有価証券報告書-第195期(2024/12/01-2025/11/30)

【提出】
2026/02/20 15:58
【資料】
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【項目】
197項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
ニッケグループは、長期安定的に企業価値を向上させるために、「経営理念」「経営方針」に則り、株主をはじめとする多様なステークホルダーの皆さまから信頼される経営を目指しております。
<経営理念>”人と地球に「やさしく、あったかい」企業グループとして、
わたしたちは情熱と誇りをもってチャレンジして行きます。”
<グループビジョン>・未開の分野に目を向け、「高機能商品」「地域NO.1サービス」の開発と提供へ挑戦し、みらい生活創造企業を目指します。
<経営方針>・「全員がチャレンジ精神を持ち」「人が育つ」、生命力あふれた会社を目指します。
・お客様の声と研究開発から、独自性のある商品・サービスで市場を創造します。
・常に未来を見つめ、グローバルな視点に立ち、世界に広がるお客様と社会の発展に貢献します。
・多くの市場で勝ち抜くために、広く人財を求め、多様な「知」を結集して、事業を革新・発展させます。
・お客様や株主様、社員、取引先、地域社会をはじめとした様々なステークホルダーとの永続的な信頼関係を築くことにより、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指します。
(2) 経営環境
国内の経済環境は緩やかな回復は続くものの、人口減少と高齢化の進展に伴う深刻な労働力不足、物価高による実質賃金の目減りと消費意欲の減退など、未だに景気回復の実感は乏しい状況です。世界経済におきましても、米国の関税政策を始めとした各国での保護主義の高まり、ウクライナ侵攻や不安定な中東情勢など地政学リスクはますます高まっており、サプライチェーンの見直しも必須となっております。中国の景気回復もまだ見通せない状況であり、今後も厳しい事業環境が続くと考えられます。
ニッケグループもこのような経営環境の影響を大きく受けておりますが、中長期的・グローバルな目線で変化を捉えてリスクに対処すると共に、変革や新たな市場を切り拓く「チャンス」であると捉え、RN130第3次中期経営計画を推し進めて参りました。
当社グループにおける環境認識は以下のとおりです。
<衣料繊維事業>・主力である国内スクールユニフォーム事業は、少子化により市場規模が確実に漸減していく。足元では中国の景気停滞はあるものの、円安基調から日本品に対する欧米の購買力は回復傾向であり、国内でのインバウンド需要も堅調に推移していく。
・エネルギー費、原材料費、人件費などコストの増加傾向は今後も継続する。為替相場についても今後の先行きは不透明である。
・国内外でのSDGsへの意識は引き続き高まり、顧客の要望が多様化・高度化していく。環境配慮への対応などの取り組みが必須となる取引が今後も増加していく。
<産業機材事業>・中国市場は、自動車・環境・生活関連、何れの分野においても景気低迷の影響を受けており、今後も当面継続する。米国関税政策などの影響で自動車関連を中心にグローバル市場の先行き不透明感は継続する一方、北米エリアでの事業機会は広がる。また、インフラなどの課題はあるものの、インドは更なる発展が見込まれる。
・EV化などの技術発展が進む自動車だけでなく、鉄道も含めたモビリティ産業全体でのビジネスチャンスは引き続き期待できる。家電・OA分野は、海外での堅調な需要拡大を見込む。
・SDGsへの意識の高まりと各地での規制強化が進み、環境関連の市場規模は伸長する。特に、EV関連素材やリサイクルビジネスへの需要拡大が期待できる。
<人とみらい開発事業>・商業施設では地域密着型ショッピングセンターは堅調に推移する。不動産開発では省エネビルなど資産価値を高めた物件の引き合いが増える。
・ライフサポート分野では、介護関連市場は引き続き拡大していく。スポーツ関連市場は、ゴルフはブームがピークアウトするも、テニスは今後も堅調な推移が見込まれる。
・各分野とも安定した事業拡大には、施設の計画的なメンテナンス実施、人財の確保と安定化、並びに運営力強化が喫緊の課題である。
<生活流通事業>・Eコマース市場はあらゆる分野にすそ野が広がり、その利便性から拡大基調は続く。
・一方、Eコマースはボーダレス化が進み、海外勢やメーカー直販も含め競合が増加する。大手モールの交渉力がより強くなると共に、仕入品価格や物流費、広告宣伝費の上昇基調も続く。
<メディカル分野>・国内外において、医療機器・医薬用品業界は拡大していく。
・長期的には再生医療分野の市場が拡大していく。
(3) 対処すべき課題
①RN130ビジョン第3次中期経営計画(2024~2026年度)の進捗
(単位:百万円)
第2次中期
経営計画
第3次中期経営計画(2024年度~2026年度)※1
2023年度2024年度2025年度2026年度
実績中期計画実績中期計画業績予想
※2
実績中期計画業績予想
※3
売上高113,497111,000115,438120,000121,700119,377130,000130,000
営業利益11,01611,00011,64012,00011,30011,91313,00013,000
経常利益11,63411,60012,09812,40012,00012,96713,40013,400
親会社株主に
帰属する当期純利益
7,6437,7008,9707,8008,0009,0908,8009,500

※1 2024年1月12日公表
※2 2025年7月11日公表
※3 2026年1月15日公表
(a)2025年度実績
RN130ビジョンの最終フェーズである第3次中期経営計画(2024~2026年度)では、グループビジョンに掲げる「みらい生活創造企業」の具現化に向け、着実に「前年よりも成長」することを目指しております。これにより、過去最高の売上高・各利益の更新を目標とし、その2年目である2025年度においても各種施策を実行してまいりました。
その結果、衣料繊維事業におけるユニフォーム分野での販売減はあったものの、産業機材事業では新規M&A会社が業績に寄与すると共に、不織布・FA設備・ラケットスポーツは好調に推移しました。人とみらい開発事業の商業施設運営分野や建設分野、生活流通事業のライフスタイル分野なども好調に推移し、売上高・営業利益は5期連続の増収増益を達成、営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高益を更新しました。
経営環境が激しく変化するなか、事業ごとに好不調の波はありますが、4事業が相互補完することにより営業利益は継続して110億円台を超え、グループの収益力はより強靭さを増しております。衣料繊維事業では、ユニフォーム事業における流通在庫過多に伴う販売減により減収となりました。また、売上高の減少、それに伴う生産効率の低下、物流費の上昇などの影響も受けました。産業機材事業では、不織布事業強化に向けて前年度グループ化した呉羽テック株式会社および株式会社カンキョーテクノが通期で連結業績に寄与しました。また、自動車・半導体向けを中心にFA設備の受注が好調に推移すると共に、機材事業の強化に向けて株式会社カコテクノスのグループ化を推進しました。更に、バドミントンガットの販売も好調に推移しました。人とみらい開発事業では、八重洲通フィルテラスを竣工するなど保有不動産の再開発による付加価値向上を推進しました。生活流通事業では、災害用毛布やコンテナ、家電などの販売が好調に推移しました。メディカル分野では、主力商品の販売拡大と自社開発品の市場投入を進め、営業利益増につなげました。
(b)基本戦略の進捗
(ⅰ) 成長事業や新規事業、合理化への資源の重点配分および海外ビジネスの拡大
<衣料繊維事業>・成長ドライバーの育成については、海外でのファッション向けテキスタイル販売の拡大を目指し、欧州や中国での展示会出展などプロモーション強化による認知度向上に努めています。また、当社独自開発糸を用いたニット製品の販売については、アウトドア市場での拡販を実現するため、有力ブランドとの取り組みを強化しています。
・合理化への資源配分については、省エネ・省人化を目指した製造設備への投資、並びにバリューチェーンの生産性向上を目指したデジタル化に取り組んでいます。
<産業機材事業>・成長ドライバーの育成については、自動車・環境関連市場向けの不織布事業をユニフォーム事業、不動産開発事業に続くニッケグループ第三の柱として育てるべく、前年度にグループ化した呉羽テック株式会社と株式会社カンキョーテクノの収益性向上に努めると共に、北米や東南アジアの海外販売拠点の活用も推進しました。また、更なる柱の創出を目指し、株式会社カコテクノスをグループ化することで、FA設備・機材分野強化への布石を打ちました。
・新規事業であるリサイクルビジネスについては、回収した古着からジッパーやボタンなどの異物を自動除去する新規設備が稼働し始めたことに加え、古着を反毛して再生した繊維を活用した新商材の開発にも継続して注力しました。
<人とみらい開発事業>・商業施設運営分野については、地域に根差した運営で業績は好調に推移しており、特にニッケコルトンプラザにおいては、キーテナントとして新規テナントがオープンし、顧客満足度と収益性の向上に寄与しております。
・不動産開発分野においては、八重洲通フィルテラス(旧ニッケ東京ビル跡地)や一宮遊休地・夙川社宅跡地の再開発、並びに神戸本店ビルの改修が完了し、次年度からの収益貢献への布石を打ちました。また、旧フジコー伊丹工場・加古川社宅跡地の再開発プランの検討など、保有不動産の資産価値向上への取り組みも推進しました。八重洲通フィルテラスにおいては、ZEB Ready・ZEH認証を取得しており、省エネ・再エネなど環境に配慮した施設作りも進めております。
<生活流通事業>・競争が激化するEコマース分野は、家具・寝装品・アイデア家電などの分野を中心に独自商品による差別化を図るべく、企画力やマーケティングの強化・品質向上に向け、BtoCで得た知見をBtoBで拡大させるSPA事業体のバリューチェーン構築を推進しました。
・また、EC事業に適した物流基盤の構築についても、引き続き検討を進めております。
<メディカル分野>・前年度に市場へ投入した生体吸収性シート「Pawdre®」、腹腔鏡手術用マルチポート「Dome Port™」、超音波検査サポート器具「COMPASS guide」など新規商材の拡販に注力しました。
・また、今後の市場拡大が予想される再生医療分野においては、細胞培養用ゼラチン繊維基材「Genocel®」を活用した産学連携での臨床研究や、市場ニーズの確認を推進しております。
(ⅱ) 資本効率の改善
・不採算事業や低収益不動産の見直しによる事業ポートフォリオの最適化を継続して実施しております。
・新規投資案件については、ROICを指標とした投資判断を継続しております。(目標8%、最低5%以上)
(ⅲ) 事業部内・事業部間におけるシナジー効果の創出
・衣料繊維事業においては、海外テキスタイル拡販に向けた展示会の共同出展や新規商材の共同開発などのグループ会社間連携の強化、並びに生産工程の省人化に向けた設備投資、およびバリューチェーンのデジタル化を推進しております。
・産業機材事業においては、不織布事業を担う株式会社エフアンドエイノンウーブンズ、呉羽テック株式会社、株式会社カンキョーテクノの連携を強化し、海外拠点の相互活用や新規商材の共同開発を進めております。
・資源循環システムにおいては、衣料繊維事業と産業機材事業が協働し、衣料品や副産品の回収、異物の除去、反毛、新規商材開発などのスキーム構築を進めております。
② 2026年度の施策について
2026年度は、RN130ビジョンの最終フェーズ「第3次中期経営計画」における最終年度であり、ビジョン達成に向けた総仕上げの一年となります。一方で国内外の経済環境は先行き不透明な状況が続いており、今後も更に厳しさが増すことが想定されます。この様な環境変化にしなやかに対応することで、過去最高の売上高・各利益を更新すると共に、RN130ビジョン実現に向けた各施策を実行してまいります。
グループ全体の重点方針は以下のとおりです。
・第3次中期経営計画各施策の効果発現と経営計画の達成
・次中長期ビジョン(CF140)に向けた戦略策定
・3つの投資の推進(商品開発や合理化・省エネ設備への投資、顧客拡大投資、人財投資)
・海外事業の拡大、新規事業へのチャレンジ
・人的資本の拡充(チャレンジする人財の育成、多様な能力の活用など)
・資本効率を意識した経営への取り組み(構造改革の推進、不採算物件の再開発、適正在庫の保持、ROIC・ROEの向上)
・サステナブル経営(社会とニッケグループの持続的な成長)への取り組み(SDGs、健康経営、労働災害ゼロへの取組み、CO2削減活動など)
・信頼される企業グループづくり
これらを踏まえた、各事業で取り組む施策は以下のとおりです。
<衣料繊維事業>・海外市場での拡販に向けた、現地販売機能の強化および「ニッケ」ブランドの浸透と価値向上。最終製品を意識した販売モデルへの転換とプロモーション強化。
・垂直・水平連携を意識したサプライチェーンの構築と整流化。グループ会社間の連携強化による商流の見直し・新素材開発。
・糸・生地・縫製品など様々な段階での商品提供機能の実現。バリューチェーンのデジタル化による生産管理の一元化、生産・販売の最適化、並びに適正在庫の実現。
・「服から服へ」と循環させるサーキュラーエコノミーの仕組み(WAONAS™)構築による販売拡大。
<産業機材事業>・不織布事業の収益性向上。グループ会社間の連携強化によるシナジーの追求。
・FA・機材事業の販売規模拡大。
・海外拠点の設備投資および北米を中心とした海外販売の拡大。
・付加価値商品開発による新規リサイクルビジネス(古着反毛)の軌道化。
<人とみらい開発事業>・ショッピングセンターでの新店導入による魅力アップ。
・大型開発案件のスピードアップと収益化(伊丹土地・市川コルトンプラザ南側など)。低収益不動産の再開発による資産価値の向上。
・ライフサポート分野(スポーツ・介護・保育)での、サービス品質の向上、低収益事業所の見直し、人財確保と育成による安定化、並びに業務DX化による効率化。
<生活流通事業>・商品企画・製造、コンテンツ制作、広告・販促施策など、バリューチェーンを自社グループ内で完結させるSPA(製造小売り)機能の強化。
・販売チャネルとしてEコマースを強化、併せて海外販売の拡大。
・分散している物流機能の一元管理によるサービス品質の向上。
<メディカル分野>・戦略商品(Pawdre®)および新商品(Dome Port™、COMPASS guideなど)の拡販。
・再生医療領域への挑戦。(Genocel®、Pawdre®)
③ 成長投資と株主還元について
(ⅰ)成長投資と安定的な株主還元のバランスを志向します。
(ⅱ)成長投資については、研究開発投資、M&A投資、設備投資、人財投資など、中長期的な企業価値向上の観点から積極的に実行します。
(ⅲ)株主還元
・減配しない(記念配当を除いて)、累進的な配当を基本といたします。
・配当性向については現行の30%目安から順次切り上げ、第3次中期経営計画最終年度での35%を目指します。加えて、DOE(株主資本配当率)を指標とし、第3次中期経営計画最終年度での2.5%を目標とします。なお、2025年度の配当性向は35.5%、DOEは2.5%となりました。
・投資の進捗も鑑み機動的な自己株式取得を行い、総合的な株主還元を充実させてまいります。なお、2025年度に200万株の取得・消却を実施した結果、総還元性向は69.8%となりました。
厳しさと不確実性が増す経営環境下ではありますが、RN130ビジョンを実現すべく第3次中期経営計画の達成を目指します。そして、2027年度から始まる次中長期ビジョン「CF(Create the Future)140ビジョン」で描いた「ありたい姿」の実現に向け、自社のパーパス(存在意義)を改めて見つめ直すことで、株主や顧客・従業員・サプライチェーンを始めとした各ステークホルダーから信頼され、「人が集まる」「人に選ばれる」魅力的な企業グループの創造に努めてまいります。

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