訂正有価証券報告書-第207期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2018/06/27 9:49
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【項目】
126項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費の回復への動きは緩慢であったものの、企業収益及び雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな景気回復の動きが見られた。しかしながら、海外では、中国や新興国経済の成長鈍化に加え、英国のEU離脱問題及び米国新政権の政策方針による影響が懸念されるなど、世界経済の不確実性が増大しており、先行き不透明な状況で推移した。
このような状況の下、当社グループは、平成26年度からスタートした中期経営計画に掲げる成長戦略の早期実現に向け、高分子事業を中心とする機能素材メーカーとしての基盤強化や収益改善のための各施策の実行に努めてきた。
また、金融機関からの借入金については、平成29年9月末日までの残高維持を申し入れていたが、一部の弁済及びシンジケートローンの実行により、予定より前倒しで平成29年3月末日をもって残高維持を解消した。
C種種類株式の全株式(発行総額100億円)については、定款及び会社法の規定に基づき、平成29年6月30日に取得、消却を行うことを決定するなど、財務体質の健全化に向けた施策を実施した。
当連結会計年度の売上高は126,219百万円(前期比13.8%減)、営業利益は12,538百万円(同20.0%増)、経常利益は10,483百万円(同53.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は7,389百万円(同6.6%増)となった。
セグメント別の状況は次のとおりである。
[高分子事業]
フィルム事業では、包装分野は、季節商品が好調であったことに加え、新バリアナイロンフィルム「エンブレムHG」など、高付加価値品の販売が拡大したこともあり、好調に推移した。また、海外もアジア市況の復調とインドネシア子会社のP.T.EMBLEM ASIA(エンブレムアジア)の生産能力増強により、売上、収益ともに増加した。工業分野は、情報端末機器用途など電気・電子機器分野で販売数量は若干減少したが、シリコーンフリー離型PETフィルム「ユニピール」、耐熱ポリアミドフィルム「ユニアミド」などの高付加価値品の販売が拡大したことにより、収益は増加した。この結果、事業全体で増収増益となった。
樹脂事業では、熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂「エリーテル」は、海外向け太陽電池用途などで好調に推移し、当社独自のポリアリレート樹脂「Uポリマー」も、情報端末機器用途で好調であったが、汎用のエステル樹脂は低調に推移した。当社独自処方の高輝度メタリックナノコンポジットナイロン樹脂等の高付加価値品は、自動車用途等で採用が拡大した。この結果、事業全体で減収増益となった。
不織布事業では、ポリエステルスパンボンドは、インテリア、建築材料などの産業資材用途等で販売数量を伸ばしたが、それ以外の用途では低調に推移した。タイ子会社のTHAI UNITIKA SPUNBOND CO.,LTD.(タスコ)は、カーペットなど産業資材用途での海外展開が堅調に推移した。コットンスパンレースは、スキンケア用品などの生活資材用途が好調に推移し、輸出数量も増加した。この結果、事業全体で減収増益となった。
以上の結果、高分子事業の売上高は55,057百万円(前期比2.2%減)、営業利益は10,035百万円(同25.4%増)となった。
[機能材事業]
ガラス繊維事業では、産業資材分野は、土木用途での販売が低調に推移したが、建築用途や環境用途などは堅調に推移した。電子材料分野のICクロスは、情報端末機器用途での需要回復が遅れ、低調に推移した。
ガラスビーズ事業では、反射材用途は一部ユーザーからの受注が減少したが、自動車部品などの工業用途や国内のロードマーキング用途は堅調に推移し、商品構成の改善等の効果もあって、事業全体として収益は増加した。
活性炭繊維事業では、主力の浄水器用途は水栓一体型が好調であったものの、全体的には需要がやや伸び悩んだ。一方、自動車用VOC除去フィルターや工業用フィルター用途などは好調に推移した。
以上の結果、機能材事業の売上高は12,089百万円(同1.5%増)、営業利益は1,130百万円(同21.9%減)となった。
[繊維事業]
産業繊維事業では、ポリエステル高強力糸は、複合繊維など高付加価値品への商品構成シフトが進み、期後半からの土木・建築用途の需要回復もあり、収益は増加した。ポリエステル短繊維は、前期までに実施した構造改革による事業縮小に伴い、売上は減少したが、高付加価値品の拡販を進め、計画どおりの収益を確保した。
衣料繊維事業では、ユニフォーム分野は、ワーキング用途で堅調に推移したことに加え、調達コストの低減もあり収益が改善した。レディス分野では、高発色性高反撥ポリエステル素材「ゼログ」が婦人服市場でヒット商品となった一方で、スポーツや寝装、インナー用途での素材販売及びデニム輸出は振るわず、事業全体の売上は減少した。
以上の結果、繊維事業の売上高は55,535百万円(同15.1%減)、営業利益は1,932百万円(同21.8%増)となった。
[その他]
その他の事業については、前期に実施した事業ポートフォリオ改革に伴う子会社の株式譲渡・清算、事業譲渡の影響などにより、売上高は3,536百万円(同72.4%減)、営業損失は578百万円(前期は630百万円の損失)となった。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ5,133百万円減少し、36,890百万円となった。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に減価償却費などを加えたキャッシュ・イン・フローなどにより、18,111百万円の資金の増加(前期比55.3%増)となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資に伴う支出などにより、4,158百万円の資金の減少(前期は4,124百万円の資金の増加)となった。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済などにより、19,089百万円の資金の減少(前期は5,010百万円の資金の減少)となった。