有価証券報告書-第80期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/22 14:28
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有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、次の3要素をグループ理念体系と位置づけております。グループ理念体系により、めざす方向性を明確にし、一貫性をもった事業活動による成長を図っております。
『創業理念』
日本中の家庭が幸福であり、そこにはいつも温かい家庭の味ハウスがある。~幸せな家庭のマーク~
『グループ理念』
食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくるグッドパートナーをめざします。
『ハウスの意(こころ)』
社是(「誠意・創意・熱意を持とう。」)・ハウス十論で構成
(2)経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、各国の経済政策を起因とした金利・為替の変動の影響、また日本国内では原材料を中心とした事業コストの上昇、インフレ進行に伴う消費者の節約志向の高まりなどがあり、国内外ともに厳しさを増しております。人的資本の面では、生産労働人口の減少など外部環境変化に対応すべく、人材の多様性を高めることや、様々な人材が集まることで生じる価値観の違いをシナジーに変換していくことが不可欠となってきております。さらに、気候変動など環境問題も世界規模で取り組むべき大きな課題であり、企業の対応強化が求められております。
このような状況下において、当社グループは原材料価格を中心とする事業コストの上昇に対し、一部製品で価格改定を実施するとともにお客様の消費行動の変化に即した需要喚起に注力するなど足元の環境変化に対応し、また、将来のあるべき姿を見据え、バックキャスト視点でクオリティ企業への変革を推進しております。
(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
当社グループは、「食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくるグッドパートナーをめざします。」というグループ理念の考え方となる、一企業市民として果たすべき「お客様に対して」「社員とその家族に対して」「社会に対して」という「3つの責任」を企業活動の柱としております。
2024年4月からスタートした第八次中期計画では、中期計画2個分の第九次中期計画までを見据え、“「食で健康」クオリティ企業への変革<第二章>グローバルなバリューチェーン(以下、VC)構築で成長をめざす”をスローガンに掲げました。第八次から第九次中期計画までの6か年を成長に向けて礎を築く期間に据え、グローバルにプレゼンスあるクオリティ企業をめざし、バックキャスト視点で「3つの責任」の取組を推進しております。
①お客様に対する責任
当社グループは、事業基盤を持つ「スパイス系」「機能性素材系」「大豆系」の3つのVCと「新価値創出(付加価値野菜系VC含む)」を自ら価値提供する領域と定め、「食で健康」をグローバルにお届けしてまいります。第八次中期計画では、VC経営による成長加速や体制構築、共創による新価値創出に取り組んでおります。
<第八次中期計画2年目(第80期)までの進捗>スパイス系VCでは、VC体制構築に向けたハウス食品㈱の段階的な機能強化や成長領域への投資が進捗しております。
日本国内では、中核を担うハウス食品㈱が当VCの変革と成長をリードする役割へと自己変革の歩みを進めています。事業領域を国内BtoCに留めずグローバルに拡大すべく、2025年4月には当社の一部機能をハウス食品㈱へ移管しました。これにより同社がグローバルブランドのあり方、エリアの食文化に即した製品開発・品質保証、輸出を含めた販売体制など、カレー・スパイスを中心としたグローバル戦略を主体的に立案できる体制が整いつつあり、今後の成長具現化を推し進めてまいります。
国内業務用事業では、ハウス食品グループ東北工場㈱において新製法を採用した多品種変量の業務用レトルト食品の生産投資が進行しており、多様化するお客様ニーズに柔軟かつ迅速に対応するための製品開発・営業・生産まで一貫した事業体制を構築してまいります。
中国カレー事業では、家庭用・業務用の両輪で持続的成長をめざし、家庭用事業では好調な販売チャネルへの取組を強化するほか、業務用事業では日本式カレー市場のみならず中華料理市場へのメニュー提案力の向上により顧客接点の拡大に取り組んでまいります。
育成領域のインドネシアカレー事業では、生産子会社ハウスフーズインドネシア社を設立のうえ、2027年の稼働に向けて第2工場の建設に着手しており、日本、中国に次ぐカレー事業第3の柱へと育成するべく日本式カレーの認知拡大を推進してまいります。
機能性素材系VCでは、ビタミン・ターメリック・乳酸菌を戦略素材と位置づけており、各素材の持つ効能・効果をおいしく摂取しやすい形に変えお客様に提供することでグローバルな事業展開をめざしています。東南アジアにおいて機能性飲料事業の拡大に取り組んでおり、既存展開エリアのタイでは、主力製品「C-vitt」がビタミンC飲料市場のトップブランドとしての地位を確立している一方、同国内におけるマルチビタミン市場の創出や、新規事業エリアであるベトナム・フィリピンでのビタミンC飲料市場の開拓を加速していく必要があります。また、乳酸菌事業等の育成事業における早期の収益化を進めていく必要があります。
大豆系VCは、事業展開する米国内の物価上昇による消費者志向の変化や競争環境の激化を受けて、高価格帯のPBF(Plant Based Food)を中心に製品の販売が苦戦しており収益性が低下しております。こうした状況を踏まえ、当VCでは短期的には損益構造の改革に集中していく必要があり、第82期末を目途とした再成長フェーズへの移行をめざしております。
<第八次中期計画の進捗を踏まえた構造改革の実行>以上のように、当社グループはVC経営による成長加速に向けた様々な取組を進めておりますが、第八次中期計画の2年目(第80期)を終えた時点で、当社グループの売上高・利益の成長や資本効率の改善は当初計画に対して遅れが生じております。今後、経営環境の不透明さが一層増していくことを踏まえても、課題を捉えた経営計画の見直しと実行加速が必要だと認識しております。
このような課題感に基づき、当社グループは第八次中期計画最終年度(第81期)の目標数値を見直すとともに、成長領域への経営資源の集中、成長戦略を実現する組織改革、財務戦略の強化を3本柱とする「構造改革」を推し進めていくことといたしました。これにより、グローバルな成長加速と資本効率向上の実現をめざしてまいります。
・構造改革の概要
1)成長領域への集中
スパイス系VCへの経営資源投下に集中することにより、カレー・スパイス事業のグローバルな成長を加速してまいります。
2)成長戦略を実現する組織改革
組織改革プロジェクトを立ち上げ、第81期中に成長加速を実現する新たな組織体制案の策定を進めてまいります。
3)財務戦略の強化
利益成長と自己資本マネジメントの両輪で資本効率の向上を図ってまいります。
第81期より、資本効率を意識した株主還元の一層の充実を図っていくため利益配分の基本方針を変更いたします。なお、方針変更の概要は下記④「財務資本政策(資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて)」に記載しております。
②社員とその家族に対する責任
第八次中期計画のスローガンである「グローバルなVC構築で成長をめざす」を実現するため、高まりつつある多様性を社員とグループの成長に変換していく必要があります。これに加え、多様な人材がより個性を発揮しながら、組織の壁を超えて協働・共創することが求められることから、「ダイバーシティを力に変える」を取組テーマに据え、以下3つの観点から取組を実行しております。
1)「多様な個人が集い働きがいを感じられる社内環境整備」では、役割に基づくオープンな人事制度のグループ内展開を拡大しています。国内主要事業会社であるハウス食品㈱・ハウスウェルネスフーズ㈱で導入した人事制度をグループ内に展開することで人材流動性を高めると同時に、労働市場との親和性を高め、キャリア採用の受け入れと活躍を促進する仕組みづくりに取り組んでおります。加えて、多様性を受け入れチャレンジを後押しする組織風土をめざし、組織風土診断結果に基づく改善取組と、健康経営を通じた健康と働きやすさの促進に継続的に取り組んでおります。
2)「個と組織の活性化」では、女性活躍支援を推進することで女性管理職比率を高めるほか、障がい者雇用も法定雇用率を上回る水準としております。加えて、自律的なキャリア開発を可能にする仕組みを浸透させるなど、社員一人ひとりの「経験」と「適性」の多様性を高める多くの施策を進めております。
3)「グローバルなVC構築を実現するための人材ポートフォリオ構築」では、VC毎の事業戦略実現に向けて、人材流動性の確保、VC戦略推進においてキーとなるポジションの要件定義、自律的なキャリア開発促進を軸とした人材の充当、これら取組を支える人材データベースなどのインフラ構築を進めております。
③社会に対する責任
当社グループは、食に関わる企業として「人と地球の健康」の実現に向け、VC全体で社会課題の解決に取り組んでおります。第八次中期計画では、循環型モデルの構築への取組を加速するべく、「ハウス食品グループ長期環境戦略2050」を策定し、重要課題を「気候変動への対応」、「資源循環社会の実現」と定めております。
「気候変動への対応」では、2050年カーボンニュートラルをめざすなか、Scope1・2においては多拠点一括エネルギーネットワークサービスの運用など再生可能エネルギーの拡充に取り組んでおります。このほか、当社グループの環境取組を象徴する事例創出などもあり、第八次中期計画KPI達成に着実に近づいております。Scope3においては、原材料調達時や家庭内調理時のCO2排出量削減に向けた重点テーマを設定し、サプライチェーン全体で排出量削減を図っております。排出量上位4カテゴリー(原料・包材調達、輸送・配送、製品の使用、フランチャイズ)は、資材サプライヤーの皆様と連携し削減効果の見える化を進めてまいりました。
また、「資源循環社会の実現」では、ステークホルダーの皆様と協力して廃棄物・副産物・プラスチック・水を対象に地球上の限りある資源を「減らす」「活かす」「戻す」ことで循環させる仕組みの構築に注力しております。
④財務資本政策(資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて)
<第八次中期計画2年目(第80期)までの進捗>・ROICマネジメントの浸透
当社グループは、グループ理念の実現に向けて様々なステークホルダーとつながり「3つの責任」を果たしていきたいという想いを財務資本政策にも反映させており、マルチステークホルダーの観点から、「あるべきプロポーション」として「5つの経営指標」(ATO、ROS、ROA、自己資本比率、ROE)を掲げています。第八次中期計画では、あるべきプロポーションの実現に向けてこれまで以上にB/S志向の取組を強化していくことや、資本コストをより意識した経営を推進していくためにROICマネジメントを導入しております。
ROICは、「事業ROIC」と「事業性資本割合」に分解し、その双方を改善することで当社グループ全体の投下資本に対する収益性の向上をめざしております。
「事業ROIC」の向上に向けては、限界利益、稼働率、設備効率の視点で資本収益性の改善に取り組んでおります。これに加え、事業及び投資計画精度・モニタリングの強化、設備効率視点の追加、資本コストを上回るハードルレートの設定等、従来の投資判断基準を見直し、新規投資の収益性及び生産効率の改善にも取り組んでおります。
「事業性資本割合」の改善に向けては、非事業性資産の縮減が着実に進んでおり、特に政策保有株式に関しては、第八次中期計画の3か年で計画した150億円に対して、第79期から第80期の累計で計92億円の縮減まで進んでおり、3か年では計画を上回る見込みです。
・資源配分の明確化
第八次中期計画では、営業キャッシュ・フローに加えて新たな資金調達方法を活用し、VC構築に向けて積極投資を継続するほか、資本コストを意識した経営を推進するべく、政策保有株式の縮減など資本効率を高めるとともにその原資を株主還元に充当しております。
事業投資については、スパイス系VCの成長領域や既存領域における投資が進捗しております。一方で、米国大豆系VCで計画していた新拠点については、近年の需給状況に鑑みてこの投資計画を中止しております。
自己株式取得については、第79期から第80期の累計で、第八次中期計画の3か年で計画した150億円を上回る、計160億円の取得を完了しております。
<第八次中期計画の進捗を踏まえた財務戦略の強化>以上のように、当社グループは第八次中期計画において当初計画以上の株主還元を進めてきた一方で、事業譲渡による当初計画外の資金流入の影響や、事業投資が当初計画を下回っていることにより、手元資金や自己資本が依然として増加傾向にあります。この進捗を踏まえ、当社は第81期より資本効率向上に向けて、利益配分に関する基本方針を変更いたします。
・利益配分に関する基本方針の変更
新たな基本方針では、DOE(純資産配当率)3%以上を目安とし、原則として累進配当を実施することにより、株主の皆様への持続的な還元を実施してまいります。あわせて、市場環境やキャッシュ・フロー等を勘案したうえで、自己株式取得等の機動的な株主還元を実施してまいります。事業投資は、スパイス系VCを中心とした成長領域への積極投資、既存領域への基盤強化の投資、DX・環境投資を推進してまいります。
[ご参考]経営指標推移
投資領域第79期
(2025年3月期)
第80期
(2026年3月期)
第81期
(2027年3月期)目標
ROIC4.5%4.1%4.3%
事業ROIC5.4%4.8%5.0%
事業性資本割合83.7%86.0%86.6%
ATO0.73回0.73回0.76回
ROS6.3%5.8%5.7%
EBITDAマージン10.8%10.0%9.9%
ROA4.6%4.2%4.4%
ROE4.3%2.5%6.0%

[ご参考]政策保有株式の縮減及び自己株式の取得状況
投資領域第79期~第80期
(2025年3月期~
2026年3月期)累計
第81期
(2027年3月期)計画
第八次中期計画累計
(見込み)
政策保有株式の縮減額92億円116億円208億円
自己株式の取得金額160億円260億円420億円

(注)1.政策保有株式の縮減額は、第78期(2024年3月期)末時点の株価を基準に算出
2.第81期(2027年3月期)計画の自己株式の取得期間は2026年5月12日~2027年4月23日を予定
[ご参考]事業投資目標・実績
投資領域第79期~第80期
(2025年3月期~
2026年3月期)累計
第81期
(2027年3月期)計画
第八次中期計画累計
(見込み)
成長領域117億円61億円178億円
既存領域87億円48億円136億円
DX・環境領域30億円25億円55億円
合計235億円134億円369億円

⑤コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループは、企業理念・経営目標の実現・達成を目的としたコーポレート・ガバナンス体制を構築しており、この体制を的確で効果的に運用する仕組みを内部統制システムと捉え、企業価値の向上と持続的な発展に繋げるべく取組を進めております。
当社は、監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役が取締役会における議決権を有することにより、監査・監督機能を強化し、コーポレート・ガバナンス体制を一層充実させることを目的としております。監査等委員会は、監査等委員である取締役5名(うち、社外取締役4名)で構成され、取締役の職務の執行及び取締役会の決議の適法性、妥当性の監視・監督及び監査を行っております。
取締役会は、取締役12名(うち、社外取締役4名)で構成され、当社グループの重要な業務執行を決定するとともに、他の取締役及びグループの業務執行を監視・監督しております。なお、取締役会の運営強化と実効性向上を目的として、全取締役へのアンケート形式による取締役会実効性評価を実施しており、同評価から改善テーマを導き出し、取締役会で議論したうえで、翌年度からの具体的な取組に繋げていくというサイクルを回しております。
取締役会の任意の諮問機関として、委員の過半数を独立した社外取締役で構成し、独立社外取締役を委員長とする指名諮問委員会及び報酬諮問委員会を設置し、取締役の選任・解任、報酬決定の手続きにおいて、客観性と透明性を確保しております。業務執行を担当する取締役にて構成する経営会議の諮問機関である投資委員会は、資本提携を目的とした合併や買収等において、案件起案時の審議フェーズと、投資実行後のモニタリングフェーズの両面でチェック機能の役割を果たしてきましたが、第80期からは設備投資案件の事前審査・評価にも参画しグローバル成長を支えるガバナンス体制の整備と企業価値向上に取り組んでおります。
[ご参考]取締役(監査等委員である取締役を除く。)の報酬構成概要
報酬の種類報酬に占める割合業績連動
月例報酬(固定報酬)60%-
短期インセンティブ単年度業績連動報酬会社業績評価25%対象
個人業績評価
中長期インセンティブ事前交付型譲渡制限付株式報酬10%-
業績連動型譲渡制限付株式報酬5%対象

(注)1.監査等委員である取締役の報酬は固定報酬のみとしております。

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