有価証券報告書-第81期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/29 16:00
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【項目】
116項目

業績等の概要

(1) 業績
① 事業全体の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用情勢が緩やかに改善する一方で、英国のEU離脱問題をはじめとする欧州の経済不安や米国新政権への政策不安、新興国等における景気減速など海外情勢の不確実性の増大から、景気の先行きはより不透明な状況が続いております。
外食業界においては、業績動向は業態毎にまだらであり、ファストフード業態が好調であった一方で居酒屋業態は苦戦が続くなど、他業種の代替やニーズの変化などにより、依然として業界全体が熾烈な競争状態にあります。また、食の安全確保に向けたコストの増加や景気回復に伴う人員確保の難化など、厳しい経営環境が継続しております。
こうしたなか、当社グループにおいては、今後の大きな飛躍に向けた5ヵ年の中期経営計画『Dynamic Challenge 500 ~新たな成長で、新たなステージへ~』に基づき、「既存業態のブラッシュアップと新規出店の加速化」「フランチャイズ店舗の積極展開」「M&Aによる経営資源の強化とドミナント形成の推進」を重点政策に掲げ、それぞれの施策を進めてまいりました。
また、これらの戦略を支える人財確保や財務基盤の強化等のため、平成28年12月には当社株式を東京証券取引所市場第一部(以下「東証一部」という。)に市場変更いたしました。
営業面では、全体として既存店の客数は減少しましたが、付加価値の高い商品は一定の支持を受けており、今後も各業態において既存店の客数拡大に重きをおき、QSCA(フードサービスの概念的価値を表す。Quality:クオリティ、Service:サービス、Cleanliness:クレンリネス、Atmosphere:アトモスフィアの頭文字)の継続的な向上施策を実施してまいります。
店舗数については、新規出店が5店舗(うち、FC2店舗)、閉店が17店舗(うち、FC4店舗)となり、当期末の店舗数は、553店舗(うち、FC75店舗)となりました。
売上高については、リオ・オリンピック開催期間中の客数の減少やその後の天候不順、消費支出の落込みの影響等により、既存店売上高が前年同期比97.1%(客単価99.9%、客数97.3%)となりました。
売上原価については、食材単価の安定的な推移により、売上原価率が前年同期に比べて0.3ポイント減少しました。販売費及び一般管理費については、水道光熱費、消耗品費などのコスト削減や勤務時間マネジメントを徹底しましたが、人件費の時給単価や建設資材価格の上昇、東証一部への市場変更費用や株主数の増加に伴う費用の増加等により、売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は前年同期に比べて0.5ポイントの増加となりました。一方、マイナス金利の影響等により支払利息等の営業外費用は大幅に減少しました。
このほか、子会社において店舗の減損損失やリニュアルに伴う固定資産除却損が発生したこと等により、489百万円の特別損失を計上することとなりました。
以上の結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は29,586百万円(前年同期比2.5%減)、営業利益は747百万円(同8.2%減)、経常利益は666百万円(同21.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は246百万円(同9.6%減)となりました。
② 子会社別の事業の状況
子会社別の事業の状況は以下のとおりであります。平成28年9月に子会社間での会社分割及び商号変更を実施し、㈱扇屋コーポレーションは㈱扇屋東日本、㈱扇屋西日本、㈱フードリームの3社に分かれております。なお、会社ごとの売上高は、連結子会社間取引相殺消去前の売上高であるため、連結損益計算書の売上高とは一致しておりません。
(a)㈱扇屋東日本、㈱扇屋西日本
焼き鳥居酒屋「備長扇屋」「やきとりの扇屋」では、銘柄鶏の品揃えの拡充やつくねのバリューアップなど串物の商品力強化を中心とした、コア商品の磨き込みを進めました。また、店舗オペレーションの強化とスキルアップによるお客様満足度の向上を目指した「焼き師制度」の刷新や「真心師(まごころし)制度」を推進してまいりました。㈱扇屋東日本と㈱扇屋西日本を合算した当連結会計年度の売上高は16,689百万円、店舗数は新規出店が3店舗(うちFC2店舗)、閉店が8店舗(うちFC1店舗)となり、期末店舗数は338店舗(うちFC71店舗)であります。
(b)㈱フードリーム
ショッピングセンターや商業施設内を中心に様々なブランドによるインショップ型レストラン等を展開する㈱フードリームでは、パステルの事業譲受の後、派生ブランドのパステル・イタリアーナやイタリアンバル・パステルを開発し、既存店をこれらの業態に転換してまいりました。また、ステーキハウスへの業態転換も実施し、収益向上に貢献しております。
当連結会計年度の売上高は4,974百万円、店舗数は新規出店が2店舗、閉店が4店舗となり、期末店舗数は128店舗となりました。
(c)㈱一丁
北海道や首都圏のターミナル駅を中心に展開する刺身居酒屋「魚や一丁」では、「北海道とうまい魚」をテーマとし、原点である刺身の鮮度や品質、ボリュームにこだわり、生け簀の導入による活魚販売等を積極的に展開してまいりました。また、素材の良さを活かした商品を提供するために、継続的に調理技術の研修を実施しております。
当連結会計年度の売上高は3,556百万円(前年同期比2.3%減)、期末店舗数は21店(うちFC1店)となりました。
(d)㈱一源
埼玉を中心に展開する総合型居酒屋「いちげん」では、和・洋・中それぞれの分野で専門性の高い品揃えで、ファミリー層をターゲットとして業態開発を進めております。また、お客様の居心地の改善に向けたリニュアルを進めたことも効果が出ており、継続的な業態の付加価値向上に努めました。
当連結会計年度の売上高は2,526百万円(前年同期比7.6%減)、期末店舗数は24店舗となりました。
(e)㈱紅とん
都心のターミナル駅を中心に展開する炭火串焼き専門店「日本橋紅とん」では、「働くお父さんのエネルギー源」をコンセプトとして、専門店ならではの商品開発や串焼き技術を向上させ、コンセプトの浸透を図ってまいりました。期末店舗数は29店(うちFC3店)であります。
大阪下町の味お好み焼き「ぼちぼち」では、ターゲットのニーズに見合ったメニューに変更し、調理技術の向上を図るなど、コンセプトの表現に努めてまいりました。期末店舗数は13店であります。
これらの結果、㈱紅とんの当連結会計年度の売上高は2,132百万円(前年同期比3.2%減)、店舗数は閉店が5店舗(うちFC3店舗)となり、期末店舗数は42店舗(うちFC3店舗)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比較し、150百万円減少の2,717百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、2,698百万円(前連結会計年度は1,896百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が357百万円となり、そのうち現金の支出を伴わない減価償却費が1,323百万円、のれん償却額が143百万円及び減損損失が363百万円含まれ、更に前受金が473百万円増加したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、1,205百万円(前連結会計年度は2,385百万円の支出)となりました。これは主に、既存店のリニュアルや新規出店等に伴う有形固定資産の取得が1,251百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、1,643百万円(前連結会計年度は2,095百万円の収入)となりました。これは主に、A種優先株式の取得により800百万円支出したこと、長期借入金を499百万円、リース債務を159百万円、それぞれ返済したこと、更に配当金の支払が184百万円あったことによるものであります。