有価証券報告書-第76期(平成28年6月1日-平成29年5月31日)

【提出】
2017/08/29 14:57
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111項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度(平成28年6月1日から平成29年5月31日まで)における世界経済は、米国では、雇用回復を背景に住宅投資、個人消費が堅調に推移し、拡大基調が継続しました。欧州では、英国のEU離脱選択による金融市場の一時的な混乱はありましたが、堅調な景気回復が維持されました。新興国経済においては、中国では景気対策の効果などにより持ち直しの動きに転じましたが、インドでは高額紙幣の廃止の影響などによる減速が見られ、ブラジルでは底打ちの兆しが出てきたもののマイナス成長を脱するには至りませんでした。わが国経済は、個人所得、企業収益の回復を背景に、全体的には緩やかな回復基調が続きました。
当種苗業界は、国内需要は頭打ちの状況にありますが、海外におきましては、新興国を中心に、野菜種子、花種子の需要は拡大を続けております。
このような状況のなか、当社グループの国内卸売事業は、野菜種子の売上が好調に推移した結果、前期比増収となりました。海外卸売事業につきましては、野菜種子売上が大幅に増加し、花種子の売上も増加したことから前期比大幅な増収となりました。一方、小売事業は、不採算商品の削減を進めたことから、売上は前期比大幅な減収となりましたが、業務コストの圧縮にも努めたことから、セグメントの営業損益は改善いたしました。
当社グループの当連結会計年度における業績は、売上高は618億44百万円(前期比30億70百万円、5.2%増)となりました。営業利益は、利益率の高い種子の売上増加が売上総利益を押し上げた結果、77億2百万円(前期比3億85百万円、5.3%増)となりました。また経常利益は、為替差損が減少したことなどから営業外収支が前期比改善し、82億50百万円(前期比6億95百万円、9.2%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益も、61億12百万円(前期比8億96百万円、17.2%増)と増収増益となり、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、昨年度に続き過去最高益を更新しました。
セグメント別の業績の概要は次のとおりです。
①国内卸売事業
野菜種子の売上が好調に推移した結果、前期比増収となりました。野菜種子では、ブロッコリー、ネギ、レタスなどが、大幅に売上を伸ばしました。花種子は、市況の停滞による作付減が響き、微減となりました。資材は、原油高騰及び鉄鋼板の値上げによる農業用パイプ、ハウス部材等の駆け込み需要等により、微増となりました。
これらの結果、売上高は、前期比3億42百万円(同2.1%)増の167億7百万円となり、営業利益は前期比31百万円(同0.6%)減の52億96百万円となりました。
②海外卸売事業
地域別の状況をみますと、アジアでは、ブロッコリー、ホウレンソウ、トルコギキョウ、ヒマワリなどが大きく伸びたことから、前期比増収となりました。北米につきましては、ブロッコリー、トマト、ニンジン、ホウレンソウ、キャベツ、ビート、メロンなどの野菜種子が好調に推移したことから、前期比大幅な増収となりました。欧州では、ブロッコリー、ホウレンソウ、メロン、トルコギキョウなどが伸び、前期比増収となりました。南米につきましては、為替が円安へ進行したことに加え、ブロッコリー、トマト、カボチャ、ペッパー、メロン、レタスなどの野菜種子が好調に推移したことから、前期比大幅な増収となりました。
品目別にみてみますと、野菜種子ではブロッコリー、トマト、カボチャ、ホウレンソウ、メロンなどが売上を大きく伸ばし、野菜種子全体で前期比大幅な増収となりました。花種子につきましても、トルコギキョウやヒマワリなどの売上が大きく伸びたことなどから、前期比増収となりました。
これらの結果、売上高は、前期比32億24百万円(同10.1%)増の352億99百万円となり、営業利益は、前期比1億94百万円(同1.9%)増の103億69百万円になり、増収増益となりました。
③小売事業
ホームガーデン分野は、夏から秋にかけての天候不順の影響や資材の販売不振、また、前期から引き続き、不採算商品の削減を行っていることにより、売上高は前期比大幅な減収となりました。一方、利益面では、不採算商品の削減を進めたことに加え、業務コストの圧縮にも努めた結果、大きく改善いたしました。
通信販売分野では、サカタ友の会の新制度(Web会員制度)への移行が完了しました。印刷物として刊行していた紙媒体の「園芸通信」を電子媒体へ切り替えるなどにより経費を圧縮することができました。しかしながら、秋の長雨等の天候不順の影響もあり、苗・球根を中心に売上が伸びず、減収となりました。
ガーデンセンターでは、イベントとセール開催の頻度を増やしたことにより、種子と植物の売行きは好調でしたが、ノベルティ商品の販売不調が大きかったために減収となりました。
これらの結果、売上高は、前期比10億85百万円(同11.7%)減の82億21百万円となった一方、営業損益は黒字化し、営業利益は65百万円(前期は2億90百万円の営業損失)となりました。
④その他事業
造園緑花分野は、民間・公共の大型工事完工及び維持管理業務の増加により、前期比大幅な増収増益となりました。
これらの結果、売上高は前期比5億89百万円(同57.4%)増の16億15百万円となり、営業利益は53百万円(同542.9%)増の63百万円となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末比26億37百万円増加し、141億34百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は76億13百万円(前期は得られた資金43億84百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益83億18百万円、減価償却費18億64百万円、仕入債務の増加による資金の増加21億46百万円、たな卸資産の増加による資金の減少20億86百万円、法人税等の支払額21億33百万円などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって支出した資金は29億1百万円(前期は支出した資金34億30百万円)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出25億52百万円、定期預金の払戻による収入18億20百万円、有形固定資産の取得による支出20億93百万円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって支出した資金は20億16百万円(前期は得られた資金3億35百万円)となりました。これは主に、短期借入金の純減額9億92百万円、長期借入れによる収入3億23百万円、配当金の支払額11億26百万円などによるものです。