訂正有価証券報告書-第62期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2021/08/03 15:10
【資料】
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【項目】
147項目

事業等のリスク

(リスク管理体制)
当社グループは、「経営危機管理規程」に基づき全社的な事業活動に伴うリスク及び危機管理対策からなるリスク管理体制を適切に整備し、適宜その体制を点検することによって管理の有効性を向上させております。経営理念の実現、中期経営計画等を達成するうえでの事業等のリスクについては、代表取締役社長を委員長とし、取締役、経営企画本部長等で構成する「内部統制委員会」にて認識評価し、平時における防止策の検討や事象発生時の対応についての手順を策定しております。
(重大リスクとして認識している事項)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、全てのリスクが網羅されているわけではありません。
(リスク顕在化時の影響について)
認識している重大リスクが顕在化する可能性の程度や時期、経営成績及び財政状態等に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
① 食品の安全性について
・リスク
近年、食品業界におきましては、消費者の安全性に対する関心が一層高まっております。万が一、健康被害に関わる問題が発生した場合には、当社グループのブランド価値の毀損を招くとともに、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また当社グループ固有の問題のみならず、食品全般に関わる一般的な問題が発生した場合においても、販売戦略の遂行並びに中期的な売上計画等の達成に影響を与える可能性があります。
・主な取り組み
当社グループは、経営理念「こころ、はずむ、おいしさ。」の提供、行動指針「顧客満足を最優先」「信頼される企業行動」等を掲げ、常に安全で高品質な商品をお客様へお届けすることに努めております。
当社は食の安全を確実にするため、品質管理に関わる審議協議機関として品質管理委員会を設置し、当社商品の品質保証及び管理業務における基本事項を規定しております。原材料調達、商品設計、外部委託工場を含む製造工程、流通等の各段階における自主基準の設定、監査、指導、品質管理に関わる重要諸問題等の審議を行い、食の安全を含めた品質管理体制を整備しております。なお、食品製造を営むグループ子会社においても同等の品質管理組織を整備しております。
また、自社3工場においては「FSSC22000」(食品安全マネジメントシステムの国際規格)を取得し、グループ子会社及び外部委託工場においても同等の品質管理体制を整備していることを当社が確認しております。
② 災害について
・リスク
当社グループは、生産設備や物流設備等を保有しており、台風や地震、噴火、火災等施設に被害を与えるような大規模な災害の発生、サプライチェーンの寸断や伝染病等の発生により生産や物流、販売等の事業活動が停滞した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
・主な取り組み
当社グループは台風や地震、噴火、火災等の災害に備え、耐震診断や定期的な点検、システム機器のデータセンター利用、生産拠点や物流拠点の分散化、非常時の受注体制の整備、従業員の安全確保等、被害を最小限に抑える対策を行い、安定した事業継続のための体制を構築しております。また、既存の「事業継続計画」について、年4回開催の「内部統制委員会」に合わせて、本年度の計画とその概要(P)、計画に基づいた更新作業の実施(D)、更新した「事業継続計画」の内容精査(C)、及び内容の周知(A)の手順で更新作業を推進しております。
③ 法的規制について
・リスク
当社グループは食品事業を主力事業としており、食品表示法、食品衛生法、製造物責任法、環境関連法規等の各種規制や海外進出先における現地法令等の適用を受けております。また各種労働に関する法令、独占禁止法、産業財産権に関する法令、下請代金支払遅延等防止法、個人情報保護法等の多種多様な法的規制を受けております。今後、これらの法令に関わる規制の強化や変更、法令違反、訴訟等により当社の企業活動が制限された場合には、当社グループのブランド価値の毀損を招くとともに、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
・主な取り組み
当社は、「FSSC22000」及び自社品質保証システムの厳正な運用を推進しており、グループ子会社及び外部委託工場においても同等の食品製造における法令遵守を含めた品質管理体制を整備しております。また倫理面において、社会からの信頼の維持と向上を目指して定められた「エバラ食品グループ役員・社員行動規範」を2020年4月、現在の社会情勢に合わせて見直し、従前からの「コンプライアンス規程」と合わせ、行動規範の遵守を推進しております。産業財産権においては、重要な経営資源と考え、法務部門を主管として取得・維持に努めております。また、関連部門が適宜、専門家との連携を行うことにより、これらの関連法令を遵守する体制を整備しております。
④ 情報管理、システムのリスクについて
・リスク
当社グループは、マーケティング、研究開発、生産、販売、物流、管理業務等で取り扱う情報を情報システム部門及び管轄する本部にて管理しております。また、販売促進キャンペーン等を通じ多くのお客様の個人情報を委託会社にて管理・保有しております。情報への不正アクセスや予測不能のコンピュータウイルスの感染、風評等によるSNS上でのネガティブ情報の拡散やサイバー攻撃他によるコンピュータシステムの停止、機密情報の漏洩等が発生した場合には、ブランド価値の毀損を招くとともに、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
・主な取り組み
当社グループは、サイバー攻撃やコンピュータウイルス等に備えて情報管理体制を徹底し、システム機能の維持に努めております。また、主要なシステム機器はデータセンターに設置し、物理面・情報面のセキュリティ強化を図っております。また、個人情報を含む重要情報は、「プライバシーポリシー」等の社内規程に基づき適切な管理体制を構築するとともに、従業員のSNS利用については、ルールを定め適正な運用を指導しております。
⑤ 市場動向について
・リスク
当社グループの主力事業である食品事業におきましては、人口減少、少子高齢化、世帯人員数の減少等を背景として国内市場は縮小傾向にあり、厳しい競合環境におかれております。今後、一層の競争激化により市場占有率が著しく低下した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
・主な取り組み
当社グループは、家庭用事業、業務用事業等をブランドの根幹を支える事業と位置づけ収益拡大を目指しております。具体的には、強みを持つ分野や成長分野への積極的な投資を行って業績の伸長を図るとともに、業務用事業における主力調味料群のラインアップ拡充、中食市場への挑戦を含め商品構成の見直しに着手する等、当社グループの市場占有率の堅持について継続的に尽力しております。また、海外事業等をエバラブランドの将来成長に寄与する成長ドライバーとして海外R&D体制・現地生産の基盤構築等の取り組んでまいります。
⑥ カントリーリスクについて
・リスク
当社グループは海外事業における研究開発機能と生産管理機能の基盤整備を行い、商品ラインアップの拡充及び新市場開拓を進めております。事業活動を展開する国や地域においては、現地法人による事業展開を行っており、商慣行、法規制、雇用環境等の違いに十分配慮した事業運営を行っておりますが、予測できない政治・経済情勢の急激な変化、テロ等による社会的混乱により、事業展開及び取引に重大な支障が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
・主な取り組み
当社グループは、テロや暴動等社会的混乱が発生した際には、現地における従業員の安全確保を最優先事項として取り組む体制を整備しております。また、中国事業においては現地製造、販売を主として法規制に対応しております。
⑦ 原材料の価格変動及び調達について
・リスク
当社グループにおける商品の原材料等には、国内外における気候変動や国際的な需給動向等によりその価格が変動又は調達量確保が困難となるものがあります。特に農畜産物に関しては、天候による収穫量の変動と海外需要の増大等の影響を受ける傾向があります。また、原油価格の変動は包装材料の価格や光熱費等の製造コスト、運送費等に影響を与えます。原材料等の価格が急激かつ想定を大幅に超えて上昇した場合、又は内外の情勢の変動を受け供給不足が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
・主な取り組み
当社グループは、複数企業からの購買や、計画的な購買によって原材料等の安定的な調達に努めております。具体的には、サプライヤーにおける在庫の分散、サプライヤー間の連携体制による供給確保、年間契約購買による供給量確保や産地の分散等の施策を実施しリスクを低減しております。
⑧ 気象変動の影響について
・リスク
当社グループの主力事業である食品事業の販売実績は、気象変動の影響を受ける傾向があります。「黄金の味」を主力とする「肉まわり調味料群」は、需要期である春先から夏場にかけての天候不順により消費が鈍り、「鍋物調味料群」は冬場の青果価格や気温の影響を受ける傾向があります。同様に「野菜まわり調味料群」は台風や冷夏等に起因する青果価格の高騰により販売が鈍化する傾向があります。このように突発的又は予測を大きく超える気象変動が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
・主な取り組み
当社におきましては、農林水産省や気象庁等政府機関からの情報収集による早期の生販在計画の調整や、気象変動の影響を受けにくい汎用メニューの訴求等、業績に与える影響を最小限に留めるべく努力しております。
⑨ 減損会計の適用について
・リスク
当社グループは、中期経営計画に基づき、これまで国内外への様々な投資を実施し、今後も継続を予定しております。これら事業の用に供する機械設備、土地、投資有価証券をはじめとする様々な資産は、時価の下落、収益性の低下等により投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損会計の適用を受けることになり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
・主な取り組み
当社グループは、設備投資等の事業計画や意思決定において、経営会議や取締役会にて実効性のある議論を行い審議しており、定期的にモニタリングを実施しております。
⑩ 業績の季節的変動について
・リスク
当社グループは、継続的に安定した収益を確保するために、四半期毎の業績の平準化に努めておりますが、主力事業である食品事業における需要期が第1四半期から第3四半期(4月から12月)に偏重する傾向があり、相対的に第4四半期(1月から3月)の売上高が他の四半期と比較して低くなる傾向があります。
・主な取り組み
このような偏重する傾向に対し、通年型販売商品の拡充と、季節変動の激しい鍋物調味料群等の商品を使った汎用メニュー訴求等を通じた通年販売提案の拡大に努力してまいります。
⑪ 新型コロナウイルス感染症について
・リスク
当社グループへの影響は、販売に関しては、食品事業における国内外の業務用商品の販売低迷やその他事業における広告宣伝事業及び人材派遣事業の取引減少が見込まれます。購買及び生産、物流に関しては、原材料の調達等に関わる市場動向の影響を受けて原材料価格高騰による原価上昇、生産活動の停滞及び商品供給の遅延等が想定されます。また、従業員の感染者発生や感染症の再蔓延により企業活動の停滞等が現在想定している以上に長期化した場合には、当社グループの短期、中期経営計画等の達成に影響を与える可能性があります。
・主な取り組み
当社グループは、「国及び地方公共団体の要請に応じた感染防止策の実行」、「従業員及びその家族を含めた感染予防と健康保持」、「組織機能の維持」の3つの方針のもと、適宜必要な施策を講じております。具体的には、従業員のテレワーク勤務の推奨及びオフピーク出勤の活用に加え、マスク着用やソーシャルディスタンスの確保等、社内における感染予防、拡散防止対策を実行しております。また、販売低迷や前述の感染防止の実践等による従来と異なる企業活動に対応するため「環境変化に応じた機動的な対応」及び「従来の組織体系に縛られない機能面の強化」が必要と考え行動しております。