訂正有価証券報告書-第109期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/07/28 11:29
【資料】
PDFをみる
【項目】
160項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、資源事業を社業の柱とし、社会のニーズに応じた良質な資源の安定供給を図ることにより、発展・拡大してまいりました。今後とも、資源の開発・安定供給に努めてまいります。
機械・環境事業につきましては、社会のニーズに応じた良質な商品を提供するとともに、事業フィールドの拡大を図ってまいります。さらに、不動産事業や再生可能エネルギー事業につきましても、総合資源会社としてグループの総合力を発揮し、持続的成長を実現することにより、株主、取引先及び地域社会に貢献してまいります。
(2) 第2次中期経営計画の進捗について
当社グループは、2021年度から2023年度の3ヶ年を対象とした第2次中期経営計画を策定し、2021年5月に公表しております。本計画期間は鳥形山鉱業所(石灰石)の第3立坑建設工事、八戸鉱山(石灰石)の新規鉱区開発、チリ共和国アルケロス銅鉱山開発といった将来の成長を見据えた大型投資の本格的実行期間となり、このような積極投資に耐えうる収益の確保と財務の健全性を維持しながら、国内外の需要動向、特に石灰石の主要納品先である鉄鋼メーカーの構造改革などに対応していくことを重要課題としております。
本計画におきましては、長期ビジョン「資源の開発・安定供給を通じて社会に貢献するとともに、総合資源会社としてグループの総合力を発揮し、持続的成長を実現する」のもと、基本方針として「大型投資を着実に実行し、持続的成長へ向けた資源の獲得を目指す」・「国内外の需要動向に対応した経営資源の配分を行う」を掲げ、これらを実行に移すとともに、事業活動とSDGsへの取り組みの両立を図ることを目指しております。
本計画期間における当期進捗の概要は以下のとおりであります。
① 大型投資の進捗
鳥形山鉱業所第3立坑建設工事は坑内滴水対策などで当初計画から約1年工期を延期し、2024年度の本格運用を目指し建設中であります。八戸鉱山新鉱区開発は2021年度に一部出鉱を開始しておりますが、開発工事が全て完了し本格操業となるのは次期中期経営計画期間を予定しております。アルケロス銅鉱山は環境許認可手続きに想定以上の時間が取られたことや、コロナ禍での手続き停止により開発の機関決定が遅れておりましたが、本年4月の取締役会にて経済合理性を確認し開発移行を決定、工事に着手しております。
② 各セグメントの進捗
イ.資源事業(鉱石部門)
安定供給体制の再構築につきましては、2021年1月の鳥形山鉱業所の長距離ベルトコンベア火災事故を受け、監視体制の強化や設備の耐熱化を図るとともに、改めて操業上のリスクや出荷停止時における臨海鉱業所のバックアップ体制の再評価、見直しを行っております。
輸出拡大につきましては、現向先での拡販及び安定供給体制の強みを生かした複数年契約の締結を推進し、自社海外拠点や外部企業による情報を統合、分析のうえ海外石灰石需要の掘り起こしを行い、新規取引先の獲得を目指しております。
その他、鉱物資源の価値向上につきましては、取引先の理解を得ながら進めており、また、AI・ITの導入についても、プラントの安定操業や品質確保を目的とした点検、監視業務の高度化を図るべく導入試験を重ねており、搬送ベルト上の石灰石への異物やオーバーサイズ混入の検出に、AIを導入したシステムを稼働させる予定であります。
ロ.資源事業(金属部門)
鉱山事業と製錬事業の取扱い数量をバランスさせ、外部要因に左右されない収益構造を確立すべく既存銅鉱山の鉱量増大及び新規銅鉱山の開発を目指し、チリ共和国を中心に調査を実施しております。アタカマ銅鉱山においては、周辺鉱区からの鉱量組入れを実施、また、新規開発については、本年4月にアルケロス銅鉱山の開発着手を決定しております。製錬事業におけるコスト低減を最優先課題とした業績改善につきましては、製錬会社の出資各社と協調しながら着実に進めておりますが、電力、資材調達価格の高騰などで厳しい事業環境が続いており、引き続き製錬所の安定操業と適正な設備投資水準などを検討してまいります。
ハ.機械・環境事業
水処理剤の主力製品においては、委託製造先の生産能力の増強やストックポイントの整備など、今後の需要増を見込んだ生産・物流体制の強化に取り組んでおります。次世代型水処理剤の開発と新規需要開拓につきましては、2020年度に試験販売を開始し新規取引先を開拓中であります。また、台湾・東南アジア圏での市場開拓につきましても、生産拠点の検討を行っております。
集じん機の海外展開につきましては、当社からエレメントを供給し現地合弁会社で完成品を製作のうえトンネル工事用にレンタルするなど、市場開拓に取り組んでおります。また、エレメント製造の価格競争力強化を目的として、自動化や新しい焼結方法の研究などを進めております。
③ 財務指標
中長期目標としてROA(総資本営業利益率)7%以上、自己資本比率60%以上を目指しております。本中期経営計画期間は、投資活動に伴い借入金など他人資本の増大が見込まれることから、本中期経営計画最終年度である2023年度の目標をROA4%以上、自己資本比率57.5%以上としております。
2022年度は大幅増益に加え、政策保有株式の処分を推進したことなどからROA6.7%、自己資本比率63.5%の実績となっております。
④ 利益計画
2022年度の連結営業利益は136億円となり、計画に対し46億円の大幅増益となりました。主な増益要因は資源事業(金属部門)におきまして、銅価上昇や円安進行など外部環境が好転したことにより、電気銅及びアタカマ銅鉱山の収益が大幅に改善し、45億円の増益となったことによるものであります。