有価証券報告書-第74期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/24 9:45
【資料】
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【項目】
169項目
② 戦略
当社グループは、事業活動におけるESGのマテリアリティ(重要課題)を特定し、以下の通り取り組んでいます。
a. E/環境(Environment)
環境については、「森林育成・保全を地球環境の最重要課題とした持続可能な経営」をマテリアリティと捉えています。基本的な考え方として木の価値を最大限に生かした地球を守る経営を目指し、持続可能性や環境に配慮した木材・資材調達のため、自ら森を育て、加工・販売までを一貫して行う森林経営の徹底と気候変動の要因となる森林減少などの社会課題の解決に貢献することで、森林資源の持続的な活用と保全を行っています。
主な取組みとして、ニュージーランドで木を植え、育て、伐採し、また木を植える、木の年間成長分だけ毎年伐採を行う法正林施業によって森林資源を保全しながら、森林面積を減らすことなく、木材を永続的に収穫できる状態を保つ正しい林業のあり方を実践した持続可能な森林経営を行っています。これに加えて、ニュージーランド以外から調達する木材については、合法木材の利用を促進し、森林資源の保全にも努めています。
また、当社グループはカーボンニュートラルの実現およびサーキュラーエコノミーの推進を目指しています。その一環として、長年にわたり生産過程で発生する木くずを単なる廃棄物とせず、貴重なエネルギー資源として循環させるバイオマス発電を実施してまいりました。この発電電力を活用することで、化石燃料依存からの脱却と温室効果ガス(GHG)の削減を同時に達成しています。さらに、自社のバイオマス発電所由来の再生可能エネルギーの利用を推進し、CO₂排出量実質ゼロの電気を国内全ての製造拠点で使用しています。加えて、ニュージーランドの自社森林で育てた木材から製造加工した内装建材の製品カタログにCO₂固定量を明記することで、製品ごとの環境価値を見える化し、お客様が木質建材を選択する際の指標の一つとして活用していただくとともに、木質建材の環境価値を訴求する取組みも行っています。このほか、クリーンな材料調達の証として、ニュージーランドの全森林・全工場及びフィリピン、インドネシアの海外生産拠点、ならびに日本国内の木質建材工場において森林認証を取得しています。
2025年6月からは、社名ロゴ入りの鉄道輸送専用コンテナを導入し、広島・埼玉間での運行を開始しました。これは「ホワイト物流」推進の一環であり、ドライバーの労働環境改善とCO₂排出量削減を同時に実現するものです。
事業活動に伴う環境負荷低減のためには、使用電力の削減、廃棄物の削減と再資源化、ペーパーレス化の推進、輸送時の環境負荷低減などにも継続して取り組んでいます。
こうした取り組みを基盤に、当社はTCFDの提言に基づき、気候変動に関連するリスクと機会を特定・評価し、経営戦略へ統合しています。今後も自然と人と社会が循環共生する持続可能な社会の実現を目指し、脱炭素社会への貢献と企業価値向上を両立させつつ、透明性の高い情報開示を継続してまいります。
ア)分析のプロセス
TCFD提言で示された各リスク・機会の項目を参考に、気候変動問題が当社の事業に及ぼすリスク・機会に関して、以下のステップで検討しました。
シナリオについては、1.5℃シナリオと4℃シナリオを用いており、政策や市場動向の移行(移行リスク・機会)に関する分析と、気象災害などによる物理的変化(物理リスク・機会)に関する分析を実施しました。
0102010_002.png
イ)気候変動シナリオ
1.5℃シナリオにおいては、脱炭素社会への移行に伴い、炭素価格の導入や再生可能エネルギーへの転換などの施策・規制が進むことによる事業への影響が考えられます。4℃シナリオにおいては、脱炭素社会への移行が進まず、異常気象の激甚化による洪水被害などの物理的な面での影響を想定しております。
0102010_003.png出典:IPCC AR6 WGI SPM Fig. SPM.8(a)より作成
1.5℃シナリオ4℃シナリオ
社会像2100年までの平均気温上昇を2℃未満に抑えるため、脱炭素社会を実現する施策・規制が実施される世界2100年までの平均気温が約4℃上昇することにより、気候変動による異常気象の激甚化が進行し、物理的影響が生じやすい世界
参照シナリオ(物理)IPCC(注)2 SSP(注)3 1-1.9
(移行)IEA(注)4 NZE(注)5
(物理)IPCC SSP5-8.5
(移行)IEA STEPS(注)6
対象当社グループ 木質建材設備事業、発電事業

(注)1.TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)。G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により設立された気候関連財務情報の開示に関するタスクフォースで、企業等に対し、気候変動が及ぼす財務インパクトを把握し、開示することを推奨している。TCFDは、国際財務報告基準の策定を担うIFRS財団に監督機能を引き継ぎ、2023年10月に解散した。
2.IPCC:気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)
3.SSP:共通社会経済経路(Shared Socioeconomic Pathways)
4.IEA:国際エネルギー機関(International Energy Agency)
5.NZE:ネットゼロ排出シナリオ(Net Zero Emissions by 2050 Scenario)
6.STEPS:公表政策シナリオ(Stated Policies Scenario)
ウ)主要なリスク及び機会と影響度
気候変動シナリオをもとに当社の事業に与えるリスク・機会を分析し、以下の通りまとめております。各リスク・機会の項目が事業に与える影響については、定性・定量評価を実施したうえで、対応策を立案し、レジリエンスを高めております。分析したリスク・機会と影響度は次の通りです。
主要なリスク及び機会と影響度
分類考えられるリスク/
機会が当社へ及ぼす影響
財務対象時間軸
(注)1
影響度
(注)2.3
対応策




市場市場での低炭素型商品ニーズの増加に合わせた新商品の開発や、既存商品の製造方法の転換などによる研究開発費や設備投資額の増加費用中期~長期・顧客ニーズを詳細に分析し、確実に需要が見込める技術・製品に集中投資する
・初期投資の回収期間を短縮できる価格設定や販売計画を立案する
木材需要の逼迫による原材料調達コストの増加費用中期~長期・複数の供給元を確保し、特定の地域やサプライヤーへの依存度を低減する
電源構成における再生可能エネルギー比率の増加にともなう電力コストの上昇費用中期・省エネルギー型の設備やLED照明、効率的な空調システムを導入し、エネルギー消費を削減する
評判ステークホルダーの環境意識の高まりにともなうGHG削減の取り組み遅れや情報開示不足による顧客からの評価の低下売上中期・継続的なステークホルダーへの情報開示を強化する
・CDP等の外部格付けへの対応を強化する
・SBT基準の削減目標の設定及び認定取得を検討する




急性サプライヤーの被災によるサプライチェーンの分断にともなう生産量の低下売上中期・複数の供給元から資源を調達し、リスクを分散することで、一地域の気候変動影響に左右されない安定供給を実現する
・供給網が寸断された場合に備え、代替輸送ルートを事前に計画する
自社拠点の事業活動停滞/停止にともなう販売機会の喪失と売上の減少売上中期・BCP(事業継続計画)強化により稼働停止リスクの低減を図る

資源効率製造ラインにおけるデータ利活用の高度化等による製造プロセスの効率化にともなうエネルギーコストの削減費用中期~長期・工場での製造DXの推進によるIoTの活用などエネルギー効率(電力使用量・稼働状況)のモニタリングと継続的改善を実施する
省エネ設備導入によるエネルギー消費と製造コストの削減費用中期・省エネ設備・機材を導入する
エネルギー源再生可能エネルギーの導入による電力購入コストの削減費用中期・自社のバイオマス発電を有効利用する
製品
及び
サービス
環境配慮型製品の開発による売上の増加売上中期~長期・環境負荷の低減に資する短工期かつ容易に施工できる商品(リフォームしやすい内装部材等)の開発を一層推進していく

分類考えられるリスク/
機会が当社へ及ぼす影響
財務対象時間軸
(注)1
影響度
(注)2.3
対応策
機会市場再生可能な原材料や製品の価値上昇にともなう売上の増加売上中期~長期・植林からの一貫生産体制を構築している製品群の新規開発、売上拡大・国内外の原木・立木の調達先を増やし、供給能力を強化する
政府の2050年カーボンニュートラルを見据えた施策による中大規模建築物への木材利用の推進と売上の増加売上中期~長期・長期間炭素貯蔵し、建築時のGHG排出量を抑制できる構造材の特徴を活かしたブランディングを強化する
・中大規模建築物向けの耐久性の高い工法等の開発を強化する

(注)1.気候変動のリスクと機会の検討における「中期」「長期」の定義
時間軸基準影響期間設定期間
中期2030年
長期2050年

2.影響度の定義
財務インパクト
影響度基準
影響度設定売上への影響度
(金額/年)
費用、投資への影響度
(金額/年)
10億円以上6億円以上
5億円以上~10億円未満2億円以上~6億円未満
5億円未満2億円未満

3.影響度については今後も検討を行い、適宜更新を行う予定です。
b. S/社会(Social)
社会については、第一に「安心・安全・快適な住空間の実現」をマテリアリティと捉えています。「人が生き、そして暮らす」という住宅の本質を踏まえ、お客様にとって住宅がいつまでも美しく丈夫で長持ちし、安全で快適なものであり続けることが重要であると考えます。当社グループは木材を扱うプロとして、常に木材が持つ「安心・安全・快適」という本質的価値を追求した住宅部材を提供していきます。
主な取組みとして、長寿命化住宅の実現に向け、強靭な構造用LVL「JWOOD」を専用金物で緊結した強固な構造体「JWOOD工法」を採用し、耐震性能に関する国内最高基準である「耐震等級3」を確保したシステム住宅「ワンズキューボ」の提供、設計から品質管理に至るISO9001認証に基づく継続的な改善活動を実施しています。また、2025年4月に発売した国産材桧の無垢フローリング「コンビットⓇソリッドJ」を含む2商品が「ウッドデザイン賞2025」を受賞するなど、地域材の付加価値向上と意匠性を両立した商品展開を強化しました。さらに、無垢フローリングの美しさを研磨して蘇らせる「サンディングサービス」を展開し、資源を永く大切に使うメンテナンス文化の醸成に努めています。加えて、脱炭素社会の実現に向け、木造4階建て宿泊施設の構造見学会や展示会への出展を通じ、中大規模建築物等の非住宅分野における木質化を推進しています。
第二に「労働生産性向上の実現」をマテリアリティと捉えています。深刻化する建築現場の職人不足等の課題に対し、現場の声を反映した省施工システムの提案を通じて社会課題の解決に貢献していきます。
主な取組みとして、建築現場での加工を最小限に抑え、労務工数の効率化に寄与する「ジャストカット階段」等の省施工商品の拡充や、構造設計の見直しによる省施工化を推進しています。また、施工説明書のデジタル化をはじめとするデジタルコンテンツの充実を図ることで、作業効率の向上と品質の均一化に継続して取り組んでいます。
第三に「挑み、成長できる組織づくり」をマテリアリティと捉えています。当社グループは、全ての従業員とその家族が心身ともに健康であり、多様な価値観が尊重され、一人ひとりがその能力を十分に発揮できる企業を目指しています。
主な取組みとして、2026年3月に「健康経営」を経営戦略として導入することを決定しました。従業員の心身の健康維持・増進を重要な経営資源と捉え、組織の活性化と労働生産性の向上を図ることで、中長期的な企業価値向上を目指します。また、2025年9月には次世代育成支援として「はつかいち子育て応援宣言企業」の認定を取得し、育児休業の取得促進や職場体験の受け入れを積極的に実施しています。
なお、具体的な人材育成方針や社内環境整備方針、及び関連する指標の詳細については、後記「(2) 人的資本経営」に集約して記載しております。
c. G/ガバナンス(Governance)
ガバナンスについては、当社グループでは「公正かつ健全な事業活動の継続」をマテリアリティと捉えています。経営の透明性・健全性を確保するための監視・監督体制として、取締役会による重要事項の決定および監督に加え、監査役会による厳正な監視を実施しています。さらに、財務報告の正確性と信頼性を確保するための内部統制システム強化の一環として、内部監査室が監査役、会計監査人および関係部署と連携し、各部門に対する定期的な監査を行うことで管理体制の充実を図っています。
主な取組みとして、「コンプライアンス・マニュアル」等の行動規範に基づき、全部署を対象とした定期的なコンプライアンスチェックや継続的な教育活動を実施し、高い企業倫理の育成と健全な企業風土の醸成に努めています。また、内部通報制度とサプライヤーホットラインの適切な運用や、インサイダー取引管理規程の遵守徹底により、法令遵守、人権尊重、および公正な事業慣行の維持に注力しています。なお、法令や社会的ルールに抵触する疑いがある事案が発生した場合には、コンプライアンス委員会を招集し、迅速かつ適正な対応を行う体制を整えています。

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