有価証券報告書-第58期(2022/01/01-2022/12/31)

【提出】
2023/03/31 9:56
【資料】
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【項目】
146項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社企業グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社はビルのコンクリート外壁をオーダーメードでつくる、プレキャストコンクリートカーテンウォール(以下PCCW)のメーカーです。1960年代に後発メーカーとして参入後、たゆまぬ営業努力を重ねて業界シェアトップになり、その後も茨城県の工場新設による生産設備増強、関西進出、人材採用・育成により、提案力・品質管理能力・生産能力等の総合力を高める努力を続けてきました。
従来、お客様の要望に応じて、石やタイルを張ったり、塗装したりする製品を作ってまいりましたが、コンクリートの調合を工夫して、様々な色やテクスチャーの素地をそのまま見せるアーキテクチュラルコンクリートを積極的に設計事務所に提案し、多数採用していただいております。また、フェロクリートという35ミリという薄さのルーバーを実現できる技術の提案により、採用されるケースが出てきています。
今後も日射を遮る庇(ひさし)形状のPC版や、海外の技術も取り入れた提案営業を強化し、都市の景観を革新してゆきます。
(2)目標とする経営指標
当社は景気低迷期を除き、経常利益率10%以上を目標にしています。景気低迷期は5%以上を目標としますが、現在はPCCWを採用した建設プロジェクトの極端な端境期にあたり、黒字確保を目指すのが現実的という状態です。早期に5%以上を目指せる状況にしたいと考えています。
(3)中期的な会社の経営戦略
当社は、PCカーテンウォール事業の人材強化を続け、デザイン面、脱炭素等の環境性能向上について設計事務所やゼネコンの方々のリクエストに愚直に応えてゆきます。また、プール事業も人材強化をすすめて、長期にわたり、新築、メンテ需要に対応できる体制を整えたいと考えています。
(4)経営環境
現在は建設業界のPCCWを使う大型案件が、地下工事の段階にあるため、我々の出る幕がなく、工場の稼働率が低下しています。したがって、固定費負担が重くなり、利益率が低くなる見込みです。また、同業他社との競争も激化しており、受注単価が下落しています。一方、インフレ進行のため、アルミ/ガラスの価格が上昇し、相対的に安価なPCCWを採用する機運も出てきています。また、建設現場での人手不足から、構造部材のPC化が進んでおり、外壁専門の我々にも製造依頼が来始めております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
日本の建設業界では、従事者の高齢化、若年層のホワイトカラー志向の高まりで、人手不足が顕著になってきており、技術の継承がままならなくなってきています。
PCCW業界でも高齢化が進んでおり、業界の将来が懸念されています。幸い当社は安定して新卒、中途を採用できているので、しっかり人材を育成し、顧客の期待に応え続けられるような体制をつくりつつあります。
また、日射を遮る庇(ひさし)形状のPC版や、タイル張PC版の打音検査義務の緩和や、 SDGsに対応した壁形式などを適切にPRして、採用面積の増加に努める所存です。
アクア事業においては、縮小傾向にあるマーケットですが、撤退する会社からメンテナンス案件を引き継ぎ、また、ベテランの再雇用や閑散期のPC事業人材の活用により、営業力を上げて、受注拡大を目指します。
今後は物流コストの上昇により、インフレが更に進行し、不況に突入するのでは、という懸念はありますが、安定した財務基盤のある当社は、安心して働ける環境を整え、人材を充実させ、新たな素材の探求・CO2削減技術の研究や工場内の展示スペースの拡充によるPR力向上につとめ、景気が再び浮揚する際は、より多くの顧客からのリクエストをさらに幅広く対応できる態勢をつくれるように努力を重ねる所存であります。「全従業員の物心両面の幸福を追求し、社会の進歩発展に貢献する」という理念を追求する所存であります。