有価証券報告書-第206期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/24 16:16
【資料】
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【項目】
178項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、一世紀を超える歴史の中で培った技術と経験を生かし、つねに時代が求める新しい技術・製品を提供することで先端産業を支え、人・社会・地球環境にとってより豊かで持続可能な未来の創造に貢献し続けることを企業理念としております。IT関連の超精密加工用研磨材を主とした研磨材事業、医薬および機能化学合成製品等の中間体の受託生産を柱とした化学工業品事業、インナーウエアを中心とする製品に重点を置いた生活衣料事業などに積極的に経営資源を投入し、安定した収益体質の構築を目指しております。
また、健全な企業経営・会計慣行を維持し、透明性の高いキャッシュ・フロー経営を実践しております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、持続的成長と中長期的な企業価値向上を目的として、利益目標(営業利益、当期純利益)およびROEを、また財務体質の強化を図るため自己資本比率を、それぞれ経営指標としております。
(3)経営環境
当社グループは、持株会社である富士紡ホールディングス株式会社と事業子会社から構成され、超精密加工用研磨材を扱う研磨材事業、ファインケミカル中間体の受託製造を行う化学工業品事業、紡績・テキスタイル・アパレルを中心とする生活衣料事業、車両・自動車部品等の輸出やプラスチック成形の技術開発などのその他の事業を展開しています。
研磨材事業は、半導体デバイス用途(CMP)、シリコンウエハー用途、ハードディスク用途、液晶ガラス用途など、様々なITデバイスをその製造工程でポリシングする超精密加工用研磨材を主要製品としており、世界中のITデバイス関連企業に販売しております。最先端プロセス、次世代プロセスのITデバイス製造に対応可能な研磨材の開発を、最新の研究機器・検査機器・製造設備を用いて、ユーザーと共同で進めております。当連結会計年度は、超精密加工用研磨材の半導体デバイス用途(CMP)は、生成AIの普及による最先端ロジック向け半導体の需要増加により受注が堅調に推移しました。シリコンウエハー用途は、汎用品用途の需要は弱いものの、先端品用途の需要は堅調で一定水準の売上を確保しました。ハードディスク用途はデータセンター向けの需要が戻り、液晶ガラス用途では中国の家電補助金政策によりパネル需要が好調に推移し、受注が増加しました。
化学工業品事業は、長年培った有機合成のノウハウを活かし、大手化学メーカーからの医薬原料、農薬、電材、機能性化学品など有機合成品の中間体の受託製造を行っております。国内有数の化学工業品受託工場を保有し、多種多様な反応に対応できる生産設備で、優れた品質管理と確実な納期対応、高レベルの環境対応、徹底した安全管理のもと、高品質と多品種・小ロットのスピード生産体制で顧客のニーズに応えております。当連結会計年度は、機能性材料、医薬中間体および農薬中間体などの受託製造は、半導体を含む電子材料市場の拡大が継続していることに加え、在庫調整が続いていた農薬市況においても緩やかな回復傾向が見られ、受注が堅調に推移しました。米国の通商政策や中東情勢緊迫化の影響を受けることなく、工場の稼働は総じて高い水準を維持しました。
生活衣料事業は、インナーウエアを中心とする繊維製品および原糸や染色加工など高機能繊維素材の製造・加工・販売を行っております。繊維製品では、原糸紡績から製品縫製までグループ内で一貫して携わる体制で産み出す高品質を武器に、多くのユーザーから支持されている「B.V.D.」や、ハイエンド商品を展開する「アサメリー」「エアメリー」などのブランドで、メンズ・レディースに幅広く展開する製品を、様々な販売チャネルで消費者に提供しております。繊維素材では、長年培ってきた紡績・加工技術を駆使して開発した高機能素材を、ファッション衣料用途から産業資材用途まで、ユーザーニーズに合わせて提供しております。当連結会計年度は、繊維素材は、人件費の増加やコスト高騰、円安の影響により、依然として厳しい経営環境が続いています。機能性繊維を製造してきた小坂井工場は、経営資源を高採算事業に集中させる方針のもと、生産・販売を終了しました。繊維製品は、主力である年間定番品が売場の縮小や消費者の買い控えの影響を受け、売上が減少しました。また、海外向け販売も日中対立の影響により新規受注が減少しています。一方、アウトドア向け製品では、ECと実店舗を組み合わせた販売戦略を展開し、専門店への卸売や販促活動の強化を進めるなど、積極的な取り組みを行っています。
その他の事業は、デジタルカメラ・医療機器・自動車用部品の射出成形を行う化成品事業、プラスチック用射出成形金型の設計・制作を行う金型事業、中米カリブ海地域へ向けて自動車の輸出を行う自動車事業などで構成されています。化成品部門では、デジタルカメラや医療機器、自動車に欠かせない高精度のプラスチック射出成形技術で、金型部門では、自動車用部品を中心に幅広いサイズの成形機に対応できる金型の設計・制作・メンテナンスで、激しいユーザーニーズの変化に対応しております。当連結会計年度は、化成品部門は、医療機器用部品やデジタルカメラ用部品の受注が堅調に推移しました。一方、金型部門においては、自動車用途では業界全体の不透明感が続いており、回復には至っていません。また、事務機器用途では開発案件の端境期にあたるため、売上が伸び悩んでいますが、医療分野を中心とした新規分野への展開を積極的に進めています。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、2006年度の中期経営計画『変身06-10』から『増強21-25』に至るまで、5つの中期経営計画を策定し、着実に実行してまいりました。『増強21-25』では、事業ポートフォリオの見直しや重点事業の強化、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に努め、各事業の成長基盤の増強と収益力向上に取り組んできました。その結果、半導体市場の不振による厳しい環境もありましたが、2024年度以降は業績が回復し、2025年度は営業利益・当期純利益ともに過去最高となりました。
この期間中、主力の研磨材事業では、生産能力の増強を進めるとともに、壬生川工場に技術開発棟、台湾に研究開発施設の建設を進めました。化学工業品事業では、柳井工場の第5プラント建設、生活衣料事業ではEC推進と高収益製品への注力、その他の事業では、化成品部門で大分工場の成形工場増設を実施しました。また、人事制度面では賃金引き上げ、休日増加、労働時間の統一化など、福利厚生の充実と抜擢型人事の強化にも取り組みました。
この『増強21-25』に続き、2026年度から2030年度を計画期間とする中期経営計画『進化26-30』を策定し、2026年4月より実行しております。新たにめざす方向性としては、堅調な成長が期待できる半導体市場を背景に、2035年度での大幅な売上拡大(売上高1,000億円、営業利益200億円の達成)を目標とした飛躍的な成長ステージへの到達をめざしています。
本中期経営計画では、事業基盤の進化として、研磨材や化学工業品を中心とした事業体制への更なる転換を図るとともに、機能基盤の強化にも注力し、当社をさらに上のステージへ引き上げてまいります。具体的な施策としては、計画期間の5年間で480億円の設備投資を実施し、新規事業の開発や新たな分野への事業拡大にも積極的に取り組みます。加えて、従業員の成長促進と働きやすい職場づくりを一層強化し、組織全体の総合力と成長力の向上をめざします。
計画期間の前半3年間では、『増強21-25』で得られた成果を活かし、営業利益100億円の早期達成を図ります。後半2年間では、新たに構築した基盤をもとに、2030年度での売上高650億円、営業利益130億円の達成に向けて成長を加速させてまいります。

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