有価証券報告書-第88期(2025/01/01-2025/12/31)
有報資料
当社グループは、持続的成長と新たなグループブランドの確立に向けて、顧客満足と収益力の向上に貢献する技術開発はもとより、未来のサステナブル社会の実現および社会課題解決を先導する新たなソリューションの創出を目指して研究開発に取り組んでいる。その際、社会から求められる技術の異分野領域への拡大、柔軟なアイデアの獲得を通じた技術力の向上について、オープンイノベーションの活用を推進している。また、国内外の研究開発を推進している機関と連携し、協業するための竹中オープンラボ機構を構築して活動を行っている。
重点的に取り組むべき領域として、建設・環境基盤技術、未来・先端、社会価値創造の3つに大別し、全社的に研究開発活動を遂行している。
当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は102億円余であり、このうち当社が取り組んだ主な研究開発事例は次のとおりである。
(建設事業)
(1)建設・環境基盤技術領域
①建設現場上空の風速・風向予測WEBアプリ「ソラビュー」を開発
レーザー観測とAI分析により風速・風向を予測するWEBアプリ「ソラビュー」を開発し、タワークレーン作業の安全管理に活用を開始した。本技術は、ドップラーライダーと気象台の観測データを機械学習したAIによって「風況予測モデル」を構築し、従来の地点観測では困難であった複数高度での風況予測を実現する。これにより、10~60分後や2~8時間後の詳細な風況予測が可能となり、建物による気流影響を考慮した作業計画立案や飛散防止対策を通じ、建設現場の安全管理の強化につなげる。
②ソイルセメントの配合割合を建設現場で短時間測定する技術「ソイルミエール®」を開発
建設現場で施工されるソイルセメント中に含まれる土・セメント・水の配合割合を建設現場内で約30分という短時間で測定可能な技術「ソイルミエール®」を開発した。これにより、従来、専門機関で1週間~1ヶ月要していた配合割合の測定時間が大幅に改善された。本技術は、ハンドヘルド型蛍光X線分析装置によるカルシウム量測定と小型装置での試料処理により実現しており、測定環境に左右されにくい安定した分析が可能となる。この結果、杭・地盤改良・流動化処理土等の目視不可能な地中工事における施工品質管理のさらなる向上が期待される。
③新築木造建築物の耐震性能向上技術「透明耐震壁」を開発
ガラスとアルミサッシにより新築木造建築物の地震等の揺れを低減させる「透明耐震壁」を開発し、北広島町豊平地域づくりセンターに初適用した。本技術は、新たに開発したアルミサッシ内部に地震時の変形を吸収する空間を設けることで、ガラスを損傷させることなく優れた抵抗力を発揮する。従来の合板壁や筋交いのような耐震要素を「透明耐震壁」に置き換えることで、透明性と開放感を兼ね備えた付加価値の高い空間を実現し、建築プランの自由度が向上する。適用事例では、大会議室周囲に透明耐震壁を採用することで、耐震性を確保しながら外部との一体感を高めた魅力的な空間を実現している。
④緑地の樹木配置を最適化するシミュレーション技術「Optree」を開発
建物外構の環境性能を向上させる新たな技術として、樹木の種類や配置を最適化することにより敷地内の緑地に良好な暑熱・風環境や緑豊かな景観を効率的にデザインするシミュレーション技術「Optree(オプツリー)」を開発し、「朝日生命国立社宅計画〈あさひの杜国立〉」に初適用した。「Optree」は、環境シミュレーションと最適化技術を組み合わせることで、敷地形状やコストなどのさまざまな制約条件のもと、環境性能の優れた案を効率的に見つけ出すことができる技術である。従来の設計手法と比べて100倍の速度でシミュレーションを行い、膨大なデータの中から最適解を精緻に分析することで、顧客の求める環境性能を実現する理想的なランドスケープを創造する。
⑤ホールライフカーボンを評価するプラットフォーム「Z-CARBO」を開発
建物の「ホールライフカーボン(建物生涯CO2)」を可視化し、評価につなげるプラットフォーム「Z-CARBO(ジカーボ)」を開発した。これにより、建物の設計から施工、竣工後までのCO2排出量を定量的に評価する体制を構築した。「Z-CARBO」は、日本建築学会が定める「建物のLCA指針」や各種団体が推進する算定ツールの計算手法に準拠しており、建物の計画から運用、解体段階まで一貫してCO2排出量を可視化・運用することができる。当社の見積積算書から建築・設備などの項目・数量をAIが自動で判別し、項目別にCO2排出量を算出する。今後は、当社のZEB認証実績と脱炭素を実現する技術力を生かし、顧客の事業活動におけるCO2排出量の削減と情報開示を総合的にサポートしていく。
⑥解体建物からアルミ建材を回収し水平リサイクルを実現するための実証事業を開始
明治安田生命保険(相)、三協立山㈱、㈱シンワ、㈱HARITA、㈲豊栄金属と共同で、建物解体時に生じるアルミ建材の水平リサイクル実現に向けた実証事業に着手した。明治安田生命保険(相)が所有する建物の解体工事においてアルミ製カーテンウォールを単独解体・分別回収し、適切な保管・管理・運搬・高度選別を経て、トレーサビリティを確保した高品質な原料として製造先へ繋げる。この取り組みを通し、建物解体時に発生するアルミ建材の水平リサイクルにおける課題を抽出し、手法確立に向けた検討を行う。さらに、水平リサイクルの実現により、持続可能で循環的な製品という新たな付加価値の提供を目指す。
(2)未来・先端領域
①鉄道の廃レールをアップサイクルした金属3Dプリンター製ベンチを設置
西日本旅客鉄道㈱等と共創し、JR大阪環状線弁天町駅に金属3Dプリンターを活用して製作した「ルーレベンチ」を設置した。フレーム材料には、西日本旅客鉄道㈱の鉄道の廃レールを溶解・成形したステンレス鋼溶接ワイヤを一部使用し、座面には六甲山の間伐材ヒノキを使用している。屋外の公共空間に設置された金属3Dプリンター製作物としては国内最大級の事例となり、金属スクラップをアップサイクルする循環型社会の実現に向けた取り組みである。
②建設ロボティクス分野における標準化技術の研究開発に着手
当社は、建設RXコンソーシアムを通じて建設ロボティクス分野における革新的な標準化技術の研究開発を推進している。Kudan㈱、㈱ジザイエ、アスラテック㈱、燈㈱、㈱センシンロボティクスの5社との共同研究では、搬送・耐火被覆吹付・測量・清掃等の多様なロボットが共通の機能モジュールを組み合わせて活用できるオープン開発プラットフォームを構築する。また、鹿島建設㈱、㈱大林組、㈱フジタとは、4種類のロボットシステム(資材自動搬送、風量測定、耐火被覆吹付け、汎用移動ロボットの多機能化)の研究開発と実証を通じて、様々なロボットで共通利用できる標準化技術を創出する。これらの取り組みにより、ロボットメーカーやシステムインテグレータが自由に機能拡張でき、開発・運用コストを削減しつつ、建設業界の熟練技能者不足の解決と日本のロボティクス産業の国際競争力の強化を目指す。
(3)社会価値創造領域
モバイルハウス活用事業の本格展開に向けた新会社を設立
トレーラー開発・製造を行う㈱クロコアートファクトリーとの共同出資により、モバイルハウス活用事業を展開する新会社「㈱オフグリッドフィールド」を設立、2025年2月にレンタカー事業の認可を受けて事業を開始した。㈱オフグリッドフィールドは、自立電源と自立通信を備えた「牽引式オフグリッド型モバイルハウス」の建設現場でのさらなる活用促進に加え、移動可能で電気や通信のインフラがない場所でも活用できるモバイルハウスの特性を生かし、地域活性化などの社会課題の解決に貢献していく。
また、子会社における研究開発の主なものは次のとおりである。
㈱竹中土木
(1)施工の効率化・自動化
①盛土材料管理システムの高度化
②盛土品質管理試験(RI試験)の自動化
③橋梁補強工事の施工自動化
④トンネル重機の遠隔施工化
(2)安全安心技術
①スマートコラム工法による堤防補強
②透明なコンクリートはく落防止工法
(開発事業及びその他)
研究開発活動は特段行われていない。
重点的に取り組むべき領域として、建設・環境基盤技術、未来・先端、社会価値創造の3つに大別し、全社的に研究開発活動を遂行している。
当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は102億円余であり、このうち当社が取り組んだ主な研究開発事例は次のとおりである。
(建設事業)
(1)建設・環境基盤技術領域
①建設現場上空の風速・風向予測WEBアプリ「ソラビュー」を開発
レーザー観測とAI分析により風速・風向を予測するWEBアプリ「ソラビュー」を開発し、タワークレーン作業の安全管理に活用を開始した。本技術は、ドップラーライダーと気象台の観測データを機械学習したAIによって「風況予測モデル」を構築し、従来の地点観測では困難であった複数高度での風況予測を実現する。これにより、10~60分後や2~8時間後の詳細な風況予測が可能となり、建物による気流影響を考慮した作業計画立案や飛散防止対策を通じ、建設現場の安全管理の強化につなげる。
②ソイルセメントの配合割合を建設現場で短時間測定する技術「ソイルミエール®」を開発
建設現場で施工されるソイルセメント中に含まれる土・セメント・水の配合割合を建設現場内で約30分という短時間で測定可能な技術「ソイルミエール®」を開発した。これにより、従来、専門機関で1週間~1ヶ月要していた配合割合の測定時間が大幅に改善された。本技術は、ハンドヘルド型蛍光X線分析装置によるカルシウム量測定と小型装置での試料処理により実現しており、測定環境に左右されにくい安定した分析が可能となる。この結果、杭・地盤改良・流動化処理土等の目視不可能な地中工事における施工品質管理のさらなる向上が期待される。
③新築木造建築物の耐震性能向上技術「透明耐震壁」を開発
ガラスとアルミサッシにより新築木造建築物の地震等の揺れを低減させる「透明耐震壁」を開発し、北広島町豊平地域づくりセンターに初適用した。本技術は、新たに開発したアルミサッシ内部に地震時の変形を吸収する空間を設けることで、ガラスを損傷させることなく優れた抵抗力を発揮する。従来の合板壁や筋交いのような耐震要素を「透明耐震壁」に置き換えることで、透明性と開放感を兼ね備えた付加価値の高い空間を実現し、建築プランの自由度が向上する。適用事例では、大会議室周囲に透明耐震壁を採用することで、耐震性を確保しながら外部との一体感を高めた魅力的な空間を実現している。
④緑地の樹木配置を最適化するシミュレーション技術「Optree」を開発
建物外構の環境性能を向上させる新たな技術として、樹木の種類や配置を最適化することにより敷地内の緑地に良好な暑熱・風環境や緑豊かな景観を効率的にデザインするシミュレーション技術「Optree(オプツリー)」を開発し、「朝日生命国立社宅計画〈あさひの杜国立〉」に初適用した。「Optree」は、環境シミュレーションと最適化技術を組み合わせることで、敷地形状やコストなどのさまざまな制約条件のもと、環境性能の優れた案を効率的に見つけ出すことができる技術である。従来の設計手法と比べて100倍の速度でシミュレーションを行い、膨大なデータの中から最適解を精緻に分析することで、顧客の求める環境性能を実現する理想的なランドスケープを創造する。
⑤ホールライフカーボンを評価するプラットフォーム「Z-CARBO」を開発
建物の「ホールライフカーボン(建物生涯CO2)」を可視化し、評価につなげるプラットフォーム「Z-CARBO(ジカーボ)」を開発した。これにより、建物の設計から施工、竣工後までのCO2排出量を定量的に評価する体制を構築した。「Z-CARBO」は、日本建築学会が定める「建物のLCA指針」や各種団体が推進する算定ツールの計算手法に準拠しており、建物の計画から運用、解体段階まで一貫してCO2排出量を可視化・運用することができる。当社の見積積算書から建築・設備などの項目・数量をAIが自動で判別し、項目別にCO2排出量を算出する。今後は、当社のZEB認証実績と脱炭素を実現する技術力を生かし、顧客の事業活動におけるCO2排出量の削減と情報開示を総合的にサポートしていく。
⑥解体建物からアルミ建材を回収し水平リサイクルを実現するための実証事業を開始
明治安田生命保険(相)、三協立山㈱、㈱シンワ、㈱HARITA、㈲豊栄金属と共同で、建物解体時に生じるアルミ建材の水平リサイクル実現に向けた実証事業に着手した。明治安田生命保険(相)が所有する建物の解体工事においてアルミ製カーテンウォールを単独解体・分別回収し、適切な保管・管理・運搬・高度選別を経て、トレーサビリティを確保した高品質な原料として製造先へ繋げる。この取り組みを通し、建物解体時に発生するアルミ建材の水平リサイクルにおける課題を抽出し、手法確立に向けた検討を行う。さらに、水平リサイクルの実現により、持続可能で循環的な製品という新たな付加価値の提供を目指す。
(2)未来・先端領域
①鉄道の廃レールをアップサイクルした金属3Dプリンター製ベンチを設置
西日本旅客鉄道㈱等と共創し、JR大阪環状線弁天町駅に金属3Dプリンターを活用して製作した「ルーレベンチ」を設置した。フレーム材料には、西日本旅客鉄道㈱の鉄道の廃レールを溶解・成形したステンレス鋼溶接ワイヤを一部使用し、座面には六甲山の間伐材ヒノキを使用している。屋外の公共空間に設置された金属3Dプリンター製作物としては国内最大級の事例となり、金属スクラップをアップサイクルする循環型社会の実現に向けた取り組みである。
②建設ロボティクス分野における標準化技術の研究開発に着手
当社は、建設RXコンソーシアムを通じて建設ロボティクス分野における革新的な標準化技術の研究開発を推進している。Kudan㈱、㈱ジザイエ、アスラテック㈱、燈㈱、㈱センシンロボティクスの5社との共同研究では、搬送・耐火被覆吹付・測量・清掃等の多様なロボットが共通の機能モジュールを組み合わせて活用できるオープン開発プラットフォームを構築する。また、鹿島建設㈱、㈱大林組、㈱フジタとは、4種類のロボットシステム(資材自動搬送、風量測定、耐火被覆吹付け、汎用移動ロボットの多機能化)の研究開発と実証を通じて、様々なロボットで共通利用できる標準化技術を創出する。これらの取り組みにより、ロボットメーカーやシステムインテグレータが自由に機能拡張でき、開発・運用コストを削減しつつ、建設業界の熟練技能者不足の解決と日本のロボティクス産業の国際競争力の強化を目指す。
(3)社会価値創造領域
モバイルハウス活用事業の本格展開に向けた新会社を設立
トレーラー開発・製造を行う㈱クロコアートファクトリーとの共同出資により、モバイルハウス活用事業を展開する新会社「㈱オフグリッドフィールド」を設立、2025年2月にレンタカー事業の認可を受けて事業を開始した。㈱オフグリッドフィールドは、自立電源と自立通信を備えた「牽引式オフグリッド型モバイルハウス」の建設現場でのさらなる活用促進に加え、移動可能で電気や通信のインフラがない場所でも活用できるモバイルハウスの特性を生かし、地域活性化などの社会課題の解決に貢献していく。
また、子会社における研究開発の主なものは次のとおりである。
㈱竹中土木
(1)施工の効率化・自動化
①盛土材料管理システムの高度化
②盛土品質管理試験(RI試験)の自動化
③橋梁補強工事の施工自動化
④トンネル重機の遠隔施工化
(2)安全安心技術
①スマートコラム工法による堤防補強
②透明なコンクリートはく落防止工法
(開発事業及びその他)
研究開発活動は特段行われていない。