有価証券報告書-第106期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/25 13:18
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155項目
中長期的には、当社および当社グループを取り巻く経営環境は、気候変動による資源アクセス確保への影響や人口増加による食料供給不足のおそれがあり、環境負荷低減への積極的な取組み・持続可能な資源の確保が重要な経営課題と認識しています。また、新型コロナウイルスに代表される社会環境に甚大なインパクトを与える事象は、消費者の生活習慣や意識に大きな変化をもたらし、「食」に対する健康意識の高まりや「食」の持つ様々な機能への期待につながると考えております。
<経営の基本方針>経営の基本方針「水産資源の持続的利用と地球環境の保全に配慮し、水産物をはじめとした資源から、多様な価値を創造し続け、世界の人々のいきいきとした生活と希望ある未来に貢献する。」を実現するため、2016年に「CSR行動宣言」を制定しました。この方針と宣言に基づき、独自の技術を活かし、持続可能な水産資源から世界の人々に健康をお届けしてまいります。
<中期経営計画「MVIP+(プラス)2020」の総括>このような経営環境の中で、当社および当社グループは、中期経営計画「MVIP+(プラス)2020」(2018年度~2020年度)を掲げ、持続可能な水産資源から世界の人々を健康にすることを目指し、海洋環境への負荷を低減する養殖事業の拡大・技術革新など下記戦略を展開してまいりました。
KPI
2018年度実績2019年度実績2020年度実績中計当初目標
売上高7,121億円6,900億円6,564億円7,560億円
営業利益216億円228億円180億円290億円
経常利益253億円258億円227億円320億円
当期純利益153億円147億円144億円220億円
ROA3.5%3.3%3.2%4.5%

(参考)ROE10.8%9.9%9.0%12.0%

※中計当初目標は中期経営計画発表時の2020年度目標値
※算出に用いた為替レート:USD 110円 EUR 135円
※ROA={「当期純利益」+「支払利息」×(1-実効税率)}/{(前期末「資産合計」+当期末「資産合計」)÷2}
主要戦略の評価
主要戦略評価
(ⅰ)持続可能な水産資源の利用と調達の推進調達した水産物の資源状況の実態調査を定期的に行い、「2030年までにニッスイグループの調達する水産物について持続性が確認されている」状態を目指しています。現在「2019年に調達した水産物」について、2020年に調査を実施しており、2021年に発表予定です。
持続的な漁業・養殖事業の実現に向け、水産エコラベル認証の取得を進めています。漁業ではメルルーサ、養殖では鮭鱒類(トラウト、ギンザケ、アトラン)とぶりで取得しており、今後も拡大する予定です。
(ⅱ)資源の最大活用と製品ロスの最小化を目指し、動植物性残渣の削減や賞味期限延長などの検討フードロス対応として賞味期限延長や動植物性残渣の削減などの検討を進めています。
商品の流通過程での廃棄の抑制を図るため、2019年7月1日生産分より缶詰の賞味期限表示を「年月日」から「年月」に変更しました。また、ロングセラーのおさかなのソーセージの賞味期限を120日から150日に延長しました。
(ⅲ)水産資源などの素材がもつ機能を活かした、健康に寄与する医薬原料や食品の拡大「タンパク質も選ぶ時代へ」として、質の良いタンパク質であるスケソウダラすりみにフォーカスした「速筋タンパク」を訴求した商品の開発、販売を進めています。
(ⅳ)ライフスタイルの変化に対応した事業への構造転換グローバルでライフスタイルの多様な変化に対応する商品の拡大・強化を進めており、調理の手間を軽減できる「時短商品」や「キット商品」など中食市場への対応を強化し、即食・簡便で美味しい食品を提供しております。欧州では冷凍品に比べ短時間で簡便に調理可能でフレッシュ感のあるチルド品の需要が伸びており、今後も販路を拡大してまいります。
また、肥満や生活習慣病のリスク低減などの健康志向を背景とした、肉・魚を含まない食品の需要に対応したベジタル製品・代替肉製品の展開も進めております。今後は、欧州以外のエリアへの展開も検討してまいります。
(ⅴ)海外展開の加速欧米・アジアにおいて生産拠点の拡大や出資、生産性改善投資を行いました。特に欧州ではフランス・イギリスにおいて水産物の調達・加工・販売機能を強化、ドイツ向けにチルド商品の販売もスタートしました。今後更に拡販に向けた生産機能の拡張を行っていく予定です。
医薬品原料となる高純度EPAの海外展開の準備を進めておりますが、アメリカへの輸出許可がコロナ禍の影響を受け進まなかったことにより実現に至りませんでした。実現に向けて注力してまいります。
(ⅵ)水産資源の持続可能性につながる研究開発の更なる強化養殖事業の高度化・拡大に向けて、国内ではバナメイエビ・マサバの陸上養殖試験、岩手県大槌町においてサーモン養殖事業化試験を進めています。また、銀鮭では健康でより肉質の良い養殖魚を開発するため、親魚の育成、成長性改善を図るための選抜育種、発眼卵の生産を行う採卵センターを建設しました。
海外ではオセアニアのエビ養殖会社や欧州のサケ閉鎖循環式養殖事業への資本参加を行いました。
この他、沖合養殖の可能性模索、大型生簀の技術開発、AI・IoTを活用したより先進的な養殖生産技術を追求していきます。
(ⅶ)働き方改革や健康増進支援策等を通じた健康経営の推進「健康経営銘柄」に2019年から3年連続で選定されました。事業の柱である魚やEPAに着目した従業員の健康づくりと休暇取得や労働時間の適正化の推進が評価されています。
2021年には「30% Club Japan(サーティパーセントクラブ・ジャパン)」に加盟しました。ダイバーシティへの取組みも本格化させていきます。
(ⅷ)コーポレート・ガバナンスの強化取締役会は3分の1を社外取締役とし、女性取締役も1名登用しました。役員報酬については、社外取締役を委員長とする報酬委員会を設置し、中長期の業績に連動する株式報酬制度「株式給付信託(BBT)」も導入しました。
また、取締役会の実効性向上と意思決定の迅速化を図るため、社内規程の改定等を実施しました。併せて、グループ・ガバナンスの体制強化を意図し、グループ各社の規程の改定・整備を実施、モニタリング強化のための体制の構築にも着手しました。

事業を通じ社会課題への取組みを強化するなど企業価値向上に努めてまいりましたが、中期経営計画最終年度である2020年度は新型コロナウイルスの影響もあり、売上高・各段階利益とも目標未達となりました。
この3年間の取組みは一定の成果を上げていますが、更なる企業価値向上に向けた取組みが必要と認識しております。
投資・財務戦略の評価
中期経営計画「MVIP+(プラス)2020」では株主還元について、長期的・総合的視野に立った成長投資とリスク対応力向上のバランスに配慮しつつ、配当性向を15%~20%にすることを目標に掲げており、自己資本は当中計期間の期首より318億円増の1,695億円、自己資本比率も28.6%から35.7%に改善しました。配当性向は20.5%となり目標を達成することができました。
設備投資は3年間で約900億円(うちM&A他で約100億円)を見込んでいました。海外の養殖会社への資本参加や日本での陸上養殖施設や採卵センターの建設、欧米・アジアの食品工場への投資、関西地区の物流施設の増設など、876億円の設備投資を実施しました。
<2021年度の取組み>新型コロナウイルスの収束が見通せず先行き不透明で、成長戦略のKEYである海外展開のための調査が難しいなど制限が続く状況ですが、2021年度は中長期ビジョン、ビジョン実現のための戦略をしっかり議論するとともに、2022年度からの次期中期経営計画につなげる年として体質強化に取組みます。
体質強化は「弱点を克服するとともに強みを伸ばし再成長のための基盤固め」と位置づけ、国内養殖事業・チルド事業の早急な立て直しに加え、外出自粛や在宅勤務の増加などによるライフスタイルやニーズの変化に対応した、美味しく健康に寄与する商品をグローバルに拡大・強化してまいります。具体的には欧米での生産機能の拡張、昨年稼働した新工場を軸としたアジアへの販路拡大など海外展開をさらに進めてまいります。また、医薬品原料の海外展開の早期実現、AI・IoTなどのデジタル技術を活用した養殖事業の高度化や生産性改善に取組んでまいります。
更に、各事業の垣根を越えた商品開発や新規事業、Eコマースなど新たな取組みを進めるとともに、これらの新しいアイデアを実現できる多様な人財が働きやすい環境作りを進めてまいります。
課題である国内養殖事業については、まぐろは人工種苗の縮小・畜養の拡大、銀鮭の育種などによる生産性向上、かんぱちは人工種苗の導入・飼料改善などコスト削減を急ぎ収益改善を図ります。チルド事業については売上減少に対応した人員調整など事業体制を見直すとともに、新規カテゴリーへの参入を図ります。
当社は、次の3つの重要課題(マテリアリティ)を定め、事業を通じて社会課題解決に取組んでいます。
「豊かな海を守り、持続可能な水産資源の利用と調達を推進する」
「安全・安心で健康的な生活に貢献する」
「社会課題に取り組む多様な人材が活躍できる企業を目指す」
2021年度は具体的な目標を明示し事業への落し込みを更に進めてまいります。
重点取組みテーマ取組み内容
持続可能な水産事業の構築に向けた取組み・水産資源の持続性を考慮した事業構築、調達
・水産物のトレーサビリティ確保の方法検討
CO2排出量削減に向けた取組み・CO2排出量削減に向けた具体的目標設定
・気候変動のリスクと機会抽出・情報開示
バリューチェーン全体の人権尊重に向けた取組み・人権尊重を推進する体制の構築、従業員の理解促進と意識向上
・人権デューデリジェンスの実施
ダイバーシティ推進に向けた取組み・女性活躍推進の具体的な目標設定

世界経済の正常化には時間を要すると考えられるため、リスクを一定程度織り込み2021年度の業績予想を下記のとおりとしています。なお「収益認識に関する会計基準」等を適用したことによる新基準と旧基準の差は主として売上高に見られ、2020年度売上高への影響は約△400億円となります。減少要因は販売費及び一般管理費としていたリベート等の顧客に支払われる対価を売上高から控除したことなどによります。
なお、新たな株主還元の方針につきましては、次期中期経営計画と合わせ検討しており、2021年度は前中期経営計画で掲げた配当性向15%~20%を継続いたします。
(単位:億円)
売上高営業利益経常利益親会社株主に
帰属する当期純利益
2021年度計画
(新基準)
6,420200230150
2020年度実績
(新基準)
6,150179226143
前期増減2692036
前期比104.4%111.1%101.5%104.2%

(注)2021年度の期首より「収益認識に関する会計基準」等を適用しております。 上記の2021年度計画及び2020年度実績は当該会計基準等を適用した金額となっております。
(注)上記の経営計画は本資料の発表日現在において入手可能な情報に基づき作成したものであり、 実際の業績は今後様々な要因によって異なる結果となる可能性があります。

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