有価証券報告書-第87期(2024/01/01-2024/12/31)
対処すべき課題
(1) 経営方針
当社は、「最良の作品を世に遺し、社会に貢献する」という経営理念のもと、「社是」を基本姿勢として、お客様満足や社会の信用を得て企業の社会的価値を高める「品質経営」に継続して取り組んでいる。また当社グループにおいては、環境変化に応じた中・長期で各事業の目指す姿・方向性を示した「竹中グループ経営ビジョン」を新たに策定し、新たな価値を創造して社会の要求にこたえるために、「リジェネラティブ」な考え方と姿勢で、環境共創、技術革新・DX、人材活躍の重点3分野にグループで統合的に取り組んでいく。
〈経営理念から方針に至る体系〉

〈当社グループにおける「リジェネラティブ」の概念〉

(2) 経営環境
日本経済は緩やかな回復基調にあるものの、欧米諸国の政権交代による政策等の影響や国内外の金融政策動向等を注視する必要がある。国内建設市場においては、公共工事・民間工事ともに建設需要は堅調に推移することが期待されるが、一方で、建設資材価格の高騰と労務費上昇が継続する可能性が高く、予断を許さない状況にある。国内ホテル市場においては、引き続きインバウンドによる高い宿泊需要が見込まれ、国内オフィス市場では大都市圏の空室率の低下と賃料の上昇傾向が見られる。
このような状況下において、当社はグループ全体で多岐にわたる専門性と技術力、マネジメント力を発揮できるよう、人材・技術・デジタル化推進、さらに脱炭素・資源循環・自然共生を統合させた環境戦略により持続的な社会の実現に向け、取り組みに必要な投資をより一層進めることで経営資源を強化・拡充し、社会とお客様にとって最良のパートナーを目指す。激しい環境変化に対して柔軟に対応しながら、揺るぎない経営理念のもとにサステナブル社会の実現に向けて今後も事業の推進に取り組んでいく。
(3) 対処すべき課題
今般、経営環境の変化に柔軟に対応し新たな価値創造を進めていくため、「竹中グループCSRビジョン」を「グループ経営ビジョン」として刷新し、中長期的視点をより強め、社会課題への積極的な取り組みと解決により、更なる企業価値の創造を推し進めていくことを目指している。
当社グループは2014年に「2025年のグループ成長戦略」を策定し、長期的な視野で経営計画を展開するとともに、外部からの視点をより重要視するために、SDGsやESG評価機関の指標などの国際的なガイドライン等を参照しながら重要課題を特定してきた。2022年には、企業環境の変化に伴い「5つの重要課題グループ」、「13の重要課題(マテリアリティ)」及び「指標(KPI)」の見直しを図るとともに、2024年には、新たに竹中グループとしての重要課題(マテリアリティ)としての位置づけを図り、活動を進めている。また、経営計画とマテリアリティとの関連を明確にするとともに、グループ成長戦略の実現に向けて、各々の事業戦略への展開及び方針管理にもマテリアリティとの関連性を反映させている。
「重要課題(マテリアリティ)」のうち、「環境との調和」においては、脱炭素社会の実現に向けて、2021年にはTCFDの提言に沿った情報開示を進めるとともに、2024年3月にはSBT認定を取得した。グループ事業活動全般に関連するCO2排出削減目標を修正し、2030年までにスコープ1+2を46.2%、スコープ3を27.5%削減することを目指し、2050年までにどちらも100%削減を目指した活動を推進している。自然共生社会の実現に向けては、2024年5月に、「竹中グループTNFDレポート」を社外発信し、グループの取り組みと情報開示を開始した。
また、2024年より「環境戦略2050」をブラッシュアップし、当社グループの事業においても、脱炭素、資源循環、自然共生の取り組みを統合的に推進させ、グループを挙げて取り組みを加速させていく。
「働き方・生産性改革」においては、2024年7月、当社の経営企画室内にDE&I推進部を設置した。これは、性別や年齢、国籍だけでなく、価値観や生活環境の多様化に対応し、より包括的なDE&I推進を目指す新たな取り組みである。多様な人々の健やかで働きがいのある環境の実現や人材の確保と育成・定着に向けて、引き続き男性の育児休業取得率100%、2025年までに女性管理職比率8%の達成を目指す。また、労働時間等の適正な労働条件の担保のために、時間外労働上限規制の遵守を大前提に、4週8閉所100%達成を目指す。
今後も社会と会社にとっての「重要課題(マテリアリティ)」を認識し、「人権の尊重」「働き方・生産性改革」「着実な業務プロセス」「環境との調和」を図りながら進めることで、「持続可能なまちづくり」を目指し、当社においても長期にわたる企業価値の創造へとつなげていく。

①中期経営計画2030
竹中グループ経営ビジョンを受け、「環境戦略2050」をベースとしてグループの事業領域それぞれで「つくる・まもる・いかす」というライフサイクルの視点に立ち、「中期経営計画2030」を策定した。「中期経営計画2030」は、「6つの中核事業戦略」と「4つの経営基盤戦略」で構成しており、「中核事業戦略」は、国内建築、海外建築、開発、土木、建物管理、新規、それぞれの事業活動を展開する。「経営基盤戦略」は技術、デジタル、人材、広報・ブランドで中核事業戦略を横断的に支え、グループ連携を強化していく。
イ.環境戦略2050
リジェネラティブ・ワークス®の共創 〜リジェネラティブでウェルビーイングな未来のために〜
ロ.中核事業戦略
(国内建築事業戦略)
魅力的な作品(モノ・コト)をつくり、まもり、いかし、社会やお客様に最良の価値を提供する
(海外建築事業戦略)
海外の市場特性に合わせた企業理念の実現により、「TAKENAKA」ブランドをグローバル展開する
(開発事業戦略)
不動産事業での長期安定収益拡大により、グループの成長投資の原資を創出し、「TAKENAKA」ブランドの向上に寄与する
(土木事業戦略)
土木請負事業の強化と新事業推進により、グループの総合力を向上させる
(建物管理事業戦略)
持続可能な建物管理事業の基盤を堅持し、グループの安定経営に寄与する
(新規事業戦略)
建設の枠を超えた総合ソリューションで、社会課題解決と収益基盤の多様化を実現する
ハ.経営基盤戦略
(技術戦略)
技術の“シン化”で、魅力ある建設・豊かな価値を創り、感動の未来を拓く
(デジタル戦略)
デジタルの力で人と組織とナレッジをつなぎ、ワクワクする未来社会につなげる
(人材戦略)
「TAKENAKA」らしい企業活動を支える「人」づくり・「場」づくりへ積極的に投資する
(広報・ブランド戦略)
重点分野の発信を推進し、社会的な共感と評価を得ることで中核事業の価値を高め、選ばれ続けるグループとなる

②3か年事業計画(2025年~2027年)
イ.建設事業の高度化
当社のコア事業である建設事業については、顧客深耕をさらに図るとともに安全・品質管理基盤の強化と技術革新を含めた生産性の向上により、国内外の建設事業の高度化を図る。
・重大な公衆災害・労働災害の絶無
・重大な品質問題の絶無
・時間外労働上限規制への対応を前提とした事業計画の遂行
・適正利益を確保するための規模別・建種別の事業ポートフォリオの再構築
・生産性・原価力の向上及び生産力の確保
・環境・社会に配慮した建築・サービスの展開
・脱炭素・資源循環・自然共生社会に向けた環境活動の推進
ロ.まちづくり事業の推進
グループ成長戦略で掲げた「まちづくりの全てのステージ」に貢献し、サステナブル社会を実現するため、お客様のファシリティマネジメント業務を支援する機能の強化、開発事業によるスマートコミュニティの実現、土木事業による環境と共生する社会基盤の構築に努め、地域の資源と課題に着目したまちづくりを進めることで新たな社会システムと新規事業を創出する。
・環境・社会課題に応えるビジネスモデルやソリューションの創造と新規事業の創出
・開発事業の収益基盤の拡大
・FM領域の対応力の強化
・土木事業のDX推進や技術革新
・国内外の地域社会の持続的発展への寄与
ハ.経営資源の強化、拡充
建設事業、まちづくり事業の基盤となるワークライフバランスの向上及び技術、デジタル、人材などの経営資源の充実を図る。
・建設事業の技術基盤強化及びお客様事業に必要となるサービス領域の拡充
・デジタル技術適用と事業に係るあらゆるデータのAI等での高度利活用による付加価値生産性の向上及び事業変革の継続推進
・心身とも健やかに働ける職場環境確保と労働時間マネジメントの促進
・多様な領域の人材確保・育成とダイバーシティの推進による労働市場・環境の変化に適応した体制整備と組織風土の醸成
ニ.目標とする経営指標
当社グループの3か年事業計画における2025年12月期の目標については、足元の状況と大型工事の動向など事業環境の変化を踏まえ、売上高1兆4,500億円、営業利益460億円、経常利益525億円、親会社株主に帰属する当期純利益345億円としている。また2025年12月期の業績予想(2025年2月28日公表)は、売上高1兆5,220億円、営業利益37億円、経常利益115億円、親会社株主に帰属する当期純利益200億円としている。
当社は、「最良の作品を世に遺し、社会に貢献する」という経営理念のもと、「社是」を基本姿勢として、お客様満足や社会の信用を得て企業の社会的価値を高める「品質経営」に継続して取り組んでいる。また当社グループにおいては、環境変化に応じた中・長期で各事業の目指す姿・方向性を示した「竹中グループ経営ビジョン」を新たに策定し、新たな価値を創造して社会の要求にこたえるために、「リジェネラティブ」な考え方と姿勢で、環境共創、技術革新・DX、人材活躍の重点3分野にグループで統合的に取り組んでいく。
〈経営理念から方針に至る体系〉

〈当社グループにおける「リジェネラティブ」の概念〉

(2) 経営環境
日本経済は緩やかな回復基調にあるものの、欧米諸国の政権交代による政策等の影響や国内外の金融政策動向等を注視する必要がある。国内建設市場においては、公共工事・民間工事ともに建設需要は堅調に推移することが期待されるが、一方で、建設資材価格の高騰と労務費上昇が継続する可能性が高く、予断を許さない状況にある。国内ホテル市場においては、引き続きインバウンドによる高い宿泊需要が見込まれ、国内オフィス市場では大都市圏の空室率の低下と賃料の上昇傾向が見られる。
このような状況下において、当社はグループ全体で多岐にわたる専門性と技術力、マネジメント力を発揮できるよう、人材・技術・デジタル化推進、さらに脱炭素・資源循環・自然共生を統合させた環境戦略により持続的な社会の実現に向け、取り組みに必要な投資をより一層進めることで経営資源を強化・拡充し、社会とお客様にとって最良のパートナーを目指す。激しい環境変化に対して柔軟に対応しながら、揺るぎない経営理念のもとにサステナブル社会の実現に向けて今後も事業の推進に取り組んでいく。
(3) 対処すべき課題
今般、経営環境の変化に柔軟に対応し新たな価値創造を進めていくため、「竹中グループCSRビジョン」を「グループ経営ビジョン」として刷新し、中長期的視点をより強め、社会課題への積極的な取り組みと解決により、更なる企業価値の創造を推し進めていくことを目指している。
当社グループは2014年に「2025年のグループ成長戦略」を策定し、長期的な視野で経営計画を展開するとともに、外部からの視点をより重要視するために、SDGsやESG評価機関の指標などの国際的なガイドライン等を参照しながら重要課題を特定してきた。2022年には、企業環境の変化に伴い「5つの重要課題グループ」、「13の重要課題(マテリアリティ)」及び「指標(KPI)」の見直しを図るとともに、2024年には、新たに竹中グループとしての重要課題(マテリアリティ)としての位置づけを図り、活動を進めている。また、経営計画とマテリアリティとの関連を明確にするとともに、グループ成長戦略の実現に向けて、各々の事業戦略への展開及び方針管理にもマテリアリティとの関連性を反映させている。
「重要課題(マテリアリティ)」のうち、「環境との調和」においては、脱炭素社会の実現に向けて、2021年にはTCFDの提言に沿った情報開示を進めるとともに、2024年3月にはSBT認定を取得した。グループ事業活動全般に関連するCO2排出削減目標を修正し、2030年までにスコープ1+2を46.2%、スコープ3を27.5%削減することを目指し、2050年までにどちらも100%削減を目指した活動を推進している。自然共生社会の実現に向けては、2024年5月に、「竹中グループTNFDレポート」を社外発信し、グループの取り組みと情報開示を開始した。
また、2024年より「環境戦略2050」をブラッシュアップし、当社グループの事業においても、脱炭素、資源循環、自然共生の取り組みを統合的に推進させ、グループを挙げて取り組みを加速させていく。
「働き方・生産性改革」においては、2024年7月、当社の経営企画室内にDE&I推進部を設置した。これは、性別や年齢、国籍だけでなく、価値観や生活環境の多様化に対応し、より包括的なDE&I推進を目指す新たな取り組みである。多様な人々の健やかで働きがいのある環境の実現や人材の確保と育成・定着に向けて、引き続き男性の育児休業取得率100%、2025年までに女性管理職比率8%の達成を目指す。また、労働時間等の適正な労働条件の担保のために、時間外労働上限規制の遵守を大前提に、4週8閉所100%達成を目指す。
今後も社会と会社にとっての「重要課題(マテリアリティ)」を認識し、「人権の尊重」「働き方・生産性改革」「着実な業務プロセス」「環境との調和」を図りながら進めることで、「持続可能なまちづくり」を目指し、当社においても長期にわたる企業価値の創造へとつなげていく。

①中期経営計画2030
竹中グループ経営ビジョンを受け、「環境戦略2050」をベースとしてグループの事業領域それぞれで「つくる・まもる・いかす」というライフサイクルの視点に立ち、「中期経営計画2030」を策定した。「中期経営計画2030」は、「6つの中核事業戦略」と「4つの経営基盤戦略」で構成しており、「中核事業戦略」は、国内建築、海外建築、開発、土木、建物管理、新規、それぞれの事業活動を展開する。「経営基盤戦略」は技術、デジタル、人材、広報・ブランドで中核事業戦略を横断的に支え、グループ連携を強化していく。
イ.環境戦略2050
リジェネラティブ・ワークス®の共創 〜リジェネラティブでウェルビーイングな未来のために〜
ロ.中核事業戦略
(国内建築事業戦略)
魅力的な作品(モノ・コト)をつくり、まもり、いかし、社会やお客様に最良の価値を提供する
(海外建築事業戦略)
海外の市場特性に合わせた企業理念の実現により、「TAKENAKA」ブランドをグローバル展開する
(開発事業戦略)
不動産事業での長期安定収益拡大により、グループの成長投資の原資を創出し、「TAKENAKA」ブランドの向上に寄与する
(土木事業戦略)
土木請負事業の強化と新事業推進により、グループの総合力を向上させる
(建物管理事業戦略)
持続可能な建物管理事業の基盤を堅持し、グループの安定経営に寄与する
(新規事業戦略)
建設の枠を超えた総合ソリューションで、社会課題解決と収益基盤の多様化を実現する
ハ.経営基盤戦略
(技術戦略)
技術の“シン化”で、魅力ある建設・豊かな価値を創り、感動の未来を拓く
(デジタル戦略)
デジタルの力で人と組織とナレッジをつなぎ、ワクワクする未来社会につなげる
(人材戦略)
「TAKENAKA」らしい企業活動を支える「人」づくり・「場」づくりへ積極的に投資する
(広報・ブランド戦略)
重点分野の発信を推進し、社会的な共感と評価を得ることで中核事業の価値を高め、選ばれ続けるグループとなる

②3か年事業計画(2025年~2027年)
イ.建設事業の高度化
当社のコア事業である建設事業については、顧客深耕をさらに図るとともに安全・品質管理基盤の強化と技術革新を含めた生産性の向上により、国内外の建設事業の高度化を図る。
・重大な公衆災害・労働災害の絶無
・重大な品質問題の絶無
・時間外労働上限規制への対応を前提とした事業計画の遂行
・適正利益を確保するための規模別・建種別の事業ポートフォリオの再構築
・生産性・原価力の向上及び生産力の確保
・環境・社会に配慮した建築・サービスの展開
・脱炭素・資源循環・自然共生社会に向けた環境活動の推進
ロ.まちづくり事業の推進
グループ成長戦略で掲げた「まちづくりの全てのステージ」に貢献し、サステナブル社会を実現するため、お客様のファシリティマネジメント業務を支援する機能の強化、開発事業によるスマートコミュニティの実現、土木事業による環境と共生する社会基盤の構築に努め、地域の資源と課題に着目したまちづくりを進めることで新たな社会システムと新規事業を創出する。
・環境・社会課題に応えるビジネスモデルやソリューションの創造と新規事業の創出
・開発事業の収益基盤の拡大
・FM領域の対応力の強化
・土木事業のDX推進や技術革新
・国内外の地域社会の持続的発展への寄与
ハ.経営資源の強化、拡充
建設事業、まちづくり事業の基盤となるワークライフバランスの向上及び技術、デジタル、人材などの経営資源の充実を図る。
・建設事業の技術基盤強化及びお客様事業に必要となるサービス領域の拡充
・デジタル技術適用と事業に係るあらゆるデータのAI等での高度利活用による付加価値生産性の向上及び事業変革の継続推進
・心身とも健やかに働ける職場環境確保と労働時間マネジメントの促進
・多様な領域の人材確保・育成とダイバーシティの推進による労働市場・環境の変化に適応した体制整備と組織風土の醸成
ニ.目標とする経営指標
当社グループの3か年事業計画における2025年12月期の目標については、足元の状況と大型工事の動向など事業環境の変化を踏まえ、売上高1兆4,500億円、営業利益460億円、経常利益525億円、親会社株主に帰属する当期純利益345億円としている。また2025年12月期の業績予想(2025年2月28日公表)は、売上高1兆5,220億円、営業利益37億円、経常利益115億円、親会社株主に帰属する当期純利益200億円としている。