有価証券報告書-第78期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/26 13:00
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有報資料

当社のリスク管理基本規程において「リスク」とは、「当社グループにおける事業目的の達成を阻害する要因すべて」と定義しております。また「リスク管理」とは、リスクの識別・評価を行い、リスクを低減する活動を行うとともに、その活動をモニタリングすることによって、継続的に改善を行う一連の措置(平常時のリスク管理)、及び経営に対する重大な障害・事故等の緊急事態への迅速な対応(緊急時のリスク管理)を指すと定めております。
この規程に基づいてリスクを適切に認識し、発生の可能性や影響度の評価を行い、優先度を定め、リスクへの対処を決定したうえで、リスク顕在化の可能性をできるだけ低減する活動を行っております。併せて、リスクが顕在化した場合には、発生する障害・事故へ迅速な対応を行い、人びとや社会をはじめとするステークホルダーへの影響を最小限に留めるべく、リスク管理を推進しております。
(1)リスク管理体制
当連結会計年度(2026年3月期)における当社グループのリスク管理体制は、“リスク管理統括責任者(代表取締役社長執行役員)”、“企業倫理・リスク管理委員会の委員長(代表取締役副社長執行役員)”を基軸として、下図の通り、“企業倫理・リスク管理委員会(委員長が指名する委員による構成)”、また、企業倫理・リスク管理委員会の下部組織として、全社横断的な重要課題について活動方針策定やモニタリングを行う“リスク主管部署”、及び“リスク対応部会(企業倫理・リスク管理委員会が決定/設置)”、さらに、企業倫理・リスク管理委員会が定めるリスク管理(抽出、評価、対応、モニタリング)を行う“リスク管理組織”及び“リスク管理責任者”によって構成されております。
“企業倫理・リスク管理委員会”では、それぞれの“リスク管理組織”から抽出されたリスクについて、発生の可能性と影響度の観点から評価を実施し、当社グループの経営に重大な影響が想定されると評価したリスク項目を特定のうえ、毎年、“リスク管理統括責任者(代表取締役社長執行役員)”に提示し「グループ重要リスク」としての承認を踏まえております。その後、「グループ重要リスク」の項目ごとに、“リスク主管部署”、あるいは“リスク対応部会”を通してリスクを軽減化する対応策への取り組みを進め、併せて、“企業倫理・リスク管理委員会”を定期的(四半期ごと)、及び必要に応じて臨時に開催し「リスク管理体制」が有効に機能しているかどうかのモニタリングを行っております。
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(2)事業等のリスク
当該有価証券報告書に記載している「第2 事業の状況」等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に、重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクとその対策は後述の通りであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
また、前述のとおり、“企業倫理・リスク管理委員会”では当社グループの経営に重大な影響が想定されると評価・特定したリスク項目を、“リスク管理統括責任者(代表取締役社長執行役員)”へ提示し承認を受けることによって「グループ重要リスク」を定めております。なお、下図の項印、★印は「経営環境・事業戦略」に関するリスク、■印は「事業運営上」のリスクであります。
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(2)-1 経営環境・事業戦略に関するリスク
市場の構造変化
□ 発生の可能性:高□ 影響度:大
● リスクの内容
百貨店・量販店をはじめとする大規模小売店や商業施設の減少、施設上層階への売場移動、売場の縮小は、百貨店・量販店の売上シェアが高い当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。また、肌着売場の展開がない商業施設などの市場構造の変化は、既存業態の再編、営業政策の変更等をもたらし、グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。
● 対応策
小売市場の構造変化(オンラインモールやフリマアプリの市場拡大)が進んでおり、旧来の百貨店、量販店及び専門店といった卸売店舗の売上シェアは漸減していくと予測しています。
ワコールではEC事業拡大を目的に、既存のECプラットフォームでのブランド拡大に加え、新規のECプラットフォームへの出店や、オンラインとオフラインをシームレスでつなぐOMO型店舗「WACOAL is」の展開をおこなっています。一方、顧客ニーズの明確な商品を短いリードタイムで開発・提供するとともに、需要に応じて柔軟に生産・供給することで、売れ筋商品の店頭充足率を上げ、欠品による販売機会ロスを低減しています。また、「最適化されたチャネル別ブランド及び商品構成」と「継続・定番品を柱とする需要連動型生産」を組み合わせることで、売上機会の損失を最小化させ、さらなる売上拡大と在庫効率の向上を目指しています。

調達価格の上昇
□ 発生の可能性:高□ 影響度:大
● リスクの内容
サプライチェーンの構造変化が進行し、原材料の値上がりや生産地の人件費高騰、輸送コストの上昇等により仕入価格が上昇した結果、業績に影響を及ぼす可能性があります。
● 対応策
材料の調達や製品の生産においては、適切に品質とコストの両面を照合しながら、ベトナムやミャンマーをはじめとするASEANの国々や地域での調達・生産の比重を増やしています。併せて、製品の企画・設計段階から、資材・カラー集約を前提に、可能な限り、材料品種を増やさない取り組みや、海外における地産地消の取り組み、廃棄に至る製品・材料の最少化への取り組み、省力化機器導入による生産効率化への取り組みなどを進めています。さらには、製品検査工程と材料品質基準のシンプル化・適正化、商品ブランド再編による生産ロット拡大と作業能率向上などにも努めています。
他方、国内縫製会社においては、高い縫製技術を継承しつつ、顧客ニーズや市場変化の変化に迅速に対応できる需要連動型生産体制を整備することにより、競争優位性強化と事業効率向上の両立を目指します。同時に、新技術や新設備のグループ内工場における汎用的活用の実現や技術支援といった役割を果たし、短納期・高難度・小ロット生産に対応できる生産体制を広く整備し、事業効果の強化に取り組んでいます。

競争・競合環境の変化
□ 発生の可能性:中□ 影響度:大
● リスクの内容
国内外の市場において、競合会社、低価格品、また、異業種からの新規参入者などにより、市場競争が激化する中、当社が販売戦略の見直しを実施するも、商品・サービス・宣伝販促・業態開発の適切な提案ができず、結果としてブランドの想起率・認知率が低下、販売シェアが奪われ、長期的に業績が低下する可能性があります。
● 対応策
競争激化は、価格の下落、広告宣伝費の増加、売上高及び市場シェアの減少等につながり、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な影響を及ぼします。
㈱ワコールの収益力の改善と成長軌道への回帰を実現するためには、「顧客起点」を軸に、長年に亘り蓄積した顧客のデータベース、様々な体型にかかる研究・知見、心地よさを実現する製造技術、パーソナライズなニーズに寄り添いサービスを提供できる組織力といった「ワコールの強み」に、デジタル技術を用いて、顧客の「自分らしさ」を引き出しエンパワーメントする商品とサービスを提供し続けることが欠かせません。
ワコールブランドのリブランディングの効果発現の早期化に加え、強みが活かせるシニア・高補正・高価格帯等の市場強化に努めています。さらに、海外事業においては、欧州では売れ筋品番に絞ったアプローチ「Most Loved Styles」を充実させることで採用品番比率や品番効率を向上、米国ではEC売上拡大に向けて顧客が購入しやすいスマートサイズ商品を展開、中国では売れ筋商品にキャッチアップした商品構成へ短いリードタイムで変更し、顧客起点の品揃えの徹底を進めています。

消費者の価値観変化
□ 発生の可能性:中□ 影響度:大
● リスクの内容
ブランド戦略、商品、サービスが消費者の価値観変化に合わずに、顧客を獲得できず、もしくは顧客を失って経営が悪化する可能性があります。また、ブランドマネジメント、マーケティングミックスの失敗により、若年層顧客の囲い込みが適わず、一方で既存顧客の離反が進み、ブランド価値を毀損する可能性があります。
さらには、資源価格高騰、賃金の上昇、為替相場の変動を受けて原材料・製品の輸入価格が上昇する中、商品の価格に見合った顧客価値の提供が実現できないと、新規顧客の獲得の失敗や既存顧客の逸失を招く可能性があります。
● 対応策
顧客戦略においては、デジタルを活用し、最適な顧客体験の提供を進めています。店舗接点施策である3D計測「SCANBE」に、「わたしを知る骨格診断」「わたしに合うブラ診断」「からだバランス診断」サービスを新たに加え、お客さまと深く広く長い関係性を構築しています。
チャネル戦略においては、自社ECから商品を「取り置き・取り寄せ」できるサービスを開始することで、卸売チャネルの効率的な運用に取り組んでいます。ブランド戦略においては、ブランドの価値向上、顧客体験価値の最大化、需要連動型のSCM構築の継続に加え、CW-Xの大型プロモーションや新たな業態・領域の開拓により、各ブランドの拡大に取り組んでいます。

新しい市場・顧客の開拓
□ 発生の可能性:中□ 影響度:大
● リスクの内容
顧客の下着やファッションに対する相対的な関心の低下、日本の人口減少や少子高齢化による国内市場の縮小を踏まえて、当社グループは、海外市場の開拓や新業態・新分野への進出等、新規市場の開拓に取り組んでいるものの、この先、一層多様化するであろう消費者の価値観に応えきれず、計画した成果が出せないとグループ業績に影響を与える可能性があります。
● 対応策
国内では、当社ブランドとの接点が少ない潜在顧客、とりわけ若年層やアフォーダブル価格志向層に対し、購入意欲を喚起できる商品・マーケティング施策が打ち出せず、新規の顧客獲得に苦慮しています。新規顧客の獲得や既存顧客のロイヤルカスタマー化を目的に、ワコールメンバーズや公式アプリなどのデジタルを活用した流入接点開発、OMO施策の更なる拡大やアクション・属性に応じたポイント付与などのパーソナライズされた顧客体験を強化しています。また、販売員やお客様の声の見える化に着手し、一層多様化するであろう消費者の価値観に対応するよう努めています。
一方、欧州では、Bravissimo社のECサイトで「WACOAL」ブランドの取り扱いを開始したり、米国自社ECサイトで英国「elomi」ブランド取り扱いを開始するなど、当社グループが展開するブランドポートフォリオの事業成長をねらいに、デジタルマーケティングへの投資を積極的に実施することで、EC重視のビジネスモデルへの転換を加速させています。米国では、自社ECにおいてCRMシステムを活用したロイヤリティプログラム、パーソナライズされた広告施策に着手しています。中国では、全方位的なチャネル戦略を見直し、ECを中心とした利益率の高い販売チャネルへの選択と集中を行なっています。あわせて、ライブ販売・WEB広告・SNS等のデジタルツールを活用し、ワコールがもつ商品の強みを拡散しています。


人材・人員の確保
□ 発生の可能性:高□ 影響度:中
● リスクの内容
特にものづくり(企画力・技術力・研究開発力)、IT・デジタル、販売員、海外経営・物流において人材・人員の確保、育成ができないと、今後の成長や競合会社に対する優位性を作り出せず、グループの業績が低迷する可能性があります。また、販売員の効率的配置ができないと、人件費効率の低下やモチベーションの低下が起こり、業績の低迷を及ぼす可能性があります。
● 対応策
当社グループではジョブ型採用をはじめ、新しい採用手段の導入による人材確保に併せて、集団型講義やオンラインでの専門知識研修の実施やOJT、他社と合同で実施する異業種クロスラーニングの開催などといった、実地研修機会の充実によって人材の育成を行っています。また、キャリア採用の比重を拡大するほか、リファラル採用にも注力し多様な人材の確保による活性化も進めています。
また、初任給の見直しや基本給ベースアップの実施をはじめ、職務・役割をベースとしたメリハリのある処遇(報酬体系)を実現すべく、職務価値・成果に応じた処遇、役割給の見直しなどといった人的資本への投資姿勢を鮮明にした制度改革を推し進め、事業の中核を担う人材、将来価値を生む人材の確保を図っています。

(2)-2 事業運営上のリスク
情報システム可用性障害の発生
□ 発生の可能性:高□ 影響度:大
● リスクの内容
システム開発のミスや遅延、また、重要なシステムに障害が発生することで、事業継続が困難になってしまうと、得意先・顧客はじめ、すべてのステークホルダーからの信頼を失う可能性があります。標的型メールの開封や外部公開IT機器に対するサイバー攻撃によるランサムウェア感染、あるいは天災被害等により、基幹システムやWEB販売サイト等の稼働が不可能となった場合、ファイルサーバーや従業員のPCから機密情報が流出した場合、事業への悪影響が出る可能性があります。
● 対応策
当社では「情報セキュリティ基本方針」、「情報セキュリティ規程」等を定め、すべての従業員に対して情報保護の必要性と責任についての理解促進を図っています。“企業倫理・リスク管理委員会”の傘下に「情報セキュリティ部会」を設置し、情報セキュリティ上のリスクの特定、調査・分析を行うとともに、インシデントの未然防止および発生時の影響最小化に向けた体制を整備しています。
具体的には、グループ全体の情報セキュリティ水準の向上を目的として、本社主導で各社外部公開IT資産を把握・監視、多言語教育ツールを展開、各社でのセキュリティ対策状況を把握およびモニタリング等を実施し、継続的な改善に取り組んでいます。加えて、サイバーインシデントの発生に備え、対応手順や事業継続に関する取組を含め、被害の拡大防止および早期復旧を図るための体制整備を進めています。

情報管理の不備
□ 発生の可能性:中□ 影響度:大
● リスクの内容
情報管理の不備により、機密情報や個人情報の漏えいや紛失が発生すると、事業活動上、不利益を被るばかりか、社会的信用の失墜、事業運営の停止といった重大な損失影響が出る可能性があります。
● 対応策
当社では「情報セキュリティ規程」、「個人情報保護規程」等を定め、取り扱うすべての情報を、機密性、一貫性及び可用性の観点から適切に分類し、保護および漏えい防止に取り組んでいます。また、当社グループの重要情報一覧表の整備等を通じて経営、事業・販売戦略、製品開発、自社ノウハウ、個人情報、情報システム等の区分ごとに管理および保護の徹底を図っています。
当社グループは事業活動上、多数の顧客に関わる個人情報を取り扱っています。日本ワコールではデジタルを活用し、一人ひとりに最適な顧客体験を提供する「顧客戦略」を成長の柱と位置付けており、収集した個人情報を含むデジタルデータを基盤としたビジネスモデルを構築しています。さらに、海外においても顧客の個人情報を直接取得するEC事業を強化しており、個人情報保護は当社グループ事業活動における最重要課題の一つです。
“企業倫理・リスク管理委員会”の傘下に設置した「情報セキュリティ部会」では個人情報の保護・管理の強化、関連法規制への対応、従業員への教育等を含め、個人情報を外部の脅威から守るために、国内外の関係会社を対象に管理状況の調査と対策における指導・助言を継続的に実施しています。

債券相場・金利の変動
□ 発生の可能性:中□ 影響度:大
● リスクの内容
保有する上場株式や債券等の市場価値が下落、また、金利上昇や経済環境の不確実性によって回収可能額が減少することによって、無形資産(のれんや商標権)の減損が発生する可能性があります。他方、年金資産の評価減・積立不足は追加拠出や引当が必要となりグループ業績に影響を与える可能性があります。
● 対応策
当社及び当社の特定完全子会社の㈱ワコールが保有している株式の状況は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (5)株式の保有状況」を参照ください。
中期経営計画(リバイズ)期間(2024年3月期~2026年3月期)において当社は、資産効率向上の観点から、政策保有株式を300億円(2023年3月末時価)縮減させ、対連結純資産比10%未満とする方針とし、当中期経営計画期間中に19銘柄・約251億円(2023年3月末時価)の処分・縮減を進めましたが、株価の上昇もあり、2026年3月期末においての対連結純資産比率は19.3%となりました。今後、2029年3月期末までに政策保有株式を約200億円(2026年3月末時価)縮減させ、対連結純資産比15%未満とする方針です。
他方、退職給付費用及び債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の仮定に基づき算出していますが、有価証券の相場並びに金利環境の変化等により、実際の結果が仮定と異なる場合、または仮定に変化があった場合には、退職給付費用及び債務が増加するリスクがあります。当社は国内社債の利回りに基づいて割引率を設定しています。割引率については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記23.従業員給付」を参照ください。
企業年金のアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう、財務・人事・経理等の部門長らで構成する年金委員会を設置し、四半期単位で資産運用方針や政策的資産構成割合等を検討すると同時に、外部の運用コンサルティング会社を起用し専門能力・知見を補完しています。

自然災害・事故等の発生
□ 発生の可能性:中□ 影響度:大
● リスクの内容
地震などの自然災害や火災・爆発等が発生し事業所・生産拠点が被害を受ける、あるいは、従業員が被災する可能性があります。また、交通網の遮断や電力供給の停止、インターネット回線の不通等、大型小売店や直営店舗、通販サイトや物流網の被災により事業活動に支障が出る可能性があります。
● 対応策
首都直下型地震をはじめとする大規模事故の緊急事態に備え、“企業倫理・リスク管理委員会”の傘下に設置した「BCP・災害対策部会」では、主要な事業拠点が被災した際のBCP策定を順次整備するなど、予防・減災、応急・初動、復旧・復興の観点で事業継続マネジメントに取り組んでいます。
具体的には建物の耐震化、データ関連サーバーのクラウド化、災害発生時の従業員安否確認システム、テレワークなどといった環境整備に加え、社会的責任を踏まえて、緊急時においてもサービスや製品の安定供給ができるよう、販売事業所の業務バックアップ体制の確立や生産拠点の分散化配置によって、リスクの低減を図っています。


企業倫理・コンプライアンスの姿勢
□ 発生の可能性:高□ 影響度:中
● リスクの内容
第三者から、サプライチェーンにおける人権、労働、環境問題等を指摘・公表され、事業活動に影響を与える、企業価値を毀損する可能性があります。また、企業倫理・コンプライアンスに反する行為が増加する、あるいは、ソーシャルメディアやブログ等のWEBサイト上を含めた広告表現や発言に問題が発生することによって、社会的な信頼を失い、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
● 対応策
当社グループを取り巻く国内外の法令や規制等への違反、社会的要請に反する行為等があった場合は、処罰や社会的な信用の低下などにより、経済的・社会的な影響を受けるリスクがあります。「企業倫理・ワコールの行動指針」を定め、従業員に頒布し周知徹底を図るだけでなく、“企業倫理・リスク管理委員会”の傘下に設置した「コンプライアンス部会」の活動を通じて、従業員への啓発活動、内部通報制度、外部専門機関による法令ヘルスチェックなどの施策を拡充し、法令順守の強化に努めています。2026年3月期は新任課長対象コンプライアンス研修の実施に加え、着任10年以上の管理職対象コンプライアンス研修を実施したほか、e-ラーニングの実施や、グループコンプライアンス通信(こんぷらかわら版)の定期配信を継続するなどの啓発活動を進めました。
また、当社グループの事業領域において特に注力すべき点として、サプライチェーンでの労務・人権問題が挙げられます。過去には人権NPOから連結子会社の発注先である海外縫製工場における労務・人権問題について指摘を受けたことや、国内において二次製造委託先の外国人技能実習生に対する超過勤務手当の未払いが発覚したことがありました。現在は“サステナビリティ委員会”の傘下に設置した「CSR調達部会」の活動を通じ、人権の尊重、環境・社会との調和、法令の順守、労働慣行、事業慣行の観点などから、現地監査を行い、是正・改善計画の策定とモニタリングを行う取り組みを高めています。当連結会計年度においては、全ての製造委託先等の工場に対して自己評価を通じた「CSR調達ガイドライン」に定める内容の遵守状況の把握と分析評価フィードバックを実施すると共に、CSR調達活動の製造委託先一覧を当社ホームページで開示しています。

知的財産権の侵害・被侵害
□ 発生の可能性:高□ 影響度:中
● リスクの内容
知的財産権を侵害されたり侵害したりすることで、訴訟や経済的損失が起きる可能性があります。
また、近年、インターネット上で当社ブランドを詐称した「なりすまし広告・偽サイトへの誘導」が拡がっています。注意喚起や排除措置といった適切な対策を怠れば、消費者や市場からの信頼失墜を招きかねず、戦略的な知的財産権の保護や活用ができないでいると、事業に影響を及ぼす可能性があります。
● 対応策
当社グループは知的財産権があらゆる事業活動に関わり、競争優位性を確保する重要な資産であると認識しています。
ブランドや、独自の技術、デザイン、サービス等を、自社の競争力の源泉として知的財産権で保護・活用できるよう、一方で他社の知的財産権を尊重し侵害しないよう、従業員に対しセミナーによる教育や業界知財動向の共有を行い、正しい理解を促しています。また、外部専門家との連携を強化するなど、知的財産担当部門の知見を高めDXやCX戦略、新規事業における知的財産権の保護、活用を進めています。
また、国内外における模倣商品の出現や、他社による商標、特許等の無断使用といった知的財産権の侵害には、侵害者に対して権利主張を行い、厳格に対応を行うこととしています。最近ではEC事業のボーダーレス化に伴ったブランド価値の毀損、とりわけ、SNSを中心とした当社ブランドを騙る「なりすまし」の広告・販売の出現について、消費者への注意喚起の実施、京都府警察と連携した販路等の追跡と監視、排除措置の実施等に力を注ぐとともに、日本国内に留まらない消費者保護、ブランド保護対策に努めています。この問題に対しては、同じ被害を受けている他社と協働し、知的財産業界団体としてSNS運営者や政府と連携した対策に取り組んでいます。


デジタルマーケティングの加速による表現訴求、品質表示・取扱表示等の記載
□ 発生の可能性:高□ 影響度:中
● リスクの内容
デジタルマーケティングにおいて、従業員参加型を含むSNS上の発信内容、サステナビリティを巡るWEBサイト上の表現や発言に問題が発生することによって、ネガティブキャンペーンや発信者への誹謗中傷をはじめとする社会問題を招き、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。他方、品質表示や薬機法等の法令違反やステルスマーケティング等の不適切な表現は社会的な信用を損なう可能性があります。また、商品の回収・表示変更のコスト発生、販売中止によって経済的な損失影響が出る可能性があります。
● 対応策
消費者が適正に商品を選択し使用するための品質表示については、商品そのものに付帯させる法定表示に始まり、店頭やメディアでの広告・宣伝、販促表現、知的財産保護表示など多岐にわたっており、リスクが顕在化しやすい事案だと認識しています。また、加熱するデジタルマーケティングを背景に、SNSでの当社の発信や参加者の言動が社会的な批判に晒される、あるいは、昨今においては、その内容の真偽に関わらず拡散されるリスクも認識しています。
“企業倫理・リスク管理委員会”傘下の「品質保証審議会」、「品質管理委員会」の活動を通して、表示内容を決定する部門でのダブルチェックを前提にした表示確認体制の整備、表示決定のプロセスにおける可能な限りのシステム化、表示ミス発生時の迅速な対応、問題発生後の再発防止のための徹底的な原因究明と対策の実施といった、一連のサイクルをルール化し運用しています。また、品質表示に関わる社内啓発活動と担当者教育を定期的に実施しています。
サステナビリティを巡るWEBサイト上の表現や発言においても、“サステナビリティ委員会”や関連する部門でチェックを行う体制を整備し活動をすることで、社会的な使命を果たすよう努めています。
併せて、国内外の関係会社ごとの事業環境に照らしたSNS運用規程を定めて周知徹底を行うとともに、マーケティングやコミュニケーション部門の従業員を対象に、訴求表現内容の事前確認・適否判断を行うための教育を推進しています。加えて当社ブランドを騙る「なりすまし」の広告・販売に対して、消費者への注意喚起の実施だけでなく、販路の追跡と監視、排除措置の実施等に毅然として注力しています。
このほか、独禁法、景表法、薬機法などと絡めたガイドライン各種の制定と改訂、e-ラーニングやセミナー開催による従業員を対象にした教育の実施などによってリスクの軽減を図っています。また、機能・効能表現においては、商品化計画部門と研究部門、品質保証部門間の連携フローと併せて表記ルールの再整備を行い、外部の機関を交えたエビデンスデータの確認体制を整えています。

設計・製造上の品質保証
□ 発生の可能性:中□ 影響度:中
● リスクの内容
不良品を販売することや商品が人体へ危害を及ぼすこと等により、お客さま等への補償や商品回収等のコストが発生する、当社が高品質の商品を提供するというレピュテーションが損なわれ社会的信用を失うといった、業績への悪影響を及ぼす可能性があります。
● 対応策
高品質な商品をグローバルに提供できることが、当社グループの強みの一つです。“企業倫理・リスク管理委員会”の傘下に「品質保証審議会」を設置し、安全性ガイドラインを整備すると同時に、製品企画・設計・開発時点での安全性確認ルールの順守、製造時の検査の徹底、問題発生時の原因追及と再発防止策の策定に取り組んでいます。併せて、こうした活動・情報内容については、グループの国内外関係会社へ水平展開・共有化を図ったり、お申し出のあった商品を展示する品質展を開催することで、品質意識の高揚、全体での管理体制の底上げを行っています。また、「品質保証審議会」の傘下では、商品化計画を担う部門ごとのメンバー選出による「品質管理委員会」を運営し、個別課題への対策フォローアップ、品質管理全般に対する社内教育を実施しています。
他方、生産拠点の現場では、定めた品質管理・検査の徹底のみならず、製品受入ロックシステム(材料基準達成製品のみの受け入れ)の運用による基準未達品の排除、検査人員の技量の標準化に取り組んでいます。


新興国の社会情勢変動
□ 発生の可能性:中□ 影響度:中
● リスクの内容
新興国に事業拠点を構える当社グループは、政治的不安定状態、法改正や制度変更、ストライキの発生、人材の確保難などによって材料調達や生産が滞る、自国産業保護政策(輸入関税、外資規制等)が継続し事業効率の改善が遅れる、あるいは新規の多額投資を必要とするなど、事業業績に影響を与える可能性があります。
● 対応策
各国・地域の法律・規制の動向には常に十分な注意を払い、現地情報の収集・分析に努めています。現地の“リスク管理責任者”と連携し、地域の実情を把握し、必要に応じ外部の弁護士、コンサルタントなど、専門機関の協力を得て対応を行うよう整備と運用を図っています。軍事政権による掌握が続くミャンマーでは法律・規制の動向に加え、人権課題への対応についても注視しています。また、地政学的なリスクも見据え、適切な生産拠点の分散を行いリスクの軽減化に努めています。このほか、高い輸入関税が適用されるインドでは、国内における商品企画・生産比率を高めることで競争優位性を強化するよう努めています。

税務の管理
□ 発生の可能性:中□ 影響度:中
● リスクの内容
税制改正や移転価格の調査等による多額の課税がなされた場合には、風評被害の他、当社グループの財政状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
● 対応策
繰延税金資産については、現行の会計基準に従い、将来の課税所得を合理的に見積もったうえで計上しています。将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産が減少し、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼすリスクがあります。これを踏まえて、当社では、適宜、経営環境の変化等に照らし、将来の課税所得の見積もりに関する見直しを行い、回収可能性を合理的に判断しています。
事業を展開する国・地域の法令、国際税務関連法規を順守し、透明性の高い税務管理を行い、ステークホルダーからの信頼を得ることをねらいに「税務行動指針」を策定しています。この指針では、国内外の連結子会社を対象に、税務の最新情報入手や研修による啓発活動を含めたグループ税務体制の構築をはじめ、不確実な税務ポジションへの対応、優遇税制の適用、グループ会社間取引、租税回避行為の禁止、税務に関するディスクロージャー等のガイドラインを示しています。また、同指針に記載したガイドラインの運用状況については、IFRIC23の指針に基づいた対応状況と併せて、国内外の連結子会社から、事業年度末に報告書を受けることによってモニタリングを行っています。このほか、税制改正やBEPSをはじめ国際税務に関する動向を把握し、適宜、国内外の連結子会社と最新情報を共有するなど、当社グループにおける税務体制の整備に努めています。

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