあります。本投資法人は、状況に応じては、前所有者に対し一定の事項につき表明及び保証を取得し、瑕疵担保責任又は契約不適合責任(注)を負担させる場合もありますが、たとえかかる表明及び保証を取得し、瑕疵担保責任又は契約不適合責任を追及できたとしても、これらの表明及び保証の内容が真実かつ正確である保証はなく、また、瑕疵担保責任又は契約不適合責任の期間及び責任額は一定範囲に限定されるのが通例であり、また、前所有者が解散し、又は無資力になっているために実効性がない場合もあります。
これらの場合には、当該欠陥、瑕疵等の契約内容不適合の程度によっては当該不動産の資産価値が低下することを防ぐために買主である本投資法人が当該欠陥、瑕疵等の契約内容不適合の補修その他に係る予定外の費用を負担せざるをえなくなることがあり、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
加えて、不動産をめぐる権利義務関係の複雑さゆえに、不動産に関する権利が第三者の権利や行政法規等により制限を受け、又は第三者の権利を侵害していることが後になって判明する可能性があります。その結果、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
加えて、わが国の法制度上、不動産登記にはいわゆる公信力がありません。したがって、不動産登記簿の記載を信じて取引した場合にも、買主は不動産に係る権利を取得できないことがあります。更に、権利に関する事項のみならず、不動産登記簿中の不動産の表示に関する事項が現況と一致していない場合もあります。このような場合、上記と同じく、本投資法人は売主等に対して法律上又は契約上許容される限度で責任を追及することとなりますが、その実効性があるとの保証はありません。
さらに、物件を取得するまでの時間的制約等から、一般に隣接地所有者からの境界確定同意が取得できず又は境界標の確認ができないまま、物件を取得する事例が少なからずみられます。本投資法人は、原則として境界が確定している物件を取得する方針ではあるものの、運営への影響、リスクの程度を検証したうえで適切と認める場合には、境界が未確定の物件も取得する方針です。状況次第では、境界に関して紛争が生じ、境界確定の過程で所有敷地の面積が減少することにより、運用資産の運営に不可欠の土地が隣接地所有者の所有に属するものとされたり、建ぺい率、容積率等の遵法性についての問題が発生する可能性があります。また、訴訟費用及び損害賠償責任の負担を余儀なくされる等、投資対象不動産について予定外の費用又は損失を負担する可能性もあります。これらの事象が生じなかったとしても、境界未確定の事実が物件処分の際の障害となる可能性があります。同様に、越境物の存在により、投資対象不動産の利用が制限され賃料に悪影響を及ぼす可能性や、越境物の除去等のために追加費用を負担する可能性があります。
(注)民法の一部を改正する法律(2020年4月1日施行)による改正後の民法の下では、改正前の民法における瑕疵担保責任は、給付の目的物が契約の内容に適合しない場合に売主が責任を負う契約不適合責任とされています。なお、2020年3月31日以前に締結した契約や発生した債権については、原則として改正前の民法が適用されます。以下同じです。
(ロ)不動産の売却に伴う責任に関するリスク
本投資法人が不動産を売却した場合に、当該不動産に物的又は法的な瑕疵があるために、法令の規定又は売買契約上の規定に従い、瑕疵担保責任、契約不適合責任や表明保証責任を負担する可能性があります。特に、本投資法人は、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号。その後の改正を含みます。以下同じです。)上のみなし宅地建物取引業者となりますので、買主が宅地建物取引業者でない場合には、本投資法人の瑕疵担保責任又は契約不適合責任に関するリスクを排除できない場合があります。したがって、本投資法人が不動産を売却した場合は、売却した不動産の欠陥、瑕疵等の契約内容不適合の修補その他に係る予定外の費用を負担せざるを得なくなることがあり、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
加えて、不動産をめぐる権利義務関係の複雑さゆえに、不動産に関する権利が第三者の権利や行政法規等により制限を受け、又は第三者の権利を侵害していることが後になって判明する可能性があります。その結果、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
さらに、賃貸不動産の売却においては、新所有者が賃借人に対する敷金返還債務等を承継するものと解されており、実務もこれにならうのが通常ですが、旧所有者が当該債務を免れることについて賃借人の承諾を得ていない場合には、旧所有者は新所有者とともに当該債務を負い続けると解される可能性があり、予想外の債務又は義務を負う場合があり得ます。
(ハ)賃貸借契約に関するリスク
a.賃貸借契約の解約及び更新に関するリスク
賃貸借契約において期間中の解約権を留保している場合等には、契約期間中であっても賃貸借契約を終了することが可能であるため、賃借人から賃料が得られることは将来にわたって確保されているものではありません。また、賃貸借契約の期間満了時に契約の更新がなされない場合もあります。このような理由により、稼働率が低下した場合、不動産に係る賃料収入が減少することになります。また、解約禁止条項、解約ペナルティ条項などを置いて期間中の解約権を制限している場合や更新料を定めている場合でも、裁判所によって更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの諸般の事情があると判断された場合、かかる条項の効力が否定される可能性があります。
以上のような事由により、賃料収入等が減少した場合、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
他方で、賃貸人が、テナントとの賃貸借契約の更新を拒絶したり、解約を申し入れるためには、借地借家法上、正当の事由があると認められる場合であることが必要であり、賃貸人側の意向どおりに賃貸借契約を終了させることができないことにより、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、賃貸借契約を定期建物賃貸借契約とすれば、契約の更新がないこととすることが認められていますが、定期建物賃貸借契約の効力が認められるためには、借地借家法第38条所定の要件を充足する必要があるため、借地借家法第38条所定の要件が充足されなかった場合には、当該契約は、いわゆる普通建物賃貸借契約として取り扱われる可能性があります。その結果、建物賃貸借契約が所定の時期に終了しないこと等により、本投資法人の収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。
b.賃料不払に関するリスク
賃借人が特に解約の意思を示さなくても、賃借人の財務状況が悪化した場合又は破産手続、再生手続若しくは更生手続その他の倒産手続(以下、総称して「倒産等手続」といいます。)の対象となった場合、賃貸借契約に基づく賃料支払が滞る可能性があり、この延滞賃料等の債務の合計額が敷金及び保証金で担保される範囲を超える状況では本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
c.賃料改定に係るリスク
賃貸借契約の更新の際又は賃料等の見直しの際には、その時々における賃料相場も参考にして、賃料が賃借人との協議に基づき改定されることがありますので、本投資法人が保有する不動産について、本書の日付現在の賃料が今後も維持される保証はありません。賃料改定により賃料が減額された場合、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
また、定期的に賃料等を増額する旨の規定が賃貸借契約にある場合でも、賃借人との交渉いかんによっては、必ずしも、規定通りに賃料を増額できるとは限りません。
d.賃借人による賃料減額請求権行使のリスク
建物の賃借人は、定期建物賃貸借契約において借地借家法第32条に基づく賃料減額請求権を排除する特約を設けた場合を除いて、同条に基づく賃料減額請求をすることができ、これにより、当該不動産から得られる賃料収入が減少し、本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。定期建物賃貸借契約の効力が認められるためには、借地借家法第38条所定の要件を充足する必要があります。このため、ある建物賃貸借契約を定期建物賃貸借契約とした上で借地借家法第32条に基づく賃料減額請求権を排除する特約を設けた場合であっても、借地借家法第38条所定の要件が充足されなかった場合には、賃料減額請求権を排除することができず、当該請求が認められた場合、当該不動産から得られる賃料収入が減少し、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者が損害を被る可能性があります。
e.定期建物賃貸借契約における賃料減額請求権排除特約に関するリスク
定期建物賃貸借契約の場合には、その有効期間中は契約中に定められた賃料をテナントに対して請求できるのが原則です。しかし、定期建物賃貸借契約においてテナントが早期解約した場合でも、残存期間全体についてのテナントに対する賃料請求が認められない可能性があります。なお、定期建物賃貸借契約において借地借家法第32条に基づく賃料増減請求権を排除する特約を設けた場合には、同条に基づく賃料増額請求もできなくなるため、かかる賃料が契約締結時に予期し得なかった事情により一般的な相場に比べて低額となり、通常の賃貸借契約の場合よりも低い賃料収入しか得られない可能性があります。
f.更新料等に関するリスク
賃貸借契約において、賃貸借契約が更新される際の更新料や、契約期間中に賃借人が解約した場合の違約金に関して敷金・保証金の没収について規定することがありますが、これらの規定は状況によってはその全部又は一部が無効とされ、その結果、本投資法人に予定外の収入の減少や費用負担が発生する可能性があります。
(ニ)災害等による建物の毀損、滅失及び劣化のリスク
火災、地震、液状化、津波、暴風雨、洪水、落雷、竜巻、戦争、暴動、騒乱、テロ等(以下「災害等」といいます。)により不動産が滅失、劣化又は毀損し、その価値が影響を受ける可能性があります。このような場合には、滅失、劣化又は毀損した個所を修復するため一定期間建物の不稼働を余儀なくされることにより、賃料収入が減少し、又は当該不動産の価値が下落する結果、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。不動産の個別事情により保険契約が締結されない場合、保険契約で支払われる上限額を上回る損害が発生した場合、保険契約で填補されない災害等が発生した場合又は保険契約に基づく保険会社による支払が他の何らかの理由により行われず、減額され若しくは遅れる場合には、本投資法人は悪影響を受ける可能性があります。
また、大規模な地震、津波又は環境汚染を伴う災害等が発生した場合、たとえ本投資法人の保有する不動産が滅失、劣化若しくは毀損せず、又は当該不動産に瑕疵が生じなかったとしても、所在地の周辺地域経済が多大な影響を受けることにより、当該不動産の収益性が大幅に低下する可能性があります。
(ホ)不動産に係る所有者責任、修繕・維持費用等に関するリスク
運用資産である不動産を原因として、第三者の生命、身体又は財産等を侵害した場合に、損害賠償義務が発生し、結果的に本投資法人が予期せぬ損害を被る可能性があります。特に、土地の工作物の所有者は、民法上無過失責任を負うこととされています。不動産の個別事情により保険契約が締結されない場合、保険契約で支払われる上限額を上回る損害が発生した場合、保険契約でカバーされない事故が発生した場合又は保険契約に基づく保険会社による支払が他の何らかの理由により行われず、減額され若しくは遅れる場合には、本投資法人は悪影響を受ける可能性があります。
また、不動産につき滅失、毀損又は劣化等が生じ、修繕が必要となる場合には、かかる修繕に関連して多額の費用を要する可能性があります。また、かかる修繕が困難又は不可能な場合には、不動産から得られる賃料収入が減少し、不動産の価格が下落する可能性があります。
さらに、経済状況によっては、インフレーション、水道光熱費等の費用の高騰、不動産管理や建物管理に係る費用、備品調達等の管理コスト及び各種保険料等のコストの上昇、租税公課の増大その他の理由により、投資対象不動産の運用に関する費用が増加する可能性があります。
(ヘ)不動産に係る行政法規・条例等に関するリスク
建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例、都市計画法の改正、新たな立法、収用、再開発、区画整理等の行政行為の規定の施行又は適用の際、原則としてこれらの規定に適合しない現に存する建物(現に建築中のものを含みます。)又はその敷地については、当該規定が適用されない扱いとされています(いわゆる既存不適格)。しかし、かかる既存不適格の建物の建替え等を行う場合には、現行の規定が適用されるので、現行の規定に合致するよう手直しをする必要があり、追加的な費用負担が必要となる可能性があり、また、現状と同規模の建築物を建築できない可能性があります。
また、不動産に係る様々な行政法規や各地の条例による規制が運用資産である不動産に適用される可能性があります。例えば、都市計画法、地方公共団体の条例による風致地区内における建築等の規制、河川法(昭和39年法律第167号。その後の改正を含みます。)による河川保全区域における工作物の新築等の制限、海岸法(昭和31年法律第101号。その後の改正を含みます。)による海岸保全区域における土地の掘削等の制限、港湾法(昭和25年法律第218号。その後の改正を含みます。)による港湾区域内における工事等の制限、文化財保護法(昭和25年法律第214号。その後の改正を含みます。)に基づく試掘調査義務、その他一定割合において住宅を付置する義務や、駐車施設附置義務、福祉配慮設備設置義務、緑化推進義務及び雨水流出抑制施設設置義務等が挙げられます。このような義務が課せられている場合、当該不動産の処分及び建替え等に際して、事実上の困難が生じ、又はこれらの義務を遵守するための追加的な費用負担が生じる可能性があります。更に、運用資産である不動産を含む地域が道路設置等の都市計画の対象となる場合には、当該都市計画対象部分に建築制限が付され、又は建物の敷地とされる面積が減少し、当該不動産に関して建替え等を行う際に、現状と同規模の建築物を建築できない可能性があります。
(ト)法令の制定・変更に関するリスク
土壌汚染対策法のほか、将来的に環境保護を目的とする法令等が制定・施行され、過失の有無にかかわらず不動産につき大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務等が課される可能性があります。
また、消防法(昭和23年法律第186号。その後の改正を含みます。以下「消防法」といいます。)その他不動産の管理に影響する関係法令の改正により、不動産の管理費用等が増加する可能性があるほか、エネルギーや温室効果ガス削減を目的とした法令、条例等の制定、改正等によっても、追加的な費用負担が発生する可能性があります。更に、建築基準法、都市計画法の改正、新たな立法、収用、再開発、区画整理等の行政行為等により不動産に関する権利が制限される可能性があります。このような法令若しくは行政行為又はその変更等が本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
(チ)売主の倒産等の影響を受けるリスク
本投資法人は、債務超過の状況にあるなど財務状態が実質的危機時期にあると認められる又はその疑義がある者を売主として不動産を取得する場合には、管財人等により不動産の売買が否認されるリスク等について諸般の事情を慎重に検討し、実務的に可能な限り管財人等により否認されるリスクを回避するよう努めますが、このリスクを完全に排除することは困難です。
万一債務超過の状況にあるなど財務状態が実質的危機時期にある状況を認識できずに本投資法人が不動産を取得した場合には、当該不動産の売買が売主の債権者により取消(詐害行為取消)される可能性があります。また、本投資法人が不動産を取得した後、売主について倒産等手続が開始した場合には、不動産の売買が破産管財人、監督委員又は管財人により否認される可能性が生じます。
また、本投資法人が、ある売主から不動産を取得した別の者(以下、本項において「買主」といいます。)から更に不動産を取得した場合において、本投資法人が、当該不動産の取得時において、売主と買主間の当該不動産の売買が詐害行為として取り消され又は否認される根拠となりうる事実関係を知っている場合には、本投資法人に対しても、売主・買主間の売買が取消又は否認され、その効果を主張される可能性があります。
更に、取引の態様如何によっては売主と本投資法人との間の不動産の売買が、担保取引であると判断され、当該不動産は破産者である売主の破産財団の一部を構成し、又は更生会社若しくは再生債務者である売主の財産に属するとみなされる可能性(いわゆる真正譲渡でないとみなされるリスク)もあります。
(リ)転貸に関するリスク
賃借人(転借人を含みます。)に、不動産の一部又は全部を転貸させる権限を与えた場合、本投資法人は、不動産に入居するテナントを自己の意思により選択することができなくなり、又は退去させることができなくなる可能性があるほか、賃借人の賃料が、転借人から賃借人に対する賃料に連動する場合、転借人の信用状態等が、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、賃貸借契約が合意解約された場合、又は債務不履行を理由に解除された場合であっても、賃貸借契約上、賃貸借契約終了の場合に転貸人の転借人に対する敷金等の返還義務が賃貸人に承継される旨規定されている場合には、かかる敷金等の返還義務が、賃貸人に承継される可能性があります。このような場合、敷金等の返還原資は賃貸人の負担となり、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ヌ)テナント集中に関するリスク
運用資産である投資対象不動産のテナント数が少なくなればなるほど、本投資法人は特定のテナントの支払能力、退去その他の事情による影響を受けやすくなります。特に、一テナントしか存在しない投資対象不動産においては、本投資法人の当該投資対象不動産からの収益等は、当該テナントの支払能力、当該投資対象不動産からの転出・退去その他の事情により大きく左右されます。また、賃貸面積の大きなテナントが退去したときに、大きな空室が生じ、他のテナントを探しその空室を回復させるのに時間を要することがあり、その期間が長期になればなるほど、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。また、本投資法人の運用資産における特定の少数のテナントの賃借比率が増大したときは、当該テナントの財務状況や営業状況が悪化した場合、本投資法人の収益も悪影響を受ける可能性があります。
(ル)テナント等による不動産の利用状況に関するリスク
本投資法人は、テナントの属性や資力に留意しつつ賃貸借契約を締結し、その利用状況を管理していますが、個々のテナントの利用状況をつぶさに監督できるとの保証はなく、テナントの利用状況により、当該不動産の資産価値や、本投資法人の収益に悪影響が及ぶ可能性があります。
例えば、建物そのものが法令や条例等の基準を満たす場合であっても、入居者による建物への変更工事、内装の変更、その他利用状況等により、建築基準法、消防法その他の法令や条例等に違反する状態となり、本投資法人が、その改善のための費用を負担する必要が生じ、又は法令上不利益を被る可能性があります。また、賃貸借契約における規定の如何にかかわらず、入居者による転貸や賃借権の譲渡が本投資法人の承諾なしに行われる可能性があります。その他、転借人や賃借権の譲受人の属性によっては、運用資産である不動産のテナント属性が悪化し、これに起因して建物全体の賃料水準が低下する可能性があります。賃貸人は賃借人と普通建物賃貸借契約を締結した場合又は定期建物賃貸借契約を締結したものの借地借家法第38条所定の要件が充足されないことにより定期建物賃貸借契約としての効力が否定された場合、正当の事由があると認められなければ、賃貸借期間が経過した場合であっても賃借人との賃貸借契約を終了することができず、運用資産である不動産のテナント属性の悪化を阻止できない可能性があります。
(ヲ)マスターリースに関するリスク
特定の不動産において、サブリース会社が当該不動産の所有者である信託受託者との間でマスターリース契約を締結し、その上でエンドテナントに対して転貸する、いわゆるサブリースの形態をとっており、また、今後も同様の形態をとる場合があります。この場合、特に固定賃料型のサブリース会社の財務状態が悪化したときは、サブリース会社の債権者がサブリース会社のエンドテナントに対する賃料債権を差し押さえる等により、サブリース会社から賃貸人である信託受託者への賃料の支払が滞る可能性があります。
(ワ)共有物件に関するリスク
運用資産である不動産が第三者との間で共有されている場合には、その保存・利用・処分等について単独で所有する場合には存在しない種々の問題が生じる可能性があります。
まず、共有物の管理は、共有者間で別段の定めをした場合を除き、共有者の持分の過半数で行うものとされているため(民法第252条)、持分の過半数を有していない場合には、当該不動産の管理及び運営について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。また、共有者はその持分の割合に応じて共有物の全体を利用することができるため(民法第249条)、他の共有者によるこれらの権利行使によって、本投資法人の当該不動産の保有又は利用が妨げられるおそれがあります。
更に、共有の場合、他の共有者からの共有物全体に対する分割請求権行使を受ける可能性(民法第256条)、及び裁判所により共有物全体の競売を命じられる可能性(民法第258条第2項)があり、ある共有者の意図に反して他の共有者からの分割請求権行使によって共有物全体が処分されるリスクがあります。
この分割請求権を行使しないという共有者間の特約は有効ですが、この特約は5年を超えては効力を有しません。また、登記済みの不分割特約がある場合でも、特約をした者について倒産手続の対象となった場合には、管財人等はその換価処分権を確保するために分割請求ができるとされています。ただし、共有者は、倒産手続の対象となった他の共有者の有する共有持分を相当の対価で取得することができます(破産法第52条、会社更生法(平成14年法律第154号。その後の改正を含みます。)第60条、民事再生法第48条)。
他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、共有物が分割されると、共有されていた物件全体について当該共有者(抵当権設定者)の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶことになると考えられています。したがって、運用資産である共有持分には抵当権が設定されていなくても、他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、共有物が分割されると、分割後の運用資産についても、他の共有者の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶこととなるリスクがあります。
共有持分の処分は単独所有物と同様に自由に行えると解されていますが、共有不動産については、共有者間で共有持分の優先的購入権の合意をすることにより、共有者がその共有持分を第三者に売却する場合に他の共有者が優先的に購入できる機会を与えるようにする義務を負う場合があります。
不動産の共有者が賃貸人となる場合には、賃料債権は不可分債権となり敷金返還債務は不可分債務になると一般的には解されており、共有者は他の賃貸人である共有者の信用リスクの影響を受ける可能性があります。
共有不動産については、単独所有の場合と比べて上記のような制限やリスクがあるため、取得及び売却により多くの時間と費用を要し、又は価格の減価要因が増す可能性があります。
(カ)区分所有建物に関するリスク
区分所有建物とは建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。その後の改正を含みます。以下「区分所有法」といいます。)の適用を受ける建物で、単独所有の対象となる専有部分(居室等)と共有となる共用部分(エントランス部分等)及び建物の敷地部分から構成されます。区分所有建物の場合には、区分所有法上、法定の管理方法及び管理規約(管理規約の定めがある場合)によって管理方法が定められます。建替えをする場合には集会において区分所有者及び議決権(管理規約に別段の定めのない限り、その有する専有部分の床面積の割合)の各5分の4以上の多数での建替え決議が必要とされるなど(区分所有法第62条)、区分所有法の適用を受けない単独所有物件と異なり管理方法に制限があります。
区分所有建物の専有部分の処分は自由に行うことができますが、他の区分所有者が優先的に購入できる機会を与えるようにする義務を負う場合があります。
区分所有建物と敷地の関係については以下のようなリスクがあります。
区分所有建物の専有部分を所有するために区分所有者が敷地に関して有する権利を敷地利用権といいます。区分所有建物では、専有部分と敷地利用権の一体性を保持するために、法律で、専有部分とそれに係る敷地利用権を分離して処分することが原則として禁止されています(区分所有法第22条第1項)。ただし、敷地権の登記がなされていない場合には、分離処分の無効を善意の第三者に主張することができません(区分所有法第23条)。また、区分所有建物の敷地が数筆に分かれ、区分所有者が、それぞれ、その敷地のうちの一筆又は数筆の土地について、単独で、所有権、賃借権などを敷地利用権(いわゆる分有形式の敷地利用権)として有している場合には、分離して処分することが可能とされています。このように専有部分とそれに係る敷地利用権が分離して処分された場合、敷地利用権を有しない区分所有者が出現する可能性があります。
また、敷地利用権が使用借権及びそれに類似した権利である場合には、当該敷地が売却、競売等により第三者に移転された場合に、区分所有者が当該第三者に対して従前の敷地利用権を対抗できなくなる可能性があります。
このような区分所有建物と敷地の関係を反映して、区分所有建物の場合には、取得及び売却により多くの時間と費用を要したり、価格の減価要因が増す可能性があります。
(ヨ)借地物件に関するリスク
借地権とその借地上に存在する建物については、自己が所有権を有する土地上に存在する建物と比べて特有のリスクがあります。借地権は、所有権と異なり永久に存続するものではなく、期限の到来により当然に消滅し(定期借地権の場合)又は期限到来時に借地権設定者が更新を拒絶しかつ更新を拒絶する正当事由がある場合に消滅します(普通借地権の場合)。また、借地権が地代の不払による解除その他の理由により消滅してしまう可能性もあります。借地権が消滅すれば、時価での建物買取りを請求できる場合(借地借家法第13条、旧借地法(大正10年法律第49号。その後の改正を含みます。以下「借地法」といいます。)第4条)を除き、借地上に存在する建物を取り壊した上で、土地を返還しなければなりません。普通借地権の場合、借地権の期限到来時の更新拒絶につき上記正当事由が認められるか否かを本投資法人の物件取得時に正確に予測することは不可能であり、仮に建物の買取請求権を有する場合でも、買取価格が本投資法人の希望する価格以上である保証はありません。
また、本投資法人が借地権を有している土地の所有権が、他に転売され、又は借地権設定時に既に存在する土地上の抵当権等の実行により第三者に移ってしまう可能性があります。この場合、借地権について適用のある法令に従い第三者対抗要件が具備されていないときは、本投資法人は、借地権を当該土地の新所有者に対して対抗できず、当該土地の明渡義務を負う可能性があります。
更に、借地権が賃借権である場合、借地権を譲渡するには、原則として、借地権設定者の承諾が必要となります。借地上の建物の所有権を譲渡する場合には、当該借地に係る借地権も一緒に譲渡することになるので、原則として、借地権設定者の承諾が必要となります。かかる借地権設定者の承諾に関しては、借地権設定者への承諾料の支払が予め約束されていたり、約束されていなくても慣行を理由として借地権設定者が承諾料を承諾の条件として請求してくる場合があります(なお、法律上借地権設定者に当然に承諾料請求権が認められているものではありません。)。
加えて、借地権設定者の資力の悪化や倒産等により、借地権設定者に差し入れた敷金及び保証金等の全額又は一部が返還されない可能性があります。借地権設定者に対する敷金及び保証金等の返還請求権について担保設定や保証はなされないのが通例です。
借地権と借地上に建てられている建物については、敷地と建物を一括して所有している場合と比べて、上記のような制限やリスクがあるため、取得及び売却により多くの時間と費用を要したり、価格の減価要因が増す可能性があります。
なお、建物の所有を目的としない土地の賃貸借については、借地借家法又は借地法の適用はありません。このため、当該土地に関する賃貸借契約が終了する場合、又は当該土地が他に転売される等して所有者が変わる場合には、当該土地の明渡義務を負う可能性があります。
(タ)借家物件に関するリスク
本投資法人は、建物(共有持分、区分所有建物等を含みます。)を第三者から賃借の上又は信託受託者に賃借させた上、当該賃借部分を直接若しくは信託受託者を通じて保有する建物と一体的に又は当該賃借部分を単独で、テナントへ転貸することがあります。
この場合、建物の賃貸人の資力の悪化や倒産等により、建物の賃貸人に差し入れた敷金及び保証金等の全額又は一部が返還されない可能性があることは、前記の借地物件の場合と同じです。
加えて、民法上、本投資法人が第三者との間で直接又は信託受託者を通じて締結した賃貸借契約が何らかの理由により終了した場合、原則として、本投資法人又は当該受託者とテナントの間の転貸借契約も終了するとされていますので、テナントから、転貸借契約の終了に基づく損害賠償請求等がなされるおそれがあります。
(レ)底地物件に関するリスク
本投資法人は、第三者が、土地所有者から借地権の設定を受け、その上に建物を所有している土地、いわゆる底地を取得することがあります。底地物件の場合は特有のリスクがあります。借地権は、定期借地権の場合は借地契約に定める期限の到来により当然に消滅し、普通借地権の場合には期限到来時に本投資法人が更新を拒絶しかつ本投資法人に更新を拒絶する正当事由がある場合に消滅します。借地権が消滅する場合、本投資法人は借地権者より時価での建物買取を請求される場合があります(借地借家法第13条及び借地法第4条)。普通借地権の場合、借地権の期限到来時に更新拒絶につき前記正当事由が認められるか否かを本投資法人の物件取得時に正確に予測することは不可能であり、借地権者より時価での建物買取を請求される場合においても、買取価格が本投資法人が希望する価格以下である保証はありません。
また、借地権者の財務状況が悪化した場合又は倒産等手続の対象となった場合、借地契約に基づく土地の賃料の支払が滞る可能性があり、この延滞賃料の合計額が敷金及び保証金等で担保される範囲を超える場合は投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
加えて、借地契約では、多くの場合、賃料等の借地契約の内容について、定期的に見直しを行う旨を規定する条項が含まれています。当該条項に基づく賃料の改定により賃料が減額された場合、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。借地権者は借地借家法第11条に基づく土地の借賃の減額請求をすることができ、これにより、当該底地から得られる賃料収入が減少し、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
さらに、借地権が賃借権である場合、借地権者による借地権の譲渡には、原則として、本投資法人の承諾が必要となりますが、裁判所が承諾に代わる許可をした場合(借地借家法第19条)や、借地契約上事前に一定範囲での借地権の譲渡を承諾している場合には、本投資法人の承諾なく借地権が譲渡される結果、財務状態に問題がある等の本投資法人が望まない者に借地権が譲渡される可能性があり、その結果、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
(ソ)開発物件に関するリスク
本投資法人は、規約に定める投資方針に従って、竣工後の物件を取得するために予め開発段階で売買契約を締結することがあります。かかる場合、既に完成した物件につき売買契約を締結して取得する場合とは異なり、様々な事由により、開発が遅延し、変更され、又は中止されることにより、売買契約通りの引渡しを受けられない可能性があります。この結果、開発物件からの収益等が本投資法人の予想を大きく下回る可能性があるほか、予定された時期に収益等が得られなかったり、収益等が全く得られなかったり、又は予定されていない費用、損害若しくは損失を本投資法人が負担し若しくは被る可能性があり、その結果本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
(ツ)築古物件に関するリスク
本投資法人は、築古物件を取得することがあります。一般に、築古物件は老朽化に伴い物理的及び機能的な劣化が進んでいることから、その運営、修繕、改修等に多額の出費が必要となり、かつその間における一時的な稼働率の低下等を生じる場合や、使用を継続するには現行法上問題ないものの、新規に使用することのできない有害物質が使用されており、処分又は除去する場合には、多額の支出が必要となる可能性もあります。特に、取得検討時には想定していなかった瑕疵又は契約不適合等が判明し、想定以上に多額の資本的支出を余儀なくされる可能性もあります。また、一般に、築古物件は新築物件と比較して築年数に応じた老朽化等による投資リスクが高まることから、想定していた水準の賃料を得られない可能性もあり、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
これらの理由により、本投資法人が築古物件の取得に際して想定した投資利回りが得られない可能性及び本投資法人の行う物件に対する資本的支出が利回りの上昇に繋がらない可能性があります。
(ネ)有害物質に関するリスク
本投資法人が土地又は土地の賃借権若しくは地上権又はこれらを信託する信託の受益権を取得する場合において、当該土地について産業廃棄物等の有害物質が埋蔵されている可能性があり、かかる有害物質が埋蔵されている場合には当該土地の価格の下落により、本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために土壌の入替えや洗浄が必要となる場合にはこれに係る予想外の費用や時間が必要となり、本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。また、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務を負う可能性があり、かかる義務を負う場合には本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。なお、土壌汚染対策法によれば、土地の所有者、管理者又は占有者は、鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の特定有害物質による土地の土壌の汚染の状況について、都道府県知事により調査・報告を命ぜられることがあり、また、土壌の特定有害物質による汚染により、人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあるときは、都道府県知事によりその被害を防止するため必要な汚染の除去等の措置を命ぜられることがあります。本投資法人がこれらの調査・報告又は措置を命ぜられた場合には、本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。
また、本投資法人が建物又は建物を信託する信託の受益権を取得する場合において、当該建物の建材等にアスベストその他の有害物質を含む建材が使用されているか若しくは使用されている可能性がある場合やポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物が保管されている場合等には、当該建物の価格の下落により、本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために建材の全面的又は部分的交換が必要となる場合にはこれに係る予想外の費用や時間が必要となり、本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。また、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務が発生する可能性があり、かかる義務が生じた場合には本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。
さらに、将来的に環境保護を目的とする法令等が制定・施行され、過失の有無にかかわらず不動産につき大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務等が課される可能性があります。
(ナ)不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク
本投資法人は、不動産を信託の受益権の形式で取得することがあります。
信託受託者が信託財産としての不動産、不動産の賃借権又は地上権を所有し管理するのは受益者のためであり、その経済的利益と損失は、最終的にはすべて受益者に帰属することになります。したがって、本投資法人は、信託の受益権の保有に伴い、信託受託者を介して、運用資産が不動産である場合と実質的にほぼ同じリスクを負担することになります。
信託の受益権を譲渡しようとする場合には、信託法(平成18年法律第108号。その後の改正を含みます。以下「信託法」といいます。)上は受託者への通知又は受託者の承諾がなければ受託者その他の第三者に対抗できず、更に、信託契約上、信託受託者の承諾を要求されるのが通常です。更に、不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する信託の受益権は受益証券発行信託の受益証券でない限り私法上の有価証券としての性格を有していませんので、債権譲渡と同様の譲渡方法によって譲渡することになり、有価証券のような流動性がありません。
信託法上、信託受託者が倒産等手続の対象となった場合に、信託の受益権の目的となっている不動産が信託財産であることを破産管財人等の第三者に対抗するためには、信託された不動産に信託設定登記をする必要があり、仮にかかる登記が具備されていない場合には、本投資法人は、当該不動産が信託の受益権の目的となっていることを第三者に対抗できない可能性があります。
また、信託財産の受託者が、信託目的に反して信託財産である不動産を処分した場合、又は信託財産である不動産を引当てとして、何らかの債務を負うことにより、不動産を信託する信託の受益権を保有する本投資法人が不測の損害を被る可能性があります。
更に、信託契約上、信託開始時において既に存在していた信託不動産の欠陥、瑕疵等の契約内容不適合につき、当初委託者が信託財産の受託者に対し一定の瑕疵担保責任又は契約不適合責任を負担する場合に、信託財産の受託者が、かかる瑕疵担保責任又は契約不適合責任を適切に追及しない、又はできない結果、本投資法人が不測の損害を被り、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
加えて、不動産を信託財産とする信託において、信託内借入の方法で資金を調達した場合、信託内借入等の信託受託者の債務は、信託の受益権に対する配当及び元本交付に優先して元利金等の返済が行われるため、信託財産である不動産の価格及び収益が減少した場合には、当該不動産の売却代金や賃料等の収益が信託内借入の元利金の返済に充当された結果、信託の受益権に対する配当及び元本交付が信託内借入の無い場合よりも減少し、信託内借入の割合や不動産の価格及び収益の下落率等によっては、信託配当及び信託元本の交付が受けられなくなる可能性があります。なお、信託内借入についても前記「2 投資方針 (1)投資方針 ⑧ 財務方針」記載の方針が適用され、有利子負債比率は、信託内借入を含めて算定されることになります。また、信託内借入の引き当てとなる財産は、信託財産に限定されるため、信託内借入においては、一般に、信託財産たる不動産の価格及び収益を基準としたLTV(ローントゥバリュー)やDSCR(デットサービスカバレッジレシオ)などの財務制限条項が付されます。これらの財務制限条項に抵触した場合には、当該信託内借入にかかる借入金の返済をするために、信託財産たる不動産売却を余儀なくされる等によって、本投資法人の収益等に悪影響が及ぶ可能性があります。
(ラ)フォワード・コミットメント等に関するリスク
本投資法人は、不動産等を取得するにあたり、いわゆるフォワード・コミットメント(先日付の売買契約であって、契約締結から一定期間経過した後に決済・物件引渡しを行うことを約する契約。)等を行うことがあります。不動産売買契約が買主の事情により解約された場合には、買主は債務不履行による損害賠償義務を負担することとなります。また、損害額等の立証にかかわらず、不動産等の売買価格に対して一定の割合の違約金が発生する旨の合意がなされることも少なくありません。フォワード・コミットメント等の場合には、契約締結後、決済・物件引渡しまでに一定の期間があるため、その期間における市場環境の変化等により本投資法人が不動産取得資金を調達できない場合等、売買契約を解約せざるを得なくなった場合には、違約金等の支払により、本投資法人の財務状況等が悪影響を受ける可能性があります。
⑤ 税制に関するリスク
(イ)導管性の維持に関する一般的なリスク
税法上、一定の要件(以下「導管性要件」といいます。)を満たした投資法人に対しては、投資法人と投資主との間の二重課税を排除するため、利益の配当等を投資法人の損金に算入することが認められています。導管性要件のうち一定のものについては、営業期間毎に判定を行う必要があります。本投資法人は、導管性要件を継続して満たすよう努めていますが、今後、本投資法人の投資主の減少、分配金支払原資の不足、借入金等の定義に係る不明確性、会計処理と税務処理の取扱いの差異、税務当局と本投資法人との見解の相違、法律の改正その他の要因により導管性要件を満たすことができない営業期間が生じる可能性があります。現行税法上、導管性要件を満たさなかったことについてやむを得ない事情がある場合の救済措置が設けられていないため、後記(ニ)に記載する同族会社化の場合等、本投資法人の意図しないやむを得ない理由により要件を満たすことができなかった場合においても、利益の配当等を損金算入できなくなり、本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があり、本投資証券又は本投資法人債券の市場価格に影響を及ぼすこともあります。なお、課税上の取扱いについては、後記「4 手数料等及び税金 (5)課税上の取扱い」をご参照下さい。
(ロ)税負担の発生により支払配当要件が満たされないリスク
導管性要件のうち、租税特別措置法施行令(昭和32年政令第43号。その後の改正を含みます。以下「租税特別措置法施行令」といいます。)第39条の32の3に規定する配当可能利益の額又は配当可能額の90%超の分配を行うべきとする要件(以下「支払配当要件」といいます。)においては、投資法人の会計上の税引前当期純利益を基礎として判定を行うこととされています。したがって、会計処理と税務上の取扱いの差異により本投資法人の税負担が増加し、実際に配当できる利益(会計上の税引後当期純利益)が減少した場合、又は90%の算定について税務当局の解釈・運用・取扱いが本投資法人の見解と異なる場合には、この要件を満たすことが困難となる営業期間が生じる可能性があり得ます。なお、2015年4月1日以後に開始する営業期間については、会計処理と税務上の取扱いの差異である一時差異等調整引当額の増加額に相当する金銭の分配について配当等の額として損金算入が可能になるという手当てがなされています。
(ハ)借入れに係る導管性要件に関するリスク
税法上、上記の各営業期間毎に判定を行う導管性要件のひとつに、借入れを行う場合には機関投資家(租税特別措置法第67条の15に規定するものをいいます。以下本「⑤ 税制に関するリスク」において同じです。)のみから行うべきという要件があります。したがって、本投資法人が何らかの理由により機関投資家以外からの借入れを行わざるを得ない場合、又は、保証金若しくは敷金の全部若しくは一部がテナントからの借入金に該当すると解釈された場合においては、導管性要件を満たせないことになります。この結果、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
(ニ)同族会社要件について本投資法人のコントロールが及ばないリスク
各営業期間毎に判定を行う導管性要件のうち、営業期間終了時に同族会社のうち租税特別措置法施行令第39条の32の3第5項に定めるものに該当していないこと(発行済投資口の総数又は議決権総数の50%超が1人の投資主及び特殊関係者により保有されていないこと。)とする要件、即ち、同族会社要件については、本投資証券が市場で流通することにより、本投資法人のコントロールの及ばないところで、結果として満たされなくなる営業期間が生じるリスクがあります。
(ホ)投資口を保有する投資主数について本投資法人のコントロールが及ばないリスク
各営業期間毎に判定を行う導管性要件のうち、営業期間終了時に投資法人の投資口が機関投資家のみにより保有されること、又は50人以上の投資主に保有されることという要件があります。しかし、本投資法人は投資主による投資口の売買をコントロールすることができないため、本投資法人の投資口が50人未満の投資主により保有される(機関投資家にのみ保有される場合を除きます。)こととなる可能性があります。
(ヘ)税務調査等による更正処分のため、導管性要件が事後的に満たされなくなるリスク
本投資法人に対して税務調査が行われ、導管性要件に関する取扱いに関して、税務当局との見解の相違により更正処分を受け、過年度における導管性要件が事後的に満たされなくなる可能性があります。このような場合には、本投資法人が当該営業期間において損金算入した配当金が税務否認される結果、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配額等に悪影響をもたらす可能性があります。
(ト)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
本投資法人は、規約における投資方針において、その有する特定資産の価額の合計額に占める、特定不動産の価額の合計額の割合を75%以上となるように運用します(規約第30条第4項)。本投資法人は、上記内容の投資方針を規約に定めることその他の税制上の要件を充足することを前提として、直接に不動産を取得する場合の不動産流通税(登録免許税及び不動産取得税)の軽減措置の適用を受けることができると考えています。しかし、本投資法人がかかる軽減措置の要件を満たすことができない場合、又は軽減措置の要件が変更され若しくは軽減措置が廃止された場合において、軽減措置の適用を受けることができない可能性があります。
(チ)一般的な税制の変更に関するリスク
不動産、不動産信託受益権その他本投資法人の資産に関する税制若しくは本投資法人に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、公租公課の負担が増大し、その結果本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。また、投資証券に係る利益の配当、資本の払戻し、譲渡等に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、本投資証券の保有又は売却による投資主の手取金の額が減少し、又は税務申告等の税務上の手続面での負担が投資主又は投資法人債権者に生じる可能性があります。
⑥ その他
(イ)専門家の意見への依拠に関するリスク
不動産の鑑定評価額及び不動産価格調査の調査価格は、個々の不動産鑑定士等の分析に基づく、分析の時点における評価に関する意見を示したものにとどまり、客観的に適正な不動産価格と一致するとは限りません。同じ物件について鑑定、調査等を行った場合でも、不動産鑑定士等、評価方法又は調査の方法若しくは時期によって鑑定評価額、調査価格の内容が異なる可能性があります。また、かかる鑑定等の結果は、現在及び将来において当該鑑定評価額や調査価格による売買の可能性を保証又は約束するものではありません。
土壌汚染リスク評価報告書も、個々の調査会社が行った分析に基づく意見であり、評価方法、調査の方法等によってリスク評価の内容が異なる可能性があります。また、かかる報告書は、専門家が調査した結果を記載したものにすぎず、土壌汚染が存在しないことを保証又は約束するものではありません。
建物エンジニアリング・レポートについても、建物の状況に関して専門家が調査した結果を記載したものにすぎず、不動産に欠陥、瑕疵その他契約不適合が存在しないことを保証又は約束するものではありません。
また、不動産に関して算出されるPML値は、個々の専門家の分析に基づく予想値であり、損害の予想復旧費用の再調達価格に対する比率で示されますが、将来、地震が発生した場合、予想以上の多額の復旧費用が必要となる可能性があります。
(ロ)減損会計の適用に関するリスク
固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 平成15年10月31日)が、2005年4月1日以後開始する事業年度より強制適用されることになったことに伴い、本投資法人においても第1期営業期間より減損会計が適用されています。減損会計とは、主として土地・建物等の事業用不動産について、収益性の低下により投資額を回収する見込みが立たなくなった場合に、一定の条件のもとで回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理のことをいいます。
減損会計の適用に伴い、地価の動向及び運用不動産の収益状況等によっては、会計上減損損失が発生し、本投資法人の業績は悪影響を受ける可能性があり、また、税務上は当該不動産の売却まで損金を認識することができない(税務上の評価損の損金算入要件を満たした場合や減損損失の額のうち税務上の減価償却費相当額を除きます。)ため、税務と会計の齟齬が発生することとなり、税務上のコストが増加する可能性があります。なお、2015年4月1日以後開始事業年度からは、減損損失に関し、一時差異等調整引当額を引き当て、利益超過配当を行うことで、追加的な税負担を回避することが可能となっていますが、利益超過配当を常に実施できるとは限らず、追加的な税負担を回避できることが約束されているものではありません。
(ハ)匿名組合出資持分への投資に関するリスク
本投資法人はその規約に基づき、不動産に関する匿名組合出資持分への投資を行うことがあります。本投資法人が出資する匿名組合では、本投資法人の出資金を営業者が不動産等に投資しますが、当該不動産等に係る収益が悪化した場合や当該不動産等の価値が下落した場合等には、本投資法人が匿名組合員として得られる分配金や元本の償還金額等が減少し、その結果本投資法人が営業者に出資した金額を回収できない等の損害を被る可能性があります。また、匿名組合出資持分については契約上譲渡が禁止若しくは制限されていることがあり、又は確立された流通市場が存在しないため、その流動性が低く、本投資法人が譲渡を意図しても、適切な時期及び価格で譲渡することが困難となる可能性があります。また、匿名組合出資持分への投資は、営業者が投資した不動産等の取得に係る優先交渉権を得ることを目的として行われることがありますが、かかる優先交渉権により企図する不動産等を取得できる保証はありません。
(ニ)投資主優待制度に関するリスク
本投資法人は、現在の法令、税務の取扱い、優待の内容及び利用状況の推定等に基づくスポンサーとの合意に基づき、投資主優待制度を導入しています。しかし、これらの前提条件の変更、投資主優待制度の提供主体であるいちご株式会社の意向その他の理由により、投資主優待制度の内容等が将来に向けて変更され、または実施が停止される可能性があります。
(ホ)感染症の拡大等に関するリスク
感染症の発生・拡大により、投資対象不動産の収益が悪化し、本投資法人が損失を被るおそれがあります。新型コロナウイルス感染症の拡大の影響によるテナントの売上げの大幅な減少等に伴い、テナントによる賃料減額請求や賃料支払いの繰延の請求が行われたり、賃料支払いが滞ったりする可能性があるほか、テナント退去による空室リスクが顕在化する可能性があります。また、影響が長期化する場合には、テナントの売上げやオフィスビルの賃貸需要等に長期的な悪影響が生じるおそれもあります。その結果、賃料の減額を余儀なくされたり、空室率が上昇し、本投資法人の収益が悪影響を受ける可能性があります。
(2)投資リスクに対する管理体制
① 本投資法人の管理体制
本投資法人は投信法に基づいて設立され、執行役員1名、監督役員2名により構成される役員会により運営されています。役員会は、法令で定められた事項の審議・承認を行うとともに、資産の運用やそのリスクの状況について報告を受けることとしています。この報告を通じて、本資産運用会社及びその利害関係者から独立した地位にある監督役員は、各種リスク情報を的確に入手し、執行役員の業務執行状況を監視すること等により、投資リスクを含む各種リスクを管理します。
また、利害関係者との不動産等の売買取引を行う場合には、本資産運用会社のリスク・コンプライアンス委員会承認の後に投資法人役員会に付議することとし、利益相反等に係るリスクに対し一層厳格な管理体制を敷いているほか、内部者取引管理規程を定めて役員による本投資法人の発行する特定有価証券等の売買を禁止し、インサイダー取引の防止に努めています。
② 本資産運用会社の管理体制
本資産運用会社は、前記のようなリスクの存在及びそのリスク量を十分に把握するよう努めており、それらのリスクを回避する手段を以下のように構築し、厳格なルールに則り運用資産への投資及び運用を行っています。
(イ)本資産運用会社は、「リスク管理規程」を策定し、リスク管理に関する基本方針及び態勢を定めています。「リスク管理規程」では、管理すべき主要なリスクを、外的要因に関するリスク、取引先に起因するリスク、不動産に固有のリスク、業務に起因するリスク、人的・組織的な事由に起因するリスク、固有リスクに分類した上で、リスクの管理方法やリスク顕在時の対応について定めています。
(ロ)本資産運用会社は、「運用ガイドライン」、「資産運用管理規程(不動産投資法人運用業務)」、「利害関係者取引規程」、「内部情報管理規程」、「コンプライアンス規程」その他各種の事務規程を策定し、当該規程を遵守することで、リスクの適切なコントロールに努めています。
a.運用ガイドライン等
本資産運用会社は、本投資法人の規約に定める資産運用の対象及び方針を踏まえた上で、基本方針、投資対象、取得方針、リーシング方針、管理方針、修繕及び資本的支出に関する基本方針、付保方針、ポートフォリオの見直し・売却方針及び財務方針等について定めた「運用ガイドライン」、資産運用及び資金調達に関する各種計画の内容及び策定方法並びに各種計画に基づいた資産運用及び資金調達等の実施手続について定めた「資産運用管理規程(不動産投資法人運用業務)」並びに本投資法人と利益相反のおそれのある当事者間での取引等について行為基準、手続について定めた「利害関係者取引規程」を遵守することにより本投資法人の運用の対象となる不動産等の投資リスクの管理に努めています。詳細については、前記「2 投資方針」をご参照下さい。
b.内部情報管理規程
本資産運用会社は、本資産運用会社の役職員によるインサイダー取引について、役職員がその業務に関して取得した未公表の重要事実の管理及び役職員の服務等について定めた「内部情報管理規程」を遵守することにより、その未然防止に努めています。
c.コンプライアンス関連規程
本資産運用会社は、コンプライアンスを「当社に関連するあらゆる市場ルール、法令等を厳格に遵守することはもとより、社会規範を十分にわきまえ誠実かつ公正な企業活動を全うすること」とコンプライアンス規程で定義した上で、「コンプライアンス・マニュアル」及び「コンプライアンス・プログラム」を定め、コンプライアンスに関する適切な運営体制を確立し、本資産運用会社の役職員は当該各種規程を遵守することにより、投資リスクの管理に努めています。
d.その他
本資産運用会社は、内部監査の方針、内部監査の内容及び監査の方法に関し、「内部監査規程」を定め、当該業務の遂行状況を定期的に監査することで、不正、誤謬の発見及び未然防止、業務活動の改善向上等を図り、投資運用業務の円滑かつ効果的な運営が可能となるよう努めています。