有価証券報告書-第124期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2019年4月1日~2020年3月31日)における我が国経済は、4~6月期、7~9月期は、輸出は低迷したものの内需が底堅く推移し、実質GDPは4四半期連続でプラス成長となりました。しかし、10~12月期は消費増税の影響と自然災害による生産活動の停滞で大幅なマイナス成長となり、1~3月期は落ち込みから持ち直しつつあったところに新型コロナウィルス感染症の世界的流行が起きたため、2四半期連続のマイナス成長となりました。
当連結会計年度の世界経済は前年度から続く減速傾向が次第に強まりつつありました。特に米中貿易摩擦と中国国内要因による中国経済減速の影響がアジア諸国から世界に広く及び、世界貿易の伸びの鈍化、我が国の財輸出の低迷につながりました。さらに1~3月期には新型コロナウィルス感染症の流行が世界全体に拡大し、これまで唯一好調だった米国経済もマイナス成長となって、4月以降はさらに落ち込む見込みで、世界全体で景気の回復がいつになるか見通せない様相を呈しています。
当連結会計年度の日本経済の企業部門は、輸出は一部で底入れはあったものの低迷が続きましたが、10~12月期までは内需型、非製造業を中心として企業収益は高水準を維持していました。しかし、経常利益は4~6月期以降、前期比減少が続きました。1~3月期は、製造業のみならず、内需型、非製造の業種の収益にも多大な影響が及びました。
企業の設備投資は、構造的要因から、合理化・省力化、維持更新とソフトウェア投資の需要が強く増加基調が持続していましたが、直近の景気の変調を受けて企業は計画の見直しを余儀なくされつつあります。
個人消費は、雇用者数の増加、名目賃金の上昇傾向が続き、消費増税の影響による下振れはあったものの、いずれ緩やかな増加基調に戻ると期待されていました。しかし、新型コロナウィルス感染症の影響で大幅下振れが避けられなくなりました。
このように、我が国経済は緩やかではありますが回復基調を続けていたところ、消費増税後の10~12月期に退潮が明らかとなり、現在は新型コロナウィルス感染症の影響で景気は後退局面に入った状況です。この新型コロナウィルス感染症の流行の影響は大きく、今後経済活動が正常化するまでには時間を要すると思われます。
当社グループの主要事業は、国内の素材産業や農産物の生産動向に大きく影響される産業用包装資材の製造・販売です。当連結会計年度の当社グループは、海外事業は年度当初から海外景気減速の影響を強く受けましたが、国内では、7~9月期までは顧客となる素材産業の生産に大きな変動はなかったこと、原材料価格が安定していたことから、全体としては概ね順調に推移しました。しかし、10~12月期に入ると国内でも景気の減速が明らかとなって当社グループの売上に影響が及び、1~3月期はそれがさらに強まりました。その結果、当社グループの業績は、前期比で減収減益となりました。
なお、新型コロナウィルス感染症流行による当社グループ業績への直接的な影響は、当連結会計年度においては限定的なものにとどまっております。
連結売上高は21,434百万円で前期比384百万円の減収でした。損益では、営業利益1,361百万円(前期比160百万円の減益)、経常利益1,505百万円(同163百万円の減益)、親会社株主に帰属する当期純利益1,035百万円(同119百万円の減益)となりました。
当社単独では売上高15,804百万円(前期比475百万円の減収)、営業利益719百万円(同73百万円の減益)、経常利益933百万円(同71百万円の減益)、当期純利益651百万円(同54百万円の減益)でした。
当社グループの最近3年間におけるセグメント別の業績推移は、下表のとおりであります。
| 回 次 | 第122期 | 第123期 | 第124期 | |||||||
| 決 算 年 月 | 2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | |||||||
| 項 目 | 金額(千円) | 百分比 (%) | 前期比 (%) | 金額(千円) | 百分比 (%) | 前期比 (%) | 金額(千円) | 百分比 (%) | 前期比 (%) | |
| 売 上 高 | 20,771,046 | 100.0 | +3.9 | 21,819,120 | 100.0 | +5.0 | 21,434,868 | 100.0 | -1.8 | |
| 重包装袋 | 13,451,190 | 64.8 | +3.2 | 13,679,000 | 62.7 | +1.7 | 13,451,257 | 62.8 | -1.7 | |
| フィルム製品 | 3,657,507 | 17.6 | +6.0 | 3,941,173 | 18.1 | +7.8 | 3,862,276 | 18.0 | -2.0 | |
| コンテナー | 1,708,597 | 8.2 | -1.7 | 2,048,750 | 9.4 | +19.9 | 1,887,381 | 8.8 | -7.9 | |
| 不動産賃貸 | 263,185 | 1.3 | -0.0 | 263,076 | 1.2 | -0.0 | 258,135 | 1.2 | -1.9 | |
| その他 | 1,690,565 | 8.1 | +12.6 | 1,887,119 | 8.6 | +11.6 | 1,975,817 | 9.2 | +4.7 | |
| 営業利益 | 1,393,334 | 6.7 | +16.6 | 1,522,614 | 7.0 | +9.3 | 1,361,823 | 6.4 | -10.6 | |
| 経常利益 | 1,521,480 | 7.3 | +17.1 | 1,669,129 | 7.6 | +9.7 | 1,505,174 | 7.0 | -9.8 | |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,026,204 | 4.9 | +18.2 | 1,154,735 | 5.3 | +12.5 | 1,035,577 | 4.8 | -10.3 | |
この結果、当連結会計年度末の当社グループの総資産は25,404百万円で、前連結会計年度末に比べて817百万円減少しました。主な増加要因は現金及び預金211百万円、主な減少要因は受取手形及び売掛金758百万円および投資有価証券351百万円です。
負債合計は8,503百万円で、前連結会計年度末に比べ1,575百万円減少しました。主な増加要因は営業外電子記録債務119百万円、主な減少要因は支払手形及び買掛金726百万円、電子記録債務436百万円、短期借入金439百万円および繰延税金負債146百万円です。
純資産合計は16,900百万円で、前連結会計年度末に比べて757百万円増加しています。主な増加要因は利益剰余金857百万円および為替換算調整勘定160百万円、主な減少要因はその他有価証券評価差額金249百万円です。
連結子会社の概況は次のとおりであります。
タイ昭和パックス㈱は会計期間が1-12月です。中国経済減速の影響が顧客の生産量に広く及んで、タイ昭和パックス㈱の売上は年度初めから前年同月割れが続きました。その結果、これまで6年続いていたクラフト紙袋年間販売数量の前年比増加が途切れ、減収減益に終わりました。九州紙工㈱は、一般袋の数量は微増でしたが、米麦袋の減少が大きく、減収減益でした。㈱ネスコは様々な商材を手掛けて増収としましたが、高採算商品の割合が縮小して減益でした。山陰製袋工業㈱、山陰パック㈲の二社は会計期間が1-12月で、クラフト紙袋の合計販売数量は前年から微増でしたが、年度当初は原材料値上がりの転嫁が進んでいなかったため、増収で減益となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
○重包装袋
重包装袋セグメントの主力製品であるクラフト紙袋の当連結会計年度の業界全体の出荷数量(ゴミ袋を除く)は前期に対し2.3%の減少となりました。米麦袋が毎年の使用量漸減に加えて前期3月に一部出荷が先取りされたことで大きく減少、そのほかに合成樹脂、化学薬品、その他農水産物などの用途が減少しました。増加は、砂糖・甘味、飼料、その他食品、セメント等の用途でした。
当社のクラフト紙袋の売上数量(ゴミ袋を除く)は前期比で4.4%の減少でした。米麦袋の減少は小幅でしたが、自動車関連の生産減少などの影響で主力の合成樹脂用途が大きく減少したほか、化学薬品、砂糖・甘味用途などが減少しました。
ポリエチレン重袋の売上数量は主要な用途である肥料用が不振で、前期から10.7%の大幅減少、中型袋は微減でした。
タイ昭和パックス㈱のクラフト紙袋は、中国経済減速の影響を受けて顧客の生産が減少した状態が続いたため、毎月の売上が前年同月から減少したままで、年間売上数量は前期比10.9%の減少に終わりました。九州紙工㈱は主力の米袋が前期3月の先取りと九州地区の作況不良で大きく減少、砂糖・塩・セメントなどで一般袋の受注を増やしましたが、総売上数量は前期比△5.0%となりました。山陰製袋工業は米袋の数量は僅かに減少しましたが、一般袋の受注増でカバーして、総売上数量は前期比+0.1%の微増でした。
重包装袋の主原料であるクラフト原紙の価格は、2018年夏に値上がりして以降、安定して推移しました。
当セグメントの連結売上高は13,451百万円で、前期に対して227百万円の減収になりました。
○フィルム製品
当連結会計年度における低密度ポリエチレンフィルム製品の業界の出荷数量は、前期比で産業用は減少、農業用は増加しました。
当社のフィルム製品の売上数量は、産業用は前期比で1.5%の増加、農業用は5.9%の減少で、合計では1.2%の減少となりました。産業用では、発泡フィルム、アスベスト隔離シート、ポリスチレンフィルム「エスクレア」等が伸びました。農業用では7~9月期までは前年同期を上回っていましたが、10~12月期以降、全般に数量が伸びず、通年で減少となりました。原材料であるポリエチレン樹脂とポリスチレン樹脂は、ナフサ価格の変動や中東情勢の変化を受けて、不安定な気配となりましたが、ポリスチレンが一度若干上がったほかは大きく値上がりすることはありませんでした。
当セグメントの連結売上高は3,862百万円で、前期に対して78百万円の減収でした。
○コンテナー
粒状内容物のバルク輸送用ワンウェイ・フレコンの業界の出荷量は、国内生産品、海外生産品ともに飼料、食品用途が前期より増加、化学工業品、窯業土石品用途が減少し、海外生産品の合成樹脂用途が増加しました。全体ではやや増加しました。海外からの輸入の全体量も前期比で微増になりました。
当社のワンウェイ・フレコンの売上数量は、大幅増加だった前期から5.6%減少しました。大型ドライコンテナー用インナーバッグ「バルコン」は一部顧客との取引が終了した関係で減少しました。液体輸送用は、1,000ℓポリエチレンバッグ「エスキューブ」が微減、液体輸送用コンテナーライナー「エスタンク」も前期から減少となりました。
当セグメントの連結売上高は1,887百万円で、前期に対して161百万円の減収でした。
○不動産賃貸
賃貸用不動産の契約内容に若干の変動があり、当セグメントの連結売上高は258百万円で、前期から4百万円の減収でした。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金および現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて127百万円増加の6,771百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は1,184百万円(前期比747百万円の収入減)となりました。この主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,489百万円、減価償却費535百万円、仕入債務の減少1,153百万円および法人税等の支払464百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は476百万円(同138百万円の支出増)となりました。この主な内訳は、有形固定資産の取得による支出357百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は646百万円(同32百万円の支出減)となりました。この主な内訳は、短期借入金の純減による支出445百万円および配当金支払による支出177百万円です。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| 重包装袋 | (千円) | 12,616,407 | 0.2 |
| フィルム製品 | (千円) | 2,883,404 | △ 3.1 |
| コンテナー | (千円) | 274,955 | △ 21.5 |
| 合計 | 15,774,766 | △ 0.9 | |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
b.商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| 重包装袋 | (千円) | 802,311 | △ 3.4 |
| フィルム製品 | (千円) | 959,222 | △ 0.7 |
| コンテナー | (千円) | 1,328,991 | △ 4.5 |
| その他 | (千円) | 1,443,058 | 6.9 |
| 合計 | 4,533,584 | △ 0.1 | |
(注)1.金額は仕入価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
c.受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | ||||
| 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) | ||
| 重包装袋 | (千円) | 13,396,409 | △ 2.8 | 717,455 | △ 7.1 |
| フィルム製品 | (千円) | 3,791,217 | △ 6.1 | 160,115 | △ 30.7 |
| コンテナー | (千円) | 1,851,160 | △ 11.3 | 190,383 | △ 16.0 |
| 合計 | 19,038,787 | △ 4.4 | 1,067,954 | △ 13.2 | |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| 重包装袋 | (千円) | 13,451,257 | △ 1.7 |
| フィルム製品 | (千円) | 3,862,276 | △ 2.0 |
| コンテナー | (千円) | 1,887,381 | △ 7.9 |
| 不動産賃貸 | (千円) | 258,135 | △ 1.9 |
| その他 | (千円) | 1,975,817 | 4.7 |
| 合計 | 21,434,868 | △ 1.8 | |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)財政状態の分析
当連結会計年度末における財政状態は、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」のとおりであります。
当社グループの自己資本比率は当連結会計年度末で64.1%となっており、財政状態については大きな懸念はないものと認識しております。今後も、中長期的な成長のために、設備投資や研究開発等に必要な資金を投じつつ、安定した配当を実施、着実に利益を上げて健全な財政状態を保って企業価値の向上に努めてまいります。
2)経営成績の分析
当連結会計年度における経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」のとおりでした。目標とする経営指標としては1株当たり当期純利益、株主資本利益率を重視しておりますが、当連結会計年度はいずれも前連結会計年度を下回っております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」のとおりであります。
なお、当社グループの資金需要は、原材料費、人件費、運賃などの経費、設備投資及び配当などが主なものです。その財源としては自己資金や外部資金を有効に活用しており、調達に不安はありません。設備投資については、通常の維持更新は原則として減価償却費の範囲内で行うこととしておりますが、重要かつ緊急を要するもの、及び新規導入や製造環境改善を含む戦略的な投資はその範囲にこだわらずに実行しております。当連結会計年度の設備投資額は532百万円ですが、この資金はすべて自己資金によりました。
また、次期以降も資金の使途に変動はなく、設備投資額が増えてもキャッシュ・フロー上の懸念はないものと認識しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績などを勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。
1)退職給付に係る資産および負債
当社グループの退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で使用される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率や年金資産の長期期待運用収益率など、多くの見積りが存在しております。このため、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、将来の退職給付費用及び退職給付債務に影響を及ぼす可能性があります。
2)繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。しかし、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用を計上する可能性があります。
なお、新型コロナウィルス感染症流行による影響につきましては第5「経理の状況」の連結財務諸表および財務諸表の「追加情報」に記載のとおりであります。