有価証券報告書-第98期(2022/04/01-2023/03/31)
低炭素経済へ「移行」するリスク | ※時間軸(短:2025年、中:2030年、長:2050年) | ||||
リスクの種類 | 項目 | 考えられる影響 | 影 響 度 | 時 間 軸 | 当社グループとしての対応 |
政策・ 法規制 | 炭素税導入 | ・事業活動によるCO2排出への課税 ・炭素価格導入により建材調達コスト増、それに伴う採算悪化、価格競争力の低下 | 大 | 短 ・ 中 ・ 長 | ・企業活動における省エネの推進 ・製造時のCO2排出量を抑制した建設資材(低炭素資材)の採用による調達コスト低減、VE/CD提案や設備提案 ・新素材開発情報の定期収集と社内展開 ・車両HV・EV化、再エネ由来の電気を購入することによるGHG排出削減 |
省エネ政策の強化 | ・GHG排出やエネルギー使用に関する法規制強化に伴う対応コストの増加 ・脱炭素社会に向けた産業構造や設備投資需要の変化 ・法規制対応への遅れや対応漏れによる法令違反 | 大 | 短 ・ 中 ・ 長 | ・再エネ・省エネに関する新技術・新工法の開発 ・顧客への積極的提案・事業活動における関連法規情報の早期収集 | |
情報開示義務 | ・情報開示義務拡大に伴う対応コスト増 | 中 | 短 | ・開示義務内容の早期把握と適切な情報開示 | |
技術 | 再エネ・省エネに関する新技術の普及 | ・関連技術への対応が遅れることで、顧客からの信頼や競争力が低下し、受注機会が減少する | 大 | 短 ・ 中 ・ 長 | ・再エネ・省エネに関する新技術・新工法の開発 ・新技術の社内教育と顧客への積極的提案 |
市場 | 顧客の選好変化 | ・温室効果ガスの削減、ZEB化等の顧客ニーズへの対応不備による受注機会の喪失 ・環境負荷低減志向を背景とした競争激化による受注機会の喪失 | 大 | 短 ・ 中 ・ 長 | ・市場動向とニーズの早期把握及びそれらに対応するための新技術把握・開発や各種許認可取得推進 |
評判 | ステークホルダーからの要求変化 | ・顧客からのサステナブル経営に関する高レベルな要求に対応が遅れることによる受注機会の喪失 ・開示情報遅れや情報不足による、投資家からの企業評価低下 ・ステークホルダーからの要求を満たせず市場からの撤退を余儀なくされる | 大 | 短 ・ 中 ・ 長 | ・顧客要求の早期把握、適時的確な情報開示 ・環境関連課題への継続的な取り組みと、TCFD提言への対応をはじめとする適切な情報開示 |
気候変動による「物理的」変化に関するリスク | ※時間軸(短:2025年、中:2030年、長:2050年) | ||||
リスクの種類 | 項目 | 考えられる影響 | 影 響 度 | 時 間 軸 | 当社グループとしての対応 |
急性 | 自然災害の激甚化 | ・豪雨や台風の頻発・激甚化により、自社社屋や工事現場への損害発生、ライフラインの停止、関係者の被災、工事見合わせ等により、事業運営に伴うコストの増加、受注機会の損失 | 中 | 短 | ・当社事業継続確保に向けたBCP対応の強化 ・災害発生時に柔軟な対応ができる体制の維持(在宅勤務等) ・関係各所(協力会社、調達先、各事業者)との災害支援協力体制の準備 |
慢性 | 異常気象の深刻化 平均気温上昇 | ・建設現場の健康リスクが増大(熱中症や感染症等) ・作業効率低下、引渡し遅延、真夏の作業制限増加、対策コストの増加 ・設備(電気・機械)の周囲温度上昇による技術的トラブル増加 ・動力用水光熱費等のコスト増 | 中 | 中 ・ 長 | ・健康管理に対する組織的な取り組み強化及び新技術商品の採用推進(リストアラーム、webカメラ等) ・DXによる品質、生産性向上と労働時間抑制の両立 ・他業界との包括的な省エネ技術開発 ・経費削減努力と自社の省エネルギー対策推進 ・新設建物のZEB化 |
気候変動緩和策・適応策による「機会」 | ※時間軸(短:2025年、中:2030年、長:2050年) | ||||
機会の 種類 | 項目 | 考えられる影響 | 影 響 度 | 時 間 軸 | 当社グループとしての対応 |
資源の効率性 | 効率性のよい建築物の普及 | ・省エネルギー、再生可能エネルギー、ZEB等への需要が拡大し、受注機会が増加する ・ZEBプランナー登録会社向け引合案件の増大 | 大 | 短 ・ 中 ・ 長 | ・再生可能エネルギー関連工事の営業・施工体制と技術力の強化 ・ZEB化の事業性と快適性の実現に向けた技術開発および提案力の強化 ・会社としてZEBプランナー登録 |
エネルギー源 | 再生エネルギーの利用拡大 | ・再生可能エネルギー関連工事需要の増加 ・新技術開発・導入による引き合いや受注の増加 | 大 | 短 ・ 中 ・ 長 | ・再生可能エネルギー関連工事対応のため社内外体制強化 |
製品/サービス | 低炭素適応商品/サービスの開発、拡大 | ・インフラ強靭化ニーズの増加、設備更新期の前倒しに伴う収益機会の増加(災害や暑熱に備える設備・製品サービス等) ・工事計画段階からの各種リスク低減技術提案等による顧客からの信頼向上、引き合いや受注の増加 ・センサ、IT等を活用した防災面での社会インフラモニタリングのニーズ増加 | 大 | 短 ・ 中 ・ 長 | ・再生可能エネルギー事業の積極的推進と施工実績を含めた情報発信(PVシステム、ペロブスカイト等) ・SF6ガスのリサイクル技術確立による新事業創出 ・顧客(新規・既存)からの情報収集によるニーズの発掘 ・気候変動に適応した製品・サービスを提供する営業体制の構築 ・防災、減災に関連するセンサーモニタリング(IoT)技術へのエンジニアリング技術強化 |
市場 | ・再生可能エネルギーの需要増加 ・災害に強い建物・設備ニーズの拡大 ・持続可能な都市や地域の形成 ・ステークホルダーの評価 | ・再生可能エネルギーに関する設備や施設への需要が増加し、引き合い、受注機会が増加 ・インフラに関するソリューションや受注機会増加 ・脱炭素への取り組みや各種認定・認証の取得(ZEBプランナー等)より、顧客からの信頼を獲得する ・ICT技術に基づく、働き方改革、ICTマネジメント等のソリューションサービスなどの需要・機会が拡大 | 大 | 短 ・ 中 ・ 長 | ・再生可能エネルギー関連工事の営業・施工体制と技術力の強化 ・新たな社会インフラに対応できる技術開発の促進、技術力の向上 |
投資家の投資判断の変化(ESG投資の拡大) | ・気候変動への取組とその内容を適切に開示することで企業価値の向上につながる | 中 | 短 | ・気候変動への継続的な取り組みと、TCFD提言への対応をはじめとする適切な情報開示 | |
強靭性(レジリエンス) | レジリエンス(強靭性)技術に対する需要の拡大 | ・レジリエンス対応サービスの需要増大 ・リニューアル需要の増加 ・計画時のBCP対応技術提案による顧客からの信頼向上 | 大 | 短 ・ 中 ・ 長 | ・顧客ニーズに迅速に対応する体制強化 |
⦅リスク管理⦆
当社グループでは、気候変動問題を経営上の重大な影響を及ぼすリスクの一つとして位置付け、「サステナビリティ委員会」において適切に管理しております。また、「サステナビリティ委員会」の下に「TCFD推進プロジェクト」を設置し、各部門が十分連携の上、気候変動に伴うリスクが当社に及ぼす影響を選別・評価し、対策を立案・推進しております。