有価証券報告書-第106期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
①財政状態及び経営成績の状況
当期の我が国経済は、緩やかな回復基調で推移したが、年度終盤には、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛などにより、個人消費が弱い動きとなり需要が落ち込んだほか、その影響が企業の生産活動や雇用情勢にも及ぶなど、厳しい状況となった。
建設業界においては、公共投資が底堅く推移し、民間設備投資もおおむね横ばいで推移した一方、技能労働者の不足により、経営環境に厳しさが残った。
このような景況下、当社グループは2017年度から2020年度までの4年間の中期経営計画を策定し、強い事業基盤の確立、更なる生産性向上、労働環境の改善と従業員の満足度向上を図るべく、事業活動を展開している。
ア)経営成績
当社グループの完成工事高は、前連結会計年度に比べ646億2千2百万円増加し、5,859億5百万円(前期比12.4%増)となった。完成工事総利益は前連結会計年度に比べ91億3千5百万円増加し、1,013億1千8百万円(前期比9.9%増)となった。期首手持工事の利益率低下や前期好採算工事完成の反動減等により完成工事総利益率は0.4ポイント低下したものの、完成工事高が増加したため、完成工事総利益は増加した。
営業利益は、前連結会計年度に比べ46億7千1百万円増加し、450億2千6百万円(前期比11.6%増)となった。販売費及び一般管理費が増加したものの、完成工事総利益が増加したため、営業利益は増加した。営業利益率は7.7%となっており、前連結会計年度と同率となった。
経常利益は、前連結会計年度に比べ42億3千6百万円増加し、467億2千7百万円(前期比10.0%増)となった。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ36億5千6百万円増加し、325億円(前期比12.7%増)となった。なお、特別利益として確定拠出年金制度への一部移行に伴う退職給付制度改定益16億3百万円、特別損失として株式の時価下落に伴う投資有価証券評価損9億7千8百万円を計上している。
完成工事高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益とも前連結会計年度を上回った。
イ)財政状態
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末と比べ213億4百万円増加し、4,168億円(前年度末比5.4%増)となった。増加の主な要因は、現金預金、預け金等が増加したことによる。
固定資産は、前連結会計年度末と比べ10億8千8百万円減少し、2,374億7千9百万円(前年度末比0.5%減)となった。有形固定資産は、20億1百万円増加し、995億8千4百万円となった。事業所を新築したことが主な要因である。投資その他の資産は、前連結会計年度末に比べ58億7千5百万円減少し、1,327億5千8百万円となった。株式の時価下落に伴う投資有価証券の減少等が主な要因である。
これらの結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ202億1千5百万円増加し、6,542億7千9百万円(前年度末比3.2%増)となった。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末と比べ154億4千7百万円増加し、1,695億7千5百万円(前年度末比10.0%増)となった。増加の主な要因は、支払手形・工事未払金等が増加したことによる。
固定負債は、前連結会計年度末と比べ92億1百万円減少し、204億6千9百万円(前年度末比31.0%減)となった。確定拠出年金制度への一部移行に伴う退職給付に係る負債の減少が主な要因である。
これらの結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ62億4千5百万円増加し、1,900億4千4百万円(前年度末比3.4%増)となった。
(純資産)
株主資本は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加、株主配当及び自己株式取得による減少等の結果、前連結会計年度末と比べ169億7千万円増加し、4,346億1千7百万円となった。その他の包括利益累計額は、確定拠出年金制度への一部移行に伴う退職給付に係る調整累計額の増加があったものの、株価下落によるその他有価証券評価差額金の減少等により、前連結会計年度末と比べ31億4千9百万円減少し、283億1千6百万円となった。
また、非支配株主持分は13億1百万円となった。
これらの結果、純資産合計は、前連結会計年度末に比べ139億6千9百万円増加し、4,642億3千5百万円(前年度末比3.1%増)となった。なお、自己資本比率は、前連結会計年度末と同率の70.8%となった。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払等があったものの、税金等調整前当期純利益の計上等により、467億3千2百万円のプラス(前期は239億3千1百万円のプラス)となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産や投資有価証券の取得、預け金の預入等により、289億3千4百万円のマイナス(前期は116億8百万円のマイナス)となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得や配当金の支払等により、157億6千1百万円のマイナス(前期は71億5千8百万円のマイナス)となった。
以上の結果、現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より18億1千7百万円増加(前期は57億1千2百万円増加)し、1,490億8百万円となった。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める設備工事業(建設事業)では生産実績を定義することが困難であり、設備工事業(建設事業)においては請負形態をとっているため販売実績という定義は実態にそぐわない。
なお、当社グループにおける受注及び販売の実績の大部分を提出会社が占めているため、提出会社個別の状況を参考のため記載すると、次のとおりである。
設備工事業(建設事業)における受注工事高及び完成工事高の状況
a.受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
| 期別 | 工事種別 | 前期繰越 工事高 (百万円) | 当期受注 工事高 (百万円) | 計 (百万円) | 当期完成 工事高 (百万円) | 次期繰越 工事高 (百万円) | |||
| 第105期 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 配電工事 | 7,183 | 61,394 | 68,577 | 59,355 | 9,222 | |||
| 一般電気工事 | 266,857 | 325,909 | 592,767 | 301,741 | 291,025 | ||||
| 情報通信工事 | 8,448 | 47,679 | 56,128 | 42,529 | 13,599 | ||||
| 環境関連工事 | 22,210 | 33,445 | 55,655 | 30,036 | 25,619 | ||||
| 電力その他工事 | 24,444 | 35,980 | 60,425 | 23,099 | 37,325 | ||||
| 計 | 329,145 | 504,409 | 833,555 | 456,762 | 376,792 | ||||
| 第106期 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 配電工事 | 9,222 | 63,371 | 72,594 | 62,993 | 9,600 | |||
| 一般電気工事 | 291,025 | 323,559 | 614,585 | 341,680 | 272,904 | ||||
| 情報通信工事 | 13,599 | 52,441 | 66,040 | 50,399 | 15,640 | ||||
| 環境関連工事 | 25,619 | 35,318 | 60,937 | 34,551 | 26,386 | ||||
| 電力その他工事 | 37,325 | 26,234 | 63,559 | 26,570 | 36,989 | ||||
| 計 | 376,792 | 500,924 | 877,717 | 516,196 | 361,521 | ||||
(注)1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含む。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれる。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。
b.受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争並びに関西電力株式会社との配電関係工事請負契約によるものに大別される。
| 期別 | 特命 | 競争 | 請負契約 | 計 | |||||
| (百万円) | (%) | (百万円) | (%) | (百万円) | (%) | (百万円) | (%) | ||
| 第105期 | (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 188,872 | 37.4 | 257,264 | 51.0 | 58,272 | 11.6 | 504,409 | 100.0 |
| 第106期 | (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 193,218 | 38.6 | 246,329 | 49.2 | 61,377 | 12.3 | 500,924 | 100.0 |
c.完成工事高
| 期別 | 得意先 | 完成工事高 | ||
| (百万円) | (%) | |||
| 第105期 | (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 関西電力株式会社 | 65,247 | 14.3 |
| 官公庁 | 16,962 | 3.7 | ||
| 一般民間会社 | 374,551 | 82.0 | ||
| 計 | 456,762 | 100.0 | ||
| 第106期 | (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 関西電力株式会社 | 68,971 | 13.3 |
| 官公庁 | 20,466 | 4.0 | ||
| 一般民間会社 | 426,758 | 82.7 | ||
| 計 | 516,196 | 100.0 | ||
(注) 第105期及び第106期の完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先は、関西電力株式会社である。
〇第105期完成工事のうち5億円以上の主なもの
| 注文者 | 工事名 | 工事場所 |
| 環境省皇居外苑管理事務所 | 平成29年度皇居外苑照明設備等整備工事(正門前広場等) | 東京都 |
| 東急建設㈱・㈱大林組共同企業体 | 渋谷駅南街区プロジェクト新築電気設備工事(ホテル・高層オフィスエリア) | 東京都 |
| 関西電力㈱ | 野江京橋線ケーブル取替に伴う管路新設工事 | 大阪府 |
| ㈱大林組・㈱竹中工務店・南海辰村建設㈱共同企業体 | (仮称)新南海会館建設に伴う電気設備工事 | 大阪府 |
| ㈱竹中工務店 | 国立循環器病研究センター移転建替に伴う電気設備工事 | 大阪府 |
〇第106期完成工事のうち5億円以上の主なもの
| 注文者 | 工事名 | 工事場所 |
| 清水建設㈱ | 有明体操競技場新築電気設備工事 | 東京都 |
| 西松建設㈱ | 東京国際空港第2ゾーン計画(新築電気設備工事) | 東京都 |
| 東洋エンジニアリング㈱ | 美並メガソーラー発電所建設工事自営送電線工事 | 岐阜県 |
| 阪神高速道路㈱ | 大和川線照明設備工事 | 大阪府 |
| 五洋建設㈱ | ヨドバシ梅田一体開発に伴う電気設備工事 | 大阪府 |
d.手持工事高(2020年3月31日現在)
| 得意先 | 手持工事高 | |
| (百万円) | (%) | |
| 関西電力株式会社 | 24,022 | 6.6 |
| 官公庁 | 22,674 | 6.3 |
| 一般民間会社 | 314,824 | 87.1 |
| 計 | 361,521 | 100.0 |
〇手持工事のうち5億円以上の主なもの
| 注文者 | 工事名 | 工事場所 | 完成予定年月 |
| 清水建設㈱ | (仮称)TGMM芝浦プロジェクト新築電気設備工事(B棟Ⅱ期) | 東京都 | 2020年7月 |
| 鹿島建設㈱ | 都市再生ステップアッププロジェクト(竹芝地区)業務棟新築電気設備工事 | 東京都 | 2021年1月 |
| ㈱大林組 | 大阪国際空港ターミナルビル改修に伴う電気設備工事 | 大阪府 | 2020年8月 |
| 法務省大臣官房 | 大阪拘置所新営(電気設備)第2期工事 | 大阪府 | 2021年1月 |
| 関西電力㈱ | 新神戸線増強工事ならびに除却工事(1工区) | 兵庫県 | 2020年11月 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであり、完成工事高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益とも前連結会計年度を上回った。一般電気工事については国内建設市場の好況感が持続する中、豊富な手持工事が順調に進捗したこと、配電工事については関西電力からの計画改修工事が堅調に付託されたこと等に加え、現場を中心とした原価低減努力、更なる生産性向上、業務効率化を推進した結果、当連結会計年度の経営成績は堅調に推移したと認識している。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであり、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載している各要因が、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があると認識している。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本政策の基本方針は、営業利益拡大により強固な財務体質を維持しつつ、資本の有効利用を踏まえ、成長部門への投資を機動的に実行していく等、積極的な事業展開を図り、更なる株主価値の維持・向上を目指すことである。また、株主還元については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりである。
当社グループの資金需要のうち主なものは材料費、外注費等の施工に係る工事原価、販売費及び一般管理費等の営業経費である。また、投資を目的とした資金需要のうち主なものは設備投資等である。当連結会計年度の設備投資の総額は65億9千2百万円であり、その主なものは、当社京都支店の新築並びに土地、工事用車両及び機械・工具の購入等である。設備投資の予定は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであり、経営の合理化、施工の機械化などに伴い、事業所の改修、機械設備などの更新を計画している。また、既に予定している設備投資以外に、将来の持続的成長のための投資機会に対し機動的に対応していく。
株主還元について、当連結会計年度の年間配当金は1株当たり32円とし、配当総額は68億4千8百万円となった。また、「第4 提出会社の状況 2 自己株式の取得等の状況」に記載のとおり、2020年1月30日開催の取締役会において自己株式取得について決議し(取得期間:2020年2月3日~2021年1月29日、取得し得る株式の総数:12,000,000株(上限)、株式の取得価格の総額:200億円(上限))、当連結会計年度においては、5,510,900株、87億5千3百万円取得した。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主に自己資金及び営業活動によるキャッシュ・フローを基本としている。当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローは467億3千2百万円のプラスとなり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は1,490億8百万円となった。この現金及び現金同等物は主に普通預金、定期預金及び有価証券(譲渡性預金)である。
また、当連結会計年度末の株主資本は、4,346億1千7百万円となり、前連結会計年度末と比較し、169億7千万円増加した。自己資本比率については、前連結会計年度末と同率の70.8%となった。
以上のような資金及び資本の状況から、現時点において当社グループは、円滑に事業活動する上で必要な資金の流動性及び財務の健全性を確保していると認識している。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであり、中期経営計画の2020年度数値目標である「連結営業利益390億円」については2期連続、また、当期は「連結売上高5,300億円」についても、1期前倒しで達成するに至った。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、当社の報告セグメントは設備工事業(建設事業)のみであり、当社グループにおける受注及び販売の実績の大部分を提出会社が占めているため、参考として、提出会社個別の事業の状況について記載する。
(個別の完成工事高)
完成工事高は、前期より594億3千3百万円増加し5,161億9千6百万円(前期比13.0%増)となった。
得意先別は、関西電力が前期より37億2千4百万円増加し689億7千1百万円(前期比5.7%増)、関西電力グループが前期より16億4千7百万円増加し180億4千6百万円(前期比10.0%増)となり、一般得意先は前期より540億6千2百万円増加し4,291億7千8百万円(前期比14.4%増)となった。
工事種別は、配電工事が前期より36億3千8百万円増加し629億9千3百万円(前期比6.1%増)、一般電気工事が前期より399億3千9百万円増加し3,416億8千万円(前期比13.2%増)、情報通信工事が前期より78億7千万円増加し503億9千9百万円(前期比18.5%増)、環境関連工事が前期より45億1千5百万円増加し345億5千1百万円(前期比15.0%増)、電力その他工事が前期より34億7千万円増加し265億7千万円(前期比15.0%増)となった。配電工事の増加の主な要因は、関西電力の工事量が増加したこと、一般電気工事の増加の主な要因は、事務所ビルや商業・娯楽施設等が増加したこと、情報通信工事の増加の主な要因は、携帯電話関連やCATV設備等が増加したこと、環境関連工事の増加の主な要因は、商業・娯楽施設等が増加したこと、電力その他工事の増加の主な要因は、架空送電工事や太陽光発電所工事等が増加したことによる。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されている。この連結財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりである。
なお、当社グループは収益及び費用の計上基準として、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準を適用していることから、完成工事高及び完成工事原価の計上基準を、特に重要な見積りを伴う会計方針として認識している。また、工事原価総額等及び工事収益総額の合理的な見積りをもとに計上される工事損失引当金の計上基準についても、特に重要な見積りを伴う会計方針として認識している。
連結財務諸表の作成においては、資産・負債等や収益・費用の適正な計上を行うため、会計上の見積りや前提が必要となるが、経営者は、過去の実績又は各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施している。ただし、見積りには不確実性が存在するため、実際の結果は見積りと異なる場合がある。また、新型コロナウイルス感染症が会計上の見積りに与える影響について、合理的に見積もることは困難であるが、当連結会計年度末時点で入手可能な情報を基に検証等を実施している。