有価証券報告書-第195期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)
(1) 今後のわが国経済の動向については、引き続き緩やかな回復基調が続くと思われる。政府による経済対策の効果に加え、円安による輸出環境の改善が続き、景気は徐々に回復することを期待できる状況である。ただし、円安傾向や消費増税による消費回復の遅れが長期化する場合は、輸入関連業態や川下の小売関連業態で引き続き下押しリスクに注意が必要な環境である。
当社グループは、平成22年3月期(第190期)において、紳士服販売子会社の不振が損益面に強く影響を与えたことなどにより、連続して営業損失および当期純損失を計上するとともに、「サントムーン柿田川」の第2期開発および第3期開発資金や紳士服販売子会社の赤字運転資金などの負担から、有利子負債額が高水準となっていた。当該状況の改善は進めているものの、その解消には至っておらず、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在している。
この状況に対処すべく、平成23年3月期(第191期)からの3年間にわたり「中期経営計画2010~KAIKAKU~」に基づき「事業構造の改革」と「コスト構造の改革」を柱とする諸施策への取り組みを進めた結果、ほぼ計画通り諸施策を実現し、損益面でも2期連続で最終黒字を計上するとともに、財務面では「有利子負債の圧縮」について中期経営計画を上回る圧縮を行うなど、損益面・財務面での改善を行った。
平成26年3月期(第194期)には、従来の構造改革路線から成長路線へ踏み出すことを基本的な考え方とした「中期経営計画 Beyond 120th~120周年を超えて未来へ~」をスタートさせ、不動産事業とヘルスケア事業などへの取り組みを柱とした成長戦略と生産管理型OEM事業などの基盤事業を中心とした安定化戦略に取り組み、3期連続の最終黒字を確保した。
しかしながら、「1.業績等の概要」に記載のとおり、当期(第195期)は消費増税後の市況回復が遅れたことや円安の進展による輸入コスト上昇などを背景に、スリム化事業に位置付けたメンズスーツ事業および強化事業として取り組んできた素材・デザイン提案型OEM事業において、急激に採算が悪化したことを主因に通期業績予想を修正するに至った。その後、より一層の採算性の改善に取り組むべくメンズスーツ事業の人員削減や輸入コスト上昇分の価格転嫁に鋭意努めてきたものの、輸入コストの販売価格への転嫁が進まず、市況の改善も見込み難いため、これ以上の赤字の長期化を回避すべく、抜本的な繊維・アパレル事業の構造改革に取り組むこととした。この構造改革諸施策を確実に実施することで繊維・アパレル事業損益を改善するとともに、成長戦略への継続取り組みなどにより、平成28年3月期(第196期)には当期純利益の黒字化を図る計画である。
具体的には、当社グループとして以下の項目に重点的に取り組んでいく所存である。
対処すべき課題の一つ目は、「繊維・アパレル事業の構造改革」の実施である。
そのため、中期経営計画を一部見直し、紳士服販売子会社の解散および特別清算の実施、素材・デザイン提案型OEM事業からの撤退を柱に人件費を含む販売管理費の削減に取り組む。また、為替リスクに晒される海外生産関連品の仕入を圧縮し、為替リスクをコントロールできる体制に変更する。さらに、繊維・アパレル事業においては、少数精鋭で小回りが利く当社の強みを活かして、同事業の中でもプロフェッショナリティの高い専門分野であるユニフォーム事業・生産管理型OEM事業・ニット企画提案事業に人材を集中し、専門家集団として顧客に信頼され付加価値の高い営業を徹底する。こうした繊維・アパレル事業の構造改革の実施により、赤字体質から脱却し安定的に黒字を確保できる体制を再構築する方針である。
対処すべき課題の二つ目は、「成長戦略」への取り組みにより収益力の増強を目指すことである。
そのため、不動産事業のうち静岡県下有数の商業施設である「サントムーン柿田川」を中心とする商業施設事業で培ったノウハウを活かしてプロパティマネジメント業務の新たな展開を図ることで不動産事業を「主力事業」に育成する。また「強化事業」として、繊維・アパレル事業のうち従来注力してきた提案型OEM事業の中からニット企画提案型OEM事業、さらに当社が販売基盤を持ち、かつ市場の拡大が見込まれる健康医療関連事業および中国関連事業に経営資源をシフトし取組みを強化する方針である。
対処すべき課題の三つ目は、「安定化戦略」に基づき、繊維・アパレル事業の安定的黒字化を目指すことである。
そのため、繊維・アパレル事業のうちユニフォーム事業、生産管理型OEM事業および一般寝装品事業の3つの事業を「基盤事業」に位置付け、安定的な受注の獲得に注力し確実に収益を確保する方針である。
以上三つの課題に掲げた諸施策を推進することで、当社グループの損益構造の基盤を固めるとともに、繊維・アパレル事業部門における連結営業損益の早期黒字化を図る。併せて、平成28年3月期(第196期)においては、最終黒字を確保するとともに余剰営業資金により引き続き「有利子負債の圧縮」を進める計画である。
対処すべき課題の四つ目は、「リスク管理の強化」である。特に、内部管理強化委員会を軸にトラブルクレームの撲滅に努めるとともに、与信・為替リスクマネージメントの向上に取り組む。
対処すべき課題の五つ目は、「プロ人材の育成・活用」である。高度なスキルを有する人材の育成を進めるとともに、社内外のプロ人材の力量を発揮できるステージを用意し、最大限活用する。
また、取締役会の監督機能の強化と業務執行責任の明確化を図るとともに、当社グループの将来を担う若手経営者候補を育成する観点から、平成25年7月に執行役員制度を導入し、経営体制の強化に努めている。
以上により、当社グループは、「中期経営計画 Beyond 120th~120周年を超えて未来へ~」を遂行し、永続的な事業基盤を構築するとともに、120周年を超えて未来を託せる人材育成に取り組み、当社グループ社員の総力を結集して新たなステージでの成長に取り組む所存である。
(2) 当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
① 基本方針の内容の概要
当社は、公開会社である当社の株券等については、株主、投資家の皆様による自由な取引が認められており、当社の株券等に対する大量買付行為(下記③ロで定義される。以下同じである。)があった場合、これに応じるか否かの判断は、最終的には当社の株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えている。
しかしながら、近時わが国の資本市場においては、対象となる企業の経営陣の賛同を得ずに、一方的に大量買付行為を強行する動きが見受けられる。こうした大量買付行為の中には、対象会社の企業価値および会社の利益ひいては株主共同の利益に資さないものも想定される。
当社としては、このような当社の企業価値および会社の利益ひいては株主共同の利益の向上に資さない大量買付行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者としては不適切であると考えており、このような者が現れた場合には、必要かつ相当な対抗手段を講じることが必要であると考えている。
② 基本方針の実現に資する特別な取組みの内容の概要
当社取締役会は、下記の取組みは、下記イ記載の当社の企業価値の源泉を十分に理解した上で策定されており、当社の企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益を中長期的に向上するべく十分に検討されたものであることから、上記の基本方針に沿うものであり、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、また当社役員の地位の維持を目的とするものでもないと考えている。
イ.当社の企業価値の源泉について
当社は、日本で最初の毛織会社として、三井家始め東京の財界有力者による出資を得て明治29年(1896年)2月に設立された。爾来、明治から昭和初期にかけて日本経済成長の牽引車となった繊維業界の主要企業の一つとして、経済・社会の発展に永年に渡り貢献してきた。毛織物の一貫生産体制を早くに確立したことから、官需・民需ユニフォーム事業にも強みを発揮し、警察・消防ほか諸官庁向け制服や前回の東京オリンピック関連ユニフォームなど数々の実績を挙げた。また、昭和40年代には、紳士スーツの量産体制を整え、米国有力ブランドとも提携するなど、アパレル業界の発展にも広く関わってきた。さらに、平成に入り、中国の有力企業集団である杉杉集団と合弁で紳士スーツ製造工場を設立するなど中国での繊維事業に進出し、また、平成20年にはニット事業に強みを有した株式会社コスモエイの提案型OEM事業を譲り受け、新たにニット企画営業にも乗り出した。特に、今後の繊維アパレル事業を支えていくことを期待している事業である「ユニフォーム事業」「生産管理型OEM事業」「ニット企画営業」は、こうした歴史の中で育んできた事業群である。なお、その後の国内繊維産業の低迷を背景に、平成14年に当社最大の国内紡績工場であった鈴鹿工場を閉鎖するなど、必要に応じて、リストラ策についても断行してきた。
一方、国内繊維産業の低迷が長引く中、静岡県駿東郡において当社の三島工場跡地を利用した地域密着型の大型商業施設「サントムーン柿田川」の開発に乗り出し、現在では、商業施設事業を当社の収益の源泉たる主力事業となるまでに育成してきている。
また、昭和55年に鈴鹿工場内で寝具製造事業をスタートさせ、平成2年から平成3年にかけて寝装品販売子会社設立、新潟県十日町市に寝装品製造子会社設立など新しい事業展開に取り組み、製版一体事業として長年にわたり取り組んできた。その後、平成26年には、高齢化社会の到来を睨み、寝装事業をさらに発展させ、今後の成長が期待できる「健康素材・健康医療機器・健康食品」の3分野を中心としたヘルスケア事業本部を新設している。
当社は、現在「中期経営計画 Beyond 120th~120周年を超えて未来へ~」に基づく経営戦略を進めるとともに、事業環境の変化に即応して繊維・アパレル事業の構造改革を断行するなど、約120年の歴史に裏打ちされた実績および将来に向けた新たな視点に基づき、長期持続的かつ安定的な成長を目指していく所存である。
「中期経営計画 Beyond 120th~120周年を超えて未来へ~」では、まず当社グループの収益力増強を目指すことを柱にした成長戦略として、収益の柱である商業施設事業を「主力事業」に育成するとともに、今後とも拡大が期待できる事業としてヘルスケア事業、ニット企画提案型OEM事業、中国事業の3つの事業を現時点で「強化事業」に選定し、取り組みを強化する方針としている。
また、安定化戦略として、ユニフォーム事業、生産管理型OEM事業および一般寝装品事業の3つの事業を「基盤事業」に位置付け、安定的な受注の獲得に注力し確実に収益を確保する方針としている。
さらに、平成27年3月期の繊維・アパレル事業の業績不振に対する対策として構造改革を実施することとし、中期経営計画でスリム化事業に位置付けていたメンズスーツ事業からの撤退などの諸施策により、繊維・アパレル事業の赤字体質から抜本的に脱却する方針である。
以上により、当社グループは、永続的な事業基盤を構築するとともに、120周年を超えて未来を託せる人材育成に取り組み、当社グループ社員の総力を結集して新たなステージでの成長に取り組んでいく所存である。
こうした歴史と実績をもとに、長年にわたり信頼関係を構築したお取引様各位と経験豊かで専門的技量を有する当社グループ社員一同が一丸となって当社の事業を育んでいくことが当社の企業価値の源泉であり、これら企業価値の源泉を理解し運営することにより、会社の利益ひいては株主の皆様共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことが可能になると考えている。
ロ.コーポレート・ガバナンスの状況について
コーポレート・ガバナンスに関する取組みについては、下記「第4 6 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載している。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの具体的な内容の概要
イ.企業価値の向上および会社の利益ひいては株主共同の利益の実現
当社は、大量買付行為が行われた場合、当該大量買付行為が当社の企業価値の向上および会社の利益ひいては株主共同の利益の実現に資するものであるか否か、株主の皆様に適切にご判断いただき、当社株券等の大量買付行為に関する提案に応じるか否かを決定していただくためには、大量買付者(下記ロで定義される。以下同じ。)および当社取締役会の双方から適切かつ十分な情報が提供され、検討のための十分な期間が確保されることが不可欠であると考えている。また、当社取締役会は、当社の企業価値および会社の利益ひいては株主共同の利益の確保または向上の観点から大量買付行為の条件・方法を変更・改善させる必要があると判断する場合には、大量買付行為の条件・方法について、大量買付者と交渉するとともに、株主の皆様に対して代替案の提案等を行う必要もあると考えているので、そのために必要な時間も十分に確保されるべきである。
当社は、このような考え方にたち、平成27年5月19日開催の取締役会において、当社株券等の大量買付行為への対応策(買収防衛策)(以下「本プラン」という。)の導入を決定し、平成27年6月25日開催の当社第195回定時株主総会にて、本プランの導入は株主の皆様により承認、可決された。本プランは、大量買付者に対し、本プランの遵守を求めるとともに、大量買付者が本プランを遵守しない場合、並びに大量買付行為が当社の企業価値および会社の利益ひいては株主共同の利益を著しく害するものであると判断される場合の対抗措置を定めている。
ロ.本プランの対象となる行為
本プランの対象となる行為は、概ね、当社の株券等の20%以上の買付けその他の有償の譲受けまたはこれらに類似する行為(以下「大量買付行為」という。)であり、本プランは大量買付行為が行われる場合に、大量買付行為を行い又は行おうとする者(以下「大量買付者」という。)に対し、事前に株主の皆様及び当社取締役会による当該大量買付行為の内容の検討に必要な情報の提供を求め、かつ、株主の皆様及び当社取締役会による大量買付行為についての情報の収集及び検討のために必要な一定の期間を確保したうえで、必要に応じて、大量買付者との間で大量買付行為に関する条件・方法について交渉し、また、当社取締役会として、株主の皆様に代替案を提示するなどの対応を行うための手続きを定めている。
ハ.対抗措置の概要
本プランは、大量買付者が大量買付行為を行うに当たり、所定の手続きに従うことを要請するとともに、かかる手続きに従わない場合や、かかる手続きに従った場合であっても当該大量買付行為が当社の企業価値および会社の利益ひいては株主共同の利益を著しく害するものであると判断される場合には、かかる大量買付行為に対する対抗措置として、原則として新株予約権を株主の皆様に無償で割り当てるものである。
本プランに従って割り当てられる新株予約権(以下「本新株予約権」という。)には、①大量買付者及びその関係者による行使を禁止する行使条件や、②当社が本新株予約権の取得と引換えに大量買付者及びその関係者以外の株主の皆様に当社株式を交付する取得条項等を付すことが予定されている。
本新株予約権の無償割当てが実施された場合、かかる行使条件や取得条項により、当該大量買付者及びその関係者の有する議決権の当社の総議決権に占める割合は、大幅に希釈化される可能性がある。
ニ.独立委員会の設置
本プランに定めるルールに従って一連の手続が遂行されたか否か、並びに、本プランに定めるルールが遵守された場合に当社の企業価値および会社の利益ひいては株主共同の利益を確保しまたは向上させるために必要かつ相当と考えられる一定の対抗措置を講じるか否かについては、当社取締役会が最終的な判断を行うが、その判断の合理性および公正性を担保するために、当社は、当社取締役会から独立した組織として、独立委員会を設置している。独立委員会の委員は、3名以上5名以下とし、社外取締役、社外監査役、弁護士、税理士、公認会計士、学識経験者、投資銀行業務に精通している者および他社の取締役または執行役として経験のある社外者等の中から当社取締役会が選任するものとする。
ホ.情報開示
当社は、本プランに基づく手続きを進めるに当たって、大量買付行為があった事実、大量買付者から大量買付行為の内容の検討に必要な情報が提供された事実、独立委員会の判断の概要、対抗措置の発動・不発動の決定の概要、対抗措置の発動に関する事項その他の事項について、適時かつ適切に株主の皆様に情報開示を行う。
④ 本プランの合理性(本プランが基本方針に沿い、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものではないことおよびその理由)
当社取締役会は、以下の理由により、本プランが、上記①の基本方針に沿うものであり、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、また当社役員の地位の維持を目的とするものでもないと考えている。
イ.買収防衛策に関する指針の要件等を完全に充足していること
ロ.企業価値および会社の利益ひいては株主共同の利益の確保または向上を目的として導入されていること
ハ.株主意思を重視するものであること
ニ.独立性の高い社外者の判断を重視していること
ホ.合理的な客観的要件を設定していること
ヘ.独立した地位にある第三者専門家の助言を取得できること
ト.デッドハンド型買収防衛策やスローハンド型買収防衛策ではないこと
なお、買収防衛策の詳細については、当社のホームページ(http://www.daitobo.co.jp/)を参照。
当社グループは、平成22年3月期(第190期)において、紳士服販売子会社の不振が損益面に強く影響を与えたことなどにより、連続して営業損失および当期純損失を計上するとともに、「サントムーン柿田川」の第2期開発および第3期開発資金や紳士服販売子会社の赤字運転資金などの負担から、有利子負債額が高水準となっていた。当該状況の改善は進めているものの、その解消には至っておらず、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在している。
この状況に対処すべく、平成23年3月期(第191期)からの3年間にわたり「中期経営計画2010~KAIKAKU~」に基づき「事業構造の改革」と「コスト構造の改革」を柱とする諸施策への取り組みを進めた結果、ほぼ計画通り諸施策を実現し、損益面でも2期連続で最終黒字を計上するとともに、財務面では「有利子負債の圧縮」について中期経営計画を上回る圧縮を行うなど、損益面・財務面での改善を行った。
平成26年3月期(第194期)には、従来の構造改革路線から成長路線へ踏み出すことを基本的な考え方とした「中期経営計画 Beyond 120th~120周年を超えて未来へ~」をスタートさせ、不動産事業とヘルスケア事業などへの取り組みを柱とした成長戦略と生産管理型OEM事業などの基盤事業を中心とした安定化戦略に取り組み、3期連続の最終黒字を確保した。
しかしながら、「1.業績等の概要」に記載のとおり、当期(第195期)は消費増税後の市況回復が遅れたことや円安の進展による輸入コスト上昇などを背景に、スリム化事業に位置付けたメンズスーツ事業および強化事業として取り組んできた素材・デザイン提案型OEM事業において、急激に採算が悪化したことを主因に通期業績予想を修正するに至った。その後、より一層の採算性の改善に取り組むべくメンズスーツ事業の人員削減や輸入コスト上昇分の価格転嫁に鋭意努めてきたものの、輸入コストの販売価格への転嫁が進まず、市況の改善も見込み難いため、これ以上の赤字の長期化を回避すべく、抜本的な繊維・アパレル事業の構造改革に取り組むこととした。この構造改革諸施策を確実に実施することで繊維・アパレル事業損益を改善するとともに、成長戦略への継続取り組みなどにより、平成28年3月期(第196期)には当期純利益の黒字化を図る計画である。
具体的には、当社グループとして以下の項目に重点的に取り組んでいく所存である。
対処すべき課題の一つ目は、「繊維・アパレル事業の構造改革」の実施である。
そのため、中期経営計画を一部見直し、紳士服販売子会社の解散および特別清算の実施、素材・デザイン提案型OEM事業からの撤退を柱に人件費を含む販売管理費の削減に取り組む。また、為替リスクに晒される海外生産関連品の仕入を圧縮し、為替リスクをコントロールできる体制に変更する。さらに、繊維・アパレル事業においては、少数精鋭で小回りが利く当社の強みを活かして、同事業の中でもプロフェッショナリティの高い専門分野であるユニフォーム事業・生産管理型OEM事業・ニット企画提案事業に人材を集中し、専門家集団として顧客に信頼され付加価値の高い営業を徹底する。こうした繊維・アパレル事業の構造改革の実施により、赤字体質から脱却し安定的に黒字を確保できる体制を再構築する方針である。
対処すべき課題の二つ目は、「成長戦略」への取り組みにより収益力の増強を目指すことである。
そのため、不動産事業のうち静岡県下有数の商業施設である「サントムーン柿田川」を中心とする商業施設事業で培ったノウハウを活かしてプロパティマネジメント業務の新たな展開を図ることで不動産事業を「主力事業」に育成する。また「強化事業」として、繊維・アパレル事業のうち従来注力してきた提案型OEM事業の中からニット企画提案型OEM事業、さらに当社が販売基盤を持ち、かつ市場の拡大が見込まれる健康医療関連事業および中国関連事業に経営資源をシフトし取組みを強化する方針である。
対処すべき課題の三つ目は、「安定化戦略」に基づき、繊維・アパレル事業の安定的黒字化を目指すことである。
そのため、繊維・アパレル事業のうちユニフォーム事業、生産管理型OEM事業および一般寝装品事業の3つの事業を「基盤事業」に位置付け、安定的な受注の獲得に注力し確実に収益を確保する方針である。
以上三つの課題に掲げた諸施策を推進することで、当社グループの損益構造の基盤を固めるとともに、繊維・アパレル事業部門における連結営業損益の早期黒字化を図る。併せて、平成28年3月期(第196期)においては、最終黒字を確保するとともに余剰営業資金により引き続き「有利子負債の圧縮」を進める計画である。
対処すべき課題の四つ目は、「リスク管理の強化」である。特に、内部管理強化委員会を軸にトラブルクレームの撲滅に努めるとともに、与信・為替リスクマネージメントの向上に取り組む。
対処すべき課題の五つ目は、「プロ人材の育成・活用」である。高度なスキルを有する人材の育成を進めるとともに、社内外のプロ人材の力量を発揮できるステージを用意し、最大限活用する。
また、取締役会の監督機能の強化と業務執行責任の明確化を図るとともに、当社グループの将来を担う若手経営者候補を育成する観点から、平成25年7月に執行役員制度を導入し、経営体制の強化に努めている。
以上により、当社グループは、「中期経営計画 Beyond 120th~120周年を超えて未来へ~」を遂行し、永続的な事業基盤を構築するとともに、120周年を超えて未来を託せる人材育成に取り組み、当社グループ社員の総力を結集して新たなステージでの成長に取り組む所存である。
(2) 当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
① 基本方針の内容の概要
当社は、公開会社である当社の株券等については、株主、投資家の皆様による自由な取引が認められており、当社の株券等に対する大量買付行為(下記③ロで定義される。以下同じである。)があった場合、これに応じるか否かの判断は、最終的には当社の株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えている。
しかしながら、近時わが国の資本市場においては、対象となる企業の経営陣の賛同を得ずに、一方的に大量買付行為を強行する動きが見受けられる。こうした大量買付行為の中には、対象会社の企業価値および会社の利益ひいては株主共同の利益に資さないものも想定される。
当社としては、このような当社の企業価値および会社の利益ひいては株主共同の利益の向上に資さない大量買付行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者としては不適切であると考えており、このような者が現れた場合には、必要かつ相当な対抗手段を講じることが必要であると考えている。
② 基本方針の実現に資する特別な取組みの内容の概要
当社取締役会は、下記の取組みは、下記イ記載の当社の企業価値の源泉を十分に理解した上で策定されており、当社の企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益を中長期的に向上するべく十分に検討されたものであることから、上記の基本方針に沿うものであり、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、また当社役員の地位の維持を目的とするものでもないと考えている。
イ.当社の企業価値の源泉について
当社は、日本で最初の毛織会社として、三井家始め東京の財界有力者による出資を得て明治29年(1896年)2月に設立された。爾来、明治から昭和初期にかけて日本経済成長の牽引車となった繊維業界の主要企業の一つとして、経済・社会の発展に永年に渡り貢献してきた。毛織物の一貫生産体制を早くに確立したことから、官需・民需ユニフォーム事業にも強みを発揮し、警察・消防ほか諸官庁向け制服や前回の東京オリンピック関連ユニフォームなど数々の実績を挙げた。また、昭和40年代には、紳士スーツの量産体制を整え、米国有力ブランドとも提携するなど、アパレル業界の発展にも広く関わってきた。さらに、平成に入り、中国の有力企業集団である杉杉集団と合弁で紳士スーツ製造工場を設立するなど中国での繊維事業に進出し、また、平成20年にはニット事業に強みを有した株式会社コスモエイの提案型OEM事業を譲り受け、新たにニット企画営業にも乗り出した。特に、今後の繊維アパレル事業を支えていくことを期待している事業である「ユニフォーム事業」「生産管理型OEM事業」「ニット企画営業」は、こうした歴史の中で育んできた事業群である。なお、その後の国内繊維産業の低迷を背景に、平成14年に当社最大の国内紡績工場であった鈴鹿工場を閉鎖するなど、必要に応じて、リストラ策についても断行してきた。
一方、国内繊維産業の低迷が長引く中、静岡県駿東郡において当社の三島工場跡地を利用した地域密着型の大型商業施設「サントムーン柿田川」の開発に乗り出し、現在では、商業施設事業を当社の収益の源泉たる主力事業となるまでに育成してきている。
また、昭和55年に鈴鹿工場内で寝具製造事業をスタートさせ、平成2年から平成3年にかけて寝装品販売子会社設立、新潟県十日町市に寝装品製造子会社設立など新しい事業展開に取り組み、製版一体事業として長年にわたり取り組んできた。その後、平成26年には、高齢化社会の到来を睨み、寝装事業をさらに発展させ、今後の成長が期待できる「健康素材・健康医療機器・健康食品」の3分野を中心としたヘルスケア事業本部を新設している。
当社は、現在「中期経営計画 Beyond 120th~120周年を超えて未来へ~」に基づく経営戦略を進めるとともに、事業環境の変化に即応して繊維・アパレル事業の構造改革を断行するなど、約120年の歴史に裏打ちされた実績および将来に向けた新たな視点に基づき、長期持続的かつ安定的な成長を目指していく所存である。
「中期経営計画 Beyond 120th~120周年を超えて未来へ~」では、まず当社グループの収益力増強を目指すことを柱にした成長戦略として、収益の柱である商業施設事業を「主力事業」に育成するとともに、今後とも拡大が期待できる事業としてヘルスケア事業、ニット企画提案型OEM事業、中国事業の3つの事業を現時点で「強化事業」に選定し、取り組みを強化する方針としている。
また、安定化戦略として、ユニフォーム事業、生産管理型OEM事業および一般寝装品事業の3つの事業を「基盤事業」に位置付け、安定的な受注の獲得に注力し確実に収益を確保する方針としている。
さらに、平成27年3月期の繊維・アパレル事業の業績不振に対する対策として構造改革を実施することとし、中期経営計画でスリム化事業に位置付けていたメンズスーツ事業からの撤退などの諸施策により、繊維・アパレル事業の赤字体質から抜本的に脱却する方針である。
以上により、当社グループは、永続的な事業基盤を構築するとともに、120周年を超えて未来を託せる人材育成に取り組み、当社グループ社員の総力を結集して新たなステージでの成長に取り組んでいく所存である。
こうした歴史と実績をもとに、長年にわたり信頼関係を構築したお取引様各位と経験豊かで専門的技量を有する当社グループ社員一同が一丸となって当社の事業を育んでいくことが当社の企業価値の源泉であり、これら企業価値の源泉を理解し運営することにより、会社の利益ひいては株主の皆様共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことが可能になると考えている。
ロ.コーポレート・ガバナンスの状況について
コーポレート・ガバナンスに関する取組みについては、下記「第4 6 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載している。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの具体的な内容の概要
イ.企業価値の向上および会社の利益ひいては株主共同の利益の実現
当社は、大量買付行為が行われた場合、当該大量買付行為が当社の企業価値の向上および会社の利益ひいては株主共同の利益の実現に資するものであるか否か、株主の皆様に適切にご判断いただき、当社株券等の大量買付行為に関する提案に応じるか否かを決定していただくためには、大量買付者(下記ロで定義される。以下同じ。)および当社取締役会の双方から適切かつ十分な情報が提供され、検討のための十分な期間が確保されることが不可欠であると考えている。また、当社取締役会は、当社の企業価値および会社の利益ひいては株主共同の利益の確保または向上の観点から大量買付行為の条件・方法を変更・改善させる必要があると判断する場合には、大量買付行為の条件・方法について、大量買付者と交渉するとともに、株主の皆様に対して代替案の提案等を行う必要もあると考えているので、そのために必要な時間も十分に確保されるべきである。
当社は、このような考え方にたち、平成27年5月19日開催の取締役会において、当社株券等の大量買付行為への対応策(買収防衛策)(以下「本プラン」という。)の導入を決定し、平成27年6月25日開催の当社第195回定時株主総会にて、本プランの導入は株主の皆様により承認、可決された。本プランは、大量買付者に対し、本プランの遵守を求めるとともに、大量買付者が本プランを遵守しない場合、並びに大量買付行為が当社の企業価値および会社の利益ひいては株主共同の利益を著しく害するものであると判断される場合の対抗措置を定めている。
ロ.本プランの対象となる行為
本プランの対象となる行為は、概ね、当社の株券等の20%以上の買付けその他の有償の譲受けまたはこれらに類似する行為(以下「大量買付行為」という。)であり、本プランは大量買付行為が行われる場合に、大量買付行為を行い又は行おうとする者(以下「大量買付者」という。)に対し、事前に株主の皆様及び当社取締役会による当該大量買付行為の内容の検討に必要な情報の提供を求め、かつ、株主の皆様及び当社取締役会による大量買付行為についての情報の収集及び検討のために必要な一定の期間を確保したうえで、必要に応じて、大量買付者との間で大量買付行為に関する条件・方法について交渉し、また、当社取締役会として、株主の皆様に代替案を提示するなどの対応を行うための手続きを定めている。
ハ.対抗措置の概要
本プランは、大量買付者が大量買付行為を行うに当たり、所定の手続きに従うことを要請するとともに、かかる手続きに従わない場合や、かかる手続きに従った場合であっても当該大量買付行為が当社の企業価値および会社の利益ひいては株主共同の利益を著しく害するものであると判断される場合には、かかる大量買付行為に対する対抗措置として、原則として新株予約権を株主の皆様に無償で割り当てるものである。
本プランに従って割り当てられる新株予約権(以下「本新株予約権」という。)には、①大量買付者及びその関係者による行使を禁止する行使条件や、②当社が本新株予約権の取得と引換えに大量買付者及びその関係者以外の株主の皆様に当社株式を交付する取得条項等を付すことが予定されている。
本新株予約権の無償割当てが実施された場合、かかる行使条件や取得条項により、当該大量買付者及びその関係者の有する議決権の当社の総議決権に占める割合は、大幅に希釈化される可能性がある。
ニ.独立委員会の設置
本プランに定めるルールに従って一連の手続が遂行されたか否か、並びに、本プランに定めるルールが遵守された場合に当社の企業価値および会社の利益ひいては株主共同の利益を確保しまたは向上させるために必要かつ相当と考えられる一定の対抗措置を講じるか否かについては、当社取締役会が最終的な判断を行うが、その判断の合理性および公正性を担保するために、当社は、当社取締役会から独立した組織として、独立委員会を設置している。独立委員会の委員は、3名以上5名以下とし、社外取締役、社外監査役、弁護士、税理士、公認会計士、学識経験者、投資銀行業務に精通している者および他社の取締役または執行役として経験のある社外者等の中から当社取締役会が選任するものとする。
ホ.情報開示
当社は、本プランに基づく手続きを進めるに当たって、大量買付行為があった事実、大量買付者から大量買付行為の内容の検討に必要な情報が提供された事実、独立委員会の判断の概要、対抗措置の発動・不発動の決定の概要、対抗措置の発動に関する事項その他の事項について、適時かつ適切に株主の皆様に情報開示を行う。
④ 本プランの合理性(本プランが基本方針に沿い、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものではないことおよびその理由)
当社取締役会は、以下の理由により、本プランが、上記①の基本方針に沿うものであり、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、また当社役員の地位の維持を目的とするものでもないと考えている。
イ.買収防衛策に関する指針の要件等を完全に充足していること
ロ.企業価値および会社の利益ひいては株主共同の利益の確保または向上を目的として導入されていること
ハ.株主意思を重視するものであること
ニ.独立性の高い社外者の判断を重視していること
ホ.合理的な客観的要件を設定していること
ヘ.独立した地位にある第三者専門家の助言を取得できること
ト.デッドハンド型買収防衛策やスローハンド型買収防衛策ではないこと
なお、買収防衛策の詳細については、当社のホームページ(http://www.daitobo.co.jp/)を参照。